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イン・ザ・メガチャーチ
イン・ザ・メガチャーチ
朝井リョウ/日経BP
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総合評価

514件)
4.5
281
150
41
2
2
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    何かを信仰し、視野を狭めて生きる。 「視野を狭める」そう聞くと、特に多様性や視野を広げること、成長することをよしとする現代では、まるで悪いことのように感じてしまうが、今作を読んだ後では、果たして本当にそうなのかと考えてしまう。良かった。

    5
    投稿日: 2025.10.19
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    面白いなんて言葉じゃ片付けられない凄さだった。もはやちょっと怖い。『桐島』や『何者』を映画で観て、どちらも精神的に凄い喰らってしまい、怖くて今までずっと朝井リョウ作品を気にしつつも読めてなかったんだけど今回扱ってるテーマが「推し活」「ファンダム経済」に関するものだと聞いて、それは興味深すぎる、と初めて朝井リョウ作品を読みました。 結果、めちゃくちゃ喰らってる。当初、聞いていたあらすじに間違いはなかったんだけど、そんなところに収まらない現代社会の地獄がミルフィーユみたいに何層にも折り重なって、主に3人の視点で描かれている話なのにどんな読者層も他人事にさせないいろんなパターンの地獄があるので「逃げられない!」って気持ちにさせられる。でも章を進めるたびに驚かされて読む手が止まらず、本を読むのがめちゃくちゃ遅い自分も土日で一気に読み終えてしまった。 言いたいことがありすぎて、とても書けないけどとりあえず作者の過去作全部読んでみようと思いました。

    5
    投稿日: 2025.10.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    あらすじを知ってからずっと読みたかった作品。こわかった。おもしろかった。 朝井リョウさんは二作目だけど、今回もくらった…って感覚で、読み終えた今ベッドでクールダウンしてる。 メディアでのトークがおもしろいのに、おもしろいからこそ?もの凄くえぐってくる。触られたくないところを握り潰される感。自分の醜さとかやらかした過去を突きつけられてて動悸がする。笑 普段小説にはほぼしない派だけど、朝井リョウさんの作品は付箋だらけですごい見た目になってる。今日は安眠できなそうだけど、読めてよかった!! "正解かどうか。本質的かどうか。そんなことはわからない。わかった気になったところで、視野を拡げればすぐに答えは引っくり返る。"

    15
    投稿日: 2025.10.19
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    9/25に行われた綿矢りささんとの対談会で頂いたサイン本! 視野が拡がりすぎてると何をしたら良いのか分からず何も行動に移せなかったけど、何かのオタクになれば推しに貢献するという一つの道筋によって簡単に達成感を味わうことができる。さらに、視野が狭まることでこれまで気にしていた他人の物差しがどうでもよくなるという澄香の流れはなるほどと思った。 「ずっと我に返ったまま生きるにはこの世界は殺伐としすぎているし、人間の寿命は長すぎる。」という文章が印象に残った。 推し活の闇や陰謀論、男同士の交友関係の話と幅広くて、私も相手との共通項がないと雑談とか苦手だから将来に少し焦りを感じた。 父娘のビデオ通話で、画面映りが明らかに変わった父親をみて母娘が笑い合う場面が微笑ましかった。 色んなジャンルのものをほどほどに、広く浅く楽しめば、属するコミニュティも増えるし視野狭窄に陥ることもなくて孤立対策になるのでは?と思った。

    21
    投稿日: 2025.10.19
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    推し活を軸に、三者の視点からそれぞれの感情、行動が繊細に描かれていた。多角的に物事を捉えることの出来る朝井さんてすごすぎる!と改めて感じる一冊。

    5
    投稿日: 2025.10.19
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    朝井リョウさん新作「イン・ザ・メガチャーチ」やばいから一刻も早く読んで欲しい。 ファンダム経済を題材に『仕掛ける側』『のめり込む側』『かつてのめり込んだ側』をリアルすぎるほどに描いてる。 朝井リョウさん、何故こんなにも毎度時代を鋭く切り取り、かつひとりじゃなく複数の登場人物のそれぞれをリアルに書けるのか本当に天才。 推し活題材は、アイドル側の「武道館」、推す側の「推し燃ゆ」、両者の「推しの子」等あるけど、徹底的にリアルでかつ「仕掛ける側」というのがエンタメ業界にいる人は読むべきものなんだと思う。 いつの間にかこの視点だけで考えていませんか?ということを見つめ直させられる。 自分は小学生のときの純粋に追いかけて推していた頃から、いつの間にか作る側の視点に移っているし、それの善し悪しはあるとて、忘れていたことを思い出させられる。そしてそれがビジネス書でもなく、noteでもなく、講演会でもなくいち小説というすごさね。フィクションのはずなのに、ノンフィクション。

    5
    投稿日: 2025.10.19
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    ・無宗教の人が増えたアメリカでは神の力が弱まってて、そのかわりになるストーリーが必要で、そのストーリーをコミュニティと一緒に提供できるのがメガチャーチ ・何が本当に対象のためになるのかとか、何が今もっとの本質的な行為なのかという問いは、”視野を拡げて考えてみると”というじゅもんを唱えさえすれば、その答えを永遠に反転させられる。つまり、どこの角度から見ても間違いなく本質的に正しい答えなんてどこにもない。どこかで、”この視野で、ある程度の確率で、間違う”と覚悟を決めるしかないのだ ・ある一つの物事を信じ切るという行為自体に輝きが宿るんです。何もかもがゆらぎやすい今、確固たる信仰対象があり、それに対して自分を使い切っている姿そのものに希少価値が生まれるんです。その対象が社会通念的に無価値だったり、いっそ人類存続に不都合なものであっても、客観性を伴わない猪突猛進さこそ、今の時代に機能しうる唯一の物差しなんです

    11
    投稿日: 2025.10.19
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    SNS・共感・視野狭窄・推し活・物語(ストーリー)。「情報の取り方」次第で無限の「物語」が作りだされる。自分が今見ている物語は何に影響されたものだろう。 とにかく、、面白すぎました。

    8
    投稿日: 2025.10.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    現代文化を題材としたナラティブの話。新しいようで古い話では、と思いながら読んでいたら、実際その通りで勉強不足を認識。最後の最後まで、自分自身も作者の作ったナラティブの渦中にあったことに気付き、感嘆。見事。

    8
    投稿日: 2025.10.19
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    朝井さん自身が言っていたように、この本は「文化保存」するべきであると実感できた。10年後とかに読んだら、また新たな感想を抱くと思う。 オチの内容は中盤辺りから想像がついたが、その最後の表現の仕方にスピード感があり、オチがわかっているのにドキドキした。 あぁ、面白かった!!!!!

    5
    投稿日: 2025.10.19
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    「ファンダム経済」「推し活」「中毒」「おじさん世代の友達」現代のテーマ盛りだくさんの朝井リョウさん新作。今回も面白すぎました! レコード会社勤務の久保田、留学を志す大学生の武藤、契約社員の隈川。ファンダム経済を築く者、のめり込む者、のめり込んでいた者の3視点で物語は進んでいきます。 前半はそれぞれの生活や想い、他の立場に対する冷たい感情が中心に描かれ、視野を拡げるのが良いのか狭めるのが良いのか。他人との繋がりとは。幸せの形とは。とにかく朝井リョウさんの解像度の高い人間描写に惹き付けられました。 そして後半。それぞれの視点で動きが…。「推し活」を通して経済を描き、親子関係を描き、他人との繋がりを描き、幸せの形を描く。朝井リョウさんの脳内はどうなっているんでしょう… さらに終わり方も最高で、想像せずにはいられない。自分は将来大人になった時「友達」と呼べる人は残っているだろうか。

    4
    投稿日: 2025.10.19
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    言語化の鬼すぎる。 視野を広げすぎても何もできなくなるし、視野を狭めすぎても一時的な幸せはあるかもしれないけど、視野が戻った時に跳ね返ってくるダメージが大きすぎる。 一度視野を狭めすぎたら、そこまでの過程で自分の費やしたコストが勿体なく感じて、ずっと視野を狭めたままでいないといけない感じがしそう。 そしてこの本を読んで視野が広がった気がするけど、また視野を狭めて日常に戻る...

    12
    投稿日: 2025.10.19
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    日本の今ホットなトピックを斬るのが本当に上手い、すごい。大衆もやんわり思ってるけどセンシティブで話せない、もしくは言語化できないところをズバズバ表現してて気持ち良かった。今年の都議会議員選〜参院選あたりより前に書かれてるけど、政治もオーディション番組も年々熱が加速してる気がするのでその渦中にいなくても、わかる〜って人は多そう。 視野を広げたり、狭めたりする。本当は広い視野で見えているしその視点の自分もいるんだけど、迷いを断ち切って行動に移すために敢えて視野を狭めるという表現がおもしろかった。 あと、人生のパターンが見えてしまって何を選択しても完璧な幸せは掴めない。ただ何より不幸せなのは自分のリソースを使い切れないこと。だから敢えて視野を狭めてそこに自分のリソースを注ぎ込むことによって幸せだと錯覚させる、みたいな表現も面白かった。 小説というフォーマットじゃなくても、現代版幸福論みたいなタイトルで新書とかでも売れそう。

    16
    投稿日: 2025.10.18
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    SF系の話かと思ったら全然違った笑 めちゃくちゃ朝井リョウさんって感じの作品だった。 視野と連帯 そんなテーマにみえる 視野をひろく!とかよくみんな言うけど、それってなんの視野なのか、 広げたら広げた分だけ幸せになるのか。 そもそも幸せって何なのか。 他者をどう使い切るのか、自分をどう使い切るのか。。。 推し活の社会現象を手掛かりに、今の社会を生きる人たち誰もがあたる壁であろう、幸せの定義についても触れている作品。 シンプルで読みやすく、たまに入る朝井リョウさんの語彙のセンスが光って夢中になる。 ⭐︎5は基本的にミステリのジャンルでいつもつけており、 少しジャンルが違うので、4にしてます。朝井リョウさん枠としては⭐︎5です。 15周年おめでとうございます! behind動画も面白かった。

    8
    投稿日: 2025.10.18
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    わからん なにがおもろいのか、さっぱりわからん 初期の桐島の頃は好きだったが 正欲、生殖記あたりの 多様性とかマイノリティをテーマ にし始めた最近の作品にはついていけん 推し活とかも ハマるやつの気持ちわからんしな 俺は頭の固いマジョリティなのだ でも、この高評価を見ると 実は俺はマイノリティ⋯? どうも扱っている題材が、 最近の流行に寄りすぎている印象があって、 作品のテーマが浅い気がするんだよな 浅い… アサイ… 朝井…。 ハッ!… 朝井リョウ!? え、そういうこと!? ​……いや、どういうことよ???

