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総合評価

596件)
3.9
181
176
148
30
6
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    このレビューはネタバレを含みます。

    まず読み終わって考えたのは作者のこと どんな人がこの本を書き上げたのだろうかということでした、ちゃんと調べました! 個人的には上と比べると心理描写が多く感じたので少し手が止まるところが多かった、それこそが思惑かな?!学生時代との年齢的な違いが下に現れてるのかな?!と今は思ってます! 普段社会に出てる人が感じているであろうこととSF?みたいなのが織り混ざってできてる話で見透かされているようで怖い、ある意味人間らしい 主人公気持ちを見てきた私たちこそが世界99の住人かな

    3
    投稿日: 2026.01.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    早く読まなきゃと急かされるように読んだ下巻。なかなかの読み応えがあった。 スッキリエンディング好きなわたしにはスッキリしないどころかなかなかの恐怖エンディングで、そこがまた面白かった。苦手な人もいると思う! 読書中も読後も脳内には映像が浮かんできて、それだけ想像力が掻き立てられる本で、読んだことを誰かに伝えたくてしょうがなくなる。 ピョコルン、途中まではあってもいいかも欲しいかも?と思ってたけど、だけど、どんどん人間の便利さだけ追求した世界の道具になっていくさまが恐ろしかった。 少しだけ自分を演じて、周りに合わせて、ほんとの自分ってなに?って思ったこと誰でもあると思うけど、その感覚をどんどん深く追求してく主人公の気持ちはわたしの中にもあると思った。

    0
    投稿日: 2026.01.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    この物語の主要人物は空子、白藤、音の3人。 空っぽな空子と、信念に頑なな白藤の対比が印象的で、面白い。 音は空子をさらに上回る「世界99」の人物で、空子にとっては唯一の理解者なのだろう。物語が進むにつれて、空子や白藤を上から見下ろす「神」のような存在に感じられた。 随所に「わかる!」と思えることが多々あった。感動は娯楽、悲劇も娯楽。差別者じゃない人間はいない。事実は歪曲され、記憶は変わる。感動は視野を狭くし、中毒性もある――そのような「真実」が言語化され、突きつけられる。 後半、空子は自分の「記憶」を差し出し、ピョコルンになる「儀式」に向かう。自殺に近い行為なのに、描かれ方は晴れやかだ。空子の苦悩からの解放でもあるのだろう。 最後の第4章では、人間の肉体的・精神的苦悩から解放される未来が描かれて、物語は終わる。 しかし、果たしてこれは理想なのだろうか?人間らしさからの解放なのだろうか?汚い感情を捨て去り、均一化した人間になる未来には、薄気味悪さを感じた。

    0
    投稿日: 2026.01.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    強烈な近代dystopia小説でした。 主人公の空子が現代の分人主義的な立ち回りをしており、ちょっと分かるなーという場面もあり、強制的に世界観に移入させられる場面が個人的にすごく心地よかったです。 上巻では人間の穢れが強く前に出されているように感じたが、下巻では人間らしさを排除していくことを前に出されていき、それに抗う人間白ちゃんに少し感情移入もいたが、もはや登場人物も設定も全て狂っているのでもはや感情移入ではなく、自分の世界(価値観や思考)が一つ拡張される読後感でした。 これを機に村田さんの作品を色々読んでみようと思います。

    1
    投稿日: 2026.01.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    最後までテンポよく読み切ることができた。最後は、ピョコルンになった後も自我があるってこと?それに1番ぞっとした。じゃあ、初代ピョールを襲っていたピョコルンはやっぱり明人の自我が残っていたのか、とか、性的消費とか出産とか請け負うの地獄...

    2
    投稿日: 2026.01.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    『村上春樹の読みかた』で石原千秋氏が提示した「二人の村上春樹」という切り口を携え、上巻で感じたあの奇妙な違和感の正体を突き止めるべく下巻へ飛び込んだ。読み終えた今、私の脳内には「もやっとした霧」ではなく、作品の構造を多角的に解剖したあとのような、冷静でいてリアルな手触りが残っている。  上巻で抱いた最大の違和感は、カオスであるはずの子供の心理が、あまりに理路整然と、かつ冷徹に分析・言語化されている点だった。賢くないはずの設定なのに、瞬時の判断で困難を乗り切る子供たち。その姿は伊坂幸太郎作品の寓話的なキャラクターのようでもあった。しかし、下巻を読み進めるうちに、この「違和感」こそが村田氏の仕掛けた計算ずくの罠であり、読者を「人間というシステムの外部」へ連れ出すための装置であったことに気づかされる。  物語のクライマックス、主人公・空子が「ピョコルン」になることを選んだ結末について、私の中にいる「二人の読者」が激しく対立した。  一人の私は、これを「究極のハッピーエンド」として祝福した。空子はついに、自分を「やり過ごす術」だけで摩耗させてきた残酷な現実から脱獄し、魂が安らげる場所へ天に召されたのだ。物語がピタリと着地したようなスッキリとした充足感。そこには確かに救いがあった。  しかし、もう一人の私は、これを「救いのない不全感」として拒絶した。どれほど過酷であっても、人間を辞めることでしか辿り着けない結末はあまりに悲しく、読後感として受け入れがたい。この相反する二つの感情が同時に成立すること自体が、村田マジックの真骨頂なのだろう。  村上春樹が深い葛藤の末に「あちら側」と「こちら側」を往来するのだとしたら、村田氏の描く空子たちは、多角的な検討の末に「人間性の放棄」を驚くほどスッキリと選び取ってしまう。その冷静な切り口は、読者である私に「へー、そんな風に感じるのか」と、ある種、知的な頭の体操を強いるような客観性を与えてくれた。この冷徹さがあるからこそ、読者は没入するだけでなく、物語を「設計図」として俯瞰することができる。  星をいくつにするべきか、非常に迷った。星1をつける自分(人間性の喪失に不満を抱く自分)と、星5をつける自分(システムからの脱出を肯定する自分)が同居しているからだ。だが、最終的に星5を選びたい。それは、一つの結末に対してこれほどまでに多層的な評価を可能にし、自分の中の批評眼を呼び覚ましてくれた、この読書体験全体への敬意である。  正しい読み方などない。ただ、補助線を一本引くだけで、物語の解像度は劇的に上がる。本作は、私に「読み手としての自由」と、多角的に物事を捉えることの快感を教えてくれた。このリアルな充足感を抱えたまま、次の一冊へ向かいたい。

    0
    投稿日: 2026.01.25
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    人間の世界を便利にするために生み出されたピョコルンのはすが、いつのまにかピョコルンに行動を支配されてる様子が生々しかった。 究極的にクリーンな方へ向かおうとすると、無機質・画一的になってしまうのかな。シンプルで統制されてて、整った美しさはあるけど、そこに豊かさはあるのかな。世界の未来の姿を想像しながら読んだ。 全体を通して、 コンビニ人間でも感じた、自分が違和感を覚えてるけどその場のために取り繕ってることが、この物語では鮮明に描かれてて、共感したり居心地の悪さを感じたり、どこか自分ごととしても捉えながら読んでいた。

    2
    投稿日: 2026.01.23
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    読み終わったあと、何だか体の力が抜けて心地よさもありました。 『生命式』に収録されていた短編の「孵化」が好きだったので、長編として『世界99』を生み出してくださり感謝の気持ちでいっぱいです! それぞれの環境で『呼応』していく主人公の空子に共感するところは多くの人が当てはまるのではないでしょうか? 私も『トレース』+『呼応』してきたことが多々ありました。 現在仕事でも、一対一の接客業をしているので日々多少なり行なっている行為です。 ただ、こうしてると本当の私はどんな人間なんだと考えることもあり、また、『呼応』が下手な人は苦手というか、そういう面が過敏なんだろう、空子のような人が身近にいれば私は生きやすいのかなと思いました。 「普通とは何だ?」「こう思っているのは異常?」と思うことも沙耶香さんが代弁してくださっていて、救われることがとても多いです。 是非読まれる際は、上下巻合わせて読み始めてほしいです!

    15
    投稿日: 2026.01.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    最後はなぜか清々しい終わり方だった。 ピョコルンが世界を変えた。キャラを自在に操り、どんな世界にもその世界に応じた生き方をした空子。明人と結婚し、道具として使われて続ける人生。それは、今の社会を象徴していて、誰かに使われ、酷使されて、つぶれていく。でも、その生活もピョコルンによって終わり、空子とは、逆に自分の正義を貫き、世の中に抗い続けた白藤さんの生活もどんどん破綻していく。 その2人が歪な家族のようになり、その子どもたちもまた歪んだような人生をおくる。 最後は、空子は集団でピョコルンになる儀式に参加し、今までの人生を自分の手で終わりにする。 自分もまだ、常に世界に所属し誰かしらに媚びながら生きている。媚びないこともあるが、基本媚びてばかりで嫌になる。そんな見せかけだけの幸せの中で生きている。 物語の大きなテーマとしての性欲。自分もどう扱ったらいいか混乱している。ピョコルンのような吐口があればなとも思うし、それはないだろとも思う。 ピョコルンは世界を幸せにしたのだろうか。 記憶を好きなように調合して、ストレスなくクリーンに生きることが幸せなのだろうか。 空子の生きた50年。それは過酷な人生。賞味期限とか、妻を家電とかいって、過剰に書き連ねるが、現代社会の風刺であって、こんな話ありえないけど、どこかありえてしまうような話。 自分の人生を自分の手で生きていく。それはとても難しいことで無理に近い。それでも、自分なりに考えて時には媚びることもあるけど、自分で自分の人生切り開いて行きたいと思った。そんなことが本当にできるのかはわからないけど。

