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イン・ザ・メガチャーチ
イン・ザ・メガチャーチ
朝井リョウ/日経BP
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総合評価

514件)
4.5
281
150
41
2
2
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    このレビューはネタバレを含みます。

    推し活する側仕掛ける側  三人の主人公の物語。 試し読みしたら止まらなくなり、 最後まで一気に読んでしまいました。 楽しい、でも怖い。 自分と重ねて見てしまう部分も非常に多く、 読者の傍観を許さない感じというか、巻き込まれていく感じというか、過去も今のこともいろいろ抉られていく感じがたまりません。 (おじさん友達いない問題はおばさんも変わらず。心に刺さりました。) すみちゃんのこれからがとても気になります。 特典のビハインド動画がたまらなくアホらしくて、 朝井リョウさん大好きになりました。

    10
    投稿日: 2025.11.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

     ポストの解像度が高くて面白かった。  自分は推し活にハマれないのが悩みです。もし推しができたとしても、適度にやらないといけないな、と思いました。  生活のレベルや生理的欲求の充足を削いでまで、やるようなことではないけど、いざハマったらそこまで考えられないんだろうか…。  コンシーラーのおかげで娘といい感じだと一方的に思っていたり、部下のビタミンCをお守りにしたり、彼のお家に押しかけたりなど、時が経って振り返ると、あの時なんであんなに盲目になってたんだろう…って、自分もなるときがある。いろんな感情で胸がいっぱい。

    3
    投稿日: 2025.11.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    朝井リョウさんの最新作、表紙の装丁で即購入しました! メインストーリーは推し活を軸としたファンダム経済を取り巻く登場人物のさまざまな背景や視点に沿って物語は進んでいく。 わかりやすい視点の切り替え、同時に展開が速いし、ちゃんと絡み合っている。とにかく読み切るまで終わらない感じ。 最後は本を読んでいるだけなのに息切れしそうだった。 ストーリーに仄暗い闇がいつもまとわりついていて、面白いんだけど第三者として見ておきたい。感情移入することはなかった。いや、感情が動かされると、強い引力で引き摺り込まれそうになるからねっていう警告のような、朝井さんも一歩引いて書いているように感じたのは私だけかな。 緩やかな暴力的な本でした。

    1
    投稿日: 2025.11.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    オタク同士の肯定し合う感じは内部にいれば居心地が良いけれど、学生と40代がファンとしての行為が正しいと認め合うのは人生の土台が違うから同一ではないのもおもしろかった 正しいわかりやすい物差しが欲しくて、それが見つからないから自分が我に振り返らないように忙しなく生きてる、とても当てはまる 考えすぎかもしれないけど、すみちゃん、と呼ばれるその性格ものめり込みやすい、ピュアそう、という意味合いがあるのかな

    1
    投稿日: 2025.11.03
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    推し活を軸として話が進んでいきます。 何かに熱中することはとても幸せである一方で視野を狭くし思考を鈍らせる。鈍感になれば余計なことを考えなくて済むし、好きな人を見続けると心が満たされていく。満たされれば周りとズレていたとしても気にならない。幸せだから。自分の居場所を見つけたような気がする。たとえそこが危険な場所であっても気にしない。何かあってもその場所にいることで自分を立て直すことができる。無駄に考え込む必要もない。 今回も朝井リョウ先生にえぐられました。自分も高校生の時あるバンドに熱中してました。その時はその音楽以外を聞く気にならなかったてす。なのでこの本に出てくるアイドルファンの感覚とかは分かります。何かに依存すると簡単に心を満たせますもんね。こちら側も金ヅルになってることを分かってます。結局自分に自信がなかったり、満たされない状況がそうさせるのかなぁと感じました。

    8
    投稿日: 2025.11.03
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    やっぱり凄いな朝井リョウ。 何でそれぞれの心情がこんなにリアルに描けるの? 朝井リョウの頭の中はどうなっているのだろう…。 どの登場人物にも感情移入できる、でも何でそんな選択するの!?と考えて、自分の思考がぐちゃぐちゃになる。 推しって、アイドルだけじゃなくて、宗教でも政治でも何にでも置き換えられるのだと改めて考えされられた。 そして自分が感情移入できる物語がある方を信じてしまう。 無意識にでも、意識的にでも集まってくる情報は自分と近いものになる。 夢中になっている間は他のこと考えずにすむし、何より楽しいから、余計に不安になる。 私も自分で選択しているようで、実は選ばされているのかもしれないな。。。。

    23
    投稿日: 2025.11.03
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    400ページ越えの超作でしたが、めっちゃ面白かった。 推し活を題材に、推し活を売る側、買う側の両角度より展開する物語に引き寄せられた。 各視点から見える推し活に対する思いや考えだったり、熱意の視点が違うとこが読んでて面白くて気づいたら読み終えてました。 現在推し活してる人、逆に全く推し活なんてしたことない人が読んでも面白い、、つまり全員読んで面白い本だと思う笑 のめり込む人間の恐ろしさ、何を信じるべきか等、読んで考えさせられた。 人の考えることは悍ましく、美しいと私は思います。 ほんと読む物に迷ってる人はぜひ読んでほしい。

    4
    投稿日: 2025.11.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    上手く言えないが、推し活にはまる人々やそれを提供する側の心理描写が凄く、よくここまでの物語に仕上げたなと思った。 個人的には久保田慶彦の中年男性の持つ悲哀に感情移入してしまい、おじさんって頑張ってるのに卑下されて、それがこの令和の時代でもまだ許される風潮なのが可哀想に感じた。 どうしても他人の目を気にして躊躇する自分としては、視野狭窄に陥るほど没入できることがあるのは、ある意味では羨ましいと思った。 世間では、推し活に夢中なオタクがいて、それを揶揄する外野みたいな構図をよく見かけるが、果たしてどちらが幸せと言えるのか考えさせられる作品だった。

    6
    投稿日: 2025.11.02
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    「視野が広い」という称号は、 しばしば、何かに深く沈む力を奪う呪いにもなる。 熱狂の隙間で醒めてしまう者にこそ、この本は刺さる。 幸せとは何か。 推すとは何か。 その問いは、私たちがいつの間にか 誰かの設計図の上で感情を動かしている事実を露わにする。 今流行りのアイドルグループの輝きは、 偶然ではなく、意図された光だ。 オーディションという名の選別、 物語という名の装置。 私たちは「共感」すら商品にされている。 だがそれでも、誰も立ち止まらない。 疑うことは面倒で、 納得は心地よく、 幸福はいつだって「与えられるもの」のほうが楽だから。 この本は静かに告げる。 私たちの幸福感は、戦略の副産物であり、 同意なき消費の成果でしかない、と。 それでも笑顔で手を叩く私たちの姿こそ、 この社会のもっとも美しく、もっとも残酷な真実かもしれない。

    2
    投稿日: 2025.11.02
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    [こんな人におすすめ] *陰謀論にハマる理由が理解できない人、自分には関係ない話だと思っている人  ブクログのレビューを読むほど"物語"が好きな人なら陰謀論にハマる素質があるようです。この本を読むと自分自身の可能性に気づいて怖くなりますよ。 [こんな人は次の機会に] *推しのイベントを間近に控えている人  読んでから1週間以上、推し活が滞ります。特に、SNSの投稿やYouTubeのコメント欄をチェックすることに支障をきたします。ご注意ください。

    5
    投稿日: 2025.11.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    とても面白くて、半日で一気読みしました。 朝井さんはなんで、人が抱えているモヤモヤを解像度高く言語化できるんだろう…と思います。 ファンダム経済の裏側や、推しに対する行動力の根底にある人々の心の動きが緻密に表現された一作です。 登場人物たちの行動がどんどん過激化していく様子は、ある意味怖さも感じますが、ページを読み進める手が止まりませんでした。 自分自身、オーディション番組は楽しくみるけど、デビューしたグループの熱狂的なファンになるようなことはなく、自分がある意味冷めているように感じることもあります。作中で言う、ユリのような感じです。 一方で、私の友達は韓国のグループにハマれば、韓国語を勉強し、推しのために100枚単位でCDを買う。こんな夢中になれる趣味があるのって羨ましいなぁと思うこともありました。 視野が狭くなるからこそ、自分が描く物語を信じられるからこそ、強い行動力が生まれる。 視野を広めて本質的な行動を追い求めようとするほど、行動に移せない。 推しにハマる熱狂的な行動力は極端かもしれないけど、自分も少しだけ視野を狭める必要があるのかも、、とふと思いました。

    5
    投稿日: 2025.11.02
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    4分の3くらい読んで「ああ…またか…」と思い一晩置きました笑 毎回登場人物全員に対して気持ち悪いと思うと同時に、「これ自分だな」と思わせる箇所がある。ほんとに嫌。 ただ彼の作品は決してバッドエンドではないよね。 p.s. 朝井リョウさんは巻末に参考文献書いてください

    2
    投稿日: 2025.11.02
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    俺は初めて読む作家さんでした^^; 推し活の実情をリアルに描かれてました。。。 オーディション番組などでデビューするアーティスト 搾取する側とされる側……………… 政界の選挙や信仰宗教のアレコレなど……………… (ここまで書いていいの???まじやん!) めちゃくちゃ面白かったです(^^)

    17
    投稿日: 2025.11.02
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    朝井リョウさんの作品は、 読了後に自分の価値観や思想がぐちゃぐちゃにされるような感覚になります。 マーケティングの本としても非常に面白いです。

