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Hachiroさんのレビュー
いいね!された数187
  • ウルトラマンになった男

    ウルトラマンになった男

    円谷プロダクション,古谷敏

    小学館

    子供たちが夢を育てるその手伝いをしよう

    「胸~に 付け~てる マ~クは流星~」オープニングの主題歌のとき出演者の名前が順にクレジットされる。その一番最後はいつも「ウルトラマン 古谷 敏」の文字。この人がウルトラマンなのか、どんな人なんだろう。そしてその姿をボクらの前に見せてくれた「ウルトラセブン」でのウルトラ警備隊アマギ隊員。 歴史に残るスーパーヒーローを演じていた人。着ぐるみの中での過酷な撮影、顔を売ってナンボの俳優が素顔を出せない役。でもボクらはウルトラマンのその素顔がとても優しいことをなぜか知っていた。怪獣相手に闘っていてもその怪獣にすら寛容なことを知っていた。以前何かでウルトラマンの姿が仏像をモデルにしていたと知って少し納得したものだが、それだけじゃなかった。中に入っていた人が優しい人だったんだ。 「金城さん、最近怪獣を殺すの、嫌になってきました。何かもやもやして、やりきれなくなっていい演技ができない、そんな心境なんですよ。たまには殺さないで、宇宙に帰してやりたい。…」「ビンちゃん、わかったよ。考えておくよ」脚本の金城哲夫さんもちゃんとそういう話を作ってくれる。 私はリアルタイムでは少し後のウルトラ兄弟(エースとか)の世代なのだが、平日夕方に再放送で何度も見た初代ウルトラマンのほうが断然好きだった。初代は後にシリーズ化されるウルトラマンたちとは少しテイストが違う、なんか特別なんだ。近年だと「ウルトラマンマックス」が放映されていた時は毎週息子と一緒になって楽しんだ。わかる人にはわかるよね、この気持ち。あのテイストはきっと古谷敏さんの功績でもあったのだ。

    1
    投稿日: 2017.06.13
  • その日の午後、砲台山で[幻魔大戦スペシャル]

    その日の午後、砲台山で[幻魔大戦スペシャル]

    平井和正,泉谷あゆみ

    e文庫

    「幻魔大戦」番外編

    小説(角川文庫版)「幻魔大戦」と「ボヘミアンガラス・ストリート」のストーリーに絡むのでこの2作品は先に読んでたほうがいいかも。「地球樹の女神」と「アブダクション」はキャラクターが登場するだけだから読んでなくても大丈夫です。「地球樹の女神」という作品は作者の平井氏が中学生の時に初めて書いた習作のリメイクなんだということを知識として知ってたらいいかな。自らが生み出した作品世界に耽溺している平井さんの真骨頂というべき名作。だと思う。

    0
    投稿日: 2017.05.20
  • 真幻魔大戦8 超霊媒

    真幻魔大戦8 超霊媒

    平井和正,生賴範義

    e文庫

    電子化まで生きててよかった

    e文庫さん書籍の作品情報であらすじ書き過ぎじゃない? あと、生頼氏のモノクロイラストは原画から取った詳細なものをものを使ってたんですね。E-inkの Reader で見てたし、ちゃんと読んでなかったから改めて見直したら3巻以降はそんなイラストだった。生頼氏は黒ベタで印刷されることを前提に書いておられただろうから、そこまでする必要あるかな。とは思う。 などと愚痴ってしまったが、いよいよこの巻の後半からですよ。待ちかねました。なんか続刊が待ち遠しくて興奮してきて何を書きたいのかわからん。いや、こんなレビューを書くつもりじゃなかったはず。 そう私がここで書きたかったのはひとつだけ。木村市枝さんですよ。角川文庫版「幻魔大戦」の第14巻に繋がってるのかなぁ。幻魔ワールド恐るべし。

    1
    投稿日: 2017.05.20
  • からくさ図書館来客簿 第二集 ~冥官・小野篁と陽春の道なしたち~

    からくさ図書館来客簿 第二集 ~冥官・小野篁と陽春の道なしたち~

    仲町六絵

    メディアワークス文庫

    春の京都

    第2集の季節は春、3月下旬から5月の葵祭までを描いた4つのお話です。シリーズ6冊で1年を巡るのですね。京都の四季を感じながらゆっくり読んでいこうかな。 この巻最後のお話を読んでいる途中で、普段は車で通り過ぎていた奈良県御所市の某神社を初めて参拝しました。(^^)

    4
    投稿日: 2017.04.19
  • 古事記外伝 正史から消された神話群

    古事記外伝 正史から消された神話群

    藤巻一保

    学研

    古事記再考

    日本の国誕生の神話「古事記」は面白い。物語としてとても面白いのだが、やはりそこには、編纂された当時の政治的事情が盛り込まれている。天皇家に伝わる物語、取り巻く中央豪族が伝えてきた物語、大和朝廷に服従した各地方の先住民の物語。それらを元に何者かの意図が絡んでいく。ある神は習合し同一神とされ、ある神は追い払われ、ある神は朝廷に祟る。「日本書紀」や「風土記」、また古い神社に伝わる由緒などとの比較から、古事記に登場する神の原像を推察していきます。 まずヒルコ(蛭子・日子)、まさに謎の神の代表ですよね。またアマテラスの考察は私の思いもよらないものでした。イザナキ、イザナミの国生みのルーツは? サルタヒコはどんな神? スサノヲは? オオクニヌシは? 古事記を読み解くきっかけの一冊として面白い本だと思います。

