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総合評価

391件)
3.9
122
113
100
20
5
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    私の想像力が不足しているのか、最後まで理解度が低く没入できませんでした。 結局、男女・人種・貧富といったあらゆるギャップを際立たせ、それらを無くす一つの解決法としての近未来を描きたかったのだろうか?

    1
    投稿日: 2025.07.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    上下通しての感想としては、物語とはいえすごい世界だなと。 少し趣が違うかもしれないが、自分には村上春樹の世界観に近いように思われた。 随所に散りばめられたフレーズにハッとしたりどういう事?と何度も読み直したり咀嚼するのに時間がかかったり。 ページ数も相まってスラスラとは読めない気迫を感じましたが、先が気になってどんどん読めてしまった。 世界99とはまた面白い表現だなと。 自分にも一体世界がいくつまであるのか考えてみたが、数は少なく、それが良い事なのかどうかもわからないまま、そして自分にも果たして世界99は存在するのかと考え出したら止まらなくなり、深い闇にハマっていくような気分でした。 最後の儀式のシーンはもう本当にいかにもという感じで、そんな儀式に参加したことはないのにあるとしたらこんな感じだろうなというのが巧く表現されていてただただすごいなと。 そして結局最後には主人公がピョコルンにという結末は最初からわかっていたような気もするしなんでという気もするし。 ものすごく感動するとか、心を揺さぶられると言ったものではないが、うーーーんと頭を抱えながらも読んでしまうという不思議な魅力の小説でした。

    1
    投稿日: 2025.07.04
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    上巻から少し時間をあけて読了。 正直、上巻からの期待には及ばずといったところでした。私の読解力の問題なのか途中訳わからなくなる場面も多々あり。うーん。難しい。 人は差別がある中で自分自身を保て、自分を維持できる。

    7
    投稿日: 2025.07.02
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    読了。ふぅ。 いわんとしたいことはわかる、多分。 ただ、その表現方法がなかなかにグロく… ピョコルン!! AIが幅を効かせてきたこの世に、おこらないとも言えない、恐ろしい近未来? でも結局序列だったり、差別的だったりは普遍なのだな。 気持ち悪さを引き受けてでも、読んでよかった。

    43
    投稿日: 2025.07.02
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    この人の本を読むのは初めてです。上下巻ある大作は初めてだそうですが、凄く恐ろしい小説です。シーンの映像を思い浮かべると吐き気すら催します。ラストシーンなどは映像化無理です。上巻は展開早く女性版村上龍という感じで一気読み、何だコレ? 下巻はかなり頭の中に入っていくのでペースダウン、これ近未来ホラー小説? 唖然とします…

    1
    投稿日: 2025.07.02
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    ファンタジーがゆえに抽象的なので、YABUNONAKAを読んでいて、「世界99のあの話はこうゆうことが言いたかったのかも」と、あとから答え合わせ?が出来ることがあった。 世界99の抽象的な話を現実に結びつけることが出来なくて、考えが飛躍していると感じたし、そうはならないだろうというセルフツッコミがうるさくてなかなか読み進めるのが大変だった。 世界99の後にコンビニ人間も読んだが、著者とは世界の見え方が根本的に違うように思った。

    1
    投稿日: 2025.07.02
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    読みながら、「そいえば政治家が女性は子供を産む機械って発言したことあったよなー」ってふと思い出して、読了後に村田さんのインタビュー見たらそのことが書いてあって「あ!!やっぱり!」ってちょっと嬉しくなった。笑 最初は登場人物誰とも共感できないと思っていたけど、下巻を読み進めるうちに全ての登場人物に自分と重なる部分があった。 みんな誰かのピョコルンなんだよね。 すごく白藤さんが嫌いそうな小説笑

    1
    投稿日: 2025.07.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    上巻は主人公への共感や現実世界との類似性を見出しながら読み進められたが、下巻はそれを超えて、どこか違う世界の、ただただ辛い生活を見せられているという感じで、読み疲れてしまった。 世代間ギャップの描写は、もう少し年を取ればわかるようになるのだろうか。 「人によって見ている世界が、記憶が異なる」ことで生じる様々な諸問題を、記憶を共通化することで解決したラストには、多様性で混乱する現実へのアンチテーゼも感じた。世界は1つであるべきなのだろうか、自分の見ている世界を大事にするのが良いのだろうか... 記憶のすれ違いという観点で「悪童日記」に始まる3部作に似た部分もあった。主人公の視点は、果たしてどこまで世界を”客観的に”表していたのだろうか?

    1
    投稿日: 2025.07.01
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    空子という女性の幼少期から始まります。空子は名前の通り空虚な人ですが、主人公以外でも女性があらるゆ搾取をされている様子がとても丁寧に描かれます。上巻では辛くて息苦しくて、時に嫌悪感すら感じましたが、後半になるとその辛さが様相を変え、下巻のための上巻であったかと知りました。誰かに呼応するように生きているというのは人間という複雑で社交性を持った生き物の宿命です。デストピアという事ですが、これはもしかしてユートピアなのではと最後に思ってしまったのは私だけでしょうか。

    2
    投稿日: 2025.07.01
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    上下巻850ページにおよぶ大作。 どっぷりとこの世界に浸かって、なんとも言えない疲労感。 自分のキャラクターをそれぞれの世界に合わせて変えていく空子。名前の通り、自分の性格なんてない。こういう人はいそうな気もするけど、やっぱりいないよな…と。その世界に愛くるしいピョコルンという動物が加わっているのだけど、その扱いにただただ恐怖を覚える。 設定がかなり奇抜なのに、現実にもこんなことがあるんじゃないかと思わせるような引っかかりが所々にあって、それがより恐怖心に繋がるのかなと思う。 ずっと不穏で楽しくないのに、引き込まれてぐんぐん読んでしまった。

    50
    投稿日: 2025.07.01
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    上巻までの展開が面白かったため、下巻にも期待したがそこまでの大きな展開はなかったように感じました。 最終的にもハッピーエンドとはならず。 全体としては、こんな展開で人類が進んでいく可能性もありえそうだなと ところどころ感じさせるストーリーでした。

    2
    投稿日: 2025.06.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    すごいものを読んでしまったという感覚。 気持ち悪いけれど、続きが気になって読まずにはいられない。一周回って、爽快感すらある。 少し高価なめずらしいペットだったピョコルンの正体がまさかのもので、一気に世界がひっくり返った。 生きるって、大変だよなー。 クリーンな人になっても生きづらいのかぁ。 脅威や貧困に常にさらされているわけではなくても、日々消耗して、生活に追われて、差別があって。男性も女性も独身者も既婚者もみんなもれなくつらい。 でも、ピョコルンにはなりたくない。

    1
    投稿日: 2025.06.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ★4.5 超ディストピア。久しぶりの感覚。 上巻は、属する集団に合わせてキャラを作り替えるのって、現代でもあるよなぁ、と。それを小説のなかで奇妙に表現されてて、でもこれって今もそうじゃないか?とフルボッコにされた感覚だった。 ピョコルンの正体はなんとなく予想ついてたので、だよね。という感じ。 下巻からは完全にディストピアまっしぐらという感じ。 人が人でなくて、全体的にただの道具として描かれているところが最高に気持ち悪くて、読む手が止まらなかった。久しぶりにダメージを負いながら読みきった本でした。 世界を吸収してそのデータから一時的なキャラができているだけなの。 でもみんな 本当はそうでしょう?私はそれを他の人より自覚しているというだけなのよ

    1
    投稿日: 2025.06.29
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    ピョコルンという新たな動物により、世界は変わっていく。 主人公も最終的にはそうなるか!! という感じです。 不思議な世界。ネットリした世界。

    11
    投稿日: 2025.06.29
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    上下巻読んだ感想です。 フィクションなのにリアリティがあった。 自分の価値観を問われている気がした。家族・賞味期限・差別・社会・幸福感・など。 世界99は世界が広くて私には感想をどうまとめたら良いか分からない。 でも、一つ心に刺さったフレーズをあげると、「私たちは、みんな、それぞれ、家畜、だったし、誰かを、家畜にしていた、・・・」

    12
    投稿日: 2025.06.29
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    終わったーーーーー めちゃ時間かかって、やっと読了!! これは、誰かと色々話したくなるなぁ。 色々いっぱい感想はあるけど、とにかく、読んでよかった!!と思った。 生徒からリクエストあったけど、どうしようかなぁ。村田沙耶香さん好きな子やから個人的には読んでもらいたいけど、感想きいてみたいケド、中学図書館に置くのはためらうなぁ。

    11
    投稿日: 2025.06.28
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    こんな箆棒な世界を覗き見できるのは小説ならでは。世界に媚び、人間を差別化、女性が担うとされる雑務を丸投げしても、畢竟ピョコルンを介して原点に戻る。残響する虚しさを感じつつ本を閉じた。

