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  • WORLD WAR Z(上)

    WORLD WAR Z(上)

    マックス・ブルックス,浜野アキオ

    文春文庫

    ドキュメンタリー風ゾンビ小説

    病に臥したすえ死亡した人間が甦り、他者を襲うという奇病が全世界に蔓延していき、死者が都市や国家という垣根を超え、世界を蹂躙していった。そして存亡の危機に瀕した人々は、やがて死者<ゾンビ>に対し、対抗策を講じていく。この人類と死者との戦争〈世界Z大戦〉に直面した、様々な人々の証言をまとめ上げたのが、本書です。 パニックものの映画のように、一人の主人公の視点で物語が進むのではなく、様々な人の証言をまとめ上げ、<世界Z大戦>に関し、ドキュメンタリー風にして迫って行き、何が起こったのか分かっていくという形をとった小説になります。非感染者関係なく皆殺しにしてしまう、徹底した情報管制など国によってゾンビに対する対応策が違うのが、今のお国柄に合わせたものとなっており、日本では実際にこうなるだろうなぁと思う内容でした。 普通のパニック小説とは違い、証言ばかりなのですが、その場に居た者だからこそ語れる生々しさが感じられ、逆にリアルに感じました。

    2
    投稿日: 2014.08.14
  • ボボボーボ・ボーボボ 1

    ボボボーボ・ボーボボ 1

    澤井啓夫

    週刊少年ジャンプ

    鼻毛ではなく、ギャグで戦うマンガ

    訳が分からないのに笑ってしまったことが、あると思いますが、この漫画で出てくるギャグはそんなタイプのギャグが満載です。脱力系ではなく、勢いあるボケとツッコミがあるマンガは久々に読みました。そしてキャラクターも個性豊かです。 笑いのツボは人それぞれですが、個人的にはかなり笑えました。とにかく笑いたい時に読んでみてください!

    1
    投稿日: 2014.08.02
  • ヨルムンガンド(1)

    ヨルムンガンド(1)

    高橋慶太郎

    月刊サンデーGX

    ぼくは、武器商人と旅をした

    ミリタリー色が豊富な作品ではありますが、ユーモアを交えた場面や組織間の思惑や欲が交差するやり取りなどもあるので、ひたすら戦闘シーンが続く、がちがちのミリタリー作品(映画で例えるなら、エクスペンダブルズやランボーなどでしょうか)では、ありません。 むしろ、軍やテロリストが所持する銃の数より、民間人が持つ銃の方が多いなどといった、重いテーマも突き付けてくる作品です。手ごろに読めかつ、充実したマンガを読みたい方は、読んでみてください。アニメ化もされているので、そちらを見てから読むのも、ありだと思います。

    3
    投稿日: 2014.07.20
  • 富士山頂

    富士山頂

    新田次郎

    文春文庫

    まさに、プロジェクトX

    富士山に気象用レーダー施設を創る。一大プロジェクトとして予算を何とかつくことが出来たのも束の間、極寒の冬が、資材を運ぶ人々と施設を造る人々を阻む。果たして、このようなものを創り上げることが可能なのだろうか? 困難を極めた富士山での気象用レーダー施設の建設過程を、作者の体験を元にまとめた記録文学です。体験者だからこそ書くことが出来た、リアルな当時の現場は、その迫力と苦難に驚かされます。ノンフィクションものの作品が好きな方には、是非読んでいただきたい作品です。

    3
    投稿日: 2014.07.14
  • 人形つかい

    人形つかい

    ロバート・A・ハインライン,福島正実

    ハヤカワ文庫SF

    何か軽く読めるSFを求めている方に、お勧めです!

