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クラフト★ビア★マンさんのレビュー
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  • 僕だけがいない街(4)

    僕だけがいない街(4)

    三部けい

    ヤングエース

    今度はうまくいってるっぽい・・・

    再びの子供時代。 覚悟を決めた主人公に呼応するように味方が増え、不気味さはところどころに垣間見えつつも物語はどんどんと好転していく。 本巻は前3巻と比べると全体的にうまくいっていて、逆にこの先が不安になります。

    5
    投稿日: 2014.06.09
  • 亜人(4)

    亜人(4)

    桜井画門

    good!アフタヌーン

    亜人テロリスト佐藤の暴走で新たな局面へ

    主人公のキャラクターが恐ろしく非人間的になってきていて、そこを批判しているレビューが目立つ亜人。 4巻はさらに不可解さが増して、ギョッとさせられます。 人間と亜人のはざまで揺れる、人間味を失いたくない主人公・・・なら、寄生獣、東京グールと同じ構造なのだが、そこはまったく違う方向に振っている。 gantzの泉・・とも少し違うし、驚くほど厭世的。 と、つかみがたい主人公はおいておいて、亜人テロリスト佐藤の暴走がとどまることを知らず、物語は大きく動き始めます。 gantzの新宿編のテロ表現も空恐ろしく読んでましたが、また違う角度からの恐ろしさ。 亜人同士の考え方の違いも見えてきて、物語は複雑さを増してます。 賛否両論ある作品ですが、絵は大友克弘を思い起こさせるような正確さと動きのある表現が素晴らしく、デビュー作なのにすでに100万部超えしているのも納得できます。 アラも目立ちますがそれはおいておいて、まだまだ先が楽しみなマンガです。 (本編関係ないけど中表紙のイラストは寄生獣のオマージュなんだろうな・・・劇似)

    4
    投稿日: 2014.05.13
  • ガダラの豚 I

    ガダラの豚 I

    中島らも

    集英社文庫

    題材は重たい。なのにスカッとした中島らもらしいエンタメ小説

    つい最近、村上春樹が地下鉄サリン事件を取材したドキュメンタリー「約束された場所で」を読みました(残念ながら電子化されてない)。 オウム真理教信者がどういう経緯で入信し、地下鉄サリン事件をどうとらえているか、ということが非常によくわかる良著で、入信に至る経緯を見ていると、理由は様々であるものの、私から見ると「いわゆる普通の人」という感じから少し逸脱していて、どこか空虚な人生を送っているように読めました。 本作も、奥さんが空虚がゆえに新興宗教にはまっていっていく描写はまさにそれで、どう考えてもオウム真理教をモチーフにしているのだろう(紙書籍の発表年度を見てもそう思える)、マインドコントロールの手段も同じだった。 このあたりの描写は、読んでいて空恐ろしくシャレにならないのですが、中島らもが描く、圧倒的に現実離れしていているのにどこかにいそうな主人公のおかげで、小説全体は気軽に読める物語として、きちんとエンターテイメントしています。 ちょっとやそっとの問題は、もっと大きな問題を抱えているから笑い飛ばせる、みたいな変に生きる力に満ち溢れている人物造形は中島らもの得意分野だなぁと。 こんな人物が、「約束された場所で」に出てきた人たちにも身近にいたら、あんな悲劇は起こらなかったのに。 なんてことも思ってしまった。 第2部はまさかのアフリカ編で、こちらもぜんぜん違う面白さ。おすすめです