    5
    投稿日: 2025.06.28
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    「呼応」と「トレース」を繰り返し周りに合わせた自分やその世界を創る、接する人に合わせて内側に潜む自分が生成したキャラ。ペルソナ。そしてそれらを使い分け生きている。 地球、日本、地域、家庭、会社、学校、学級、グループ、人には様々な世界があり、キャラがある。誰でも少なからずそういう部分はあると思う。 私も以前はそうだったのかもしれないし、意識しなくなった此処は世界99なのかもしれない。 様々な偏見や差別や格差、憎悪や虐待や性犯罪や搾取、どんなにクリーンな世界になっても切り離すことは出来ない感情や価値観。 世界が新しくなっても古い人間が滅びるわけではない。 常に誰かに影響をされて自分が形成されているのだろうか。 自分も人間ロボットなのだろうか。自分も人間ロボットなのだろうな。 きっとそんな心当たりがあるはずなんだ。 村田沙耶香さんの本はどんなに残酷な生々しさを感じても、ギョッとするような凄惨な場面が度々登場しても、そろそろヤバいな…とその血生臭さを察知しても、つい読み進めてしまう。 目には見えないのだけれど日常的に感じていた生きづらさや違和感に寄り添ってくれてるような、言葉に出来ない複雑なモヤモヤや様々なクエスチョンを代弁してくれてるような、そんな気がして読み進めてしまう。 共鳴。そんな言葉が1番しっくりくるのかもしれない。 極端に性やその役割みたいなものがいろんな作品で度々出てくる。 それはどれも似たように歪んでいる場合が多く、常に何かクエスチョンを投げかけられてるような気もするし此方が試されてるような気もする。 そしてピョコルンやララロリンが何を暗喩しているのか見えそうで見えない。 独特なワードセンスで創り出される世界観は現実世界とは遠くかけ離れているのにも関わらず、あまりにもスッと物語に自分が馴染んでいくのに合わせて、その世界が当たり前のように受け入れられる。 何も見えないのだけれど手に取るようにまるで見えているかの様にそのカタチが理解できるのは一体何でなんだろうか。 主人公の空子がようやく辿り着いた世界99。 多様性が広まった結果、一周まわって画一的な世界を目指していき、その先に世界100を見出したのではないだろうか。 償いの感情や遺言の日、自分が消失した後の世界やまわりの人を案ずる気持ち、死を目の前にしてようやく芽生える意志や自分や人間らしさ。 自害ではなく他殺でも人体実験でもなく、あくまで生まれ変わりの為の儀式だったのだろう。 何なんだこの余韻は。 This world is both a dystopia and a utopia.

    1
    投稿日: 2025.06.27
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    下巻では、空子は46歳で離婚をして実家で白藤さんと波ちゃんと共同生活をしている。 若い頃とは違い感情が抜けてしまったような空子は穏やかではあったが、世の中は想像もつかないことになっていた。 もはや驚きを通り越している。 あたりまえにピョコルンもいて、家事や妊娠・出産までも…。 やたらと『恵まれた人』『ラロロリンキャリア』『友情婚姻者』のワードが出てくるが、これが何も不自然じゃないのが怖い。  ゆるゆると生きている空子が決断したその先にも納得できないわけではないと感じたことにまた怖さを覚えた。

    80
    投稿日: 2025.06.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    相変わらず気持ち悪い話が得意なようで…(褒め言葉 主人公は友達やコミュニティに合わせて自分を「分裂」させてキャラを作る如月空子。 序盤は割と普通の世界に思えるが、ある時からピョコルンという生物に人間の制欲処理機能、出産機能、家事機能、育児機能が持たれていることがわかった(というより進化した)。 これまで女性が担っていた役割をピョコルンに担わせたディストピア物語でした。 最終的には主人公が中年になり、自分もピョコルンになる改造手術を受けて終わり。 この話に出てくる男性の一人残らずクズな感じとか、女性の頭悪そうな感じとかコミュニティの違いとか、ありそうだけどあまりリアルじゃないかなと思ってちょっと微妙だった。というかやりすぎなように思えた。まぁそれくらいが良いのだろうけど。あと空子の分裂や呼応についても大なり小なりみんなやってるんだろうな…空っぽのアンドロイドってのは自分も常々思ってるところ。 他にも生まれた時にランダムで付与される特徴で差別が始まるけど晩年にはその特徴が良いことである印みたいになってたのは面白かったように思える

    2
    投稿日: 2025.06.24
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    上下巻を読んで倫理観、今までの価値観が総崩れで文を追った。何故空子がこんなに虚しく生きるのか、下巻の後半の心情で漸くわかる。【未来がないと世界が明るい】だから空子は人間を辞めたと納得した。でも全体を通してみれば、途中頭の中をぐちゃぐちゃに掻き乱され苦しい小説でもあった。全員にはおすすめ出来ない。笑笑。

    16
    投稿日: 2025.06.23
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    読み進めれば読み進めるほど、何を読んでいるかわからないような世界観に時折理解力を失いそうになった。日本語なのに内容が入ってこないような、、。 村田さんの女性は生涯、家事や育児、出産で使用される側であるとか、可哀想や感動は娯楽という論点は伝わったけど どうもこの主人公が置かれた環境と、結末と、 ここまでの世界観は必要だったのか、、?と思ってしまった。

    0
    投稿日: 2025.06.22
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    ありふれた言葉で纏めるならばディストピア系だし、現代のSNS社会で過激化している話を題材にしているようだけども、なかなか生理的にキツイ小説だった…。正直なところ吐き気を堪えながら読み切った感じなので、読後感はかなり悪い。笑 模範的とされる日本の女性に課せられているものは相当重いなとは実感しているけれど、今はそれが嫌なら選ばない自由もある社会だなとは思っていて。 男性社会で生きる男性の方が媚びる以外に道がなくて必死になるよなーというのは新しい感覚だったかも。 綺麗にまとめようとすると嘘っぽくなるけど、そもそも題材がSNSのフェイクというか、、分断化された社会すぎない???笑 人間も社会も変容していくし、ある程度の適応は必要だと思うけれど、わたしはもう少しだけ、人間を性善説で見ていたいなと思った。

    4
    投稿日: 2025.06.22
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    人は誰でも様々な顔を持って生きている。例えば会社で働く自分と、親しい友人と遊ぶ自分と、家でダラダラしてる自分は全く違う「性格」を演じている。私も中学生ぐらいからなんとなく自然とこれをやっていて、でもこれって何なのかよくわかってなかったけど、本作を読んでそういう事かと腑に落ちた。 村田ワールド全開で面白かったし、はちゃめちゃな設定だけど、実は現代日本の抱える病に対する皮肉だったり警鐘なのではないかと感じた。 ただ、おそらくある程度人生経験を積んでから読まないとちょっとわからなすぎるかも。個人的にはR30指定くらいでもいいと思います。

    3
    投稿日: 2025.06.20
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    上巻は面白かったんだけど、下巻はピョコルン祭りに徐々についていけず…最後は必死で読了。 でもこの奇妙で気持ちの悪い世界観は好き。

    5
    投稿日: 2025.06.19
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    下巻、精神的にキツかった!読み切った! 上巻は空子の年齢的にライフステージに動きがあり、また彼女が生活する世界も複数あるので、ストーリーに勢いがありぐんぐん読めた。クズ見本市のような人間像も、その振り切り具合に笑って読むことができていた。 下巻はリセット後の世界。ひとつの世界がずっと続き、やや中弛み。 世界は「汚い感情」を忌避し、思考することをやめ、ぱっと見クリーンに見えるようにやっていこうよみたいな価値観になっている。こんなに世の常識が二転三転すると、自分ならストレスで禿げてしまう気がするが、案外今の現実もこんな感じなのかもしれない。コロナもあった。見ないフリをしたり忘れたり改竄しながら、綱渡りしているだけかも。 倦怠感が強く物語を覆っていて、空子たちの世代は世界の仕組みにうんざりしているよう。疲れ切ったその空気に読んでいるこちらもあてられる。クリーンな世界も一皮剥けば徹底した地獄は変わらずそこにある。下巻に男性はあまり登場せず、代わりに心の中の明人や匠くんが顔を出す。 自分の正義を捨てられず壊れていく白藤さんを見るのが辛かった。なんかなあ…白藤さんなあ…もうちょっと上手くやれないもんかね…でもそれが白藤さんか…良い人ではあるけど潔癖すぎて面倒なタイプ…。空子もこんな風に(もっとドライに)感じていたのだろうか。白藤さんは後の数十年を、どうやって生きたんだろうなあ…。 空っぽだと主張しながら、なんだかんだ白藤さん一家のドタバタに巻き込まれ世話をする(?)空子。呼応する受け身体質ゆえなのか、不思議な主人公だった。空子に共感する時、それは彼女自身に共感しているのか、彼女の中にいる世界対応ロボットに共感しているのか。というか思考や言葉は環境と経験と記憶で作られているんだから、その全てが空子か。「本当の自分」なんてどこにもいないのか。その時その時の最適解や本能があるだけ。多かれ少なかれ、誰もが目の前の世界をダウンロードし適応しながら、上手くいったりいかなかったりして生きているのだと思う。 私ならピョコルンになるのは御免だけど、「ここで終われる」日が人生で早めに決まるのはいい。そうなって初めて、自分にも他人にも真に優しくなれるんじゃないかと思う。世界は美しいとか青空に向かって呟けるんじゃないかな。 村田沙耶香らしい結末だった。私は村田沙耶香が描く最終的な世界を、羨むことが多い。でもその場所でも、どこかが歪んでいるんだろうな。白藤さんのように。痛みのない世界なんてないよね。

    3
    投稿日: 2025.06.19
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    倫理観の崩壊、価値観の転覆__ 世界が変容していく光景が残酷で血生臭くて、あまりのイカれ具合に顔をしかめながらも読むのを止められない。村田さんの作品に何度も精神力と体力を奪われてきたが、それでもまた手に取る自分の異常さが恐ろしい。

    12
    投稿日: 2025.06.18
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    村田沙耶香のこれまでの作品の要素を詰め込んだような作品だとは思ったが、今作はどうしても好きになれなかった。 ひたすら人を(特に男性を)醜く描きすぎていて苦しいし、男としてこの作品を読むと、犯してもいない罪で裁かれているような気分だった。 醜いキャラクターはいっぱい出てくるけど、主人公が一番嫌いだったかもしれない。 他人に対して暴力的な言葉を思い浮かべる時、「頭の中の明人」「頭の中の匠くん」のように、都合よく人の言葉にしてしまう他責思考が嫌いすぎた。 性欲は「ゴミ箱に捨てるようなもの」という考え自体が自分とは違いすぎたので、世界観に全く入っていけなかった。でも、ゴミ箱に捨てられるような性欲を向けられる女性も多くいるのだろうとは思う。 男がこういった感想を持つこと自体が罪なんだと言われそうで、読んでいて肩身の狭い思いがした。「身体を痛めて子を産むのは女性」とか「女性としての役割を強制されて苦しむ人もいる」と言われれば、何も否定はできないので。女性として生きることの痛み、苦しみについてはピョコルンを通じて理解したと思う。

