
地底旅行
ジュール・ヴェルヌ,窪田般彌
東京創元社
やっぱり私は、ヴェルヌのファン
小学生の時以来、久々に読みました。最近では「センター・オブ・ジ・アース」というタイトルで映画化もされています。見たという方もいるものと思いますし、有名な作品なのでどんな内容の作品なのか詳しく知っている方もいると思います。 何故か子供向けみたいなイメージを持つ方がいますが、そんなことは全くありません。むしろ子供でも読めるというのは、分かり易い上に展開が早く、飽きが来ないということです。古典なので、科学分野の会話などでは時代を感じますが、温故知新だと思えばいいと思います。古典的名作で、サクッと読みたい作品を探している方にはうってつけかも知れません。老若男女問わず広く読まれていってほしい作品です。
3投稿日: 2013.11.10
黄色い部屋の謎【宮崎嶺雄訳】
ガストン・ルルー,宮崎嶺雄
東京創元社
密室殺人の後には、謎解きとドラマが待っている
密室殺人を描いた作品として名高い作品です。超人的な探偵ではない、青年記者ルールタビーユが巻き起こる事件や現場などを1つずつ分析し、解決へと導いていきます。トリックももちろん素晴らしいのですが、個人的には犯人が意外な人物でした。部屋の間取りなどを理解しつつ読んでいく必要があるので、本格的なミステリーを読みたい方にお勧めです。訳も分かり易かったです。 ガストン・ルルーは因みにですが、「オペラ座の怪人」を書いたことでも知られています。「オペラ座の怪人」が好きという方にも、是非読んでいただきたいです。
5投稿日: 2013.11.09
そして誰もいなくなった
アガサ・クリスティー,青木久惠
クリスティー文庫
最高の犯人捜し
後世の作品にも影響を与えた作品です。それだけ、いろいろな読者を騙し、唸らせたということですが、もちろん私も騙されました。「お前が、犯人かよぉー。くそ、なんか悔しい!」というのが素直な感想です。「騙されるミステリー」そして「犯人の意外さが際立つミステリー」として、オススメの作品です。これを読まずして、「ミステリーが好きなんです」とは語れないと思います。 ちなみにですが、この作品はポワロやミス・マープルなどの探偵は出てきません。館に集められた人々が一人、また一人と殺害されていき、残った人たちがこの中の誰が犯人なのかと考え抜いていく作品です。あなたもこの惨状の中の世界に入り、第三者となって犯人を探し出してみてください。
5投稿日: 2013.11.06
破獄
吉村昭
新潮社
巧みな連続脱獄犯
現在でも再犯率の高さからか、矯正のあり方を見る番組などが特集されますが、その矯正の難しさを感じる作品でした。 この作品の中心人物「佐久間清太郎」は生涯に4度の脱獄をしますが、いずれも寒さや食事、看守などの獄中の環境が劣悪だったために行った脱獄でした。しかし最後は、あたたかさに触れ、少しずつ矯正していきます。 タイトルの「巧みな」は、作中の工夫を凝らした脱獄方法からつけました。1つ例にすると、味噌汁です。果たして味噌汁をどう脱獄に利用するのか?読んで見てください。使い方に驚きます。
0投稿日: 2013.11.06
アイス・ハント(上)
ジェームズ・ロリンズ,遠藤宏昭
扶桑社BOOKSミステリー
北極で、秘匿されていたものは・・・
一つ注意ですが、同作家が執筆している「シグマフォース」シリーズではありません。その点をご注意ください。 物語の舞台は北極。この地で眠っていた、かつての軍事基地の内部の調査(調査の理由は、書籍説明を見ていただければわかると思います)を行っていく科学者たち。やがて驚異の発見をしますが、その発見がこの基地内を地獄へと変えてしまいます。国家の思惑も交わり、科学者や軍人そして元特殊部隊の民間人を巻き込み物語は、一気に進んでいきます。中だるみもなく読むことができ、上・下でしたが、すぐに読み終わりました。訳も分かり易かったです。 ちょっとネタバレですが、この作品で出てくる生物は、かつて古生物の図鑑を読み、かつ好きな方であれば、「あぁ、アイツか!」とニンマリするかも知れません。(←私だけかも知れませんが・・・) ヒントは、とある一つの生物の進化を語るうえで、重要な生物です。
1投稿日: 2013.11.06
漂流
吉村昭
新潮社
生き残る。故郷に帰る為に!
