
総合評価
(514件)| 281 | ||
| 150 | ||
| 41 | ||
| 2 | ||
| 2 |
powered by ブクログ本の厚さとは異なり、没入して読み切った。 3人の登場人物がそれぞれ悩みを持ちながら、 何に自分の人生・時間を捧げ生きていくか?を葛藤しながらそれぞれの形で進んでいくところが面白かった。
11投稿日: 2025.10.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
一つのテーマについて3者の視点で物語が展開していて、それぞれ提供する側、提供される側、提供された側で物事が繋がっている。 現代の推し活文化について広い視点で考えさせられる。 ファンダムは近年のマーケティング分野でも注目されている文化なので、推し活のみならず色んなところに通ずる話だと思った。 正直推し活する人に対してなんでそんなにお金も時間もかけるのだろう?と思っていたが、読み終わってみて、孤独だからこそ時間を忘れて何かに熱中するものを人は欲しているところにどこか共感を持った。 それは推し活に限らず自身の趣味に関しても言うことができるなー
5投稿日: 2025.10.05
powered by ブクログちょっとすごすぎた…2025年ベスト1位かも。 まさに今の日本の話。 推し活に心血を注ぐ人、MBTIに囚われる人、日本弱体化を信じる人、そして信徒的な熱狂的なファンを生み出すための仕組みを作る人。読み進めるほどに世界がひっくり返っていく。 推しがいなくて、且つオタク向けのアイドルコンテンツを作る側の仕事もしている私にとっては、「これって本当の話なの?!」とゾッとしてしまうような部分もあった。実際にオタクをしてる人の感想も聞きたい。 とか言いつつ、朝井リョウさんのエッセイを布教しまくり、トークライブやメディア露出を楽しみにしている私も、朝井リョウのオタクになりつつあるのかもしれない…
7投稿日: 2025.10.05
powered by ブクログこの中年男性の生き方、孤独への過程をなぞってかなりゾッとした。 今自分は22歳の男でこれから社会人として働き盛っていくつもりだったし、もちろん今もその気概に躊躇はない。 しかし、このままただ働くことだけを考えて生きていくと今まで小中高大と仲良くなった友人たちは自分が40歳を過ぎる頃には連絡すら取らなくなってしまうのか、、、(今までしなかったことが返ってくる) 『今の自分の暮らし、友人との連絡頻度からは考えられないし大丈夫!』くらいに最初は考えたが、 実際に自分の父がどうだったかを振り返ってみると、母はよく友人とお茶をしたり出かけたりしていたのに対し、父は職場の人と飲みに行くくらいで古くからの友人との付き合いをあまり頻繁にはしていなかった。 はぁ、これからブルブルしながら働くのかぁ^_^ ・視野を狭める(何かに熱狂する、自分の全てを捧げる、時には間違いとも取られる)、 ・視野を広げる(俯瞰して、時に冷笑する、ミスをしない) この二つのバランスをとって生きることの難しさといったら、、、 それを突きつけられた作品。 そして今の市場、マーケット構造についてもわかりやすく伝えてくれた。
11投稿日: 2025.10.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
よかった。すごくよかった ドキドキしながら読んだ まさに現代の話だったので、数年経ってから読んだらまた違ってみえるのかな ズレた感想かもしれないが、自分のなかでいいと思っても結局間違えることもあるよな…と過去を振り返ってしまった
4投稿日: 2025.10.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
朝井リョウやっぱり面白すぎる。まず、ファンダムの5類型がわかりやすくて的確だと思った。国見みたいな切れ者が業界にはいっぱいいるのかな〜。澄香と父親は距離感こそ遠いけど視野が狭くなりやすい点で似てる。周りの子とはひと味違うと信じてた娘に、留学費用だと思ってせっせと振り込んだ大金が自分の関わった推し活に注ぎ込まれてたと知った父親はどんな絶望か、、そこの描写も見たかった。あと隅川が推し俳優の死から陰謀論にのめり込んでいく様が怖かった。途中で正気に戻りそうなのを、自ら視野を狭めてまで。人間はそこまでして連帯を求めるんだなー 推し活にのめり込んだふたりのすみちゃん、どちらも私生活が充実してないのも印象的。よく言われてることだけど。骨格診断とかパーソナルカラーとかMBTIとか、そういうのにがんじがらめになる感覚もよくわかる。 長いけど濃くて、全然飽きない作品だった。
5投稿日: 2025.10.05
powered by ブクログ初めての朝井リョウさん。推し活する側(登場人物ほどではないが)で生きてるけど、コンテンツを提供する側、受け取る側の視点を、こんなに言語化できるなんてすごいなぁと思いながら読みました。 あと、おまけ動画がなかなか面白かったです(笑)
7投稿日: 2025.10.05
powered by ブクログ人とつながる、とは?何か。親子、同僚、コミュニティごとにそのあらわれ方は変わる。 題名は、「アイドルの売り出しには、信者を養成すること。何も考えずひたすらおカネを出し、動画を再生し、追いかけをする、そのようなコアなメンバーを養成出来たら、売れる」というものをアメリカのメガチャーチでの布教になぞらえたもの。 ちょうど、アメリカのキリスト教について実際の歴史をまとめた「反知性主義」(森本あんり)を読んだところだったし、著者の前作「生殖記」がすばらしかったので手が伸びた。 人とのつながりは心のつながりのはずが…最後見事に裏切られる。
1投稿日: 2025.10.05
powered by ブクログ楽しみにしていた朝井さんの新刊。朝井さんの作品はエッセイ含め何冊か読んだけど、朝井さんの"令和の推し活"に対する物語がすごすぎて衝撃。正直、すごくわかる。わかりすぎて、怖い。私の推しグループは、まさにこういうヲタクの数が凄かったので、苦笑。
2投稿日: 2025.10.05
powered by ブクログ視野狭窄によって成り立ったアイデンティティはアイデンティティと呼べるのか。それともアイデンティティの喪失によって視野狭窄が生まれるのか。 ファンダム経済を3人の登場人物から描く。おもしろい。 今だからこそ読むべき本。
11投稿日: 2025.10.05
powered by ブクログ浅井リョウはサブカル描写がうまいなーと思う。 自分は絶対そっち側の人にはなりませんと思っていてもこんな風に沼にハマっていくのかもしれないと。 自分の周りのコミュニティでのポジションを維持したいという気持ちや使命感があっという間に搾取される側になるのだなと。 まさに洗脳。 まさに信者を作るプロセス。 人は物語に弱いのだと改めて感じる。 そして物語を知らず知らずのうちに求めてしまってるということも。 これも物語だったのか…という気付き、日常的にこれは何かの物語にハマってないか?とチェックしたい。
8投稿日: 2025.10.04
powered by ブクログ視点の狭窄、広がりが印象にのこっている 広げれば広げるほど、楽しみとか捧げるものとか、自分の立場が曖昧になる 狭いと逆に、立場に固執して動けなくなる どっちも諸刃の剣だけど、どっちも大切 意見を聞く時とかも、自分の視点、視野を把握して、相手と話すと話している世界が見えやすくなる気がする
7投稿日: 2025.10.04
powered by ブクログ・素晴らしい作品に出会えた。朝井リョウさんの作品から、自分の周辺で発生していることを知ることがなんて多いのだろう。 ・「推し活」に焦点が当てられている。「推し活」は一種のビジネス戦略として語られていくため、悪いものという印象が続いていく。本当に悪いものなの?という疑問を持ちながら読み進めていくと、仕掛けが存在していることに気づく。 ・人を動かすために必要なことは物語である。なんて強い言葉なんだろう。 ・クライマックスに近づくに連れ、物語の中心人物が重なりあっていく様はこの作品ではないと味わえない。 ・自分の人生を使いきりたい。朝井リョウさんがこの作品で1番伝えたいことなんだろうなと感じた。その熱が本から伝わってくるのを感じた。なぜなのだろう。 ・「推し活」の教科書的な魅力を感じた。 ・「推し活」をしている武藤澄香に自分を重ねることが多かった。私は誰かが憧れるような存在にはなれない。そのため、推される側ではなく推す側の人間であることに気づいている。ふと自分と澄香を重ね合わせ、何かを推すことの心の浮き沈みが垣間見れた場面に心を動かされた。
7投稿日: 2025.10.04
powered by ブクログ一気読み。そしてほろ酔いで読了。 エンターテイメント業界の仕事に興味があって、その裏側を知れて面白かった。 自分自身にのめり込めるひとって、一握り。 そうでない人が殆どで、そうなるとその対象は家族であることが多いのかもしれないしそれが一番健全なのかもしれないけど。その家族がそもそもいなかったり、また裏切られたり愛情を持てなかったり、その背景は人それぞれだから、外に同じ分量の持て余したエネルギーを向けることしか出来なくて、それが視野を狭めることになってしまっても、幸せを実感出来るものに縋りつくことで生きようと思えるのならいいんじゃないかなって思う。 正しさが曖昧な今の社会で、自分が信じるものを、信じたいものを見付けられたらそれは救いになる。 結局、人生に意味なんてない。無責任かもしれないけど、世界平和云々正しいこと言ったって、自分自身が息絶えた瞬間、その世界は終わるから。 でも、皆が「幸せな人生だったー使い切ったー」って終わる世界が、結局平和に繋がる気もしてる。楽観過ぎだけど。
5投稿日: 2025.10.04
powered by ブクログ離婚後孤独に苛まれる久保田慶彦47歳。内向的で繊細な気質ゆえ積み重なる心労に苦しむ武藤澄香19歳。舞台俳優の推し活に励む隅川絢子35歳。 ファンダム経済を仕掛ける側、のめり込む側、かつてのめり込んでいた側――世代も立場も異なる3つの視点で話は進んでいく。 「神がいないこの国で人を操るには、“物語”を使うのが一番いいんですよ」 離婚経験だけは無いが、3人のどの立場も気持ちが分かってつらい。かつて推し活にエネルギーも資金も注いでいたし、とあることがきっかけで心が折れ、その推し活も突然終わりを迎えた。寄りかかるものが急に失われたその直後は、やはり強くて声が大きくて正しそうに見えるものに引っ張られる。 読んでいて苦しい!なぜこんなにもリアリティを持って詳細に書くことができるのか!朝井リョウ! ページを捲る手が止まらない。でも結末を知るのも怖い。お手上げです!