    2
    投稿日: 2026.01.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    オーディブルで読み聴く。行き着く世界が、自ら記憶調整をし、不快な言動をしない、均質な世界とは…そこから外れるのはピョコリンか、化石化した存在か。読み聞きながら、波長が合わないかもと思いつつ、最後まで聴き続かせられる内容だった

    0
    投稿日: 2026.01.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    読み終わって疲労感が半端ない。 疲れた、、ってしんどくなる。小説って読み終わりたくないこの世界にずっといたいって思う時もあるけど、この作品は早くこの世界から逃げ出したいって思ってすぐに読み終わった。 でも上下巻ともに一気読みしたのでそういう意味では面白い作品だった! 下巻はぶっ飛びすぎる。 ただ女性が出産しなくてよくて子宮も取って生理痛も知らない世界羨ましすぎる。 女性ってだけで性的対象に見られなくて済むのも羨ましい。 結果的に最後の描写からして、ピョコルンも実は感情があるんじゃないかって思った。

    5
    投稿日: 2026.01.19
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    読後感、しんどい。だから星4。 みんなが認める筆力、設定、すごかった。 考えることが多くて、消耗しながら読み進めた。呼応、トレース、粒子。納得の表現がたくさんあり、私の普段を見透かされている居心地の悪さがつきまとった。 白藤さんと空子の母のことは、繰り返し思い出して、考えると思う。

    1
    投稿日: 2026.01.18
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    認識の枠の描写が凄まじく、どこか近くて遠いところの本当の話だった、そして起きつつあるのかもしれないしもう起きているのかもしれない、記憶の混濁、過去の改竄、漂白された未来。

    0
    投稿日: 2026.01.17
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    なんとも言えない感情! 読む前はピョコルンをかわいい生き物だと思っていて、でも読み進めるうちにそんなイメージではなくなり…これもわたしのルッキズムの現れなのか?と思ったり。 「汚い感情」は見せないとか、なんだか現実に通じるところがあって、常に少し肌寒い気持ちで読んだ。

    1
    投稿日: 2026.01.17
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    自身を“人間ロボット”と評する性格のない空子と、ある秘密を持つ虚構の愛玩動物ピョコルンを通して見る過去・現在・未来。 醜悪な糸だけで織ったキモいタペストリーみたいな物語でどこを見渡しても悪趣味だったが、これが誰かの生きる現実でもある。 みんな疲れていて、バラバラ。 空子が大きくなる毎にどんどん世界は断絶されていき、様々な形の差別、搾取、一方的な関係性で人生が満たされていく。 極端に単純化されたそれらを読み続けてさすがにげんなりしたが、上巻の終わりでグロいブラックボックスが開けられ、なるほどこういう物語だったか...となるなど。そこからも紆余曲折長かったが。 いつもの短編のエッジの効いた結末じゃなく、じっくりじっくり冷静に狂い続けている人生を固唾を飲んで見守った。

    1
    投稿日: 2026.01.17
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    みんな読もう!この人の世界は面白い! だか、上下巻ある通り長い、、、まだ読んでいない方は上巻だけでも読むことをお勧めする。 Kindleの上下巻合本版を読みました。 みんな読もう!と最初に書いたものの、この本を読むと良くも悪くも視野が広がり世界を見る目が変わってしまうかもしれない。 村田沙耶香さんの本は何冊か読んだが自分が気づくことがない視点を教えられる。 この話は被害者や弱者を俯瞰した視点が多く書かれ、中には 世界中の人が被害者であり加害者を兼ねている という1文があるように、読者も問答無用で巻き込んでいく。 実生活の中でも共感できることもあれば、こんな考え方もあるのかと驚かされたこともあった。 下巻の話はあまり触れていないが、ちょっとだけ物足りなさが残った、、、せめて白藤さんが亡くなるまで書いて欲しかったな〜と思った。 共感してくれる人いる?

    1
    投稿日: 2026.01.16
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    主人公の空子は、自分には本当の性格がないと感じていて、周りの人にあわせていくつものキャラクターを使い分けて生きていた。 後編では、空子はたくさんのキャラを使い分けることは少なくなっていて、人格形成の要因として記憶に焦点が当たる。その人の記憶が考え方や行動を決定するのだけれど、その記憶も自分たちに都合のいいよう編集や改ざんされることがあって、空子はそのことを半ば自覚している。 そうした描写がとても説得力があって、自分の思考もその時々で発生する泡のようなものなのかもしれないと思った。

    0
    投稿日: 2026.01.16
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    正直に言うと、上巻〜下巻中盤までは陰鬱かつ退屈な内容で、ああ、こういう視点で世界を見ているんだなという気持ちであった。しかしそこまでは壮大な前振りであり、下巻中盤から畳み掛けるように世界が動き、何重にもメタ視点を重ねたような見え方からの圧巻の幕引きであった。

    1
    投稿日: 2026.01.16
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    えげつないけどえげつないのが人生なんだよねぇー悲しいかなってつくづく思う。 自分よりもシタの人間を作って自分はまだましと凌いでいくしかない現実もあったり、そんなことは寂しくてもっと豊かな気持ちになりたいと思ってみたり、常にウエを羨ましがって妬んでみたり。その時々で人格を変えるのも当たり前~だと自分も生きてきた。 でも最近は、自分の素のままで生きられる人間関係にしか参加しなくなってすっかりストレスも減ったなぁ。 主人公空子も最後の最後で自分の人生を生き、終えられたようで、それがどんな最期であろうとも彼女にとっては幸せなことだったのではないだろうか。

    0
    投稿日: 2026.01.15
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    上巻が衝撃的すぎただけに、下巻はそれを超えては来なかったかなというのが正直なところ。 入り込めなかった理由を探そうと思えば、色々見つけられる。上巻ほど場面の転換がなく各シーンが長かったことや、本格的にディストピアになったことで設定が入ってきづらくなったこと、あとは単純に一気読みしすぎてこの本の世界に慣れ切ってしまったこと等々。 だがおそらく最大の原因は、下巻の途中から出産・育児にテーマが収束していったことだと思っている。 上巻で僕が好きだったのは、学校でのいじめや男尊女卑、性的搾取、人種差別、収入格差や「世界」間の断絶など、この世のありとあらゆる醜い面にスポットが当たり、その中で時として加害者にも被害者にもなる人間のどうしようもなさだった。 そしてそういう在り方にある程度自覚的でありつつ、極端なまでにキャラを使い分ける空子へのそこはかとない共感。 言葉にするのが難しく、かつ怖くもあるが(僕自身の歪みを露呈するかもしれず、その上、読書中の記憶を「改竄」することにもなりかねないので)、おおむねそんなところじゃないかと思う。 そこへ行くと、下巻の育児・出産というテーマは男性かつ未婚の僕にとっては、どうしても没入しがたいものだった。かと言って、空子「一家」の行く末という物語的な筋だけを追うには、今までが刺激的すぎた。 あとこれは難癖にも近いことと承知の上で言うが、現実世界(だと、僕が思っている世界)よりも遥かに楽しくない世界を、ほら、これが世界だよとばかりに見せつけられるとうんざりしてしまう。しかもこのページ数で。 僕は今の世の中、そんなに辛いことばかりじゃないと思ってるけど。もちろんそう思わない人も大勢いるのは分かってるけど、僕がどう思うかは自由じゃない?1ページめくるごとにだんだんと、そう言いたい気持ちが募ってくる。 僕がたまたま恵まれた環境にいること(例えば、男性として生まれて、男性からの性的搾取を恐れず暮らせていること)に無責任な、傲慢な態度と言われるかもしれない。 反対に、別にお前を批判してるわけじゃない、そんなのは被害妄想だと言われるかもしれない。 それでも、こういう世界観のものにずっと触れているのは率直に言って気分のいいものじゃない。この数日間で上下巻と一気に読んでかなり消耗した。「うさぎの国」の住人じゃないが、次はもっと穏やかな気持ちになれる本を読もうかな。

    5
    投稿日: 2026.01.15
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    上巻の勢いで、どんなふうに展開されるのかと思っていたが、表面上ゆったり穏やかな感じで下巻は始まった。(第三章の)ラストは視覚的に信じられない残酷さだが、なんとなくゆったりした雰囲気で描かれていて怖い。ずっと怖い。ディストピアなのにユートピア調。だから怖いのか。 すごい小説であることは確かなのだが、それを表現する術が私にはない。 読書会とか全く参加しようと思ったことはないが、この小説に関しては、少しずつ少しずつ、他の人の感想や解釈を聞きながら読み進めていきたくなるような、そんな感じがする。1人で背負いきれない小説だ。

    1
    投稿日: 2026.01.14
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    上の最後の怒涛の展開からスピードにのってくるかと思いきや、ずっと不穏な空気感をまといながら静かな感じで進んでいった。上に続き、性欲の話や描写が多すぎて、ちょっと疲れた。(終着点に向かうためにはうんざりする必要があるからだとは思うが) 琴花や波が痴漢に襲われそうな時、空子がシスターフッド的な感じで守ったのがなんだか嬉しかった。あそこは周りの目を気にした顔ではない、誰かの真似ではなく空子自身の感情からの動きだったと思う。 すっきり終わることはないだろうと思っていたけど、終わりは正直なところ可もなく不可もなく… 今後読み返すことはないと思うので、勢いで全部読み切れてよかった。