    1
    投稿日: 2025.10.18
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    朝井さんの言語力に天才さを感じた。めちゃくちゃ面白い。どの方面にも言えるし、3人の視点からの書き方もよい。ブレイクショットに似ているし。朝井さんは一体どれを書きたいのか、全部なのだろう。『何者』も好きだったし、『生殖記』や『正欲』とはまた違う書き方なんだけど、繋がってる気がするし。 ファンダム経済、チャーチ。凄い。ブレイクショットも面白かったけど、小説としてはこれが今年一番だった。

    67
    投稿日: 2025.10.18
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    これは面白かった。推し活にとても幸せを感じている知人女性からリアルですよと勧められて読む。3人の群像劇なので、そのどの登場人物に共感を覚えるかによっても感じ方は違うだろうし、誰にも共感せず一歩引いた立場で、推し活をやっている人の観察的立場(そのような登場人物も出てくる)で読んでもまた面白いと思う。おじさん読者は大抵3人の一人窪田というかつては夢を追っていた47歳の男性に共感するだろう。自分もそうだ。そして身につまされるような体験を読み、最後どうなってしまうのか、結末まで描かれないこともあり、読後に窪田の今後を想像し、可哀想に思うことだろう。推しを持つことは人生を豊かにする一方で、推しに左右されてしまうのは確かであり、なんというかバランスは大事ですよねと改めて。しかし著者の朝井リョウは映像とかで見るととてもまともな青年(おじさん入口でもあるけど)と感じる。そんな彼がこんな本を書きうるのが小説家の凄みというか、怖さだなあと。

    5
    投稿日: 2025.10.18
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    "推し"のいるすべての人に読んでほしい1冊。 近年、"推し活"ブームと言われている中で、本作では"推し"との向き合い方について考えさせられた。 私が思うに"推し活"のカタチは多種多様だと思う。 私はいわゆる信徒気質のファンではない。 自分の今日やるべきことを終えた時や、勉強の休憩時の"プチご褒美"として推し活を使う。 これは最高の至福のひとときだ

    5
    投稿日: 2025.10.18
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    朝井リョウは「今」読むのが1番面白い 普遍的にいつ読んでも面白い小説もあるけど、朝井リョウだけは直ぐ読むことが1番面白い。

    15
    投稿日: 2025.10.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    すごく面白かった。今年1かも。 ・人間の顔を形作るパーツなんて、せいぜい、目、鼻、口、眉、それくらいのものだ。顔面なんて、それらをこの形状でこの配置に置きました、というだけのものだ。 それなのに、倫太郎の顔面を見ているだけで、どうしてこんなにもたまらない気持ちになるんだろう。 ・子を持つ人による”色々と大変なこともあったけれど、私の人生で最大の幸福はこの子を育てられたこと”みたいな発信はよく見るけれど、最期の最期まで独りで生きることを貫いた人が幸せだった”と証言する姿を目撃できる機会はない。だから結局、触れ合える他者が登場する人生から得られる幸せのほうが輝いて見えてしまう。そちら側にいる人たちはわざわざ自分の幸せは自分で決めるとか言わなくてもいいわけで、その余裕さに気が遠くなるときがある。 ・「我を忘れて何かに夢中になっているほうが、楽だからです」 楽。 「ずっと我に返ったまま生きるにはこの世界は殺伐としすぎていますし、人間の寿命は長すぎますから」 ・映画のセリフも曲の歌詞も、ありのままの私だとか自分を愛そうだとかそんなことばっかり言うけど、その私”とか「自分”に疲れたの、もう。 うんざりなの、この自分で生きていくことが ・結局誰だって、信じる物語を決めて生きていくだけだ。それが世界平和だったり自己啓発だったり陰謀論だったりするだけで、皆各々のドラックで自分の脳を溶かしながら死ぬまで生きてるだけだ。 ・皆、自分を余らせたくないんです」と言った。 「今って本当に、人生の指針がないですよね。幸せの形は人それぞれって言えば聞こえはいいですが、あらゆるパターンの人生が可視化されて、これまで提唱されてきた生き方の正解とか成功の条件みたいなものはただの幻想だってことが知れ渡りました。 ・家庭を持っても今の日本じゃ将来苦しくなるだけとか、お金や影響力を手にしても虚しいだけとか、もう長生きしたって辛いだけとか、何でも視点を変えればマイナスな要素があって、万人に通ずる物差しなんて存在せず、何もかもが簡単に引っくり返ることが急速に知れ渡りました。今は誰もが、幸せの形は人それぞれっていう話ばかりしています」

    5
    投稿日: 2025.10.18
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    物語は推し活をテーマに3人の視点で語られる。1人目は離婚を経験した孤独なサラリーマン。同僚からの誘いで、推し活運営に携わることになる。2人目は意識高い大学に馴染めず、将来に不安を抱える大学生。推し活を楽しむ人に対して、否定的な印象を持ってる。3人目は推し活にハマっているフリーター。物語が進むにつれ、3人の心情が変化して、最初の印象からは想像もつかないような行動をとっていく。 この物語には正しい視点を持つ人は存在しない。みんな誰かからは否定的に見られている。ただ何か夢中になっている時は、無敵モードで周囲からの厳しい視線には動じない。しかしその夢中の裏には仕掛ける人がいる。夢中になっているものに本当に価値があるのかは、誰にも判断できない。 この本を読んで、周囲の視線はそこまで気にしなくていいと思った。同じ行動に対して、肯定する人もいれば、否定する人もいる。大事なのは、自分が何をしている時に幸せかということ。後で振り返った時に、幸せだった時間に価値はなかったと思うかもしれない。でも不幸に過ごすよりはマシじゃないかなと思う。

    4
    投稿日: 2025.10.17
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    推し活経済の捉え方とその見せ方が面白かった 朝井リョウは「視点人物から見た世界」を描写するのが上手いなと思っていて、視点人物が切り替わりながらストーリーが提示されていく本作では、世界の見え方がぐるぐる変わって『何者』のラストのような不気味な面白さがあった 視野によって世界が変わるというのが本作を貫くテーマだと思うので、技法とテーマの一致を感じる楽しい読書体験だった

    8
    投稿日: 2025.10.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    現代社会の解像度の高さに脱帽。どのキャラクターをとっても、いるいる~と思えて、自分はどれだろう?とかこの人の世界はこんな風に見えてるのかとか。それぞれの立場年齢が異なる人同士の世界の切り取り方が見えて、勉強になった。 視野の広さみたいなことは実は最近考えていたことで、視野を広く持っても自分にできることは限られていて、私が成し遂げられることは地球単位でみたらちっぽけなことなのだというある種の諦観が言語化されていた。他方で、視野狭窄に陥っている人を見ると教養のなさや浅はかさを感じてしまうのも事実で。。。答えのない問いを突きつけられた気分になった。あとは、視野を広げ続けることにはキリがないといった話のなかで、自分が選ばなかった方の人生がいつも影を落とすみたいな文章にも共感した。 結局何もかも、考え始めたらキリがないんだよなーー

    3
    投稿日: 2025.10.17
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    登場人物全員、自分だったり友人だったり心当たりがある人に見えてきてこれ小説なのかよ…ってなった…。少しくらい美談になるように帳尻合わせしてくれるのかな?と言う幻想をぜーーんぶ破壊して、平等に地獄に落としていく感じが、ザ・朝井リョウって感じ。

    4
    投稿日: 2025.10.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    バチバチにINFP育児中で孤独すぎて仲間に飢えてるあたしが震える話 オタク経験もあるからすべてがわかる すみかの気持ちもすみちゃんの気持ちもわかるよ… でも確かにオタクって自分を使い尽くす行為が楽しいんだよね 現実が辛いほどオタ活が捗る 今は推し活って言うのか 孤独すぎて人との距離感爆速で詰め寄っちゃうことあるからマジで気をつけようと思った こわいこわい

    2
    投稿日: 2025.10.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    メガチャーチというものの正体がわかった時には怖気に襲われた。 これまで「幸福の意味」や「人生の深さ」は可視化出来ないものだと思っていたけれど、こうやって示されるとなんと価値感がわかってきて人間を客観的に見ることができる。 後半はページを捲る手が止まらず、一気読み。 話題作を次々発表してくれている朝井リョウという作家さんますます興味深くなる。

    15
    投稿日: 2025.10.16
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    スッキリしない終わり方ではあったが、思うことは色々ある。男の僕は友達 多分いない ただただ しゃべる人って本当に貴重だと思う そういう人に出会えたらなと思う そして親として子供がこういうのにはまってほしくないとも思った、

    3
    投稿日: 2025.10.16
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    推し活とファンダム、視野を狭めてそこに熱狂する人々とそれを煽る側、そして視野を広く持とうと啓蒙し合うエリート層、そんな人々を通して描く生き方の物語。 絞り切るのではなく出し切らせてあげるんだという視点の違いが思うことがありすぎて考えさせられた。 言われていることと考えていることがすれ違っている描写がたびたび出てきたが、ここで視野の違いを表現するのはテクニックを感じた。

    3
    投稿日: 2025.10.16
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    ファンダム経済を仕掛ける側 そして それにのめり込んでいく側 双方の話。 面白かったけど 正直 中盤 同じようなワードの繰り返しに若干食傷気味だった。 「決して少なくない人が、自ら何かの中毒に陥りたがっているということです。─ 何でもいいんです。酒でもタバコでもギャンブルでも、SNSでも海外ドラマでも読書でも恋愛でも育児でも仕事でも環境保護活動でも。とにかく、何かに対して熱量を高めていたい、何かに時間や労力や資金を注いでいたいという人はとても多い。それは多分、我を忘れて何かに夢中になっているほうが、楽だからです」 「ずっと我に返ったまま生きるにはこの世界は殺伐としすぎていますし、人間の寿命は長すぎますから」 「物語への没入というのは、手っ取り早く我を忘れるために有効な手段の一つなんですよね」 この国見の言葉は とてもわかりやすく私自身にもすんなり入ってきた。 国見は決して間違わない。そしてどの物語にも呑み込まれない。 しかし終盤、自身が作った物語に呑み込まれて暴走した久保田のことを 国見はなんとなく羨ましがっているような節がある。物語に没入し脳みそを溶かすのにも才能がいる。 どちらが人として幸せなのかはよくわからないけど…。

    26
    投稿日: 2025.10.15
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    推し活もそこそこなら人生豊かになって楽しいんだろうけど、ここまでハマって視野狭窄に陥るのちょっと怖い。陰謀論とか。どうしてそういう思考に傾くのか理解できない。 推し活を仕掛ける側とする側。皮肉が効いていて面白かった。

    3
    投稿日: 2025.10.15
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    パケ買い。表紙がカコイイ。 “推し活”を取り巻く登場人物たちに共感しづらかったが、その推し活を手段にして扱われるテーマやその描き方、各人の心情の炙り出し方、登場人物を跨ぐことで我々読者だけが見えているメタ的な構図など、総じて物凄く面白かったし、凄まじかった。 何が本当に対象のためになるとか、何が今最も本質的な行為なのかという問いは、(中略)その答えを永遠に反転させられる。(中略)どこかで、“この視野で、ある程度の確率で、間違う”と覚悟を決めるしかないのだ。──── 間違えないように、間違えないように、と視野を広げて、いつの間にか手元には紛い物の優越感しか残らなくなる前に、どこかで腹を括って“間違え”に行く。その方が幸せなんじゃないか?人は誰かと繋がっていなければ生きていけない生き物だから。

    6
    投稿日: 2025.10.15
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    私は『生殖記』の方が好みだった〜!笑 推し活を楽しんでる私ですが、これには共感できる部分がたくさんありました。 どうすれば人を熱狂させて貢がせることができるのか、その裏側を描き切る文章は私の心を容赦なく刺してきて、もはや笑ってしまうほど。 朝井リョウさん好きだなあ〜

    4
    投稿日: 2025.10.15
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    【全体の感想】 ・連動し、加速していく物語にゾワゾワした。 ・登場人物に自己投影しつつ、第三者目線で客観視してる不思議体験。 ・国見さんのマーケ論だけでも面白い。 ・大人はみんな我慢してるけど、本当は弱音吐きたい時もあるし、無条件に受け入れて欲しいこともあるよね。ってテーマなのかな? ・読んでいてふと過る人が本当に好きな人なのかも(特に後半) 【考えたこと】 ◼️100年時代とタイパ 〝やってこなかったことが還ってくる” 定年は65歳。年収は●万円。仕事は今しかできないから、今頑張らないと。遊ぶのは後からでもできる。とか。分かりやすい数字での判断に頼ってるけど、そもそも健康でいられるのは何歳までなのか。 学生時代、友達(ロシア人)が、お金が入ればすぐに使い、無くなったら人から借りることに対して苦言を呈したら、「今でないとできないことをやっているだけだ。自国の老人は生きてはいるけど、自由に動けないし、食べたいものも食べられない。やりたいことを老後に回しても叶わない。」と言っていた。 その時は、やりたい放題に対する都合の良い言い訳と思ったけど、20年経った今、あながち間違いでもない気がしている。 100年時代、社会と関わりたいけど関われないという孤独感の中にいる高齢者が多いらしい。そんな老後を考えると不安しかない。 今だからできること、培えることが数字にできないところでいっぱいあるんだろうと思う。 ◼️情報に支配される人々 ゲームのプレイ時間を見ると愕然とする。 こんなに時間があったなら、もっと身になることができたのに。と思う。 時間が勿体無いと思いつつ、だからと言って何かタメになることをやっている訳でもない。 オーディブルをBGMにYouTubeを流し見しながら、ネット検索で何かしら調べてる。 いつも忙しいと感じているのに、実際時間ができると何をしたら良いか分からず、何となくコンテンツ消費をしている。 そのコンテンツさえも、自分で選択している訳でなく、googleの提案に乗っているだけと分かっているけど、考えるのが面倒なのでそれで良いか。と思っている。 まさに脳みそ溶けてるなと思う。 でもそれでも良いと思っている自分がいる。 こんなに選択肢が多い世の中で、全部を自分で選べる人なんてそんなにいないだろう。 だから一部の選べる人が挑戦・成功・失敗して、あとはみんなgoogle・Amazonの奴隷で良いのだと思う。