11投稿日: 2025.10.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
一切内容を調べずに読み始めたのだけど、途中の訃報の場面で中断。 自分も同じような状況で推しの訃報を知った経験があるので、それがトラウマになっていて… その先が気になるものの、あの場面で当時がフラッシュバックしたような感覚になり、今後の展開も当時の自分の追体験みたいになったらと思うと怖くて… どうしてもそこから先を読み進めることができなかった。 あれからもう何年も経っているし受け入れたつもりになっててたけど、まだまだダメっぽい。 また文庫化される頃に読み直してみようと思います。
3投稿日: 2025.10.04
powered by ブクログ『脳を溶かす』『自分を使い切る』という強烈なワードで推し活に沼る側や沼らせる側の狂気を描く。 私は思い切り推し活できる人を常々羨ましく思ってるけど、してなくて別にいいやと皮肉にも自分を肯定できた。孤独ではあるけど。
4投稿日: 2025.10.04
powered by ブクログ個人的に今年1番面白かった! 本屋大賞筆頭! 推し活やカルト集団の熱量を行動経済学の視点で捉えているのが新鮮でした。 私も40代男性なので久保田に共感するところが多く、自分と重ねて読んでしまいました。 小説であり、自己啓発本であり、ビジネス書を読んだ気持ちになりました。 本題とは関係なかったですが 「砂肝を噛み砕く、ビールを啜る、顎に疲労が溜まっていく。」 の描写がリズム良くて好きです。
14投稿日: 2025.10.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
朝井リョウさん、作家生活15周年おめでとうございます!!! 朝井さんアクスタがあれば購入しますし、 書籍発売日を待ち構えるほどに生き甲斐として、 陶酔していたので、読み進めていくにつれて 「武藤澄香」のページで共感できる節があり、 誰にも知られていない腹の底が痛くなりました。 ブルームマイセルフ❁ パパ、大学生の娘、オタク。 共通項は、MBTIタイプで分けると 「内向型(Introversion)」、人との交流よりも一人の時間や、内省を通してエネルギーを回復する傾向があるタイプ。 また、少数と深く濃い人間関係を築くことを好み、内面世界を重視する特徴。 ただ、外見が静かで落ち着いているからといえ、社交的な場面では、外向的に振る舞うこともできるという点が、時に他人へギャップを持たせてしまうというところで、登場人物三者は、最終的に誰も恵まれないところが、恐ろしくもあり、人生って割とそういうものというか、誰しも理想として掲げるだろう「他人とは違う自分」を目指しても結局、元通り、混沌とした世界で何者にもなれなかったという暗澹たる自分に戻り、毎日がつまらないつまらないと叫ぶ自分に落ちるのか、 それとも好きなところは勿論、至らない自分自身もまるっと受け入れて、死ぬまでの暇つぶしを前向きに穏やかに、時に刺激に触れて、楽しく生きるのか。 人生における自分の立場や心の位置などが解決しない、何もなかったかのように、虚ろに揺蕩う最初のコマに戻ってしまうという、ある意味リアルホラーというか、大コロナ禍を乗り越えてSNSが大普及して、現実を切り離して、自分自身で自分の虚構を作りやすくしてしまった世界と、隣の青い芝生、比較していないつもりでも思考が自然になってしまった今、増えているメンタル疾患の理由のひとつでもありそうな、何もかもエスカレートしている現実でありそうな物語を一冊にまとめる朝井さん、最高です。 それに、たまに私もエスカレートして他ジャンルで誰よりもオタクでありたいって時があるので、客観的に自分を反省する本として、有難いと思いました。
9投稿日: 2025.10.04
powered by ブクログまず、読み始めて最初の 人生はこれまでやってきたもの(努力)が還ってくるのではなく、やってこなかったものが還ってくる という部分が、心に刺さりまくった。 ここから、この本のテーマは人生論とか自己啓発とかそんな感じかなと思って読み進めると、朝井リョウさんがそんな単純なテーマで小説を書くわけがなかった。 私たちは生きていく上で「物語」と「コミュニティ」を求めている。我を忘れ信じられる何かを欲している。 それが、仕事、子育て、恋愛、友情、勉学などの一見精神的に健康そうに見えるものが対象の人もいれば、宗教、陰謀論であったりする人もいる。でもそれらの根底にあるものは、脳みそが溶けるくらい没入できる何かが欲しいという万人の欲求であるということ。それが生きるということ。 読み終わった後も、なんだか悶々と考えさせられています。。。
22投稿日: 2025.10.04
powered by ブクログ面白かった!! 本にもあった通り「視野狭窄となり、物語に没頭して、自分を使い切る」ことが人間が生きていく上で、楽な状態なのだと知った。この本を読むまでは、推し活にハマる人の気持ちが分からなかったが、よく理解できるようになった。久保田さんの話を読んでいる中で、仕事以外で何か没頭し、周りとの連帯感を得られる趣味を見つけたいと思った。
3投稿日: 2025.10.04
powered by ブクログ他人事ではない、いかにも令和という時代にありそうな3人の人生を読んで焦りが生まれた。 人はなにかに酔ってる、視野が狭まっている時の方が何も考えなくて気持ちいいのだと感じた。 読んでいて、もしかすると自分も3人のうちの誰かのような人生を歩むかもしれない思うと気が重くなるが、挫折や失敗を恐れず生きていきたい。
4投稿日: 2025.10.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
最初は、前に読んだ朝井リョウの作品が面白かったのと、表紙がすごく綺麗だったのがきっかけで読み始めた。序盤は三つの物語がどう交わっていくのか、それぞれの立場でファンダムを作っている三人がどんな風に関わるのか不思議でワクワクした。 途中からは、ただのオタクの話じゃなくて、オタク経済全体や「人を動かす一番強力な物語」についての話に広がっていって一気に引き込まれた。熱烈な信者を生み出すことでコミュニティが成立していく仕組みは本当にリアルで、特に中高年が孤独に耐えられずに「連帯」を求める姿にはすごく納得した。一方で、強い連帯が逆に視野を狭めてしまうのも現実的だなと思った。 そういう人たちをターゲットにビジネスを展開するのは効果的だと感じるけど、同時にある種の洗脳や搾取にも見えてゾッとした。 全体としてめちゃくちゃ面白かったし、同時に勉強にもなる本だった。
3投稿日: 2025.10.03
powered by ブクログ幸せは人それぞれ正解なんて無いんだよと言われても 傍からみるとどんどんドツボにはまってく人たちが下手なホラーよりもよっぽど恐かった
4投稿日: 2025.10.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
血が出て痛いって分かってるのにかさぶたを剝がしちゃう、気持ち悪い虫がうじゃうじゃ居るって分かってるのに湿った土の上にあるデカい石をひっくり返しちゃう、みたいな感覚を味わう読書だった。 全編を通して、次から次へと繰り出される、ヒヤヒヤするような「あるある」を楽しませてもらった。そういう意地悪さは確かにあったけど、それ以上の誠実さをちゃんと受け取りました。 特に気に入ったポイント① コッテリめの陰謀論に傾倒してるヤベー奴だけど局地的にはかなり本質的なことを言ってる、その絶妙な匙加減のリアルさ。 「こいつマジで頭おかしいけど、このちっちゃな一点に限っては誰よりもホンマのこと言ってるやん」ってこと時々あるよね………狂人がバカとは限らない。世の中そんな単純じゃない。 特に気に入ったポイント② 「不安定な世界で我に返りたくない」「自分を余すことなく使い果たしたい」という欲求についてはっきりと説明されていてカタルシスがあった。 これまで、朝井氏の社会派な小説って説明パートが説明すぎて物語から浮いてるのが気になるんだよなーって思うこともあったけど、この作品に関してはこれくらいしっかり説明してくれたのが逆に良く機能してるように感じました。 この作品を「あるわ~~」ってリアルなヒヤヒヤ感を持って読めるのってあと何年くらいなんだろうね。 人に薦める時は『推し、燃ゆ』と併せて読むと良いよって言おうかな。悪趣味だけどおもしろいから。
5投稿日: 2025.10.03
powered by ブクログ推し活のめり込む側とそれを仕掛ける側。 そこには巧妙な物語が構築され、さらにそれにはインターナショナルな亡国論が。 ネット社会のスピード感が、推し活の熱狂と熱量のボルテージの上昇を助長し、ページを捲るごとに関係性が近づき交わり、ギュっと絞られ、ああ水分がしたたる瞬間。 作品は終わるが、登場人物の人生は終わらない。 上手いなぁ。
8投稿日: 2025.10.03
powered by ブクログ356〜357ページのちょうど跨ぎ部分、表現が狂気の沙汰で少しの間、息できなかった。泣きそうになった
6投稿日: 2025.10.03
powered by ブクログ朝井リョウってば‥本当に巧過ぎて怖い。 本書では、舞台俳優やアイドルの推し活にのめり込んでいく側と、そのブームを作る側、推される本人‥それぞれの“言い分”が、現実に起きていることの答え合わせのようで。 (なるほど、この状況で出会ってしまったら、沼ってしまうのも、無理ないわ‥)と、半ば諦めの境地。“推し”だけでなく、人生を賭けて夢中になる何かが有る人達を時には羨ましく思うこともあるけれど‥やっぱり私自身はこれからも、近過ぎて見えないと思ったらちょっと離れてみたり、遠過ぎて見えなかったら近づいたりしながら、熱狂的なブームからは無縁の人生の方が性に合っている。
16投稿日: 2025.10.03
powered by ブクログまず、ずっと心臓がぎゅーと握られている感覚! 最初の1周は引き込まれないかも?と思っていたけど、登場人物たちかのめり込んでいくように、2.3周目以降からはどんどん読み進める手が止まらなかった。 読んでいて、決して楽しいという感情でなく、どちらかというと本当に苦しくなるくらい、どの人にも、「この感情知ってるな」と少ながらず共感をてしまう解像度の高い描写はさすがだと思いました。 視野を広げても辛い現実だけなら、視野を狭めて思考を停止したいという不安、そして反対に、本質を追求しないといけないという恐怖を、 誰しもこのコロナ以降痛感したところがあると思う。 そして、この1年でtimelesz やHANAでオーディション番組がまた1ギア盛り上がり、彼らの物語に盛り上がっている今。 この世の中をここまでギリギリなラインの、そして知りたくはなかった本音を突かれた感覚です。 推し活にこめり込んでこなかった私でこんなに心臓が痛いなら、、、、笑 神がいないこの国で人を操るには、”物語”が1番いい。は本当に今必要な視点。「コミュニティ」「物語」は視野狭窄にさせて、原動力となりうる。チャーチマーケティング気になる!
