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食いしん坊花子さんのレビュー
いいね!された数144
  • 終電の神様

    終電の神様

    阿川大樹

    実業之日本社文庫

    終電車、特別な電車と特別な想い

    電車の遅延に顔を曇らせた覚えのある人は多いと思います。 それが終電だったら、なおさら。 乗客ひとりひとりの想いが交差し、はらはらしたり、どきどきしたり。 思わず涙したり。 そして電車の運行を見守るひとたちの思い。 毎日毎日、電車に長い時間揺られて嫌だなあ、と思うことも多いのですが、 やはり電車には浪漫がある、と心が柔らかくなりました。

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    投稿日: 2017.11.17
  • 和菓子のアン

    和菓子のアン

    坂木司

    光文社文庫

    和菓子の魅力と小説の魅力がマッチング!

    和菓子屋で働きはじめた主人公のアンちゃんと一緒に和菓子についても 学べてしまう、触れられてしまうミステリー。 和菓子についての知識が得られる魅力もさることながら、 それ以上に、魅力について教えてくれる一冊です。 そして、若いアンちゃんを通して働くこと、人間関係について改めて考えてしまう。 軽いタッチで読めてしまう、けれど読んで心に残る一冊です。

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    投稿日: 2017.10.16
  • 今からあなたを脅迫します

    今からあなたを脅迫します

    藤石波矢

    講談社タイガ

    テンポよく、楽しく、でも、グッと胸にささる!

    テンポのいい展開に「そんなこともあるかな」と思う間もない状態で ページをめくっていきました。 脅迫屋というアイデアも面白いですし、 主人公の堅実な?ツッコミも面白いです。 そして思わぬ展開にあっと驚き……物語としての読み応えもあります。 ドラマ化されるそうですが、楽しみです!

    0
    投稿日: 2017.10.16
  • 摩利と新吾 8巻

    摩利と新吾 8巻

    木原敏江

    LaLa

    木原敏江といえば、これ。

    好きな漫画は色々あるけれど、好きな作家さんは誰ですか?と聞かれたら 私は木原敏江さん、と答えることにしています。 美しい絵柄はもちろんですが、 彼女の詩を読むような素晴らしいフレーズの数々が印象深く、 まるで抒情詩のよう。 好きな作品をあげればきりがないですが、 ここにおさめられている、番外編の「ユンター・ムアリー」。 忘れられない名品です。ドガの名画のよう。

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    投稿日: 2017.10.16
  • モモンガの件はおまかせを

    モモンガの件はおまかせを

    似鳥鶏

    文春文庫

    キュートで脱力系な面白さ。でも、本格ミステリ!

    待望の楓ヶ丘動物園シリーズ第四弾です。 似鳥鶏さんのシリーズの中で最も大好きなシリーズです。 飼育員のメンバーのキャラ立ちぐあいと、動物たちとの掛け合い、 ちょっとしたボケとツッコミが、ほのぼのします。そんな反面、物語ではやはり“動物”と人間の関係や社会問題を抉り出す 筆がますます冴えてきていて、今後も期待している作家さんです! 動物たちのちょっと笑ってしまうようなかわいさはたまりません!

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    投稿日: 2017.05.13
  • 母の記憶に

    母の記憶に

    ケン・リュウ,古沢嘉通

    新☆ハヤカワ・SF・シリーズ

    その佇まいの美しさは、もはや奇跡。

    前作『紙の動物園』で衝撃を受けたケン・リュウの短編集第二弾。 表題作「母の記憶に」の柔らかな筆致と卓越した抒情性に 拝み倒したくなるような感動を受けました。 素晴らしいです。 繊細すぎるとさえ思える美しい佇まい。 もはや奇跡、とすら感じました。 すごいです。

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    投稿日: 2017.04.30
  • ストーリー・セラー

    ストーリー・セラー

    有川浩

    幻冬舎文庫

    読者と作家の幸せな関係

    リボンのかかった表紙がすごいイイナー、と思いながら、 長年読まずにいたこちら。 これはラブレターとでもいうのでしょうか。 作家さんとその傍らにいる人の。 熱烈に信じてくれる読者と幸せな作家さんの関係性が描かれてます。 運命や環境は甘くはないけれど。

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    投稿日: 2017.04.25
  • 「死ぬくらいなら会社辞めれば」ができない理由(ワケ)

    「死ぬくらいなら会社辞めれば」ができない理由(ワケ)

    汐街コナ,ゆうきゆう

    あさ出版

    残業自慢がいつか、恥になりますように。

    最近、何かと話題になる「過重労働」 比較的強めなタイトルでキャッチですが、中はかわいらしいイラストで ブラック企業の労働状況と心理状態を淡々とソフトに描いています。 日本人特有なのか、真面目な人特有なのか 「がんばった自慢」「自己犠牲奨励」の意味不明さをサックリ切り込んでます。 仕事を頑張ることは偉いですよね。 でも、なんのために働いているのか、それを忘れてしまう状態を蔓延らせている今の社会は恐ろしいです。 どうか、こういった本がもっともっと読まれて、 我慢大会な社会が少しでも緩和されますように、と願います。 残業自慢=恥という概念がいつか日本にうまれますように。

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    投稿日: 2017.04.23
  • スーツケースの中の少年

    スーツケースの中の少年

    レナ・コバブール,アニタ・フリース,土屋京子

    講談社文庫

    女性たちの子供への愛を力強く描く

    警察小説が多いといわれる北欧ミステリーの中で 一般女性が活躍するお話。 コインロッカーのスーツケースの中には裸の少年が……! スーツケースを預けたカーリン、受け取ったニーナ、そしてその少年の母シギータ、 そしてもう一人の母……。 女性たちの逞しさと信念、そして子供への愛情を力強く描いた傑作。 それぞれの子どもに対する愛が、事件を解決へと導いていく。 感動します。

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    投稿日: 2017.04.23
  • ただいまが、聞きたくて

    ただいまが、聞きたくて

    坂井希久子

    角川文庫

    いきなり泣く!

    次女、長女、祖母、母、そして父…。 家族それぞれが一章、一章語っていくので それぞれの言い分と勝手さが鮮明に見えてくる。 視点を変えることで織りなす感情のすれ違いが 終盤効果を発揮してきて……、いきなり、泣いてしまいました! 読み始めには想像もしなかった展開です。 そう、みんなそれぞれ本当は一生懸命生きていて、 誰かを傷つけたいと思っているわけではなく、 傷つけてしまったことをずっと心の中で悔やんでいる……そんな優しさを描きこんだ良作です。 母と娘のすれ違いもありますが、時代や状況によるものもある…… 悲しいこともあるけれど、お互い伝える努力を忘れずにいたい、 そんな気持ちになる、いい小説だと思います!

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    投稿日: 2017.04.20