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クラフト★ビア★マンさんのレビュー
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  • 目玉焼きの黄身 いつつぶす? 1

    目玉焼きの黄身 いつつぶす? 1

    おおひなたごう

    月刊コミックビーム

    “ギャグではないのに真面目すぎて逆に笑える”方向の笑い

    シュールを半歩飛び越して理解不能へ半分突っ込む「おおひなたごう」の作品なのでこわごわ買ってみた(100円だったし)。 思った以上に面白くて、変な声が鼻から出そうになった。 他のレビュワーさんも書いているとおり「テルマエ・ロマエ」的な、「ギャグではないのに、真面目すぎて逆に笑える」方向の笑い。 題材はお風呂ではなく日常の食事の食べ方だけど。狭い。テーマ狭いけど誰しもわかる内容なので楽しみながら読めます。 おおひなたごうにしては読者を突き放す部分がほとんどなく、ちゃんと理解できる。 理解できるのにおおひなたごう節は残っていて、それがなんともいえないおかしみを生み出している感じ。 なんか、いいグルメギャグ漫画見つけたな。

    6
    投稿日: 2014.08.20
  • 王国への道―山田長政―

    王国への道―山田長政―

    遠藤周作

    新潮社

    家康の時代に海外に飛び出した二人の王国

    バックパック一つで初めての一人旅をしたのは私が二十歳の頃。深夜特急のような旅に憧れて日本を飛び出した先はタイのバンコク。旅の頼りにしていた地球の歩き方に書かれていたのが、車で一時間行った先にある古都アユタヤの日本人町と、アユタヤ王朝に仕えた山田長政の存在だった。 なんとなく浅井長政と混同していて、戦国武将がなんでタイで活躍?と思っていたのだかそうではなく、何の後ろ楯もない、野心と知恵だけで、海外に飛び出し立身出世した人物だった。 織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の時代に、である。家康が時代を平定し、これではどうあがいても足軽がいいところだと思い、キリシタンに混ざりマカオに密航する行動力。日本を出るまではアユタヤの存在もしらないのだから、その行動力には恐れ入る。 知恵と行動力で立身出世する野心に満ちた山田長政と対比で描かれるのは、密航した船に乗っていたキリシタン、岐部。彼は現世の欲を追う長政を虚しいと非難し、自身は弾圧に苦しむ日本のキリシタン達を救うため司祭を目指す。「地上の王国」と「天上の王国」。各々の王国を求めて、二人は想像を絶する苦労を重ねながらも、着実に前に進んでいく。 岐部も実在の人物で、なんとインドのゴアからローマまで陸路で到達し、日本人初のヨーロッパの大学(コレジオ・ロマノ学院。現在のグレゴリアン大学で、1551設立)の留学生になっている。家康の時代に、ここまでやりきった人物がいたことに驚愕する。 山田長政は、アユタヤ王朝の闇に対してうまく立ち回るのだが、次第に岐部の残した言葉を思い出す回数が増えていき…。 ストーリーは言わずもがな、赤道直下の熱い国特有の強烈な色彩や香りが匂ってくる描写も秀逸で、タイに行ったことのある人ならその角度で読んでも楽しめるだろう。さすがの大家遠藤周作の魅力が味わえる作品。 夏の間に読むとハマると思います。

    4
    投稿日: 2014.08.19
  • イニシエーション・ラブ

    イニシエーション・ラブ

    乾くるみ

    文春文庫

    はい、やられました

    真面目な理系学生が、彼女ができ、いいところに就職するだけでこんなに自信がつくものなのかねぇ・・・と思いながらside B(2部)を読み進めてました。 噂の最後の2行を読んだ時、「あれっ」とは思い読み返したものの、「で、何?」と思い、続きを読もうとしたら終わりだった。 ミステリーをあんまり読まない自分には、投げっぱなしジャーマンを食らった気分で、誰か助けてくれ状態。 ★2くらいで「私には合いませんでした」とでもレビューしようかと思ったところで、皆さんのレビューを注意深く読むと、じわじわと変な感覚に。 ここまでいくには、少し自分の頭で汗をかく必要があります。この頭の使い方が、恋愛小説の体だったこの小説に慣れていた頭には難しく、こうつぶやくことになります。 ぐぬぬ。。。やられた・・・。 おーこわ。。 (2度目の読み返しの時に、キーワード検索できるのは本当に便利。電子で買ってよかった。。) 「どんでん返しがあります!」という前提ありの「シックス・センス状態」で読んだのでかなり身構えて伏線探しながら読んだのですが、ずっと引っかかっていたのが2007年出版なのに、車がないとデートに誘えなかったり、テレカ(死語!)で電話かけてたり、JRを国鉄と呼んじゃったりしていて、どう見ても舞台が80年代。 これがトリックの伏線だと思って読んでました・・・ら、それは関係ないのかよ!なんでやねん! (馳星周の小説でそういうのがあったのだけど・・・) この辺が悔しかったので★は4にしときます(笑) まあ、今だったらSNSとかあるしね・・・・・・おっと、このへんにしときましょう。