    人間に寄生し、操ることが出来るエイリアンと、それと戦う主人公たちを描いた作品です。 今や王道となっている「宇宙人VS人類もの」の中でも、かなり読みやすい内容でした。難しい世界設定や、難解な用語などSF作品にありがちなものは、ありませんでした。 個人的には面白いと感じた作品ですが、複雑な心理描写や葛藤などは無く、文学として読みたい方には、物足りなさを感じるかもしれません。 ラノベなどを日頃読んでいる方や、夏休みに読書をしたいと思っている方に、手に取っていただきたい作品です。

    0
    投稿日: 2014.07.14
  • 山賊ダイアリー(1)

    山賊ダイアリー(1)

    岡本健太郎

    イブニング

    肉をいただける、ありがたさを痛感しました

    銃の申請の仕方やカラスの味、そして獲物の解体など、都会生まれ都会育ちの私にとって、少し衝撃的でした。猟師に関して、色々なことを知ることができ、おもしろかったです。 個人的に印象に残っているのが、作者が獲った獲物は、食べられるものは全て食べている所でした。個人的には食べたくないと思うようなものでも、平然と口にする部分に驚きました。 生き物を殺すのは良くないと考えている方もいるかもしれませんが、生き物を殺し、糧としなければ生きられないのは、人間です。「いただきます」の意味の深さに今更ながら気づかせてくれました。

    1
    投稿日: 2014.07.10
  • 八十日間世界一周

    八十日間世界一周

    ジュール・ヴェルヌ,鈴木啓二

    岩波文庫

    「人生一度は、世界一周してみたい」と思わせる作品

    世界各地とのつながりが、密に行われている現代の視点などから見てしまえば、本作は古典小説で、フィクションの旅行記だろ、と思う方がいるかもしれません。 ですが、道中で巻き起こるトラブルやユーモア、そしてロマンスと、現代ではもはや、起こりえないであろう物語が、本作の魅力です。今ほど物や人の交流が少ない分、出会いを大事にし、かつ見知らぬ土地に対する不安や期待を感じます。 古典小説だからこそ味わえる、おもしろさを感じさせてくれる作品です。個人的には、読み直すほどの、大好きな作品です。

    2
    投稿日: 2014.06.29
  • 地球戦争 THE WAR OF THE HUMAN(1)

    地球戦争 THE WAR OF THE HUMAN(1)

    小原愼司

    ビッグスピリッツ

    名作古典から生まれた、秀作だと思います

    ウェルズの「宇宙戦争」をベースに、ディケンズの「オリバーツイスト」と、過去の作品から、色々な部分は拝借していますが、独自の物語を展開していきます。 「地球戦争」というタイトルは、読んでいただければ、その意味が解ると思います。(特に2巻で!) 宇宙から来たと言われる3本足の怪物や、それに付き従う謎の女性たちなど、多くの謎があり、今後の展開が楽しみです。絵はものすごく上手いというわけでは無いですが、物語で読ませる作品です。

    0
    投稿日: 2014.06.27
  • 攻殻機動隊(1)

    攻殻機動隊(1)

    士郎正宗

    ヤングマガジン

    SF好きには、たまらなく、おもしろい!!!

    アニメ作品やマンガといったバージョンでの、攻殻機動隊は、見てきましたが、それらと違ったさらなる面白さがありました。さすが原作です。 綿密に練り上げられた物語の背景や人の心理など、SF小説の世界をそのままマンガにした作品と言っても、過言ではないと思います。 本作は、さらっと読むのでは、理解が難しく、何度も読み直したりしました。書籍説明に、「注」があるとありますが、詳しく書かれすぎていて、逆に理解できない部分が、ありましたが、役には立ちました。 クセがあって、噛めば噛むほど味が出る作品です。ハマったら、中毒になる作品を求めている方に、おすすめです。

    7
    投稿日: 2014.06.26
  • 羆嵐

    羆嵐

    吉村昭

    新潮社

    本の表紙に出てる恐ろしい熊と対峙した、開拓者たちの記録

    三毛別羆事件(Wikipediaに詳しく載っております)という実在した事件の記録文学です。あくまで記録文学(ノンフィクション)ですので、登場人物の巧みな心理描写等はありませんが、悲壮感や閉塞感、そして自然には勝てないという絶望感を感じさせ、まるでその場にいるような臨場感を感じました。 そして本作品のもう一つ見所は、日本の開拓民の生活ではないでしょうか。極寒の冬、決して防寒対策が十分とは言えない住宅環境などが待ち受けておりますが、開拓民は、野を耕し、村落を形成していったのです。今ある日本の農業の礎となったと考えると、少し感動しました。このような人々がいたという事やこんな事件があったということを風化させないためにも、本作はとても重要な作品だと感じました。

    3
    投稿日: 2014.06.09