    6
    投稿日: 2025.06.18
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    延々と続く、よくわかんない、痴漢とロリコンがそこら中にいる、どんなやねんという世界を描いた気持ち悪い話だったけど、つまりはこれも「喪失と再生」を突き詰めた一つの形ってことなんだろうな。 最初から何も持ってない少女はそもそも喪失してるし、再生は別の意味でというか本当の意味で再生してるし。 と、読み終えたときは思ったけど思い返してみるとこれは作者の、「喪失からの再生」といういい加減読み飽きたテーマに対する強烈な皮肉なのかも知れないね。 喪失できるだけまだマシだろう。再生の先に希望があって良かったね。そんな声が聞こえる気がする。 と、読み終えて少し経ったときは思ったけどよくよく考えると本当に好きになった人とセックスできる人なんてこの世にどんだけいるんだろう。そもそも現代の多くの女の子は誰かを好きになったりするんだろうか?テレビの中やステージの上の人以外に。そう考えるとこの小説の主人公は、過去から現代にいたるまでの大多数の女の子と実は本質的にはそんなに変わんないんじゃないのかな。セックスや人生なんてしょせんこんなもんでしょ。 キツい。これは相当キツい小説だ。

    2
    投稿日: 2025.06.18
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    上巻、下巻読んだけど今回の作品は響かなかったな。帯に書いてあること全てでほぼ内容が分かる…こんなに長々する必要があったのかな? 人間の欲望を叶えてくれる便利な存在(=ピョコルン)はAIのような、ドラ○もんのような…。 "人間に必要"というより女性側が搾取されている代償を担ってくれる存在に近いと思った。男性側からしてみたら、ピョコルンでも母ルンでも養うのは変わらないし、どっちでも良いよな…。 女性で生きるのってそんなに搾取や犠牲、代償ばかりかな?考え方次第じゃないのかな。 周りと比較して、幸せの基準が高すぎる気がする。

    18
    投稿日: 2025.06.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    どうしたらこんな世界を思いつけるのだろうか その一言に尽きます。 ピョコルンという存在により、全てが何か違う世界。コミュニティ間で考え方が全く違う。 異なる思考を持つ人だとしても同じ世界に暮らしているはずなのに、彼らはまるで違う世界に住んでいるようでした。 村田さんはもしも世界にいるとしたら、 どの世界でどんな生き方をしているのでしょうか。気になりました。 ただ好き嫌いはわかれる作品だとおもいます。

    1
    投稿日: 2025.06.17
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    上巻で散々ぶつけられてきた、女に対する感情が自分の中に芽生えた事の葛藤のあたりは面白かった、けど、どんどん収集つかなくなって冗長気味。。 相変わらず気味悪く読めてよかったけど、ずっとみんなの気持ちが不安定で、なんというか、鬱々としてしまった。 コンビニ人間の方が好きかな。

    1
    投稿日: 2025.06.16
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    上下巻を通して、現実離れした世界のように見えるが誰もが無意識のうちにこの世界のような考え方をしているのかもしれないと思った。 離れた安全地帯から恵まれない人を見て感動することを娯楽として楽しむとか、テレビとかでよく見る光景で自分もそれを見て感動した経験もあるが、文字にされると気持ち悪いことだと感じた。これが悪いことかは分からないけど。 人間が気持ち悪い存在に思えて、いい意味で不快な思いをした笑 普段生活してて、こんな感情になることは滅多にないから、やっぱり読書ってすごいなと思った。

    8
    投稿日: 2025.06.15
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    上巻はどんどん読めて、下巻で中だるみ少々ありペースダウンしたものの読了できた。 久しぶりにすごいものを読んだ気がした。 ディストピアでありながら、現代社会を映し出しているような腑に落ちるところや、見たくない、考えたくない現実を突き付けられた。ピョコルンやラロロリンキャリア、人間のリサイクル、記憶のリセット、もうこれは近未来の予言書ではないか…それに気がついている人はどれぐらいいるのか。 もう始まっているこの世で自分はどう生きるか改めて考えさせられた。

    12
    投稿日: 2025.06.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    シロちゃんは晩年ニンゲンらしくいられたんじゃないか。それだけか唯一の救い。 あとは救われない苦しみがら詰まった後半だった。 現代社会女性の社会進出が進み、ピョコルンの存在は魅力的であるし、記憶のリセットも誰もが一度は考えたことではあると思う。 ただ自分で苦しみを感じるのが生きていくと言うことなんじゃないかな。と改めて感じることができた。

    4
    投稿日: 2025.06.12
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     「もし世界がそうなったら」「自分がもしこの世界で生きていたら」とかなり自分ごとになって感情移入して読んでいた。  その中で、ピョコルンにはだいぶ面食らった。今の世界に住む自分だったらせいぜいペット感覚、お掃除ロボットあたりの範疇なら手元にいることで愛着が湧くと思うけど、なかなか介入する範囲が大きくてちょっと。  さすがに実現しないでしょと思いつつも近未来的でリアリティがあって、ひょっとしたら実現してもおかしくないんじゃないかと思えてしまう不思議な世界に感じた。

    3
    投稿日: 2025.06.12
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    クリーンな日常になったからか、 上巻にあったキモさ要素は薄れ、下巻は不気味さが漂う。上巻と違ってしおりがピンクというのがまたオエッとさせられる。(こちらも、もちろんいい意味で) 世界を創る人、それに染まる人、染まりたい人、染まらない人、染まれない人、同じ空間でそれぞれがそれぞれの温度で同じ空間に混ざり合うこの本の世界感は、実は私たちの住む世界とそんなに変わらない。

    2
    投稿日: 2025.06.12
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    『空』になった… 私の中に存在する 『虚しさ』『怒り』『偏見』『差別』などなど 全部全部掻き回されて、『私』という器から全部引き出されて『空』になった… そのくらい何も考えられない…というか、考えたくない…というか、『私』の正しい『思考』はどこ??というふうな感覚になってる!! 少し前までは犬も猫も外が当たり前だったのに、今や『家族』として家の中が当たり前になったのと同じく、いずれはこの『世界』に『ピョコルン』が新たな『ペット』…『家族』として『パートナー』として存在する時が来るのかもしれない。が!! 良くない良くない!! このピョコルンの誕生は良くない!! せっかくなら『クリーンな誕生』でのピョコルンであって欲しい。 上巻428ページ 下巻429ページ 圧巻でした!! 次に読む本が決まらないほどの余韻…

    16
    投稿日: 2025.06.11
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    中身の内容に触れていますので、ご注意下さい。 上巻よりも更に読む人を選ぶなという風に感じましたが、私はかなり好きでした。 世界がよりクリーンなものへと変貌を遂げていく中で、それに順応する人、反抗する人、変わらない人が丁寧に描かれていてとても素晴らしいと思いました。 ピョコルンという一つの文化がないものの、人間は色んな呼応をしている生き物であり、私もその一人であると感じます。 人間関係で気疲れすることもありますが、この人に呼応している自分を俯瞰して見ることで気持ちが楽になりました。 これからも村田沙耶香先生の本に触れて、多くの価値観や思考を知っていきたいと思いました。

    2
    投稿日: 2025.06.11
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    多様化が叫ばれる現代で個性ばかり求められることに疲れた人が多い世の中だから"典型的"とか、安心する部分がある。宗教的な狭い世界。人間関係を代弁してることが多く、極端になるとこんな世界になるのだろうか。

    1
    投稿日: 2025.06.10
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    #世界99 下 #読了 恋愛や性欲から解放され、長寿命を手に入れ、無機質なディストピアで生きる人類を描くSFがあるけど、本作はピョコルンを介在させ、その世界へ至る人間の進化(?)を、リアルに描いている。 息子の部活の保護者飲み会が初めて行われる。さてどんなキャラで行こうかなと考えて、ふと気づいた。これは空子だ。 草食系男子と言われるようになって久しい。AIに恋をして、AIに言われるまま自らの命を絶つ若者がいる。本作の世界を、絵空事と笑えるか。自分たちの今の価値観の延長上に、世界99が無いと言い切れるか。 #読書好きな人と繋がりたい

    11
    投稿日: 2025.06.09
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    やっぱりすごい世界!!でも上巻のほうが展開があって面白かった。下巻は“世界”の日常が続いててダラダラしてるなって思った。 上下巻読み終えて、空子のように“呼応”したり“トレース”したりって自分もやってるなって。それぞれの場所でのキャラ作りじゃないけど、、相手に合わせてる自分。でもどれも自分だし。 って色々考えることもあった話だった。 グロい、、とまではわたしは思わず、不思議な世界だなって思って読み終えました。

    2
    投稿日: 2025.06.08
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    ⚫︎感想 一貫して同じテーマ。 ・空っぽの人間ロボット、流行に流されやすく、すぐ忘れる。忘れずにいようとする人は、取り残される。 ・性の搾取、差別 印象に残ったところ ・私の中の空洞にこそ、私が人間であることの証明が、核心が、はっきりと宿っているのだった。 「それにしても、差別されるのっていいですよね。一種類の差別をされているだけで、まるで自分が他の種類の差別を全くしていないような気持ちになれませんか?そんなわけないのに。」 「感動しないと冷たい人間になってしまう感動」って、娯楽であると同時にほぼ脅迫ですから

