
人類資金VII
福井晴敏
講談社文庫
もしかすると
本書を読んで感じたことの多くは既に他の方々がレビューされているので少しだけ。 物語が目指す人類資金の目的、使い途は、もしかすると現在現実の世界で私達人類が抱えている問題(経済、紛争、テロ、地球環境、貧困)を包括的に解決(とまではいかなくとも緩和)するためのひとつのヒントになるのではと思いました。その位本書は壮大なスケールで描かれています。長編ですが腰を落ち着けて読んでみては如何かと。
3投稿日: 2015.12.29
戦後世代が知っておくべき戦争の話【要約版】
ホマユン・アーマディ博士
BUYMA Books
読んでおいたほうが良い
要約版というだけあって本書の紙数はとても少ないが、戦争がなぜ起きるのか、ひとたび起きると何が起きるのかが、淡々と書かれている。その客観的な書き方に迫力と説得力を感じた。 先の戦争を経験した人が多くいた私が子供の頃と比べて、戦争に対する見方という点で、最近は何か潮目が変わった気がする。この国を取り巻く情勢が変わったことも影響しているので、この潮目の変化について単純に良し悪しを論じることは難しい。しかしながら、今一度本書の内容を良く頭に入れ、今後私たちがどの方向に進むべきかを決めるための材料にしても良いのではと思った。
9投稿日: 2015.11.17
腕時計のこだわり
並木浩一
SBクリエイティブ
あぶない・・・
仕事が忙しくなり、心身にストレスがかかると、物欲が出てくるという危ない性質を抱えています。 その昔、時計に金をかける人の気が知れないと思っていた自分が徐々に引き込まれて・・・・。 気に入るものを一本買ってまたがんばろう!vs. 子供の学費と老後資金として取ってある原資に手を出してはいかん。という心のせめぎあい。そんなことを心配する者が足を踏み入れてはいけない世界なのか? 本書は、単に高価な時計を買うことだけが時計好きということではなく、世に数多くあるブランド、製品それぞれの良さを知っていくこと、その中から自分が一番良いと思うものを探していく過程の楽しさを教えてくれます。時計のことを詳しく知ろうというきっかけにもなる本です。 ということで、大枚をはたくまでの時間を稼ぐことができるという点で、上記の葛藤に対する手助けになるが、一方で時計に詳しくなればなるほどより高価な時計の良さをより知ってしまうという危険もある。 やっぱりあぶないのか・・・? 世の中の機械や道具がどんどん電子制御化される中で、機械で完結させる世界がこの世に残っていて欲しいのです。
3投稿日: 2015.11.09
疲れすぎて眠れぬ夜のために
内田樹
角川文庫
あと25年早く
前後の脈絡なく、著者の思うところが思うままに書かれている感はありました。それゆえの書名なのかもしれませんね。 自分の中の凝り固まっていた考えに風穴を開けられた点が多くありました。 一方で、今までこう思っていたけど、それでいいんだよねと感じたこともありました。 著者にとっての本書における大元の論点は、いかに幸福になるか。 あと25年早く、20代でこの本を読んでいたら私の人生はもっと豊かになっていたかも。 あるいは、自分がおっさんになったから、本書の言わんとすることを理解できたのか?
6投稿日: 2015.10.31
神様の御用人
浅葉なつ
メディアワークス文庫
神様というのは・・・
読みやすく、面白く、とても良い作品だと思います。 私は特に物語に出てくる神様の立場や気持ちにとても感銘しました。 宗教や宗派ごとに神様に関する理解は異なりますが、根っこでは一緒なんだろうな(きっとそうなんだろう)と思ったりもしました。 本書に描かれている様に、神様というのは思ったより身近な存在なのかもしれませんね。
7投稿日: 2015.08.22
死なないための智恵
上野正彦
イースト・プレス
死なないための知恵
死なずに生きていくことは、人間にとって一番大事なことのひとつに違いないはずだ。本書を読むと、危険から身を守る方法について一般の人はあまり教育も訓練もされていないと思ってしまったりもする。臆病者の私は何か異常事態が起きたらどうするべきか考える癖があり、それもあって迷わず本書を手に取った。 誰かに襲われたら武器を取って戦う、武道を身に付けて護身する、 ということではなく、解剖学的、医学的にみてどうすれば異常事態に遭遇したときに死なずに済むかが書かれている。 必要十分なお金を持つことも身を守る手段ともいえる、人が世の中で行動することの多くが身を守るための活動かもしれないが、数多くの身を守る手段がある中、本書はあまり知られていないことのいくつかが書かれていると思う。 多くの人が生命保険、医療保険に多額の保険金を払っていることを考えれば、本書を読んで、死ぬかもしれない事態に死なずにすむのなら、本書を購入する費用、読むための時間は、安い投資だと思う。
6投稿日: 2015.08.16
自動運転 ライフスタイルから電気自動車まで、すべてを変える破壊的イノベーション
鶴原吉郎,仲森智博,逢坂哲彌
日経BP
自動車に少しでも関わっている方は必読!