    2
    投稿日: 2025.10.14
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    朝井リョウてほんとに天才 読んでる最中そればっかり頭にあって、時代の捉え方もタイプの違うひとたちの心情の描写も会話もリアルすぎて、生殖記、正欲も読みましたが今作がいちばん刺さりやすい気がする。 作中に出てくるアイドルグループの恐らくモデルになったアイドルを自分が過去に推していたこともあり、界隈の詳しさとか描写の細かさがリアルすぎて余計にのめり込んで楽しめました。 どの視点からもわかるなあて俯瞰で見れてしまうからなんらかの重課金オタクは読まない方が幸せかもある意味て思わされてる時点で自分も物語を作り上げてるのかも

    8
    投稿日: 2025.10.14
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    推し活への理解が深まる。 みな何かしらの物語に熱中している。 それは幸せか不幸なのか。 本当に大切なのは何なのか。

    3
    投稿日: 2025.10.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    いやー面白かった。 なんか嫌な終わりかただなぁ。 『パレード』を初めて読んだ時を思い出す。 まず、世の中にキャラクターの違いで生きにくさが生じるという事実をつきつけられて、世の中の見え方が変わった。 一見自分にとっては正しいと見えることも、ある人にとっては迷惑になる。 そして、推し活と宗教の類似する部分に衝撃を与えられる。 そして、最後に父として娘を愛せなく、笑顔にさせることができなかった男が、視野を狭くすることにより得られる意味のないことへの幸せを知り。 父親としてではなく、運営として視野の狭さを手にした娘に最高の笑顔を作らせるという終わり方。なんとも後味が悪いが美しい。 やったことがしっかりと返って終わるのもまた美しい。 感動しました。

    5
    投稿日: 2025.10.13
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    朝井リョウはどうしてこんなにも時代というかその時その場の空気の捉え方がうまいのだろうか。空気感までも鮮明に伝わってくるのが朝井リョウの凄さだと今回この本を読んで思った。自分はオタ活していた時期があって(バイトもしていなかったのですみかのように金銭的にのめり込むことはなかったが)Twitterのタグイベとか、オタクの世論とかの解像度が高すぎる。はっきり言って怖い。マーケティング戦略とかももろ自分が推していたグループに当てはまるし、オタク側の拡大解釈の描写は既視感ありすぎて辛かった笑。とにかく朝井リョウにハズレなし、いい作品でした。

    15
    投稿日: 2025.10.13
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    私も何年か前に某オーディション番組からデビューした男性アイドルグループを推していました。私はすみかのようにお金を積むことはせずライブ参戦してMVをみて程度の活動でしたが、初めての推し活で同じグループを推す友達ができて時間を共有することの楽しさや充実感を感じていたのを思い出しました。離れてしまった後も、推しがいる人は人生楽しそうだなあと羨ましく思ったことも一度や二度ではありません。私は今、友達、仕事、趣味などたくさん視線を配れる方向があり、それはとても幸せなことなんだなと再認識すると同時にやっぱり何か一つのことだけに狂ったように熱中して視野を狭めているからこそ得られる幸せもありバランスが大事なんだなあと思いました。正欲もそうですが、浅井さんは鋭い切り口で現代社会を切り取り作品にするのがとても上手な方だなと。 あと、女性しかわからないであろう感覚もすごく鋭いなと思う描写がいつもあります笑(ファンデが服につく、メイクが落ちないよう鼻をかむなど、、)全てにおいて解像度が高すぎる!笑  他の作品ももっと読みたいです!

    11
    投稿日: 2025.10.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    本作を読んで得た教訓はそのまま「推してもいいが呑まれるな」です。 「他者との優しくて健やかな繋がり」を求めて、 誰かを推し、推し仲間で集う。 私にも推しはいる。読み終えて考えたとき、恋人がいない時は推しのライブに当たらないとこの世の終わりかのように絶望していた記憶があります。しかし恋人がいる今、ライブに落選したとして行きたかった…という気はあれど、絶望まではしていない。推しの大好きさは変わらないけれど、「他者との繋がり」を他で保たれているから絶望していないのでははないかと感じました。 ということは恋人がいない時の私は、まんまと推しに呑まれているわけです。 私も一歩踏み外すとちゃみするのように、際限なく推してしまう可能性があるということ。 (すでに際限なく推していたあとかもしれませんが…) 推し活をする全人類に読んで欲しい作品でした。

    4
    投稿日: 2025.10.13
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    まぁた朝井リョウにやられた〜〜 ドルオタの気持ちはあんまりわからないと思ってたけど、自分の気持ちに通じるところもあって痛いところ突かれたり言語化してくれてありがとうの気持ちになったり 後半ずんずん引き込まれて寝不足確定で深夜まで読んだ

    13
    投稿日: 2025.10.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    どこかに居そうな人たちのリアルを、ちょっとだけ離れたところから見させてもらったようなお話。 登場人物ほとんどが主人公なところが興味深い。 それぞれのパートで感情移入してしまう(褒め言葉)。 ラストは、それぞれの人物に 「あー!そっちに行っちゃダメ‼︎」と、 「行っちゃうんだろうな」 の、共感性羞恥心のような気持ちと、いたたまれない感情が行ったり来たりしながら、あっという間に読了。 どんな世代の人でも読みやすいんだろうな、と感じた。 これって実はすごいことなんだと思う。

    7
    投稿日: 2025.10.13
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    推し活文化、中年男性のコミュニティ、孤独と繋がり、がテーマの小説に思う。自分の視野を狭めることで力が出る、周りの目が気にならなくなり、自分の思いのままに動くことができる。視野を広げることで、客観視ができるようになる一方で、他者の目線が気になり、失敗をしない人間、突破できない人間、何者でもない人間になっていく。 どちらが正解というわけでもない、どちらの視点も自分と重なる部分があり、チクリと胸が痛む。自分にとっては特別だ!と視野を狭めて熱中していたものが、相手から見たら大したことではなく、ありふれたことの一つで、拍子抜けしてしまう。でも、視野を狭めたからこそ、熱中したからこその行動力がそこにはある…追いかけてる時は、ドキドキワクワクして、楽しいんだよね。 何かを突破する時、とんでもない行動力を見せる時、私たちは物語を自ら作り出して、勝手に意味付けして、物事を特別視して熱中する。人生は自分の物語を編み出して、勝手に一喜一憂して熱中するものだと思う。それで良い。

    16
    投稿日: 2025.10.13
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    エッセイを読んで朝井さんの面白さを知り、テレビ出演されてる時はよく見ていたのですが、小説を読むのはすごく久しぶりです。 なかなかの厚さでしたが、あっという間に読み終わりました。(動画も楽しみました) 私もピーク時よりは、だいぶ落ち着きマイペースではありますが、ゆるく推し活をしているので、共感する部分もあったり、そして普段私が感じていたことも作中描かれてたりして、読みながら色々考えさせられもしました。

    3
    投稿日: 2025.10.13
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    心の平和のために何かに傾倒していたい 仕事だったりアイドルだったり家族だったり宗教だったり 夢中になれている間は楽である 世界の中で自分は正しいと思い込みたい 視野を狭めて、関わる世界を狭めて、自分は間違っていないという証拠ばかり集める この世界はとてつもなく広い教会のようなもの みんな何かの信者である 進撃の巨人のケニーみたいな感想言っちゃった! 朝井リョウは人間の気持ち悪い部分を言語化する天才✿ブルームマイセルフ✿

    3
    投稿日: 2025.10.13
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    今読み終えたばかりで、興奮して語彙力なくして。 この本、ぜんぶ好き。本当におもしろかった。 Behind動画26分もあるのおかしい

    14
    投稿日: 2025.10.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    皆が無意識に、もしくはうっすら感じているものを言語化されていて面白すぎる。時代を切りとった大小説。 MBTIって嫌だよね。妙に当たってる分、自分得手不得手が見えて、そこから抜け出せなくなる閉塞感を感じてしまう。 おじさんの友達の作れなさは、恐怖だった。今から真の友達を作るのが難しいから、高校、大学の友だちを大事にしないとなと思う 味噌をとかすところと脳みそをとかしていくところをかけてるの好き。 魚豊先生の『ようこそFACTへ』とも近い題材で、天才たちは考えている事が同じなのかと驚愕した

    7
    投稿日: 2025.10.13
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    おじさんにも救いがいつかあってくれ〜 (『正欲』とはちがって、「変われる」おじさんが描かれたのはよかった)

    2
    投稿日: 2025.10.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    物語を生み出す人と物語に傾倒する人。 マクロ視点では物語を生み出させる人と物語を生み出す人になるのかもしれない。 脳みそを溶かして1つのことに熱中させること。 何も言わせなくすること。 考えなくさせること。 1つのものに縋ることの意義と弊害。 宗教のようにそれで救われる心もあれば大切なものを見失ってしまうこともある。 視野を狭めること、視野を拡げること。 視野を狭めることで存在価値を確認しなくても、そもそも自分は自分のままでいることが一番価値があること。 能力主義、成果主義で存在しているだけで価値があることが忘れ去られているのかもしれない。 しかし、あぁやっぱり自分は…と人と自分を比べたり、自分のできなさに落ち込むこともある。 存在価値を見出すってそんなことしなくてもいいのにって思うけど いざ心からそう思うのは難しい。 だからこそ、そこにつけこむ人間がいるのかもしれない。 人間は生まれていまここにいるだけで価値がある。

    4
    投稿日: 2025.10.13
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    まさに今の時代を描いた作品。これだけのボリュームある小説をどれだけ前から取材を重ね、書き綴ってきたのかわからないが(2023年4月からの新聞連載小説のようだが、構想や取材はそのはるか以前から始まっていたであろう)、2025年の現在、ますます身に迫る現象としてリアル感があった。 視野を広げる、と狭めるがテーマの一つだと感じたが、二者択一にしてしまうこと自体が視野を狭くすることになってしまうのかもしれない。それは身近な問題としては、自分と他者、他者と自分が共存できることなのではないだろうか。 終わり方、思わず「上手い…」と唸ってしまった。

    4
    投稿日: 2025.10.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    まずは、朝井リョウの人物や物語を描く技術、特に人物の心理描写の解像度が高い点が際立つ。 そして、この物語だが、読了後の感覚が何とも言えない。『え、どうする?自分どうすればいいんだろう。』という感じ。 物語は推し活を中心に進んでいく世界。3人の主人公の視点で進められる。 3人は実は全員同じように視野を狭めていっていた。視野を広げているという物語に没入し、視野を狭めている。 そして視野を狭めるほど人生が充実した感覚に陥るが、ある点を超えるとそれが崩壊する。 本質的なことってなに? 国見の言葉が正解なんだろう。正解の部屋がないこの世界では、間違いを選ばないでいると、『ただの間違いを選ばずどの部屋にも入らない人』になる。 たぶんその人はつまらない人生を歩む。 あれ?自分が一生懸命目指していた人じゃないか。理性を保って毎日毎日間違いを選ばないように精神をすり減らしている自分のことでは。だから明らかに間違って自分を消費している人を見ると嫌悪感を抱く。 何事もバランスが大事なんだ。人生って難しい。 そういえば、この本を読み始めた頃は、この話って、いただき女子リリちゃんに重なるなって思った。 実はリリちゃんは誰からも被害届を出されていない、みたいな話があったはず。 そんなことを思う余裕があったのに、読み進めるとこの3人に感情移入してしまっていた。 自分も物語に飲まれていたのだ。 人は案外簡単に物語に飲まれるし、飲まれたがっているのよね。

