水に眠る恋
可南さらさ, 円陣闇丸
水に眠る恋
可南さらさ,円陣闇丸
リンクスロマンス
憎しみの深さ=愛の深さなんです。
事情があるとはいえ、高校時代に久住を裏切り・傷つけて彼の前から姿を消しても 彼への想いは消えず、今尚それを支えにしている尚哉。 裏切られた久住は絶望し、高校時代の尚哉の裏切りを仕向けた母・裏切った尚哉を憎み 彼へ憎しみをぶつけます。 尚哉への想いが深かっただけに彼への憎しみも深く、久住は再会した尚哉を陵辱することで 報復しようとします・・・ ”憎しみが深い”ということは、今もなお”尚哉を愛している”ということだと気づいた久住がとった行動は・・・ そして家族の反対、同性愛への偏見を恐れながらも、久住への愛を諦めないと誓った尚哉の決断とは・・・ 「・・・あれしかないんだ。久住との思い出なんて、もうあれしかないんだから・・・っ」 ここで涙腺が大崩壊でした。やられましたぁ~(T_T) (気になる方は、購入して読んでくださいね。サンプルだとこのセリフはおそらく出てきませんから・・・) 互いの想いが通じ合ったあとも、山あり谷あり・また離れ離れになったりで なかなかハッピーエンドにはなりません。 が、そこはもう二人の想いがガッチリ通じ合った時点で、恋愛のグレードもアップして 愛の深さに愛の寛容さが加わった感じです。「よかったね~」と思えるエンディングでした。 イラストは円陣闇丸さんなんですが、残念ながらこの電子書籍版にはイラストが付いていません。 表紙のイラストも小さく、せっかくステキなイラストなのにもったいないなぁと思います。
2投稿日: 2014.05.08
妖奇庵夜話 空蝉の少年
榎田ユウリ,中村明日美子
角川ホラー文庫
マメくんに初めてのお友達ができました。
伊織さんと芳彦さんに隠れてコッソリと世話していた野良猫”にゃあさん”を通じて知り合ったマメくんとテル。 マメくんの初めての友達が洗足家に遊びに来る!伊織さんと芳彦さんは、ソワソワしながらテルを迎えるべく 準備に走り回ります。・・・伊織さんまでがソワソワしている風景は微笑ましくなりました。 相変わらず脇坂君は伊織さんに「馬鹿だねぇ」って言われてますが、今回はそれに「ウルトラ馬鹿」と 「ヌケサク」が加わりました・・・久しぶりに聞きました「ヌケサク」って。 伊織さんと脇坂君のポンポン掛け合う会話が、ストーリーの悲しい結末を和らげてくれているように思います。 今回のストーリー終盤で青目”トラブルメーカー”甲斐児が、何の妖人なのかが明らかにされます。 前の巻でもそう感じたのですが、人間の業って恐ろしいものだなぁと思いましたねぇ。
2投稿日: 2014.05.05
妖奇庵夜話 その探偵、人にあらず
榎田ユウリ,中村明日美子
角川ホラー文庫
伊織の話し方が気に入ってます。