11投稿日: 2025.10.03
powered by ブクログおじさんは孤独に弱い。コミニュティに飢えている。 レコード会社に勤める中年男性の久保田。 久保田の娘で、留学を夢に見ながらもその事に剥離を感じている澄香 俳優の倫太郎の推しに熱を捧ぐ隈川ことスミちゃん。 この3人を中心に展開されていく俳優やアイドルの推し活にまつわるストーリー。久保田はいかに(推し活をさせるか?)という上流から、エンドユーザーである澄香や隈川がまんまと、ハマっていくというあらすじ。 こう書くと久保田が詐欺まがいに彼女たちを陥れる感じだが、基本的にこの3人は交わる事はない。 血縁やネットなどありとあらゆる繋がりがあるにもが交わらない。繋がってない。故に孤独だし最終的には宗教のように推し活に熱狂していく。 一人一人の感想を上げていくと久保田自身も、おじさんのあるある?である家庭&職場での孤独感から、距離を縮めてきた若者に依存してしまう。それは、彼が嫌悪にも似た感情をもつ推し活信者となんら変わりがないように感じられる。自分の歳と近いのでだいぶ、共感できる。「自分の娘はこうなのに、推し活などする今時の若い子は、、、」と最後まで考えている のが非常に滑稽。 澄香は、幼い頃に優等生というレッテルを貼られ、常に背伸びをし、留学が夢という既に自分の性に合っていない事を自覚しつつ、進んでいく。大学の周りは周りはグローバル意識の高さが鼻につくやつらばっかり。勝手に集会のメンバーを変更してそれに不満をもつと「澄香はやっぱり、INEPだよね」とHSPのような性格診断の事をもちだしてくる。これを本人に向かっていうのメチャクチャ失礼な学友たち。 この私たち、正直に本音を口にしているだけ。 正論だから、正しいという圧の強さが非常に不愉快。 そして、彼女自身も見下しつつ父親の久保田に、推し活の為に金の無心をはかるのも浅ましい。 隈川は、倫太郎という推しの自殺から、イタコもどきのスピリチュアルにはまり、陰謀論に傾倒していく。 最初はいづみさんという推し活の人とまあ、健全というレベルの活動だったが、(それでも若干強火)、 tomoyoさんという人と知り合った事が陰謀論にまっしぐら。もともと、何かに傾倒しやすい人は宗教や陰謀論にハマりやすいという典型。最終的には多額の金銭を注ぎ込み、全身、自然素材という感じになりつつ、国防を憂うという右と左を混ぜたようなミクスチャーな感じになってしまう。 読後、推し活の深淵は理解はできるし、共感もできるが、それでも、賛同はできない世界だなぁと感じたなぁ。
43投稿日: 2025.10.03
powered by ブクログ朝井リョウの作品は、少なからず自分と重なる部分があるから読むのが怖くなる。 自分が深くまで考えていなかったことや見過ごしていたことを「今こうなってるんだよ世界は」と見せつけられている感覚。 推し活の話はもちろん、MBTIの話でドキッとさせられた人も多いのではと感じた。いるいるこういうMBTIに全部主導権握られてる人!!!!全部当てはまるわけないのに!!と思ってしまったからには次のページで自分に矢が向くのでは?自分の知りたくなかったことまで書かれているのでは?とビクビクしながら読んだ。 リアルタイムで蔓延しているネタが詰め込まれているからこそ絶対に"今"読むべき作品!!
15投稿日: 2025.10.03
powered by ブクログまたとんでもない小説を朝井リョウさんは。。小説でこんなに線を引きまくった本なんて、いつぶりだろう。衝撃でありフィクションであり、現代の日本を描いたノンフィクション社会派ルポ的でもあり、マーケティングのビジネス書よりエグいマーケティングの本でもある。こんなに人間の本質、書かないでくれ。となんだか切ない気持ちになる。本当にあってるんだっけ、こんな歪なファンダム経済の在り方、なんて思ってしまう。推し活で沼っていく人たちの実態、仕掛ける側の思惑、それを見る人たち。「今」日本で起こっていることのリアル。自分だって、学生時代に好きになったアイドルがいた。でも、今の「数を積む」という文化がなかった(と思うし)、こんなにSNSが発達していなかったから、ここまでおかしくなるほど沼にハマらないで済んだ、とも言える。今この時代、誰かのアイドルのファンになる、というのがちょっと危険な香りがする 朝井リョウさんと同い年なはずなのに、圧倒的な若者文化に対する知見の深さ。シンプルに「よく知ってるな」と感心し、そして40代のおじさんも40代のおじさんすぎる描写に心底尊敬してしまう。 そうか。行動するには、視野を狭めないといけないのか── 彼の作品は、読んでいて、今まで見えていなかったことで能天気に平和に暮らしてきていた自分に、「今こうなってるんですよ、日本」と真顔で突きつけられる感じがして変な居心地の悪さを感じる。リアルが見えるから、読んでいて落ち着かない。最初に読んだ「正欲」の衝撃も本当に凄かった。ああ、こんなキレッキレの彼の表現と文章を読んで、感想すらうまく表現できない自分の薄っぺらさがもどかしい!悔しい。 文章と心理描写が秀逸すぎて、引き込まれながらも、良い意味で、もう一人の私が、なんだか嫌なものを見た時のような重さを感じながら読み進めることになるのが朝井小説。なんなんだろうこの感覚。 私の中に、まだこんなに言語化できてない感情と思いがあるなんて。 中毒症状がある方が、生きやすいのだ、 視野を狭めること、 人生後半で顔を出すのは、これまでやってきてなかったこと コミュニティと、ストーリー 宗教って、こう作られるんだ、 人間ってなんて残酷で、脆くて、弱くて。 ──その先に、愛おしい、と書けない自分がいる。 私はこの本を読んで、わたしは人間の脆さにやるせ無い気持ちになっている。 幸せの形なんて自由だ。 推し活、その最中は本当に幸せなんだと思う でも、我に返った時の虚無って、計り知れないものだとも思う だから、我に返らないように、続けるんだろうなと。 人の幸せの形がそれぞれであることを、深く、改めて感じる。 、、、と、こんなにぐるぐる思考させられる小説であることが、何よりすごい。読んでスッキリ、面白かったーみたいな小説は、確かに気が楽で読みやすい。でもこんなに問いが投げられる小説は、読後感の後味の悪さはありつつもこんなに文章書きまくって。面白かった。彼の才能が本当、ただただすご過ぎる、、
18投稿日: 2025.10.03
powered by ブクログ令和のキーワード満載で、時代を表す小説という印象を受けました。 特に、倫太郎の話は春馬くんがモデルなんじゃないか?と、それとしか考えられないぐらいリアルでした。時期的にもコロナが出始めたぐらいですし。 物語は主に3人の視点別に描かれていますが、 沼られせる側、沼る側それぞれの視点、それから年齢・性別も全く違うのに、仕草や話し言葉、思考回路がちゃんとそれで、朝井さんの人間描写すごいなと感心してしまった。 「自分を使い切ることが今の時代に手に入れられる唯一の正解であり、幸せ」という台詞、なんだかすごく納得してしまった。 私も推し活をしているが、そのアーティストの生き様の物語に惹かれて沼っていったのかもしれない。それが真実かは置いといて。 そして推し活に夢中になっている間は確かに普段より視野が狭まっている気がする(@ ̄ρ ̄@) 結構、情報量の多い小説だったな。
13投稿日: 2025.10.02
powered by ブクログはぁ〜〜〜。 この終わり方はしんどい。頭真っ白。 メガチャーチ…そういう事か…。 私は知らなかった。 チャーチマーケティング。 この本に出てくる登場人物の言ってる事が全て事実じゃないかと。 今の世の中の核心を突いてる。 スピード感を持って今すぐ読んだ方がいい。 このタイミングで読むからこそ分かると思う。 ファンダム経済。だけじゃない! 途中まで読んで世の中分かった気になったけど、444ページ中まだ半分だった。 面白いから早く読み進めたかったけど丁寧にゆっくり読んで噛み締めた。 物語を。 もはや他人事じゃない!当事者じゃん! どの角度からみてもどこかに自分が当てはまる。 そして娘よ、今すぐこの本を読んで感想を聞かせて欲しい。 「武道館」を読んで「刺さらなかった。」と言っていた娘よ。 で、結局私は今後どうしたらいいんだ? 追記 小説家の村田沙耶香氏が言っていた。 朝井リョウの作品は「文化保存小説」だと。 全くその通りだ。
23投稿日: 2025.10.02
powered by ブクログ先日『あちこちオードリー』に朝井リョウさんと西加奈子さんが出演されていて、特に朝井リョウさんの見た目がガラリと変わって『どしたん?!』って思いながら楽しく観させていただきました。その際こちらの作品についても少し触れていらっしゃったので、とても楽しみに、期待を膨らませながら読みましたよー! もーね、やっぱ良い!!朝井リョウって凄い!!今年度読んだ中でもトップクラスの面白さでした!!本当は⭐︎5つけたい所ですが、読み終えた時点での評価と後々で変わってきそうな気がするので、今は⭐︎4です。 皮肉ったらしくも気持ち悪くもあって、現在の日本をまざまざと見せつけられているような作品でしたが、終始『俺って、俺って、大丈夫か?!』と心が締め付けられるような感覚。主人公の男性と年齢も近く大学生の子供がいて‥と近しい感覚があったので没入しましたよ。 多様性、LGBTQ、〇〇活、〇〇推し、何かしらどこかしらの分野に自分を当てはめていくことで人生は充ちるのか?コミュニティの形成によってむしろ世間との距離が広がるのではないか?宗教、政治、戦争と様々な問題に対し皆がコントロールされていて、その中でもひとりの人間として心落ち着ける場所を日々探しているんだと、私の中ではちょっと複雑な解釈をした本でした。今作は終わり方が特によかったなぁと浸っております。これ本屋大賞いけるんじゃないですか?!あと、個人的にこの所当たり作品が多くて嬉しいな!