    19
    投稿日: 2014.04.14
  • お金は銀行に預けるな~金融リテラシーの基本と実践~

    お金は銀行に預けるな~金融リテラシーの基本と実践~

    勝間和代

    光文社新書

    過激タイトル系本だけど内容はすごくまっとうです

    「貯蓄から投資へ」なんてもう7年前くらいから国やらなんたら証券やらが言っている気がするけど、その当時に読んで非常に参考になった本。 というか、この本に書いてあることを実践してはや6年半。書いてあることは本当でした。 簡単にいうと ・銀行に預金するということを客観的にとらえよう ・資産という観点でとらえると、預金はリスクが高い ・とはいえ、投資というと何だか怖いと思っているのが日本人の大半 ・投資と投機はちがう。一般には投資も投機的なイメージが強い ・投資は、長期(20年くらい)で、幅広く、手数料の少ないものを行えば、過去の統計上損することはない ・というか、ドルコスト平均法による長期投資ならば、20年くらいで元本の倍くらいになる というようなことが書いてあります。 2007年当時はリーマンショックがあったり、デフレのどん底でしたが、現在はアベノミクスで景気も上向いてきました。 その恩恵を直に受けられるのもこの本を読んで、書いてある一番おすすめな方法を本当に実践してきたからなのだなぁ・・・と思っています。 その方法とは、 ・通常の購入時に手数料のかからない「インデックスファンド」という投資信託を毎月固定額で購入 ・分散投資のため、国内債券、国内株式、海外債権、海外株式に幅広く一律投資する ・長期で投資し続ける ということだけ。 お金について不安を感じる人は、ぜひ一読をお勧めします。

    3
    投稿日: 2014.04.11
  • ヴィンランド・サガ(14)

    ヴィンランド・サガ(14)

    幸村誠

    アフタヌーン

    少年は地獄をくぐり抜けて父と同じ地平に立つ

    この幸村誠という作家は、前作の「プラネテス」も共通して「手の付けられない威勢のいい若造が一人の男になる」ことを描いているように思う。 父の死、暴力と死にまみれた戦争の世界、政変からの奴隷生活と激変する環境を生き抜いたトルフィンは、ようやく父が見ていた世界と同じ境地にたどり着く。プラネテス以上に丁寧に時間をかけてたどり着いた、一人の男の姿。 2巻の表紙と、14巻の表紙を比べてみてください。 かっこいいです。 人の成長とはこういうことかもしれない。

    0
    投稿日: 2014.04.09
  • 陽だまりの樹(1)

    陽だまりの樹(1)

    手塚治虫

    手塚プロダクション

    手塚治虫のルーツを元にしたオリジナル幕末史

    幕末を扱った物語は枚挙に暇がなく、新撰組、坂本竜馬、西郷隆盛、最近だと新島八重(八重の桜)などを扱った作品が多いが、本作は手塚治虫の実在の先祖「手塚良庵」を主人公の一人に置いた、史実をベースにしたオリジナルの幕末史だ。 坂本竜馬、西郷隆盛、勝海舟、タウンゼント・ハリス、福沢諭吉、橋本佐内、堀田正睦など、時代を動かした人物はでてくるが、主人公は、一介の江戸の町医者、手塚良庵と下級武士の伊武谷万二郎の2人。初期は時代のうねりと大きくかかわることもなく、江戸の町内での人情もの、というくらいの話の規模である。 ところがそこはさすがは手塚治虫、巻を重ねるにつき、、庶民の日常描写が「庶民ですら大きな時代のうねりに飲み込まれた激動の時代」のダイナミズムを生むための前段階であったことに気づかされる。自分の力ではいかんともしがたい運命に翻弄される様は、時代を超えて、年齢を重ねると誰しも思い知らされる予期できない理不尽な出来事を思い起こさせ、ページをめくる手が止まらなくなる。 戦争、友情、愛情、といったテーマに加え、自分が一番惹かれるのが「異なる考えや思想を持った人たちとどうやって折り合うか」という点だ。とりわけ、異人をことさら拒んでいた万次郎が、ハリスと通訳ヒュースケンの護衛に抜擢され、ヒュースケンと打ち解けていく描写が好きだ。 こういった誤解や思い込みと融和、そして対立が、重層的に複雑に絡み合っているのが本作の一番の魅力だと思う。 手塚治虫後期作にハズレなしです。

    4
    投稿日: 2014.04.08
  • 僕だけがいない街(1)

    僕だけがいない街(1)

