hazu-haya-yuさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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P+D BOOKS 剣ヶ崎・白い罌粟
立原正秋 / P+D BOOKS
懐かしい!
13
リーダーで立原正秋氏の作品を見つけて、とても懐かしくて購入。
10代後半から20代後半までずっと読み集めた作家さんでした。
「薪能」最初にこれを読んだ感想は今でも鮮明に甦ります。
「20代後半の女性…ってこんなにも大人な立ち居振る舞い、考え方をするのだろうか?」
10代後半の私は、立原作品に登場する女性像があまりにも大人で、奥ゆかしくありながら情熱を秘めていることに驚きで引き込まれていきました。
立原作品に登場する女性は確か20代後半から30代が多かったのではなかったかと記憶しています。花開くその年代が美しいという文章もあったように思います。
とうにその世代はすぎましたが、こちら側から読んでも、女性像の魅力は色あせてはいませんでした。
どれも恋愛のストーリーに目が行きがちですが、伝統美、食の楽しさ美しさ、本物を見ることなど多くの知識を与えてくれた作家さんでした。
薪能、能面そして鎌倉への興味を膨らませる一冊です。
昔の引っ越しで、揃えた本を処分したのが悔やまれる。
あっ、でも、断捨離のつもりでリーダーにしたので出来れば全作品登場して欲しいです。
続きを読む投稿日:2015.09.17
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侮日論 「韓国人」はなぜ日本を憎むのか
呉善花 / 文春新書
知らなかった「反日」のルーツ
12
日本人であるのに、縄文・弥生・邪馬台国・日本書紀などなどありきたりの流れしか知らない自分。
日本書紀ですら半分お伽噺?的な受け止め方だったので、韓国の人々の反日のルーツが「神功皇后の朝鮮征伐」「中華…思想からの侮蔑観」「儒教的な道徳観」などから端を発し、世界大戦の侵略にまで今に繫がっているという著書の内容は衝撃的でした。
親の恨みは子の恨み子孫末代まで・・・という永い時間観念、また反日教育を国家が推し進めているのでは友好とは当面名ばかりでしかない、という感想。
庶民のレベルになれば分かり合える事も出てくるでしょう。
日本人の感覚、韓国人の感覚は全く違うものだということをふまえ、それは日本人の欧米人に対する感覚と同じと考えてはいけないということも改めて感じました。文化・政治の歴史…歴史のルーツというのは重いものなんですね。
大変興味深く、勉強になりました。
続きを読む投稿日:2015.10.26
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去年の冬、きみと別れ
中村文則 / 幻冬舎文庫
タイトルと表紙と中身のギャップ
11
想像していたストーリーと全く違っていて、裏切られ方が面白かった。
読み始めてすぐに、歪んだ精神性の様なものを感じて、どこかで騙されそうと感じつつ
状況を反復しながら読み終えた。
残念なことに、芥川龍…之介の「地獄変」もカポーティ―の「冷血」のどちらも読んだことがなく
そこは想像するしかなかった。
登場する人それぞれの心の歪みと迷いがこれ以上深く表現されていたら、読み終えるのは
きつかったかも。そういう意味では「僕には無理」という語りのラストは落としどころかな
と思いました。
もう一度読み直してみたい1冊です。 続きを読む投稿日:2014.10.13
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うさぎ幻化行
北森鴻 / 東京創元社
残念!
11
今までの北森作品とは少し趣の違うもの。
こんな男の人いるかね?と男性像に疑問。
思いを寄せる義理の妹ともう一人のウサギさん。
こうした男に惚れるかな、こんな事まで企んじゃうかな。。。
とすべて消化不良…な感じです。
構成が昇華しきれてないような印象を受けました。 続きを読む投稿日:2017.02.08
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ハルモニア
篠田節子 / 文春文庫
タイトルからは思い描けないプロット
11
何だか不思議な話でした。脳に障害を持った由希という女性がチェロという楽器・音楽を通して
成長、回復していくのか、又はじめの方にサヴァン症候群の話が出ていたのでどんな展開かと期待が
膨らみましたが、全…く予想を裏切られ、オカルティズムとホラーが合わさったような話でした。
ただそうした点が全面に出ているという訳ではなく、由希に係る人々の欲望・葛藤・打算などが織り交ぜられ想像を裏切られた分だけ、のめりこんでいきます。由希が生活している施設の語りは現実世界にも投影されそうな内容。一人一人の生き方、係り方をついてきた気がする。
脳科学とは言っても未知なる世界、宇宙と同じ…というような話も聞いたことがあるけれど、そうした点でのオカルティズムとしてなら十分に面白かったです。
ハルモニアは戦いの神アレスと美の女神アフロディーテの娘だそうで、それが隠れた伏線としたら心憎いな・・と思いました。
続きを読む投稿日:2015.04.25
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南朝迷路
高橋克彦 / 文春文庫
複数のひも解き方
11
後醍醐天皇の流刑と隠し財宝に絡ませた歴史、偽装、過疎化というテーマが登場人物たちのキャラクターにより、読み応えのある展開になっていたと思います。
過疎について語る若者の言葉は今の時代でも言えてます。…言葉が地方再生に代わっただけかもしれませんね。
後醍醐天皇には権力闘争に敗れて島流しになった、くらいの知識しかなかったので逆に興味をそそられました。
捉え方で同じ事実が180度変わる…という一文が作中にありましたが、本当にそうだなあと感じています。何でもそうでしょうけど一面だけで捉えてはだめですね。
今までの歴史ミステリーとはひと味違った面白さでした。
続きを読む投稿日:2015.06.17