    32
    投稿日: 2025.06.08
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    ●読前#世界99 主人公は「性格のない人間」とのことだが、いったいどんな人間なのだろう? そして、そんな人間が「性格」を使い分けてディストピアを生き残るという、読んでも楽しくなさそうな話が続きそうな上下合わせて864ページ。最後まで読みきれるのだろうか https://amzn.to/4kU8IN8 ●読後#世界99 こんなディストピア長編を最後まで読み切らされた筆力に感服。そして、僕が現代社会に感じている数多くのモヤモヤが取り上げられていて、ありえないと思いながらも、未来はこんな社会になるのかも、という妙な現実感も拭いきれなかった https://mnkt.jp/blogm/b250305c/

    17
    投稿日: 2025.06.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    世界99 下 村田沙耶香 ∞----------------------∞ 村田沙耶香さんの世界はどうも性欲強めですね。性欲が無いと言っていた主人公ですら性に関することをかなり多く考えてる。 後編は世界の構造がリセットされたあの時から。 前回、ピョコルンが人間のリサイクルと分かり絶滅するのかと思いきや、ピョコルンになりたがる人もいたり、相変わらず飼うこともレンタルも可能になって、中身がおっさんだろうが性欲処理にも使われてる。 結婚は友情婚で子供はピョコルンが産むのが当たり前の世界。 ピョコルンは家事も出来るけど人と同じで得手不得手もあり、性格によっても丁寧だったり適当だったり。 そんな中、白藤さんの娘がピョコルンを妊娠させたと言い、空子自身もピョコルンになろうと決意する。 もう何が普通とか全部引っ括めて違う世界なので、ここに住んだら私も白藤さんかなと思ったりもするが、案外普通に馴染んでるかもしれないな。 気味の悪い世界だと思いつつ、結構夢中になった。 2025/06/07 読了(図書館)

    6
    投稿日: 2025.06.07
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    読んでて頭ヘンになりそうになったのは『家畜人ヤプー』以来。前半は相手によって自在にキャラ変するソラの不気味さが強烈な純文学的雰囲気、後半はピョコルンによって人間が自我を失っていくぶっ飛んだディストピア世界が描かれる。ぶっ飛び過ぎ。

    2
    投稿日: 2025.06.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    上巻に比べると、衝撃が薄れてきてしまったが、やっぱり面白かった。 今まで女性が負担していた、出産や性の対象、家事などから解放されて、ピョコルンが負担するようになり、今まだ男性が女性に対して抱く感情を、女性がピョコルンに対して抱いているというところが面白かった。 見た目が可愛い・好みで飼い始めたピョコルンに、だんだんと養わなければならないという負担を感じたり、特に家事が上手ではないピョコルンだと、何のために養っているんだっけと思ったり。 今現実の世界で、男性に好かれるためにダイエット頑張ったり、家事がうまくできなくて自分を責めたりしている人を見ると、自ら進んで美しくて便利なピョコルンになろうとしているように見える。でも、それがその人が選んだ生存方法なんだろうなと思う。 上下巻読了して、たっぷり村田沙耶香さんの長編が読めて幸せだった。

    6
    投稿日: 2025.06.07
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    正直に言うと、結論としてはまあそうなるよね、という感じかな。 ただめちゃくちゃおもしろかった。 描かれている世界、人々の思想、クレイジーさ、すべてがおもしろく調合されている印象がありました。 誰にでもおすすめできるわけではないけれど、朝井リョウさんがおっしゃっているように、「この作品の中で寛げる人がいる」とは事実だと思う。

    3
    投稿日: 2025.06.07
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    とんでもないものを読んでしまった・・・! 皆さまのレビューを読んでも綺麗に賛否両論分かれていたのでずっと気になっていた本作 他の積読本を押しのけてまで夢中になって貪り読んでしまった 誰もがレッテルを貼り、レッテルを貼られ、その枠である程度自分を取り繕いながら生きていて、どこかで見たことあるような女の子が満遍なくトレースされる 村田沙耶香さんの作品は初めて読んだのですが、この既視感を文章でここまで丁寧に書けるのって本当にすごい作家さんなんですね。。。 これを読む前の自分にはもう戻れない気がするし、正直なところ、自分の半分は新しい世界観を歓迎していて、もう半分は知らないままが良かったと思っているような、不思議な読後感です この物語の何が怖いって、異様なリアル感じゃないでしょうか・・・なんかどこかで同じようなものを見た気も・・・ もちろん、描かれている内容は現在の社会とはかけ離れたディストピアだし、ピョコルンなんて生き物は我々の住む世界には存在しないのですが、、、 けど、もしも人間の欲望や面倒を捨てられる便利で都合の良い道具が出てきたとしたら。。。人間の大多数が社会を盲従することのみを良しとして自分で考える事をやめてしまったら。。。 あれ、、、やっぱり何か既視感あるな。。。と書きながら思ったのですが、これって実は今話題の生成AIにちょっと似てるかも? AIによる終末論には様々なバリエーションがありますが、大体がAIによる支配階級の逆転なように思います。(ターミネーターとかね!) が、この物語を引用してみるなら、AIに対して人間の欲望や面倒を捨てることができるようになった結果、社会そのものが今よりある種弛緩して均質化されたものに変容して、人間としての探求心や主体的な意識が無くなってしまう、という未来があるのかも、とか妄想してみたり。。。 そういえばAIはこれまでも便利に使われてきましたが、生成AIの登場によって難しいプログラミングを学ばずとも、自然言語で驚くような成果を上げることができるようになったので、「AIに触れる」行為そのもののハードルは限りなく低くなってるし、「面倒なことはAIにやらせよう」が推奨される世の中になってきたわけで。。。 我ながらちょっと、いやだいぶ飛躍しすぎな気がしますが、この物語で描かれた社会って、案外他人事じゃないのかもと思うとちょっと背筋がヒヤッとしました

    39
    投稿日: 2025.06.05
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    すごいもの読んだ感。 3日で上下読み終わるほど 物語にハマりこんだ。 かなり受け入れ難い状況だったり グロさがある。読む人を選びそうだが ある意味真実だな。と思った 本当に救いがないディストピア小説 でも…それを望んだ者にとっては 救いになる とても複雑。 誰にでもあるであろうペルソナ 私自身についても 考える。 2度目は もっと精神的な おく深いところを 読み取れるような気がする これからは より 広い視野で 世の中を見られるような気持ち

    2
    投稿日: 2025.06.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    相手の理想の自分になることで、どんどん自分の世界(キャラ)が分裂する主人公。女性を守るための女性のための作品であると感じたと同時に、女性への加害者としての男性が多く登場するのをみて、ある種の男としての戒めとしての作品であるとも感じた。世界ではピョコルンというペットが出産や家事を担うようになり、女性を救う存在となっていく。世の中の変化に対して、大きな決断を迫られる。そんな人生の転換期の悩みや苦しみを味わうことができる。全人類必読の長編実験小説をぜひ手に取ってください!

    3
    投稿日: 2025.06.04
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    勢いのまま読んだ上巻と比べるとゆるやかに絶望に向かっていく下巻。途中からラストが予想できるのでだいぶ失速するが、上巻と合わせた物語全体としては面白かった。 この物語の肝はやはり「ピョコルン」というペット的な生き物にある。ロボットのように家事や介護を完璧にはこなせないし感情表現もできないが、愛くるしい見た目で性愛の対象になる且つ出産を担えるというのが他のSF作品と大きく違う点。 特に女性が負担してきた部分を「ピョコルン」に担わせられるようになったので便利になりそうなものの、結局人間を対象にした性犯罪はより隠蔽される形で残り続けるし、「ピョコルン」が生き物であるが故に動物愛護的な思想も根強く、全員がとにかく疲れ切っている。 信仰宗教の行き切った姿のような異様な(だけどなぜか楽しげな)ラストはエヴァンゲリオンの人類補完計画みたいだなと思った。

    2
    投稿日: 2025.06.04
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    ユートピアを目指すディストピアの世界。 母という使われる存在の美名に覆われている真実をピョコルンに転嫁させて描いているようだ。空っぽの入れ物たる主人公が人生に疲弊し選んだ先の出来事におぞましさで気持ち悪くなった。 だけど作品としてはさすが村田沙耶香さんで。よく出来ている。

    2
    投稿日: 2025.06.03
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    えげつないディストピア。 途中、ピョコルンの素材が分かった時天を仰いだ。 みんなうっすら分かってても言わないことを村田さんはいつも明確に文章化してきてざわつく。 全くあり得ない世界だと言い切れないのが怖い。

    10
    投稿日: 2025.06.03
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    村田沙耶香さんの新刊『世界99』読み終わった。読み終わったあとは「あ゛~~~~~~~~……』と天を仰いでしまう。村田沙耶香さんの小説を読んだあとはいつもそうなる。 主人公・如月空子は「性格のない人間」。彼女は所属するコミュニティに合わせて自分の人格を演じ分け、波風立てずに生きている。そんな世界で、人々に愛される謎の生物「ピョコルン」が登場。当初は可愛いペットだったが、やがて人間の子どもを産める、生殖能力を得たことで、社会は大きく変貌していく。 女性が社会で、家庭で担わされている役割をわかりやすく、それでいて決して誇張ではないかたちで描いており、されにその女性すら担っていた役割ができる別の生命体が誕生したら、はたして女性は今まで通りの役割から解放されるのか 自分が今までの人生でしてきたこと、そこはかとなく持っていた感情を丁寧に取り出してこちらに突きつけてくる。自分がいかに傲慢で、残酷で冷たい人間なのか。 そのいたたまれなさ、気まずさに耐えて、耐えて、耐えながら先を読み進めなければならない。それほど人間の、私自身のことを切り刻んで解剖をして"はい、あなたはこんなものでできていますよ"と目の前に突き出してくる。 おもしろいが、決して楽しいものでも愉快なことでもない。私自身も読み終わってすぐの今、考えたことをしっかりと言葉にはできずにいる。考えるべきこと、薄っすらと感じ取っていたのに、見て見ぬふりをしてきたツケが大きすぎる。 恐ろしいと思ったのは、作中の世界は現実とそう変わらず、また作中の未来も現実とそう変わらないということ。その事実にずーんと落ち込む 読んでしまうと、日常のあれこれに世界99で読んだ内容が入り込んでくる。世の中の女、母親という役割、社会的な弱者やマイノリティが求められること、マジョリティがマイノリティに求めるもの。それらが頭のなかにずっとあって、そのたびにぎくりとしてしまう。でも、その気まずさを知らないまま、のうのうとしているよりかはいい。気まずさを抱えて生きていかなくちゃならない。 世界に自分以外の人が存在する以上、他者への気まずさからは逃れられない。腹をくくる覚悟をくれる小説だった