    7
    投稿日: 2025.11.02
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    現代を皮肉っているような、自分の生き方を見透かされているような。現代人の習性や人間の本質的な依存という部分に対してすごく調べて自身で解釈して物語に落とし込んでるとおもう。 一歩間違えると自分も同じ世界に足を踏み入れそうで、そもそも間違いなのか、視野を無理に拡げようとしない方が幸せなのではと思わせるくらい、 物語を作る側と没頭する側の両者の思考の駆け引きがぐるぐると自分の頭を駆け巡る。 この本を通じて幸せとは何か自分の形ってなんなのか、周りに合わせるのかそれとも周りから解き放っていくのか。 この忙しない世界に生きている僕らならこの本で共感できる部分が多々あるはず。 読み応えバツグンです。 朝井リョウ初めて読んだが天才すぎる。 年もそう違わないのに頭の中どうなっているんだろう。

    21
    投稿日: 2025.11.01
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    視野を広く持つからこその悩み。大学生という無力な立場の中で感じて、意図的に狭めていく。濃淡は違えど澄香は自分と重なった。さらには推し活もしているし、仕事で推し活に関わってもしているので当分頻繁に思い出して考えてしまいそうだけど、積読せず今読めてよかった〜。

    5
    投稿日: 2025.11.01
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    朝井リョウの作品はどれも物語の主観側に立ってこうあうアホなやつらいるよなと共感しながらも、最後はそのしっぺ返しを食らう主人公とともにカウンターをくらう。 生物的な意味で生きるのが簡単すぎる現代は生きる目的を持つのが難しい。 推し活でも何かチームのファンでも恋でも、中毒症状が退屈を紛らすのは間違いない。

    10
    投稿日: 2025.11.01
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    推しを作る側の物語が新鮮。止まらず2日ほどで読んでしまった。推し活を俯瞰で見るようになってしまうので熱狂的に推し活をしてる人は注意かもしれない。 サインしおりみたいなのがついてたので紀伊國屋で購入。迷っている人がいたら是非読んで欲しい。まだ読んでない人かうらやましい。装丁もよい。 朝井リョウを推したい。

    9
    投稿日: 2025.11.01
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    「物語」が人を動かす力にゾクっとする。
間違っているとわかっていても、前に進むしかない孤独が、痛いほどリアルだった。 「どの物語にも呑み込まれない人生って、間違いはしないけど別に楽しくもないんですよね」という国見のセリフが心に残る。
好きなものに時間やお金をかけるのは楽しいし、優しくて健やかな繋がりには癒される。
視野を狭くしたり、拡げたりしながら、バランスよく。
自分の世界に浸りながらも、外にも目を向けていたい。

    10
    投稿日: 2025.11.01
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    推し活にハマった側と、推し活にハマらせる側からの視点で描かれている。ハマった側の激ヤバ人生や、運営側の戦略が見えて面白かった。 推しにハマることで、視野を狭めて自分の周りにある色んなことを考えなくて済む。また、孤独から解消され、仲間ができ、連帯できる。適度な推し具合なら生活に活かせそうだが、ハマりすぎると狂気的で破滅の道まっしぐら。 人を動かすのは感情。感情は物語に化ける。布教には物語が強い。誰かの物語をきいた人が自分の物語とかけあわせ、自分の中で新たな物語をつくり出し、勝手に周りに布教してくれる。だから最近はオーディション番組から生まれたアイドルグループが増えているらしい。

    10
    投稿日: 2025.11.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    朝井リョウの正欲を読んで、普段生活していると、スポット当てづらいテーマに切り込んだ作品だと感じ、同じ著者のこの作品を手に取りました。押し活の話ですが、根本的には、宗教と同じで、誰もが信じ込むことで安定を得ています。家庭や学校・職場での顔と、心のバランスを保つために不可欠な現代社会の構造のようにも感じました。読みやすく、一気読みでした。面白かったです。

    1
    投稿日: 2025.11.01
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    圧巻でした、熱量に毒されました。 読み始めは若すぎてついていけないかもと思いつつ、久保田の年代を励み?として読了。推しについて知るところとなり。 メガチャーチ、なるほど。 ネット社会の弊害が人間の心理を操作されているのだと思っていたけれど、昔も今も変わらず、媒体は変わっても人は同調してしまう洗脳されてしまう生き物なんだと改めて怖さを知る。

    12
    投稿日: 2025.11.01
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    2025.11.1 図書館本。 読むのが楽しみなような怖いような複雑な気持ちで順番を待っていました。 正欲、生殖記に続く、序盤では何を読まされているのか、ここからどう繋がっていくのかわからないハラハラドキドキ不穏な展開に、ある意味怯えながら読み進めました。 朝井さんの小説は下手なホラー小説よりよっぽど怖いし心当たりがありすぎてグサグサ刺さります。 どうして主要な登場人物の40代後半のオジサン、30代非正規雇用の独身女性、20代の女子大生の揺れ動く気持ちがこんなに細かく解像度高く描けるのでしょうか。 みんなどこにでもいそうな普通の人たちなので、出会えた「仲間」とともに勝手に視野が狭くなって暴走しちゃうのがリアルすぎです。 そして全てを俯瞰していて常に冷静沈着な国見さんが不気味。いくらゲーム開発に関わっていたからと言ってそんなに仕事もプライベートも客観的に生きられる人がいるんだろうか。つまんなさそうな人生だなって思ってたら本人も別に楽しくはないって言っててやっぱりそうなんだって。踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃソンの精神の方が膨大な暇つぶしである人生は楽しそう。 最後の100ページあたりではどうなっちゃうの〜と思いながらも展開が怖くて休み休み読みました。とは言いつつ450ページ越えも2日間で読了。お話自体はまったく難しくなくテンポよく進むのでスルスル読めてしまうのがまた怖い。 イン・ザ・メガチャーチって読む前はどういう意味なんだろうと思っていましたが、チャーチマーケティングという手法があるんですね。知らず知らずのうちに自分のこの商法に乗っかってるんだろうなあ。 「みんな自分を余すことなく使い切りたい」は名言だと思います…。

    3
    投稿日: 2025.11.01
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    まず装丁がキレイ ファンダム経済を作る側、受け取る側、受け取っていた人たちの物語。 最後、久保田慶彦は「最初から目の前の大切な人に対して自分を使い切るべきだった」と言っていたのが印象深い。

    2
    投稿日: 2025.11.01
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    朝井リョウさん。書店でよく見かけるなー人気の作家さんなんだなーとは思いつつも読みたい本がたくさんあって後回しにしてたけど、こんなに尖っているとは!ちょっと衝撃で、読み終えた後もまだ心がザワついています。

    3
    投稿日: 2025.11.01
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    ファンダム経済を仕掛ける側とのめり込む側の両視点から描き出す構成が見事でおもしろすぎた。 SNS・宗教・政治・エンタメ・ゲームといったさまざまな没入装置の網の目の中で、ファンダムの一部にならずに生きていく方が難しい。私は貢ぐより貢がれたいので推さない傍観者タイプだが…(笑)何かに没頭する快感や熱狂することで楽々と人生を生きていける感覚をよく知っているので他人事ではない。 いつ私を絡めとるストーリーテリングの網にかかるかわからない。といいつつ、しっかり小説や映画の物語中毒ではある。登場人物は極端な例。搾取と見るか、対価と見るか。 それにしても朝井リョウさん巧いなぁ。同世代なので、肌感覚がぴったりなんですよね。今イチオシの作家さんだな。

    28
    投稿日: 2025.10.31
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    渋谷場面がとてもカオスで、それが文章表現されていることに感動した。父娘のすれ違いと情報がいつ、どうやって、明かされるのか、完全に作者の術にはまり込み、脳を溶かされたかも。続きは読者各位で物語を作ってね!と。怖! この世の中の見えている景色も情報も同じなはずなのに、立場や環境、大切なものや必要なもの等で受け取りかたも自身のなかで作られていく「物語」という解釈も変わっていく。自分がそう思うから人もそうだろう、なわけがない。視野が広すぎても個人の力ではできることなど何もなく、視野が狭すぎても自分だけが浮かれているやつになりかねない。便利で平和な時代を生きる現代人の孤独や悩み、社会問題との絡み方が絶妙。特に何か事件が起こるわけではないが、よくある場面の捉え方に刺さるものがあり、引き込まれた。

    13
    投稿日: 2025.10.30
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    現代日本に蔓延る様々な問題、人の抱える心の闇、社会の歪さ、脆さなど… 三者三様の視点から、様々な問題や悩みに切り込んでいく話でした。 令和のこの時代の社会構造、それに流れるようについていく人々、そこにうまく乗り切れず途方のない世界に放り出される怖さ、逆に途方のない世界から「救いを求めて」「心の安寧のため」にあえて視野を狭く一点に絞り、そこから価値を見出していく人… どれもこれも、なんとなく「あ、心当たりがあるなぁ…」と思わざるを得ない話たち。 たまたま自分が若干情緒不安定気味な時に勢いで読み切ったため、読了後の何とも言えないモヤモヤというか、絶望とまではいかなくとも「救いはあるのか?」と悩んでしまう暗さにどっぷり 元気がある時に読むことをおすすめします。 わざと目を背けながら生きている現代の仕組みをザックリ突き刺された気分です。 ただ個人的に私はオタクをしてるのですが、昨今流行りの推し方をしておらず、マイペースにずっとやってるので、『これはこういう性格と特性の人たち特有のアレだよなぁ』とちょっと違和感と線引き気味に。 そこは人それぞれかなぁ。 読み応えのあるページ数でした。

