たかじ56さんのレビュー
参考にされた数
262
このユーザーのレビュー
-
真紅の戦場 最強戦士の誕生
ジェイアラン, 嶋田洋一 / ハヤカワ文庫SF
来てほしくない未来
7
歴史は繰り返すという話を聞いたことがあります。
かつて西欧列強が競って地球上の各地域に植民地支配を広げていった時と同じことが宇宙レベルで繰り広げられている物語です。
本書では23世紀の時代背景について…も描写があります。本書で描かれている200年後の世界は読んでいて気持ちが沈んでしまうほど灰色の世界です。
今現在世界で起きていることの延長線で考えるとひょっとすると本当に未来はこんな世界になってしまうのでは?と思えてしまったので尚更です。
そこが本書の面白いところでもあります。みんなで力を合わせてこんな未来にならないようにしましょうというメッセージと解釈すれば良いのかもしれません。
携帯式核融合発電装置や惑星間移動、ワープゲートなどが実用化している世界でも、無人兵器ではなく生身の兵士が血を流して戦う必要があるのか?等々、突っ込みどころもなくはないのですが、小説として楽しめたので星5つ付けます。
続きを読む投稿日:2016.05.03
-
神様の御用人
浅葉なつ / メディアワークス文庫
神様というのは・・・
7
読みやすく、面白く、とても良い作品だと思います。
私は特に物語に出てくる神様の立場や気持ちにとても感銘しました。
宗教や宗派ごとに神様に関する理解は異なりますが、根っこでは一緒なんだろうな(きっとそう…なんだろう)と思ったりもしました。
本書に描かれている様に、神様というのは思ったより身近な存在なのかもしれませんね。 続きを読む投稿日:2015.08.22
-
世界の軍事情勢と日本の危機
高坂哲郎 / 日本経済新聞出版
涙が出る程目をそらしたい現実
6
あくまでも、本書にあることが事実だとすれば(私が知る限りの知識では事実だと感じました。)、本書には涙が出る程目をそらしたい現実が客観的に淡々と書かれています。
本書の良い点は、現状の問題点を分かりやす…く公平に指摘しつつ、批判するのではなく、著者としての対策案を提示していることです。加えて、本書は右でも左でもなく中立の立場で語られていることに感銘しました。
しかしながら、本書のタイトルが内容をよく表しているのですが、本書の題名はどうしても右寄りの印象を与えてしまうことが残念です。
うまいタイトルを考えれば、より多くの人に読んでもらえると思います。また、そうあって欲しいと感じさせる本です。
私たちは、この現実に目をそらさず向き合っていかなければなりません。
続きを読む投稿日:2016.04.15
-
2052 今後40年のグローバル予測
ヨルゲン・ランダース, 野中香方子, 竹中平蔵 / 日経BP
子供と孫の世代
6
読み応えのある本です。
40年後の世界はどうやら、世界平和を実現しているバラ色の未来ではなさそうです。
各分野の専門家が利害関係を気にせずに40年後の未来を語っています。それらを総合してまとめると、こ…のままでは地球温暖化が進み永久凍土が溶け温暖化への制御が効かなくなる・・・。そして、自然が破壊され標高の低い地域が水没、自然災害の激増、人が住める場所が減り、食料や土地をめぐる争いが増える。
すでにこの流れを止めることはできないかもしれない。この本を読んで自分の子供や将来生まれるかもしれない孫に本当に申し訳なく思い、陰鬱な気持ちになってしまいました。一方で本書の後半では、この温暖化制御不能状態はもしかしたら回避できるかもしれない、あるいはそうなってしまうことを少しでも遅らせるための提案、私たちがこれからどのように振る舞うべきかについても書かれています。
私にとっては、これからのこれからの生き方に影響を与えるほどインパクトのある本でした。
一方、少しだけ気になった点として、
本書では太陽光発電により化石燃料を代替することが可能であるといった趣旨の記述、そして近い将来の中国についてとても肯定的な記述がありました。
どうか、これらの記述が正しいことを祈るばかりです。
この2点を鑑みても、少しでも多くの人に読んでいただきたい本であると思いました。 続きを読む投稿日:2017.01.13
-
疲れすぎて眠れぬ夜のために
内田樹 / 角川文庫
あと25年早く
6
前後の脈絡なく、著者の思うところが思うままに書かれている感はありました。それゆえの書名なのかもしれませんね。
自分の中の凝り固まっていた考えに風穴を開けられた点が多くありました。
一方で、今までこう思…っていたけど、それでいいんだよねと感じたこともありました。
著者にとっての本書における大元の論点は、いかに幸福になるか。
あと25年早く、20代でこの本を読んでいたら私の人生はもっと豊かになっていたかも。
あるいは、自分がおっさんになったから、本書の言わんとすることを理解できたのか? 続きを読む投稿日:2015.10.31
-
デトロイトから見える日本の未来
WEDGE取材班, 中西享 / WEDGEセレクション
地方自治体運営のあり方
6
本書で紹介されていたニューヨーク州ロチェスターには十数年前、デトロイト市には数ヶ月前に、仕事で訪問する機会があったこともあり本書を手にしました。
十数年前、その地域のアメリカ人の姿や彼らの仕事の仕方…から、雑な仕事やそれにも関わらず驕った態度が見て取れた。
こんなことでは長続きしないと思っていたら本当に製造拠点が海外に行ってしまった。
年金などレガシーコストなどは自治体だけでなく企業をも圧迫する問題だった。
それから、十数年、リーマンショックなども経た後のアメリカ北部は明らかに寂れていた一方、本書に紹介されていたデトロイトでの様子のように再生への動きが見えた。そこには、反省、謙虚さ、新しいことへチャレンジする気持ちが人々の様子から感じ取れました。
本書は、日本におけるこれからの地方自治体運営のあり方について参考になると思います。 続きを読む投稿日:2016.01.06