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ペンギンずさんのレビュー
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  • 子供はわかってあげない(上)

    子供はわかってあげない(上)

    田島列島

    モーニング

    さわやかボーイミーツガール

    書道部の門司くんと水泳部の朔田さん。接点のなかったふたりが「魔法左官少女バッファローKOTEKO」をきっかけに学校の屋上で知り合い、あれよあれよという間に朔田さんは探偵である門司くんのお兄さんに、実のお父さん探しを依頼することに。お兄さんはお兄さんで、とある教団から金を持ち逃げした教祖探しを依頼されー。 という何だか良くわからないお話ですが、ゆるやか・とっつきやすい絵柄がキュートでグッド。ストーリーも練りこまれた内容でとても読みやすく、随所に散りばめられた笑いがアクセントになって小気味良い。そして全二巻にきっちりまとまった少年と少女のひと夏の世界。夏に読んでも冬に読んでも、少し暑いけど心地よい夏の風が頬をなでるような、そんなさわやかな読後感を与えてくれます。オススメ。

    1
    投稿日: 2015.06.05
  • 機動戦士ガンダム サンダーボルト(5)

    機動戦士ガンダム サンダーボルト(5)

    太田垣康男,矢立肇,富野由悠季

    ビッグスペリオール

    ついにベールを脱ぐ「アトラスガンダム」の勇姿

    いよいよ激戦が混迷化する「サンダーボルト」地上編。サイコ・ザクを奪還せんとするダリル率いるアッガイ軍団、イオ・フレミング駆るRX-78AL「アトラスガンダム」を搭載し同じくサイコ・ザクを探るペガサス級「スパルタン」、そして不気味に活動する死を恐れぬカルト教団・南洋同盟。三者三様の動きから目が離せません。前半のアッガイVSジム改陸戦型フロート装備の水中・水上戦が迫力満点です。 巻末にはサンダーボルト外伝「砂鼠(すなねずみ)ショーン」前・後編を収録。リビング・デッド師団にてダリルとともに戦ったショーンが、地上で「砂鼠」として砂漠でグフを駆ります。こちらもサンダーボルトの魅力を堪能できる一編。

    5
    投稿日: 2015.06.05
  • あもくん

    あもくん

    諸星大二郎

    単行本コミックス

    少し不思議で、少し怖い短篇集

    諸星大二郎氏の怪異短篇集。夕方の神社、夜の闇、家具の隙間、テレビの中…。日常の影にそっと潜む、不思議でちょっと怖い怪異を描いています。一編一編のボリュームは少ないので、「妖怪ハンター」シリーズのような短編というよりは、「寝る前に聞くちょっと怖いお話」的な感じ。じわじわ来る不気味さがあります。読んだ後、つい周りを見渡してしまうかも?

    2
    投稿日: 2015.06.05
  • 文房具ワルツ

    文房具ワルツ

    河内遙

    月刊flowers

    擬人化された文房具たちの可愛さ

    先生に恋する作家志望の女子大生を陰ながら応援する筆記具たち。そんな彼女に恋する男子学生を見守る大事な鉛筆。王子様との出会いを夢見る文房具店のコンパス…。悩める人々にそっと寄り添う、擬人化された文具たちがいじらしくも可愛らしい、不思議な魅力のある短篇集。ちょっとほっこり、身の回りの文具たちが愛おしく思える(?)、さわやかな作品です。

    2
    投稿日: 2015.06.05
  • 地上の記憶

    地上の記憶

    白山宣之

    漫画アクション

    静かな余韻が心地よい短編集

    「陽子のいる風景」「ちひろ」「Picnic」「大力伝」「Tropico(前・後編)」の計5編を収録した短篇集。作者・白山宣之氏の遺作集とのこと。本作で初めて白山氏の作品に触れましたが、その絵の巧みさ・緻密さにびっくりしました。 収録内容は現代劇から時代劇まで様々。起承転結がはっきりしていない作品もありますが、逆にそれがいい。物語から受け取るイメージを膨らますための余韻を、読者に与えてくれている感じがします。 お気に入りはとある中学生少女の一日を描いた「ちひろ」。淡々と彼女の一日を描写しているだけなのですが、楽しいこと・辛いこと・苦しいこと、そして家族とのつながり・思いがじわじわと伝わってきて、何だか泣きそうになってしまいました。ショートムービーのような物語。何度読んでも色褪せない魅力があります。

    1
    投稿日: 2015.06.05
  • 海街diary 1 蝉時雨のやむ頃(1)

    海街diary 1 蝉時雨のやむ頃(1)

