
愚行録
貫井徳郎
東京創元社
これもまた、イヤミス……。
インタヴュー形式で語られていくので、 主観で語られる気持ち悪さと閉塞感が、効果的。 誰が犯人か、というよりも、「一見、とても幸せそうなひとたち」というものの 怖さをこういう形で描きだす見事さ。 世間的に「幸せそう」というのは、見えない部分で犠牲にしているもの、残酷な部分があるのだということを改めて教えてくれる。読み応えあるし、夢中になって読んでしまう小説でした。面白かったです!
5投稿日: 2017.02.20
コーヒーが冷めないうちに
川口俊和
サンマーク出版
ちょっと変わったタイムリープもの。
もともとが、演劇から生まれたということもあって、 ちょっと変わった風味の、小説みたいな戯曲みたいな感触のお話です。 いろいろ面倒なルールがありつつも、タイムスリップもの。 ただタイムスリップを楽しむ、というよりも、 なぜ自分がタイムスリップしたいのか、ということをそれぞれが熟考することによって 何を望んでいるのか、自分がどう生きたいのか、そんなことを改めて気づかせてくれるお話です。 ある意味、小説っぽくない語り口なので 普段あまり小説を読まないような人も、楽しんで読めそうです。
1投稿日: 2017.02.20
桜風堂ものがたり
村山早紀
PHP研究所
素晴らしい読後感!
すごく心が揺さぶられた小説です。 何度も何度も、目頭が熱くなり、電車の中で読んでいたので困りました。 紡ぎだされる言葉、本当に心にためらいなく響き、感動を与えてくれます。 いろんな「願い」がこもっているお話だと思います。本が好きな人、本屋さんが好きな人、一生懸命頑張っている人、苦しく辛い状況にある人、そして家族への思い。 「ひとはたぶん、未来への夢や、この先良くなっていくかも知れないという希望がないと生きていけない」。 それぞれの思い、それぞれの優しさとしなやかな心の強さがこめられた、あたたかな小説です。 とても読みやすいと思いますし、是非多くの人に読んでほしいです。
4投稿日: 2017.02.20
パティシエの秘密推理 お召し上がりは容疑者から
似鳥鶏
幻冬舎
元警部のパティシエが、謎を解く……。
パティシエ、というと華やかな洋菓子店を想像してしまいがちだけれど、 どちらかというと、落ち着いた喫茶店でのお話です。 喫茶店のマスターとその弟(元警部)のお店に、警察の元同僚やお客さんが来て……というお話。 元警部のパティシエだけあって、日常ミステリーよりも、 もうちょっと警察モノとして犯罪がらみのものもあったり。 パティシエがらみの甘いものネタというより、添えられたスウィーツがじわっと心にしみる。そんなミステリーでした。レシピやそのスウィーツの説明などもあって、それも楽しめます。
1投稿日: 2017.02.20