201投稿日: 2025.10.02
powered by ブクログまさに2025年を生きる人に読んでほしい作品。 最高に面白かった! 信仰対象は正しい存在?間違いがあってはいけない?大好きなものは大好きのままの状態でいてほしい。信頼が恐怖になることもある。応援が追い込みになることもある。表裏一体の世の中をここまで表現できる作家さん、尊敬です。(猛烈な信者という訳ではありません。そうなってみたくもあるけれど)
4投稿日: 2025.10.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
推し活に関して自分が経験して思っていた事を表現してくれる 信者を作る側の行動が既視感があり、こんなことあったな〜 こういう目論見だったんだな〜ってなった
3投稿日: 2025.10.01
powered by ブクログ総じて面白かった (面白かった点) 作中で言及されているように人を物語中毒にするには自他境界を曖昧にする必要があるという。この作品の序盤の方ではz世代とその親世代が現代を生きる様子、その苦しさをどちらも解像度高く描いている。それに読者は感情移入する訳だからこの作品自体、自他境界を曖昧にして物語中毒にする構造をとっているというのが面白い。 (自分には合わなかった点) 前半でZ世代とその親世代が現代をどう生きているかについての描写はとても丁寧で共感できるところが多分にある。 しかし後半で花活にいそしむ娘や黒幕がどうとか言い出すおばさんたちがそうなってしまった経緯に共感できない。道化として描かれ過ぎていて、自分もこうなっていたかもしれないという怖さがないため、後半の彼女らの独り語りが馬鹿過ぎて読んでいるのが苦痛だった。彼女らの思考回路は現実のそれらととても似ているのかもしれない。でも馬鹿の脳内をノンフィクションでお届けされても読んでてストレスにしかならない。 彼女らは台詞では興味深いことを言っている。皆結局各々のドラッグで頭を溶かしているから良いも悪いもない、とか、時間と金を費やして新しいコンプレックスを手に入れてるだけだ、とか。でもどう足掻いても彼女らがフールにしか見えないので、愚者にどんな素晴らしいアドバイスをされても響かないように、良い台詞も響かなくなってしまっているのが惜しいと感じた。 オウム真理教に東大生が入信してしまうニュースがセンセーショナルだったように、読者以上に優秀なキャラクターが黒幕とか花活とか言っていた方が良かったのではないかと思ってしまった。 この本では地の文が台詞の間に挟まれるというのが多い。冒頭のテレビに久保田が突っ込みを入れていくところは非常に読んでいて心地のいいものだった。テレビが言っていることがつまらないから。しかし、奈々がメガチャーチについて話すところに挟まれるちゃみするの花活の地の文や、国見が自分を使い切ることが幸せだと持論を展開していく合間に道哉を心配する久保田の地の文が入るところは、台詞の方が地の文より面白いので地の文が邪魔になっていると感じた。台詞だけで読ませてくれよと思ってしまった。 (総評) 終わり方は目も当てられないほど情けなくて純文学的で好きだった。 前半はのめり込むほど面白かった。 自分は後半失速してしまったが、総じて読んで良かった。 好きだった表現メモ(途中からやり始めたので前半部分は取りこぼしてしまった) ・本質的な行為なのかは一旦度外視して、とにかく手に取ってみる ・誰からも攻撃されたくないあまり、視点をどんどん後ろへ引いていくと、いつの間にか誰の姿も見えないくらいに遠ざかっている ・本質的であろうとすればするほど何の行動にも出なければどこからも裁かれないという考えに飲み込まれる。 ・喉が焼けるほど甘いジュース ・どのパターンの人生にも穴がある ・自分が余っていると余白を使って客観視できてしまう。でも我に返ったところでそこには何の指針もない ・何かに対して自分を余すところなく使い切っているという本人以外が覆しようのない幸福感を得られる ・自分を使い切ることが今の時代手に入れられる唯一の正解であり、幸せ ・寝ころびたくなるまで座り、起き上がりたくなくなるまで臥せる ・間違わなかった人には何の加点もない ・戦争は自衛から始まっている
3投稿日: 2025.10.01
powered by ブクログめちゃくちゃ面白かった。題材からして絶対に面白いはずと期待して読み始めたら、期待を裏切らなさすぎて徹夜して一気読みしてしまった。 ファンダムを5つの気質に分けて書いてる所なんかは、もはやこれはマーケティングの教科書なのでは?と思った。 チャーチマーケティングという言葉を遅ればせながら知った。2023年から2024年にかけて新聞連載されたものとの事だが、この前の参院選での極右政党の急激な台頭を連想させるくらい内容的にもリアルタイム感たっぷりだった。 次読む時はゆっくりと時間をかけて楽しみたい。
4投稿日: 2025.10.01
powered by ブクログ朝井くんの作家15周年記念の新刊。とにかく凄くてうまく感想がまとまらない…!もうこれ、現実にすべて起きてることですよね。恐ろしさを感じながら、登場する47歳男性には自分もいつかこうなるのかと震えたり、男性グループの信徒的ファンを増やすために「物語」を計算して戦略的に打ち出すさまにはもはやホラーみすら感じたりと、容赦なく描写される「今」のお話に読んでいて打ちのめされました。この題材をこれだけの解像度で書けるのは朝井くんしかいないのでは?15周年にふさわしい作品だったと思います。
3投稿日: 2025.10.01
powered by ブクログ私の推しているアイドル(とその周辺の界隈)が本作のモデルなだけあって界隈で盛り上がりを見せている本。 それゆえ元ネタが手に取るようにわかるので、そのできごとをここに持ってくるか、みたいな読み方ができて面白かった。 私はのめり込んで応援しているほうなので読了後、冷や水を浴びせられたかの如く正気に戻されかけたが、先日当該アイドルのライブで爆発的な生を浴び、狂気を取り戻しました。
17投稿日: 2025.10.01
powered by ブクログここ最近で一番面白かったマイベスト認定 ラストシーンの渋谷のカオス具合が最高 俺もinfp だし三浦春馬の訃報もショックしたし オーディション番組好きだし、最近はb-firstにはまつてる 人生はある程度のめり込んだほうが華やぐのかな 推し活はお金がかかる、友達がジャニヲタだからよりわかったけど 視野は狭くあれば楽しいんだろな、ときには広く 久々面白い読書だった最高、笑った この時代にこの推し文化で一冊落とし込めた朝井さん凄い こういうサバ番て最近のイメージだけどもう5年もやってるのか、物語は面白い 最後まで余韻が残る作品
3投稿日: 2025.09.30
powered by ブクログ朝井さんの作品が好きで手に取った1冊。 私も幼少期からの根っからのオタクで、推し活歴数十年になるが、どちらかと言うと物語に惹き込まれやすい人間だという自負はある。物語の登場人物達ほどの熱量はないが、物語に魅力を感じると応援して、その物語が自分の思い描くものとズレると推し変をするそんな感覚なのかもしれない。物語を消費して、取り込まれすぎないうちにまた別の物語を消費する。こちら側が消費しているようで、仕掛ける側に消費されているのかもしれない。本を読むと視野が広くなり、様々な関心事に目を向けるようになるが、世界が広がれば広がるほど息苦しさを感じるのは共感をしてしまう。視野を狭めて、様々な世界に蓋をしてしまえば生きやすいのにと思ってしまったりもする。
15投稿日: 2025.09.30
powered by ブクログ面白かった。 推し活を題材に、信じるとは?行動を起こすとは?ということを考えさせられる話。 「死にがいを求めて生きているの」に出てきていた、 本当は自分の中に夢や熱量なんてないけど、この社会で生きていくために夢や熱量といった生きがいを捏造し続けている人を別角度から切り取った物語にも見えた。 視野を広げすぎると動けなくなること、可能な限り視野狭めて他人がどう思うかから意図的に目を逸らして、そうでもしないと行動できない気持ちはとてもわかる。 作中では澄香も絢子も自分が間違っているということに気付きながらでもどうしようなくてアイドルや宗教?に没頭していた。 一方で慶彦はこれまでの自分を変えるために道哉や青木と友達になった。 慶彦や澄香が言ってたけど、視野狭窄になって、周りを気にせず自分の気持ちに従って行動することって本当に楽しいし、それを肯定されてたらメンタルが安定する。 だから自分が納得できるものに注ぎたいなと思う。 何に視野狭窄になるかはとても大事な判断だと思う。
9投稿日: 2025.09.30
powered by ブクログ面白かった! 積読にしておくと話題にズレが出てきてしまうかもしれないので、読みたいと思っている方はなる早で読んだ方がいいかと思われます! マーケティングの勉強にもなるような、ならないような? 出てくる味噌汁の描写が印象的。 帯裏の隅川の名前ですが、隈川になっているのだけど、誤植?? 本文にも関わる結構大事なところだと思うのですが……
31投稿日: 2025.09.30
powered by ブクログ最高に気持ち悪い作品。笑 りんファミが陰謀論に傾倒されていく流れは最早恐怖だった。 松下幸之助は、「企業は社会の公器」という言葉を残したけれど、いやいや資本主義社会は搾取できる分だけ搾り取らせるよね、、、と。そして、使い切った感を欲しがっている人には絶好なのだと。 恐ろしかった。
6投稿日: 2025.09.30
powered by ブクログ推し活にのめり込んでしまう人の奇行と運営側の裏側が知れて面白い。推しビジネスってすごいマーケティングが駆使されてるんだなぁと勉強になった。 朝井リョウさんの小説は、自分の周りにはいないけど世の中には存在するある界隈の人の思考と行動が詳細に描かれていて、読んだ後世の中の見え方が少し変わる。 推し活は適量がいい。 現実世界でうまく生きられない澄香が、推し活に没頭して視野を狭めることで生きやすくなった(と感じている)ところは、見たくない情報から目を逸らすためにSNSから離れた自分と少し重なる。視野を広げすぎると、いろんなことに気づいてしまうから。 幸せの形は人それぞれと言われる、人生の絶対的な指針がない今の世の中では、「自分というリソースを使い切ったもん勝ち」というのは納得。人生に余白があると不安だから。余すとこなく、自分の時間と体力とお金と全てをフル回転させて自分を満たしていく、それは推し活に限らないなと思う。 最後の続き、ちゃみするが自分の娘だと知った時の久保田の反応が気になる。 「今後還ってくるのは、これまでやってきたことよりも、これまでやってこなかったことの方なのかもしれない。」 「自分以外の誰かと一つの物事を同じ目線で見つめることができる時間というのは、すごく貴重なのかもしれない。もしかしたらそれが、友情と呼べる時間なのかもしれない。」
3投稿日: 2025.09.30
powered by ブクログ政界のステマ疑惑が話題になっているタイミングで読了。結構厚めの本にも拘らずほぼ1日で。 朝井リョウ作品は人間の弱い所、痛い所をピンポイントで突くような怖さがあって そこがたまらないのだけれど、本作も間違いなく問題作だと思う。 メガチャーチとは文字通り多数の信者を抱える巨大教会の事だが 「団体が発信するストーリーによる権威付けと信者の視野狭窄によって価値が高いと思い込ませて、本来の価値以上の対価を払わせる」ことなのだそうだ。 信心する宗教感が希薄な日本で「発信されるストーリー」は新しくデビューするアイドルであったり、陰謀論であったり、政治だったりするのだろう。(いつぞやの知事選挙なんかも確かに誰がの描いたストーリーに踊らされていたのではなかったか?) アルゴリズムと統計から信者の視野狭窄を作り出し、狙って、コンテンツを計画的に投下して界隈の人たちに課金させる。 そしてあえて視野狭窄世界に身を投じて、己の幸せを感じる「人生を使いきりたい」人たち。 幸せの形に正解はないけれど 誰がに誘導されて、搾取されていく気持ち悪さはないのだろか。 (作中に出てきたMBTI、実は全く知らなくて実際にやってみたけど、出てきた判定についてそんなに悩むほどなのかなぁ。星占い程度の感想しかもたなかったよ、私は。
6投稿日: 2025.09.30
powered by ブクログ特定の推しがいるわけでもないのに読んでてめちゃくちゃ苦しい。 でも自分が気づけなかった視点を与えてくれる朝井リョウ作品はやっぱり好きだ。
0投稿日: 2025.09.29
powered by ブクログオタ活に走っていく姿を俯瞰して思想面から分析するストーリーは、オタクな自分にとって面白い発見だった。
13投稿日: 2025.09.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
三人の登場人物がいる。1人はファンダム経済を築く、1人はファンダム経済にのめり込む、1人はファンダム経済にのめり込んでいたもの。一つ一つの言葉や事実でも人によって捉え方が異なるのは人間の不思議なところだなと思う。この著書のすごい点はテーマと視点だと考える。テーマは物語。ファンダム経済=物語。メガチャーチ。本質的には無意味、低価値、無関係なものを単体が発信する。ストーリーによる権利付けと信者の審査狭窄によって、価値が高いと、思い込ませて、本来の価値以上の対価を支払わせる。私にとってはじめての単語だった。宗教的な問題も調べてみたい。 裏テーマは人との関わりだと解釈する。おじさんになって人との関わり方がわからない、久保田。INFPの生きづらさ。周りに流される、誰もが他者とのつながりを求めている。 視点は、まず久保田が物語の案内になっていることに驚いた。ファンダムについて知らないからこそ国見などが説明をする。→読者が理解 と言う構図が面白かった。武藤は現代の人が抱えている生きづらさを背負っている。MB TIや骨格、パーソナルカラーなど使用になれば良いよね。と言われる者たちが、いつの間にか首を絞めてくる。現代のインターネットで少しずつ問題になっていることを取り入れているところ、浅井さんが男性ということしか知らなかったので、おじさんから女子大学生まで描いてしまう浅井さんの知識に憤慨しました。浅井さんの文章はきれいかつ丁寧でそれでいて的確。今ある現実をまっすぐに言語化しているところが魅力的だと思う。
0投稿日: 2025.09.29