    5
    投稿日: 2025.10.13
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    きっとどこかで繰り広げられているだろう世界をまざまざと見せつけられて、寂寥感が自分の中に積み上げられていく。 結末が予想されたあたりから手のひらで目を覆いながら隙間から覗くような感覚でやっぱりねと大きく息を吐きながら読了。今を切り取り、見せつけ、胸に弾丸をぶち込む。 朝井リョウやっぱり凄すぎる。

    13
    投稿日: 2025.10.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    朝井リョウを敬遠し続けてきた人生だった。 10年以上前、友人と「桐島、部活やめるってよ」の映画を観た。おもしろかったけどだいぶしんどかった。だいぶしんどかったので原作は読まなかった。以降、朝井リョウ原作の映画は誰に誘われてもいかなかった。傷つきたくなかったからだ。 しかし、朝井リョウ克服のために小説に手を伸ばしたことは何度かある。図書館で、本屋で、Amazonで。 でも物語のあらすじを読むだけで「これは無理かも」と口を歪めてきた。この作家は絶対に私のような人間を刺してくる。実際に桐島で刺された傷は未だ癒えていない。朝井リョウ原作の映画を観た家族から「あんたみたいな子が出てきたよ」と言われたこともある。「共感できるんじゃない?」と言われたけどそんな共感いらなかった。それらは共感性羞恥の類いの共感だからだ。 だから本を手に取ることはあっても結局いつも読まなかった。読まなかったのに。 推しがこの小説を勧めていた。 最初はゲストでお呼ばれしたラジオ番組で、そして、推しがやっているポッドキャストで。 ラジオで勧めていた時は特に何も思わなかった。話題だもんね、本屋であらすじは確認したよ、買わなかったけど、くらいのもんだった。 推しは朝井リョウ作品を他にも勧めていたことがある。「スター」だったと思う。いつか読もうと思ってリストに入れている。いつか読もうと思ってるだけで本当に読むかは分からんやつだ。 しかし、はて。 推しが2度も勧める小説とはどんなものなのかが気になった。彼は普段から本を読む人なのだ。色々なジャンルの本を読んでいる。以前ラジオの企画で彼が自身の本棚の写真をSNSにUPしてくれたことがあったが、たくさんの本が並べられていた。種類があまりにも豊富で、偏読傾向にある私は「彼と本の趣味は合わない」と思ったが、本を日常的に読む人間の「オススメ」は信じられる。それに。 推し活に関する本を、推しが勧めてくること。 その状況が奇妙でおもしろくもあった。 推しはラジオの中で「ファンの人はこういう気持ちなのかなとも思ったし、推し活を仕掛ける側の目線もあっておもしろかった」と言った。 ファンの人の気持ち。 そんなもの考えなくていい、と思った。私たちのことなんて放っておいてほしい。というか、推しにバレたくない。オタクがどんなことを思ってるかなんてバレたくない。知られたくない。知らなくていい。 推しは本当に分かっているのだろうか。 昨今は「推し活」なんて言葉でマイルドに誤魔化されているけれどオタクというのは本当に気持ち悪い生き物で、その生態は周りに知られてはいけないということを。「こんな気持ち生きてる人間に抱いていいはずないみたい」な感情を繰り返していることを。 推しはあるのだろうか、一度でも、誰かの持ち物をSNSの画像や生配信のスクショからグーグルレンズで検索してそのブランドや値段を特定したことが。あるのか?ちょっとでも、一人の人間の友人関係をSNSから探ったことが。誰かがSNSにあげたものと同じものを食べたり飲んだりしたことが。それだけで満たされた気持ちになることが。 今までそんなこと知らなかったとして、これを機に彼がそんなオタクの生態を知ってしまったらどうしよう。彼は引いてしまうのではないだろうか。 推しのXのおすすめのTLには恐らくファンのポストが流れている。たぶんそういうアルゴリズムが働いている。だから思わぬ形で検索避けしているポストが推し本人に見つかることもある。推しは無邪気だ。ハッシュタグを付けていないポストまでRPしてしまう。それはつまり石の裏をひっくり返して虫たちをうじゃうじゃさせるような行為なのだが、恐らく本人にそんなつもりはない。 そんな、そんな推しが推し活小説をオススメ……??一体どんな推し活が描かれているんだ……?? ということで買った。読んだ。初めての朝井リョウ作品だった。貪るように1日で読んだ。 なんかもうめっちゃおもしろかった!!!!極上のエンタメ小説だった!!!!でもずっとホラー小説だった!!!!!!!!!! もういい、現実でも同じようなこと見たり聞いたりしているのでこんなことわざわざ小説にしてくれなくてもいい、オタクをジャンル分けしてくれなくても分かる、知ってる、オタクはお前らがこっちをジャンル分けする前から自分達をジャンル分けしてる。知ってる。そして私は自分が信徒タイプに限りなく近いであろうことも知ってる。友だちに「お前は推しが多すぎて宗教に多重加入してるようなもんだ」と言われたこともある。してる、多重加入。物語の必要性についても知ってる。なんなら言ってる。そういうポストもしてる。そしておっしゃる通り「推しをコンテンツ化してはいけない……!!」とか思うし「よく食べてよく休んでね」みたいなことも言ってる。つまりあるあるネタとしてはかなり良質で、声を出して笑うところもあった。でもうるさい。うるさい!!!うるさいよもう!!!!!!!分析すんな!!!!!! 運営側のあれこれももうずっとホラーだった。 うるさい!!!ってなった。怖いんだよずっと。 私が一番近いのは隅川さんなんだろうな、と思った。年齢的にも暮らし的にも。 でも私はそんな擦りきれるほど、自分を使いきれるほど何か一つを好きになったことがあるだろうか、とも思った。でもそうなってみたいとも思った。私は限りなく信徒タイプに近いけれど貢ぐわけではない。課金額の上限は決めているし、ランダムグッズは2つまでしか購入しないし、遠征はしない。友だちもいる。家族とも普通に話す。なんとなくお茶できる人もいるし、職場では雑談もしている。現実でもSNSでも、今いるコミュニティに満足している。 しかし、もっと狂いたいと思う気持ちもある。 我を忘れて、飛び付くかのように。それが無いと生きていけないみたいに。その感覚を求めて人間は新しい沼に落ちていくのではないかとも思う。本当に中毒症状だ。 そして逆に遠ざけたりもする。沼に落ちるのが怖いから。中毒症状が怖いから、推しに入れ込んでいるあの状態が普通じゃないことを分かっているから、「そこまで好きじゃない」と遠ざけて、そこにお金は落とさず無料で楽しめる部分だけを楽しんだりもする。正直エンジョイ勢として活動してるときが一番楽しいし、楽だ。 でも、自分を使いきりたい。我を失って有耶無耶になりたい。果ててしまいたい。でもそうなってしまったらもう界隈からは去るしかなくなる。轟々と燃える炎は尽きるのも早い。それだけの火を保つことが難しいからだ。それを知ってる。長く「好き」を保つにはひっそりと好きでいるしかない。誰かと「好き」を共有すると火は長続きするけれど、それが重荷になったりもする。特にSNSには依存しない方がいい。SNSには自分と金銭感覚が違う人がたくさんいるから、他者と自分の「好き」を比べてしまう。比べる行為は危ない。自分は「好き」が足りないんじゃないかと不安になってしまうから。推し活は自分から喜んで「好き」を差し出すから楽しいのだ。一方的に好きを喚き散らかせる行為。推しと私の間には絶対に人間関係なんて生まれない。だからこその安心感。現実との解離。没頭。物語。 さて、澄香ちゃんは道哉の応援を続けるのだろうか。 それとも親や周りに身分不相応の重課金がバレて推すことをやめてしまうのだろうか。 澄香ちゃんが推し活をやめるより、道哉が芸能界を去る方が先かもしれない。 5年後、10年後、澄香ちゃんは何を推しているのだろう。それともこの推し活は彼女にとって黒歴史や武勇伝となって終わるのだろうか。彼女はもう何かを推すことをやめるだろうか。 やめられるのか?抜けられるのか?忘れられるのか?あの高揚感を、快感を、没頭感を。 誰かの為に生きるのは楽だ。自分を見なくて済む。 「自分で自分を推そう」なんて綺麗ごとだ。自分という存在になんてもうとっくに飽き飽きしてる。でも、だけど、だから。 本当にホラー小説だった。やっぱり朝井リョウは敬遠しておかなければならない。 ……と、いうことで。 私の最推しがこの小説「イン・ザ・メガチャーチ」について話している回のポッドキャストのリンクをここ (https://open.spotify.com/episode/36wsTQSEmlGNMkKz9guZbc?si=ZeTQmHF0RSei4RKuqELrXQ) に貼り付けておきます。 これを機に少しでも多くの方が推しのポッドキャストを聴いてくれますように✿ブルームマイセルフ✿

    7
    投稿日: 2025.10.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    社会人になる前くらいに朝井リョウの本を読んだ記憶があり、それ以来にこの著者の本を読んだ。 本の帯の一文もそうだが、他の小説と比べてパンチラインが多いイメージがある。そして、いまの自分の仕事上でプロジェクト探しに悩んでる境遇もそうだが、自分で勝手な物語を作って暴走してしまうことって誰しも起こりうるのかな、と思った。 ・「私はこれまで人を中毒にする仕事をしていました」 ・「ファンダムとは、程度の差はあれどすでに多少は視野が狭まっている人間の集まりです。」 ・「母親たちの雑談って、よく聞いてみると大抵何かを教え合ってるんです。この漢方いいよとかあのストレッチ腰にいいらしいよとか。今は健康の話が多いですけど、若いころはそれがコスメとかファッションだったのかなって。」 ・「自分の外見とかとちゃんと向き合うって結局、その場をケアすることにも繋がると思うんです。」 ・「やり切ることでしか終われない。正論が通じない状況になってくれたわけです。」 ・「自分というリソースを使い切ったもん勝ち、ってことでもあると思うんですよね。万人に通ずる物差しがなくなったということは、その対象が何であれ、自分を使い切っている人には外部からのジャッジが一切通用しないということでもあります」 ・「それがどんな物語でも、呑み込まれて暴走するのって、やっぱり楽しいものなんですか」

