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  • 月は無慈悲な夜の女王

    月は無慈悲な夜の女王

    ロバート・A・ハインライン,矢野徹

    ハヤカワ文庫SF

    地上の人々 VS 天上の人々

    話の前半は、月が独立をするためへの準備に主人公マニーが巨大コンピュータ「マイク」や他の同志と共に奔走します。前半では政治体系や思想の話が出てきて少し難しかったですが、Readerの辞書機能を使ったので苦になりませんでした。 後半になると、地球との独立戦争へと進んでいきます。物量などで圧倒的に不利である月世界の人々はどう戦うのか?そして勝敗は? かなりの厚さでしたが、徹夜して読んでしまいました。後半になるにつれ物語が面白くなっていきます。また月世界の生活や文化も独創的で読んでいて、非常におもしろかったです。個人的にはこの小説は、現在の出来事や物事を暗示しているようにも感じました。全体的に十分楽しめた作品でした。

    4
    投稿日: 2013.10.27
  • アルケミスト 夢を旅した少年

    アルケミスト 夢を旅した少年

    パウロ・コエーリョ,山川紘矢,山川亜希子

    角川文庫

    本の厚さは薄い。しかし読者の心を熱くさせる

    羊飼いの少年は、彼を待つ宝物があると信じ、エジプトのピラミッド目指し旅を続けます。旅のさなか少年は、様々なことを通し成長していきます。そして、この旅の最後に少年は何を得るのか・・・ 一つのことを追い求め続けることの重要さを思い出させてくれますが、それ以外にも沢山のことを教え、考えさせてくれます。人によって感想は異なるでしょうが、素晴らしい本であることに間違いはありません。

    11
    投稿日: 2013.10.24
  • 月世界へ行く

    月世界へ行く

    ジュール・ヴェルヌ,江口清

    東京創元社

    砲弾に乗って、いざ月へ!

    書籍説明でなぜか年代が1969年と書かれていますが、正しくは186X年です。あとロケットじゃなくて、大砲の砲弾に乗って月を目指します。ご注意を! 巨大な大砲の砲弾に3人の乗組員が乗り込み、人類初の月旅行を行います。旅中には彗星の衝突、酸素の欠乏そして弾道の計算修正など様々な困難に直面します。そして地球に帰還する際はどうするの?登場人物同様、読んでいるこっちもドキドキしながら読みました。 古典とされていますが、今でもその価値を失っていません。子供向けに読み聞かせるのも良いでしょうし、大人が読んでも楽しめます。

    5
    投稿日: 2013.10.24
  • MOMENT

    MOMENT

    本多孝好

    集英社文庫

    人生を思い返させ、人を救うことのむずかしさを感じる一冊

     読後は自分の人生について再考させてくれました。だれしも思い残したことはあるはずです。そしてエピソードごとに話は進んでいくのですが、患者の願いを叶えるにつれて主人公の考えや行動に少しずつ変化が訪れていく描写が素晴らしかったです。  最後のほうには、主人公と異なる形で患者を救済する人物が登場しますが、彼の救済方法が果たして本当の救済になっているのかと深く考えさせられました。 患者のそれぞれの最後の願いを聞き、その願いをかなえていく主人公。これだけを聞くと単なるお涙頂戴小説の類かと思われる方もいるかもしれません。しかしこの小説はその類の小説ではありませんでした。 読後は深い感動を与えてくれるそんな一冊でした。

    2
    投稿日: 2013.10.22
  • 川の深さは

    川の深さは

    福井晴敏

    講談社文庫

    日本の暗部をさらけ出す

    とあるグータラ警備員が偶然にも少年と少女を匿うことから、話は始まります。そしてこの二人との関係(主に少年ですが)が深くなるにつれ、とある事件に潜む影そして国を揺らがす陰謀が暴かれていきます。警備員は巻き込まれるというよりは、自分から進んで行動します。 個人的には、政治の話や国家論のような所を語るシーンがあるのですが、そこが分かりにくく取っ付き難かったです。ただ単に読解力が無いだけかも知れませんが・・・。加えて本のタイトルが微妙です。何の意味なのかは作中でわかるのですが、極めて重要な内容であるとは思えませんでした。 しかし決して面白くないわけではなく、邦画のアクションエンターテイメントとしては、楽しめました。戦闘シーンはリアルで緊張感が漂います。