    3
    投稿日: 2025.10.30
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    朝井リョウさんの作品はいつも新しい概念を植え付けてくれるので好きだ。 推し活を利用して搾取する者、される者。推し活にのめり込む心理、その背景。宗教を比喩に出して表現されたこの歪な構造に慄いた。 しかし、では推し活はおかしいのか。その熱狂的なまでの幸せは意図されたものでしかないのか。どうすれば幸せになれるのか。 「正解」と「本物」を軸に新しい標が私の頭に作られたと思う。

    2
    投稿日: 2025.10.30
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    私も「物語」にやられている一人だなと思いながら読んだ。 熱狂的な推しがいる訳じゃないけど、お涙頂戴の芸能人の生い立ちに弱かったり、甲子園の舞台裏の根性物語に涙してみたり、陰謀論も気になって読んでみたり… こんなストーリーも実はしっかり仕組まれたもので、私たちは踊らされているだけなんだろうか。 今の時代をなかなか鋭く切り込んだテーマだけど、朝井リョウさんならではの軽やかなタッチで、時に笑いも交えながら展開していくところはさすが。 最近は社会問題を扱うものが続いているけど、重くなりすぎず、でもしっかり問いも投げかけられていて、満足度大で読ませてもらっている。 作家生活15周年おめでとうございます。

    51
    投稿日: 2025.10.30
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    2025年56冊目 それぞれの価値観、思想で動く、3人の主人公に感情移入し、3人の主人公に殴られ、幸せっていうのはどういうことなのかを探求する… とりあえず朝井リョウの文章は素敵

    1
    投稿日: 2025.10.29
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    男の人って大変だね。 推し活してないけど、お金と時間を貢ぐ先が見つかったら、暇な時間がなくなっていいなぁと思う。

    1
    投稿日: 2025.10.29
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    INFPかつ数年前に「推し活」に目覚めた身として、澄香に一番感情移入ができました。 推し活と宗教は似ているところがある、というところからここまで壮大な物語を生み出すことができる朝井さんに感服です。 正直なところ、無宗教の日本に住んでいると、宗教というとどこか縁遠いような、未知なる恐怖のような感情さえ湧いていましたが、構造は推し活と同じようなものなのだなと物語を通して実感させられました。 それと同時に、なぜ日本でここまで推し活が流行しているのか、という社会の現状まで改めて分析することができ、ただただ物語を楽しむだけでない、学びを得られたような感覚で、充足感に溢れております。

    4
    投稿日: 2025.10.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    “推し”をマーケティング分析し、ビジネスとするなんて発想が斬新で期待して読みました。 が まず、課金ゲームとりわけスマホゲームのガチャは射倖心を煽り売り上げを上げるので、推しと同列にするには無理があります。となると国見さんが存在できなくなってしまいます。 さらに 推しのマーケティング脚本を書き、その罠に自分の娘がかかったわけですが、その描写がない。ここがおもしろいポイントなのにホント残念です。

    2
    投稿日: 2025.10.29
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    この本きっかけでMBTIをやってみたらINFP-Aと出て道哉と同じ症状を引き起こすという何とも決められた運命かのようなストーリーに読みながら衝撃を受け、まるで自分のようだと何度も見返してしまいました。適度な距離感を取れないというのが原因だと朝井リョウさんにカウンセリングされたような思いです。 積読せずに早く読んでよかったです。

    22
    投稿日: 2025.10.29
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    今回初めて朝井リョウさんの作品に触れた。 朝井さんの作品の感想において、「この人は世の中に対する解像度が高すぎる」という旨をよく目にするがまさにそうであった。この一作を読了しただけでも分かる。仮に自分がここまで解像度高くすることが出来てしまったら、生きずらささえ感じてしまうかもと考える。 内容自体もその能力が存分に活かされており、ひどく共感できる部分があったり、自分では手が届きそうにもないかゆいところをどんぴしゃの表現で表したりして、評価の高いものになっていると思う。

    9
    投稿日: 2025.10.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    神になるには、物語を作る。推し活は誰もが自分を使い切る為にしている。特に中年男は仕事以外で雑談を交わす友達が居ない。その穴を埋める為推し活をしている。自分も未来にそうなるのではないかと恐怖とリアルを感じた。

    47
    投稿日: 2025.10.29
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    ファンダム経済という言葉を初めて聞いたが、推し活による経済や、保守派の思想家など現代を揶揄った話で面白い。読みやすくよかったが、逆に言えばもう少し堅く細かい話でも良かったかなとは思う

    2
    投稿日: 2025.10.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    常々、時代を切り取るのが上手い書き手だと思う そして、それを小説というエンタメにするのが上手 今回はファンダム経済を仕掛ける側、ハマる側、ハマっていた側の視点から物語が進んでいく 一部、?なとこもあったけど、誰もが孤独と不安を抱えて生きている令和という時代をよく捉えている気がする 物語を信じ込む その世界に没入する 視野をわざと狭める 我に返らないように 皆、自分を余らせたくないんですよね 今って、人生の指針がないんですよね これまで提唱されてきた生き方の正解とか成功の条件みたいなのは幻想だって知れ渡りました 家庭を持っても、、、、お金や影響力を持っても、、、、何でも視点を変えればマイナスがあって、万人に通用する物差しはなく、幸せの形は人それぞれ でも、それって、言い換えれば自分というリソースを使い切ったもん勝ちってことでもあるんですよね 自分を使い切っている人には外からのジャッジが一切通用しないということでもあります やっぱり、楽しかったですか? どんな物語であれ、視野を狭めて暴走するのって楽しかったですか?

    3
    投稿日: 2025.10.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    約500ページにも及ぶこの物語に、気づいたら引き込まれていた。気づけばこの物語に没入し、読後もこれは本当にフィクションなのだろうか、他人の話なのだろうかと考えている自分がいる。たぶん、ノンフィクションであり、自分の話なのかもしれないと。 一見、繋がりの見えない、音楽会社の社員久保田慶彦と留学志望の大学生武藤澄香、推し活をしている社会人隅川絢子。その3人が推し活を通じて直接的に?間接的に?関わっていく。誰しもがふと考えることがある孤独、現代の推し活に潜むものは何なのか。 今までは結婚して子育てして出世して…のようにこういう人生が正解となんとなく型が用意されていた昭和・平成時代。それが、多様性の時代に変わり、結婚するしないも自分次第、子どもを育てるかどうかも自分次第、就職するしないも自分次第のように全ての答えが自分に託されるようになった。その中で、人は人、自分は自分が強くなり、答えがない不安や同じ方向を向く仲間が作りにくくなっているのも事実だ。そこで、流行したのが推し活である。同じ推しを推すことが、連帯の現れであり、仕事終わりも休日も何をしたらよいかの道標になっている。仲間がいることの安心感、何も考えず、ただひたすらに推しに没入することで、自分の満足度を高める、物語でも語られていたようにある意味では、宗教的な要素もあるのだと。この無宗教の日本であるからこそ、何か信じるものがあることで、自分を律することができたり、迷わずに行動を選択したりできるのだと。そして、一見中毒症状に見える推し活や宗教の布教活動も、没入しないと、集団の中で疎外感を感じるようになってくる。そんなサイクルで、どんどんと信徒化していく日本人。自分自身も推しのライブに参戦するが、周りにグッズを何十万とコンプリートするような人もいる。そういうことなのかと。宗教や推しのアイドルやアーティストを推すことだけではないのかもしれない。ゲームやスポーツだって、何か自分が夢中になるものを見つけ、それを通して仲間を見つけることが、ある意味では、没入し、自分を満足させる、使い切ることに繋がっているのだろうと。推し活が間違っているとか、何かに熱中することが悪いのではなく、周りが見えなくなることを狙いとしているのであれば、自分はどうしたらよいのか。ただ一つ言えるのは、没入している人自身が楽しいのであれば、生活に支障をきたしてない限りは、周りはとやかく言うべきでは無いのかなと。難しいけど、バランス?程々?も大事?うーん、多様性の時代、結局は自分が納得する人生を送れればそれでいいのかな?答えは見つからず。だけど、この令和の時代を考えるきっかけになったことだけは間違いない。 他人と思って物語を進めていたが、読後、自分のこの中の誰かなのではないかと不思議とそう思わせられた。他人事が自分事に変わって終わるなんて思ってもみなかった。これからの令和の世の中の見方が少し変わるのではないか、それぞれの物語、そして、その裏にはどんな人がいるのか、全てを深く考える一冊になると思う。読後、ずっしりと何か重いものが自分の心の中に残りました。この物語は、まさに今の令和の世の中を細かく正確に描写した一冊だったのではないか。朝井リョウさんの時代を捉える力、描写力にも感激しました。正欲、生殖記を超える社会派の物語になることは間違いないだろう。

    4
    投稿日: 2025.10.28
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    お初の朝井リョウさん。 大人気の作家さんで気にはなっていたが、なかなか挑戦できずにいた。 今回の作品のテーマである″推し活″。 私は今までの人生で″推し活″というものをしたことがなかったため、この作品も手に取るのを悩んだ。 しかしSNSを見るたび、この作品が目に入り、気になって気になってついに手を。。 まず、全く″推し活″のことはわからないけれど、とっても面白かった!!!すごい! 朝井リョウさんはなぜこの世界のことを、こんなに細かく描けるのか? 推し活にのめり込む者、 推し活にのめり込んでいた者、 ファンダム経済を築く者。 この3人の気持ち、行動がなぜここまでわかるのか? とにかく朝井リョウさんはすごい。 どこまでが本当で、どこからが作られたお話なのか‥。 みんな我を忘れるために、 辛いことを考えなくて済むように、 何かに没頭する。 視野を狭めた方が楽しく生きられる。 そんな気持ちも痛く伝わってきた。 だけれど『もっと視野を広めて!』 と、この3人に伝えたくなった。 2025.10.28(火)

