チョッピーさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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終末のフール
伊坂幸太郎 / 集英社文庫
SFの設定ながら
2
ある種の「シュミレーション」を期待して読むと肩透かしをくらう事間違いなしの作品ですが、「ジタバタして生きていきましょう」というそこはかとないメッセージが、小説で書かれているような「最悪の状況下」であろ…うと、小説を離れた現在のリアルな私達の世界であろうと、大して違いは無いのだ、という事に気付かされた作品でした。伊坂さんらしい「SF」小説なのかも知れません。 続きを読む
投稿日:2014.05.06
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解錠師
スティーヴ・ハミルトン, 越前敏弥 / 早川書房
傑作!
2
小説の構造そのものが「解錠」とリンクするという凝った仕様でありながら、物語の主題は「ミステリー」というよりも主人公の青春の物語であり純愛の物語で、ラストのある「希望」に向けて鮮やかに収束する極上の読み…物として、最高にお勧めの1冊です。翻訳ミステリはちょっと?という方も是非! 続きを読む
投稿日:2013.10.24
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シュレディンガーのチョコパフェ
山本弘 / アドレナライズ
文句無く、面白い!
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表題だけを見ると「ラノベ」的な気配も漂う感がありましたが、中身はバリバリの「SF」小説でした。短編集でしたが、どの短編も面白く、作者らしい「オタク」ネタや、擬似科学批判ネタも混じえながらの「ハードSF…系」に振った作品の数々に触れ、改めてこういう「SF」が好きな自分も再確認したような気がします。やっぱり「SF」小説は面白い! 続きを読む
投稿日:2014.07.20
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ここは退屈迎えに来て
山内マリコ / 幻冬舎文庫
痛烈な「既視感」に襲われるかも?
2
「田舎」でもなく「都会」でもない、日本全国の「地方都市」のどこにでも当てはまるような「風景」を舞台にした短編集でした。「椎名」という一人の「男」がそれぞれの短編の登場人物の内心を映す鏡のような存在とし…ての役割が与えられていて、「椎名」という人間との関わり方の違いを描写する事で、登場人物それぞれが持つ「地方都市」で生きる事の意味であったり、痛みであったり、虚無であったりが描かれていて、そのストレートな描写が個人的にも「他人事」ではないような強烈な感情を読む者に与えている作品だと思います。 続きを読む
投稿日:2014.07.20
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神去なあなあ日常
三浦しをん / 読楽
「大きい」もの。
2
「林業」や「自然と共に生きる」というような言葉で語られてしまっているように見える作品ですが、個人的にはそれぞれの言葉の括りに微妙な「違和感」を感じるような作品で、「大きい」存在の中で生きるという事、と…いうかなり漠然としたイメージがこの作品の印象でした。かなり強引にこの物語の主人公を「他者」として設定したにもかかわらず、結構「従順」な形で物語に絡んでいく部分に少々物足りなさを覚えましたが、作者も「大きい」存在に圧倒されてしまったのかも、とも思います。 続きを読む
投稿日:2014.06.03
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県庁おもてなし課
有川浩 / 角川文庫
厳しい・・・。
2
普通に新社会人の研修にも即使えそうで、且つ、普通のビジネス本としても読めるような内容をいつもながらの恋愛話も絡めながら、地元愛も盛大に、それでいて日本全国の「地方」にエールを送るような「物語」に落とし…こんで爽やかに読ませてしまうという流石の有川さんらしい作品だったとは思います。が。正直今回はあらゆる意味で「偏差値高め」の有川さん流のキャラクター群に少々凹まされ気味の自分がいたのも確かで、リアルに「厳しい世界」を感じてしまった、というのが率直な感想です。余裕が無い時の有川作品は身に応えます・・・。 続きを読む
投稿日:2014.06.03