自動運転化の動きは横目で見ていたが直接は関わっていないため、参考にと思い手に取りました。 良く考えればその通りなのだが、車の自動運転化が実現したら世の中はこうなるという部分の記述を読んでショックを受けました。 現在、車を所有、使用する中で厄介あるいは問題だと感じられることがほとんど解消してしまうという意味で大変な変化が起きることになります。この変化は自動車メーカー、部品メーカーだけでなく、自動車に関わるほとんどの産業に大きな影響を与えることになります。 このことを実感できるだけで、この本の価値は払った代金以上です。この変化はリスクでありチャンスです。そしてこの変化が実際いつ起きるか、この本を読んで心を動かされた人は自分で業界の動きをフォローする必要があります。今からこの動きを念頭に準備をすれば間に合います。 著者は、電池関係の方なのか、車の動力源の電動化にかなり肩を持っておられる一方、現在の内燃機関に関する記述については突っ込み所を見つけてしまいましたが、本書はこれを補って余りある内容だと思いました。 日本の自動車業界の強さをこれからも維持するという意味で、現在各関連企業で長期的経営方針を決める立場にある人たちがこの認識を持っておられることを期待します。
4投稿日: 2015.07.19
賢者の戦略―生き残るためのインテリジェンス―(新潮新書)
手嶋龍一,佐藤優
新潮新書
日々の生活、そして生き残るためのインテリジェンス
本書は同じ著者の前作である、知の武装―救国のインテリジェンス、引き続きインテリジェンスについて語られています。本書では書籍説明にあるように最近(主に2014年)に起きた出来事についてインテリジェンスの切り口で解説されています。 優れたインテリジェンスオフィサーは国家を救う。インテリジェンスオフィサーにとって大切なことは愛国心であると説いています。著者はそのようなインテリジェンスオフィサーが日本に登場を望んでおり、インテリジェンスの文法を身に付けることでビジネスや日々の生活でも役に立つとのこと。企業間取引の窓口を仕事とする身には役に立ちました。ではそもそもインテリジェンスとは何か?疑問に思った方は是非本書を手にとって見てください。
4投稿日: 2015.07.12
真夏のオリオン(小学館文庫)
福井晴敏,飯田健三郎
小学館文庫
とても良いと思いました
なぜか福井晴敏氏の本は、ほとんど読んでいることに気が付きました。 だからというわけではないのですが、本書は私にとっては良かったと思います。 優秀な潜水艦の艦長を中心とする話です。これまでに発表された潜水艦ものの方向性からはずれてはいません。 ただそこに、主人公である艦長さんの人柄などを通じて、最近の人々の気持ちや価値観が隠し味のように入れらている感じがします。という意味では、永遠のゼロなどの作品に少し近づいている作品といえるかもしれません。
2投稿日: 2015.06.12
自衛隊戦闘機はどれだけ強いのか? 主力戦闘機の秘められた実力を科学的な視点から徹底検証!!
青木謙知
サイエンス・アイ新書
申し訳ありませんが・・・。
今まで辛口のコメントを書いたことがないのですが、今回はどうやらそれが避けられないようです。 本書のタイトル(副題も含め)に惹かれて購入しました。文字通り秘められた実力はどの程度なのか、周辺国と比較してどうなのか、自国の抑止力として十分であるのかについて情報が得られることを期待しましたが、残念な結果でした。 内容は航空自衛隊の組織とその歴史、自衛隊が保有した(保有している)戦闘機の紹介に終始。Wikipediaでも得られる情報がほとんど。元航空雑誌の編集者が過去の原稿を流用した感がぬぐえませんでした。記載されている内容を知りたい読者には良い本なのかもしれません、であればタイトルをそのように変えるべきではとコメントさせていただきます。
5投稿日: 2015.05.31