    21
    投稿日: 2025.10.28
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    推し活/ファンダムを軸にした父、娘、独り身の女性の物語。メガチャーチとはアメリカの大規模教会のこと。この巨大教会のマーケティング手法が現代の商業マーケティングに使われているとのこと。 お母さんは女友達が多いのに、お父さんに雑談する友達がいない、というよくある情景を上手く切り取っている。推し活をする女性の気持の移り変わりの描写や、年下の友人ができる時のおじさんの心の動きの描写などが秀逸。

    5
    投稿日: 2025.10.27
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    他の著作でも思ったが、この人は社会学者なんか?と思ってしまうくらい事象に対する解像度(言語化レベル?)が高すぎる。小 フィクションなんだかノンフィクションなんだか、境界が曖昧。登場人物の描写や心情が自分にも心当たりがある部分多く、怖くなりました…。 人をどう信者にしていくか、というマーケティング手法学びたいです

    2
    投稿日: 2025.10.27
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    社会派なのに、小説としてもめちゃくちゃ面白い。 朝井リョウさんの圧巻の筆の力…一気に読みました。 多様性+情報過多の時代。 視野が広がることによって身動きが取れなくなる感覚、 物語に没頭する事で得られる気楽さ、 操作される消費行動、 せめぎ合う客観と主観、 それでも求める人の繋がり 主人公等の悩みもがく様は、それぞれ共感できる部分が多く、引き込まれた。 今までモヤモヤと感じていた違和感が、本書で鋭く言語化されており、 なんだか社会の解像度が上がるような、心のうちを見透かされたような…むず痒い気持ちになった。 ラストに正解はない。 きっと作者の中にも答えは出ていないんだろう。 とても面白かったが、読了後、より現代社会の闇に迷い込んでしまった…

    5
    投稿日: 2025.10.27
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    タッチは軽いのに読後感がズンと重い。 普段SNSを見て感じてる違和感を正しく言葉にするとこういうことになるのかと納得。視野を狭めて、その物語に没頭する。そうしていると充実感を感じ、孤独を感じない。推し活をしている人、陰謀論を唱えている人、何でそんな必死なんだろうと思っていたけれど、その物語に没頭していたからだ。その時間は楽しい時間。 一方、それを冷めた目で見ている第3者は間違ってはいないが、何も残らないし、何もしていない。 正解がない中、どう生きるか。 今は子育て仕事に忙しくて、少し離れた目線で読んだけれど、孤独を感じた時に自分もファンダムに飲み込まれる可能性は十分にあると思った。

    16
    投稿日: 2025.10.27
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    自分自身は久保田の立場なのかなと読み進んでいたけどど、久保田は思っていた以上に物語を欲していて、沼に落ちていったところで自分は国見の立場の方に近いのかもしれないな、と 何かに熱狂して強烈に推し活に勤しむ経験をしたことがない自分にとっては、推し活というものの存在をうまく取り込めていない部分があって、それは推し活をしている人たちも含む。 推し活や推し活に勤しむ人に対して違う感性を持っているのかなとか、なかなか理解できない部分もあるなーと最初らへんの久保田のような視点を持ちつつ羨ましく感じる思いも日々あるような気がした。 視野を狭めたい時が必ず生きていてあると思うし、何も推していない自分からするととても有意義に楽しく幸せに見えることもある。 これから何かにハマるときや自ら視野を狭めようと傾注することがあるのかどうか。

    3
    投稿日: 2025.10.27
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    一言メモ、推し活も宗教もコロナも悪の策略、だからやめられない止まらない、ということ とても今どきの話題で、なんとなく、あのアイドルグループかなと、思い浮かべながら読んでいました。 途中、母子の会話。カメラ越しの父が、突如、化粧&ライトてかてか、で爆笑抑えきれず。ツボりました。 どなたかが言うように、突然話が終わるので、私は、このあと続きそうな雰囲気を感じました。続いてもいいんじゃないかな。続いてほしい。楽しみにしてます。 国◯の存在が、謎…

    4
    投稿日: 2025.10.27
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    推し活、MBTI、父娘の関係などなど、わかるわかる!あるある!ってなりながら読み進めていました。 推し活経験者なので、推しがいるって楽しいけど、視野が狭まってしまっている、本当にそうだなあと。 視野が広すぎるのも個人的には良いと思えない。適度に好きなことをして生きていきたいなあ!

    4
    投稿日: 2025.10.27
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    すごかった、、ここで終わるの?っていう感じ。序盤から朝井リョウ節全開のキレのある表現と尖った登場人物のキャラ設定が印象的だったけどまさか後半こうなるとは、、本当に帯に出てくる3人が主になって話が進むんだなって思って面白かった。自分を使い切るという表現は確かにそうだなと思ったし、それこそ自分を注ぎ込んでいるキラキラしている瞬間を人はインスタに投稿しているんだろうなと思った。定期的に読み返したい本だと思った。広く浅く推し活している自分にとって、視野を広げたり狭めたりしながら、でもなるべくフラットに、間違えたり変だとは思われたくないと思ってしまうINFPな自分なのでした。

    12
    投稿日: 2025.10.27
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    朝井リョウさん初読み。すんごい今っぽい。『横転』とか最近すぎる。おもしろかった。 それぞれ登場人物の物語がリンクし始めた時はこれからどうなるんだー!とワクワクした。 自分の若い頃を思い出す。各地遠征したり特典やら配信やらSNSで仲間つくって駆使して。何かを追いかけて心酔してる時って夢中で楽しいし生きる糧だし希望なんだよね。 結局視野は拡げるのか狭めるのか、どっちなんだい。 ちゃみするのパソコンのシーンはゾクっとした。

    8
    投稿日: 2025.10.27
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    朝井リョウさんの真骨頂、時代を書く、が体現された本。ぼくもよく嵌りにいく、視野を狭めたら脳が溶けて楽になる感覚を言語化してくれていた。朝井さんが伝えたかったことは他にもたくさんあるのもしれないけど、確実に1つだけ受け取ったとすれば、視野を自ら狭めにいっている人はもちろん、視野を広く持とうと必死になっている人も視野を狭めにいっていることになってるし、現代人はやっぱり何かに命を尽くすことが楽になっているよ、ってことかなあ。ひと昔前の本が描く光景とは全然違うんだろうなあ。この本を読んだ後に特に何か行動を起こさせようとしてるわけじゃないのがまた残酷な気もする。結局自分が生きたいように、息抜きもしつつ、変に力を入れすぎることもなく、自分らしく生きていくしかないんやと思う。