    2
    投稿日: 2026.01.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    前半は平成っぽかったので後半は令和っぽくなるかなと思いましたが違いました。それっぽい感じもあるけどもうちょっと極端な感じでした。 現実世界と比べて、一部が削ぎ落とされている感じだけど、実際、現実世界がこんなふうに見えている人もいるかもなと思ったりしました。主人公が一番普通、ってのもわからなくはないです。 朝ドラっぽいけど本当に朝ドラでやったら朝からドキドキしちゃうよなと思いました。

    0
    投稿日: 2026.01.14
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    『世界99』下巻はわざわざ「麻酔」と「絶望」を同じ箱に詰めてくる。人が好きな“わかりやすい結論”を与えるくらいなら、最初からこんな息苦しい配線図なんて描かない。 その意地悪さが、私は好きだ。 結論だけ言うと、下巻は。どこで「許せる」と言い、どこで「許せない」と言うか。その線引きが、そのまま読後感の色になる。

    0
    投稿日: 2026.01.13
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    あまり心地よい読了感を感じない小説だよねと、ずっと手が伸びず、積読となっていた本。 年が明け、心機一転、まずはこの小説を読まないと次に進めないと思い、読み始める。 ピョコルン、ラロロリン人など、どうにもファンシーなものを彷彿させる言葉と、不快感を感じずにはいられないストーリー展開が対照的。それにより、余計にえもいわれぬ気持ち悪さが増してくる。 支配する者も、またその支配される対象から支配されている。確かに、言い得て妙だなと思う。 主人公の空子が本当に空っぽなのかは分からないが、「呼応」と「トレース」は多分私たちも自然としていることだと思う。 それをせずに一つの世界にだけ生きようとすると、他の世界から爪弾きにされてしまう。今は多様性と言えば許される時代になってきているのかも知れないけど。 それでも、現代の多くの人が世界99を生きている気がする。 「きれいな言葉」に満ちた世界は、人同士の諍いや犯罪、もっと言えば戦争もなくなるのだろうか。 そもそも、人間は何のために存在しているのだろうか。 この小説を読んでいると分からなくなる。 私は、格好悪くても最後までもがき苦しみながら、自分であろうとする白藤さんが一番印象的で人間らしいなと思った。最後、彼女がどんな表情をしていたのか、なんとなく想像できてしまう。

    0
    投稿日: 2026.01.12
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    メタ的にみた人間の傲慢さ・気色悪さの揶揄はやはりうまく、期待していた『コンビニ人間』的栄養素はたっぷり摂取できた。ただ、この手の「先進的な人たちをシニカルに見るとこうです」って視点は近頃すこし食傷気味なのも事実。ネットに入り浸ってない人たちには新鮮なんでしょう、の感想。ネット上の論争(というか殴り合い)が小説に導入される流れってもう止まらないのかね。 下巻はジェンダー的な問題意識が強めで、正直冗長に感じた。結婚も出産も、結局は愛っていう感情がベースで双方利害的に帳尻は合わないわけだから、当事者性がないと理解できないのは当然で、最後までどちらも経験しない空子が母を「母ルン」と断罪せざるを得ない(苦労しながらも感じたであろう幸せを想像できない)あたり、非当事者はいつまで経っても”娘”としての視点しか持ち得ないという皮肉な証明になっている。自分の生きづらさを強調するために、自分の性に期待される役割をすべて”被害”として援用する昨今のジェンダー論と同じ苦しさがある。ピョコルンという斬新な装置による新視点を期待していたけど、このテーマについては上巻の鋭さがないどころか存外陳腐な被害者意識だけがあり、長さの割に得るものがなかったなというのが正直な感想。 ニワカSFファンとして言えば、第3の性別としてピョコルンを導入する本作の思考実験的試みはたしかにSF的だけれど、社会的インパクトの空想はほどほどに、男→女の(女性視点の)抑圧が転写されたときの心理作用を主眼においたストーリーはSFと呼ぶには規模感が小さすぎるし、偏った要素だけで演繹したディストピアはSF的観察に耐えるだけの強度がない。本作をSFと呼ぶのは作者にとっても手に取る人間にとっても不幸でしかないと思う。 思うに、こういうメタ視点の揶揄系ストーリーはどれかひとつの属性に肩入れしすぎると途端に陳腐になるということなんだろう。排外主義とか海外羨望とかスピ界隈とかモラハラ男とか、自分の嫌悪対象が揶揄されている瞬間は痛快な一方、終始誰かの陰口で盛り上がっているような居心地の悪さがある。面白い瞬間はあったけど、自分は最後まで好きになりきれなかったな。

    8
    投稿日: 2026.01.12
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    上下巻読んで、、 主人公の如月空子の思考や世界観に共感できる部分が多く楽しく読めた。 世界線は現実世界と似ていてLGBTQやSDGs的な考え方も多く勉強になる部分もあった。 一部偏った思想や少し誇張した差別的な部分もあったが自分は物語の設定の一部として面白く読めた。(この一部偏った思想や少し誇張した差別的な部分が好ましくない人もいると思った。)

    2
    投稿日: 2026.01.12
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    以前飲み会で、子供は卵で生まれるべきだと冗談めいて言っている女性がいた。彼女はこれを読んだら、なんて言うだろう。 全編を通して、テーマは性と格差だと思う。 主人公の空子は、周囲の空気に合わせる呼応を繰り返しながら、生きていく。富裕層とマイルドヤンキーなど様々な階層を生き来しながら、コミュ力MAXの社会不適合者として生きていく。 女性が一方的に不利益を被っている出産と育児がピョコルンという生き物で代替された社会。いびつな現実に向き合うことなく、例え過去が改変されようとも、ただただやり過ごす。思考停止状態をコンフォートゾーンとして描くシーンは、異様な設定ながら、どこか現代に訴えかけるものがある。 どんどん異常性を増していく世の中に、全くブレーキがかからないまま終わっていく。唯一自分を見失わないようにしている主人公の幼馴染?だけが浮いた存在になる。 読んだ後、心に違和感しか残らない、でも共感もできる怪作。

    1
    投稿日: 2026.01.11
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    なんかこうイヤな世界。 作者から見た世界はこんな感じなのか。かなり俯瞰してみている世界なのか。 上下巻の長い話でした。 ヒロインと初めて「新しい人格」を作るきっかけになった白藤さんの関係はもうなんというかこう。 白藤さんも白藤さんなんだよなぁ。という。 変化し続け価値観を変え世界に迎合して流れるままに生きるヒロインと、頑なに価値観を世界を変えられない。 ある意味、見て見ぬ振りをする白藤さん。 二人の対局にある生き方、どちらもあり得るなぁと思いつつ読了。 これからもずっと「うわぁ、イヤな世界だわ」と感じる小説を書き続けて欲しい。

    2
    投稿日: 2026.01.11
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    呼応…適応…トレース そらまめ ゆず納豆 白藤波 白藤遥 如月空子 月城明人 アミ ジュン 莉愛奈 サキ 権現堂 レナ 小高琴花 野口 トシ 氷砂糖 油小路 小早川音 小早川奏 匠 ナオト先生 ミント 雪うさぎ ピョール 西山 八木 行木 徳岡 ぼたもち 三木元 ナナコ 睦月 京介 曽根 森 鹿島 雨 西川 斎藤 高崎 ナミ コトハ アズミ ハヤト シュン

    1
    投稿日: 2026.01.10
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    周りの人たちの雰囲気や空気を読んでキャラをちょっと変えてみたり、浮かずに言いたいことを伝えるために声の強さやトーンを変えてみたり、こんなことはみんな普通にやっているはず。 そんなことをしながら、本当の自分はちゃんと確かにいるってなにも考えずに信じていたけど、本当にそうなんだろうか? 周囲を気にして合わせたり、自分のモヤモヤを発散するために周りに同調しているうちに、本当の自分の気持ちが分からなくなっていることって、結構あったりするんじゃないか。 自分の本当の気持ちが分からない人が集まる中で生まれる分断って、いったい何? 読めば読むほど、今自分の周りで起こっていることがどんどん分からなくなって、分からないから怖くなって、でも読むのをやめられない作品だった。 「わからないけどわかりたい」とみんなが思うことで共生できるとか、そんなことでは済まないところまで分断はこじれてしまってるんだろうか。

    2
    投稿日: 2026.01.10
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    終盤は自分の理解力が追いつかず、びっくりした。「呼応」「かわいそうは娯楽」「人間ロボット」「環境と時代が空の人間を動かしている」などパワーワードがグサリと刺さった。残酷な現実を、現実的ではない話に落としこみながら、読者に現実を突きつける感じに圧倒される。どうやったらこんな面白怖い話が思いつけるのか、、、恐ろしい笑 上も含めて5

    1
    投稿日: 2026.01.10
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    人間誰しも被害性と同時に加害性も持ち合わせている。 異常だと思う景色も時代や環境が変われば常識。 登場人物の価値観の変化が面白い。

