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future4227さんのレビュー
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  • レイクサイド・ストーリー

    レイクサイド・ストーリー

    サラ・パレツキー,山本やよい

    ハヤカワ・ミステリ文庫

    ウォーショースキーの執念が凄い

    シリーズ2作目。前作に引き続き、企業による組織的犯罪の真相を暴く。今回は五大湖の海運業を巡る不正横領からの殺人や破壊工作を美人私立探偵ウォーショースキーが追いかける。きっかけは仲の良かった従兄の転落死。本当に事故だったのか?ただそれだけを確かめたくて、僅かな手がかりを元に調査を始める。テーマはちょっと地味なんだけど、ゆく先々で殺人やら大事故が頻発して、なんか凄いことになっちゃう。死にかけて入院までしてるのに動き出しちゃう彼女の執念がこれまたスゴイ。そんな彼女は実はオペラを歌えることが判明。

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    投稿日: 2024.05.13
  • 陽炎の闇 オッドアイ

    陽炎の闇 オッドアイ

    渡辺裕之

    中央公論新社

    岸田総理登場

    オッドアイシリーズ10作目。間違えて9作目を飛ばして読んでしまったが、さほど影響はなし。今回は主人公の朝倉がなんと岸田総理と同じヘリに乗って米空母ロナルド・レーガンに乗艦するという大出世ぶり。今やNCIS(海軍犯罪捜査局)でも伝説的な捜査官となって、自衛隊からも警察からも米軍からも全幅の信頼を置かれる。空母内での殺人事件に捜査協力をしていく中で、背後に中国やロシアによるスパイ活動の存在を突き止めていく。他の3つのシリーズとも同時並行でストーリーがリンクし、それぞれの主人公も登場する贅沢な作りとなっている。

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    投稿日: 2024.05.13
  • 修羅の標的 傭兵代理店・改

    修羅の標的 傭兵代理店・改

    渡辺裕之

    祥伝社文庫

    舞台はウクライナ

    傭兵代理店改シリーズ9作目。通算27作目。今回リベンジャーズは前作に引き続き、ウクライナに留まりロシア軍の侵攻を防ぐ。非公式ながらも日本政府の支援という形での参戦。ザポリージャ原発の奪回から始まりロシア国内まで潜入しての決死の作戦。さすがに無傷とはいかず、無敵の藤堂でさえ生命の危険にさらされる。特に明石柊真率いる傭兵部隊ケルベロスの被害が甚大だ。ウクライナやロシアの街の描写や日本では報道されていない情報など、まるで作者がウクライナで書いてるかのような臨場感。この戦争が終わるまで当分彼らの戦いは続きそうだ。

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    投稿日: 2024.05.13
  • 2050年の地球を予測する ――科学でわかる環境の未来

    2050年の地球を予測する ――科学でわかる環境の未来

    伊勢武史

    ちくまプリマー新書

    善意に訴えるだけでは解決しない!

    2023年中学入試で浦和明の星、大妻、巣鴨、法政大学、洗足学園などで出題。中高生に向けて書かれた環境問題の入門書。共有地の悲劇という寓話を引き合いに出し、共有地(共有物)に対して後先考えずに粗雑に扱うのは人間の性だと認識することが大切。いつまでも個々人のボランティア精神に依存していても地球規模の環境問題は解決しないと筆者は主張する。環境問題に取り組むことで我々に何らかのメリットを感じさせる取り組みや仕組みづくりを考える必要がある。温暖化防止のために宇宙空間にアルミ箔をばらまくっていう発想に仰天。

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    投稿日: 2024.05.13
  • オムニバス

    オムニバス

    誉田哲也

    光文社文庫

    部下から見る姫川玲子

    姫川玲子シリーズの短編集。電子書籍でバラバラと配信されてた作品を一冊にまとめたもの。今回は姫川班の部下たちの視点から描かれる作品がいくつかあり、周囲が姫川をどう見ているのか本音の部分がわかり面白かった。有能な刑事とは認めつつもやっぱりみんなちょっとドン引きなのね。本人はわりと天然なのに、優秀すぎる美人だからすべて計算ずくと思われて損してるんだよね。そして次は別作品の主人公、魚住久江が姫川班に異動してくる。これは最強チームの予感。

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    投稿日: 2024.05.09
  • 「みんな違ってみんないい」のか? ──相対主義と普遍主義の問題

