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future4227さんのレビュー
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  • 紅の墓標 オッドアイ

    紅の墓標 オッドアイ

    渡辺裕之

    中公文庫

    冷たい狂犬との初コラボ

    オッドアイシリーズ9作目。冷たい狂犬シリーズの影山との初コラボとなる。まぁこの2人がタッグを組んだら無敵だろうな。官憲という制約の中での捜査にこだわる朝倉とフリーの諜報員ならではの何でもありの影山。二人の捜査方法が若干ちぐはぐなのも面白さを引き立てている。舞台となるシンガポールでは環境対策のため車の値段が日本の倍以上もするとか。今回の敵となる工作員は朝倉に瓜二つというなんともややこしい状況だが、それもストーリーに妙味を加えている。そういえば、あれから影山はどこに行った?

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    投稿日: 2024.05.21
  • ちはやふる(49)

    ちはやふる(49)

    末次由紀

    BE・LOVE

    いよいよラス前です!

    名人戦・クイーン戦の第5試合。緊迫した一進一退の攻防に息をするのも苦しい。ただ、この巻は回想シーンが多くて試合以外のサイドストーリーがちょっと物足りない。いつもはサイドストーリーでほろっとさせられるのだけど、今回はそれがない。札を取り合ってる描写の連続でページ数稼いじゃってる感じ。今までの色んな思いが4人の心の内に込み上げてるってことなんだろうけど。いよいよ次で最終巻かぁ。

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    投稿日: 2024.05.21
  • また次の春へ

    また次の春へ

    重松清

    扶桑社BOOKS

    心にじんわりと沁みわたる短編集

    ボロ泣きするほどではないけれど、読みながら目がウルウルしてくるような7つの短編。東日本大震災後の様々な人たちの複雑な心の内を実に見事に描いている。遠く離れた都会で、計画停電ぐらいの不便さしか経験していない自分には、被災者の気持ちなど到底想像が及ばない。いつまでも行方不明者のまま死亡届を出せずにいる遺族。3月以前の日付が載ってるカレンダーを欲しがる被災者。写真やDMなどに亡くなった方の生きていた証をたどる人たち。悲しみを乗り越えて希望を持って生きてほしい。「記念日」は今年、鎌倉女学院中で出題された。

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    投稿日: 2024.05.21
  • 偽りの眼 上

    偽りの眼 上

    カリン・スローター,鈴木美朋

    ハーパーコリンズ・ジャパン

    ん?上巻は穏やか?

    ノンシリーズ作品。上巻を読む限り、いつものカリン・スローターの切れ味がないなぁ。いつもはもっと目を背けたくなるような凄惨な描写があったり、次はどうなるのか気になって途中で止められないほどグイグイ引っ張っていく勢いがあったりするのだけど…。今作はいつもより心情描写が多い分、グロさもスピードもイマイチ。犯人がわかってるっていうのも、ハラハラドキドキ感がない原因か。これは法廷もの?ミステリー?いまだはっきりしないのだが、下巻で予想外の展開が待ち受けているのだろうか?

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    投稿日: 2024.05.21
  • 偽りの眼 下

    偽りの眼 下

    カリン・スローター,鈴木美朋

    ハーパーコリンズ・ジャパン

    そして姉妹の選択は?

    やっぱカリン・スローターはこうでなくっちゃ。上巻は少しおとなしめの展開だったが、下巻ではサイコスリラーの様相を呈してきた。目を背けたくなるような暴力シーン。シリアルキラーとの騙し騙されつの駆け引き。薬物依存症の壮絶な人生。レイプ被害者や幼児虐待被害者のトラウマによる苦悩。様々なテーマを盛り込みつつ、被害者姉妹による壮絶な復讐劇が繰り広げられる。妹のキャリーが可哀想過ぎる。姉妹の選択は果たしてこれで良かったのだろうか?