    1
    投稿日: 2026.01.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    終盤で主人公の担当医が、かわいそうな人を見て涙を流すと心が綺麗になる、という旨の発言をし、主人公が少し嘲笑的な目線を向けながら同意している描写があったが、自分も本書に登場する「かわいそうな登場人物」に感情移入し、娯楽として消費している側面があることに気付き、妙に納得させられてしまった。 物語序盤で自殺したレナであったり、世界に呼応し過ぎることとで消耗させられている音や奏であったり、価値観をアップデートできずに世の中とのギャップに苦しむ白藤さんであったりに、同情しつつもどこか愛おしさを感じてしまう側面があった。 こういった、読者として読んでいつつも、物語内でステレオタイプ書かれていた人物像や価値観が自分の中にも含まれていることに気付かされる、という仕組みが散りばめられている。

    1
    投稿日: 2026.01.10
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    クリーンな人、クリーンな世界ねぇ。 クリーンな人って豊かなんだろうか?クリーンな世界って幸せなんだろうか?ってのは2025年の大きな探究テーマだったから、すごく考えさせられた。 クリーンな人を目指してトレーニングして、クリーンな人がたくさんいる世界にどんどん飛び込んでみたら、結果なんか気持ち悪いというか、あれー違うな〜ってなった経験側がある。 面白くないというか、窮屈というか、クリーンだからこそ人の心の柔らかい「本当の部分」に触れられない。それは自分にとってつまらないって感じ。 カウンセラーの東畑先生が著書で書かれている「賢い頭」と「戸惑う心」って表現がすごく好きで、たぶん僕は「戸惑う心」にたくさん出会いたいんだと思う。 とはいえ常に戸惑う心ばかりに出会っていたいかって言われたらそれは嫌。だからきっとクリーンも戸惑いも色々な感情をバランスよく自分の中に調合して、それをバランスよくアウトプットできるってのが「豊かな社会」を形成する人間の本来持ち合わせるべき資質なんだろうな。 「何事もバランスだね。」 そんなことを感じる極端な世界を描いた小説でしたね。

    1
    投稿日: 2026.01.09
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    社会の価値観は時とともに大きく変容するし、それに伴って過去の記憶は容易く改ざんされる。それは、そうしないと人間は幸せに生きていけないから、不都合な事実を覚えていては前に進めないから。記憶は思い出すたびに、都合よく改ざんされる。 死のタイミングを自分で設定し、意識がありながらも徐々に死んでいくのは、気持ちよさそうだな、とちょっと思った。 技術の進歩によって今当たり前だと思っている価値観は大きく変容するし、よくも悪しくも良く忘れる。差別やいじめも、いつの間にか構造が逆転していたりする。 自分は空っぽで、何もなくて、目の前の価値観に染まっているだけ、世界がたくさんある分、たくさんの自分が分裂していく。 P363 同時に自分が飽き始めている感覚に襲われていた。わかったわかった、もう大体わかった、凄いですね。壮絶で感動的ですね。でも私、疲れてるんだけどな。もうわかったんで、なるべく早く産んでもらえないかな?

    1
    投稿日: 2026.01.08
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    最初から最後まで、常にひたひたと刃物の切先を背中に突き立てられているようで、後半にかけてそれは少しずつ私の肉を裂いていった。初めて村田沙耶香さんの本を読んだので、芥川賞受賞作品の内容については一切知らないわけなのだが、それでも率直に「あんな大賞を獲った後によくこんな作品が書けるな」と感嘆した。悍ましさすら感じた。 前情報無しで読んで本当に良かった作品だったと思う。

    1
    投稿日: 2026.01.08
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    上巻はイライラしながら読んだけどこっちは面白かった。変な表情が流行ったり、怒り方をインストールしてない子供がカラスの鳴き真似で威嚇したり、世界が明確におかしく・平坦になっていくのが怖くもあり楽しくもあった。 早く電脳化して楽になりたいな〜みたいなスピジョークは現実にあるし私も言ったことあるけど、記憶のワクチンには妙な嫌悪感があって、私って自我が無くなることが怖いんだと気づいた。脳が、記憶が、意志が私自身なんだ。全員が均一な世界に生まれてくる意味ってなんだろう。戦争も差別もハラスメントも鬱病もなくなるなら現実世界よりマシなのかな。マシな部分も多いだろうな。でも均一になるってことは、みんなが人類を諦めるということでもあると思う。白藤さんのことそんなに好きじゃないけど、無性にあったかい飲み物を淹れてあげたくなった。

    5
    投稿日: 2026.01.08
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    読む前には戻れない強烈な印象を残す本。 この本を読んでいると、表面的な取り繕いによる会話の繰り返しに嫌気がさす。独特の世界観なので頑張って読みきろうとなんとか読む。読書の過程で愚かしさが溜まっていく。 ある変わった表情が出てきて、その表情をすると相手に敵意はありません汚い感情を持っていませんクリーンですという表明になるらしい。出たっ!独特の気持ちワル表現!すごい。 ”ピョコルン”という、人を材料とした人工ロボットは絶妙なモチーフだ。人とは言えないが、扱いが過剰になるにつれて人権的なものを完全に無視して良いのかと議論になり、様々な感情を抱き、葛藤する。私たちの現実世界で、似たような感情を抱かれがちな人(社会的弱者や、専業主婦など家にいる人)がいることにハッとする。同意の曖昧な性行為、心理的DV、家庭内別居における度を超えた扱い、養っているという意識があると苛立ちが増すというようや現象は、もはや “ピョコルン扱い” である。とんでもないフィクションの所々に、身近にも抱くことのありそうな差別感情や、それが発展した先に潜む暴力装置に気づかされる。 性欲の対象とされることへの憎悪や社会への批判が全体を通して感じられる。 「オール・ノット」(柚木麻子 著)にも出てきた、性犯罪にあわずに育てることがこれほど難しい世の中、こんな現実がもうすぐそこに迫っているのだろうか。さらに、性欲の対象を傷つかない相手に限定し、そうではない性欲は特別な施設で処理しましょうとする一方で、簡単に変わらない世の中、知識のない子どもが増える事態。性犯罪への対応に大きな警鐘を鳴らしているのか。上辺だけな安全な世界の恐ろしさよ。 「世界は粒子だと思う。」という、身体が絶えず入れ替わり、目の前の人の粒子が入り込むというような記述があり、福岡伸一の動的平衡論を思い出しながら、科学的な知見を織り交ぜながらほんのり現実感を残して描き切ったところが、一層の気持ち悪さを堅牢にしているのだろうなと思った。

    2
    投稿日: 2026.01.07
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    この作品は、他者に搾取されたことがある人、そして他者を搾取したことがある人、その両方に向けられた小説だと思う。 もっと正確に言えば、どちらの立場も生きてしまった人間に向けられている。 読んでいる最中、あまりに内容がリアルで生々しく、正直かなり気持ち悪くなった。 それは描写が過激だからではなく、自分が被害者でもあり、同時に加害者でもあることを否応なく自覚させられたからだ。 怒りと諦めが混ざった、行き場のない感情がずっとつきまとう。 主人公は、人生の中で立場を何度も変える。 女性であること、若いことによって得る特権と、同時に課される罰。 養われる側から養う側に回ることで、失う免責と引き換えに得る自由。 時代や空気が少し変わっただけで、「常識的」から「非常識」、「ノーマル」から「アブノーマル」へと簡単に書き換えられる評価。 こうして一人の人間が、時代・役割・環境によって、加害者にも被害者にもなっていく様子が、この作品では極端なまでに可視化されている。 それは善悪の話ではなく、社会の構造の中で人がどう配置され、どう振る舞わされるかの話だった。 なかでも一番気持ち悪かったのは、ミソジニーそのものではない。 それに気づいていながら、ノーを言わず、同調し、適応してしまう自分の存在だ。 男女間に権力勾配があることも、媚びる態度が安全で効率的な生存戦略であることも、もう分かっている。 それでも、それを壊すより「うまくやる」方を選んでしまう。 無意識に再生産している人を見ると苛立つが、分かった上で追従している自分には、もっと強い嫌悪を感じる。 ミソジニーへの同調は、単なる弱さではない。 理性による選択であり、自己保存のための適応だ。 だからこそ、それは簡単に否定できないし、同時に強烈に気持ち悪い。 この作品は、ミソジニーを悪として断罪しない。 代わりに、それを内面化した人間が、どんな顔で生き延びていくのかを淡々と描く。 解放も救済も用意されていない。 「気づいたら楽になる」話ではなく、気づいてしまったあとも同調せざるを得ない現実が、そのまま置かれている。 読後に残ったのは、理由をうまく言語化できない悲しさと切なさだった。 胸は痛んだし、自分の中の汚い感情や価値観を突きつけられて省みることにもなった。 それでも最終的には、救われた気持ちの方が強かった。 それは、この感覚が自分だけの歪みではなく、名前のあるものとして、すでにここに描かれていたからだ。 正解を示されたわけでも、肯定されたわけでもない。 ただ、きれいに言い換えられず、気持ち悪いままの感情が、そのまま存在していいと確認できた。 『世界99』は、 「考えさせられる」ための小説ではない。 これは、社会の歪みに気づいてしまった人間が、それでも歪みに適応して生きてきたという事実を、自己嫌悪ごと突きつける鏡だ。 この作品への感想は、確実に読む側の立ち位置を浮き彫りにする。 軽やかに語れる人と、語ること自体に痛みを伴う人が、はっきり分かれる。 そして私は、後者だった。

    2
    投稿日: 2026.01.07
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    上下巻一気に読んだ。 現実の世界と少し似ている世界で、ラロロリン人が差別されていたり、ピョコルンという生き物がいたりする。 そのラロロリン人やピョコルンが鍵となって、一気に世界が変わっていく。 ひどい世界に嫌になりながら、それでも続きがきになる小説だった。