    5
    投稿日: 2025.10.12
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    風見鶏が自分の意思で興味ある方向に首を伸ばしているかのように振る舞う流行も、一応流行とは言われないほどの期間関心を持たれ続けているから風見鶏らしさを意識せずにすむような分野も、似たり寄ったり、五十歩百歩では。 心から気に入っています、と理屈抜きで夢中になれる感覚をくれるものは、アイデンティティというものの不安定さや、もしかしたらそんなもの存在しないのではないかという疑念を感じさせない 世界情勢や社会問題に対して自分の意思を表明する、劣等感から心を守るために自分に対する負荷を適度にして生きる、どれもただの、「こうするといいっぽいよね」っていうどこかしらの誰かに都合よく作り出された考えにすぎない。自分が(この量は人によって異なるけど)丁度いい範囲での努力をしていると自覚して、自分に良い評点をつけるためのライフハックだから、別にどんな考えを主張しても責められたことではない。基本的性質は皆風見鶏であり風が一定の方向に吹いている時間が存在地点によって異なるから、外からの見え方が異なるだけ 繋がりを求める動きにはつい身構えてしまう 繋がった感覚を持つ時って、人の良い側面をもろに受け取ってるから、あとあと、やっぱりズレていた、期待していた、執着していた、所有の対象としていたっていう反省が、繋がりのメリット以上に襲いかかってくる。それよりなら寂しさが居座るのを許容した方がまだマシかと思いつつ、依存してしまうのだけど。 感情の絶対値で運動エネルギーを獲得する生活を欲してるのに、側からみるとその不安定さに同族嫌悪が湧き出る 何かにつけて人を見下してしまう。でも立場が不利な方にはどうにか理屈をこじつけて味方したくなるから、ただ、平らにならしたいだけなのか。これも自分が上に立ちたいわけでも安心したいわけでもないと無意識に納得するための自己保身術なのかもしれず、めんどくさい。 どこか否定して論破できるところを見つけるために粗探しをするかのように人の意見を聞いている自分に気づいて、偏らないように慌ててその反対意見や迎合する立場の妥当性も検討して、結局その中間に腰を据える。中庸が1番自己批判も含めて批判から逃れられるなあと。そこに独自性もプラスするべく、中庸の中の端点ギリギリを目指す。それが私のよくある思考スタイルであるように、皆それぞれ、思考回路の癖があって、知らず知らず同じようなところに誘導されているような気も。 視野が狭いだの広いだの、物事を定量化するために生み出された形容詞は、本来グラデーションになっていない部分を無理やり単軸の上にのせて比較することを強要してくる 相手を通して自分をどうにかしたり評価したりするような壁打ち会話をしているから、相手も受け取ってもらえないボールを投げ続けることに辟易して壁打ち評価の文脈に入り込み自省に腐心しはじめる? どうせ肯定されたら無条件に気持ちいいのだから、自己評価の趣味をやめてゲームのように相手を愛撫する会話をしたい 倫太郎の喪失で絶望してても、その絶望で日常が満たされるから、それは空間を満たすことのできる空白だなあ 視野狭窄視野狭窄というワードにうんざり。何かに熱狂したり情動を揺り動かされたり、感情のエネルギーで駆動した生活の方が楽ってそれは当たり前。熱狂が視野を狭窄させ本来価値のないものに金と時間を膨大に費やさせる?原価こんだけのものにこんなにも多額を、大したバックグラウンドのないものにこんなにも過大な評価を。そう思ってマーケティング側は支配した気になっているかもしれないが、自分たちが触れているものが本来どんなものなのか把握することが不可能なのに、勝手に、本来性を絶対的なものとして据え置いて評価しているだけなので、マーケティング側もストーリーに金払う側も宗教が違うだけの信仰者では?冷静な視点で外側から観察していると思っている側も何かしらの信者じゃないかと思う 村田沙耶香の信仰を読んだ時に感じたのと同じ気持ち。231「本質的でないものこそ、熱量の高い布教が必要になる」とあるけど、本質という言葉が本当に苦手。物事は本質とそれ以外に分けられるのではなく、全部もっともらしさ度合いの差に帰着する気がする。信徒の数次第でマイノリティは常に批判の目に晒されているから結束が強くなり、その閉鎖的な環境がマイノリティをさらにマイノリティ化させているというのには納得。 238ぐらいから不穏な動きがあり、自分の頭を使って考える必要性が力説されているが、頭を使ったところで思考のベースとなる変数も関数もオリジナルじゃないんだから、思考回路をがちゃがちゃ自分でいじった気になってるだけ。そうした性質を利用しようという点でアイドルプロデューサーとtomoyoが重なる。利用されることで金銭的な損失があればまあ詐欺とかになってしまうのだろうけど、妥当性と繋がりいう安心感を金で買えているのであれば別に良いかも。 経験とか感情って金銭に換算するの難しいから、原価とか効能を本質呼ばわりするのも不満だけど、結局商売は金銭がどうしても性質上絡むことを考えると原価とか金額レベルでの話に帰着させた方がシンプルに捉えやすい。 337「結局誰だって、信じる物語を決めて生きているだけだ。それが世界平和だったり自己啓発だったり陰謀論だったりするだけで、皆各々のドラッグで自分の脳を溶かしながら死ぬまで生きるだけだ」本当にその通り。 370ページが好き。何が本物なのか何が真実なのかを気にするあまり観察者側として他を冷笑し、解釈側だからこそ優位性がある気になっているだけな自分をも嫌悪して、自分すらも外側から見れるような思考客体を模索するも、そんなものなくて、どうせ扉を開けても開けても囲いの外から出られないのなら、マトリョーシカのどこかに安住するのがいい気がする。自分は何も所有しておらず何も意味などなくてただ時間がすぎていて。時間が過ぎるのに合わせて自分もどこかしらに進んでいくのだけど、「進む」という単語には方向が前提としてあるはずだから、そこに意志のようなものを絡めて目的や意味(391「幸せ」)を見出そうとして、無意識的に湧き上がる冷笑を放出しようと扉を開けて、やはりまた囲われていることに気づく。諦めて手元に残るのは倦怠、退屈。砂時計をじっと見つめる日々よりも、分析対象になる前の有無を言わさぬ情動に従う日々の方が、退屈で弛緩した人生をやり過ごすのに適している。時間の流れ(道標のない大海原391)の中で余剰物としての自己が強く意識され途方に暮れるよりも、(実は瞬時に入っているが)分析や解釈に背を向けて、感情らしきもの(396「想定外の本物の感情」思考と知覚で知覚がスピード勝利したケース)に身を任せていかないと、倦んだ人生は長過ぎる 375「有用性や意味を追求しない、本質的でもなければ生産性もない、弱さや脆さを見せてこそ始まる連帯」結果繋がりを得ることを求めてこういうコミュニケーションしてるならそれは有用性とか意味とか追求しちゃってない?(効能不明なビタミン剤も、いずれゴミになるけど何十枚も一気に購入されるcdも、物質的、科学的な目線で見ると本質的ではなく、 情動でエネルギーをもらう、繋がりで心を栄養されるという心理的な観点からすると本質的で生産的、どちらの考えも何かしらを目指してるってところで同じ目線) って感じるシャニカマだけど、雑談であれ目的志向の会話であれ、自分とは違う種のものを短絡的に退けるとチャンス逃すかもしれないね、別にそれも含めて運だからいいのだけど 最後、「不正解」「間違いではない」の対比があったけどみんな何かしら信じ込んでいる時点で正解と正解以外の分断なんてものはなくて、分断しているように思えるのはそこにある熱量と自己犠牲の差では?そしてなぜマイノリティがしばしば「不正解」の一端を担うのかというと、批判されがちだからこそ自己防衛のために感情を燃え上がらせるから 結局はみんな、時間という空間の中で、浮遊する自己を幾分か固定して、空間に方向を定めてくれるような物差しが欲しいという共通項でくくられる。

    6
    投稿日: 2025.10.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    朝井さんの作品には、いつも心をえぐられる。 そして、傍観者で居ることを決して許してくれない。 慶彦の孤独。 澄香の内向性。 絢子の盲目さ。 一人ひとりの登場人物のどこかに自分が居る気がした。 推し活という行為が怖くなる一冊。 素晴らしい作品だった。

    5
    投稿日: 2025.10.12
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    おもしろいよりすごいが勝つ 勉強になりすぎた 映画にしても映えるだろうなあ これらのセリフもみんな全く別の事でそれぞれの解釈で背中押されてそうなのがまたいい 『わざと信じ込む。わざと強く思い込む。 没入する。視野を狭める。我に返らないように。やっぱりここがおかしいんじゃないかとか、俯瞰して冷静に分析してしまわないように』 『これまでは、間違いさえしなければ、なんとなく正解の部屋に入れました。でも今は正解の部屋自体がないから、たとえ一つも間違わないでいたとしても、ただ”間違わなかった人"になるだけなんですよね。そこには何の加点もない。だからもう何をするにも、自分はこうやって間違うって腹決めて脳みそ溶かして動くしかないんですよね。寧ろそうしない限り、結局何も』 『そっちは正解の部屋じゃないと背を向けられても、最初から目の前の大切な人に対して自分を使い切るべきだった。たとえ社会や会社から後ろ指をさされても、正解よりも本物の気持ちのほうを抱きしめて、愛する人との時間をもっともっと設けるべきだった。』

    4
    投稿日: 2025.10.12
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    自分を物語に投げ込み、周りの風景がぼやけるまでのめり込んでいかなければ、新しい世界へ自分を運び込んでくれる明日は来ない。のかも知れない。 でも、読書体験という安全な領域からの擬似体験とは違って、「間違う」ことは、現実の実人生では痛む。 でも、間違わなかった人生を、最期の自分は愛する事ができるのか。 何が自分にとっての価値なのかを、この目で捕らえ続けなければならない。 「人生を楽しむ」ゆくゆくは「その人生を愛でる」っていうのと、「踏み出して間違う」ってことは不可分。同義でもあるのかも知れない。

    9
    投稿日: 2025.10.12
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    あぁ凄い、凄いよ、、 推しを推す者として、のめり込む楽しさを分かっちゃうし、登場人物たちがどんどん暴走していくのは見ていられないけど、その過程は共感できてしまう。

    10
    投稿日: 2025.10.12
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    朝井リョウさんの作品は『生殖記』以来の一年ぶり。 3人の視点・『推しアイドル』を拡げるために企画する者、『推しアイドル』にハマった者、そして『推し俳優』が自殺したことによって陰謀論者に変化する者…。 彼ら・彼女ともども、世の中の輪から離れて『孤独』に苛まれた人たち。それが突然の『推しアイドル』『陰謀論者』へと変わる。それは自分たちが『孤独』との恐怖を抱えており、このまま行き着く『死』へと直面するのと同様な雰囲気を醸し出していたかと思う。 『メガチャーチマーケティング』手法というのも、今回初めて聴いた。仕事柄マーケティング手法はある程度しか知らなかったが、初めて聴いたこの手法、新興宗教的すぎる。 この本を手にしたときの帯に『功罪』と書いてあった。得たもの・失うもの、それは『推し』を得たことによって得られたもの(=孤独から同じ『推し』が好きな人とのコミュニケーション)も大きい。が、失ったもの(お金、今までの人間関係、知識狭窄)も大きい。 自分も『推し』にハマったらこうなるのか。。。客観的に観ると中毒者を見ているかのような「人の心を蝕む」で薄気味悪かった。 自分には『推し』がいる。ただこの物語を読んだときに、『推し』というよりも『ファン』としての立ち位置なんだろうなと改めて認識させられ、またXやInstagramで繰り広げられる『推し』への愛情が偏愛のように感じていたことがなんだったのか、言語化された世界観だった。 この『イン・ザ・メガチャーチ』では表現されていたことに、朝井リョウさんは私達の心理まで読める人なんですか?と疑うぐらい、言葉にできなかったです(笑)

    25
    投稿日: 2025.10.12
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    推し活が単なる娯楽ではなく孤独や不安を抱える人々にとっての居場所であると同時に、信仰や熱狂を巧みに利用する集団心理操作の場であることを浮き彫りにしている 孤独の裏返りが熱狂という内容が言語化されており、リアルすぎて自分にもこういうところがあるなと深いところをえぐられながら読み進めた 正解がない世界で何に没頭してどの程度の視野を持って自立していくかを見つめ直していきたい タイトルのメガチャーチは、推し活の場を宗教的な場として捉えるメタファーとなっていると思った

    3
    投稿日: 2025.10.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「これまでやってこなかったものが還ってくる」最初からずーんとくる。 読んでてずっと息苦しかったけど、読む手は止まらなかった。

    4
    投稿日: 2025.10.12
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    没頭することへの憧れと恐怖 それらの輪郭をはっきりさせることで、 その境界を繊細にかつ曖昧に描いている。 朝井リョウって「これもうノンフィクションだよ」 ってくらい人の生活とか感情の描き方がリアル。 なんかもう面識ないのに色々バレてるんじゃないかって怖くなる。

    5
    投稿日: 2025.10.12
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    陰謀論に引っかかるオタクの図、Xの見過ぎと思った 自分はそこそこのオタクだけどこの2人とはスタンスが違うから冷静に読めたな あと、アイドルオタクと政治思想結びつけられがちなのってなんでなの?