    3
    投稿日: 2025.10.26
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    読後にまず思ったことは、朝井さんによって目の前を覆っていたカーテンが開かれ自分の背丈よりも大きな窓ガラスの向こうに広がる世界を見せられた気分。全てが暴かれてたかのような感覚。逃すまいという鋭ささえある。どうしてこの人はいつも高く俯瞰的な視点からこの世の濃縮されたある一点をこんなにも明確かつ繊細に書けるのだろう。物語に出てくる全ては普段SNS上で目にするもので、この本を読んでると現実と小説(フィクション)の境目がわからなくなる。この物語はあまりにもノンフィクションすぎて、逆に現実で起きている"推し活"界隈の活動が非現実的に思えてくる。まるでこの物語を元にした寸劇かのように。 アイドルひいては誰かを"推す"という行為を自分はよく分からない。そもそも何かや誰かを"応援する"という行為にあまり関心を持ったことがない。一つのチームの応援席で周りの人と同じ色の服を身に付けスポーツ観戦で胸を熱くする気持ちを持つこともなく、そういう行為に熱中している人がずいぶんと羨ましく思うことがある。社会人になり、それまでアイドルに興味がなかったはずの友人がことごとくアイドルにハマっていった。不思議なくらい緩やかに、でも確実に。1人ずつ罠に落ちていくかのように。いつか自分もそうなるのだろうかと思いつつ(まだなだけかもだが)、"推し活"を積極的に行う友人たちが眩しく見えた。どこか蚊帳の外で遠くから眺めている気分。その推し活に目覚めた1人の友人から送られてきた(布教という名の)TikTok のリンクを開くと、そこにはオーディオで勝ち上がった1人の若い男性アイドルが踊る様子のショート動画があった。投稿者が書いたであろう「伝説!!〇〇アイドルになってくれてありがとう泣」というコメントが付いている。友人はこの動画をきっかけにアイドルにハマったそうだ。彼を見ていると力が湧くと、仕事が頑張れるのだと。正直、よく分からなかった。 私自身にも好きなものはたくさんある。本を読んで、映画を見て、美術館に足を運んで。音楽ライブにも行き、音楽に乗って体を揺らしコール&レスポンスに応じて腕を振る。外から見たらこういった行為は"推し活"界隈のものと同様に見えるかもしれない。ただ個人的な実感として、私は音楽そのものに心と身を委ねている。もちろんアーティストの思想も当然ながら含まれているので、結局のところ同じかもしれない。けど、そのアーティスト個人の幸せをどうこうしたいとかどうこうできるとも思わないし、分かりやすく言えばその人自身に自分の感情の発生を依存させていない。「存在そのものが生きる力」なんて思えない。好きなもののコミュニティの性質がアイドル界隈と違うから自分の向き合い方も自然と違っているのだろう。ああ、でもやっぱり似たり寄ったりな気がしてきた。「自己啓発本が好きではない」ということを友人と話していた時、話の結末は「どんな本でも、いつも何かしらを自分で感じて拾い上げて解釈しているのだから、この世の全ての本は自己啓発本なのだ」という結論に至ったことを思い出した。 本の感想と言いつつ逸れ始めているので本筋に戻すが、この『イン・ザ・メガチャーチ』で描かれている一文一文字が実体験として見て聞いて実際に記憶として染み付いているものばかりだった。"推し活"だけじゃない。「幸せの形は人それぞれ」と言いつつ皆んな幸せの形ってどれが正解なんだろうと不安になること、インスタで出てくる「トレンドファッション!」をチェックしながらそれに類似した商品を安価で買えないかネットで探すこと、自分の生活の小さな行動から世界の飢餓や紛争を変えていこう、結びついているのだと自覚して意識を向けようと友人と話し合うこと、ウクライナの戦禍をSNSで見たその数秒後にXで万バズしている「韓国アイドルもやっている」と冠がついた美容法をぼんやり眺めること。 それら全てを神のような視点で書ける朝井さんは何なのだ。どこにでもいるような登場人物たちにより淡々とナチュラルに物語が進んでいくのに、見ない気付かないフリをしていたもの(あるいは見えてすらいなかったもの)をマジシャンがカードをめくり目の前に提示するかのごとく。そして提示されたものをどうするか、そこはこちらに委ねられる。あくまで朝井さんは提示をするだけ。音もなく平手打ちされたかのような感覚を覚える。そのやんわりと柔らかな、だけど読む前には戻れない確かに衝撃が朝井さんの文章を凄みであり読み続けたい理由の一つ。特有の3者視点で物語が進み、結末に向かってその3本が集束していくのが鮮やか。14があえて"すみちゃん"というタイトルだったことも、本のカバーを外したら紫色だったことにも食らった。そして何より小説と現実で湧き起こっているファンダム経済をこうやって客観的かつ冷静に分析している"ような"この行為そのものが、果たしてその渦の中でのことではないか?と疑わしく思わせてくる。絶対に分かった気になどさせてくれない。永遠に自分を問い続けることになる。だから自分は慶彦にも澄香にも絢子にもなりうる。あらゆる時点での彼らがクロスオーバーして時折浮かび上がっては沈んで。それは恐ろしいことだよな。だから、やっぱり必要なことは可能な限り視野を狭めることかもしれない。自分を問い続けるなんて終わりのない行為なんて辛いだけだから、中毒症状を与えてくれる何かに縋り付くのだ。 朝井さんの作品は今のご時世に読むべきナマモノ感あるので出たらすぐ読んだほうがいいと再認識しました。 ------ あと、この小説と全然関係ないけど以前朝井さんがラジオで言っていた「大切なことほど言葉を尽くさなければならない」という言葉をずっと大切にしています。

    4
    投稿日: 2025.10.26
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    我を忘れて何かに夢中になっている方が楽、物語と仲間、信徒獲得と教義の布教、神がいないこの国で人を操るには物語を使うのが一番いいんですよ、

    1
    投稿日: 2025.10.26
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    ファンコミュニティをいかに熱狂的にするかという音楽レーベルとそれに傾倒していく人たちの心理 日々の不満を活動に向けることで昇華している感じ?自分には正直理解できない世界 朝井リョウ自身がどういう気持ちでこの作品を書いたのかが気になる。

    1
    投稿日: 2025.10.26
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    リアルでいたたまれないほどだけど、推し活と孤独感の関係や、視野狭窄によって楽になる感じなど、鋭いなと思う。

    1
    投稿日: 2025.10.26
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    視野をやたら広げないといけないと思ってる人。あえて狭めたほうが幸せなパターン。 物語とビジネス。 やってきたこととやってこなかったこと。 自分の消費は目の前の大切な人に。

    8
    投稿日: 2025.10.26
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    全てが書いてある本。 登場人物の誰にもなりたくないけど、登場人物と自分が完全に重なる瞬間が多々あって、苦しくなります。それは言わない約束じゃないか..ということが書かれ続けていて、これほんとに出版してよかったの??と思うくらいです。 さて、視野を広く持つ、みたいなことが今の社会では評価されがちで、多様性とかグローバルとかも、同じ文脈にある言葉だと思うのですが、それってゴールがないです。 ひねくれ続ければ、永久に俯瞰は重ねられるので、キリがない。 じゃあ、視野を狭めて突き進もう、ってこともときに良しとされることもあるけれど、それこそ、周りに迷惑をかけたりしちゃうわけです。 私にはそんな対比をしている本に読めました。 確かにファンダム経済の話ではありますが、本書の魅力はそこではないかと思います。 完全ではない世界で生きていくことは難しいですね。

    55
    投稿日: 2025.10.26
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    444ページに及ぶ長編だったが読む手が止まらなかった。先が気になりもの物語に没入してしまった。推し活文化に焦点を当てた作品で現代に起こっている現象をそのまま映しているように感じた。誰しもが他人事に感じることができない、読みながら虚無感やもどかしさを感じながら読むことになるはず。視野狭窄になりがちな現代に刺さる作品だと思います。

    7
    投稿日: 2025.10.26
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    やっぱりこの作家ってすごいんですね 読んでて気持ち悪くなるくらいリアルな「今」がありました 推し活、ファンダム、そこに沼る消費者の闇を巧みに操る業界人 コミュニティとストーリーという耳障りのいい2つのマーケティングワードを巧みに操ることで生み出す視野狭窄の連帯と終わりのない消費 そして、そこに操られる人達にも沼ることで救われる現代社会の孤独と生きづらさがあり、やがてそれは全てを見失う狂気へと突き進んでいく 多少の大袈裟感はあるものの、実際はこういうことなんだろうなと、決して綺麗事ではないSNSで覆われた社会が生み出す「神なき世界の偶像崇拝」の本質にせまります クリエイティブのチカラを信じる純粋なミュージックマンは読まない方がいいですね

    18
    投稿日: 2025.10.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    朝井リョウの言語化能力に今回も驚かされた。自分を余らせたくないという感覚は大きく共感でき、どんな幸せな形も反転しうると、言い切ってくれたことが救いとなった。

    6
    投稿日: 2025.10.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    推し活にかかわる三者三様の物語。 タイトルから推し活と宗教を重ね合わせていることはわかっていましたが、さらにファンダム経済や陰謀論やストーカーまで絡んでいて、現代の負の部分が「本質的」に繋がっていると感じさせられました。 また、著者がすごいのは、テーマとしては大きいのですが登場人物(今回は三人の主人公)の心情変化もリアルに感じさせるところです。 特に中年男性のミイラ取りがミイラになってしまうのは辛いです。 没頭度という使い方も初めて知りましたが、仕事での良い意味のフロー効果になればよいのですが、生活全般に及んではまずいですね。 食事やお茶をする友達はいないですが酒を飲める幼馴染がいるだけでも自分は助かっていると感じました。

    5
    投稿日: 2025.10.26
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    【読んだ目的・理由】オタクの間で話題になっていたから/朝井リョウさんの作品を読みたかったから 【入手経路】買った 【詳細評価】☆4.5 【一番好きな表現】どこかで、"この視野で、ある程度の確率で、間違う"と覚悟を決めるしかないのだ。(本文から引用)

    5
    投稿日: 2025.10.25
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    とんでもないものを読んでしまった 本当に存在しているかのような人物描写 それぞれの言葉。思い。想い 不安定な世の中、無味乾燥と物語による熱狂 これは本当にフィクションなのか 心を揺さぶる 良し悪しではなくたくさんの人に読んでもらいたい

    17
    投稿日: 2025.10.25
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    だんだん平衡感覚がなくなってきた。 あまり推し活にハマるタイプではないからこそ、推しがいる人がずーっと羨ましいと思っていた。推し活まではいかないけど、いろんな情報が溢れる中で、確かにどこか思想を作りれていれる感覚もある。周りの影響を受けるのは当たり前、人によって感じ方が違うのも当たり前、その中ですごくキワキワのバランスを保つことを求められてる。酔いそう。

    17
    投稿日: 2025.10.25
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     それぞれ年代も性別も趣味嗜好も異なる3人の人物の視点から物語が語られている。その言葉はリアルで洞察力に富み、日頃漠然と感じている名状しがたい感情や思考、自分では見えていなかった他者の行動や発言の背景などが巧みに言語化されており、いちいち心に刺さった。当代きっての冷徹な観察者朝井リョウ、さすがです。  アクスタって?INFPって何?の私は調べながら読んだが、今時の若者は何でも分析されて大変だな、と思う。ネガティブに感じている自分の特性も、あれほどはっきり明言されてしまうと、益々強く意識されて身動きが取れなくなるだろうに。その分押しへの一体感と没入感が強くなるのも頷ける。  作中久保田の目前に現れる無限の孤独の時間との対峙も、強く印象に残った。今までこんな描写に出会ったことはなかった。40代半ばにしては青いなと思ったが、ミッドライフクライシスなんて、所詮はこんなものなのかもしれない。

    17
    投稿日: 2025.10.25
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    #読了 2025/10/25 イン・ザ・メガチャーチ/朝井りょう 身を滅ぼすくらい何かに狂った時期があった私には読み進めるのがしんどいくらいだった。

