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本気になればすべてが変わる 生きる技術をみがく70のヒント
松岡修造 / 文春文庫
自分を幸せにできるのは、自分だけである。だから、人間は誰よりも自分という存在を知らないといけない。
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<こんな人にお奨め>
・日々ストレスと闘ってる人
・自己コントロールを行いたいと思いつつ、どうすれば分からない人
<こんな本>
・自分自身を理解するためには、「自分の取扱説明書」を作成するのが早道。…
・ストレスが貯まることは当たり前のこと、ストレスからのリカバリーが肝心。
・決断力は日々の生活で鍛えれる。
・「頑張る」ことはカッコいい。
・「真剣」と「深刻は」紙一重
・良い条件が良い環境とは限らない。
・「坦々と同じことを反復していける人は強い」。繰り返しを新鮮に感じるコツとは。
・「立ち止まり」の時こそ気付きがある。
・自身がテニスプレイヤーだった時の経験だけでなく、キャスターとして世界と戦ってるスポーツマンを通して戦いとは、最終的に自分とどう向き合うべきかを教えてくれる本。
<感想>
松岡修造さんは暑苦しいというイメージがありますが、このご時世にエネルギッシュでありながら、礼節を重んじる人柄が好かれているかと思います。これは、本著においてもその人柄の良さがでています。
少し古い本ではありますが、東日本大震災直後に書かれており困難に打ち勝つためにエッセンスが詰め込まれています。
人はみな自分のことが分かっているようで分かってない。家電製品も取扱説明書を読んで初めて気付くことがあると思います。この例のように「自分の取扱説明書」を読んで初めて気付くことがある。では、どうすれば「自分の取扱説明書」を手に入れることができるのか?
松岡さんは、日記をつけることを推奨しています。
・気分が落ち込んだこと。
・気分がよくなったこと。
・何をしたら体調がよくなり、又は悪くなったか。
時系列でまとめておくと、客観的に自分のことを知る手助けになるとのこと。
「真剣」と「深刻」は紙一重のことですが、プロスポーツで「楽しんでプレー」をすることにおいて怒る人がいるそうです。怒る理由が、「真剣」にプレーを行っていないと感じてるそうなのです。松岡さんは、「真剣」と「深刻」が紙一重であると感じおり、不安や恐れを払拭して集中するために必要である。そのため、「楽しんでプレーをする」行為を批判するのは間違っていると論じています。
この辺は、自分も同じ考えです。「楽しむ」ことは、仕事を行う上でモチベーションや努力する上で必要なことだと日々感じています。本番において「楽しむ」くらいの心の余裕を持つことは非常に大切なことだと思います。
良い条件が良い環境ではない。これは、北京オリンピックで銅メダルをとった松田丈志選手のエピソードで語られています。本当の自分がやりたいことを聞くことを怠ると、自分探しの迷路に陥ってしまうとのこと。
日記や「自分の取扱説明書」を用いて自分と向き合う時間を作ると、自分の心の声を聞く力が養われるそうです。
この辺は、本当に反省の反省を行わなくては。特に昨今ですね、自分の心の声を聞くようになったのは。
己を知り敵を知れば百選危うしからずという言葉あります。この己を知ることは、非常に大切です。自分を過大評価もしなければ過小評価もしない。自分の欠点は自分の長所を伸ばすことで欠点を克服していく。
長所を伸ばすために、頑張ることはカッコいいことであり、頑張るということは坦々と反復することを惜しまないことである。
・・・まったくもってその通りだと納得してしまいました。
言葉は願掛けでもあり、呪いでもある。だから、ポジティブの言葉は口にだしてはいけない。
やることをやって、それでも状況が変わらなかったら。リズムやテンポに変化つけるという全く新しいことを行う勇気も必要である。
「有り難う」と「難有り」
松岡さんの交友の中でプロ意識が高い人ほど「感謝する」気持ちがあるそうです。困難とは出会いたくないは「本音」としてはそうです。しかし、困難があるから、知恵を絞りたくましくもなるという事実も忘れてはいけない。
そして、その困難に乗り越えたのは自分自身だけの力だけではない、だから感謝する。
本書では、イチロー選手の話が出てきますが、イチロー選手は本当にグローブやバットを大切にするそうです。イチロー選手の練習はストイックで有名ではありますが、彼が活躍できるのはグローブやバットという道具があるから。
感謝の言葉である「ありがとう」は漢字を入れると「有り難う」。「難」が「有」る時ほど感謝の気持ちを忘れないことが大切であるということでしょうか。
そういえば、イエスキリストも「汝の敵を愛せよ」という言葉を残しています。
人としての心持ちとして、本当に大切なことなのかもしれません。 続きを読む投稿日:2015.05.10
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スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン―人々を惹きつける18の法則
カーマイン・ガロ, 井口耕二, 外村仁 / 日経BP
この本を一言で表すなら「君も技術を習得すれば、スティーブ・ジョブズになれる。」だ。