    6
    投稿日: 2025.06.02
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    上巻に続き下巻まで読み通しだがあまり変わらず架空の世界の日常の生活の会話が綴られているだけで少しも大きな物語りの発展生が無く終わった。如月の一生を淡々と語られ最後はヒョコリンになりアメ(雨)の家庭のヒョコリンを思わせる語りで終わりを迎えていることだった!酷評して申し訳けない。

    0
    投稿日: 2025.06.02
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    ホラー??SF??私の頭の中のピョコルンの形、これ正解??アルパカ?モフリン? 実写化したものを観ながらもう一度この世界についてゆっくり考えさせてほしい(まだ頭がついていけてない…)

    4
    投稿日: 2025.06.01
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    怒濤のような出来事の上巻に比べればおぞまさしさ軽減 上巻の嫌悪感のオンパレードは過ぎ去り 下巻のテーマはこれかな 「自分の性欲、名も無い雑務、汚い感情、他人の性処理に自分の体を使われる苦しみ、出産、育児、介護をピョコルンに捨てることができるようになったけど…幸せになった?」 空子は周りの状況に応じていつも適応して考えて、自分を養うために明人と結婚したり、白藤さんらと住むようになったりしたけど、自分がピョコルンを養う立場になると全てに疲れてしまって、段々考えたくなくなってしまってた。 思考停止するほうが楽だもんね。 私的には切ない最後でした。

    15
    投稿日: 2025.06.01
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    色々な性格(キャラの使い分け 差別 ピョコルンは人のリサイクル ラロロリン人が作った 当たり前だと思っていたものでも、嫌悪で直ぐに手放す ウエガイコクとシタガイコク ウエガイコクで流行っているものが当たり前 P164 「キャラ」はペルソナというよりももう少し奥深く食い込んでいるもののように感じる。仮面ではなく人間の状態を示す言葉なのかもしれない。 「キャラ」は、捨てたつもりでも身体の中で生きている

    2
    投稿日: 2025.06.01
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    世界観が凄すぎる。 作品にはAI出てきてないけど AIが進化したら こんな世界観になりそうでなんか怖い 最後の章がなんとも言えない感情になった

    3
    投稿日: 2025.05.31
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    上巻前半までのトレースと呼応にはものすごく納得できて、人類の普遍的な真理では、と思うほどだったが、次第に他所から見える自分の立ち位置に心を砕くあまりかえって拠って立つ場所を根こそぎ失っていくような危うさばかりが目立つようになり、下巻に入ると尚更読むのが辛くなってくる。更にほピョコルンの扱われ方の変化もグロテスクとしか思えず、でもある種の人間の物事の味方としてはあり得なくはないことに気づかされてしまって、更に憂鬱になる。ラストは一見穏やかそうに見えるが、何もかもをすっかり諦めてしまったようにも思えて、背筋が凍る心地がする。

    2
    投稿日: 2025.05.31
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    上巻の衝撃が凄かったので、中盤の中だるみ感はあったけど、それにしても凄い作品だった。 しばらくピョコルンのことは忘れられそうにない。

    12
    投稿日: 2025.05.31
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    共感するだけじゃなくて、それを超えた何かを得たいと思ってコンテンツを消費している者として、物足りないラストだった、、 自分に向けられ、辛いと感じていた感情が、自分にトレースされて自分が人に向けているということ。一つの事象に対して自分の中で色んな声がして、頭がガンガンする感じ。これはめちゃくちゃ分かる。 人は人格を多少使い分ける世界があって本当の自分なんていない空虚だと思うこと。これも分かる。みんなそうなんじゃないかな、だから読まれているんだし。 でもそういうニヒリズムの先に、何があると思っているのか知りたかったな。宗教的な、ピョコルンとか死を讃える世相でラストか。それが虚無ってことなんだろうけど。 主人公の「弱者女性」とそこまで自分の経験が被っていないから刺さらなかったのかも。仕事や恋愛に没頭する女性の本が読みたいなー、と思ってきた。

    1
    投稿日: 2025.05.31
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2章のラストで、「ピョコルン」が人間だったということが明るみに出てから、世界はもはや繕うこともせず「人間リサイクル」を良しとしてディストピア街道を邁進している。 性欲も出産も「ピョコルン」に押し付け、女は随分生きやすくなった。痴漢も減ったし、なんなら女が性欲をピョコルンに押し付けることも可能になった。「ピョコルンは嬉しく思う(らしい)」という理屈によって、許されている。出産も、10%は死ぬがピョコルンに任せることが主流になっている。 家事も育児も。(しかし完璧に任せられるわけではなく、意思疎通に失敗したり個体差で下手だったりするのでなんとなく手間が増えている、というところがリアルで面白い。) 悪感情を見せるのはよくないこと、という常識も浸透した。 8割方の人は「クリーンな人」として微笑み合いながら生きている。罵りあうこともない、議論を吹っ掛けることもない。 学校ではラロロリン人へのいじめもない。うっすらと膜につつまれたような、優しくて安心な世界で暮らしている。 …なのに、なんだろうこの閉塞感は。全然楽でも幸せでもない気がする。 人間として生きる上での苦しみなんて、当たり前になくすことのできないものなのに、表面上だけキレイにしてみないふりをしている。 ピョコルンみたい。愛らしく献身的な動物の中に、どこの誰だかわからないグロテスクな人間の残骸が詰まっている。 空子も、空子と共に世界を眺めてきた読者も、この新しい世界にどこかついていけない。 波や琴花という子供世代が登場し、勝手にピョコルンを導入し勝手に家族になり勝手に子供をもつ…という流れで、すっかり私たちは物語の主流から外れたね、という気持ちになってくる。 2章では生き生きしていた奏さんや小早川さんもそれなりに年を重ねて疲弊している。自分の限界を知り、世界への諦めを感じ、雰囲気に流されつつ生きている。 空子がピョコルンになるというのは予想外の展開だったけど、「終活」に安堵するというのはやっぱりもう、寿命だったんだろうな。魂の。あとは当然、体をそれに合わせるだけだね。 4章が異様に短いことを途中で察しながら不穏な気持ちで読み進めてきた。 この物語を通して私はとても、白藤さんが好き。 唯一人間として最後まで生きた人。 皆に煙たがられながら、疲れきって報われないまま、孤独に戦って絶望したまま、89歳まで地獄を生きたんだね。かっこいいよ。 この話には正解や答えなんてものはなく、ただ世界の見方を変えてしまうほど鋭利な芸術作品だって思うんだけど。 空っぽなまま走り抜けることも、崩壊した世界線にしがみついて苦しむことも、世界の要望に応えて巫女になることも、結局どこまでいっても辛くて虚しい。本質的に世界は残酷で差別的だし弱肉強食だし、ちっぽけな人間はそれぞれの世界に媚びながら場を盛り上げ、疲れ果てて体か心が死ぬんだろう。 それでも4章のように、社会はまわりつづけるし、人は家族になり子を作り、穏やかで平凡な風景を描きながら暮らし続ける。汚いものは見えないところに押し込めて。 そんな人間のどうしようもない社会に天才がメスを入れ、供物にして神様に捧げている。 その儀式を盗み見た私は、ただ圧倒され恐怖に震えつつ、どうしようもなくときめいてしまった。そんな作品だった。次回作も楽しみ。

    7
    投稿日: 2025.05.29
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    めちゃくちゃ面白かった。上巻の一気読みから、下巻は少しペースが落ちたけど、この世界観からはなかなか抜け出せそうにない。呼応、トレース、ウエゴイコク、シタガイコク、ラロロリン人、ピョコルン…実生活の会話に使いそうになります(笑) この話を男性はどう感じるのだろう。 女性のひとりとしては、理解できてしまうところがたくさんあることがなかなか恐ろしい。 私の脳内ピョコルンはどうしてもプードルが立った感じに近いですが、皆さんどんなピョコルンなんでしょうか。 果たして記憶を調整された世界は、ディストピアなのか、ユートピアなのか、、。ちょっとありかも?と思ってしまうことは、ウエガイコクであり、シタガイコクでもある私たちのマトリョーシカのどの位置から目線なのか。 「でも、かわいそうなことは、素晴らしいですよね。僕、たぶん、将来、それって娯楽になると思うんです」 「このまま世界が素晴らしくなっていったら、きっと、かわいそうな人っていなくなりますよね、みんな公平に幸福になる。かわいそうな人って、僕、ずっと好きで、やっぱり、そういう人を見て泣くと、心が浄化されるじゃないですか。だから実際にはかわいそうな人がいなくなってからも、娯楽としての『かわいそう』は残ってくれるといいなって思います。かわいそうな人を見て泣くと、心が綺麗になるし」