    「みんな違ってみんないい」のか? ──相対主義と普遍主義の問題

    山口裕之

    ちくまプリマー新書

    人それぞれでほんとにいいの?という話

    2023年中学入試では東農大一、田園調布、東邦大東邦、豊島岡女子、洗足学園などで出題された。「みんな違ってみんないい」という言葉が独り歩きしてしまい、誤った解釈を元にゆがんだ価値観が蔓延するのではないかと警鐘を鳴らす本。集団生活を営む以上、みんながある一定の価値観や社会的制約の中で生きていく必要がある。その中で正しさを決めているのは多数決の論理。ただ、様々な立場や考え方の双方が話し合い、妥協点を見出し、お互いが納得することが大切。個性尊重と独善的行動を混同してはいけないと自戒しなければと思った。

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    投稿日: 2024.05.09
  • だれもみえない教室で

    だれもみえない教室で

    工藤純子,田中達也(MINIATURE LIFE)

    文学の扉

    最初は読むのが辛いけれど…

    テーマはいじめ。小6の仲良し男子5人組の間に突如亀裂が入る。リーダー格の男の子が一人の子をターゲットにいじめを始める。周りの子は戸惑うばかりで傍観者となる。危機意識がまるでない担任の先生。とまあよくある話なのだが、それぞれの立場の視点から語られる心情吐露によって、各々の気持ちの変化や葛藤が浮き彫りになってくる。成長するのは子どもだけではない。先生もまた成長する。担任の先生やいじめっ子の劇的な変化には思わず拍手。最後がハッピーエンドでホッとした。

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    投稿日: 2024.05.09
  • 花屋さんが言うことには

    花屋さんが言うことには

    山本幸久,カシワイ

    ポプラ文庫

    花屋さんに行きたくなる!

    2023年栄東中、本郷中、田園調布学園中の入試に出題された本。花屋さんの話ってあまり興味がなかったのだけど、読み始めたら面白いのなんのって。花びらと思っている所は実はガクだったり、節句の話や花言葉、和歌や俳句など花にまつわる様々な蘊蓄を交えながら心温まるストーリーが紡がれていく。ブラック企業を辞めて花屋のバイトを始めた主人公が、花を通して仕事の楽しさや自分の生き甲斐を見出していく。花屋を取り巻く様々な人たちによって人情溢れる人間関係の輪が広がっていく。そして、恋も。なんと幽霊までも。「満天星」読めないよ~。

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    投稿日: 2024.05.06
  • インジョーカー 組織犯罪対策課 八神瑛子

    インジョーカー 組織犯罪対策課 八神瑛子

    深町秋生

    幻冬舎文庫

    シリーズ4作目。読んでるだけでも痛い!

    八神瑛子シリーズ4作目。武闘派でアウトローの女刑事がヤクザや中国マフィア相手に暴れ回る。凄惨極まる暴力と殺戮の中で、恐れを知らぬ活躍を見せる八神瑛子。とにかく暴力の描写が凄まじい。読んでるだけで「痛っ!」って感じるぐらい。違法捜査も関係ねー。そんな彼女にも時折見せる優しさがあり、恋心があり、そういうキャラが周りを虜にしてしまうのかな?ダークなのになぜか心酔してしまう部下の気持ちがわかる気がする。現実にはこんな事件もこんな刑事も存在してほしくないが、なんかスカッとするから読み続けてしまうこのシリーズ。

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    投稿日: 2024.05.06
  • ファズイーター 組織犯罪対策課 八神瑛子

    ファズイーター 組織犯罪対策課 八神瑛子

    深町秋生

    幻冬舎文庫

    シリーズ5作目!八神ピンチ!

    シリーズ5作目。前作のラストでいつも追いかける立場の八神瑛子が珍しく追われる側に。八神を抹殺するために刺客を送り込むヤクザの親分。襲撃者との壮絶な闘いが繰り広げられる。凄まじい暴力の連続に読んでいてげんなりしてくるが、八神の強靭な肉体と精神に読んでいる自分も励まされてついつい読み進めてしまう。正義の味方と呼べるほどクリーンじゃなく、悪徳警官というほどワルではない微妙な立ち位置ではあるが、信念に突き動かされている八神はやはり魅力的だ。彼女の戦いはまだ続きそうだ。

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    投稿日: 2024.05.06