    2
    投稿日: 2025.10.12
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    SNSで目にする全てがてんこ盛りだった笑 推し活、MBTI、パーソナル診断、スピリチュアルや陰謀論、メンズメイク、オーディション番組。 自分が令和的な推し活にあまりハマらない理由も分かった気がした。でも他のところに課金してます。 誰だって夢中になれるもの・それに付随するコミュニティ欲しいよね。その代わりお金はちゃんとなくなるし、歳を取る。 若い頃にアーティストのファンになって、それ用のTwitterアカウントを作ってみたけど、熱量がちょっと違うな?と思って撤退した事を思い出した笑

    4
    投稿日: 2025.10.11
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    推し活に全てを費やす人、留学したいのにできなそうな大学生、レコード会社の中心から外れたおじさん。三人の人生が絡むと。 非常に面白かった。推し活を中心に極めて現代的なストーリー。先がどうなるのか気になって頁をめくる手がノンストップ

    4
    投稿日: 2025.10.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    いつかMBTIのことを調べていたら、朝井リョウの小説に出てきたみたいなのをネットで見たのをきっかけにずっと気になっていた。 MBTIに限らず、「推し活」とか、政治的なこととか、今っぽい話題が多く、めちゃめちゃ面白かった! 自分は大丈夫と思っていても、朝井リョウの文章にかかると、登場人物に感情移入して、どんどん視野が狭くなっていく感覚があった。 自分は久保田と澄香に共感できることが多かったかな。 久保田とミチヤのカフェでの話も興味深かったし、国見たちとの会話の中の、物事なんか視点を変えたらどれも正解じゃない、みたいな話も深く頷いてしまった。 視野を広げることで本質がわからなくなる、っていうのもなるほど確かにそうだな〜と。 澄香の意識高い系()のお友達との話題にも言えるところがある。 国見の言葉はいろいろ勉強になった。 マーケティングって難しそうだけど、楽しそう。 澄香のパートで例のMBTIの話が出てくるけど、めちゃくちゃ言及されてますね。 INFPだから〜とか、内向的だから〜とか、決めつけられて生きるのこそが生きづらいと思うんですが。 だからこそ、自分と似た気質を持つミチヤに出会えたのは良いことだけど。 でも性格診断という枠組みの中でただ一緒なだけであって、当たり前だけど人間はそれぞれ違うから過信してしまうのもよくないと思った。 誹謗中傷ももちろん堪えるだろうけど、ファンから過度に神聖視されている状況も辛かったんじゃないかな。 神様じゃないもん、人間だもん。 依存されている状態は負担も大きいはず。 すごく面白い要素の一つなんだけど、久保田が花道が羨ましいとは思いつつ、娘の澄香にはこうなってほしくないと思っているのがグロかった。 あなたの娘さんは「ちゃみする」ですよ。

    4
    投稿日: 2025.10.11
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    怖くて怖くて面白かったー! アイタタタって思いながら割とイッキ読みしました どんなファンダムでも片脚でも突っ込んでる人が読んだらアイタタタってなる 現代オタク活動の楽しいところから闇深いところまでてんこ盛り オタクの5分類とか分かる分かるとなりました オーディション番組から出てきたアイドルグループのモデルはそちら界隈は詳しくないので良く分からなかったけど、俳優さんのことでちょっと違うところに取り込まれちゃったファンダムについてはSNSでの投稿を当時たまに見掛けていたのでうぅぅぅってなった(怖すぎてその俳優さんは割と好きだったのにミュートワードにしている) 朝井リョウは確か前にも宝塚をモデルにした話も書いてるし(読んだのに小説タイトル思い出せない)ハロプロっぽいアイドル界のお話(武道館)も書いているしエンタメ界と現代社会の問題(問題?!)を解消度高く描けるの凄いなぁ〜さすがだな〜と思っている

    3
    投稿日: 2025.10.11
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    仕事でも趣味でも推し活でも、物語を信じて何かに熱中することはとても楽。だからこそ我に返ったときの絶望も大きいのかも。

    12
    投稿日: 2025.10.11
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    リーダビリティの凄さよ…全く興味の無い内容なのに、ほぼ一気読みしちゃったよ。 それぞれの沼にハマった人たちの物語。

    7
    投稿日: 2025.10.11
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    MBTI、オーディション番組、私の興味のある話だらけでさくさく楽しく読めた。 INFP-AとTで性格が全然違うのでMBTI若干信用勢からすると小説書く人ってそこまで調べるんだなと驚き。 そして私は完全にバイト先の女友達派なのでオーディション番組が終わったら即次に行くタイプ。スミカと喧嘩確定(笑)

    2
    投稿日: 2025.10.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    無宗教国家と言われている日本だが、結局人は何かを無意識にでも信仰や依存をしないと我を保つことは不可能だとリマインドされた気分。しかし、宗教といっても、現代でいう宗教と数世紀前の宗教の社会でのあり方は割と変化しているように思えた。無宗教国家は多宗教国家になり得ますわね。

    2
    投稿日: 2025.10.10
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    オーディション・KPOPオタでXに張り付いてる者なので、オタクの描写が精密でびっくり。 本当にこういう人存在する!! よく見てた風景が物語になってるぅ。なんか不思議。 私も日々推しまくってる人生なんで、健康的に推すってなんだろう?と自問自答しながら読んだ。 どの主人公も自分に満足していなくて、 他人を愛することで自分が補完されてるようだった。 その相手が隣人なら、愛情をかけあえたかもしれない。 けれどその相手は推しで、しかも「オタクの脳内でつくった推しという人間像」なので、もはや偶像というより虚像を愛してるようなもの。 一体なにを愛しているのか?よーく考えると謎。 愛する行為への返事がないゆえ、ベクトルがおかしくかったり、歯止めがきかなかったりとバグが起きてる人いるし、私もそうなっている時がある。 (歪んでいきすぎた愛は青春してるみたいで、美しくも感じるけどね) 愛することを自分へ向けていきたい。 その場しのぎでなく、自分の人生を長期でみた時その愛する行為は正しいのか、立ち止まって考える癖をつけないと。 推してても、自分の人生は何も変わらないんだから。(楽しい思い出にはなるけどね!!)

    8
    投稿日: 2025.10.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    朝井リョウは「大衆小説」の作家だ その時代の大衆を捉え、言語化し、物語に落とし込む能力に長け過ぎていて、全ての物事が言葉で見えているのではないかと錯覚する ファンダムを分類分けするところなんて解像度が高過ぎるし、身に覚えがあって笑ってしまうほどだった ここ数年、大学生になったあたりから、結局何を言っても何をしても誰かを傷つけてしまうのだから、もう傷つけても傷つけられてもいい人とコミュニティを築き、帳を下ろして、その中で生きていくしかないじゃないかという考えが強まる一方だ これもある種メガチャーチなのかもしれない 誰も傷つけないように何も選ばないという姿勢は何も正解せず、間違えない、国見のようなルートを歩むことにつながる こんなことを考えているうちに、じゃあなんで自分は生きるんだなんて幼稚で根源的な悩みにまた舞い戻ることになる こうして物語を拡大解釈し、飲み込まれる こんなことばっかりだ

    1
    投稿日: 2025.10.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    痺れた。 朝井さん凄すぎる。 正欲、生殖記超えてきた。 推し活がテーマなんだけどそこから重奏的に格差社会であるとか世代間の分断であるとか家族の人間関係が展開していく。 さらに心理描写が秀逸で正に私が入り込んじゃって444ページを一気読みしてしまった。

    5
    投稿日: 2025.10.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    感想の下書きが全て消えて辛いです、でもだから逆に燃えます。みんなで幸せになりましょう ✿ ブルームマイセルフ ✿ 朝井リョウの小説を初めてまともに読んだ。すごい。すごすぎる、これが天才か。 こんな今すぎる解像度の小説を考えられるんや、世に発表していいものなんや。 新刊を読む文化が自分になかったけど、こんなに現代にマッチしたものは今読むのが絶対に楽しいし、早めに手に入れて読んでよかった。 推し活ってぇ〜と言いたくなるが、ある物事に熱中できること自体は貴重だ。それから離れることがあってもいつかそれが自分を救うこともある。 うまく言葉にはできないが、熱狂ファンダムは、「誰かとともに」形成されるもので、「一人で好きなだけ」では絶対に起こりえない。一人のときでは想像しえないほどの昂る気持ちを生む。最近アニメにハマったときは同じ熱量の友達と話す機会があったため、すごく燃え上がっていたのだと思った。今ではなぜあんなに夢女になってたのかわからん。 世の中にうねりを生む構造、怖い!!!! ・構成 倫太郎が死亡してから、陰謀論にハマっていく様子が一番ぞくぞくした ・味噌汁 ・唇 これを心情とクロスさせているのよかった。 隅川は溶け切らないかと思ったけど、 急いで溶け切って、わかりながらも自身を使い切った。そこまで行きたかったのかもな。わかってても大海原を見ないためにアクセルを踏み続けるしかなかったのかも。 ・香り この表現も好きだったな。 ・ユリちゃん この人みたいに生きるのが一番楽しいのかもしれないけど、なにも考えてないんだろうなとも思った。いわゆるミーハーだ。 ・大学生の解像度、言わずもがな最高 メガチャーチマーケティングのゼミ、私も入って学びたい ・限られた視野の中で選ばされているだけ ・本質じゃないかもしれないことの中で、生まれた気持ちは本当 これに気づけた久保田はすごい。 この物語で一番言いたかったことではないか? 希望のない世の中で、この本当の気持ちに気づけるか否か、現代をサバイブする上で相当重要なキーかも。 ・男性のコミュニケーション、コミュニティ 久保田が一歩踏み出したことはすごくよかった。 だけど、間違えてしまった。 サンプルがなかったし、距離がわからなかったのかな。 男性同士のコミュニケーションでも助け合う、シェア文化がない、孤独は大きな社会問題なんだろうな。 ---その他--- ・ダ・ヴィンチの若林との対談よかった。奇奇怪怪の感想回も聴いて、この小説の半分は男性の孤独さ、コミュニケーションの取り方のほうがメインテーマなのかも?と思った。推し活の操作側を描いた作品も少ないが、男性の方も描いているものは非常に少ないし、令和に起こり得ているテーマであると感じた。 ---抜粋--- 「(略)決して少なくない人が、自ら何らかの中毒に陥りたがっているということです」 それは多分、(略)「我を忘れて何かに夢中になっているほうが、楽だからです」 「ずっと我に返ったまま生きるにはこの世界は殺伐としすぎていますし、人間の寿命は長すぎますから」 「物語の没入というのは、手っ取り早く我を忘れるために有効な手段の一つなんですよね」 「差し出された物語に自ら乗り込み、没入していける気質の人。物語と自分との境界線が曖昧になるほど共感能力が高く、何でも自分ごととして捉えがちな人。没頭度が高く、自ら視野を狭めていける人。ひいては自ら拡散や布教に励んでくれる人」 ー 自他境界を曖昧にして、没頭と視野狭窄を煽る ー 色とりどりのデザインを組んでまで、広告枠を安くない料金で買ってまで乗客にそう呼びかけているのは、それが自然発生的に湧き上がる欲求ではないからだ。 本質的でないものこそ、熱量の高い布教が必要になる。 相手の視野を狭める必要があるから。 相手の脳を溶かし、判断能力を鈍らせる必要があるから。 ー 一の情報から十の感情を受け取り、自分の人生に引き寄せて百の物語を生み出す。そして、その物語に自分以外の人間を巻き込むべく、千の布教に励む。 ー この作業は永遠に繰り返すことができる。何が本当の対象になるのかとか、何が今最も本質的な行為なのかという問いは、”視野を拡げて考えてみると”という呪文さえ唱えさえすれば、その答えを永遠に反転させられる。 つまり、どの角度から見ても間違いなく本質的に正しい答えなんて、どこにもない。 どこかで、”この視野で、ある程度の確率で、間違う”と覚悟を決めるしかないのだ。 (略) 本質的であろうとすればするほど、何の行動にも出なけれなどこからも裁かれないという考えに呑み込まれる。そんなことに何の意味があるんだとか、それが最適解じゃないのにとか、そんな冷笑だけが両手に溢れ、人生の砂時計をただ眺めているだけになる。 ー P390-391 「(略)万人に通ずる物差しがなくなったということは、その大量が何であれ、自分を使い切っている人には外部からのジャッジが一切通用しないということでもあります」 「(略) 資金や時間や思考力、つまり自分が余ってしまっていると、余白がある分、視野は拡がり迷いも膨らみます。その余白を使って自分が客観視できてしまうから、我に返ることができてしまうんです」 「でも我に返ったところで、そこには何の指針もない。結局、幸せの形は人それぞれっていう例の呪文が鳴り響く、道標のない大海原にまた放り出されるだけ」 「だからこそ、自分はこれを”幸せ”として生きるって決めたら、そこで腎を過剰に消費尽くそうとする人が多いんだと思います。資金や時間や思考力も注ぎ込んで、沸いたり揉めたり喜んだり怒ったりしながら感情も使い果たして、没頭度を高めるどころか狂いの強度を周囲に喧伝までして。そうしているうちは、何かに対して自分を余す所なく使い切っているという本人以外が覆しようのない幸福感を得られるわけですから」 ー 正しいかどうかは差し置いて、誰かや何かのために思い切った行動に出たいとき、周りにどう思われるかという客観的視点を削ぎ落とすことはできますか。 視野を拡げるというのは物事を多角的に捉えるということで、(略)想定外の本物の感情に突き動かされたとき、思い切った行動に出た自分を他ならぬ自分自身が認められなくなりませんか。 ー 本物の気持ちが身体の真ん中にあるから。 ー 私服姿でお茶するような、理由も意味も何もない雑談ができるような、弱さや脆さを開示する恥ずかしさを飛び越えて助けを求められる人はいますか。 ー 「でも、どの物語にも呑み込まれない人生って、間違いはしないけど別に楽しくもないんですよね」 (略) 「これまでは、間違いされしなければ、なんとなく正解の部屋に入れました。でも今は正解の部屋自体がないから、たとえ一つも間違わないでいたとしても、ただ”間違わなかった人”になるだけなんですよね。そこには何の加点もない。だからもう何をするにも、自分はこうやって間違うって腹決めて脳みそ溶かして動くしかないんですよね。寧ろそうしない限り、結局何も」 ー 宿舎の住所を突き止めたとき。道哉の好きなものを想像しながら買い物をしていたとき。いる心を抑えてインターフォンを鳴らしていたとき。 楽しかったし、嬉しかった。 (略) 嬉しかったし、誇らしかった。 本物の気持ちで選んだ間違いの上で、脳みそ溶かして動く自分のことが。 そういう気持ちで澄香と向き合うべきだった。 それがどれだけ間違いだと言われる時代でも、そっちは正解の部屋じゃないと背を向けられても、最初から目の前の大切な人に対して自分を使い切るべきだった。