    1
    投稿日: 2026.01.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    上巻よりも展開がないからか読むのに苦労した。ピョコルン、ウエガイコク、シタガイコク、優秀なDNAを持つけど昔は差別されてた人とか、今現実で起きてる、起こりそうな問題をちょっと可愛い言葉で包んでるけど、実際やばいこと起きてるよな、と考えさせられるものだった。考えさせられる視座を与えつつストーリーとして面白いみたいなものが欲しかったが、自分が意識しすぎたせいかストーリーの面白みが上よりも薄れた。人生につかれた先にある自殺みたいなものとして儀式があるのかもしれないが、ピョコルンになりたい動機だけが最後までわからなかった。なぜみんなピョコルンになりたがるのだろう。

    2
    投稿日: 2026.01.04
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    ディストピアSF。 善悪って何か?汚い感情を恐れるあまりみんな同じ感情で本当にいいのか?人間らしさって何か?合理性ばかり追及していて良いのか?といったことを考えさせられる小説だった。 自分を持たない主人公空子の異常な分析眼を通して、人間社会に存在する差別や利己性、自己は誰かのトレースで作られているに過ぎないこと、社会への迎合、嘘等がありありと描き出されている。自分もしてしまっていないかとぎくっとさせられるような分析もあった。 妊娠出産性欲処理家事等が「便利な機械・下の人間のやること」「みんながやりたくないこと」としておそらくあえて極端に描かれているが、(この小説で書かれているような感情を向けられていたら嫌だけど)それは必ずしもそうでもないのではとも思った。(そう思いたくなった?)

    2
    投稿日: 2026.01.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    村田沙耶香作品の中でも、最も静かで、最もグロテスクな一冊だと感じた。 舞台は、差別や暴力が排除されたとされる「クリーン」な未来社会。しかし読み進めるうちに、その清廉潔白さが実はとてつもない欺瞞の上に成り立っていることに気づかされる。 ​特に戦慄したのは、この世界における「女性の役割」の扱いだ。 表向き、女性は産む苦しみや性的な役割から解放されている。しかし、それは男性優位社会が反省したからではなく、「ピョコルン」という別の生き物に、かつての男尊女卑的な欲望(性欲処理、家事労働、生殖)をすべてアウトソーシングしたに過ぎないからだ。 「人間には人権があるから殴ってはいけないが、製造された生物なら愛でるも犯すも自由」。この構造は、現代社会が抱える「見たくないものを不可視化して成り立つ平和」の究極系であり、洗練されたミソジニー(女性蔑視)の最終形態と言えるだろう。 ​主人公・空子が最後に選んだ道は、一見すると破滅に見える。だが、自分の「記憶(=個としての歴史)」を差し出し、思考停止した愛玩動物へと堕ちるその姿は、ある種の「悟り」のようにも映った。 自我という幻想にしがみつき、複雑怪奇な社会で摩耗するくらいなら、いっそ人間を辞めてしまったほうが幸福なのではないか。 読後、自分の生きている現実世界の床が抜けたような感覚に陥る。傑作。

    1
    投稿日: 2026.01.04
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    下巻ついに読破 上巻の勢いは下巻で止まった気がする。 実際の世界と違う部分がありつつも、現実と似た部分が多くありすぎて気持ち悪かった。

    2
    投稿日: 2026.01.03
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    上下巻まとめての感想。 とにかく…圧倒された。 まず、第一印象は、キモチワルイ。どうしてこんな胸くそ悪い話を書けるのか。人の心の気持ち悪さを淡々と語る話。その中でピョコルンという、何か違和感のある存在。ラロロリンDNAって何?とか思いつつ、ホラー?と読み進めていたのだけど、徐々に違和感が拡大。気がつくと、この人はSF作家なのか?という思いから逃れられない。 気持ちの良い読書体験からはほど遠いのに、何でこんなに心を動かされるのか。 怖いもの見たさ。もう、村田沙耶香から逃げられない気がしてきた。

    2
    投稿日: 2026.01.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    toi booksで購入。 ものすごかった。SFチックな世界を描きながら、怖いくらいに今の社会の雰囲気がありありと描かれていて恐ろしい。それは言わない約束、気づいてないふりしてやり過ごすことになっていることを全部剥ぎ取って、顔を両手で掴まれ「こうですよね。私たちの住む世界ってこうなっていますよね」と無理矢理に直視させられる感覚の読書だった。 この社会はそれぞれの存在に対して、一定の果たすべき役割や振る舞い、感じ方を受け入れさせようとする圧力に溢れている。そこから外れてしまったら、はぶられてしまったらサバイブできない、と感じる生きづらさ。 中心的には女性の生きづらさ、息苦しさ、が描かれているけれど、母と娘の関係性や、専業主婦と働く夫との間にある心理、ピョコルンという高い家政婦兼性欲処理、子産み専業のいきものを抱えることになった主人公の中に、反転した元夫の明夫の視線が生まれるところなど、本当に切れ味がすごくて、誰1人、どんな属性の人が読んでも安全地帯からぬくぬくと読めない構成になっている。 難しい言葉は何一つ出てこないのだけれど、つき詰めれば資本主義が人間をどう扱うのか、についての容赦のない批評として読める内容だ。 家父長制を疑いもしない右派の思想ではもちろんのこと、リベラルの思想家たちの理想だけを語るお行儀の良い議論では到底辿り着けない人間の暗さについてのリアルな思索で、自分の加虐性だとか、今の制度のもとで正論を吐く無責任さや汚さみたいなものに向き合わされる。 私たちの誰もがピョコルン的な存在に直接、間接に何かを押し付けているのではないか。物言わぬピョコルンになすりつけて、罪の意識を背負うことすら放棄をして。 主人公空子は属するコミュニティや状況によって、どんどんとサバイバルをかけて自分のアウトプット法を変えていく。自分の気持ちよりも周りの期待と雰囲気を優先しなさいという教義に過適応してしまった、空っぽな人間。 「我慢をしろ」「不満を言うな」「いつも笑って機嫌良く」「「社会の通念に合わせろ」「生まれついたジェンダーに求められる生き方を受け入れろ」という雰囲気がテレビにも家庭にも学校にも溢れているのだから仕方がないと思う。 こういう作用の仕方を見ると、平野啓一郎が提唱している「分人主義」の思考など、結局は押し付けられるものが少ないポジションの人間から見た表面的な風景であって、社会の中にはそんな都合の良い分析だけで割り切れないサバイバルをかけた空気の読み方、自分の出し方をしてしまう存在もあるな、などと考えた。 ジェンダー、性差別、人種差別、経済格差、グローバルノースとサウス、技術の倫理、いろいろな読み方ができる本書、翻訳されたらすごいことになるのではないかと思う。 国際ブッカー賞もあるかもしれないし、テーマの時代性や、真正面から挑んでいるところを考えたら、村上春樹よりも村田紗耶香の方がノーベル文学賞に近いと個人的には思ってしまう。ただ、ここまでぶっ飛んだパンクな内容がどこまで受け入れられるか、、とも思う。

    4
    投稿日: 2026.01.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    上巻の最後に世界が再生されて クリーンな世界になったと思ったら、 汚い感情を知らない世代のキャラクターが 少数派の汚い感情の人間に性的な目で見られる場面が出てきて、性被害の事が分からずに自分を責めるのはとても恐ろしい事だと感じました…

    2
    投稿日: 2026.01.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    色々と抉られる言葉が多かった ほんと疲れた 呼応はこの本の中だけの話じゃ無い 色んな人の要素をちょっとずつ貰いつつも、 それが良いか悪いかの判断を丁寧にやって、 自分の芯を崩さないようにしたいと決意した 2026元日 人は自分の鏡

    2
    投稿日: 2026.01.01
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    村田酔いという感じで、疲労感がすごい。上よりもスピード感が落ちました。ラロロリンとピョコルンがずっと理解できないまま、他の登場人物も何かと関係性が理解できないまま読み進めていき、理解できないまま終わりました。チーン。まだ私には理解できない領域の、初めての村田沙耶香さんでした。

    2
    投稿日: 2025.12.31
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    へんちくりんな話だった 主人公のこと「これ人なのか?」 って何回か疑っちゃった 自分勝手で優しさの感じられない 不気味な生き物だった いろいろ不愉快だったし んなわけあるかがいっぱいだったし 「そうは思わん」って思ってばっかだった なかなかの世界観だったので 好きな人は好きなのかも 個人的には気持ち悪かった 上巻は星3つだけど トータルでは星2つ

    3
    投稿日: 2025.12.31
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    ピョコルンもダロロリン人も、存在しないものでありながら存在する概念であるように感じた。可愛さも賢さも現代では「特権」だと思うが、それを消費するような時代がもし来るのなら、この小説は大いに参考になると思う。 この作品で良かったのは、主人公が他者の気持ちを読めるぶん、だいぶん大人な判断を重ねていたことだったと思う。気が滅入るような世界観でも、主人公の判断には信頼を持てた。 世界がレイヤー状に分かれていた上巻から時が進み、価値観が画一化されていく世界の話。空っぽであったはずの主人公に「デフォルト」の人格が出来始めて、各世界の人格が自己主張として時折顔を見せる。どこか侮蔑していたはずの各世界の人格に気づいたら取り込まれている感じがリアルだったが、それすら本人が自覚していたのは良かった。

    2
    投稿日: 2025.12.31
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    このレビューはネタバレを含みます。

    上巻で終わりで、下巻は続編でよかったのでは?と思うほど濃厚で強烈だった。最近も"呼応とトレース"を上手くやってるつもりの人と対峙したので、すごくリアルに消化できた。その人のこと、気持ち悪いなーと思ったのだけど、如月さんに言わせれば「もっと上手くやればいいのに」になるんだろうな。 誰もが環境に応じた自分を演じてる部分はあると思う。それを自覚してしまった時の虚しさや心の隙間を押し広げられたような気持ちになる。それってなんでだろう?"本当の自分"ってなんだろう?なんか哲学にも似た問いかけで、心に隙間風がビュービュー吹いて、頭がチカチカするw それと、犯罪加害者には被害者の"記憶のワクチン"を打てればいいなと思った。いじめも、性犯罪も。恐怖や痛みを分からせられたらいいのにね、すごく良いアイディアだわと考えるわたしは、世界③の住人?