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    投稿日: 2024.05.21
  • 白い手

    白い手

    椎名誠

    集英社文庫

    古き昔の純朴な子どもたち

    まだ力道山が活躍していた頃、近所に上がり込んでテレビを観るような時代のなんとものどかで純朴な小学生の成長物語。近所の川でしじみを獲ったり、ザリガニを捕まえて食べたり(えっ!ザリガニ食べちゃうの?)、川の中でウンコしちゃったり、女の子目当てにソロバン塾に頑張って通ったり、思わずクスッと笑みが溢れてしまうような当時の子どもたちの日常。通学途中、ある家の窓から毎日小さな白い手だけが見える。どうやら病気の少女が退屈しのぎに手だけを出しているようなのだが、ある日から突然その手が見えなくなり・・・。

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    投稿日: 2024.05.21
  • 雪のなまえ

    雪のなまえ

    村山由佳

    徳間文庫

    田舎暮らしで家族再生なるか?

    2022年高校入試では東京、岐阜、大分、熊本で出題された。頑張り過ぎは良くない。大人も子どもも。苦しかったら逃げてもいいんだよという話。いじめをきっかけに不登校になってしまった娘のために、といいつつ半分は自分のために父親は突然仕事を辞め、田舎への移住を決行する。反対する妻もなんだかんだと言い争いながらも、夫への理解を示していく。この奥さん素敵!田舎の保守的な空気に苦労するも、味方につければ心強い人々。そして学校へ行けない雪乃のために世話を焼く大輝くん。絶対惚れてるよね?雪乃ちゃんは何で気づかないかなぁ。

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    投稿日: 2024.05.21
  • 小学五年生

    小学五年生

    重松清

    文春文庫

    さすが重松さん!小5の心理をよくおわかりです

    中学入試では定番となっている作品が多く収録されている短編集。特に「友だちの友だち」と「バスに乗って」は名作だと思う。あぁ、なんで男の子って自分の気持ちを素直に言えないんだろ。変にカッコつけたりとか異性を意識したりとか、口では偉そうなことを言っていても、心の中は意外とナイーブだったり。ちょっと面倒くさい子たちだけど、こうやって大人になっていくんだよね。自分の小5の時を振り返っても思い当たることしきりの作品が多かった。

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    投稿日: 2024.05.21
  • コンスタンティノープルの陥落(新潮文庫)

    コンスタンティノープルの陥落(新潮文庫)

    塩野七生

    新潮文庫

    これぞ世界史上に残る名勝負

    日本では応仁の乱のほんの十数年前の出来事。トルコ帝国のマホメット2世は織田信長に似ている。大砲をメインにした戦法で、その後の西洋の戦法や築城法に革命を起こした。従来の慣習にとらわれず、合理的な思考で戦いと統治を拡大していく21歳の王。懐柔策は使わず、逆らう者には一切容赦をしない。地中海一堅固な三重城壁を持つ都市を世界最大の大砲で攻めるトルコ。更に70隻もの艦隊を山越えさせるという奇想天外な戦法。攻守双方が知恵と勇気を振り絞った後世に語り継がれる名勝負ということがわかる。

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    投稿日: 2024.05.21
  • 妖の掟

    妖の掟

    誉田哲也

    文春文庫

    ええ~話が戻ったー

    前作『妖の華』の衝撃的なラストから待たされること12年。続きが読めると期待していたら、なんと前作の3年前を描く前日譚だった。同時刊行のシリーズ3作目も更に時代が遡る話だとか。スター・ウォーズかよ。個人的には先に進んでほしいのだが、どうやらその構想はあるらしい。姫川玲子シリーズばりのガチな警察小説と吸血鬼というホラー小説のなんともミスマッチな設定が面白い。主人公の紅鈴もかなりエグい連続殺人鬼なのに、天然っぽい性格とのギャップになぜか魅力を感じてしまう。この勢いでこのまま前作を再読するとしよう。

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    投稿日: 2024.05.21