powered by ブクログデビューを控えたある男性アイドルグループの運営に参画することになったバツイチの中年男性。英語が得意で海外留学を志望しながらも、内向的で繊細な性格の女子大生。人気舞台俳優を仲間と共に推している生活ギリギリの30代の派遣社員。ファンダム経済を仕掛ける側、のめり込む側、そしてのめり込んだその先、それぞれの視点で描かれた物語。 さすが朝井リョウ! ハロプロヲタクの朝井さん。少し自分のことも書いちゃってるんじゃないの?っと言うくらい現実的であり、実際怒ってるんじゃないのと思うような内容だった。 中年男性の久保田にも、繊細な女子大生、澄香にも、派遣社員の隅川にも共感できるところもあるし、ちょっと行き過ぎじゃないのと思うところもあった。 推し、宗教、洗脳、陰謀論。全ての点が一つの線で繋がっていて、もうまさにカオスでメガチャーチ(以前、テレビで観たけどすごかった)。 視野は広く世界を見ようと言うけれど、広すぎちゃって何を見ていいのかわからなくなるし、視野を狭めればのめり込みすぎて、歯止めが効かなくなる。 上手く生きるのって難しい。 ちょっと余談。 女子大生の娘は大人気9人組アイドルグループのデビュー前からのファン。ファンクラブの会員番号は2桁前半。デビュー当時はCDを買ったり、グッズを買ったり、ライブも何度か行っている。しかし、ここ最近、推し活動が控えめ。理由を聞くと、最近の熱狂的ファンのお姉さまたちが凄すぎて冷めちゃってるそうだ。だが、「ファンクラブの会員番号は2桁だし、退会は勿体無いんだよな」と言いつつ、毎回ライブの抽選に応募している。これを〝推し〟と言うんだろうなー。 ファンダム経済恐るべし。
70投稿日: 2025.09.29
powered by ブクログ朝井リョウやっぱりおもしろい。 マーケターとしても、一人の父親としても、いろんな角度から楽しめる話だと思った。 30代後半の自分にとっては父親と娘の関係性がすごくおもしろかった。 また仕事でマーケティングに係わっている中では、この本は必読なのでは?と思うくらい詳細に書かれていて、朝井リョウは誰かのファンダムやってるのか?と思うくらいだった。 ちゃみする視点、澄香視点などいろんな対比もできる作品になっていて、 また時間がたったら読みたいと思った。
4投稿日: 2025.09.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
全部知ってる話だった アイドルオタクだし陰謀論ウォッチャーだしおじさんの孤独が知らんがなだけど異常独身男性というネット用語は知ってるし孤独で狂う文章ははてな匿名ダイアリーで何回か見た。 界隈内の人には文章が既視感満載でサクサク読めるけど界隈外の人には宇宙語に見えるかも。 医療モノ刑事モノは本当の医療従事者司法関係者総ツッコミがあるけどこの本は全部リアルにある話だと証言できる。 信じる者は救われるのか、信じて救われた先には何があるのか。 終わり方がベタたと思う。
6投稿日: 2025.09.29
powered by ブクログ最近読んだ本の中では、ダントツに面白かった。 視野が狭い方が生きやすいとか、 自分を使い切るとか、 依存してる方がラクだとか、 突き刺さることばがあちこちにあって、 読んでる間は結構しんどいものがあった。 買ってまで読んでよかった一冊。
14投稿日: 2025.09.29
powered by ブクログ推し活を仕掛ける側、推し活にのめり込む側、ある理由から推し活対象を失った側。 三者の視点が交錯し、進む世界。 果たしてたどり着いた先に見えてくるものとは? 推し活を通じて見えてくる世界をあなたはどう思うだろか? というお話。 私の精神状態もあったとは思うのですが、なかなか内容が重たいなと思い、読み進めるのが遅くなりましたが、読後は凄いものを読んだなというのが正直な感想。 「推し活」が話の中心にはありますが、決して推し活だけの話ではなく、結構身近にある話で、私も他人事とは思えない内容。 視野を広く見ているようで、実は推し活の対象は狭く見ているという戦略も、確かになと思うのですが、推し活にのめり込むきっかけも他人事とは思えない。 作中で起きる事件も、日経新聞に連載されていたというのもあるかもしれませんが、モデルが、ああ、あれかとなるほどにはわかりやすい。 そして、最後の方は見ていて痛々しいなと思いつつ、「推し活」というのはお金だけを推しに費やしているわけではないということを感じました。 では、何を費やしているのか? それは、読んで確かめていただきたい作品です。
10投稿日: 2025.09.28
powered by ブクログ最近の推しブームに完全に乗り遅れてるので、その気持ちの構造が垣間見えたようで面白く読んだ。何かを信じて熱狂したい気持ちをビジネスにするのは倫理的にアウトな気がして嫌な気持ちになった。適度な距離感を持てばいいと言っても難しいしね…
7投稿日: 2025.09.28
powered by ブクログ「"物語”とは、人を救うための灯か、それとも操るための道具か?」 本書を読み進めるほどに、この問いが胸に刺さりました。誰かを心から信じたい、誰かに認められたい。その渇望が、物語にすがる人々を生み出す。 本書は、「ファンダム経済」を舞台に、物語を作る側、物語に熱中する側、かつて熱中していた側という世代も立場も異なる3つの視点で構成された群像劇です。 登場人物の動機・葛藤と、物語の設計と受け手の渇望の交錯が見事に表現されています。 人は物語に熱中することで向かうべき先を与えられ、日々の余白を埋めていく。それは果たして人を自由にし、幸せにしているのか。 私も何かに夢中になることで救われ、活力を生み出してきた一方、夢中になることに渇望し過ぎると時に視野を狭め、余白のない人生になっているなぁと感じます。 余白も余白でその扱いは難しく、余白は自由であり孤独の始まりにもなる。自分を客観視せず、我にも帰らず、何かにのめり込み続けることは、それと引き換えにした危うさを孕んでいる。 個人にとって、物語の光(活力)と闇(依存)の二面性の使い方を見誤らないことが重要であり、物語に呑み込まれるか、自ら物語を選び取れるかにあるなと思いました。
15投稿日: 2025.09.28
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
久々の小説。この没入感がたまらない。一気に読んだ。 推し活に溺れる人、卒業したようで新たな推しを始める人 それぞれが自分以外の人をやや見下してる。 過去の自分と重ねることは、無意識に下に見ているのかも。 俯瞰して見てみると、どちらが上も下もなく それぞれの正義があって、どちらが正しいというわけでもない。 みんな間違ってる前提で生きていくくらいがちょうどいいのかも。 個人的にはユリちゃんのスタンスが好き 物語で動かされる。 語る前後で訴求の仕方が変わってくる。 人は何かの中毒になりたい。 このあたりはもはやマーケティングの話だった。
6投稿日: 2025.09.28
powered by ブクログ使い回されたXの盲目オタクたちのポストの再現度えぐい。なぜかキッツいなて思いながら見てしまってるし、あのコメントないかなって探してしまう。知ってるものすぎて吐きそうなくらい苦しかった。胸がざわざわしました。共感性羞恥?同属嫌悪? 前までそんなことなかったのに、ここ数年は推し活がすごく好意的な語られ方をしてる。たしかこの手のひら返しについて朝井さんがどこかで話されてた気がする。悪意なく差し込んで、淡々と刺してきたなぁと思いました。 自分を余らせないために、自分を使い切るっていうのがとくに苦しい書かれ方でした。ファンダムにいない人にもこの感じ伝わるんだろうか。 お願いだから推しにかけるオタクのキモい思いはほっといてよ。こうやって晒さないで、お願い。笑
17投稿日: 2025.09.28
powered by ブクログ朝井リョウさんの作品を読む時は、頭の中がとてもうるさいと感じる。「」で喋る相手、それを聞きながら自分の本質が溢れてくる話し手、それを読みながら自分の本質が溢れてくる自分。3段構造で迫ってくる。 5年で人の目は変わると話す朝井さんが書く5年前から構想が始まった作品が、今を描いた作品であることに毎度ながら驚かされる。お腹いっぱいになって朝井さんの作品を読まなくなった人もそれなりにいるだろうし、信者のように救いを求めて読んでいる人もいるだろう。これだけ拡げるだけ拡げといて、ポーンと放り出される作品が続くと、朝井さんのことが(いい意味で)怖くなる。しかも実生活ではとても健全そうだから余計に怖くなる。 ここ最近の数作が重いのに胡散臭くないのは、そのポーンと放り出してくる軽さがあるからだし、朝井さんの思想が入り込んでこないからだと思う。おそらく朝井さんの思想なんてものは初めからないんじゃないかとも思う。ただ人より広く深く観察できる目をもって、思想を持つことは読者に任せる。「“この視野で、ある程度の確率で、間違う”と覚悟」を決めた朝井さんの描く今にまたしても魅了されてしまった。
11投稿日: 2025.09.28
powered by ブクログ推し活界隈に1X年以上、身を置いている人間としては刺さり過ぎてつらい なぜそんなに解像度が高いのですか????? ★5をつけたのは時事性も多分影響していて、朝井リョウ作品は発売3ヶ月以内に絶対読んだ方がいい。 いつ読んでも普遍的な面白さがあるけれど、やっぱりその時代を切り取って物語に仕立てる力が本当に強いから、なるべく鮮度の良いうちに。 そしてメタな話ですが、果たして国見=朝井リョウなのか(改めて見ると国見という苗字も象徴的過ぎてエグい)、彼にも狂える何かがあるのか気になりました
37投稿日: 2025.09.27
powered by ブクログ本作で描かれている推し活やオーディション番組ブームも含めこの時代の空気感をまるっと閉じ込めたような一冊
14投稿日: 2025.09.27
powered by ブクログ推し活文化の描写があまりにリアルで、「朝井リョウさんは同じ界隈にいるのでは?」と思うほど。仲間とつながり安心しつつ、視野が狭まっていく感覚にハッとさせられる。自分を無理やり客観視させられているようで、その居心地の悪さすら面白かった。
8投稿日: 2025.09.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
朝井リョウさん、同世代に生きててくれてありがとうございます、という気持ち ぼんやりと浮かぶ「まだ30年しか生きてないのかぁ、人生長いなぁ〜」というモヤモヤの原因を言語化してくれてすごくスッキリした! いかに我に返らず、いかにイタく生きるかなんだなって思った。その対象が推し活の人もいれば子育てや仕事の人もいるよな〜
7投稿日: 2025.09.27
powered by ブクログ推し活がメインの物語。 暇を持て余すことになった現代。視野を広げるのか視野狭窄へと意図的に陥るのか。 両者とも目的は一貫しており、他者と繋がりたい、幸せになりたいということだ。 ウォッチャーでいることの楽さ、リスクの低さはあるが、共に繋がりはもたらさない。 反対に物事に没頭すること、酔狂へと落ちることは短期的な快楽なのかもしれない。 後半の怖さ、方向性は違うが、“推すこと“への盲目性。熱狂を作る側の危うさの共生は非常に悍ましかった。 結局、生き方の正解はなく、各々異なる依存対象に時間やお金を費やして死んでいくのかもしれない。現代は。
14投稿日: 2025.09.27
powered by ブクログ初めて朝井リョウさんの作品を読みました。 大変良かったです!! 「推し活」には、推す側、推される側、そして仕掛ける側がありますが、本作はどうやって「推す者のつくるか」という、仕掛ける側の視点で描かれていることが多く、知らなかったことがたくさんあり、大変興味深く、途中憤りも感じながら、興奮して読みました。タイトルの意味も分かりました。 でも、この本を読んでいて、生きるって何だろう?どうやって生きればいいのだろう?という問いを自分にしていました。登場人物たちもそれを探しています。 「推し活」という現象を通して、現代の生きずらさ、迷い、戸惑い、何が良い人生なのか?どう生きるべきか?を問われる本でした。 著者本人がインタビューで「誰かを応援したいというよりも、今感じている空気感を標本にしたい、という思いで書いた。」と語っていました。
5投稿日: 2025.09.27
powered by ブクログなぜ作者は推し活にのめり込んでる人の心理表現がこんなにリアルに描けるのだろうと驚きつつ、自分が生きているこの現代がどんな構造で世の中うごいてるのか客観視できおもしろかったです。 私自身、推しがいてまわりには武藤澄香のような強火ヲタクがいるので、この本を読んでいてそうだよな、こんな心理だよなってふむふむ思いながらよんでいたのですがやけにリアルで奥深いなとだんだん不思議に思えてきました。 朝井リョウはなぜ現代人の描写をこんなリアルにかけるのか。 また、澄香のお父さんに関しても友達もおらずただただ寂しく時間を消費している人いるよなーって思いつつ、リアルだなーと思いました。 現代を生きる人たちを色んな角度からリアルに表現されており、読者が登場人物の誰かに自分はこの人と一緒だと自己投影できるような物語になっておりとてもおもしろかったです。
2投稿日: 2025.09.27
powered by ブクログ「生」「孤独」。やっぱり朝井リョウはこの二つに対しての思考と解像度が深すぎて、読了後は無に還って、自然と涙が溢れそうになる。人間を俯瞰した文章も、人間を苛める文章も、毎回想定外を叩き出してくるから大好き。 同じ世界に生きているはずなのに、どうしてこうも形取る世界が違うのか。 わたしもその時が来たら、空っぽになるまで何かに狂いたいと思った。
3投稿日: 2025.09.27
powered by ブクログ生殖記がすんごいよかったので (それ以外、読んだことない) 期待して読んじゃった 嫌いじゃないし飽きなかったけど 好みではなかったかも ブーム?ってそうやって作るんだ〜 ってことと 人の思考って そんなふうに変わってくんだ〜 ってこと あとはこの大学はここだな でもなんでこの大学にしたんだろ? ってこと …いやまて 内容覚えてないって書こうとしたのに 細部まで覚えとるやないか おもしろかったって 思わんかったのに めっちゃ覚えとるやないか すごいなこの作家 でも星は3つ!