    4
    投稿日: 2025.10.25
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    神がいないこの国で人を操るには、物語を使うのが一番いい。登場人物の国見にそう言わせた朝井リョウの作りだす物語世界に心を持っていかれた。 ここでこの言葉を吐かせれば、ここでこういう展開に運べば読者を引き込ませ、読者の興味を持続させ、読者の心を満足させることができる。朝井リョウはそれをちゃんと分かっている。いつの間にか魂を操られた多くの読者は「早くその先も読んでみたい!」と、ドーパミンをドバドバ垂れ流しながら思う。 推し活というタイムリーな話題を取り上げ、生き方、考え方、価値観の違うはずの老若男女の顔を一斉に振り向かせる。それってすごく難しいことだ。なんでそんなことをいとも容易く(というように見えるだけだけど)出来てしまうんだ。「わかるわかる」とチンパンジーみたいに何回手をたたき、何回首がもげるほどうなづいたことか。こんな共感した小説はあまり読んだことがない。 推し活なんかしてなくても、した経験がなくても刺さる言葉がたくさんある。ありすぎていちいち挙げられない。挙げられないが、例えば次の言葉にはハッとさせられて脳内の霧が一気に吹き飛んだ。 「視野を拡げることは、誰とも何とも連帯できないほどこの世界から遠く離れることと同義」 視野が狭いより広い方がいいに決まっている。そう思い込んでいたから、思ってもみない方向から鋭い矢が飛んできて閉じっぱなしだった心の部屋が急に開放された気分だ。 朝井リョウの小説を読んだのはこれが初めてだ。読まない理由はなかったが、この小説を手に取った理由もない。ただなんとなく。あれかこれかと吟味したわけでもない。他の小説と比べたわけでもない。なんとなく。そのなんとなくが意外とハマるきっかけになることもある。違う小説も読んでみよう。これを端緒に人生初の推し活をすることになるかもしれない(ならないかもしれない)。

    14
    投稿日: 2025.10.25
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    まず、メガチャーチとい言葉をこの本で初めて知った。 人生でやってこなかったことに苦しめられる部分にすごく共感した。 視野を拡げる、狭める。視野を広げることばかりを考えがちだが、すみかのように拡げることばかり考えると先に進めなくなる。逆に狭め過ぎると向こう見ずになる。 結局何が正しいかは自分の正義、価値観でしかなく、それを信じて生きるしかないのかなと。 その価値観を他人から盲目的に受け取って生きるのはいやだなぁと思う。

    13
    投稿日: 2025.10.25
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    この小説で推し活してた人達みたいに「何かにのめり込んんだこと」まだないな。と思ったけど、「小説を読むこと」から抜け出せなくなっていたことに今更気づいた。 小説を読んでなかった頃の世界に戻る気はないけど、戻ったら世界は広くなるのか狭くなるのか。とりあえず今は、小説推し。 #読了

    9
    投稿日: 2025.10.25
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    結構際どい表現多くないか?大丈夫なのかな〜って気になった 物語を信じ込む、我に返らないように これなんだよね、冷静な自分がずっと考えてる自分に大切な方法、熱を作り込まないとと改めて思わされた 依存って助けてるのか助けてないのか、依存されてる方が一番依存してるよ 朝井リョウ好きの友達2人いて、たまたま両者の口からこのタイトルが出てきたから読んでみた なんか結構最近よく考える内容だったから凄いなと 誰かを追いかけ切ったことないんだよね、だからあんまりわかんないのかも、どういう感情になるのか 無宗教の日本だからこそみんな教祖を探してるんだよね、わかるよ、でも自分自身が一番の神だからね、忘れないでね

    5
    投稿日: 2025.10.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    朝井先生、あんたすごいよ。 時代を切り取る眼が鋭すぎるよ。 (あとエッセイや特典映像との温度差がすごいよ) ここまで"今"を、"今の人"を言語化できるのか。解像度高すぎないか? 登場人物が全員ちょっと狂気に突っ込んでるのもこの作品の良いところ。 合わない環境に属し自分の想像で雁字搦めになっている大学生、子の今を見ていない父親、氣付いてしまった女性。 「これから自分を使い果たす人」、「使い果たせなかった人」、「使い果たした人」で、それぞれの視点では今の世界はどう映るのか? 個人的には、「すみちゃん」がリンクする部分が印象的でした。 隅川は「楽しかったあの頃の自分」を澄香に重ね、澄香は「苦しかったあの頃の自分」を隅川に重ねた。 側から見れば、全く別人のようだけれど、あの瞬間に何かが通じ合ったんでしょうね。 印象に残ったフレーズ p.370 「どの角度から見ても間違いなく本質的に正しい答えなんて、どこにもない。どこかで、「この視野で、ある程度の確率で、間違う」と覚悟を決めるしかないのだ。 その事実を受け入れず、可能な限り本質的でありたいあまり、そして誰からも攻撃されたくないあまり、さらに視野を広げるべく視点をどんどん後ろへ引いていくと、いつの間にか誰の姿も見えないくらいに自分だけが全てから遠ざかっている。そうなるともう、何の行動にも出られなくなる。…」 自分もどちらかというと全てを嘲笑する立場で、唯一解を求めてしまいます。ただ、そのせいで今は「何もない」(それこそ推しもいない)と感じてしまいますし、息が詰まる思いを抱いてしまいます。 それを手放さないと、これから先到底生きていけないとは思うものの、「今更視野を狭めてそれだけに向かう」なんてことはできないわけで。要はめちゃくちゃ怖い。 けど、敢えて自ら視野を狭くして、一歩だけ踏み出してみたら案外楽しかったりするのかも。と思ったり。

    8
    投稿日: 2025.10.25
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    朝井リョウの作品はナマモノですね。 時代を写しすぎてて怖い。 5年後、10年後に読んだら、こんなに心の琴線にバチバチ触れてこない気がするのは、私が今の世界を生きるドルオタだからでしょうか…… 今、なるべく早く読むべき作品。

    8
    投稿日: 2025.10.24
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    俯瞰した瞬間、物事はつまらなくなる サークルのメンバーもガキ。でも大学生ってそんなもん 浅井リョウは多分面白がって書いてる

    3
    投稿日: 2025.10.24
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    今の時代のSNSの話しや推し活をしてる自分にすごく刺さる内容だった。自分を客観的に見ることもできるし中年男性の孤独や子供の悩みなども垣間見ることができて凄く面白くて一気に読んでしまった。宗教のようなものにハマる人の心情なども細かく書かれていてずっと心に残っている。すごい本だと思う。朝井リョウさんの他の本も読んでみたい。

    15
    投稿日: 2025.10.24
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    推し活の話。 なぜそこまでアイドルにハマれるのかなと、そこまで自分のタイプにドンピシャなのかなと思っていたこともあるけれど、そうではなく、ストーリーにあの人たちに惹かれていたんだなと。 で、ハマってしまう別の要因としては、現代の連帯感の薄れや供給過多で孤独感や視野の広さからくる息苦しさなんてものを狭めたくなる、一点に集中したくなるからなんだと。 正直、自分の知らない分野だからビビッとくる部分は少ないけど、やはり学びのある本でした。

    10
    投稿日: 2025.10.24
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    ブルームマイセルフ ✿ 超現代ホラー ああぁ、、、これから世界の見方変わっちゃうよう 自分が登場人物の中で誰が近いかとか考えたくなくても考えちゃうやつ