    7
    投稿日: 2014.08.06
  • NARUTO―ナルト― モノクロ版 70

    NARUTO―ナルト― モノクロ版 70

    岸本斉史

    週刊少年ジャンプ

    10年以上の緻密な構想が明らかになる佳境

    ジャンプの悪しき習慣とも揶揄される「引き伸ばし」。 ナルトもその批判にさらされてきたジャンプの看板マンガだが、本刊はその批判を吹き飛ばす、緻密な構想を(もしかしたら)10年以上前に持っていたことを証明している。 毎週レベルの高い作画を続け、週刊連載としてなりたつ1話1話のまとまりを持ちつつ、数年~十年単位でピタっとハマるストーリーテリング。 正直、長い連載のうちには、ジャンプの悪しき習慣に負けて露骨な引き伸ばしにしか見えないシーンも結構ある(とりわけ、主要キャラ以外の回想シーンとか萎える・・)が、それも、本刊のような劇的な展開を見越しての仕込みなのだと思えば、読んできた価値があったな、と思わされる。 ここ数巻の怒涛の展開は、明らかに緻密な構想を何年も前から用意していたもので、将棋の名人の試合を見るような見事なパズルのハマりようは思わず声が出てしまった。 個人的には「うしおととら」の終盤も度胆を抜かれたが、ナルトはすでに70巻という長さにして、それ以上の衝撃かもしれない。 さすがに先は長くないと思うが、最後まで見届けたい。 長期連載に敬意を表して★5つ。 これだけの作家なのだから、別の作品も青年誌とかで読みたい。 (と見せつつ、実は怒涛の展開の中で、しれっと六道仙人の兄についてはほとんど触れられず、六道仙人の子供2人の話が進むというナルトお得意のミスリードを誘う要素があったり、某キャラが輪廻眼・写輪眼でなくここにきて白眼だったり、さらに膨らませそうな謎もしっかり盛り込んであったりするので、まだまだ続くのかな・・・)

    1
    投稿日: 2014.08.05
  • saunner(サウナー) (2014/05/26)

    saunner(サウナー) (2014/05/26)

    小学館

    小学館

    「プロサウナー」ってなんだよw

    サウナ専用雑誌「サウナー」という雑誌名だけでネタになる、というかネタで購入してみた。 ネタっぽい記事ばっかりかと思ったのだが、そんなことはなく、大真面目な記事の数々。 フィンランドのサウナ事情、サウナ愛好タレントのコラム、サウナが体にいい医学的な根拠などなど。 フィンランドのサウナ事情はサウナを楽しむおっさんの裸がたくさん(笑) なんというか硬派な雑誌だ(笑) 個人的にうれしかったのは、日本各地(関東と関西がほとんどだけど)のサウナの紹介がしっかり載っていたこと。 横浜にいい感じのサウナがたくさんあるのは知らなかった。 「サウナー」がこだわる水風呂の温度が13°だったりもして、「サウナー心わしづかみ!」のキャッチに笑ってしまった。 濃ゆ~く情報を追うことができるムック本の魅力が詰まった雑誌。 お風呂・サウナ好きならば買って損はしないはず。 内容は人を選ぶので★は3にしようかと思ったけど、値段が安いので4に。 後半にある「プロサウナー談義」は爆笑です。。

    4
    投稿日: 2014.07.31
  • 決壊(上)

    決壊(上)

    平野啓一郎

    新潮社

    個人的に重松清「疾走」と並ぶ2大絶望小説

    ひたすらに読んでいて痛々しい。 「決壊」という言葉が暗示する不吉な印象を克明に、徹底的に描き切った問題作。 個人的に、重松清の「疾走」と並び2大絶望小説。 とにかく救いがない。 しかし、救いのない絶望の状態を知ることが、普段の何気ない生活にあたっている光を認識するために必要だったりして、 小説の役割というものを改めて、身に染みて感じられる大作だと思う。 でも、「疾走」「決壊」ともに、元気がないときは読んじゃだめです。劇薬すぎます。