    3
    投稿日: 2025.12.30
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    下巻 中年の空子。すごいとこまで行っちゃったな。 格差とか性差とか。たしかに100年前の人から見たら今の世の中めちゃくちゃグロいよな。

    3
    投稿日: 2025.12.30
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    自分の意見が空っぽになるとき、空気を読んで他人に合わせているうちにどの自分までが本当に自分の思ったことなのかわからなくなるとき…他にもいろいろこういう気持ちって実はなるときがあるなという気持ちをたくさんとらえており、時に心をえぐられるような感覚になりながら読み切った。満足感もあるが、疲れた(いい意味で)。 私たちは考えることに疲れてつい簡単に思考を他人に委ねてしまうときがあるが、考えることが人間を人間たらしめているのかな、と思わされた。

    3
    投稿日: 2025.12.28
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    村田沙耶香節すげ〜〜としか言えない自分が本当に情けない、、死んだ後にピョコルンに再生されることは廃棄されるよりも死に近いのか??いくら可愛いと言われても利用されるピョコルンになりたくないけどな私なら。こんなに気持ち悪い世界なら再生とかされずにさっさと葬られたいです。

    12
    投稿日: 2025.12.28
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    私の今年のベスト本 もう何ヶ月も前に読み終わっていたのだけれど、何を書いたらいいか悩んでいる間に年末に…… 読んでから、とんでもない名作を読んでしまった!という気持ちと、私は何を読まされていたんだ?という気持ちがずっと心の端にある

    28
    投稿日: 2025.12.27
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    作者の初めは歩調をあわせて隣を歩いているのに突然駆け出し、容赦無く置いて行かれて途方にくれた頃に気づけば何事もなかったように再び横を並走している作風が何とも言い難い。

    3
    投稿日: 2025.12.26
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    多分私より読書家の方たちは、私みたいな率直な感想よりも、物語を通して得られた知見のような部分がもっと鮮明に見えるのだろうけど、、 「知能が低いって、すごく便利な言い訳」 これ、上の感想、まんまやない?と今感想書きながら思いました。分からないことを理由に、考えることから逃げず謙虚な姿勢を持ちたいところです。 この世界99は、昭和の世界観のまま、ピョコルンが登場したことによって、ピョコルンになんでもかんでもやらせようとする亭主関白な価値観が蔓延ってる、やっぱりそれってかなりしんどいなぁ。女性しか出産できないけど、令和は共働き・男性も家事育児は一緒にやっていこうという時代。ちょっとフェミニスト?っぽいと思ったら過去そういう本を書かれているようですね、、生きていくってそれだけで大変だよなぁ。 上下巻を通して、この「クリーンな世界」や「性格を使い分ける」のような部分、私が肌で感じる部分が大きかったなと思いました。 ラストスパートは想像するだけでグロテスクでウッッッとなりながら読みました、、、ですが、完読できよかったです。

    16
    投稿日: 2025.12.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    あれ。 こういう終わりなのね。 わたしたちはどの世界で生きているんだろ。 ぴょこるんって、影のない世界みたいなのかな? 苦しくても辛くても人間でいたいかな?

    3
    投稿日: 2025.12.21
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    感想、いろいろありすぎて、何をどう書いていいのやら…。 上巻では被害者の立場からの描写だったけど、下巻では同じ人が加害者になりうるという危うさが怖かった。 ラストはある意味では安楽死?でも生まれ変わるんだから、ちょっと違うか。人間の死の選び方としては、羨ましいような気もするけど、ピョコルンになりたくはないなぁ。 なんとも心がザワザワさせられる作品でした。

    9
    投稿日: 2025.12.21
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    読み終わった…。個人的には、白藤さんが不器用でもしんどくても最後まで生きていてくれて、何か救われた感じがしました。

    4
    投稿日: 2025.12.20
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    上巻では白藤さんだけがまともに見えていたが、周りが変わるとこんなに異質に見えるようになるんだな 空子は性格がないからか、本作の中で一番世界を客観的に見えている様に思った 「他人のかわいそう」は娯楽ってのは確かに分かる部分はある

    2
    投稿日: 2025.12.20
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    性処理、妊娠、家事、介護、すべてをピョコルンに任せて捨てられるようになった、「クリーン」になりつつある世界。 すっかり世界に染まり始めた40代の空子が、ピョコルンで性処理をするために動画をあさるシーン。今まで性欲を押し付けられて消費される側だった人間が、ピョコルンに性処理をさせようとしている、消費しようとしている、「発情させやがって」とピョコルンに対して苛立つ。意味わからない怖いシーンだけど、これが現代では例えばAV女優男優や、例えば消費されてる人間に投げかけられてる感情なのか、と。 「ピョコルン」を通して、自分たち人間がしている行為を見せつけられてる感じがする。 全然関係ないないんやけど、この前久しぶりに会った仕事関係の親しさ度数100中の10くらいの人に「元気で頑張ってますかー?」って軽い挨拶質問したら「全然元気じゃないです!」って返ってきて、「ええーなんで?」てリアクションしたら高いテンションでその人の不幸話が始まって、、みたいなことがあって。なんやねんこいつ、となった自分がいて。 当然「元気で頑張ってます!」ていう返事とその後のスムーズな会話を期待してたんだなと気づいて、私はその人自身が本当に元気で頑張っているかどうかじゃなくて、社交辞令というか挨拶というか表面的なやりとりをするべく、その言葉を投げかけたんだーって実感した。まあその人は深い友達じゃないとか、ちょっとそういう空気読めない所があるとかいろんな要素はあるけど、そもそも本当に興味はないことを挨拶としてナチュラルに投げかけてる自分に、何故かこの作品を読みながら気づいた。 てか世界に媚びる、目の前の人に媚びる、という行為をしている自分とは真逆に、周りの人を攻撃してる人は、世界に媚びてない、っていうのか? p332 「未来がないと世界が明るい。」 読み切った、、うう疲れた 下巻、めっちゃ疲れた、、 描かれてる世界についていけなくて、文字を追うのに必死だった。 白藤さんは、貫いたんやなぁ いろんな人を失い、諦め、苦しみながらも、自分の中の「人間らしさ」を貫いたんやなあと。 私はこの世界で白藤さんみたいに生きれるだろうか。生きれない気がする。 作人の中で、自分を持ってやりきった人がヒーローとして描かれたりするけど、真逆だった。 空子は最後こういう終わりを迎えるのかーー しかもそれは喜ばしいことなんだー 全く救われない いや、救われているのか こわいよーーこわい

    4
    投稿日: 2025.12.19
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    上巻の衝撃のラストから、下巻では一体どんなふうに世界が変わっていくのか、怖いもの見たさで読む。 人間にとって都合のよい道具として誕生したピョコルンは、更なる進化を遂げていた。 これは世界99の出来事なんだけど、同時に私たちの世界の話でもあるよね、とも思う。 ピョコルンという存在を取り巻く世界のなかで、いろんな価値観が生まれて派生して変化していって。きっと世の中ってこんな風に変わっていくんだなって。 クリーンな人。怒りは汚い感情とされる世の中。確かに怒りをぶつけて相手を傷つけるのはよくないけれど、怒りの感情をなくせばいいという考え方が怖い。どんどん人間らしさが失われていく。ん?人間らしさって?ピョコルンの正体とか考えると思考が停止してそれ以上考えられなくなってしまう。 効率よく生きること。それを極めた先にあるものは。時間を奪われる雑務をピョコルンに担ってもらう。性欲や出産や育児や介護など全部が雑務と考えられるようになった世界の行く末は… こんな世界おかしいと思うのだけど、じゃあ私たちの生きる世界は?と考えると、この世界がありえないとも言いきれないところがまた怖ろしくて。村田沙耶香さん恐るべし。

    62
    投稿日: 2025.12.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    読み進めていると、空子に呼応してしまう自分がいた。徐々にピョコルンに使われていく人間を憐れむか、羨ましがるか、考え方は分かれると思う。 最後に匠と母があの姿かたちになるとは意外でした。

    2
    投稿日: 2025.12.18
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    主人公が生きるいくつもの世界。 性と生に関わる行為を人間の代わりにこなしてくれるある生物の存在が怖くもありがたいような。登場人物やワードなど全てが村田ワールドどっぷり。考えさせられる部分もたっぷり。凄い作品でした。

    14
    投稿日: 2025.12.17
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    49歳 空子さん/そらまめちゃん    波ちゃん 白藤さん     リセット 明人と離婚 エステも辞め 平凡なクリーンな人 一人暮らし     奏さん どんな世界になっても 美しい考え方の人  ビョール 家事能力は人間ほどではない   幸せの典型例  人間の配偶者 美しいピョコルン ピョコルンが産んだ子供  小早川 音 ラルロロン人のイメージキャラクター ピョコルンは明人 40歳 キサちゃん シロちゃんと友情婚  父の死 母は祖母の介護で田舎へ 実家に住むことに 白藤さんと波ちゃんと  明人からの手紙とOTOと書かれた霧箱の中のクリーム色の10㎝の球体 明人の皮膚 49歳 クリーンな人 ピョコルンになる儀式を決意  ビョールが妊娠 ビョール自身の卵子と精子で   波ちゃんと琴花(音ちゃんの娘)ちゃん 雨の日に始めて会った 50歳 キサちゃん   雨が生まれた 親は波ちゃんと琴花ちゃん   奏さん 遺言の日  自身の儀式も近い  89歳 ビョール(4代目) ひいおばあちゃん   アメは友情結婚し男の子 シュンが生まれた   

    3
    投稿日: 2025.12.16
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    全ての人が幸せを感じるディストピアはディストピアなのだろうか? 多くの人が幸せを感じるディストピアを作る誰かの世界があり,誰かの意思で多くの人が幸せを感じるように強制されたディストピアはディストピアなのだろうか? その多くの人の幸せは幸せなのだろうか? 幸せとはなんなのだろうか? 少なくとも「らく・楽」ではない.