    吉田秋生

    月刊flowers

    四姉妹の人間模様に心ひかれる物語

    幸・佳乃・千佳の三姉妹が、父の死をきっかけに異母妹である「すず」に出会い、そしてーという、鎌倉を舞台に描かれる人間ドラマ。 姉妹といっても仕事も性格も異なる彼女たちが、時に笑い、時に泣き、そして「家族」として、また一人の女性として生きていく。そんな人間模様がとても丁寧に描かれているな、という印象。三姉妹もすずも家庭環境はやや複雑ですが、そんな彼女たちが出会って心を通わせていく様が、心に静かに響きます。 そして読むたびに感じる、香田家の雰囲気。「四女」となったすずと三姉妹との会話・言葉遣いから、少しずつ変わっていく4人の距離感が伝わってきて、なんだかほっこり。派手な物語ではありませんが、登場人物たちの心情が読むものの心に染み入ってくる、そんな魅力を持ったマンガです。おすすめ。

    1
    投稿日: 2015.06.05
  • 波よ聞いてくれ(1)

    波よ聞いてくれ(1)

    沙村広明

    アフタヌーン

    軽妙な会話が魅力的

    札幌のスープカレー店の女性店員・鼓田ミナレが、飲み屋での失恋トークをきっかけにラジオの世界にぐいぐい引きこまれていく…、というストーリー。「無限の住人」でお馴染み・沙村広明氏がラジオの世界を描く現代劇。 とにかくテンポの良い軽妙な会話が楽しい!主人公・ミナレをはじめ、カレー店のスタッフ、ラジオ関係者、その他登場人物のあっかるいトークにぐいぐい引き込まれます。リアル調な絵でガンガン突っ込まれるボケに、つい笑いを誘われてしまう。そして気になるミナレの未来。ちょっと胡散臭いディレクター・麻籐とミナレのコンビは、札幌のラジオ界で天下を取れるか?続巻が待ち遠しい一冊です。

    6
    投稿日: 2015.06.05
  • 機動戦士ガンダム サンダーボルト(4)

    機動戦士ガンダム サンダーボルト(4)

    太田垣康男,矢立肇,富野由悠季

    ビッグスペリオール

    期待高まる新展開。

    4巻でついに地球での戦いに突入。まさか話が宇宙世紀0080年まで続くとは思いませんでした。そして謎の勢力の登場。これまでは一年戦争のサイド・ストーリー的だったのが完全オリジナルな展開になり、全く先が読めず。新登場キャラクター達の造詣も、安彦氏とは当然違うタッチですが初代ガンダムを彷彿とさせていて良いです。宇宙での戦いと地球での戦いの橋渡しをする本巻。イオとダリルの対決からますます目が離せません。しかしダリルの搭乗機が「アッガイ」とは。シブイ。

    1
    投稿日: 2015.02.24
  • ダンジョン飯 1巻

    ダンジョン飯 1巻

    九井諒子

    HARTA COMIX

    ファンタジーの世界を日常に落とし込んだ冒険コメディ。

    貧乏冒険者達がダンジョンを食料現地調達、つまりモンスターを食べて進む、九井諒子氏による初の長編連載の単行本第一巻。「○○飯」「□□のグルメ」のような流行りのグルメマンガを、RPG風ファンタジーの世界でしてみたら…?というビックリ設定。その発想が既におもしろいのですが、随所に散りばめられた「RPGあるある」ネタがゲーム経験者の心の琴線を刺激します。バジリスク(体が鶏・尾は蛇)は鶏肉なのか?火の出る罠で調理はできるのか?マンドラゴラを悲鳴を聞かずに抜く方法は?などなど、夢のあるゲームの世界をひたすら日常に落とし込んだシュールさに思わず頬が緩んでしまう。丁寧な描写・豊かな発想・登場人物達のかけ合いが楽しいオススメのマンガです。唯一の難点はここで紹介されたグルメ情報を現実世界で活かせない点だろうか(笑)

    22
    投稿日: 2015.01.29
  • 聲の形(7)

    聲の形(7)

    大今良時

    週刊少年マガジン

    読み続けて良かった。

    読み始めた頃から「この物語はどのように完結するのだろう?」とずっと気になっていた「聲の形」。ついに7巻で完結しました。読み終えた感想は…「読み続けて良かった」です。 最終巻ということもあり内容には触れませんが、本巻の内容およびラストについては、読んだ人の数だけ感想があると思います。良かった、悪かった、希望を持てた、納得がいかない…。 しかしその感想の多様さが本書の持つ「力」であると思います。「聲の形」はセンシティブな題材に正面から取り組み、逃げることなく描ききり、読者に問いかけます。いじめ、障害、友達、葛藤、若者の成長。そして読者は考えます。「聲の形」とは何だったのか?「聲の形」が伝えてくれたものは何だったのか?自分だったらどうするだろう?自分だったら何ができただろう? それぞれの感想。そして物語を振り返り、自分に置き換えて考えてしまう。そんな不思議なパワーを持った作品でした。また1巻からじっくり再読してみたいと思います。

    5
    投稿日: 2014.12.19