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TANさんのレビュー
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  • 貨幣の「新」世界史 ハンムラビ法典からビットコインまで

    貨幣の「新」世界史 ハンムラビ法典からビットコインまで

    カビール セガール,小坂 恵理

    早川書房

    幅広いアプロ-チ

    お金の歴史の記載が、ガラパゴス島の生物の共生関係から始まります。生物学、考古学、神経学的に、お金の持つ意味を分析し、やっと貨幣の歴史の記載と、未来の予測の記載となります。最後は、芸術品としてのコインの話にでした。著者のコインに対する愛情を感じさせる内容でした。お金が手に入る時の人間の脳の状態は、コカインを使用した場合と似ているという記載が、印象的でした。

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    投稿日: 2016.08.11
  • 海洋大異変 日本の魚食文化に迫る危機

    海洋大異変 日本の魚食文化に迫る危機

    山本智之

    朝日選書

    ワラサ釣りでサワラが釣れるようになった

    グロ-バルには、温暖化にともなう海水温の上昇、CO2が溶け込むことによる酸性化で、局所的には開発などによって、海の環境悪化を、アサリやハマグリなどを例に、解説しています。プラスチックゴミの問題も印象的でしたが、屎尿に含まれる女性ホルモンが、貝類のオスのメス化の原因となっているという記載には、驚きが隠せませんでした。また、日本のワカメが、アメリカやフランスでは、外来種として問題なっていることも、新しい情報でした。この10年程のことですか、新潟沖でワラサ釣りをしていると、形のよいサワラが釣れるようになりました。これも温暖化の影響のようです。

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    投稿日: 2016.07.03
  • 未承認国家と覇権なき世界

    未承認国家と覇権なき世界

    廣瀬陽子

    NHK出版

    解決のめどはない?

    「領土保全」と「民族自決」とうい相容れない考え方と、大国の思惑のなかで、未承認国家が誕生しますが、結局は、関係国の利害のもつれから、解決策はないようです。コソボ、アブハジア、南オセチアなどを例に、解説がなされています。プーチンロシア大統領の、クリミアやウクライナに対する行動の、考え方を理解する一助にもなります。各国の内情については、情報不足の感は、まぬがれない感は残りますが。

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    投稿日: 2016.06.20
  • 言ってはいけない―残酷すぎる真実―(新潮新書)

    言ってはいけない―残酷すぎる真実―(新潮新書)

    橘玲

    新潮新書

    今後の分析が必要

    社会的な現象や、行動学分析による事象が、遺伝と関係あるのでなないかという分析は、一つの事実として理解しておく必要があるの考えます。今後、遺伝子(ゲノム)が、遺伝子自身や、それに付随する蛋白などによるコントロ-ル(エピゲノム)されるメカニズムが、分子生物に説明されることによって、確立された事実となる可能性があるのではないでしょうか。必ずしも結果がでるとは限りませんし、結果をだすことが必ずしもよい結果になるとは言えませんが。また、脳のセッテイングが、性ホルモンによって行われることは、かなり確立された事実になっていることですが、”いわゆる男性的な脳(女性であってもよい)”、”いわゆる女性的な脳”という文脈で理解する必要があると思います。

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    投稿日: 2016.05.23
  • 衛生展覧会の欲望

    衛生展覧会の欲望

    田中聡

    青弓社

    時代の流れに夫々の目的が

    衛生博覧会のことは、何かの本で読んだことがあり、かなりグロなものという印象を持っていました。衛生を切り口に、予防、原因となるようなものの排除、差別の強化とういような流れがあったことが理解できます。時局、時代の変化に沿って、内容や展示方法も変わったようです。江戸時代から明治、そして昭和初期、戦後という流れを理解しながら読むと、また納得がゆく点が多いような気がしました。

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    投稿日: 2016.05.23
  • お金の流れでわかる世界の歴史 富、経済、権力……はこう「動いた」

    お金の流れでわかる世界の歴史 富、経済、権力……はこう「動いた」

    大村大次郎

    KADOKAWA

    タックスヘイブンが存在する現在は?

    中央集権的な権力が、直接、比較的低率で公平な徴税を行った場合に、社会や経済の発展が認められるという基本的コンセプトに基づいて、初期のイスラム世界、革命前のフランスなどを例に、歴史が記述されています。国税庁OBらしいコンセプトで、かなり納得がゆく例が多いと感じました。drは、タックスヘイブンが存在する現在の世界はというと・・・・・。

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    投稿日: 2016.05.13
  • ガリレオ裁判-400年後の真実

    ガリレオ裁判-400年後の真実

    田中一郎

    岩波新書

    エピソ-ドは、後世に付け加えられたもの?

    1616年と、1632-1633年の、ロ-マ教会とガリレオの間にあったエピソ-ドについて、最近になって発刊された宗教裁判記録を中心に、考察が加えられています。400年後に、裁判記録が公開されることにも驚きですが、啓蒙思想の影響を受けたナポレオンが、カソリック教会批判の材料のために、裁判記録をパリに運搬させ、それが、多くの裁判記録が使用さることなく散逸につながったことは、歴史の皮肉と感じました。官僚組織としてのロ-マ教会が、新しく発見される科学的事実に脅かされる信仰の体面を保つために、ガリレオの対象に、投獄などの処分は考えずに、宗教裁判を行ったという感じがします。ガリレオにも、必ずしも、科学のために闘ったという感じはありません。私たちが持ている感想とは、かなり異なっているようです。

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    投稿日: 2016.05.04
  • 時計の常識

    時計の常識

    織田一朗

    ユナイテッド・ブックス

    時計の文字盤には”0”が書かれていない

    時計の文字盤には”0”が書かれていない理由は、時計が作成されはじめた時と、0の発見の時の差にあります。時計の話だけではなく、人間の体内時計、GPSの話、航海術の話などにも言及されています。

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    投稿日: 2016.04.27
  • ゴヤ I スペイン・光と影

    ゴヤ I スペイン・光と影

    堀田善衞

    集英社文庫

    非常に懐かしく読みました

    高校生の頃であったと思いますが、朝日ジャ-ナル(だったと思います)に連載されていたものを読んでいた当時のことを思い出しました。おかげで、ゴヤの絵画が好きになり、スペインまで行ってしまったっことも、告白しておきます。かなり、思い違いをしていた部分もあり、今回、読み直して、修正されました。思い違いをしていたほうがよかったのではないかと思うこともあります。ゴヤが宮廷画家になりあがり、時代の変化に翻弄されてゆく、そんなスペインの黄金時代の、一断面を知ることも、価値のあることと思っています。

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    投稿日: 2016.04.26
  • 主役はダーク 宇宙の究極の謎に迫る

    主役はダーク 宇宙の究極の謎に迫る

    須藤靖

    毎日新聞出版

    非常に親切な編集

    ミクロの素粒子の話から、マクロな超ひも理論まで、軽妙な文章で説明されていて、読み物としても面白く、難解な話題が理解できます。筆者自身が、軽妙な話題しか理解されないのではないかと危惧していらっしゃって、最後に、簡潔、明快な解説が記述されており、この部分を読むだけでも、十分な感じがします。非常に親切な編集がされていると感じました。

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    投稿日: 2016.04.26