    2
    投稿日: 2025.12.16
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    極々個人的な話として、2025年体調不良の集大成に相応しい体験だった。 SFな部分はものすごくSFだったけど、生々しい被害と加害の体験がどれも自分の身を持って知っているような気がしてくる。気がしてくるだけじゃ無い。自分の中にどちらもある。 どっちにしても人には言えないような想いが、血だるまになりながら叫んでるこの物語に呼応して喜んでいるようだった。

    5
    投稿日: 2025.12.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    上巻からの続きといった感じで、現実がグニャリとする感覚はもう感じられないものの、それが日常になった世界を生きている感じがする。 どれだけ記載が”わかる”かによって不幸度合いが可視化されているような感覚に陥る。 エピローグは切ないとともに、気持ちを考えると泣けてくる。

    2
    投稿日: 2025.12.15
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    気持ち悪い小説。 村田沙耶香さん節炸裂。よっぽど男の人に嫌悪感あるんかな。あんなひどい人しか出会ってこなかったんかなって心配になるレベル。 これを上下読んだら、ちょっとご飯食べられない。 何が気持ち悪いんだろう。普通の人に見える、普通に見えるように努力してる人が一番ヤバいから? だとすると、私もそうなんかな???ってそんなとこあるんかなって、怖くなる。 私の世界も数えたら7個くらいはあった。

    2
    投稿日: 2025.12.13
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    上巻に続き、わからなさと違和感を抱えながら読んだ。 人間のリサイクルとわかっていても求められるピョコルンに、人はどれほどのしんどさを抱えながら生きているのだろうと心がざわつく。 ピョコルンになりたいという気持ちは、どうしても理解できない。 それで、すべてから解き放たれるのだろうか。 人間をやめたくなるほどの苦しみを想像して、ゾッとした。 汚い感情を持たずに、みんなが同じ記憶を共有し、同じように考える世界は本当に楽なのか。 幸福とは何か…そんな問いが浮かぶ。 自分の中の何かが見透かされたような怖さと、それでも読むのをやめられない面白さがあった。

    19
    投稿日: 2025.12.13
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    上巻からゆっくり読ませていただきました。"性"や"死"など社会のタブーに切り込み、考えることができる村田さんらしい長編小説だっと思います。

    6
    投稿日: 2025.12.13
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    とんでもない作品を読んでしまったな…と感じる小説は年に数回出会うのですが、本作はまさにそれでした。 間違いなく今年ベストです。 村田沙耶香作品が大好きなのでいろいろ読み進めているのですが、これまでの作品の中で最も考えさせられました。 「消費される側」と「消費する側」の立場と思想について、繰り返し読者に投げかけられます。 SFのようでいて現実とリンクしている絶妙な世界観です。 主人公は元々感情のない人物でしたが、成長するにつれて様々な人と出会い共鳴し、感情のような性格のような何かしらの人格形成を果たしていきます。 感情がないとはいえ「嫌なこと」は元からハッキリしています。 そしてそれは女性ならば誰しもが経験したことのある恐怖… それが下巻では「消費する側」に立ち、人々の倫理観に訴えかけてくる描写が続きます。 負の感情を持たない「クリーンな人」として生きるのは楽でしょうね…与えられるものだけを摂取して、波風の立たない平和な世界に身を置く…責任のない世界… 全ての痛みはピョコルンが背負ってくれるのですから。 でもそれは、いつかの未来の自分の姿なのでしょう。

    13
    投稿日: 2025.12.12
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    「今」自分が置かれている世界が怖くなった。 便利な道具「ピョコルン」。 持てたらいいなぁと思う自分がいる。 でも、「面倒」「雑務」を押し付けてまで 私にやりたいことはあるのだろうか⁈ 妬み嫉み…「汚い」と呼ばれる感情を捨てて良いのだろうか⁈ 個性とは⁈ 汚さも弱さも清らかさも強さも、同居してこそ「私」なのかもしれない。

    2
    投稿日: 2025.12.12
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    上巻のなんだこれー!!って世界に惹き込まれる没入感は、下巻だと少し薄れてしまったけどものすごい世界を見てしまった感はある。

    2
    投稿日: 2025.12.10
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    村田沙耶香さんの真骨頂。 他の作品に登場する「なにかおぞましい」世界がところどころ登場し、まさに集大成と言える大作でした。

    2
    投稿日: 2025.12.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    audibleで すごすぎた 男たちの女への侮蔑、加害的発言、品定め発言を聴きながら「うおおおおお⚪︎ねーーー」と何度も呻いた… これは大袈裟でもなく、誰かが私が受けてきた扱いだ 哲学的ゾンビ、男尊女卑、性欲の別の生物へのアウトソーシング、かと思いきや人間のリサイクルへの吐き出しだったとかとか 思いつく限り人間、弱者、女を踏み躙っていてめちゃくちゃ面白かった そしてそれを自ら受け入れロボット人間に成り果てる市民、 ディストピアの頂点やー! この行き着いた先に憧れを抱く人は少なくないはず…さいこう 印象に残ったり気になったりしたところ ・主人公がコンビニでやたらつくね串を買うところ ・最終的にはるかたちの家のピョコルンとなる主人公に、ある程度の意識があるっぽいこと、そこでは性処理には使われていないが、では性の相手をしないといけない場合にはどういった感慨になるのだろうかとか、さらにリサイクルされた際の意識はどうなるのだろうかとか、まだこの世界に興味が尽きない ・最初の方ではピョコルンという生き物について詳しく触れてなく、何かしらの既存の動物か?でも犬猫とは違うらしい…と思わせる書き方がとてもよい! ・ピョコルンに結局男の評価する女みたいな性質が乗っかってるのがほんとに皮肉で酷いなと笑った。美しいが家事ができないとか、ベタなキャラクターで、それを安直に鬱陶しがる主人公に内面化されてる男尊女卑意識などに、「たくみくんがでてくる」みたいなキャラクターを与えているのが分かりやすく面白い。 ・最終局面でたくみくんが善良なものに作り変えられて、その脅威から白藤さんたちの家族が守られるのが確定したのはほんとによかった。だが物語とはいえ、女無力すぎんか?えぐすぎる〜 ・上外国/下外国、優秀すぎて差別されるDNAを持った種族、その地位が上にいったり下にいったり、男と女、そんな様々な差別が入り混じり、主人公は結局何かを打破したりせずとんでもない人間としての終わりを受け入れ、独特で面白いと思った。少し、女として、同じ性の若い人たちを救うムーブに出るところが救いで、フェミニズムという単語を安易に出すのはアレだが、そのような、私達を時折突き動かすやつだ!と感じ入るところがあった。 ・ピョコルンはポケモンのピンク色系のかわいらしい、つるっとしたようなものを想像して聴いていた。後で読んだ作者のインタビュー記事で、作者が設定していたビジュアルを記者には見せていたみたいで、気になった。どこかで見れないかなあ。見てみたい気も、そうでない気も。綺麗なアルパカってかんじらしい。 ・白藤さんは、「成瀬は天下を取りに行く」のコミカライズの表紙みたいな少女を想像していた。主人公はあまり想像ができなかった。合法ロリと言われてもあまりピンとこず

    3
    投稿日: 2025.12.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    こう、言葉では言い表せないけど、これは間違いなく評価されるべき傑作。 この社会課題を描いているという訳ではなく、社会の中にある歪さや気持ち悪さ、不快感などを世界というマクロな視点と空子の周りの人のミクロな視点で描いている。 白藤さんは上の時は、正義教に入っているのかもしれないと思うほど気持ちが悪かったけれど、下巻の正しさ、クリーンしか良しとされない世界になった途端に、白藤さん以外が気持ちと思うような構成で、それがなんだかものすごく都合が良いような気がして読み手の私たちも試されている気がした。 本当にこの本から受けた衝撃や感情沢山あるのに自分の中にそれを表せる引き出しがないことが惜しい