    3
    投稿日: 2017.04.01
  • 鮫島、最後の十五日 8

    鮫島、最後の十五日 8

    佐藤タカヒロ

    週刊少年チャンピオン

    七日目、対 蒼希狼

    大相撲の一場所15日間を描く「鮫島、最後の十五日」。8巻は七日目、対戦相手は同期のトンパチ、モンゴル出身の蒼希狼です。ここに至る6巻、7巻はこの取組の前フリだったんですね。マンホールチルドレンの仲間のために相撲を取ってきた蒼希狼でしたが、それで仲間は幸せになったのか? 自分がやってきたことは何だったのか? 目的を失った蒼希狼の目を覚ますため、7巻では兄弟子の大山道が鮫島相手に大一番を見せました。 そして七日目、完全復活の蒼希狼がついに鮫島と、序二段での対戦以来の待ちかねた激突です。

    1
    投稿日: 2017.03.11
  • 鮫島、最後の十五日 5

    鮫島、最後の十五日 5

    佐藤タカヒロ

    週刊少年チャンピオン

    四日目、対 巨桜丸

    大相撲の一場所15日間を描く「鮫島、最後の十五日」。四日目は第4巻途中から第5巻の最後まで。ハワイ出身で今場所が新入幕の巨桜丸は幕内最重量の278kg、親方との合言葉は「スマイル」。でも今まで心から笑えていたのだろうか…。体重差のありすぎる鯉太郎との一番の結末は。 大吉がね。「バチバチBurst」から登場してる鯉太郎の弟弟子で、今は鯉太郎の付き人なんですが…、彼も成長してるよね、入門した頃を思えばものすごく。

    1
    投稿日: 2017.03.09
  • 鮫島、最後の十五日 3

    鮫島、最後の十五日 3

    佐藤タカヒロ

    週刊少年チャンピオン

    二日目、対 宝玉光

    大相撲の一場所15日間を描く「鮫島、最後の十五日」。二日目の取組は第2巻、第3巻の2冊です。同じ一門の宝玉光は、まだ幕下だったころの鯉太郎が一時付き人をしたこともある空流部屋とは因縁の力士。この取組に至るまでの「バチバチBurst」以降の空白を埋める空流部屋の物語がていねいに語られます。 「生きるってのはよ 上手くいかねぇことだらけだ」「空流部屋(ここ)は 不器用な奴らの 希望でありてぇんだよ」空流親方(オヤジ)の言葉が胸に沁みます。

    2
    投稿日: 2017.03.05
  • 鮫島、最後の十五日 1

    鮫島、最後の十五日 1

    佐藤タカヒロ

    週刊少年チャンピオン

    初日、対 飛天翔

    大相撲の一場所15日間を描く「鮫島、最後の十五日」。このタイトルの意味は最後でわかるのでしょうか。鮫島鯉太郎は今場所どうなってしまうのでしょうか。小さい体で常にバチバチ全力相撲の鯉太郎は、本割での黒星は少ないと思えますが幕内昇進後はケガによる休場もあり、本作での番付は幕内下位の前頭14枚目、物語の流れから推測するに入門7年目くらい、年齢は22歳くらいでしょうか。現実世界では稀勢の里が30歳で横綱昇進ですよ。鯉太郎まだ若いよ、これからだよ…、"最後の十五日"って何? この第1巻は初日の取組まで。対戦相手は飛天翔、「バチバチ」からの読者にとっては鯉太郎の盟友ともいうべきあの石川です。己のすべてを鯉太郎にぶつけてくる飛天翔との激闘。初日からすごすぎ。

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    投稿日: 2017.03.04
  • からくさ図書館来客簿 ~冥官・小野篁と優しい道なしたち~

    からくさ図書館来客簿 ~冥官・小野篁と優しい道なしたち~

    仲町六絵

    メディアワークス文庫

    いい本に会えました

    私が普段の生活で小説を読むようになったのは Reader を入手してからなのでここ3年くらい。本屋さんの文芸コーナーなどは実はもう何年と覘いたことがありません。ですから好きな作家を挙げても片手で余るのですが、仲町六絵さんはその貴重な一人です。しかしながら、シリーズ化され仲町さんの代表作といえる本作なのに、少女趣味な表紙イラストを敬遠して手に取ろうとしませんでした。このたび Reader Store のポイント還元キャンペーンのおかげでよい出会いが訪れました。電子書籍は本当にすばらしい。 主人公の篁(たかむら)は平安時代初期に実在した人物ですが、その人が現代の京都でおしゃれなカフェ図書館を開いています。不思議な伝承を残している人のようですが、私はこの本を読むまで全く知りませんでした。ヒロインの少女も同時代に実在した方です。連作でこの本には4つのエピソードが収録されていますが、読み進めると少しずついろんなことがわかってきます。各話に登場するのは基本的にいい人ばかり、篁は自分の職務を事務的にこなすだけでなく、かかわった人が少し幸せになるのが素敵ですね。それで後で始末書を書いたりしてるのが微笑ましいです。

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    投稿日: 2017.02.14
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