    23
    投稿日: 2025.05.29
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    最初は本屋で見かけた時に なんだこれは… 難しい内容だろうな、表紙から見てもなんか怖そう。と気にったけどとりあえずスルーした。 そしたら発売してすぐに売り切れ続出!?話題になりまくり!? これは〜もう買おう!と決心し、在庫復活されてすぐに買った(笑) 元気な時に読んだ方がいいとある人がアドバイスしてくださったけれど、最近体調崩してあまり動けない時にちょうどいい、ちょっと読んでみようと思って開いたら………… もう終始「なにこれ……」な状態に(笑) わたしはもうこれは早く読み終えた方がいいと判断しまして、4日間で上下読み終えました…。 読了後 放心状態がしばらく続いた。苦しかった!!笑 一言で言うと ”ピョコルンがある社会は嫌だ。” この本は男性は読んでもあまりピンとこないんじゃないのかな……と思ったけれどどうなんだろう? 女性なら苦しくなる人多いだろうな〜この本は。 わたしはずっとクラクラクラクラしました…。 実は村田沙耶香さんの本は何冊か持ってるけど読んだのはこの本が初めて!笑 これが村田沙耶香さんワールドか………… 凄すぎる( ˙ཫ˙ )

    6
    投稿日: 2025.05.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    おぞましいと思いつつあっという間に読了。 結論から言うと、面白かったとは思うけれど、好きにはなれなかったな。 家族の形が男女の夫婦だけではなくて同性であってもよくなり更に➕ピョコルンというのが普通になった世界。ピョコルンの役割は大きい。 この物語には色んな問題が含まれている。 男尊女卑、格差社会、人種差別、性犯罪…。 全てを無くすには強制的に皆同じ性格にしましょう!みたいな世の中に… 私にとっては怖いお話しでした。

    19
    投稿日: 2025.05.27
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    なんだかいろいろ矛盾してて(私の理解力が 足りないのか?)この物語の世界観についていけなかった。 最後まで、整頓された地獄って感じで気持ち悪かった。

    7
    投稿日: 2025.05.26
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    14年前、「リセット」を経験した人類は混乱の最中にあった。しかしラロロリン人の考えた「人間リサイクルシステム」がうまく機能し、やがて社会は再生を迎える。そして49歳になった空子は「クリーンな人」として、美しく優しい世界を生きている。「クリーン・タウン」の実家に戻り、同級生の白藤遙とその娘・波とともに。ようやく訪れた穏やかな社会の中心には、さらなる変貌を遂げたピョコルンがいた。都合の良い「道具」・ピョコルンを生み出した果てに人類が到った極地とは。村田沙耶香の全てが詰まった新たなる代表作。(e-hon)

    1
    投稿日: 2025.05.26
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    読んでても不快で気持ちが悪い本 映像化されたらピョコルンはどんな姿をしているんだろう。 想像ふるとぞっとする。どんな結末が待っているかそれを知るために最後 まで読み終えた。

    2
    投稿日: 2025.05.26
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    世界99下巻も大変惹き込まれる内容でした。 この世界での設定に容易にのめり込んでしまった自分も主人公と同じように、トレースし、呼応してたのかなと、読み終わってから気づきました。笑 ページ数の多さを感じさせないとても魅力的な作品でしたので、また間をあけてから再読したいなと思います!

    17
    投稿日: 2025.05.25
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    世界観怖すぎ、倫理観どうなってんの?価値観のリセットって?多様性と画一性は背中合わせなん?これって警告?そっか、世界は渾然一体だもんね。いろいろぞっとしたのに、最後は媚びの粒子を吸い込んでた。

    38
    投稿日: 2025.05.25
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    上巻の帯にある通り、ほんとに究極の思考実験の物語でした。 私の想像以上に話題になり、読書好きの色んな人が読んでおすすめされてますが、正直誰にでもおすすめできる本では無いかな。 でも、これはこの女性が行きづらい日本という国に生まれ育った村田さんだからこそ書けた作品だと思います。

    6
    投稿日: 2025.05.25
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    上巻で空子が異なる世界の人々にそれぞれ呼応して見事に住み分けている様子、めっちゃ面白かった。下巻はさらに話が広がり少し読みづらかった。性欲の処理、生殖、家事、子育てなど女性が背負わされて家畜となっていた役割をピョコルンが引き受けている世界。それなりにコストがかかるピョコルンを養うために必死で働かざるを得ない風刺。さらに話は進み、クリーンな人、クリーンな感情、記憶のワクチンへ。個人の記憶が薄まり、犯罪がなく、平等を目指す安全な世界はそれなりに居心地はよさそう。とにかく安全で楽しいだけの暮らしをすごしたいと思ってるのはみんな同じでは?

    19
    投稿日: 2025.05.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    徹底的に暴かれてしまう。友情、愛情、宗教、アイドル、インフルエンサー、仕事、家族、家事労働、儀式。。 若者文化への揶揄も容赦ない。 汚い感情とは、言い得て妙だ。それを失った人間の行末も描いてしまう。 一枚一枚虚飾を剥ぎ取った先は虚無しかない。。 最後の方まで読んで、この物語は女性しか実はわからないのでは?と男性の私は思った。「家父長制グローバル資本主義」に生きる、女性の過酷さをラディカルに何とかしようとしたら、その先は生きることの平板さだった。のか? 最後は絶望とともに、抗うこと、感情的であることの意義を噛み締めた。

    4
    投稿日: 2025.05.24
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    面白い というのでもなく 感動する でもなく かといって途中で読みたくなくなることもなく サクサク読んでしまう 不思議な読後感 空子のような場に合わせるってあるある。私も空子かもしれない。と思いながら読みました。

    2
    投稿日: 2025.05.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    雑音のないクリーンな世界を知ることで、今を愛せるほどいい時代を生きてないなと思う気持ちと、捨てたもんじゃないかも?っというほんのちょっとの期待も持てたり。 空子と一緒で皆トレース・呼応のようなことをして生きていると思う、お前も空っぽだろって上巻で突きつけられてから駆け抜けるように読み進めた。 また忘れた頃に読み直したいなぁ

    7
    投稿日: 2025.05.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ⭐︎4.5 ・面白かったーーー。上下巻でかなりのボリュームなのに、読むのが苦じゃなく、村田沙耶香ワールドにどっぷり浸かれて幸せだったという感覚。 ・下巻ではピョコルンが性欲を引き受け、妊娠や出産も人に代わってできるという衝撃の進化を遂げている。このとんでも設定のなかでじわじわと自分や世界の常識が"ぶっ壊されていく"感じが凄まじかった。ディストピアだけど、ディストピアとは言えないような、何なら現実より現実感があって、それが恐ろしかった。なんて世界に生きているんだろうとも思うし、この世界で平然と生活する自分たちにもゾッとしてしまうような怖さがあったし、それがこの本の面白さでもあった。

    2
    投稿日: 2025.05.23
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    凄い世界だな。 村田沙耶香の露悪趣味は毎回ザワザワするけど嫌いじゃない。 清潔な地獄。 おそらく多くの人が、ピョコルン欲しいと思ってしまうんじゃないかなぁ。

    2
    投稿日: 2025.05.22
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    非常にわかりやすく、今を、現実を、社会を描ききった作品。 ピョコルンという生物?生かされているモノ。 を軸に、ピョコルンの置かれている立場の変化、ピョコルンに対する見方や、3層、いや4層にふりわけられた人類との関係を使って、近未来を描きながら、過去を、今を、描いていた。 「あのこと」以前は世界がいくつにも分かれていて、それに呼応していた空子。 「あのこと」以後、「再生」が行われ、世界はわかりやすくさせられた。 わかりやすい社会の中の、わかりにくいことは見えないこととされる。 汚い感情はないものとされ、弱者としているモノに押し付けて、バカでい続ける。 考えないことが正しくて、誰かに怒りや違和感を持つことはおかしいこと。 社会や世界に呼応し、順応する。 社会や世界は見えないものとされ、目の前の人にだけ呼応し、順応する。 ただそのやり取りだけでいい。 自動に喋っているだけ。 そこには感情は伴わない。 ただ潤滑に動くため。 現在の社会は既にそう、というかずっとそう。 女性やどうぶつ、マイノリティーという役割、言葉に弱者という、その役割を押し付けている。 そう思わせるように社会が世界がつくられている。 性的趣向も、メディアなどを通じてつくられている。 ニュースやテレビ、ネット、他者など、与えられた情報を鵜呑みにして、考えるのをやめ、答えだけを享受する。 そして社会や世界にそういう自分として認識されると、そういう自分であろうと演じる。 見た目や性格、思考や趣向を合わせていく。 事実かどうかとかは関係ない、ただ、自分たちの平穏、自由だけが大事で、何に対しても意見はなくて、それを中立といって、ただ居心地のいい場所にいるだけ。 自分の意見ではないから社会や時代に合わせて、いくらだって変化して、体制にあわせて大勢に合わせて。 選ばないことを選び続けて。 自分たちでは選ばない選択肢を他者に押し付けて。 汚い感情は弱者に吐き捨てて。 安全と楽だけを求め続ける。 考えないことを選ぶ人は、それを選ぶ思考はある。 それができるなら、考えることはできるはず。 この自由は誰かの、 何かの自由を奪って得たものかもしれないって。 そう言うと、生きる限り、奪うことからは逃れられない、と言う。 そうかもしれません。 キリがない。 そうかもしれません。 事実すらもつくられたものかもしれない。 でも、それでも、考えていたい。。 少しでも、奪わない選択肢はあります。 少しでも、搾取しない選択肢はあります。 私たちにはそれができます。 私はこの世界99の中では「かわいそうな人」になると思う。 この怒りや違和感もまた、つくられたもので、そういう自分であらねばという気持ちがあると思う。 しかし、私はそう在り続けるだろう。 自分のために。 そういう自分でありたいから、これも一種の快感なのだろう。 それでも、話の最後まで「表情」を持っていた白藤さんでいたい。 自分の中の矛盾でぐちゃぐちゃになりながらも、感情と表情は持っていたい。 怒りと違和感も持っていたい。 どうぶつを食べるモノ、着るモノ、使うモノ、可愛がるモノ、として、考えることを放棄し、目を背けて、搾取し続けてる人間があまりにも多くいます。 何を食べるか、着るか、使うかは自由だと。 誰かと食事に行くとき、その時間を楽しみたい、大切にしたいから制限したくないだとか。 どうぶつを殺していること自体はあまりよくないなとは思いつつも 目を背けて耳を塞いで、心に蓋をして、 考えないようにする。 私たちは選ぶことができます。 その環境下で生きています。 しかし、選ぶことすらできない人たち、 どうぶつたちがいます。 パレスチナの人たちは国境を封鎖され、支援物資が届かず、 爆撃と銃撃、飢えで虐殺されています。 今、パレスチナではイスラエルによる虐殺が行われています。 人為的に飢餓を強いられています。 爆撃され、性加害もされ、拷問され、お腹の中で殺される胎児がいます。 その事実が、行われていないかのようなは生活する人間があまりにも、あまりにも多くいます。 どうぶつたちも人間の為だけに増やされ、殺され、搾取されています。 身動き一つ取れない、食事も与えられるものを食べせられ、 糞尿の中で、食べられることなくただゴミとして殺される命もいます。 なぜ、その存在を無視して、自分だけは自由の権利を振りかざすのか。 自分の自由の前に、考えてください。 私たちにはそれができるはずです。 考えないのは楽ですよね。 怒りや疑問やおかしいなと声を上げることは汚い感情ですか? 何も思わない清潔な心はさぞかし居心地がいいでしょう。 汚い感情は抱かない、思わない、考えない。 メディアや社会が言うことを鵜呑みにして、与えられた感情でいれば楽ですよね。 つくりあげられた世界の中は楽チンですよね。 自分は何も行動しなくても、ただつくりあげられた価値観に従っていればいいんですから。 声を上げるだけ無駄だって思うことすら、つくりあげられたモノだってわかってますか? 女性もまた道具として扱われています。 性処理、人間家電、人間奴隷として。 便利に使われています。 社会の構造自体が、搾取する構造になっているのにも関わらず、未だに男性の中には息苦しくなったとのたまう奴等がいます。 男性として生まれた時点で、疑問に思う発想すら生まれなかったことに気がついていない。 人間は環境によって変化する生き物です。 この作品の中でも、生まれた時からピョコルンがいて、今まで女性が奪われてきたこと、搾取自体が少なく、無防備になっていた波がいました。 価値観や思想、信条などは、今までの環境の中で育まれ、記憶の中にある。 均一的な記憶にすれば、皆穏やかになる。 そうすれば戦争もなくなる、かもしれない。 けれど搾取は残り続ける。 何も感じないと思わされているモノを新たにつくりだして。 最後、ピョコルンになった空子には変わらず思考と感情があった。