1投稿日: 2025.09.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
なんか全て見透かされてるような、ほんとに今、2025年の物語だと思った。今を切り取っていると思った。 わかってはいるけど、取得情報がエコチェンバー化してる自分、どこかでいいやと思ってもいる。推しがいる自分、充実する反面、課金勢や発言が荒い人もいて分断も感じている。 あぁ、全て見透かされ、言語化されていた。怖い。 あと2025年に47歳のおじさんの物語でもあった。
2投稿日: 2025.09.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
さすが朝井リョウ。今回の題材は『武道館』や『スター』の方面。しかし、結局はいつものように、現在吹き荒れる排外主義や陰謀論の嵐を一歩進んでとらえている鋭敏な時代感覚とともに、普遍的に通用する朝井思想が展開されていく。視野は広いほうがいいのか、それとも狭いほうがいいのか。現実に対する観察者、分析者にとどまることがいいのか、それとも現実のなかの行動者として生きることを選んだほうがいいのか。それらを決める判断材料は何なのか。彼の問いはいつも切実で、親身で、私たちは現代人としていつも身につまされる。
4投稿日: 2025.09.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
一気に読んでしまった。朝井リョウすげー!になった。 お金だって、あの塊1つ、紙切れ1枚に書かれた数字分の価値があると信じてるから成り立ってる。この世界は(バカデカ主語)信じること、それで成り立ってるんやなぁと思ったり思わなかったりラジバンダリ。
2投稿日: 2025.09.26
powered by ブクログ設定といい文体といい、読みやすさたるや! あっっっという間に読み終えてしまった。 途中まで澄香に共感して楽しんでいたけれど、あれよあれよと言う間にのめり込んでいってしまったから、後半はファンダムってこういう感じなの⁈というシンプルな好奇心&発見で面白かった。
7投稿日: 2025.09.26
powered by ブクログ視野を広くしよう―学校や職場などで教えられる、絶対的に正しいアドバイスだ。でも視野を広くすると、海外の終わらない戦争やテロ、環境問題、ジェンダーといった様々な自分だけでは解決できない社会課題に頭が占有されて無力感に苛まれる。 現代人にとっての“推し活”とは、むしろ視野をとことん狭めて推しと自分の境界を曖昧にし、その挙動に一喜一憂することで心の平穏を保つ行動になっている。それは宗教的であり、信徒は教義にしたがって連帯しSNSを中心とした布教活動に勤しんでいく。 しかし現実社会における推し活とは、むしろ深く熱狂する1万人を生み出して経済活動を極大化させるマーケティングであり、それらはアメリカでの宗教右派によるMAGAのような活動に近似している。実際に海外では、教会を中心とした信徒=有権者獲得の手法がチャーチ・マーケティングとして確立しており、数百数千規模の信徒を集める場所はメガチャーチと呼ばれる。 推し活にハマることは幸せなのか。もはや他人のものさしでは測れない次元にいる人たちに対して、それはナンセンスな質問であろう。神が死んだ現代において、自らの神を見出す者たちに、無宗教な私たちは嫌悪感とともに少しの羨望を持って遠巻きに見ているのだ。
21投稿日: 2025.09.26
powered by ブクログファンダム経済を 仕掛け人・消費者・かつての消費者の 三者の視点から描いた作品 推し活を媒介とした熱狂は 物語によって生み出される とある仕事で興味が沸いた分野だったから 興味深い内容だった タイムリーに世の中を切り取る力に 脱帽した448ページ
2投稿日: 2025.09.26
powered by ブクログ少し期待しすぎたかもしれない。 朝井さん。時代性のあるものに取り組むなぁ、と思う。 もう少し普遍的なところだけで成立させることはできないかな、と思う。もしそれができたらもっと広がりが期待できるのではないか。 寂しさが人を狂わせるちょっと恐ろしい物語でした。 「皆やっぱり繋がっていたいんですよ。」P110 「中毒症状があるほうが苦しくないのだ、人生は。」P183 「昨今よく聞く、性別で物語を語ってはいけないというルールが無効になるときがある。それは、男を悪くいうときだ。」P277 「エレベーターとか下水道とか原発とかさ、そういうところの点検作業中に事故が起こりましたみたいなニュース見ると、もうせめてめちゃくちゃお金もらっててくれよっておもうんだよね。」P333
2投稿日: 2025.09.26
powered by ブクログ「中毒症状があるほうが苦しくないのだ人生は」 この本の販促用のポスターにその一文が大きく書かれていました。このポスター作った人さすが(っていうかプロの仕事に失礼か(笑))テーマはこの一文に集約されていると思う。 単調な日常生活、淡々と過ぎていく時間、客観的に観ればピースフル、でもその中で生きる私たちはその有り難さになかなかに気づかない。凪いだ人生が突如として荒れた時に初めてそのありがたさに気づくのだろうけれど。。「変わらない、終わらない日常」を何事もなく生きていくには人生はあまりにも長すぎるんだよね、きっと。私も含めて依るべき明確な原理原則(この作品では「神」という表現でしたが)がない人たちはフッと自分を見失った時、進むべき道を見失ってしまう。それゆえに私たちは何らかの「中毒症状」を求めるのだと思う。SHISHAMOが歌う「明日も」の主人公の彼らも週末に会いにいくヒーローたちに耽溺し力をもらうんですよね。(この曲私も大好きです!)あとはその熱狂のベクトルをどこに向けるか。自分にとって一番大切な物や人は何なのか、お金や時間の使い方は人それぞれ千差万別、どうしたっていいと思うし個人の自由。ただし、熱狂のあまり視野狭窄にだけ陥らぬよう、常に「冷静と情熱のあいだ」で客観視できる自分自身を持ち続ける意識と強さを持ち合わせないと、この中毒症状を引き起こす熱狂の根っこは劇薬なのかもしれないですね。社会学とか心理学とかの視点から読んでも面白い作品でした。あと著者の朝井リョウさんの「推し、オタ活界隈」に対する造詣の深さも強く感じました。ブリリアント!です。
15投稿日: 2025.09.26
powered by ブクログ久々に小説を読もうと思い朝井リョウさんの「イン•ザ•メガチャーチ」を読んだ。 結果、物凄い本を読んだと実感したのと、これこそ、この文体、ストーリーこそが朝井リョウさんだと確信した。 令和の話であり、今の日本であり、世界であり、SNSでの話題なども含めて「あるある」過ぎて、読んでいて怖い気持ちと、それを超えての結末にページを読み進める手が止まらなかった。 とても良かったです。 ちなみに僕の最近の推しは「公園」です。 公園はCD買わなくてもすぐに会えますしね。 皆さんこの本を読んで心が荒れてきて、公園に行って、ベンチに座って、コーヒーでも飲んで「イン•ザ•メガチャーチ」を読みながら休んで下さい。
8投稿日: 2025.09.26
powered by ブクログこれはまた大変な作品ですね 私は何かにのめり込むほど好きになったものがありません それしか見えない それがすべて みたいな感覚に、一度もなったことがないのです だから、今の推し活ブーム そこまでのめり込むものがあるという感覚がわからない でも凄く楽しそうで、羨ましさは感じていました ただ、これを読むと ちょっとだけ、恐怖も感じました 何かにハマったことがないわけじゃないけれど ここまでじゃない! そう思いながら読みましたね…… 視野が狭くなること これの功罪について考えたくなる作品です
12投稿日: 2025.09.25
powered by ブクログまたえげつない作品が出ましたね。 私のなかでは既に朝井リョウ哲学というものが存在していて、それは所謂、正と誤がいつでも逆転しうる世界をどう考え、どう生きていくか的なもの。 正解がないからこそ考え続けなくてはいけない人間のサガ…本当突きつけてくるよね朝井リョウ。 解像度が高いから尚のこと私たち読者を逃してくれない。なんと言うか、メビウスの輪から逃れて楽になりたいのになれない!朝井リョウ作品を読むといつもこの状態に持っていかれる。 そして装丁も本当に抜かりない! 裏カバー、メガチャーチを彷彿とさせる絢爛豪華な建物に浮かび上がる金の模様。素敵すぎる。 この本を読んで、私は物語とケアの関係性を一番に考えてしまった。 人は普段、物語によってケアされているのでは、と思う。 近年心療内科や精神科に受診する人が増えているのは、物語が途絶えた時(ケアが消滅した時)の孤独感だったり絶望感に打ちひしがれた人たちが増えているということだったり?とか色々考えてしまう。 ケアされていたものに傷つけられ、ケアを受ける。 まさしく物語の功罪なのかも知れない。
5投稿日: 2025.09.25
powered by ブクログいつの間にか「推しいる?誰?」という声が聞こえるようになって、何かを推していないといけないみたいな時代になった。 自分のアイデンティティを形成するものが、自分のすきなことや頑張っているもので、それがない人は生きている意味がないような、そんな気分がする。 何か一つのことに没入したいという気持ちもあれば、そうすることで、自分がどんどん簡単には帰れない場所に連れて行かれそうで怖くてできない。 かといって、広い視野を持ったまま俯瞰するだけでは何か物足りない。 自分を使い切るという言葉を、この本で見つけて、それがしたかったのかもしれないと思った。 自分が信じるもの、信じたいと思うものに飛び込んでいくことでしかきっと、幸せのかけらを得ることはできないのだろう。 ただそれがこわくてできない人だっていたっていいと思う。
4投稿日: 2025.09.25