    4
    投稿日: 2025.10.09
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    250928~ 57 トレンドに入れる戦略 67 いずみさんの〜家で作ったお茶だ。 94 自分以外の誰かと〜貴重なのかも知れない。 もしかしたら〜 259 ファンの気質5種 292 雑談って多分、ケアなんですよ。 329 チャーチマーケティング ゼミ同期のメガチャーチに関する会話と オープンチャットの対比 370 つまり、どの角度から見ても間違いなく正しい答えなんて、どこにもない。 374 異様だと思われ得る瞬間を飛び越えることでしか辿り着けない場所がある〜

    0
    投稿日: 2025.10.09
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    推し活経済を3人の視点からスポットライトを当てて浮かび上がらせるように描いた小説。オタクになる瞬間の熱量やスピード感もすごくわかるし、推しを介さず人と関わる方法がわからない、そういう自分に気づきながらも目を逸らしてしまう気持ちもすごくわかる。 MBTIや骨格診断、オーディション番組など、馴染み深いトピックが散りばめられており、ついついページをめくってしまう。現代をまるっと圧縮して保存するジップファイルみたいな小説。(これぞ朝井リョウ) 信徒オタク同士で褒め合い馴れ合っているツイートのリアリティが高すぎて見ていられなくなるかと思った。笑

    9
    投稿日: 2025.10.09
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    これまたすごい作品書いたな…というか現代の人の今を描くのが本当に上手。MBTIとか推しとか含めて。かく言う私は推しがいたこともなく、MBTIやりはしたものの参考にした程度で取り憑かれるようなことはないし、何かに熱狂的になったこともないから完全に傍観者としてこの作品を読むことになったんだけども。これも映像化されるんだろうな。

    18
    投稿日: 2025.10.09
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    昨今の”推し活”に励む人たちの気質や思考回路だけじゃなく”推し活”を仕掛ける側のことまで当事者ですか?って思うほど細かく描かれていた。メインの登場人物は主に3人で、それそれ昭和平成令和を象徴するような人たちなのかな?と感じた。私的に、平成の人だけいまいち理解しきれなかったというか、共感できなかった。チャーチマーケティングにすごく興味をひかれた。私自身も色々不安定で自他の境界になっていた時期があり、その時に出会ったアイドルが掲げるストーリーに深く共感し、自分と影を抱える彼らが救われる世界であって欲しいみたいな大きなものを託していた。どんどん深くのめり込み、まんまとそのマーケティングにハマっていたから。元々共感性が高い人間でもなく、ただただ不安定だっただけで今は完全に目が覚めた状態なので、当時の状況を冷静に分析されているようで面白かった。(その時好きだった気持ちも嘘じゃないし後悔してるわけではない)「物語」「視野の狭さ・広さ」がこの本の核となるワード。

    10
    投稿日: 2025.10.08
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    今回の朝井リョウさんはとても楽しめました。 現代社会、『推し』についてよく書けていると思いました。 どこまでが真実で、どこからが朝井さんの創作なのか気になるとこです。 現代の裏のことが書かれていたので、出版社も日経でしたね。

    26
    投稿日: 2025.10.07
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    【視野が広い自分が好きだった。】 高校生時代。 大学進学と共にこの田舎から東京へ出たいと思っていた。 だってこんな場所では「視野が狭くなる」から。 もっと広い世界に出て、「視野を広くしたい」と思っていた。 最近、その「広い視野」に嫌気が差してきた。 どんな生活も、どんな情報も、どんな未来も、視点の数だけ良くも悪くもなっていく。 じゃあ何を信じて生きればいいのだろう。 山奥に篭って作品を作っている陶芸家。 "一般的"な感覚からしたら、なんでそんなものにそんな労力をかけて?と思うことを全力で楽しんでいる、マツコの知らない世界に出演する専門家たち。 そんな「狭い視野」の中で、自分の好きなものを追求し、熟考し、試行錯誤している人たちが羨ましくなっていった。 そのまま田舎に残って、家族と暮らしている同級生たちは皆、幸せそうだった。 生き生きしていた。 * 仕事でもそうだった。 一面からしか見ずに、自分のしていることは素晴らしいと思っている「視野の狭い人」を見ているとき。 それは果たして本当に必要なことなのか、価値があるのかどうか、「視野を広く持って」考えるべきだと思っていた。 そんな「広い視野」を持てている自分に酔っていた。 何もせずに。視野だけ広く持ち、その広い視野の先に浮かぶ数多の判断基準に殺されながら。 「視野が狭い」と思っていたその人は確実に何かを成し遂げていた。先に進んでいた。動いていた。 生き生きしていた。

    14
    投稿日: 2025.10.07
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    推しを神格的に崇拝し没頭する傾向にある人は 「一の情報から十の感情を受け取り、“自分の人生に引き寄せて“百の物語を生み出す」 「存在しないものを独自に見出し祀りあげる」 「共感能力が高く、自他境界も曖昧」 視野を狭めたところから見える範囲の情報だけで、都合のいいように解釈して、それのためと信じて行動する。 久保田の信じて疑わなかった、ただ“苦しんでる友達を助けてあげたかった“というその気持ちは、「“友達“が孤独に助けを待ってる」と、ただ自分が都合よく解釈していただけの物語で、道哉の畏怖の表情で気づかされた久保田に自然と感情移入して読んでしまい、読んでて痛々しくなった。 それこそ、この物語の中でも語られていたが、“共感能力が高い分没入し、視野が狭ったところから自分の中で勝手に解釈する“のと自分も同じだったなと我に帰った。

    8
    投稿日: 2025.10.07
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    ●読前#イン・ザ・メガチャーチ 『桐島、部活やめるってよ』になぜかあざとっぽさを感じ、読まず敬遠していた朝井リョウさん。いざ『正欲』、『生殖記』を読んだら、時間を忘れて読みふけるほど楽しめた。待ち焦がれていた新作、これまたすごく楽しめそうなので早く読みたい https://amzn.to/45K8LGE ●読後#イン・ザ・メガチャーチ なんかビックリ! 2025年参院選を見た上で読んだからなのかすごく楽しめた。まさに今読むからこそ楽しめ度が高い一冊。世の中がどうなっていくかわかった上で書いているの?、と思わされるほど現在の状況と重なる感じ。今読んだ自分を褒めたい https://amzn.to/45K8LGE ●心に響いたフレーズ&目次 #イン・ザ・メガチャーチ https://mnkt.jp/blogm/b250903a/

    7
    投稿日: 2025.10.07
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    本作は、いわゆる「推し」にクローズアップした作品。 「推す」行為に対して、広く一般化する昨今、その風潮に対して、カウンターを打ち込むような作品となっている。 それにしても、相変わらず、朝井リョウの老若男女、人に対する解像度の高さよ。3人の登場人物それぞれが、それぞれの思い、強い意思を持って行動するから、読んでいて果たして何が正しいことなのか、よく分からなくなっていく・・・。 神の視点で世を見渡すことのできる作家「朝井リョウ」。果たして、視野は広いほうがいいのか? 狭いほうが幸せなのか?  「中毒症状があるほうが苦しくないのだ、人生は」(帯より) この作品に対して、読み手がどう受け取るのか委ねられているのが面白い。 ★4.1

    114
    投稿日: 2025.10.07
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    プライベートでは離婚、仕事では経理という裏方に回された47歳レコード会社勤務の男。INFPである自分が好きになれず、生きづらさを抱えている大学生女子(レコード会社の、別居している娘)。舞台俳優を愛し、オタ仲間との時間を大事にしている35歳派遣社員女。この三人を通して、現代の推し活状況、そしてその行く末を描いている。 中年の居場所のなさを感じているレコード会社は、オーディションで生まれた新しいアイドルグループの参謀の一人となり、友達の中で疎外感を覚えている大学生は、留学のためと嘘をついて親からお金を引き出し、そのグループに課金している。手取り18万円で働く派遣社員は、推しの自殺について、自殺ではなく黒幕から消されたのではないかとの疑念を抱き、仲間とともにスピリチュアルに足を踏み入れ、果ては、すべての経済活動は、日本を弱体化させるために仕組まれたものという、陰謀論へと傾倒していく。 「ずっと我に返ったまま生きるにはこの世界は殺伐としすぎていますし、人間の寿命は長すぎます」 「結局誰だって、信じる物語を決めて生きているだけだ。それが世界平和だったり自己啓発だったり陰謀論だったりするだけで、皆各々のドラッグで自分の脳を溶かしながら死ぬまで生きるだけだ」 「全ての角度からの審判を俯瞰できるまで視野を拡げることは、誰とも何とも連帯できないほどこの世界から遠く離れることと同義だ」 「資金や時間や思考力も注ぎ込んで、沸いたり揉めたり喜んだり怒ったりしながら感情も使い果たして、没頭度を高めるどころか狂いの強度を周囲に喧伝までして。そうしているうちは、何かに対して自分を余すところなく使い切っているという本人以外が覆しようのない幸福感を得られる」 全部納得したわけじゃないけど、救いのない現実を、ごまかしごまかし生きる人間の姿が見えた。孤独をこじらせると、人は距離感を見誤る。中年の孤独、これまでの人生における後悔が、心当たりありすぎて怖かった。

