
ブラック・ラグーン(1)
広江礼威
月刊サンデーGX
とある理由から海賊および運び屋になった日本人と、アウトローな町と人々が織りなす活劇
とある日本人の商社マンが、東南アジアのとある海域で、拉致されるところから物語は始まります。ガンアクションというジャンルの漫画ですが、リアルな銃撃戦ではなく、ある種の西洋的なノリに沿った銃撃戦や会話で物語は進んでいきます。ハードボイルドではないので、その点が注意です。 個人的には、結構楽しめました。西洋的な仁義を通していくのも、かっこいいです。あまり深く考えずに、作品の流れに乗って一気読みするタイプのマンガです。絵は上手いと思いました。
2投稿日: 2014.01.22
新装版 8の殺人
我孫子武丸
講談社文庫
「殺戮にいたる病」と異なり、王道の密室殺人ミステリー
8の字屋敷。その名の通り8の字型の屋敷で、事件は起きた。蜂須賀菊一郎氏が何者かにボウガンで射殺されたのだ!一報を受け、捜査に乗り出す警部補「速水恭三」とその部下である木下。しかし、捜査は暗礁に乗り上げていく上に、第二の殺人が起きてしまう。そこで恭三は推理オタクである、弟慎二と妹のいちおに協力を頼み捜査に乗り出すが・・・ ミステリーの王道である、密室殺人を扱った作品です。トリックも納得でしたし、犯人の動機も意外で、楽しめました。推理オタクが、様々なミステリー作品を参考にしながら、トリックを暴いていくのが個人的には、新鮮でした。部屋の配置がキーになるのですが、複雑ではないので、すらすらと読めました。展開も早く登場人物も多くないので、通勤通学途中で読むのが飛び飛びになっても大丈夫なミステリーです。面白いので、読んでみてください。
2投稿日: 2014.01.13
日の名残り
カズオ・イシグロ,土屋政雄
早川書房
古き良き時代のイギリスを想う、老執事の回想
旅に出た老執事は、その道中で様々な回想をしていく・・・というのが主です。旅の道中の話もありますが、あまり話としては、多くの事柄は盛り込んでいません。 なんとなく内容としては、日本人向きではないと感じることが多かったです。しかし古きを重んじる老執事の姿は、古めかしさは感じず、人としてのあたたかさを強く感じました。古き良き英国紳士の姿を見ることが出来ました。
0投稿日: 2014.01.10
アウルクリーク橋の出来事/豹の眼
ビアス,小川高義
光文社古典新訳文庫
死が漂う小説
好き嫌いがはっきりと分かれる小説だと思います。万人受けは絶対にしません。しかし本の厚さが薄いので、ビアスの入門編としてはいいと思います。「悪魔の辞典」に興味があったり、ポーの小説が好きな方、この本を手に取っていただければ、幸いです。 私も初めてこの作家さんの本を読みましたが、ひたすらの死と廃墟のような情景がただ浮かぶような読後感でした。小説の世界観は、現代の我々では見ることが出来ない、異次元です。筆者が体験したアメリカの南北戦争は、このような死が漂う異次元のような空間だったのだと、考えさせられました。
0投稿日: 2013.12.27
白い牙
ロンドン,深町眞理子
光文社古典新訳文庫
懸命に、そして力強く生きるオオカミの物語
物語は、狼の群れに囲まれた二人の男たちから始まり、その次に一頭の雌犬そして、本作の主人公<白い牙>へと進んでいきます。白い牙の幼少時代、インディアンやその飼い犬たちとの関係などが描かれていきます。本作の中で描かれるのは白い牙を通して見た、人間の世界と自然です。自然や人間がもたらす残酷さ、そしてあたたかさ。自然と人間が分離してしまった現代において、これに気付かせてくれた素晴らしい小説でした。 注意としては、狼の生態などを扱った生物系の本ではありません。また愛犬家の方には、許せない描写が多々あります。
1投稿日: 2013.12.25
機動戦士ガンダム サンダーボルト(1)
太田垣康男,矢立肇,富野由悠季
ビッグスペリオール
ガンダム VS ザクがまた見れます