powered by ブクログ私はずっと、境界線を無くしたいと思っている。 いきなりなんの話をしているんだと思うかもしれないが、少しだけ聞いて欲しい。長くなるので飽きたらバックしてほしい。 朝井リョウのここ最近の作品を読み続けている。 「正欲」「生殖記」「イン・ザ・メガチャーチ」の順で発売されたら読んできたのだが3作品全ての題材が私のパーソナルな部分と被っている。 そして、その3作品の題材に対して私は常に怒っている。 『正欲』では、「多様性」という言葉への違和感を題材にしていた。 LGBTQだけが多様性ではないこと、そして「多様性」と言う言葉を筆頭に世の中のいろんなものを簡単な言葉にしすぎていること。 『生殖記』では「セクシャルマイノリティー」が題材となっていた。全ての生き物が共通にもつ器官の視点から「LGBTQ」の中での競争や生き方を考える作品だだった。 そして本作、「イン・ザ・メガチャーチ」に関して言えば、snowmanを「推し」にして3年が経つが、私は未だに世の中のsnowmanのファンと馴染めない。 『推し』という名前で全てをまとめているが、 「ファン」と「オタク」には大きな差があると感じる。 身内にもsnowmanを推している人はたくさんいるが、私はその中でも「ファン」に近い。 DVDやCDは一通り購入するし、ライブにも行くがアクスタを持って聖地巡礼はしないしぬいぐるみと写真を撮ったり、誕生日にホテルを予約して祝うこともない。 無断転載を強く注意することもなければ、他のグループを下げて推しを褒めることもしない。 ただひたすらに応援をしている。 だからこそ、上記に書いた様な活動をする人たちからすれば私は「中途半端な冷めているファン」であって「熱狂的なオタク」ではないのだ。 ただ一つ共通して言えることは、9人『物語』に魅力されたことだ。 snowmanは他のグループに比べて圧倒的に胸熱なエピソードが多く、一般人でも共感しやすい。 私はずっと「何者」にもなれない日々を疎ましく思っている。 バイセクシャルというどっちつかずなマイノリティーを持ち、仕事もうまくいかない私と、長年デビューできずにいて、やっと花が開いてもなお、自分たちが何者かになるために活動する彼ら。 一種の先駆者のように道筋を作ってくれているような存在はまさに神様のようだ。 オタクに冷めていると言われるファンの私にだって信仰心はあるのだ。 今回の朝井リョウの作品を読んで気づいたことがある。 「正欲」〜「イン・ザ・メガチャーチ」を読んで、言葉の軽さや視野の狭さに、私は怒っているのだ。 ちょっと信じて視野が狭くなった人たちの中で、どれも正解ではないのに、簡単な言葉で「これが正解なんだ」と言い切る全ての推し活民たちに怒りが湧く。 「多様性」と言う言葉を簡単に使う外部の人間に怒りが湧く。 あなたたちがひとまとめにしてコミュニティのように思っているものは境界線があるわけじゃない。 本物を純粋な気持ちで見れる物にだけ分かるグラデーションがあるのだ。 音楽が好き、恋愛をしている。 それだけの話なのに簡単な言葉で分けるから。勝手に境界線を作るから。 なんと生きづらい世界なのだと、 朝井リョウの作品を読んで痛感した。 私は境界線を無くしたい。 何者でもない私が、様々なコミュニティを純粋に愛せるように簡単じゃないものにしたい。 そんな風に思える作品だった。
8投稿日: 2025.09.25
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
朝井リョウさんの作品は「正欲」と「何者」を読んだことがあったが、今回の作品はめちゃくちゃ引き込まれた。続きが気になって睡眠時間を削って一気読みしてしまった。(快感!) アイドルのファンダムと選挙に類似性があるとは面白すぎる視点。 時間やお金を注ぎ込ませる側と喜んで注ぎ込む側に父親と娘がいる設定(しかも注ぎ込んでるお金はもともと父親のお金)なんて、皮肉が効きすぎて! 最後その事実を父親が知った時にどうなるのかと気になりすぎて読み進めたらそこは読者に委ねられる…うぉぉぉ。 そして裏テーマのおじさんの友情物語も頷けるところばかり。 不惑を目前にしたわたしにも日常の自分の在り方や周りとのつながりを改めて考えさせられた。 いやー面白かった! 絶対映画化するね。
6投稿日: 2025.09.25
powered by ブクログ現在推し活沼にどっぷりハマっている自分には 身につまされるところが多すぎました。 知ってる単語、交わしたことのある会話、 覚えのある感情…うっすら自覚していたことを 文字で見るともう痛い痛い。我に返ってしまう。 この3人がそれぞれどうすれば良かったのか、 いつ幸せになれるのか、そもそもこの3人にとって幸せってどういう状態のことをいうのか… 推し活すること自体は悪くない、でも我を忘れて のめり込むことではない。 そう思っていても"物語"を提示されてしまうとつい 感情が動いてしまって取り込まれる。 " 搾取 "の2文字が頭にちらついても止められない。 そしてまんまと手の上で転がされる…そうならない ためには一体どうしたらいいんだろう。 読み終わってからもずっと考えています。
6投稿日: 2025.09.25
powered by ブクログまるで現実のようで、自分のこれからの未来を見ているようですごく怖くて不安な気持ちになった。 実際に応援してる物がある人にはすごく刺さる内容だったんじゃないかなと思った。 視野は狭くしていいっていう考え方は素敵だと思った。
3投稿日: 2025.09.24
powered by ブクログ辛いけど刺さる。 自分はここまで何かに心血注いだ事はあまりないけど、登場人物の心情も理解できる部分もある。 視野を広げるのか。狭めてのめり込むのか。人生の選択ではどっちもそれぞれ必要なタイミングがあって、これといった正解もない。自分が選んだ選択を正しいと思うしかない。 結果的に失敗したとしても、その時の選択が間違いだったとも言いきれない。 そんな不確かな基準の中で生きている。 どちらの選択をしても何かしらの後悔は残る。理想を求めればキリがない。 どこかで見切りをつけることがバランスよく生きていくコツなのかもしれない。
5投稿日: 2025.09.24
powered by ブクログおもしろかった。推し活文化に疎いので単語を理解するのに時間がかかって、その分正欲ほど一気読みできなかった。 追記 今年ショパンコンクールにハマって、推しのピアニストを見つけて、予選を勝ち上がるのを真剣に応援した。初めて推し活に参加♡
5投稿日: 2025.09.24
powered by ブクログこれが今年の本屋大賞にならなかったら、1位になった本を買いますと思った一冊。(ここ数年、1位の本は買っていますが笑) 他の方のレビューにもありますが、圧倒的今年の一冊で本屋大賞ノミネートは間違いなしでしょう。むしろノミネートされなかったら、本屋大賞のバックにいる誰かの物語に入っていなかったとしか・・と感じるくらい「物語」を意識させられる一冊です。 本当に面白く、考えさせられ、疲れる本なので一気読みはおすすめできません。 本作は朝井リョウさんの15周年記念作品ということだからなのか朝井さんの軌跡みたいなのがふんだんに盛り込まれています。そんな視点で以下で語ります。(わたしは朝井リョウさんファンです) ■推し活 朝井リョウさんはハロプロのファンなので本書のテーマ、推し活は自分ごとだったでしょう。が、対象は男性アイドルだったのが新鮮に感じました。各種SNSで目立つやり方があることに驚きです。きっと本当の方法なのでしょう。 そうそう、朝井さんは、過去にトークショーでハロプロのダンスを踊って会場を盛り下げた(盛り上げてない)ことがあります。(エッセイ参照) なお、アイドルをテーマにした朝井さんの小説は「武道館」をご覧ください。 ■業界関係者 ファンダム、いつプレスするのかなどまさに広告代理店がやっているであろうことですね。朝井さんは作家専業になる前はこの業界におられたので、久保田や国見の仕事が解像度高く書かれているのだろうと思いました。 ■大学生世代の解像度 朝井さんに限らずですが。作家さんの情報収集能力って卓越されているとわたしは思っています。その前提で。今回、澄香が通っていた大学は別府にある、Aがつくあの大学ですね(別府によく旅行するので笑)。過去の作品(死にがいを求めて生きているの)での、大学祭の描写が、まるで卒業生のように正確に描かれており驚きました。今回も同様に見る人が見ればすごい解像度なのだろうと思いました。 朝井リョウさんの初期作品はご本人が世代だったのもあり、高校生~大学生くらいの描写が共感性高く書かれていたのが特徴でした。今回の澄香も今の大学生世代が読んだらわたし以上に刺さるのではと思います。 タイトルの「メガチャーチって何?」と思う読者のために大変詳しくかつ自然に解説が書かれていたのもうまいなと思いました。タイトルの言葉の意味を知って読むと「適切すぎるタイトルだ」と感じるでしょう。 ■すみちゃんのパート 陰謀論を書いたか・・と思いました。朝井リョウさんてその時々の世間での話題をテーマに書くことが多いです。(正欲、生殖記しかり。)わたしは朝井リョウさんが本書で出てくるような先生と対峙したのではないかと勝手に推察し、さすがに後日であってもエッセイに書けないかも、でも読みたいと思いました。というのも、過去に、実際にレンタル彼氏を利用した偽親族への挨拶をされており、その経験の一部が小説になっています(詳しくはエッセイにて)。 非正規家庭なし女性の追い詰められ感とその生活を忘れさせてくれる唯一の光である熱心な推し活とひょんなことで狂ってしまった歯車が印象的に書かれており、途中「行くな行くな!」と読み進めるのが怖くなる部分もありました。 ■50代の男性 久保田 とうとうターゲットを広げられたんだなと思いました。本書では今まで書いてきた大学生世代、現在の自分の世代の30代と今までの作家生活で書かれてきた世代が出てきます。さらに、本書では今までの作品であまり出てこなかった朝井さんご自身より上の世代の50代の登場人物が出てきます。その3人がそれぞれの苦しみでメガチャーチに入って視野狭窄していく様子がそれぞれの世代に刺さる視点で不思議とどの世代でもイメージしやすいように書かれています。3人の苦悩はどれも深く、彼らの勘違いでも進んだほうがラクという中盤からの怒涛の展開が読者の「疲れた」という感想を生むのだと思いました。 そして、あのラスト。久保田は見つけてしまうのか?あのラストで「どうなるの?書いてくれ!」と思ってしまった方は朝井リョウさんの「物語」に乗っているかもしれません。 ・・ってこんな長文感想を書いたわたしが「物語」に乗っているかもしれない。
17投稿日: 2025.09.24
