ペンギンずさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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サクリファイス
近藤史恵 / 新潮文庫
読後にタイトルの真の意味を知る。
6
自転車・ロードレースのことを知らなくても、恐れることはない。専門的な内容とストーリーが自然に融合していて、すんなりと世界に入っていける。そして読み進めていくうちに、主人公であるロードレーサー・白石と一…体化し、手に汗握ること必至。
白石がやがてたどりつく「真実」は、ロードレースという特殊な舞台を活かしていて、インパクトがあった。彼の心の変化、成長していく様子も心地よい読感がある。
読後にもう一度タイトルを見返すと、最初に受けた印象とはガラッと変わるのがおもしろい。スポーツ小説としてもサスペンスとしても、非常にレベルが高い満足の一冊。 続きを読む投稿日:2013.11.26
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機動警察パトレイバー番外編 運用マニュアル12章
ゆうきまさみ / カドカワデジタルコミックス
ニュータイプ誌に付録として収録された幻の作品。
6
ビデオ版と同じく、香貫花がバックアップとして登場する貴重な作品。サンデー連載前のこなれていない絵柄が何とも言えない(笑)。サンデー版とはまた違った雰囲気が楽しめます。
投稿日:2013.10.02
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甘々と稲妻(2)
雨隠ギド / good!アフタヌーン
登場人物の豊かな表情が魅力的。
5
待望の第二巻。犬塚親子と小鳥の調理風景もこなれた感じ。三人の醸し出すあたたかでやさしい空気が、料理への期待を倍増させて、読者のお腹の虫を刺激する。グラタンと餃子が食べたい…。
本作の魅力の一つである…、キャラクターたちの豊かな表情も健在。特に、くるくる変わるつむぎの顔は注目。怒る、笑う、泣く、固まる、呆ける…。こっちの表情まで釣られて変わりそう(笑)。
そんな中に垣間見える、親子の愛と女心。ホロッときて、やきもきする。いつまでも浸っていたい、心地良い雰囲気。新キャラクターも登場するが、展開としては一巻に比べると割りとおとなしめ?次巻以降の躍進に期待。 続きを読む投稿日:2014.03.06
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嫌われる勇気
岸見一郎, 古賀史健 / ダイヤモンド社
人生における最大の嘘、それは「いま、ここ」を生きないこと
5
レビューのタイトルは本文より。もしこの言葉にドキッとしたら、この本を読むことをオススメします。
「嫌われる勇気」=「アルフレッド・アドラーの著書」と思われがちですが、これはアドラーの手による書物では…ありません。岸見一郎氏と 古賀史健氏による「哲人と青年の対話を通してアドラーの教えを学ぶ」本です。全編、「世界はシンプルであり、人は今日からでも幸せになれる」と主張する哲人と、それに懐疑的な青年の対話、という形で描かれます。もちろん青年は読者です。
最初は哲人の言葉に反発するかもしれません。しかし対話を読み進めるうちに、自然とアドラーの教えが腑に落ちるでしょう。なぜ自分は不幸なのか、なぜ劣等感を抱くのか、そしてどうすれば幸福になれるのか。あなたも青年となって、哲人の言葉に耳を傾けてみてください。
あなたが「今の自分に満足しているが、もう少し上を目指したい」という状態ならば、この本を読む必要はありません。しかし「今、悩み、苦しみ、そしてよりよく生きたい」と考えているならば、一度手にとってみてください。きっと新しい発見に出会えるはずです。 続きを読む投稿日:2014.11.12
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鉄道少女漫画
中村明日美子 / 楽園
鉄オタの少女が主人公のマンガ、ではない。
5
ロマンスカーの車内でスリをはたらく女子高生。スリを失敗して捕まえられた男に、先の車両にいる女の額に「肉」と書いてこい、とマジックを渡されて…。
登場人物たちのドタバタと電車ならではのギミックが楽しいラ…ブコメ(?)、「浪漫避行にのっとって」はじめ、鉄道+少女の取り合わせが楽しい、笑いあり、恋愛あり、ドラマあり、のバラエティに富んだオムニバス。中村明日美子氏の描く流麗で独特な色気を持ったキャラクター達が、鉄道にちなんだ舞台で動きまわる、というギャップが、なんとも言えないユーモアを醸し出す。
描きおろし「ある休日」は、オムニバスならではの仕掛けでニヤリ。 続きを読む投稿日:2014.03.10
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ヨルムンガンド(1)
高橋慶太郎 / 月刊サンデーGX
少年兵は武器商人の夢を見るか
5
武器を憎む少年兵・ヨナは、海運王の実子で武器商人である美女、ココ・ヘクマティアルと、その私兵である仲間たちと共に、旅をする…。
武器商人と少年兵が主人公という、他の戦争ものとはちょっと毛色の違うマン…ガ。ココ・ヘクマティアル一味など、ユニークなキャラクター造詣にも注目。
武器、商人、軍隊、殺し屋、マフィア、デルタフォース、CIA、爆弾、スナイパー、自衛隊、エトセトラ、etc…。
ミリタリー色とユーモアたっぷりの、魅力ある作品。全11巻と手頃な巻数で完結しているので、気軽に手を出せます(笑)。 続きを読む投稿日:2013.10.16