伊織の話し方が「いかにも”茶道のお師匠さん”」という感じで気に入ってます。 キャラクターによっては、オネエっぽくなってしまうのですが、 伊織が凛とした姿で描かれているので、まったくオネエっぽくは感じませんでした。 物語はある女子大生の監禁・殺人事件の犯人が、妖人ではないかとインターネット上で話題になり 妖人のDNAを持つ伊織の元に捜査協力の依頼がくるところから始まります。 伊織の家人・芳彦、家事見習いのマメ、捜査協力を依頼する刑事・鱗田と新米刑事・脇坂、 そして事件解決の鍵を握る妖人・青目・・・暗くなりがちな中に、おバカな新米刑事脇坂の能天気な性格と 家事見習いのマメの可愛らしさが物語の緩衝材になっていると思います。 今回登場するマメの友人で、妖人の座敷わらしの決死の行動には泣いてしまいました。 ”つのつののおかし”・・・食べたくなりました。
1投稿日: 2014.05.03
朧月市役所妖怪課 河童コロッケ
青柳碧人
角川文庫
妖怪は出てきますが、明るい内容です。
念願の自治体アシスタントに登録しても、競争率の高さから派遣先が決まらないのでは・・・と半ば諦めていた秀也。 しかし神は味方し、赴任先がG県・朧月市役所に。さっそく朧月市に赴いた彼は、怪しい部署に配属となった。 「妖怪課」町に跋扈する妖怪と市民とのトラブル処理が仕事・・・初出勤日早々にとある妖怪に憑かれる、 先輩から顔に呪文を書かれる、トラブル処理の最中に別の妖怪からメッセージを受け取る・・・ などなど前途多難なスタートでした。 物語が進むうちに「秀也がなぜ朧月市に派遣されてきたのか?」理由がわかってきます。 連続もののようなので、妖怪課の仕事の内容や妖怪の説明などが大半を占めています。 しかし説明調ではなく、妖怪課の先輩たちから語られる文章なので、飽きることはなく読み進められました。 次巻も期待してます。
6投稿日: 2014.05.03
賭けはロシアで 龍の宿敵、華の嵐 電子書籍特典付き
樹生かなめ,奈良千春
講談社X文庫
振り回される、藤堂。
本編は読んでいないのですが、このスピンオフだけ読んでも大丈夫でした。 読了後に本編が気になって、今度はそちらも読んでみようかなと思いました。 藤堂の「振り回されっぷり」とウラジミールの「藤堂命」の表現方法が半端じゃないです。 さすがロシアン・マフィア・・・ ロシア語の読みにくさに苦戦しながらも、楽しく読むことができました。 ふたりの今後が気になります。
0投稿日: 2014.04.29
にゃんこ亭のレシピ4
椹野道流
講談社X文庫
なぜ第四巻だけ?
ゴータが経営する料理店「にゃんこ亭」を舞台に、同居人でパティシエのサトルと共に 銀杏村を守る神・おきつね様の子供コギの里親となり、村の住人たちに助けられながら暮らしています。 第一巻では、ゴータがなぜにゃんこ亭を始めたのか、サトルがにゃんこ亭のパティシエになったキッカケと コギが生まれ、おきつね様がゴータとサトルにコギを預かってほしいと依頼されたことが書かれています。 第三巻で三人の間に少し波風が立ちますが、その波風も銀杏村の不思議な力で収まってしまいます。 それにしても、Sony Readerさんは何故第四巻だけ出したのでしょう? 各巻は読みきりですので、第四巻だけでも楽しめますが・・・ 私は気になったので、第一~三巻は紙の本を入手して読みました。 作者のあとがきでは続編があるような感じで書かれていたので、続編を期待しています。
3投稿日: 2014.04.29
鬼灯の冷徹(1)
江口夏実
モーニング
地獄の業界用語満載!