    5
    投稿日: 2025.10.24
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    『人生は「居場所」を探し続ける旅』 大好きな朝井リョウさんの待ちに待った新作。 いやーーー、面白過ぎたーーーーー(´∀`)笑笑 今年度で間違いなくNo. 1。 「生殖記」、「正欲」に匹敵する衝撃作…ってかよくこんな作品を何本も書けるなと、頭の構造どうなってるんだろうか…( ̄∇ ̄)笑 ちょっとスゴ過ぎて上手く感想にできる気がしないが… まず、簡潔にまとめ笑 ①この本とにかく死ぬほどオモロイ(たぶん、途中若干死んでたと思う) ②「幸福」のためには「居場所」が必要、「居場所」は自分が好きなコミュニティーで見つける方が良く、かつ複数ある方が安定する ③今の自分の居場所、コミュニティーに感謝する 以下、思考を巡らした流れをタラタラと笑 良かったところ① もうとにかくとにかくとにかく面白い(語彙力www) ストーリーの構成&展開が巧み、ハラハラしながら一気に読みしちゃうっていう小説の良さを久々に思い出した 良かったところ② 改めて「幸せ」について考えさせられた、若干自分の今の持ってた答え合ってるのか?ってドキッとさせられた笑、そして最終的には気付きもあった、以下考えたこと 自分の見つけた答えに対して疑問が生じたから途中読むのが怖くなった、自分が元々持っていた答えは「仕事に別に必ずしもやりがいを求めなければならないことはなく、自分のやりたいことがあれば良い」だったが、今回この本を読む過程で「仕事がやはり本質なのではないか」+「自分もそんなに熱くなれない仕事から逃げて新しいところに居場所を見つけた」だけなのではないかと感じた、もう心臓出るんじゃないかって思うくらいドキドキした笑 ↓ もう少し考えを深めていった結果、そうではないと考えることができた、そもそも世の中に不変の「本質」とか「正解」とかあるんだろうか?と、本書中にもそんな内容が出てくる、結論としてそんなモノないのではないかと、時代が変われば常識が変わる、つまり「不変の正しさ」なんてモノは存在しないし、何の意味もなさない、なので冒頭に戻ると「仕事が本質」は別にそう考える必要は無いのかなと ↓ じゃあ「幸せ」のためには何が必要か、それは「居場所」だと思った、人間は元来群れの生き物なので一人だと寂しくなる回路がきっと埋められてるんではないかと笑、なので「居場所」があることが幸せのためには必須なのではないかと、冒頭に戻ると、自分が強い意欲を持てない苦手なコミュニティーを避けて得意なコミュニティーの中で居場所を見つけることは悪いことではなく、むしろ幸せに直結する行為なのではないかと思った ↓ ただ、この居場所探し自体の難しさがある、ここも本書では表現されていたように思う、本書の登場人物も形こそ違うが皆居場所を見つけられずに幸せになりきれない、コミュニティーの中でこの居場所を見つけるということがなかなかに難しい、読みながら思ったその難しさは ①コミュニティー内でも必ず競争が起き、ヒエラルキーが生まれる →所属する人間全てが幸せとは感じにくい ②コミュニティーにのめり込むことにより客観的な視点を失う →それにより、その居場所を継続できなくなるケースがある(人間関係が破綻する、常識とは逸脱した行為をして一般社会で生きにくくなる等) ↓ 個人的に、そうならないために大切だと思ったこと ①自分が心から好きだと思えるコト、モノのコミュニティーを居場所にする →好きなことであれば、ヒエラルキー上位層に入らなくても幸せを感じられると思う(上位であることに優越感を感じるのでは無く、その行為自体に幸福を感じることができる)、また競争ばかりに思考が向きにくくなると思う ②複数のコミュニティーに属する →リスクの分散(1つコミュニティーを失っても他がある)、また複数に所属することで客観的な視点で見られるようにもなると思う(1つのコミュニティーへの精神的な依存を避けて客観性を保つという側面もあると思う) ↓ あと、追加で思ったこと ★今の自分の居場所、コミュニティーに感謝する →実力で掴んだような気になってるけどそうではない、たまたま運が良く(適正、環境、タイミング等)そこに居させてもらっているだけ、忘れないようにする <印象に残った言葉> ・あの人の頭の中にいる私は、大学入学後、こんなに自信をなくさない。(P29、武藤澄香) ・ひとつでもいい。信じられるものがほしい。たったひとつでいいのに。(P107、僕) ・その根底にあるのは、きっとどんな環境でも生きていけるという自信だ。今後どう環境が変わったとしても、そのたび適応しながら乗りこなせるだろうという、生き物としての強さとしなやかさだ。 私にはそれがない。 私は、安全であることを見通せる場所で、変化や刺激の少ない場所で、自分のペースを守って暮らしていきたい。つまり、安定した会社に就職することで、安心を得たい。 バイト先にはたまに、安定した会社で自分自身の安全を見通している人ーつまり、本社の人が来る。(P135、武藤澄香) ・皆、自分を余らせたくないんです(P389、国見) ・その世界の中心で、自撮り棒を構えた彼女が、誰よりも楽しそうな表情でこちらに振り返った。(P444) <内容(「BOOK」データベースより)> 沈みゆく列島で、“界隈”は沸騰する――。 あるアイドルグループの運営に参画することになった、家族と離れて暮らす男。内向的で繊細な気質ゆえ積み重なる心労を癒やしたい大学生。仲間と楽しく舞台俳優を応援していたが、とある報道で状況が一変する女。ファンダム経済を仕掛ける側、のめり込む側、かつてのめり込んでいた側――世代も立場も異なる3つの視点から、人の心を動かす“物語”の功罪を炙り出す。 「神がいないこの国で人を操るには、“物語”を使うのが一番いいんですよ」

    38
    投稿日: 2025.10.23
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    "視野の狭さが人を動かす"ってのは確かにそうだな〜と思った。 仕事でも趣味でも、視野が広いことで色々と考えすぎてしまって、動き出せなくなってしまう気がした。 しらけた思考になってしまうというか... 登場人物それぞれの心の葛藤が、すごくリアルで、読みながら、自分の感情と照らし合わせたり、孤独になる将来への不安を考えたり、色々思ってしまう小説だったな。 とても面白かったです

    12
    投稿日: 2025.10.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    朝井リョウワールド全開。 推し活、自分もしているけど、ここまでするかとゾッとした。イン・ザ・メガチャーチ、なるほどな…。 久保田と澄香の今後が気になりすぎる。

    3
    投稿日: 2025.10.23
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    初めての朝井リョウさん作。 惹き込まれた 登場人物の澄香と自分を重ね合わせてしまった。 自分の理想と現実の能力にギャップがあって、一歩を踏み出せずにいる。周りはそれぞれの道を進んでいってしまう中で、確かなるものを求めて迷走している状況が、この時ちょうど私の中でも起きていて。 私にとってのメガチャーチは、本になるのかな。澄香のような推しのアイドルはまだいないけど、読書をきっかけに自分の幸せを見つけられたらいいと思う。

    5
    投稿日: 2025.10.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    物語に呑み込まれていく側、仕掛ける側がリアルに描かれていて、それぞれの思考がすんなりトレースできる。だがやはり、盲目的に物語に依存するのは危険だと感じた。 久保田は娘に送金することとファンダムの行動を重ね合わせ、本質的でないと思いつつ、でもそれ以外の方法があるのかと悩む。 「どの角度から見ても間違いなく本質的に正しい答えなんて、どこにもない。」 だからこそ、コミュニケーションを図るのである。自分は何ができるのかを探るために。久保田がいう「視野を拡げて考えてみると」は、言い訳でしかない。なぜならそこには対象が何を望んでいるかを推し量った形跡が全くない。道哉に対しても相手の状況より自分の感情を優先した。友情だと思って久保田が起こしたアクションは、ほぼストーカーの行動である。 国見がいう「今は正解の部屋自体がない」も、素直に頷けない。万人に通用する正解がない中で迷いながら生きるのは確かに大変だ。だからといって、自分を過剰に消費して我に返らないようにすることが「今の時代に手に入れられる唯一の正解であり“幸せ”」という主張は受け入れがたい。それぞれが、こっちが真っ当だろうと思う、こっちの方がマシ、間違えたから戻る、などを繰り返しながら手探りで進んでいくしかないような気がする。正解かどうかをジャッジするのは世間にでも任せておけばいい。自分が納得できるかどうかだ。心血は注いでもいい。我には返れ。そうしないと心血を注ぐ対象の望むことも見えなくなってしまうから。だからこそ、「自分はこうやって間違うって脳みそ溶かして動くしかない」とは到底思えないのだ。 しかし、教義やビジネスや社会活動などの大義名分が正当だと思えれば、仕掛ける側は他者をコントロールすることに何の躊躇もないのが恐ろしい。それもまた彼らにとっての正義の物語なのかもしれない。ますます、脳を溶かしている場合じゃないよと思うのだった。

    3
    投稿日: 2025.10.23
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    好きなアイドルを発掘し、オタクとなって推しまくる人達、そういう風潮を仕掛ける人達、そういう物を軽蔑する人達、そんな三者からみた推し文化。 一致団結する推し仲間にいれば孤独を感じず心地よい。 誰かと繋がることを大切にし、自分を使い切ると言った推し文化の徹底ぶりに感嘆。 朝井リョウさんのオタク文化の解説に脱帽。

    3
    投稿日: 2025.10.23
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    評価が高いので読んでみたが、年寄りにはファンダム、スパチャ、オプチャ、インライ等の言葉が分からなくて、小説のストーリーを楽しむ余裕はありませんでした。(笑) でもこの小説が日経新聞夕刊に連載されていたとは…。比較的年齢層高めの日経新聞読者にはどう響いていたのだろう。これが推し活の世界なのかとビックリしただろうか。

    1
    投稿日: 2025.10.22
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    ▼配架・貸出状況 https://opac.nittai.ac.jp/carinopaclink.htm?OAL=SB00560368

    0
    投稿日: 2025.10.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    後味悪いー終わり方だなー パッパ みちやがだめならちゃっちゃとすみちゃんに執着するよう切り替えたなー ヤバオタが住所特定するのってこんな感じなのかな…きっつ… すみちゃん 普通に推し活してる女の子、ザ・ハマるならこういうハマり方だよねって感じ ただ、留学費に手を出すのはやめようね、価値観の押し付けは宗教気味ててきもいからやめようねって話 すみかわ まあ、目が覚めて良かったんじゃない? 自意識過剰おばさんは笑った、最後のすみちゃん同士の会合、考えてることお互い全然違くてキッツかった 総じて全員自意識過剰、私だけがわかってる、私だけのことを愛してくれてる、私だけが世界を知っている、って気づいてると思い込んでる、キツいっすね… 視野狭窄になってる時の表現、うまい、カギカッコとは全く別のこと考えてるよね、わかる… フィクションと思えないくらいリアルで怖かった 宗教みたいな推し活、メガチャーチマーケティング、信仰宗教、陰謀論者などなど それが最終的に渋谷っていう一つの街に集約したのも上手いーーーってなった 6、7、11、221、428ページの言葉が好き

    1
    投稿日: 2025.10.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    面白くてすぐ読み終わってしまった。 視野が広いことと狭いことの二項対立で進む。幸せって恥ずかしいくらい視野が狭いことなのかもしれない。側から見ると愚かなことなのかもしれない。 私もあるアーティストの大ファンだけど、常に一定の距離感は大事にしているし、我に返る瞬間を意識的に作っている。そうじゃなきゃのめり込んで人生狂わされると思うから。 どちらが良いとか悪いとか、結論を出さないところが朝井リョウの好きなところだな〜。 あと、オタクたちの使う言葉とか、SNSのコメントとか解像度高すぎだし、りんファミってワードも本当に存在しそうな絶妙なラインを突いてきて、流石だなと思った。いわゆる界隈の生態をすごく理解してるんだなって思った。 私ずっと「推し活」って言葉が嫌いだったんですけど、この本読んでなんでか分かったような気がする。 再生回数とか、売り上げとかを高めることが目的になってる活動って感じがして気持ち悪いなと。純粋にこの人好きだなって思う気持ちが1番大事なのに。 ラストへの持って行き方がとても綺麗だった。そこで終わるか〜!!!