    3
    投稿日: 2014.07.15
  • グアテマラの弟

    グアテマラの弟

    片桐はいり

    幻冬舎文庫

    グアテマラと品川の家族のはなし

    片桐はいりというとカモメ食堂、あまちゃんといった名作に欠かせない味のある名脇役、という印象。 個性的なビジュアルと笑いのツボを踏まえた演技で、もともと好きな俳優だった。 でも、本書を読んで、もっと、ぐっと好きになった。 普通の俳優とは思えないほど文章がうまいのである。作家で食べていけるレベルといっても過言ではない。 弟がグアテマラから帰ってこない、という事実がすでに面白いのだが、言葉の使い方がうまく、妙に客観視点から文章が書かれていてどこか冷静。比喩表現もうまくて、丸々太ったグアテマラ人の甥っ子を「おきあがりこぼしに似ている」と淡々と言われると吹き出しそうになった。 一つの少し変わった家族の物語として愛と笑いを感じられる作品。 値段も安いので、夏のちょっとした読書、気分転換に最適な書では? 旅に出たくなってしまった。

    4
    投稿日: 2014.07.09
  • 銃・病原菌・鉄 上巻

    銃・病原菌・鉄 上巻

    ジャレド・ダイアモンド

    草思社

    なぜ、強者は私ではなくあなただったのか?

    文化人類学、地政学、歴史、化学、数学、生物学・・・こういうのを学際的というらしいが、一つの学問の視点ではなく複数の学問を総合した観点から大局的に「なぜ欧米が世界で支配的な立場にいて、アジアやアフリカではなかったのか」という根源的な問いを追う壮大な著作。 もう少しちゃんというと、著者がフィールドワーク先のパプワニューギニアで会った現地ガイドの「なぜあなた方アメリカ人が社会的強者で、我々パプワニューギニア人はそうでないのか?」という問いに答えられなかった経験がもとに本書は執筆された。 自分自身、子供のころから 「なぜ自分は日本という国に生まれ、黒い髪で、黒い目で、肌が黄色いのだろう」 「世界中の言葉や料理が違うのはなぜだろう」 「国ごとに貧富の差があるのはなぜだろう」 といった疑問を持っていたこともあり、本書の問いとリンクし、非常に興味深く読めた。 そして、その答えは、読む前に想像していたものを超えるものだった。 本書の特徴は、歴史書を紐解いて仮説を立てていくだけでなく、 科学的なデータをもとに、客観的事実を積み立てていく点にある。 特に興味深かったのは、文明が栄える条件の話だ。 メソポタミア文明、黄河文明、インダス文明、エジプト文明の「4大文明(最近はもっと多いとするのが普通らしいが)」 の共通点は「大河の存在」と世界史で習ったが、よく考えると、それだけの条件を満たす箇所はもっとたくさんある。 東南アジアのメコン川、ヨーロッパならドナウ、ライン、北米・南米にも大河はたくさんあるはずだが、 「アマゾン文明」ってあまり聞いたことがない。日本だって利根川とかいろいろあるじゃないか。 この疑問に答えるのは、水の存在や気候だけでなく、 ①カロリーを安定して確保できる穀物が存在したか(メソポタミアでは麦があった。これはインドやアラブのナン、エジプトのビール、ヨーロッパのパン、果ては中国の麺につながる)、 ②家畜化が可能な動物が存在したか(家畜化とはペットの意味でなく、人になつく気性で、集団で飼育でき、肉や毛皮・乳・卵を安定して生み出すかといった条件)、 が重要な要素であったためだとする論。 なるほど、これらの条件が揃うかどうかが、文化や国家が栄える条件になっていることが容易に想像できる。 (驚いたのは、①②とも、世界広しといえども、条件を満たすのはたったの数種類しか存在しないということ。 詳しくは本書をぜひ読んでいただきたいが、②でいうと豚、牛、羊、山羊、馬の5種くらいしか条件を満たさない。 「シマウマはなぜ家畜化できないか?」という問いは本質的で面白い。) といった形で、様々な「他と比べ決定的な差を生む要素」を丁寧に積み上げていく。 その中でもより決定的だったのが、タイトルになっている「銃・病原菌・鉄」である。 とりわけ、病原菌が殺した人間の数を知った時ゾッとしてしまった。 これを兵器として利用したヨーロッパの恐ろしさ・・・・ 筆者は淡々と書いているが、他者を支配するために殺し合いをしてきた人の業の深さに戦慄した。 これまで認識していた世界、歴史観が一新される、人生でもそう読めない強烈な本だと思う。 歴史、文化人類学に興味がある人だけでなく、「世の中って一体なんなんだ?」といった根本的な疑問がどこかにある人に大お勧め。

