
センゴク権兵衛(27)
宮下英樹
ヤングマガジン
最終巻
関ケ原合戦の戦後処理の話で一応の完結を迎え、後日談などの各種エピローグで最終巻としている。ややダラダラと水増し感はあるが、この巻までが緊張感高い合戦シーンが多かっただけに、まあ穏やかな終わり方と言えるだろう。全体を通して、仙石秀久という第二級の人物を主人公にしたなかなかに面白いシリーズであった。
0投稿日: 2023.02.18
新装版 北斗の人(上)
司馬遼太郎
講談社文庫
合理性を重視
現代の剣豪小説にも言えることではあるが、やたらと剣法を神秘化.呪術化.精神化したがる傾向があるが、江戸時代においても「合理性を重視」したという千葉周作は確かに興味を惹かれる存在である。太刀行きの速さを意味する「瞬息」という表現はなるほどと思わせるところがある。門下生には坂本龍馬を代表とする有名人物がたくさんいるが、開祖たる千葉周作本人は合理主義者だけあって今ひとつ地味かな。
0投稿日: 2023.01.31
会津執権の栄誉
佐藤巖太郎
文春文庫
新しい知識は得られたが
「芦名家」という存在は、有名な独眼竜伊達政宗の敵役 という認識しかなかったが、本書にてその内幕について知ることができた。現代の政治家や経営者にも言えることだが「後継者問題」の怖さについて痛感する。連作短編集の形を取っているせいで大変に読み易いが、今ひとつ通暁するテーマがはっきりしないような気がする。まあ後継者問題なのだろうが。
0投稿日: 2023.01.31
新装版 俄 浪華遊侠伝(上)
司馬遼太郎
講談社文庫
アホな男の物語
大阪弁でよくいうアホな男の一代記である。国民的作家として名声が高い司馬遼太郎であるが、比較的初期にはこの作品のようにいわゆるエンタメっぽい気楽なものも書いたのだなと再認識させられた。とは言うものの司馬史観はすでにしっかりとしている。主人公の正反対の、幕末の一般武士の情けなさを辛辣にユーモアを持って描き出している。
0投稿日: 2023.01.26
小悪魔教師サイコ (3)
合田蛍冬,三石メガネ,peep
COMIC ヤミツキ
サイコパスぶりが冴える
大変にテンポの良いストーリー展開で、途中で攻守逆転し一気に畳み掛けるところが読んでいて非常に爽快である。一応は「勧善懲悪」という看板であるが、単純に「善」ではなく、相当に狂気をはらんでいるところがこの作品の肝であり魅力である。
0投稿日: 2023.01.25
ゲームの王国 上
小川哲
ハヤカワ文庫JA
あまりに悲惨で
全人口に占める虐殺された人の比率が史上最悪といわれる、あまりに悲惨なカンボジア.ポルポト時代を舞台とした作品である。少しはSFっぽい設定もあるようだが、主体は身近な住人同士による相互監視 親子兄弟同士の密告 秘密警察 強制収容所 そして虐殺である。同じ様な例が、ナチス時代のドイツ スターリン時代のソ連にもあったようだが、カンボジアのほうが時代が近いためによりいっそう悲惨さが実感される。読み進めるのが辛いほどである。
0投稿日: 2023.01.24
Cocoon 修羅の目覚め
夏原エヰジ
講談社文庫
コミック向け
時代劇の形を借りた、アクションファンタジー。しばらく前からはやっている鬼退治モノの作品である。ヒロインを始め周辺の登場人物(?)が皆ずいぶんと派手でいろいろな意味で華やかなので、実際に絵になった姿を見てみたい気がする。そういうわけで、コミック向けアニメ向けの作品だと感じた。
0投稿日: 2023.01.23
扉守 潮ノ道の旅人
光原百合
文春文庫
「帰去来の井戸」がいい。
作者の故郷でもある広島県のおのみちを舞台にしたファンタジー色豊かな短編集である。その中でも冒頭の「帰去来の井戸」が幻想色が特に豊かで印象に残った。ギリシア神話と登場人物の名前を引っ掛けた「旅の編み人」もなかなか洒落ている。 作者の光原百合さんが昨年夏にお亡くなりになった。58歳とのこと。ご冥福をお祈り申し上げます。
0投稿日: 2023.01.21
じいさんばあさん若返る (5)
新挑限
MFC
家族問題など様々の話題を
家族問題など様々の話題を盛りだくさんに並べた第五巻目である。笑わせるところ しんみりさせるところなど ベタな手法ではあるが、色々と見せてくれる。ただあまりトピックスに統一性がなく、面白そうな話をどっさり並べてみました という構成のような気がする。
0投稿日: 2023.01.18
じいさんばあさん若返る (6)
新挑限
MFC
カバー絵がとても可愛い
くまのぬいぐるみを背負った おばあさんを描いたカバー絵がとりわけ可愛らしい。若返った じいさんばあさん と同じ境遇のカップルがもう一組登場し、ストーリー展開に変化がついている。じいさんばあさんが主役だけにどうしても離れられない寿命の問題が登場する。次巻以降どのように扱うのか?
0投稿日: 2023.01.18