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亡くなったスティーブ・ジョブズといえば、業績が悪化したアップルを立ち直らせた優秀な経営者。数々の魅力的な製品を生みだしたデザインセンスの持ち主。そして、彼が行う魅力的なスピーチからなるプレゼン。これら…が、あげられるだろう。
我々が彼のように会社を興し世界的大企業に育てることも、iPhoneのようなヒット作を生み出すことも現実的には考えて非常に難しい。しかし、彼の魅力的なプレゼンだけは技術を学び練習することで実現できる。
iPhoneを真似て製品を販売すれば非難さるが、逆にプレゼンに関してはジョブズの真似をした方が評価される。プレゼンを素晴らしいものにしたいと頭を悩ませている者にとって、朗報のなにものでもない。
ジョブズがプレゼンを計画するうえで、どのような考え方をもっていたのか。実際のプレゼンでどのような技術を盛り込んだのか。そして、ジョブズの真似をして、プレゼンを成功させた話しが描かれている。
そして、もう一つ大事な要素が練習である。「えー、練習しないといけないの?」と、嘆いた人は諦めよう。なぜならば、ジョブズは、練習を非常に重要視しているからだ。練習を続ける秘訣はただ一つ。それは、プレゼンを大好きになることである。
さて、あなたがプレゼンを行う理由は何か。あなたの考えを相手に伝えるため。素晴らしいアイデアを知ってもらうため。それとも、素晴らしい商品を世に知らしめるためであろうか。それが理由ならばそこには、喜びがある。ならば、大好きになれるはず。
もう一度、繰り返そう。ジョブズのようなプレゼンを行う為には、カリスマは必要ない。必要なのは、技術であり、練習なのだと。 続きを読む投稿日:2014.12.13
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決断の作法
桜井章一 / SB新書
しがみつかない人生を送るには
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これは、とある人から薦められた本です。
某所のレビューだと、評価はビックリするほど低いのですが、評価が真っ二つに割れる本はかえって興味がそそられましたので、購入しました。
本を読んだ感想では、評価を高…く付けた人の意見も理解できますし、評価を低く付けた意見も理解できました。
この本に「何を見つけられるか?」で、判断は180度違ってきます。基本「自己啓発」の範疇で評価するなら、自分も価値はなしと評価を下します。
ただの「雀荘の親父」である著者が、「自分なりの信念」を貫いてきたことで、読み手がどう感じるか、そして自分とは違った世界を見ている存在を知って、自分はどう考えがあるのか? そういう起爆剤にはなりました。
「友人」と「仲間」の違いは何か? など、改めて考える人はなかなかいないと思いますが、本著を読み進めていくとそういうことを否応なく考えてしまいます。「仲間」はともかく、「友人」の考えは残念ながら著者とは違う見解になりましたが、そういう気付きができた点でも読んだ価値はありました。
タイトルにある「しがみつかない人生」も著者に反発や共感を持ちながら、いじめや労災認定された「自殺」について考えてしまいました。 続きを読む投稿日:2016.12.04
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虐殺器官
伊藤計劃 / 早川書房
言葉はツールじゃない、進化の過程で手に入れた器官だ
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著者である伊藤計劃氏のことは、全くもって知りませんでした。そして、既に他界されていることを知って本当に残念でなりません。
テロを防ぐために、生体認証であらゆる生活活動が管理された世界、そしてテロで当た…り前に核爆弾が使われた世界。我々の今の世界が、このまま突き進めば、この世界は本当の世界になるのではないか? そんな恐怖をうまく演出してくれています。これは、2015年のパリのテロがあった後に本を読んだからより一層そう感じたのは否めません。作者が作品を手がけた時代背景も大切ですが、読者が本を読む時代背景によっても作品の評価が変わる。文章にしてしまえば、当たり前のことですが、それが手に取るように実感してしまいました。
主人公はアメリカの情報将校で主な仕事は暗殺。ストーリーはある小国の広報担当を受け持っている民間人の暗殺を行うところから始まります。ここではこの世界の技術水準の高さを説明しているのですが、形だけのセキュリティの弊害を笑い飛ばしているようにも感じられました。
結果的にターゲットはこの国から脱出しており、主人公の作戦は失敗してしまいます。そして、このターゲットを追いかけることから本当の物語が始まります。
ターゲットが暗殺される理由。それは、ターゲットが侵入した国は、必ず自国民を虐殺し始める。
それゆえに、世界の警察たるアメリカは、ターゲットを暗殺する。
実際はそんな簡単な話ではありませんが、本を読む楽しみを奪うことになりますのであらすじの紹介はここで終わります。
私がこの作品で気になった部分、「言葉はツールでなく、器官そのものである」。これは、学術的根拠は一切ありませんが、この考え方に衝撃をうけました。
言葉が器官だなんて、ネタバレもいいとこ? と、ならないようには配慮していますから、安心して読み進めてください。