    2
    投稿日: 2025.05.22
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    ページをめくる手が止まらず、混んだ電車の中、料理を火にかける間などあらゆる隙間時間で読み進め、最後は朝5時に起きて読了。 幼少期からトレースと呼応を繰り返してその場に合った性格を作り続ける空子は、異質のようでもあり、みんなもわたしもそうじゃない?と思わせるところもあり。 ⚫︎ 若い時代の描写が静かな地獄。道具として使われる空子。 極端にも見える、秋人はじめ周りの男たちがどんどんつけ上がっていく様子は、けれど少し身に覚えもあった。 新入社員時代、何もできずミスを重ねどんどんオドオドと自信を無くしていった私に、どんどん態度が大きくより萎縮させるよう怒鳴るようになった上司。人は、対人との化学反応によってキャラクターが変容していく。 楽な方に流れてしまう。 ⚫︎ 10代の頃の残酷さや、加害される恐怖。 自分にもあったさまざまな恐怖体験や、なんとなく誰にも言えない気持ちや、夜道を帰って家のエレベーターが開くまでの祈るような気持ちなど、なんで忘れていたんだろう。 ⚫︎ グリーンな人、という表現も絶妙。 今の時代の、多様な人への配慮やコンプラで、地雷を踏まないようおそるおそる発言しているような空気感を言い当てられたような居心地悪い感じ。 ⚫︎ そんな空子が音と出会うところは、こちらまで胸が苦しくなった。友情にも蜜月がある、はその通りで、誰かとグーっと近くなる時の恋とは異なるが熱のある時期には覚えがある。 音との会話を読んでいると、あぁこの人が空子の唯一の理解者だったんだ、出会えて良かった、と思う一方で、これも音にとっては反応をトレースして同じような熱量に合わせてるだけでしょ?と虚しくなる感覚があり、空子とシンクロした気持ちになった。 ⚫︎ 白藤さんにとってはキサちゃんが、ずっと焦がれていた大事な存在というのもあとからわかり、それもつらい。 正しくあり続けるのはしんどい。流される方が楽というのもよくわかる。 ⚫︎ ピョコルン、すごいな。よく思いつくな。 でも、人間に便利な動物を作り出すとき、人は本当にこんな感じで自分を納得させていくのかも。 ピョコルンにとってはこれが幸せ、と良かれと思っての体裁をとって担わされるいろいろなこと。 子を産むのが女の幸せだから。子どものそばにいるのがいちばん。おなかを痛めて産んだ子だからかわいいの。 ⚫︎ ピョールを飼い始め、自分の中の明人に自覚的になるところも印象深い。 こんなにへとへとになって養ってるんだから、ご飯くらいまともなものを出せ。という気持ち。明人には明人の地獄がある。 ⚫︎ 記憶を共有して性格を均一する、という最後の結末。ディストピアでありユートピア。 楽に平和に生きていくならなんでもする、が極まるとここに向かうのかも。 いやーーー面白かった。 年代が飛んで、最初の方には何が起こったのかわからず、徐々に空白の時間の事実が明かされていく、という構成も読ませる。 忘れた頃にまた読みたいな。

    3
    投稿日: 2025.05.21
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    村田沙耶香さんの最新刊「世界99」をやっと読み終えました。 決して難しい言葉や表現を使っておられるわけでもないのに、物語に入り込むのがとても難しく、さらに一人の女性の一代記とも言える物語で、長編であることも疲れる要因だったように思います。 まず上巻で感じたのは、人間には外面というものがいくつもあること、それは相手によって変化してきたことによるものという、普段意識せず生活していることを、こうして物語として突きつけられると不思議な生き物だということでした。 そういう内容に近い作品は平野啓一郎さんの作品にも多くあり、珍しい題材ではないと思います。 村田さんは、外面を作り上げることを「呼応」と「トレース」と表現して、「無意識に相手に対しふさわしい人格を作りあげている」としていて面白いです。 主人公如月空子の行動や言動は、私には理解し難い部分もありますが、未来の話ではなく、今の社会はこういう流れで進んでいるのかもしれないと思わされます。 「ピョコルン」というペットとして扱われる生き物が上巻から登場、後半には向け、人間の性欲、出産、育児、介護といった重い役割を肩代わりするようになる様は、人は何のために生きているのかと考えさえられます。 確かに性欲、出産、育児、介護は人生の時間を食いつぶすという考えも仕方がないけれど、雑務というのは納得がいきません。 結局は「人類が到った極地」の人間が、ほぼ同じ穏やかな性格で、同じような顔の筋肉を使って微笑むのです。 「すばる」で著者初の3年以上にわたる長期連載、書籍化された本作は著者の代表作になるのではないでしょうか。

    8
    投稿日: 2025.05.20
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    上巻の答え合わせだとオイラは思った。 この作品だけではないけど、話し言葉と話し言葉の間をつなぐ文章に、真理があったと感じた。 それもその文章の中のほんの一文に。 疲れるけど、目をこらして一読されることをお勧めします。 「ウォーリーをさがせ」みたいに笑。

    20
    投稿日: 2025.05.20
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    小さいころから常に”空気を読んで”、他者が求める態度を感じとり実行する空子、人間の家事や性処理などを担うピョコルンという生き物の作製と活用、社会生活の中で虐げられる立場(母親や経済力のない女性)に置かれた人の気持ち、差別などなど、多くのことが盛り込まれた長編だった。グロテスクな内容もあるので好みは分かれると思う。私も途中まで読んでいい気持ちがしないところもあったが、ここで終わると嫌な部分を引きずりそうで何とか最後まで読み終えた。ディストピアっぽいが、この書籍から何かを引き出して考えるというのはなんか違うかなと思った。単に著者が表現したグロも混ざった世界や、自分の中にある第3者の視点や周囲に合わせる生き方などそのまま受け入れるしかないかと思う。最後の”記憶なんとか・・”は突然出てきて理解できず、それまで長編で細かく描写してきたので、その内容をもう少しまとめてほしいなと感じた。でもそれは私の読解力不足かもしれない。

    1
    投稿日: 2025.05.20
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     下巻も村田沙耶香さんらしい、不穏な、不穏すぎるストーリーでした!!  空子は49歳になり、同級生の白藤さんとその娘の波ちゃんと暮らしている。ピョコルンはさらに進化をとげ、家事をこなし遂には出産までできるようになり…差別を受けていたラロロン人は、その高い能力に空子たちのようなクリーンな人から崇め称えらるようになって…。空子は自分の人生を振り返り、ある決断をすることに…。  というか、上巻は空子自身が、下巻はそれを取り巻くすべてのことが、異質なものというのか、ザワザワする感じを抑えられませんでした。村田沙耶香さんはやっぱり、ぶっ飛んでるわぁ!!上下巻あわせて800ページ越えの超大作ですが、いつもと違う読書時間を持ちたい方におすすめしたいです。

    93
    投稿日: 2025.05.20
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    結構グロい描写が多くて、うおっとくるところはあります。上巻の方がキツかったかなー結構強烈です。 村田作品にある程度慣れてから読んだので耐性がありましたが、初読で学生の時とかだったらトラウマになりそう…ディストピア100%です。 ただ差別とか人格の「呼応」や「トレース」とか人間なら皆がやってることなので、そうそうと思いながら一気に読み、翻訳されたら世界的にも衝撃的なのではと思うぐらいの傑作だと思いました。