サンダーボルト宙域。かつてはサイド4と呼ばれていた面影は一切なく、今はコロニーの残骸と戦艦の残骸が浮遊しているのみである。しかしこの宙域は、ジオンのア・バオア・クーへの補給ルートとして使われており、連邦軍はこの宙域の奪還を目指していた・・・。 上記の背景から、物語はスタートします。そしてこの宙域の奪還を目指すジャズ好きの連邦パイロットと、義足のジオンのパイロットの戦いが主なものになります。ガンダムは最初から登場ではなく、途中から出てきます。既存のMSが主体となりますが、絵がとてもうまいですし、迫力があり、何よりかっこいいです。注意としては登場するパイロットは、ニュータイプなどの超人パイロットではなく、優れたエースパイロットです。ガンダムが好きな人は、是非読んでいただきたいです。
2投稿日: 2013.12.21
権力と栄光
グレアム・グリーン,齋藤数衛
ハヤカワepi文庫
メキシコが舞台である、神父の逃避行
神父の逃亡記という形をとり、宗教とは何なのか、信仰とは何なのかを考えさせる作品です。私はキリスト教徒ではないので、わかりにくい部分がありましたが、最後に訳者説明が、章や節ごとに詳しく解説してくれているので、理解は出来ました。各登場人物が、何の比喩なのかなどは、正直最後の解説を読まなければ、わかりませんでした。しかし、宗教や信仰に関し深く考えさせてくれました。 遠藤周作氏の作品が好きな方には、オススメです。「沈黙」などとは違う、読後感があります
2投稿日: 2013.12.14
鋼の錬金術師1巻
荒川弘
月刊少年ガンガン
禁忌を犯した兄弟の物語
人間を作るという禁忌を犯した結果、肉体を失った弟と左足と右腕を失った兄の物語です。1巻はその後の物語へのスタート台という感じです。全巻読みましたが、とても面白かったです。前の話から次はこんなことが分かっていき・・という感じで物語は進んでいきます。途中で挟む、過去編もそんなに長くはありません。一気読みしてしまう漫画でした。ちなみに単なる自分探しの旅みたいな作品ではありません。戦闘シーンが多いです。 敵の正体が少しずつ分かっていくのですが、この敵の正体とその計画を止めることに物語の後半は、展開していきます。 もう連載は終了していますが、魅力にあふれた作品です。未読の方は、ぜひ読んでみてください。
2投稿日: 2013.12.07
M8 エムエイト
高嶋哲夫
集英社文庫
シミュレーションであってほしい
東日本大震災の際に都内で起こったことも描写されています。私も銀座で、あの地震に遭遇しているので、かなりカブっていることもあり、驚きました。なぜ驚いたのか言いますとこの作品は、東日本大震災よりも前である2004年に発表された作品だからです。 他の地震と多くかぶるところがあるので、トラウマがある方は少し注意してください。作品は瀬戸口を中心に最初始まり、地震発生時には各人物の視点で進んでいきます。地震発生直後を描き、その後に起こりうる災害を中心に物語は進みます。なおエンディングは、復興に進んでいこうというところで終わるので、復興に関する描写はありません。地震が普通にある国なので、普段地震について真剣に見向きもしませんが、改めて地震に関して考えさせられました。
0投稿日: 2013.12.05
攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX(1)
衣谷遊
ヤングマガジン
電脳とタチコマが欲しい男
攻殻機動隊は大好きな作品で、全話見ました。なので復習のような形で本作は読みました。・・・やっぱり面白いですね。アニメを忠実に再現しているので、セリフが脳内でよみがえります。絵も原作に近いと思いました。気になる方はサンプルを見てください。 セリフの分かりにくい部分が、マンガだととても分かり易いですし、後日談も載っているのが、いいですね。攻殻機動隊に興味がある人はこれから入るのも良いでしょうし、アニメを見た人も楽しめます。
0投稿日: 2013.12.02
