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ペンギンずさんのレビュー
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  • 渚にて 人類最後の日

    渚にて 人類最後の日

    ネヴィル・シュート,佐藤龍雄

    創元SF文庫

    人類の迎える終末の、一つの形。

    大戦後の放射能汚染にて滅び行く人類。任務を果たす潜水艦乗りと、オーストラリアの地にてその時を静かに待つ人々の切ないドラマ。かなり昔の作品なので、科学考証として正しいのかどうかは良くわからない。が、読後に何かを感ぜずにはいられない、SFの古典的名作。

    6
    投稿日: 2013.10.11
  • さらば長き眠り

    さらば長き眠り

    原りょう

    早川書房

    沢崎シリーズ第一期完結作。

    かつて八百長を疑われた高校球児・魚住。彼は義姉の自殺の真相救命を沢崎に依頼する。しかし調査を進める内に、自殺が疑わしいものとなり…? 探偵・沢崎シリーズの総括編とも言える本作。ミステリーとしてのスケールは前二作よりちょっとおとなしめな印象だが、沢崎節は健在。ファンとしては抑えておきたい一作。 なお、短編集「天使たちの探偵」を読んでおくと、より楽しめます。

    0
    投稿日: 2013.10.11
  • 私が殺した少女

    私が殺した少女

    原りょう

    早川書房

    直木賞受賞の傑作ハードボイルド。

    探偵沢崎シリーズ第二弾。 ヴァイオリンの天才少女が誘拐された事件に巻き込まれた沢崎。彼がやがて辿り着いた真実とは…。 錦織・橋爪・相良など、前作からのキャラクターも健在。猟犬・沢崎のハードボイルドな生き様と、前作にも増して暗く・思い雰囲気が、重厚なミステリーを形作っている良作。今回は設定上、音楽的な内容も関わり、フリーのジャズピアニストという作者の経歴も多分に活かされていておもしろい。 結構な長編なのだが、ボリュームに比例しない読みやすさは著者の推敲の賜物か、驚異的。

    1
    投稿日: 2013.10.11
  • そして夜は甦る

    そして夜は甦る

    原りょう

    早川書房

    ハードボイルドの傑作、沢崎シリーズの記念すべき第一作。

    探偵・沢崎の事務所を、「海部」と名乗る右手を隠した男が訪れた時から事件は始まった…。 ニヒルな探偵沢崎をはじめ、警察とヤクザを欺き、金と薬を奪って姿を消したかつてのパートナー・渡辺、その元部下で彼を追う刑事・錦織、同じく渡辺を探して沢崎につきまとうヤクザ・橋爪など魅力的なキャラクターと、緻密に計算された謎、暗くアーバンな空気、そして洒落たセリフがたまらない、ハードボイルドの傑作。 20年近く前の作品だが、読んでおいて損はないかと。

    3
    投稿日: 2013.10.11
  • 呪い唄 長い腕II

    呪い唄 長い腕II

    川崎草志

    角川文庫

    「長い腕」の続編。

    過去の建築家の生い立ちと、前作から引き続き主人公を務める「島汐路」が交錯する、「長い腕」の続編。 今回も前作に引き続き、「和」の恐怖を持ったホラーに仕上がっている。 ただ今回も前作同様、汐路が終盤ちょっと…。 作者の構想ではもう一作あるそうなので、次回に期待。

    1
    投稿日: 2013.10.11
  • 長い腕

    長い腕

    川崎草志

    角川文庫

    独特の雰囲気を持つホラー。着眼点がおもしろい。

    ゲーム制作会社で働く女性、という主人公の設定と、恐怖の原点となるものの発想がこれまでに無く、話にぐいぐい引き込まれる。人間の歪み、狂気がかくも恐ろしい、グロやびっくり箱的恐怖に頼らない正統的ホラー。 後半、「島汐路」という魅力的な主人公を活かしきれていないのがちょっと難点か。

    3
    投稿日: 2013.10.11
  • 福家警部補の挨拶

    福家警部補の挨拶

    大倉崇裕

    創元推理文庫

    和製+女性「コロンボ」

    「コロンボ」とか言っても、最近の人はわからないかも?要は最初から犯人はわかっていて、探偵役がいかに犯人を追い詰めるかを楽しむ形式のミステリー。 全4編収録で、各事件のおもしろさもさることながら、福家警部補のキャラクターが徐々に解き明かされていく感が楽しい、気軽に読めるミステリー。

    4
    投稿日: 2013.10.10
  • 邪眼は月輪に飛ぶ

    邪眼は月輪に飛ぶ

    藤田和日郎

    ビッグスピリッツ

    「(1)」とありますが完結してます。

    圧倒的な強さを誇る謎のフクロウ「ミネルヴァ」を、人類は倒すことができるのか? 老マタギの「漢」、巫女の可憐さ、米軍人のガッツ、そして怪物のパワーがぶつかり合う、藤田和日郎節全開の本作。一巻完結の作品として、満足の一冊。

    2
    投稿日: 2013.10.10
  • 骸骨ビルの庭(下)

    骸骨ビルの庭(下)

    宮本輝

    講談社文庫

    骸骨ビルに集う人々。そして…

    主人公の人柄が人々を結びつけ、やがて骸骨ビルの庭にかつての仲間が集う時…。 宮本輝氏の人間描写の豊かさ、巧みさは、僭越ながら流石!の一言。静かに、しかし力強く進む物語に満足の読後感だった。オススメです。

    1
    投稿日: 2013.10.10
  • 骸骨ビルの庭(上)

    骸骨ビルの庭(上)

    宮本輝

    講談社文庫

    生きる力が湧いてくる良作

    「骸骨ビル」と呼ばれるビルに集い、戦後の激動期を生き抜いた子どもたち、そして彼らを守った大人たち。 ビルの立退き担当となった主人公の目を通して、彼らの生き様が徐々に明らかになっていく。 さすが宮本輝、と感じずにはいられない、深く人間を描いた、重厚な物語。

    0
    投稿日: 2013.10.10