江戸時代に黒潮に流され、絶海の孤島へと漂流した男たちの壮絶なサバイバルです。作者が幕府や藩の取り調べ書が元になっており、漂流者自身の話が元でないことは、ご注意してください。しかし、取材し書き上げた作品であるにもかかわらず、その漂流者たち自身が書き上げたもしくは漂流者たちの話を筆者が聞いて書いたように思えてしまいます。それ位リアルでした。 水も無いうえ食料も乏しい島で生きなければならなくった漂流者たち。厳しい環境に絶望し、生きるのを諦める人も当然出てきます。絶望から脱した漂流者が辿り着いた答えは、生き残って帰る事。はたして帰ることができるのか?生きることの素晴らしさと絶望から立ち上がる勇気を与えてくれます。
0投稿日: 2013.11.02
変身・断食芸人
カフカ,山下肇,山下萬里
岩波文庫
ひたすらの孤独
朝目覚めてみると、自身の体は大きな虫へと変化していた・・・という出だしで有名な「変身」。そして、時代が変わり人気が、ガタ落ちになった断食芸をする芸人を描いた「断食芸人」。 この2篇の主人公は共に、孤独です。孤独な人間にスポットを当てた作品だと思い、私は読みました。主人公達の境遇や心理を知る読者は、何かをしてあげたい、助けになりたいと思うかもしれません。しかし何も知らなかったら、虫と成れ果てた人や、もはや時代遅れで怪しげな芸人を、あなたはどう思うでしょうか。おそらく蔑むか接触を避けるはずです。所詮、我々は人の容姿しか見ていないことに気付かせてくれました。 小説によって感じ方、読後の感想などは人それぞれです。この小説を読んで、自分なりの感じ方や考えを得られることと思います。
0投稿日: 2013.11.02
零戦 その誕生と栄光の記録
堀越二郎
講談社文庫
ゼロ戦ブームに便乗して、読みました
今本屋では「風立ちぬ」や「永遠の0」の影響からか、ゼロ戦の関連本が並んでいないところは、無いという状況です。私も「永遠の0」を読んでから本書を読みました。なぜならゼロ戦の生みの親=設計者が執筆した本だからです。 ゼロ戦を設計するに至った経緯、浮かび上がった技術的な問題点、そしてテストパイロットの死。やがて完成し戦場へというようにゼロ戦を造っていく流れに沿って、その段階での困難やエピソードが網羅されていきます。ゼロ戦について詳しく知るには打って付けですし、最新鋭の戦闘機から戦況が進むにつれ、失墜していく時代の流れなども知ることができます。最終章では筆者が考える日本のモノ作りのあり方を知ることができます。
4投稿日: 2013.10.31
強力伝・孤島
新田次郎
新潮社
人類は自然には勝てない
登山をする気象学者や強力、そして行軍する兵士たち。しかしその前には絶海の孤島や強風が吹き荒れる冬の富士山、深雪と寒さが凄まじい八甲田山などの厳しい環境などが、彼らを襲います。人の心を挫き、更には命を容易く奪う厳しい環境に置かれた人々の物語です。各話にそれぞれモデルとなる人物や話があることもあり、非常に説得力もあり、リアルです。 余談ですが、この本を読んで思い出させることがありました。毎年冬の登山者が亡くなっているという事実です。小説の年代は明治や昭和など古い年代ですし、現代の登山装備もずっとハイテクになっています。しかし人は進歩しても、決して厳しい自然には勝てないのです。このことを強く思いました。また登山をする人には是非読んでいただきたい作品です。
1投稿日: 2013.10.31
コン・ティキ号探検記
トール・ヘイエルダール,水口志計夫
河出文庫
私の学説は正しい!
耕された畑に彫刻された石像。太平洋のポリネシアの文明は、誰がつくり、文明を築いた人々はどこから来たのか?これは当時1つの謎でした。 「古代ペルーの人々がバルサ材で出来た筏でポリネシアへ渡り、現在ポリネシアに住む人々の祖先となった」という学説を唱えた筆者。しかし奇妙な考えと見向きもされません。ならどうすればいいのか?自分で実証すれば良いのです。 物語は探検隊の結成、バルサ材の筏作りそして太平洋横断という流れで進んでいきます。ノンフィクションとは思えない冒険記です。読んでいて非常にワクワクします。読後はどこかに探検(または探索)したくなります。
2投稿日: 2013.10.28