    0
    投稿日: 2013.10.21
  • 闇の奥

    闇の奥

    コンラッド,中野好夫

    岩波文庫

    暗黒大陸の持つ闇

    船乗りマーロウはアフリカの奥地の出張所にいる象牙採集人クルツの存在を知る。しかし連絡を入れようにも音信が途絶えてしまう。クルツの救出へと向かうマーロウ。しかしその前にはアフリカの原生林が死と闇を秘めて待ち受けていたのであった・・・。簡潔なあらすじはこんな感じです。 作者本人もコンゴに行ったことがあるそうで、内容は詳細でリアルです。当時暗黒大陸と呼ばれていた、アフリカ大陸の奥を垣間見れるためにこのような題名になったそうです。暗黒大陸に存在する原生林の闇、そして人の闇(奴隷や差別など)。それらを詳細に記した本です。一種の歴史本や冒険小説として、または洞察に優れた小説としても楽しめます。

    1
    投稿日: 2013.10.16
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

    わたしを離さないで Never Let Me Go

    カズオ・イシグロ,土屋政雄

    ハヤカワepi文庫

    ゆっくりと判明する世界

    自分の人生について思い悩むことは誰しもあるはずです。そして今後の自分の人生なんてはっきり言って、分かりません。しかしこの作品で登場する「提供者」と呼ばれる人物たちの運命は、決定されています。しかも残酷で抗いようがないものです。 読み進めるうちに読者は、提供者の運命や小説内の世界観が少しずつ分かっていく構成です。 じわりじわりと進んでいき、最後に深く心を揺さぶられる結末を迎えていきます。 己の生きる意味、他者への影響などこの作品から得られるものは人それぞれだと思います。深い小説です。

    6
    投稿日: 2013.10.16
  • 一九八四年[新訳版]

    一九八四年[新訳版]

    ジョージ・オーウェル,高橋和久

    早川書房

    こんな世界は嫌だ!

    超監視社会で、記録を捏造する仕事をして生きるウィンストン・スミスを主人公にした有名な文学です。他の小説や政治体制の批判でも度々引用されたりするのでご存知の方もいるかもしれません。 本作ではある女性との出会いをキッカケに大きく動き出します。監視されているであろう中で愛を育む二人。そして監視社会への抵抗運動や自分がしている仕事。これらからウィンストン・スミスどう感じ、理解や判断をしていくか。これらを着眼して自分は読みました。今の社会体制と比べても面白かったです。 非常に重いテーマであり、本自体も分厚いので読みづらいかも知れません。しかしこれ程読後感が充実している本はあまりありませんでした。

    0
    投稿日: 2013.10.15
  • HELLSING(1)

    HELLSING(1)

    平野耕太

    ヤングキングアワーズ

    OVAを見てから読み始めました

    全話のOVAを見てから読み始めました。普通に面白いです。独特のセリフが個人的には大好きです。書籍説明通りに話は進んでいきますが、とある神父が出て来るところが一巻の目玉です。これを機に物語が一気に面白くなっていきます。 ブラム・ストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」を読んでいると、さらに面白く感じると思います。これを機会にこっちも読んでみては、いかがでしょうか?

    5
    投稿日: 2013.10.15
  • 刺青の男

    刺青の男

    レイ・ブラッドベリ,小笠原豊樹

    ハヤカワ文庫NV

    それぞれのテーマと意味、そして未来

    一人旅の道中で出会った全身刺青の男と知り合い、丘の上で一晩をともに過ごすことになった主人公。刺青の男は「この刺青が物語を語る」という。やがて月明かりの中、男の背中を見た主人公は、刺青が18の物語を語りだす・・・という物語です。 刺青は各テーマごとに語ります。そして各テーマが未来世界を舞台に各話で展開します。幻想的なSF作品で、とっつきにくかったのですが、何度か読んでみるとそれぞれの刺青が語る話にそれぞれの解釈を見いだせます。 何度も読んで初めて、その価値が解るタイプの小説です。純粋な文学を求めている方にはオススメです。

    2
    投稿日: 2013.10.14