powered by ブクログ虫の目鳥の目、両方大事。鳥の目から虫の目に遷移できるようになる必要があると感じた。具体的な行動まで落とし込めれば、身動き取れないということはなくなる。ちょうど、人としてこうあるべき、みたいな俯瞰視点でのべき論が自分の中で強くなりすぎて、身動き取れなくて苦しかったから、もう少し虫の目サイズで物事を考えてもいいのかもしれない。考えるだけで行動できないのが1番無駄だから。虫の目を持つ人を導くのも鳥の目を持つ人だと思うが、導くにあたっては虫の目も持ち合わせなければいけない。けど、作品の中でも語られていたように、現代はすぐ主張をひっくり返すことができて、(アンチのアンチとか)人は人、って俯瞰で見続けることが安全だったりする(誰からも批判されないから)。でもそんな世の中が不気味だとも思う。(ここでも否定2回繰り返している) 考え続けることに価値はあると信じたい。考えるのをやめた途端、消費される消費者になってしまう。 ーー以下引用ーー でも、さらに視野を拡げて考えてみるとーと、この作業は永遠に繰り返すことができる。 何が本当に対象のためになるのかとか、何が今最も本質的な行為なのかという問いは、視野を拡げて考えてみると"という呪文を唱えさえすれば、その答えを永遠に反転させられる。 つまり、どの角度から見ても間違いなく本質的に正しい答えなんて、どこにもない。 どこかで、"この視野で、ある程度の確率で、間違う"と覚悟を決めるしかないのだ。 事実を受け入れず、可能な限り本質的でありたいあまり、そして誰からも攻撃されたくないあまり、さらに視野を拡げるべく視点をどんどん後ろへ引いていくと、いつの間にか誰の姿も見えないくらいに自分だけが全てから遠ざかっている。 そうなるともう、何の行動にも出られなくなる。全ての角度からの審判を俯瞰できるまで視野を拡げることは、誰とも何とも連帯できないほどこの世界から遠く離れることと同義だからだ。 本質的であろうとすればするほど、何の行動にも出なければどこからも裁かれないという考えに呑み込まれる。そんなことに何の意味があるんだとか、それが最適解じゃないのにとか、そんな冷笑だけが両手に溢れ、人生の砂時計をただ眺めているだけになる。
11投稿日: 2025.09.24
powered by ブクログ恐るべし朝井リョウ。 推し活というものを俯瞰して観る力のすごさと、その言語化の巧みさに終始圧倒されっぱなしでした。 すごいという感情を通り越して、怖いとさえ感じてしまったくらい笑。 毎度毎度、彼の描く視点には驚かされるのですが、今回時代を感じて興味深かったのは、視野を広げる/狭めることと自分らしさの追求について。 昔は自分の経験や身近な人たちから得たもの、自分が見聞きしたものによって「わたし」という輪郭を作って来たのだと思うのだけど、今は何となくスマホをスライドさせてるだけで、そりゃもういろんな人たちの価値観や意見、情報なんかが勝手に飛び込んでくる。 全然知らない、全然関係ない人たちなのにそれらが「わたし」を邪魔してくることあるのです。 何なんだろうね? 体感、実感した経験値よりもこれらの膨大な情報(よく言えば多角的、悪く言えば言いたい放題)の方が「わたし」や未来を担う若者たちを形づくる上で大きなウェイトを占めてくるのだとしたら、それってどうなの? “いま”がぎゅっとぎっしり詰め込まれた作品でした。 文庫化待ってたらこの“いま”感、過ぎちゃうかもよー。
2投稿日: 2025.09.24
powered by ブクログどこにも逃げ道がない。そんなに全ての視点で物語を書かれたら、どこにも逃げる場所がなくなってしまう。 就活、転職、婚活、物件選び…そのすべての条件やデメリットを並べて、埒が明かなくなるあのときの感覚だった。 自分のピンをどこにさせばいいかわからない。ここだと思ってピンを刺してページを捲ったときには、その土台は水だったとわかるような絶望感。 個人的には、今年一番の"物語"だった。 あと、国見が良い。大変良い。大好き。一番自分に近いからかもしれない。唯一、自分で選んで立っていたように思う。
3投稿日: 2025.09.23
powered by ブクログ凄い、凄すぎる。 怖かった。 朝井リョウ大先生は天才だァ 自分を使い切ること、使い切ったもん勝ち 生き方に正解はなくて、いつだって選ばれなかった方が光り輝いて見える。ないものねだり、隣の芝は青く見える。 だから何かに心血注いで没頭してないとまともにこんな人生生き抜くことなんてできないのかも。 あとbehind動画が個人的にメッチャすき。相変わらずぶっ飛んでる朝井リョウ大先生。
2投稿日: 2025.09.23
powered by ブクログファンダム経済小説だと知り、ボイプラ2のファイナル直前の今こそ読むべき!と思いすぐに読んだ。 後半は「正欲」を読んだときのような気持ち悪さもありつつ。 読む前と後ではXにいるファン(信徒)の見え方が変わった。中で語られる「そんな大袈裟なやついるか?」と言いたくなるような言動やそのうねりが、現実世界のXの中でまさに起きていて、フィクションと現実が融合する体験にゾワっとした。 特典映像の動画が至高。エッセイも読ませていただきます。
2投稿日: 2025.09.23
powered by ブクログ朝井リョウさんの小説読んだことなかったんだけど、朝井リョウ特集の番組を見て話が面白くて魅力的な人だな~と思った。 そしてまさに時代を切り取った小説を書く人なんだとわかった。 「何者」や「正欲」も、当時読むのと今読むのでは感じ方が違うのかもしれない。 ってことは、「イン・ザ・メガチャーチ」も5年後10年後に読むのとは違う感情を、今なら抱けるかもしれない。って考えたらすぐに読みたくなり購入。 単行本を発売されてすぐ買うのが初めての経験でワクワクした。 自分は推し活とか熱中できることやものがあんまり無くて、2年くらい前からジワジワ来てる読書ブームに幸せを感じてるんだけど、 まさにアイドルや俳優、キャラクターとかに熱中できる人に憧れとか眩しさを感じてて、、、 でもこの本を読み終わって、いいじゃん読書ブーム!心置きなく自分のペースで好きなように読書生活に浸ろう!と思えた。 読んでて、怖って思ったり、リアルで苦しくなったりもしたし複雑なんだけど、 一周まわってやっぱり幸せの形は人それぞれ! なんかいろんなことを言語化してくれたって感じで、なるほどなーたしかにー、が満載だった。 読めてよかった。
35投稿日: 2025.09.23
powered by ブクログ推し活、陰謀論、人間関係。 人間は皆弱くて、何かしらの不安を抱えて生きている。どの人物でも孤独や、陰鬱な感情と向き合うシーンはあった。向き合い方はそれぞれ。 ただ結果として、皆少し度がすぎてしまった。 不安との向き合い方自体は間違っていなかったのだと思う。 物語の起伏としてこのような結果に進んでいったのかもしれないけれど、それ自体が我々に警鐘を鳴らしているとも感じ取れなかった 行動、視野、正解、間違い、、 正解の生き方なんてない。 きっとどう生きていてもそれなりの困難と不安は降りかかってくる。 その逃げ道として推し活を含めた人との繋がりを求めることは何も間違っていないのだと思う。 自分にある種の催眠をかける能力が自らを助ける。 生きにくさは誰もが感じている。 「正欲」「生殖記」も含めて、自分とどう向き合うか考えさせられた。 自分がどういう人間か考える機会を嫌でも与えられた。 何冊か小説を読んだだけで行動基準が変わりそうな予感はないが、弱みとの向き合い方はもう少し自分の肩の力を抜いていいような気がした。
2投稿日: 2025.09.23
powered by ブクログイン・ザ・メガチャーチ 2025.09.23 人生とはこれまでやってきたことが還ってくると思っていた。しかしこれまでやってきたことよりもやってこなかったことのツケが還ってくるのだと感じる。 この文を読んだ時に今までとは逆の視点で現状を捉え、言語化する作者に驚いたし視点の鋭さに感嘆した。 私は高校時代、県内ではトップレベルの女子校に進学し勉強と部活にだけ打ち込む生活をしていた。振り返れば勉強と部活に費やした時間はそれはそれでキラキラした青春だったといえよう。しかしながら勉強の無駄になると考えた友達とのコミュニケーションを極限まで減らしたせいで大学でまともな人間関係を築けていない。ましてや異性との恋愛などそれ以前の問題である。これはまさに"やってこなかったこと"へのツケが回ってきているのだ。 190ページまで読んで考えたこと!①と②と③ 前提として私は人類が生きる意味はないと考えている。しかし他人と関わり、自分の欲を満たすことで生きることを肯定することでしか自分の存在を否定しないことができない。 ①『神のいないこの国で人を操るには"物語"を使うのがいい。』という言葉が表現することは、 この世に考える脳と生きるには十分な経済力を持ち合わせて生み出されてしまった人類(=これは先人が望んでいた環境で喜ぶべきことである。)が存在する。 ↓ なにかにすがらないと生きている意味が見出せないと考えている。(実際は生きる意味はないけれど。) ↓ 『推し』を利用 私はここ最近、生きる意味について考えてきた。今のところ考えるに結論らしきものは出せた。この本を読んで、私の考えていた生きる意味と似たような観点から日本を捉え、書かれていることに驚いた。しかし推しという視点から哲学に絡めて表現しているのは興味深かった。 ②平等は不可能である。 すみちゃんは自分より下の人(知識や視野の点で)を見下して安心する描写があった。 また推しに関しても知識のある人(戦略的にファンをつくっているプロデュースが存在することなど)に有利で知らない人に不利な世界があると感じた。 結局、知識的に下の人は見下される世界であるなあと感じた。だから勉強することや本を読んで教養をつけること、感じて考えることは大切なんだと実感した。 ③何を信じていいかわからない →目の前の今を愛すべき 目の前の家族、友達などを大切にしなくてはならないと決意させられるような本だった。
4投稿日: 2025.09.23
powered by ブクログどの物語のなかで自分を使い切るか。推し活とファダム経済を真ん中に据えて、うねる物語の中で奔走する人物たち。物語を内面化し、無いはずの概念を有るように信仰し、視野を広げたり狭めたりする営みそのものこそが文学の本来の姿なのだろう。
1投稿日: 2025.09.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
少し目をやればマイナスな側面ばかり目をつく現代で、何かすがるものが欲しいのかもしれない。その何かに自分を使い切って現実をある種見ないでいれば幸せなのかもしれない。 私たちは常に物語に魅せられるし、自分自身も物語を強要される。今までのキャリア、今後どうしていきたいのか。この自分の物語が揺らいだ時、他者に自分が紡ぎ出せなかった物語を期待して熱中していたいのかもしれないと思った。
2投稿日: 2025.09.23
powered by ブクログ推し活って夢中になれるものがあっていいなぁってずっとふわっと思ってたけど、こんな奥深さがあるとは知らなかった。 3人とも全然違う立場だけど、読んでてハラハラ度合いは同じだった。 孤独って誰しも感じると思うけど、怖いなあって思った。 この後それぞれがどうなるのかまだ読んでみたかった。 わたしもきっと今まで自分の中で色んな物語に視野を狭めてきたんだろうな。今も。 朝井リョウさん素晴らしかった。
16投稿日: 2025.09.23