遺伝子によって、ある細胞が脳や腸や心臓が生成するように、言葉も遺伝子によって作られる。
また、人間の思考は言葉によって遮られない。認識をする上で言葉を利用しているだけであり、思考そのものは言葉などの制約に邪魔されない。
作中では上のようなやり取りがされて、そんな馬鹿な−! と、思いながらも、アインシュタイン等の天才達は「イメージで思考をしていた」数式や言葉は思考した結果をまとめるのに使っただけに過ぎない。と言われ、思わず納得。
結局は「卵が先か、鶏が先か」として扱われ結論は出してませんが、現実の世界でも脳の機能は謎だらけ。いまだに「幽体離脱が現実として確認されてるから科学として扱うべき」「脳を介さない精神活動なんてナンセンス、それは非科学」が争っている中、真面目に言葉は遺伝子から生まれたと話をしても良いのかもしれません。(ブレーンストーミング的な感覚で)
最後に、ターゲットが侵入した国を虐殺させる理由が明かされます。
それは、反戦作品の永遠のテーマに直結していると思えてなりません。
ターゲットが行った行為はとうてい許されるべきものではないのですが、心情的には同情してしまいます。
余談
昨今、人口知能やロボットに関する書籍が増えてます。これらの本は、昔と違って人間のサポートではなく、人間に置き換えることができるがメインとなってきてますね。「虐殺器官」では人工知能の研究が進めば進むほど、置き換えは不可能であるため「人間は高価」なものと位置づけされています。
将来どうのように未来が進んでいくのか、見物です。 続きを読む投稿日:2016.01.11
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世界が憧れる日本人という生き方
マックス桐島 / 日本文芸社
古い本ではありますが、アメリカ人の鋭い分析には舌を巻きます
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まず最初に説明を、自分が読んだ本は電子書籍版で昨年に発行されたものです。元は2012年に発売された「世界が憧れる日本人という生き方」を再編集されたものです。
著者はハリウッドでプロデューサーをして…おり、東日本大震災を境に仕事仲間の日本に対する評価が変わった話。そして、彼らと話をすることで、著者自身が日本の再発見をしていく様子が描かれています。
特に日本に対する評価が変わった話は、単純に日本が凄いで終わらすのではなく、「日本人とは何なのか?」という分析を彼らなりに行っていく行程が、他の同様な本と一線を越えた価値を与えてくれています。その価値というのは「彼らの主観が入った分析」です。主観が入ってますから、もちろん偏った考え方も見受けられますが、それだけに本音が感じられるところがありあます。
また、著者の仕事仲間であり友人の従兄弟が、アメリカ海軍のでの作戦中のエピソードに衝撃を受けました。オペレーショントモダチで、福島での行方不明者の捜索活動で、見知らぬ老婆がお礼の言葉とおにぎりを差し入れてくれたのです。任務とはいえ、瓦礫の山から行方不明者を捜すのは重労働であり、疲労も蓄積するでしょう。その時に、そんな時に被害者から施しを受ける。米軍の若い兵士は本当に感動したそうです。そして、自分がその老婆の立場だったら、自分の水や食料が乏しい時に、見知らぬ人に食事を分け与えることが出来るのか? 思わず自問しつつ、こういう高潔な人間でありたいと思わずにはいられませんでした。 続きを読む投稿日:2016.10.15
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くちびるに歌を
中田永一 / 小学館
運とは人との出会いで切り開かれる。
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いやー、面白かった。単純に合唱部の男女仲が悪くなったのが、ある出来事で一致団結してハッピーエンドを迎える作品ではないからです。そして、この作品に出てくる大人は決して格好良くありません。良くも悪くも子供…達より経験があるだけの一人の人間として脇を固めてる存在であるため、子供達の心情の変化が「大人」の干渉で歪められた印象がないのも楽しめた要因だと思います。
物語は合唱部がNHKの合唱コンクールに挑戦することを軸にして進んで行きます。
合唱の構成が女子のみと男女混合では、コンクールの課題曲が変わるというのも初めて知りました。
男女混合の課題曲は「手紙」。歌詞の内容は15年後の自分に宛に手紙を出すという内容なので、歌詞の内容を深く感情移入できるよう、合唱部全員に15年後の自分に手紙を書くよう宿題を出されます。この宿題が物語後半に深みを与えています。
生徒一人一人が主人公ではありますが、たぶんメインの人物を一人あげろと言われたら、「桑原サトル」が最有力でしょう。
彼はある意味事故で合唱部に入部することになりましたが、人と出会いを重ねることになります。出会いを重ねる事に彼は成長していきます。
スティーブ・ジョブズの言葉に「運とは人と出会うこと」や科学的に運を検証した矢野和男氏の「データの見えざる手」でも運は人との出会いでもたさらされると結論付けています。
彼は、この作品の前と後では立ち位置や人生そのものはなんら変わっていませんが、見える世界は確実に光り輝いていることでしょう。
読後は、本当に心地より気持ちになれました。 続きを読む投稿日:2016.04.02