    1
    投稿日: 2025.10.07
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    推し活 推しがある人の方が 人生楽しんでて豊かだと思ってた 子育て、夫婦関係がうまくいっていない ときに導かれるように 推し に出会った ライブチケットをとるのに1日中スマホ 推し活友達と毎日LINEで情報共有して その時 楽しくて 人生なんとかなってきた と思ってた 子どもと旦那さんとの距離がひらく 冷めるはずがないと思っていた 推し活熱が冷めてくると同時に やっていなかったことの代償がせまってくる お母さんであり、妻であり、何のとりえもない自分自身と向き合わざるを得ない いま、推し活がなくなってちょっと 張り合いがないなと思いながら この本面白そうだと思って読んだ この本があの時のわたしが なぜあの時 推しに惹かれたのか 理由を教えてくれた 納得するしかない 認めるしかない なかなか苦しい読みごたえでした

    10
    投稿日: 2025.10.07
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    めっちゃいい さすがの朝井リョウという感じ 第一線を退けたリーマンが感じる劣等感や、 ペラペラと会話を続ける女への嫌悪感、けどもいざそういう環境に置かれるとその凄さがわかる劣等感 そのあたりに自分を重ねれた 推し活は自分にはあまり取り入れてない文化だけども一種の宗教だし、自分では無自覚だとしても例えばカルチャー色が強い人間と仲良くしていたいから映画や音楽を学ぶとか、その界隈の人間の温度感を読むとか、しがちだと思う 結局大多数の人間は旗を立てられてないと次に勧めない

    2
    投稿日: 2025.10.07
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    一気に読んだ。盲目的に没頭できることは幸せなのか、そうじゃないのか。それでもやっぱり拠り所を探すことを止めないんだと思う。

    11
    投稿日: 2025.10.06
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    今の日本、特に“推し活”文化に対して自分が抱いていたささやかな違和感を、 言葉という形で可視化してくれた作品。 物語は主に3人の視点から語られる。 それぞれが口にするスープが、日常の差異を象徴していて、思わず自分の毎日も振り返った。 私は「推し活はしたい人がすればいい、借金しない範囲で」と俯瞰してきたタイプ。 毎年生で観たいお笑い舞台は複数あるけど、どの舞台も一度観れたら満足。だから1人の芸人やアーティストに深入りすることがない。 だからこそ最新情報を追い、仲間と語り合う人たちをうらやましく思ったこともある。 自分の“好き”は狭く浅く冷めてるのかな、と不安になる時もあった。 もし作中の人物に自分を重ねるなら、40代後半で孤独にさいなまれていた久保田だろうか。 とはいえ『正欲』『生殖記』ほどの中毒性はなく、今回はライトに楽しめた。 逆に「これをライトと感じる私」が、平和ボケした日本人弱体化計画に知らず知らず蝕まれているのかもしれないけれど… 発売すぐの小説を書店購入したのはいつぶりだろう? それだけ今年は、朝井リョウにどっぷりハマっている。

    14
    投稿日: 2025.10.06
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    この複雑な現代社会をこれだけ分かりやすく綺麗に言語化出来る朝井リョウさんってやっぱり凄い。 視野を広げること、狭くすることのどっちが良いとか幸せとかいうものではないのかも。 推し活した事ないし、その辺疎いので最初の方は分からない言葉が多すぎてどうしようかと思ったけど(笑)終わり方も良かった!!

    24
    投稿日: 2025.10.06
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    えぐい作品。 推し活による消費活動、ファンダム経済をアイドル、運営側、ファン側の視点で描いた小説。とにかく朝井リョウの描写と洞察が凄い。 二十歳の女の子達の教室での機微、アイドルの追いかけから陰謀論に傾倒していく中年女性の失意、離婚した中年男性の孤独感など、なんでそんなに人の窮屈な心境を鮮やかに描けちゃうのと思う。天才。

    13
    投稿日: 2025.10.06
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    オタク側の自分、あまりにも分かりみが深すぎて読みやすすぎた。出てくる用語丸わかりすぎる。 もう今はオタク程の熱量はなくファンに成り下がってしまった(視野が広がってしまった)けど、確かにあの頃は毎分毎秒何もかもが楽しかったな。 まさに令和初期の時代を詰め込んだ現代小説って感じで、その真っ只中にいる今読んでよかったなと思いました。あと、購入者特典コンテンツ面白すぎました。(こんなんありなんだ) 朝井リョウさんの作品は何冊か読んだことがあったのですが完全にファンになってしまったので今話題のエッセイから手をつけたいと思います。

    4
    投稿日: 2025.10.06
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    装丁、題名からは想像出来てなかったー。推し活、それだけのめり込めるものがあっていいなーと思ってたけど、闇だらけ?!冷静さを失わない?!視野を拡げようー。

    3
    投稿日: 2025.10.06
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    宿り木や旗など、本作中で表現は違えど人は皆、自分が没頭できるものや道標となるものを必要としている。 本作中ではそれが子育てや仕事、自分の好きなアイドル等ジャンルは違えどそれぞれの対象にのめり込んだ人とのめり込みきらない人との対比が描かれる。 どちらもその度合によって、良し悪しがあるとは思うが、ある種宗教的な熱狂やのめり込みも人生を豊かにするための1つの方法になる。 そうでなければ、この世界は非常に退屈なものに感じてしまうと同時に、視野が広すぎるとこの世界には悲しむべきニュースも多くあるが自分には無力だと感じ、かえって集中力散漫に。 本作の主人公の一人である久保田が離婚し、子どもとの関係も希薄になり、仕事も退屈と感じていたが、ある新たなプロジェクトにとりかかるといった時の水を得た魚のような感覚は自分にも思い当たるところがある。 楽な仕事で退屈と感じるより、多少忙しくとも自分の意思である程度進めれる仕事の方が熱量を持って取り組めるし、むしろ疲れない。 大事なのは、それが果たして自分で選び取ったものなのか、周りに流されたものなのかということ。 久保田のようにあえて新たな物語を信じて、そこに突っ走ってみる(一例としてメイクによって見た目を変えることで、娘との対話の雰囲気を変える)ことで、新たな世界が広がる可能性も。 最終的に本作を読んで思い至ったこととしては、仕事やボランティアなどそれがどれだけ社会通念上良いとされていても、自分のしている対して客観視できる余地もないほどのめり込み、自分のリソースを使い込まないと、どのような生き方でも、他のあり得たかもしれない生き方のほうが良かったのではという迷いが生じる。だから、そのような思考の余地を与えないほどのめり込むことを見つけることで初めて幸せと感じられるのではないか。

    22
    投稿日: 2025.10.06
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    あ〜自分は 久保田さんに近いんだ…と思った。今って こういう時代なんだ。薄ぼんやりした世界が ひらけた感覚。その世界が狭くても広くても 幸せがそこにあるんなら いいんだよ!信じるものはそれぞれで誰にも迷惑はかけていない。いいんだ。いいんだ。読後、映画 「教皇選挙」の「信仰を疑え」というセリフ 思い出した。なんだかんだいっても 朝井リョウさんはおもしろい!

    18
    投稿日: 2025.10.06
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    あっという間に読み終わった。視野を狭め、自分の幸せを見つけるちゃみする。良くない行動をとっているかもしれないが、以前より幸せならそれでいいんじゃないかと思う。

    9
    投稿日: 2025.10.06
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    朝井リョウさんの作品はほぼ読んできましたが、その中でもこれはトップクラスに面白かったです。村田沙耶香さんが「文化保存小説」と表現されていましたが、まさに自分が10年後、20年後、この本を手に取るときに何を思うのか、今から楽しみです。私も澄香と似たような境遇かつ思考パターンだったので、自分のことを言語化されているようで、読んでいて鬱々とした気持ちになりました。 デモ活動、留学、推し活、何かしらにエネルギーを注いでいる人を、SNSから気軽に摂取できる時代だからこそ、どんな生き方を選んでいても、「自分はこれでいいのかな。なにかしてこなかったことはあるかな」と不安になってしまう現代。 視野を広げよう、教養を磨こう、アウトプットできるような世界情勢の知識を身に着けよう。昨今の教養ブーム然り、ガザ地区の問題然り、視野を広げる重要性はわかるのだが、広げすぎたあとは結局狭める作業が必要で。視野を狭めたほうがジャッジの目線も減るし、やるべきことも決まって心が安定するから。 ここの理論をうまく表現できていたと思うのが、ユリちゃんとバイト先の社員さんの対比。世界のことを何も知らなくても、狭い環境でしっかりと役に立っている人の方が、物を知っていても何もできない自分より優れているんじゃないか、という思考。。朝井リョウさん、こういうところを書くから好きなんです!! 人生に余白があると自分を客観視できてしまうから、自分はこれを幸せとして生きるって決める人が多い現代を綺麗に言語化できていて、めちゃくちゃ面白かった。朝井さんも本ツイ!で一気に読める小説が結局最強とおっしゃっていたけど、まさにこの本はそうでした。次の作品も楽しみにしています。。

    13
    投稿日: 2025.10.06
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    最高に面白かった。 要約動画で観なくて本当によかった。 言葉の言い回しなど、メモしたいフレーズが多く、あっという間に読み終えた。 「視野を狭めるのって、やっぱり楽しかったですか。」 「どんな物語でも、呑み込まれて暴走するのって、やっぱり楽しいものなんですか。」 視野を狭めた経験がある身からすると、その時間はやっぱり楽しい。ずっと続けばいいと思うし、人とのつながりも感じられる。

    9
    投稿日: 2025.10.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    【推し活】をテーマに、 少し皮肉を入れながらも、現代を生きる人々の孤独を表した物語だった。 私の友人にも推し活に力を入れている人がいる。 アイドルが推しであり、いつも楽しそうに私に話してくる。 私は、推しと呼べる存在がいない。 熱狂的に1人に対して愛を向けている友人を見ると 自分はあまり他人に興味がないのかなという どこか、冷たい人間のような気持ちさえ湧いてくる。 毎日が忙しいと語る彼女。 ツーショットの権利を得る為に何枚もCDを買い、海外にへも遠征へ行く。 何がそんなにと心の中で思っていたが そんな推し活の実情をこの本から学ぶことができた。 彼女も推し活を通じて、新しくできた知り合いがたくさんいるという。 よく、共通点があると仲良くなれるというが 分かりやすく共通が分かる推し活は、人を繋げるツールとしてかなり有能だ。 推すことで、苦悩を忘れられる 幸せな気持ちになれる いまだ、その感覚が分からない。 推し活より自分の身近な人を大切にした方がいい。 最後はそんな思いを本書から感じた。 推し活は、相手のことを思いやるだけでいい。 傷つかないコミュニケーションだ。 相手はいつも自分の愛を受け入れてくれるから。 それが迷惑じゃないかとか、嫌がられていないかとかそんな心配はいらない。 だからどんどん物語に没入し、自分の都合の良い世界を作り出していくのかもしれないと思った。

    8
    投稿日: 2025.10.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2025/08/05 4 「神がいないこの国で人を操るには、“物語”を使うのが一番いいんですよ」布教と献金、ストーリー=メガチャーチ。それと同じ構造が推し活。 3人の主人公、音楽会社で新人アイドルのプロモーションをする窓際サラリーマン。親の理想からかけ離れ推し活にはまる女子大生。派遣社員でカツカツの生活から陰謀論に傾倒するオタク。 今どき用語がわからなすぎてメモして子どもに聞きながら読んだ。わからないけど面白くて一気読み。 ひとりでは寂しい、頼られたい、仲間がほしい、というシンプルな欲望なんだね。 どの作品も朝井リョウらしいと思うけど今作も素晴らしく時代を切り取ってるなあ。言語化するのがとても上手い。実際に推し活をしている人が読んだらどうなんだろう。

    5
    投稿日: 2025.10.05