    16
    投稿日: 2025.05.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    これ、色んな人が理想とする世界の話なのではないか。一方で、自分の倫理観としてはこんな世界は間違っているとも思うし、この世界における幸せってなんなのかとも考えてしまう。正しい、正しくないの話でもない。 上巻・下巻ごとに感想を整理すると、上巻は主に“性”の話がメインであった。女性として生まれた人間は、家事・育児を担い、そして異性の性欲に応える生き物として奴隷のようにして生きていることが描かれている。特に性の描写はリアルで、空子が考えていたようなことを、かつて自分も考えていた。話の内容も、空子の考え方もすごく自分に近しいところがあったからこそ、読み進めるのが辛いくらい。女性って奴隷のような扱いされてるよなと。だからこそ、ピョコルンが性的欲求を満たす存在になることは、すごく希望に思えた。 下巻はそんなピョコルンを中心とした生の話。家事・出産・育児ができるとはいえ、ピョコルンは完璧ではない。むしろ完璧ではない部分を補う必要があるし、生活面で養わなければならないため、結局は人間は疲弊している。そして、この時代に生きる人間は清潔で、善良であることを求められている。「なんで皆んなもっと穏やかでいられないんだろう。優しく、謙虚でいられないんだろう」と誰もが一度は考えたことのある理想の世界が実現したら、多分こうなる。ある意味での考えや表現の統制。この世界に馴染めない人はどんどんそんな自分にうんざりして、疲れて、この世界から脱出したくなる。そんな人たちにとって、ピョコルンが新たな希望となる。死んで、ピョコルンに生まれ変わることが。 印象的だったのは、序盤は正しい世界を生きている、正しく真っ直ぐ生きていると思えていた白藤遥が、最後は世界に順応できていない人間として扱われていることだった。彼女はおそらく、誰よりも“自分”というものがあった。だから世界に順応できず、かといって世界から離脱するという選択もできなかった。ある意味でクリーンで善良すぎたのかもしれない。自分を貫くことは、幸せなのか、不幸なのか。 どの人間も、そのときの自分にとっての最善や幸せだと思われる選択をしているように思える。誰もが幸せな人生を望んでいる。それがどのような形であったとしても。

    3
    投稿日: 2025.05.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    上巻とは雰囲気がかなり変わった印象。他人に対しての悪意や敵意のある言動がない世の中は素敵だと思ったが、みんなが同じ性格になるのは怖いと思った。ピョコルンが女性の負担を代わってくれて、性別関係なくパートナーを選べる世界はとても生きやすいと思った。

    2
    投稿日: 2025.05.19
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    上下巻のかなりボリュームのあるお話を読み終えて、放心。 こんな世界が理想になるのが怖いと感じる私の感覚は、正常なのか、異常なのか。 正常だと信じたい。 でも、こういう世界を望んでいる人もいるのかもしれない。 そういう人たちの気持ちを想像できない私は、「かわいそうな人」なのか? 本書の世界では、「女性=搾取される側」という前提で描かれている。でも、女性である私は、自分の人生でこれほど気持ち悪い経験をしたことがない。 だから、この世界は怖いと感じるのかもしれない。 ピョコルンがいる本書の世界をどう思うかによって、自分の倫理観が試されているような気がする。 怖いけど、一気読みするくらい、この世界に引きずりこまれてしまった。

    10
    投稿日: 2025.05.19
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    「リセット」後の世界。空子は以前ほど分裂した生き方はしていないが相手や集団により意識的に人格を変えて生きている。白藤さん、波ちゃんと実家で一緒に暮らしており、読み手からすると家族のように思える。そして家族のような単位にはピョコルンがだいたいついて回る。ピョコルンの正体が明らかになった今、ピョコルンに蘇生させられるのはラロロリン人だけ。生きているうちは優遇され、死んだあとは性欲や繁殖に利用される道具となる。...というあらましを書いているだけで鬱々となってしまう世界が繰り広げられました。 いきなり「母ルン」と直球で表現されたこのワードが一番自分に刺さったかも。今の自分が、いやーいま母ルンだなぁと思う瞬間、たしかにあります。でも、相手のことを思ってやると自分に返ってくることもあるし(自分だけのためには毎日ちゃんと料理できないとか)。すべての人はかかわりあって生きるので、損得だけじゃ動かないし、そういう行動が心を動かすというか愛情が生まれているというような部分が欠落しているので、この本の世界は嫌らしいんだろうなぁと思います。 最後の空子の選択はうまく生きていこうとしている彼女が選ぶのが不可解。何得でそれを選んだ?って思いました。

    6
    投稿日: 2025.05.19
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    まず第一の感想はやっと読み終わった。体力のいる本だった。(上)もきつかったけど(下)はもっときつい!でも入ったら出口まで抜け出せないそんな世界。

    23
    投稿日: 2025.05.18
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    恐ろしかった。終始。 これをみんなが読んで、みんながこれについて考えたらどうなるんだろう、と考えるとさらに恐ろしくなった。

    2
    投稿日: 2025.05.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    上で、ラストどうやって締めくくるんだろうなぁ、と思っていた。もう、割とキモいのは上でもう結構インパクトあったので、どうするのかな。と。まあ、やっぱり上より総合的にはインパクトは減っていた。この世界観に慣れてしまったのは結構怖い(笑)。 最後、主人公がピョコルンになってしまうのは、、まあ、すごい。本当、変化していくんだなあ、個も全体も。

    5
    投稿日: 2025.05.18
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     性格がないというヒロイン如月空が「呼応」と「トレース」を使って安全でらくちんに生きる生活を実現する話の下巻。  上巻でラロロリン人とピョコルンにより世界が一変し、再構築された世界。  果たして世界99がどうなるのか?  空子はこの世界をどう生きるのか。  空子が世界に呼応しトレースした結果、たどり着いたものとは?  というお話。  上巻は2章までですが、下巻はほぼ第三章のみが描かれています。  第一章は自分自身の分裂を、第二章では自分の属する世界ごとに使い分ける自分を描いていたわけですが、第三章は?  ネタバレになってしまうので敢えて書きませんが、章がすすむごとに、どんどん無個性な世界になっていき、それがまたあながち異常な世界とも言えないのが本作品の凄いところかなと思います。  読んでいるときの感じは、鬱っそうとしてなかなか読むのが正直しんどい感じでもあるし、とは言え、ドンドン読み進めたくなる不思議さのある作品。  読後は、ヤバいのを読んだなと感じるほどに、本作品は本当に架空のディストピアの話なのか?と思います。  ただ、読んでいると、おぼろげながらに見えていた「世界99」。  第三章で「世界99」とは何だったんだろうか?  読後、考えてはいるものの、なんとなしに答えが見つかりそうで見つからない。  ただ、なんとなく思うのは、「世界99」の世界に垣根がなくなると第四章のような世界なのだろう。  そんなことを思いながら、いろいろなことを少し時間を使って考えてみたいと思える作品です。  

    3
    投稿日: 2025.05.17
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    49歳になった空子は「クリーンな人」として、美しく優しい世界を生きている。生まれ育った街「クリーン・タウン」の実家に戻り、同級生の白藤遥とその娘・波とともにー。「クリーンな人」になれば人は生きやすくなるのでは?と思いきや、感情を持たないロボットのよう。99の世界を持って生きるのもしんどいけど、クリーンな人になるのも嫌。生きるのってなかなか難しい。いろいろ考えさせられるけど、村田沙耶香作品堪能しました。

    7
    投稿日: 2025.05.17
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    もはやピョコルンに何が起ころうが、驚かなくなっている自分が怖い。 世界の価値観、記憶が大きく変化しても、青空だけは変わらないのが救い。 ピョコルングッズがあるなら、ちょっと欲しいかもしれない。

    2
    投稿日: 2025.05.17
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    これまで持っていた、持たされていた?倫理観を覆させられた。 どこかで自分のそれを疑いながらも、なんとなく生きて来たことを思い知った。なぜなら、それが楽だから。 搾取されていると感じることは、日々の暮らしの中で多々あって、でもそれはきっと社会という枠組みの中で安心して生きて行く為に支払う対価のようなもので、そのフラストレーションを喜怒哀楽という感情にぶつけて昇華させることで、人は何とか自分を保っているのではないかと思う。 感情を発生させる為に、他者が必要で、それがきっと格差を生む。 読み終えて、自分の様々な感情の発生源は汚れており、だがそれは、人間の持つ動物的な本能なのではないかと思う。未来永劫、人に備わった生殖する為の機能なのではないか。

    10
    投稿日: 2025.05.16
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    どういう着地の仕方をするんだろうと気になっていました 終始薄気味悪くて不気味、自分がどこにいるかわからなくなる 読後その世界観を引きずることも、こんなに体力的にも精神的にも持っていかれたことも初めてで、余韻が長く続きそう 当分他の本には手をつけられないとおもう

    2
    投稿日: 2025.05.16
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    「呼応」と「トレース」が必要なくなってゆく下巻の評価は、上巻よりも下がるんだなあと。 この世界に疲れて飽きさせてゆくところまで含まれているなら、やはり村田沙耶香は私にとっての音ちゃん。 「白藤さんって、差別しないためならなんでもやるんだな」 という台詞がけっこうなパワーワード。 と、 全て読みきった上でやっぱりピョコルンというネーミングセンスに脱帽する。

    3
    投稿日: 2025.05.16
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    2025年5月15日、グラビティの読書の星で紹介してる男性がいた。上巻の写真。「高ぇ…」 「村田沙耶香さんって夏目漱石っぽいなと感じるのは俺だけでしょうか。」

    1
    投稿日: 2025.05.15