中国4.0 暴発する中華帝国
エドワード・ルトワック(著)
,奥山真司・訳(訳)
/文春新書
作品情報
2000年以降、中国は三度、その戦略を転換してきた。「チャイナ1.0」 =平和的台頭「チャイナ2.0」 =対外強硬路線「チャイナ3.0」 =選択的攻撃来たる「チャイナ4.0」とは、どのような戦略なのか? そして日本がとるべき道とは。戦略論の分野で世界的な名声を確立した本物のストラテジストが語る。戦略家ルトワックのセオリー・大国は小国に勝てない・中国は戦略が下手である・中国は外国を理解できない・「米中G2論」は中国の妄想・習近平は正しい情報を手にしていない・習近平暗殺の可能性・日本は中国軍の尖閣占拠に備えるべし
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商品情報
- シリーズ
- 中国4.0 暴発する中華帝国
- 著者
- エドワード・ルトワック, 奥山真司・訳
- 出版社
- 文藝春秋
- 掲載誌・レーベル
- 文春新書
- 書籍発売日
- 2016.03.18
- Reader Store発売日
- 2016.03.18
- ファイルサイズ
- 0.8MB
- ページ数
- 208ページ
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この作品のレビュー
平均 4.2 (35件のレビュー)
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大国を相手にするときの小国の心得
中国は毛沢東主席の死から今日まで チャイナ0, 1.0, 2.0, 3.0という段階を超えて世界に台頭してきました。
特に中国の世界戦略上、成功ともいえる チャイナ1.0の時代、諸外国の人々は 中国…に脅威を感じることはありませんでした。
しかし、その後、2.0の時代に入ると世界の反応は一転、中国を政治、経済、平和への脅威とみなすようになります。
エドワード・ルトワックは歴史上、大国が陥った戦略上の失敗をもとに、今後のチャイナ4.0と世界、特に日本のかかわり方を示唆しましす。
中国の情勢を読みつつも 世界の歴史の裏側を読み解く道しるべとなる本です。
ちなみに、日露戦争で なぜ、日本が大国ロシアに勝つことができたのか、また、隣国が何故、日本を恨み続けるのかなどについての指摘も 面白くかかれています。続きを読む投稿日:2016.04.08
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大国になりたい中国
中国1・0
2000年頃の中国は改革開放を継承した江沢民が経済を優先し、実質的な資本主義経済へと舵を切った。反日教育のイメージが強いが、WTOに加盟し、国際法も順守する。中国は台湾を含めた周辺国に対…し平和裡に台頭するという戦略を実行した。
中国2・0
リーマンショックにより中国は経済力で世界一になるのに後10年でできると思い込んだ。第一の錯誤は「金は力なり」つまり経済力が国力そのものだと思い込んだのだ。中国国内では今でもこういうところがあるので無理はないのかもしれないが経済力に国力が追いつくには50年以上かかるのかもしれない。例えば空母だけをとっても中国がアメリカに追いつくには20年以上かかる。
第二の錯誤は「リニアな予測」China up,US downを信じ、ゴールドマンサックスのBRICsという投資のアイデアに世界中が踊らされたがこれを信じたウブな中国は「これからはわれわれが物事を決定する立場に移るべきだ」と考えた。その例が元は蒋介石の国民党が絵を描いた荒唐無稽な九段線だ。
そして第三の錯誤が「二国間関係」で物事を決められると考えたことだ。領土問題では中国はいつも二国間での解決を主張する。しかし小国が中国と揉めれば周りの国は次は我が身と小国に味方する。
胡錦濤は国内の「あまりに抑制的で中国の力を十分に発揮していない」という批判を受け対外的に強硬な姿勢を示すようになった。ルトワック曰く「ロシアは戦略を除いてすべてダメだが、中国は戦略以外はすべてうまい」日本に対しても巨大市場の中国を重視する企業が政府に圧力をかけ、腐敗した政治家はビジネスマンの言うことを聞くと言う幻想を抱いた。
中国3・0
2014年秋、反中同盟に気づいた中国は方針を変更した。それが「選択的攻撃」で抵抗のない相手は攻撃し、抵抗されれば止める。尖閣問題でも領海内への侵入は抑制されている。ロシアが国際社会の反対を無視してクリミア半島を実効支配したのに比べれば、中国が尖閣を自国領にするための実力行使はない。主張していれば国内では問題にならないからだ。アメリカの航行の自由作戦を中国は邪魔しない。航空識別圈を定めたが実際には守ろうとしない。
権力を集中させる習近平は反腐敗運動で10万人の党幹部を捜査し、人民解放軍トップ二人を逮捕した。徐才厚についてはガンで死期が近い入院中に逮捕しており極めて強硬な姿勢だ。天津爆発事故では習近平暗殺説が流れたが、これは一般市民も習近平がリスクを背負っていることを知っているということだ。結局中国は米国との「新型大国関係」G2を目指したが果たせなかった。中国3・0は今も続いている。
中国の第一の敵はアメリカ、アメリカが中国を敵視していると言うことではない。中国からすればアメリカは民主的にドナルド・トランプを大統領に選ぶ不思議の国だ。これは中国では起こりえない。薄熙来がいかに人気取りを実行しようとも大統領にはなれないのだが、アメリカはそれを許す国でそのこと自体が中国に影響を与える。
第二の敵は習近平その人だ。共産党を腐敗から救おうとする習だが反腐敗運動は共産党のパワーの元であるカネの流れを止め、求心力を失わせる。ゴルバチョフ同様に共産党を改革しようとした結果が共産党の解体に繋がりかねない。毛沢東時代の求心力はイデオロギーだったがもうそこには戻れない。カネという求心力を失えばこの本を読む限りでは大国意識しか残らないのだろう。
中国4・0
戦略がうまくない中国にルトワックが勧めるのは2つ、九段線を引っ込めること、空母の建造を止めることだがこれは受け入れられないだろうとルトワックも中国国内では政治的に受け入れられないだろうと考えている。だが、荒唐無稽な九段線も寄港地を持てない無駄遣いに終わる空母も、小国を反中国で団結させアメリカに近づけるだけなのだ。パキスタンやスリランカに寄港地を持ったところで南シナ海からインド洋をすべて敵に回しては実際には使えない。
では日本はどうすべきか、「封じ込め」と書いてるが要はリアクションだ。そのためには尖閣を守れるようにハードとソフト(法整備)を備え、外交的にも連携する。トランプの対中関税障壁のように中国がアクションを起こしたら、欧米やアジア各国が一致してグローバルな貿易取引禁止状態を作るように準備しておく。最大限の確実性と最小限の暴力を多元的に発揮できるように準備しておくべきだと言う。
結局中国の問題は過去100年の恥辱を乗り越えるためには大国として特にアメリカに認めさせないといけないという感情と、一旦言ったことは取り下げられないという面子、そして自国を基準にする限り外国を理解できないということになるのか。難儀なことだ。続きを読む投稿日:2018.09.03
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