    9
    投稿日: 2014.07.02
  • 愚行録

    愚行録

    貫井徳郎

    東京創元社

    なぜインタビュー形式にしたのか思い知らされる怪作

    斉藤孝の「読書力」という本に、「読書の醍醐味は、実際には会いたくないような癖の強い人に会えること」とあったが、本作はまさにそんな嫌~な人間、人間のネガティブな側面を、インタビュー形式の独特のスタイルで紡いでいく。 「いやー、めんどくさいおばさんだな」 「自分勝手で友達になれそうもないやつだな・・・」 「他人を手段のように扱いすぎだろ・・・」 と心の中で突っ込むこと多数。 なんというか、自立していないというか、どこかまっとうな大人になりきれていないような、後味の悪い人々。 そして、そのインタビューの合間に挟まる、謎の兄妹の不気味な会話。 本の最初には、一家殺害の事件の真相をあぶりだすためのインタビューが始まる前に、何の関係があるのかわからない児童遺棄殺害のニュース。 読み始めは、物語の構造がつかめず混乱する。 半分程度読んだところだろうか、次第にどこに向かっているのか見え始めるが・・・・ああ、やられた。緻密に計算された見事な構成に、なぜインタビュー形式で物語を編む必要があったのか思い知らされる。 物語の構造を追いかけたくなり、思わず、読み終わった後に人物相関図を書いてようやく納得できた。 立場の異なる人それぞれの心理が非常によく書けていて、特に被害者と加害者の価値観の乖離の激しさに、「人間は話し合っても分かり合えないことがある」と絶望的な気分にされます。 読む価値のある本だと思います。

    6
    投稿日: 2014.07.01
  • 独断流「読書」必勝法

    独断流「読書」必勝法

    清水義範,西原理恵子

    講談社文庫

    今の感覚で読んでも面白い過去の名作たち

    私はほとんど国語の教科書で名作とされていた小説を読んでいない。 夏休みの課題図書に指定されるような本は文章が古かったり、なんかいやな気分になるやつが出てきたり、何がいいたいのかよくわからず、のめりこめなかった。 夏目漱石、川端康成、三島由紀夫、谷崎潤一郎、志賀直哉、ドストエフスキー・・・ どれもこれも中学生、高校生の時もダメで、本棚に置いたままにされてしまうことばかり。 そんな人間だからか、 「文学史に燦然(さんぜん)と輝く20作品を、シミズ博士のウンチクとサイバラ画伯の過激なマンガで大胆に解釈」 という紹介文に惹かれ、ざざっと名作の説明がされているのなら読んでみるか(サイバラ結構好きだし)、ということで本書を手にした。 ポイントは2つある。 1つはシミズ博士の歯に着せない正直な書評と、現代の私たちから見たときにおける名作の価値の発見 2つはサイバラの時にはレビューすべき本を読まないで作家のイメージだけで文句をいったりする型破りのマンガ シミズ博士の博識でありながら平易な文章で、本をそれほど読まない人でも名作と呼ばれる所以がしっかりわかる解説はすばらしく、敬遠していた本もむしろ敬遠するがゆえに楽しめるのだと感じさせる。中学生のころに感じていた違和感や生理的な気持ち悪さそのものが文学の味なのだと説く。 大人になったからかもしれないが、紹介されていた泉鏡花「高野聖」を読んでみると(青空文庫でリーダーストアで無料で読める!)、なるほど不気味さが類を見ない文体で表現されており、のめりこみ過ぎて電車を乗り過ごしてしまった。これには驚いた(汗)久々に読書にのめりこむ体験を味わった。 サイバラのマンガは面白いと感じられるところ(泉鏡花の名前が気持ち悪いから読みたくない、とか)と、お前さすがにもうちょっと仕事しろ、と思う乱暴すぎるところがあったが、よいスパイスになっているかな? 新しい本に手を出したいけど何を読んでよいかわからない人、普段マンガばかりで本をあまり読まないけど名作を読んでみたい人にはとてもよい本です。 紹介されている本が気になったら、検索すると青空文庫でたいていでてくるので、無料ですぐダウンロードして、解説と本編を行ったり来たりしながら読めるのは電子書籍のうまい使い方だと思いました。

    3
    投稿日: 2014.06.09