
紙の眼
大山尚利
講談社ノベルス
ちょっと不思議で怖い短編集
「世にも奇妙な~」的な短編5編。 ある日、突如空き地に現れた、鉄柱に貼り付いた全裸の男が引き起こす狂騒を描いた「鉄柱」は、なかなかおもしろかった。 それ以外はもう少し話に深みがあればよかったかな。
0投稿日: 2014.01.02
嘘つきアーニャの真っ赤な真実
米原万里
角川文庫
東欧世界の描写が新鮮
表題作「嘘つきアーニャ~」含む、中編三編。いずれも著者・米原氏が少女時代を過ごした東欧の同級生の思い出と、その後の再会が描かれる。 「嘘つきアーニャ~」は、旧友アーニャへの著者の当たりがちょっとキツイかな、と感じた(それはひとえにバックグラウンドの違いに依るものだと思うが)。 日本で感じることは難しいであろう近現代の東欧、いわゆる「東側」の社会や文化・思想を、実際に現地で生活していた方の体験を通して読むことのできる稀有な書籍。
4投稿日: 2014.01.02
バイロケーション
法条遥
角川ホラー文庫
素材は良いけど…
ドッペルゲンガーとは異なる、「バイ・ロケーション(同時両所存在)」という設定がおもしろい。序盤、主人公が恐怖に遭遇し、その事象にまつわる「会」に巻き込まれる展開も、テンポがあって以降のドキドキ感を期待させる。 …が、そもそもの状況設定の違和・無理感や、中盤以降のご都合主義的な内容はもう少し改善してほしかったところ。何よりホラーとして致命的なのは、怖くないことだろうか(笑)。
0投稿日: 2013.12.30
熱帯夜
曽根圭介
角川ホラー文庫
あまりホラーっぽくはない。
短~中編3つを収録。表題作「熱帯夜」はミステリー仕立てで、意外性があってなかなか楽しめた。 他の二編は、どちらかと言えばSF寄りで、どことなく筒井康隆氏や小松左京氏の短編を彷彿とさせる(とは言い過ぎか?)。 角川ホラー文庫の体をしているが、ホラー色は強くなく、収録作品のジャンルに統一感もないので、恐怖を求めて読むとやや期待はずれかも。
1投稿日: 2013.12.28
リビジョン
法条遥
ハヤカワ文庫JA
母の愛は未来は変えられるか?
本作と同じくタイムパラドックスを扱った「リライト」と、設定をシンクロさせた作品。本書を読む前に「リライト」は読んでおきましょう。 一人息子「ヤスヒコ(前作を既読の方にはおなじみの名前)」を救うために奔走する母の、愛と狂気の物語。その狂気ゆえに滑稽とも思える展開もあるが、ラストは…。 「リライト」よりは全体的に若干荒い感じもするが、同作から今後展開される四部作(らしい)の一作としては、おさえておきたい作品。
1投稿日: 2013.12.28
機動戦士ガンダム サンダーボルト(2)
太田垣康男,矢立肇,富野由悠季
ビッグスペリオール
これは良いザク。
連邦VSジオンの戦いが激化するサンダーボルト宙域。戦局の打開を画策するジオンはダリルを実験体とし、驚異的なパワーを持つザクを投入する―。 新ザクの設定は「そう来たか!」という感じ。これはテレビではできない内容だなぁ(笑)。 MS戦は一巻以上のド迫力。と同時に、戦場で散る少年少女や軍の狂気など、戦争の過酷な現実の描写が、物語に重みを与えている。単なるSFロボットマンガという枠にあてはまらない、正に「大人のガンダム」。 ・・・余談だが、本作のガンキャノンも「THE ORIGIN」に負けず劣らずカッコ良い。。
5投稿日: 2013.12.19
機動戦士ガンダム サンダーボルト(1)
太田垣康男,矢立肇,富野由悠季
ビッグスペリオール
圧倒的な迫力で描かれる、新時代のガンダム。
『MOONLIGHT MILE』の太田垣康男氏が描く、「ガンダム」のコミックとしては絵・物語ともおそらく史上最高のレベルであろう、オリジナル作品。連邦パイロット「イオ・フレミング」とジオンの義足スナイパー「ダリル・ローレンツ」の物語。 『MOONLIGHT~』で折り紙つきのSF描写と、本作独自のデザインで描かれたMS。そして凍てつく宇宙空間で、ヒリヒリと焼けるような闘いを繰り広げるパイロット達の戦いが熱い。「サンダーボルト」宙域を駆けるフルアーマー・ガンダムと、ビッグ・ガンでそれを狙い打つザクの対決は強烈にカッコイイ。 ガンダムのファンでまだ本作を読んでない人は、ちょっと損をしているんじゃないか、というぐらいの出来。オススメ。
13投稿日: 2013.12.18
空が灰色だから 3
阿部共実
週刊少年チャンピオン
強烈な一編を収録。
笑える話、さみしい話、イヤ~な話から、突然襲い来る怖い話まで、相変わらず気の抜けないオムニバス。 「4年2組熱血 きらら先生」は、熱血だがちょっとずれている若手女教師が地味にイヤげ。 注目は「ただ、ひとりでも仲間がほしい」。この強烈な一編を読むだけでも、本巻の価値はあると思う。本物は怖いなぁ…。
1投稿日: 2013.12.18
空が灰色だから 2
阿部共実
週刊少年チャンピオン
精神的にくる。
思春期の「あるある」でちょっと笑える話から、精神的に打ちのめされる話まで、多彩なオムニバス。怪奇マンガとはちょっと違う怖さが。 インパクトがあったのは、怖がりのくせに怖いものを見たくなると止まらない少女の話、「こわいものみたさ」と、世の中の誰もが、優れた自分の真似をしているような病的な妄執にとらわれる「世界の中心」。特に後者は狂気を感じる…。
0投稿日: 2013.12.18
天使の眠り
岸田るり子
徳間文庫
雰囲気は良いが…
ちょっと構成が雑な感じが。全体を通して盛り上がりも少なく、登場人物もパッとしない。残念。
0投稿日: 2013.12.18
