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じゃがいもさんのレビュー
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  • 新装版 猿丸幻視行

    新装版 猿丸幻視行

    井沢元彦

    講談社文庫

    F現代部分は不要

    謎解きミステリー+SFという凝った構成であるが、はっきり言ってSF現代部分は不要と思う。ストーリーの本筋と直接関わりがなく、かえって胡散臭さを漂わせてしまっている。 本編の折口信夫のところは大変に面白い。暗号のところも終盤の謎解きのところも、爽快感さえ感じる。

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    投稿日: 2021.12.14
  • きみのために青く光る

    きみのために青く光る

    似鳥鶏

    角川文庫

    この語り口がいい

    重たくなりがちなテーマを、ユーモアのあるひょうひょうとした語り口で語っている。 どの作品も症状(?)は異なるが悩みは同じという主人公が出てくる。 続編が欲しい物語が多い。

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    投稿日: 2021.12.14
  • 新装版 捨て童子・松平忠輝 上中下合本版

    新装版 捨て童子・松平忠輝 上中下合本版

    隆慶一郎

    講談社文庫

    「影武者徳川家康」の外伝

    作者隆慶一郎の代表作「影武者徳川家康」の外伝的な位置づけで、登場人物たちの味付けが似通っている。忍者や剣術使いが活躍するところなど伝奇時代小説的な味わいもあって、楽しく読みすすめることができた。しかし、主人公の松平忠輝があまりにも心技体とも完璧に近く、影がないところがどうにも魅力的でない。「影武者徳川家康」の鬱屈した雰囲気とは対象的である。むしろ大久保長安が興味深かった。もっとも松平忠輝は当時としては驚異的な92歳という長命だったそうな。実際、非常に頑健な体力の持ち主だったことが想像される。

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    投稿日: 2021.12.14
  • 二重露出

    二重露出

    貫井徳郎

    e-NOVELS

    オチはなかなか。

    ミステリーの第一の面白さは当然のことながら「謎解き」である。この作品も読みながら謎解きを楽しむことができた。もっともっと凝ったトリックを想像していたのに、シンプルな真相だったのでちょっとがっかりした。しかしそこへ持ってゆく筆力は結構なものだと思う。オチはなかなか。

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    投稿日: 2021.12.14
  • 飯野文彦劇場 一人多い生徒

    飯野文彦劇場 一人多い生徒

    飯野文彦

    e-NOVELS

    ユニークな作品

    読み始めて中盤までは比較的ありふれたホラーファンタジーものかと思っていたが、終盤に近づくにつれてラブクラフトなんかも出てきてどんどん妖しい深い世界に入っていった。正直ちょっとやりすぎのような気もしたが、他になかなか例のないユニークな作品であることは確かである。

    0
    投稿日: 2021.12.14
  • 秋の牢獄

    秋の牢獄

    恒川光太郎

    角川ホラー文庫

    静謐な中の不気味さ

    この作者の特長である「静謐な中の不気味さ」がよく描かれた短編3つからなる作品集である。表題作は「時間に閉じ込められる」というストーリー設定が大変に面白い。第2篇は相変わらずの文体で雰囲気はいいが、殺人事件は必要だったのかしらん。第3篇はあまり気に入らなかった。

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    投稿日: 2021.12.14
  • 三河雑兵心得 : 7 伊賀越仁義

    三河雑兵心得 : 7 伊賀越仁義

    井原忠政

    双葉文庫

    相変わらず面白い

    多くの連作小説は巻を重ねるにつれマンネリ化して力が落ちてゆくものであるが、このシリーズは面白さが継続している。農民上がりの主人公が出世しても農民時代の気性をしっかり保ち、家康を始め上司たちをやや斜めに見ているところがとても面白い。昔の岩井三四二の作品を思わせるところがある。

    0
    投稿日: 2021.12.14
  • 飯野文彦劇場 人魂

    飯野文彦劇場 人魂

    飯野文彦

    e-NOVELS

    突き抜けた発想

    冒頭部分は比較的ありふれたホラーファンタジーかなと思わせておいて、読み進むにつれてどんどん深みへハマってゆくような作品である。この作者特有のややグロテスクな表現もあるが、とにかく作者の突き抜けた発想に感銘を受けた。身近なものとホラーの組み合わせは、読者に恐怖感を与えるのには都合が良い。

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    投稿日: 2021.12.14
  • 飯野文彦劇場 きょうこ

    飯野文彦劇場 きょうこ

    飯野文彦

    e-NOVELS

    狂気を描き出している。

    主人公の狂気を私小説めいた語り口で切々と描き出している。ストーリー展開も凝っていて特に終盤の展開が意表をついたもので見事である。描き方によっては読者に嫌悪感を呼び起こさせるような内容であるが、あまり粘っこくなく描かれているところも良い。

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    投稿日: 2021.10.07
  • まるまるの毬

    まるまるの毬

    西條奈加

    講談社文庫

    和菓子を食べたくなる

    江戸時代の和菓子屋を舞台にした連作短編集。典型的な江戸人情物のスタイルを取っていて主要登場人物四人のキャラクターが引き立っている。特にチャキチャキの江戸っ子らしい孫娘の言動に引き込まれた。和菓子に関する様々なトリビアも実に楽しい。和菓子を食べながら読みたくなる作品である。

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    投稿日: 2021.08.18