    三部けい

    ヤングエース

    上質なミステリー+タイムリープ

    リバイバルという、タイムリープ特殊能力を持った主人公が犯罪や事故を毎回回避していく話・・・と思いきやそうではない。 荒木飛呂彦の元アシスタントとのことで、ジョジョ4部のにおいがするモチーフ。 リバイバル能力は「バイツァ・ダスト」を思い起こさせる。 この作品はその能力はあくまで一部であって、子供の誘拐や殺人事件というリアリティのある内容を中心として、 大人や子供の思いが深く交錯する上質なミステリーでもある。 なので、ジョジョだと荒木飛呂彦節が強すぎて苦手、という人でも楽しめると思う。 (もちろん、ジョジョ好き、特に4部好きには大おすすめです。) 特に、子供時代に戻ってからの心理描写は、誰が見ても共感できる、作者の思い入れのある体験をもとにかかれていることが伝わってきて、 その空気感だけでも読むに値するクオリティだと思う。 リバイバル中の「違和感」を探すときの緊張感は、ページを何度も行き来して一緒になって探してしまう。 ほっこりする描写の後に、ズドンと落とされる描写も秀逸でぐっときます。 3巻まで読んだけど、早く続きが読みたいです。

    27
    投稿日: 2014.03.05
  • マギ(19)

    マギ(19)

    大高忍

    少年サンデー

    超展開からの超展開

    アラジンの力によって、マグノシュタットVSレームの戦争がひと段落したかと思うと、煌帝国が逆から攻め込んでくるという超展開。 ・・・と思いきや、まさかの追い込まれたモガメット学長が禁じ手を使い・・・という超展開からの超展開。 作者は出し惜しみを一切せず、全力で物語を進め続けます。 誰がマグノシュタット編が始まった時に、ここまでマギの全貌が明らかになる展開に行くと思ったのだろう? 少なくとも私はまったく想像していなかった。 敵が味方になり、敵が味方になり、いろいろなものを飲みこんでいくうちに内部から大きな悪が発生していく。 物語の軸を非常にうまく変化させながら、根本のテーマはずらさす進んでいて、作者の構成の妙にやられっぱなし。 強くなったアリババだけどやっぱり間が抜けているところもあって、このキャラ好きですね マンガは最高に面白いけど、どうも表紙の色が褪せているように見えて、電子版片手間でやっているのかなぁ・・と残念な気持ちがしたので★は4で。

    2
    投稿日: 2014.02.25
  • 寄生獣(4)

    寄生獣(4)

    岩明均

    アフタヌーン

    肉体も精神も超人的だけど

    新一の髪型の変化は、心が変わり、肉体が変わったことを暗示している。 肉体も精神も超人的になった新一。 だが、シリーズを通してみた後だと、 3巻でぽっかり空いた「心の穴」を直視できない弱さを隠そうとする 思春期の危うさを、髪型や表情の変化で表現していたのだなぁ・・・と気づかされた。 こういった細やかな人間の変化を、絵の表情だけで深くにじませることができる 岩明均の画力はとんでもないと思う。 青年期の自己形成の物語として読んでも非常によくできている。 多かれ少なかれ、強がって見た目を着飾るのは、誰もが通る道。 実感を持って物語にハマれる。 ・・とはいえ、新一の置かれている状況は、普通の人の人生とは大きく異なるのだけど。

    1
    投稿日: 2014.02.21
  • 寄生獣(3)

    寄生獣(3)

    岩明均

    アフタヌーン

    悲しすぎるバトル

    こんなに悲しいバトルは他に見たことがない。 心理学のテーマで、子供が親から自立する際に、親を殺す夢を見るというのがあるが、 主人公新一は高1にして、現実にそれをせざるを得ない状況に追い込まれる。 寄生獣のテーマの一つにある「心の穴」がぽっかり空く、あまりにもつらい描写。 クライマックスの見開きのところは、思わず声が出る。 何年たっても忘れられない。頭に張り付いて離れないです。

    2
    投稿日: 2014.02.19