    4
    投稿日: 2025.10.22
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    毎回、毎回、朝井リョウの — いまを生きる人間への解像度の高さと言語化能力に圧倒される。 朝井リョウは生きづらくないの? MBTIは何なのだろう? 気になる。けど知りたくないな笑 『正欲』『生殖記』『イン・ザ・メガチャーチ』の三作品はリアルタイムで追ってきたけれど、どれにも「生きるとは何か」というテーマが根底にある気がする。 自分の物語にのめり込めなくなったとき、人は他人の物語に何かを託したくなるのかもしれない。 みんな世の中にそれぞれの生きづらさを感じている。それでも。 できるだけ多くの人が人生の中で楽しかった思い出を作れたらいいのになと思う。

    5
    投稿日: 2025.10.21
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    p15 便利になる、楽になる、頭を働かせなくてよくなる、それは人は抗えない。 Z世代、周りと関わりたい、誰かと繋がっていたい、括られたい。 一昔前はこういう人だと決めつけられるのはどちらかと言えば嫌悪される世の中であったけれど、私○○と意図的にそういう風に見られたいと思う人が増えているような世の中 推し活と言えば、気軽にできる応援だったりするものが、人によってはそれが推しに依存になったり、過度なバックを期待したりと 人が宗教というものに対して、崇拝を見せていたものが姿を変えたものとして見られる まさにイン・ザ・メガチャーチである

    4
    投稿日: 2025.10.21
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    今の時代に感じているモヤモヤや不安をこの本で言語化されてしまいました。 「ずつと我に返ったまま生きるにはこの世界は殺伐としすぎている…」と、本書にありましたが、この本を読むことで我に返ってしまった私は、この後、どうしたら良いのでしょうか?

    66
    投稿日: 2025.10.21
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    正解が無い時代。誰からも好かれるのは無理。 なら、自分の「本物の気持ち」に忠実に生きていくしかないのではないか。 視野を広げすぎると、違うルートの正解が見えてしまう。 なので、視野を狭めて行動してみる。 しかし、視野を狭めすぎると誰かに操られていることにも気付けない。 なので、具体と抽象の行き来のように、ミクロの視点とマクロの視点を行き来して、そのたびに、「視野が狭かったな」 「視野を広げすぎて行動できていなかったな」と考えながら進んでいくしか無いのかもしれないと思った。 この、「本物の気持ち」を大切にしようと思うことすら、視野を狭めている行為かもしれないが、そこまで勘ぐっていたら何も行動できないので、「自分の気持ち」を大切にして人生を選択していきたい。

    6
    投稿日: 2025.10.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    現代版のホラーだった。 生きる意味の根源を問われている。自分が直視したくないものを目の前にばーんと出されて、本を読むのをやめたくなった。 「我を忘れて何かに夢中になっているほうが、楽だからです」 楽。 「ずっと我に返ったまま生きるにはこの世界は殺伐としすぎていますし、人間の寿命はながすぎますから」 本質をつきすぎていると思う。 視野を広げたらいいとか、視野を狭めたら幸せになれるとか、二元論的な考えで読むと堂々巡りすぎてつらくなる。 世界は全て堂々巡りの中にいて、現代社会のよくないところをぎゅっとまとめて煮詰めましたみたいな本で、正直吐きそう。(褒めてます) 推し活とか、孤独とか、幸せとか、本質とか、小説とは思えなくらい現実味を帯びた小説で、私はこの現実には直面したくないので二度と読み返したくない本になった。 MBTIをいままでやったことがなかったが、自分がINFPに当てはまりすぎてやってみたところ、ものの見事にINFPだった。怖すぎる。 ちなみにいわゆる推し活にもどっぷり浸かったことがある。怖すぎる。 自分はいま世間の思ういいものを取り入れようとして視野を広げることに疲れて、狭めようとしていたのだけどそれがいいことなのかわからなくなった。 偏った方向に行くとき、その道は善意で舗装されているのだと思う。 朝井リョウはエッセイしか読みたくない。しにそう。(褒めてます)

    8
    投稿日: 2025.10.21
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    自分自身アイドルオタクということもあって、のめり込んで読んでしまった。解像度が高すぎて怖くなった。好きな物ができて今までと世界が広がってく感覚が好きだけど、気づいたら狭まってるのは気をつけなければ、と思ってしまった。 でも個人的にはあとひと山ありそうないい所で終わった感があったから、そこにもなにか朝井さんの意図があるんだろうなぁ。 ふと、これはオタク友達にも読んで欲しい!と思い片っ端からオタク友達にこの本を紹介してるんだけど、それも運営や朝井リョウのファンダム経済における心理にまんまと引っかかってる気がして怖くなった、、、オタクであることが怖い

    6
    投稿日: 2025.10.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    朝井リョウさんの小説は、「正欲」を読んだことがある。あと映画だと「桐島、部活やめるってよ」と「何者」を観た。 それらの中でこの作品が1番好きだった。 推し活を題材にしつつ、現代人の生きづらさや拠り所を描いている。社会を物語にするのがうますぎる。 最近知人から聞いた話とも色々リンクする。 今年読んだ中だと「推し燃ゆ」や「コンビニ人間」とも通ずるところを感じたし、そういう社会なんだと思う。

    5
    投稿日: 2025.10.21
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    ただ一言。おもしろい。 絶妙に今の時代を風刺していて、決して他人事ではないような、架空の話でないような、そんな物語が繰り広げられている。 推し活をしている身としても、マーケティング手法など参考かつ勉強になる部分も多かった。 自分はこのようにして操られているのか、と。 購入した時はあまりの本の分厚さに驚いたが、 あまりの面白さにすぐ読み切ってしまった。 最後の最後までこの本らしいラストが描かれている。

    16
    投稿日: 2025.10.20
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    朝井リョウ作品初めて読みました。 文体はすごくスラスラ読みやすく理解できました。 結論からゆうと私が頭が悪いせいなのか、最後は理解ができませんした、、 でも長編を読み切った感半端なく、なぜか嬉しい気持ちではあります。笑 次は生殖記読んでみたいと思います! 後、この本とは関係ないんですがもっとスラスラ早く読めるようになるのが目標です。

    9
    投稿日: 2025.10.20
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    朝井リョウ面白い 言語化がすごいし、登場人物の解像度が高すぎて、なぜここまで年代も違う人物たちの内情を詳細に描けるのか、私のような読者に思い当たる節があるように書けるのか、不思議 あと、スターでも言えるけど、対比がわかりやすい チャーチマーケティング勉強したくなる 推し活を仕掛ける側、仕掛けられる側 視野を広げている側、視野を狭めている側 登場人物たちが対照的な動き方をしながら物語構成するの本当にすごい 何かに夢中になったり信仰したりチャーチの中にいる人たちの心理も、チャーチの中を仕掛けている人たちの視点も描かれていて面白かった

    14
    投稿日: 2025.10.20
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    朝井リョウの作風、しかもよりリアルタイムで書かれた新作のイン・ザ・メガチャーチは現実すぎるというか、ここ1〜2年のTwitterトレンド全部詰め合わせすぎて味濃い!しんどい!と思いながら読んだ。(文章そのものは癖が少ないから読みやすかった) 「視野」という言葉って便利で、それを使って自分の意見を話せば、自分はあくまで俯瞰のできる分別のついた大人ですみたいなポジショントークをすることができる魔法道具のようで面白いなーと思った。 何かの中毒でいないと人生の指針を見失うという内容は正直インターネットにおいて使い古されている定説って感じがして新鮮味はない。何者から一貫して朝井リョウの冷笑をもって冷笑を制すみたいな書き方は好み分かれそう。 私はSTARTO ENTERTAINMENT のジュニアを長年応援していて、常日頃から消費してごめんねとか呟くオタク、内面性をやたらに持ち上げるオタク(アイドルが見せたい一面を見せているだけであってオタクは別にアイドルの内面なんて1mmも知らないだろう)が嫌いだったけどそういう私はこの小説でいう信徒を鼻で笑うプロデューサー気質なのかもしれない。

    6
    投稿日: 2025.10.20
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    全く情報を持たずに読みました。 最初タイトルも意味がわからないし、今度の朝井リョウは何を書いてくるのか。 登場人物の中で、道哉の言っている事が響きました。 最近の日本人の推し文化を異様に持ち上げているこの時代にしか書けない。 朝井リョウ すごいね。

    5
    投稿日: 2025.10.20
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    孤独の話なのではないか?と思った。 推し活の話と言われているけれど、どちらかというと根本的には孤独があるんだと思う。 推し活が悪いわけではなく、近視眼的にハマってしまうのがよくないと思う。

    4
    投稿日: 2025.10.20
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    最後がしっくり来ない!けど、人は何かの物語の中で生きていたい生き物なのか。つまり、視野を狭めて生きていたい生き物なのかな。一度視野狭窄に陥った人間は、そこから抜け出すのが難しいのか。推し活にハマる人、推し活をしていた人、推し活を運営する人、三者の立場から描かれていたが、三人とも最後はインザメガチャーチだった。

    2
    投稿日: 2025.10.20