偶然深夜のTV放送を見て、気になって読んでみました。 まさにタイトル通り、冷静で冷徹な鬼灯。 でもお茶目な一面もあり、融通が利かないようでいて柔軟な考えの持ち主でもあります。 彼がなぜ鬼になったかという理由が解れば、冷徹になったのも頷けました。 周りの鬼たちや閻魔大王を適当にあしらう様子は、ちょっと笑えます。 地獄の専門用語や古代史関連の登場人物が満載で、読むのに一苦労しましたが それでもなお、面白さが勝って読み進めることができました。 続きが楽しみです。
1投稿日: 2014.03.24
赤毛のアデレイド
ベティ・ニールズ,小林節子
ハーレクイン・イマージュ
ベティ・ニールズの原点。
ベティ・ニールズのデビュー作品。 有能な小児科担当の看護師・アデレイド。 イギリスとオランダの病院の間で人事交流の話が進み、 オランダへ行くことになった彼女がオランダ行きを即決したのは、 オランダから彼女の仕事ぶりを見たファン・エッセン教授の熱心な説得が理由。 それは、彼女が自分でも気づかない想いの始まりでした。 ベティ・ニールズの物語の定番であるイギリス人の看護婦とオランダ人の医師の恋物語。 デビュー作だけあって、他の作品に比べて文章が少し硬い印象です。 しかし堅苦しさはなく、寡黙で皮肉屋の医師と有能で優しい気持ちを持つ主人公のふたりが 想いを通じ合うまでの紆余曲折な展開を丁寧に描いています。 私がハーレクインに夢中になるキッカケとなった作品です。
1投稿日: 2014.03.13恋するしっぽ
高将にぐん
恋するしっぽ
高将にぐん
プリズム文庫
”あばたもえくぼ”です。
垂れ目に八重歯、気弱に下がる太い眉・・・女の子であればチャーミングポイントになりうる顔立ちですが、 男の子にしてみればちょっとどうなんだろう?と思うような風貌の主人公の俊太。 子供の頃に同級生から言われた一言が、社会人になった今でも心の傷になってしまった彼には 自分の容姿を隠せる仕事・・・着ぐるみ”ベリ子”は、まさに願ったり叶ったりのものでした。 そんなベリ子の正体を知りたいと思う、園内のヒーローショーに出演する人気俳優・響ですが、 こともあろうにその正体探しを当人の俊太に頼みます。園の規則もあり、着ぐるみの中の正体は明かせません。 ましてや響は、ベリ子の中に入っているのは女の子だと思っているので、俊太は尚更本当のことを言えません。 俊太は、響と接してゆく中で自分の想いに気付きますが、相手も男性のうえに自分の容姿にコンプレックスを持つ彼は、片思い決定だと確信します。 一方響はというと、ベリ子の中の人物探しとは別に、俊太のことも気に入っている様子。 ベリ子の正体が俊太だと判っても、ガッカリするわけでもなく今までと同じく彼と接します。 俊太はあるとき、ベリ子の正体が自分だと判ったときにどう思ったかを訊ねると、彼はこう言います 「君だと判ったときに”道理で惹かれるはずだ、と思った」・・・ベリ子(想像上の彼女)と俊太(現実の彼)が 同一人物だったと知った喜びの言葉が、そのまま響の告白の言葉でした。 晴れて両思いになったと思った俊太ですが、そこはまた響が人気俳優だということでひと騒動ありますが、 最後にはふたりで楽しいクリスマスを過ごします。 もう一編は、表題の続編です。ラブラブな俊太と響の日常ですが、人気俳優である響の出演しているドラマに 魅了されつつ、ちょっぴりジェラシーを感じて拗ねている俊太が可愛かったです。 響がちょっとSの気があるかも・・・。
1投稿日: 2014.02.19右手にメス、左手に花束
椹野道流, 加地佳鹿
右手にメス、左手に花束
椹野道流,加地佳鹿
シャレード文庫
これが始まり
この「右手にメス・・・」シリーズは、これが第一作目で江南と篤臣の出会いから恋人になるまでのお話です。 大学の入学式で隣同士だった江南耕介と永福篤臣。そこから友情はスタートするのですが、 江南は篤臣に特別な感情を持つものの、告白して篤臣に嫌われるのを恐れて親友としての立場で接します。 しかし、篤臣のちょっとした仕草に江南がそそられてしまうわけですが・・・それに気付かない篤臣は鈍感すぎる。 でも、いい加減シビレを切らして襲ってしまう江南もちょっと・・・という恋愛としては最悪なスタートだったわけで。 この最悪なスタートで一旦ふたりは疎遠になり、ある事故がきっかけで篤臣が自分の想いに気付き始めます。 そして周囲の仲間や先輩の応援を受け、篤臣は江南に気持ちを伝えようと動き出します。 これからも続いてゆくであろう二人の日常を丁寧に描いている作品です。 怒る篤臣を江南が宥めようとする場面がよく登場しますが、江南の関西弁がやんわりと篤臣を包み込んで 篤臣の怒りを静めるところは、ほのぼのとした気持ちになりました。
0投稿日: 2014.02.06