    4
    投稿日: 2025.12.06
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    上巻から一気に読んだが、頭の中に整理しきれない思いが積み上がっていった。 この世界でいったいどう生きていくのか。 問題が山積みで、リアルな描写に共感できる部分もあったが、怖すぎる。 ピョコルンは、性欲処理をさせられ、子どもを産み育て、家事もする。 考えたこともないようなすごい世界だ。 衝撃的過ぎて気持ち悪いが、すごい作品だった。

    25
    投稿日: 2025.12.06
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    賛否両論あるかもですが、私は素晴らしい作品だと思う!! 性格のない主人公・如月空子が、周囲に合わせて「呼応」しながら生きていく様子と、愛玩動物の「ピョコルン」を巡る物語。 このディストピア、マージで、気持ち悪かったです。人間らしさがなくなった、(逆に言えば全人類が人間らしくなったとも言える。)混沌とした世界。 絶対受け入れられないけど、主人公の周囲と呼応しながら話をしたり、その場その場でキャラを変えたり、誰しもがしてる事。共感できる。そのほかの感覚も全て理解できるから気持ち悪い。 読まないとわからない感覚だと思います。 お勧めはしませんが、呼んだら教えてください笑

    15
    投稿日: 2025.12.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    第78回野間文芸賞 上下巻読了。 初めてのディストピア小説は、とても刺激的な読書体験になった。 前半に登場する呼応とトレース、不可思議な生物ピョコルン、ラロロリン人の差別などの発想だけでも十分におもしろいのに、作品はそこで終わらない。 ピョコルンを通じて、人間がさまざまな煩わしさを手放せるようになり、記憶ワクチンによって辛い記憶から解放される。それどころか、自らピョコルンになるという選択肢まで得られる。 果たしてそれらは本当に人を楽にするのか、とても興味深い。 また、この世界に生きる人々の独特な感覚や価値観を知れることがとてもおもしろかった。 ピョコルンになるのは死ぬと同義なのにお互いに寂しいという感情がなかったり、親子愛や男女の愛の薄い世界なのは不思議だった。 大胆で奇抜な発想に圧倒される超大作。

    26
    投稿日: 2025.12.04
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    上を読んでからだいぶ日が空きましたが、年内に読むことができて良かったと思いました。 まずピョコルンの話が衝撃的ですし、クリーンな人、恵まれている人、かわいそうな人という分類も面白かったですし、なんだかそこにリアルさを感じました。 みんながクリーンな人になれるように記憶のワクチンを打つことは、メリットもありデメリットもあるけれど、みんなが汚い感情を持たずにクリーンでいればいじめがなくなったり人間関係で悩むことがなくなったりする一助になるのかな〜と考えたりもしました。 現代の問題に絡めてのフィクションなような気がします。なので妙にリアルで恐ろしくて面白いです。村田沙耶香さんの着眼点が恐ろしくもあり面白いです。

    3
    投稿日: 2025.12.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    最近「人間になろう」と努力しているという友人と、いっしょに読もうということで読んだ本作の下巻。衝撃的なラストだった。 女性の出産・育児の機能を外部化した存在、ピョコルンの登場によって、主人公の空子の感覚自体も、家父長的な男性の感覚になっていく。こちらは養ってあげているのに、この程度のクオリティの家事しかできないのか。 その感覚は、元々は、父から母に向けられ、空子自身の中にも内面化されていた男の視点だった。しかし、ピョコルンの登場によって、その眼差しは自分たち女性に向けられるものではなくて、女性もピョコルンに対して向けるものに変わっていく。それは、明人や匠くんといった男性キャラに対する空子の「トレース」と「分裂」という形で、フィクショナルに表現されるがゆえに、より残酷に見える。 この物語は、まず第一に、ピョコルンという「出産家電」の登場によって、女性もまた家庭的な抑圧者になりうるのだという物語なのだと思う。女が担わされてきたケア労働が、女から切り離されさえすれば、女もまた男になりうるのだという物語。それは、逆説的に現代社会で女性が担わされているものと、男が女性に対して向けるまなざしの残酷さを克明にしてくれているように思う。 空子は、物語の最後に自分もピョコルンとしてリサイクルされることを選ぶ。怖いというか、良かったと言うべきか、最後にピョコルンとなった空子の視点から語られる風景は、案外幸福そうに見えるということだ。 ここまで、空子は、自分の感情というものが分からないままに、「トレース」を繰り返し、周囲の人間の感情や言動を自分の中に取り込んでいくことをしてきた。彼女は、ピョコルンになることによって、その終わりのない「トレース」から解放されたとも言える。 しかし、それは同時に、ピョコルンに外部化されたことで、女性たちが解放された家事労働をする機械としてのあり方に戻ることでもあった。だからこそ、この結末は、女性というものの逃げどころのなさ、という意味において、絶望的だとも言える。 やはり、村田沙耶香の描く世界は、ディストピアなんだと思った。しかし、そのディストピアは、今の現実社会そのものであるところが、読んでいて痛々しい。この物語に出てくる「世界」や空子の「トレース」は、現実に自分たちがやっていることそのものなんじゃないか。そして、そうした内省をピョコルンという途方もない虚構で表現仕切れるところが、やっぱりすごい作家なんだと改めて思った。 現代に疲れた人が読んだら、より疲れたという感じの本。その圧倒的な完成度に満足するか、拒否反応を示すかは、人次第といった感じである。

    6
    投稿日: 2025.12.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    世界99上・下を読んでから、心の中のに空子がいて、俯瞰で分析しててうるさい。笑 賢い人とそうでない人の対比に不思議と目が止まる。下の階層では波と琴花、上では白藤さんと空子の関係がその象徴かな。空子は必死で操作されることを拒んでいて、波も似たような様子だった。現実でもそういう場面を見たことがあるし、自分もコントロールされることを嫌だと強く感じる。世の中の縮図のようなものを描いているのかなと思った。 白藤さんのことは、ずっと「生きづらそうだな」と思いながら見ていた。なぜそこまで自分を貫こうとするのか不思議に思う一方、それが「信仰」なのだろうとも思う。幼い頃、辛い時期に奏さんが手を差し伸べてくれ、それにずっと頼ってきた。だから今さらそれを手放せないのだろうなと思った。可哀想って思ってしまう。 私にも信仰と言っていいくらい信じて支えてもらっていた人がいて、今でも関係は良好だけど、縋る必要は全く感じない。独り立ちできるように鍛えてくれたからなのか、周りの環境に恵まれていたからなのか、それなりに上手く変容してこれたからなのか。何もかも結構運だよなぁと思うけど、それってもしかしてララロリン遺伝子みたいなこと??いやちがうかぁ〜面白かった〜

    3
    投稿日: 2025.12.02
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    読んでると鬱っぽくなる。自分も空子さんになったような気がしてきた。こんなに落ち込む小説もめずらしい。破茶滅茶だ。

    1
    投稿日: 2025.12.01
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    世の中が大きく変わっていくのを心がないという主人公からみた描写で描くことで、いかに自分が偏った世界の見方をしているか何度も気付かされ、ハッとしまくりでした。 評価が高いのは頷けるのですが、 個人的にはちょっと性的な表現のエグさや登場人物の人格が崩壊しすぎていて苦手だったのが残念。(好みの問題)

    4
    投稿日: 2025.12.01
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    村田沙耶香さん初の上下巻の長編は、ただただすごかった 下巻では世界がリセットされ「汚い感情」のないクリーンな世界 性欲処理や出産、汚かったり命がけな仕事をピョコルンが引き受けてくれるから心はクリーンでいられる世界 ウエガイコク、シタガイコク 恵まれた人、クリーンな人、かわいそうな人、最後には見えない人 かわいそうな人のもっと下に見えない人… なんでこんなに穏やかな優しい口調でグサグサ刺してくるんだろう… 人間のグロテスクさを、この穏やかな優しい口調であらわにされ、こちらの心は終始混乱するのだけれど、この長編を締めくくるラストの壮大な『儀式』では、自分が空子になったかのように静かな気持ちで没入できた この長編をなんとか読み終えて満足 すごい読書体験でした

    5
    投稿日: 2025.11.30
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    読むほどに日常の見え方がそっと変わっていく本だった。言葉が静かに心の奥に入り込み、気づけば世界が少し違って見える。怖さよりも温度のある衝撃で、物語に包まれながら揺さぶられた一冊。

    11
    投稿日: 2025.11.29
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    世界を、フィルター無しメガネなしの裸眼で見させられたような感覚。いつも通りのすごさだった。 うわ!いつもこれうっすら思ってた、感じてた!という箇所がたくさんあって、それが言語化されていて、そういう部分は読んでいて気持ちがよかった。

    15
    投稿日: 2025.11.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    上から世界やピョコルン、空子の生き方が変わった。 あらゆる世界に呼応していった空子がひとつの世界にだけいて、クリーンな考えになった時、こんなにも変わるのかと驚いた。 ピョコルンやラロロリン人も現代の世界や若い世代にとって尊重される存在になっていて、人の価値観は時代によってすごく変わるなと思った。 ピョコルンは人間によって生み出された人間にとって便利な人間の生き物だなと思っていた。 けれど生み出す側も生み出されてしまった側でさえもが自ら希望してなる存在になった。 うーん、、ピョコルン、、何なんだろうか、、 難しい世界について考えさせられた作品。

    2
    投稿日: 2025.11.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ん?喫煙所の人影は結局誰やったんやろ?匠くん? とにかく物語に出てくる男性たちに対してずっっっと嫌悪感を抱いたまま、気づいたら読み終わってた。 あと白藤さんはかわいそうな人じゃなくて、最後まで自分の信念を曲げない強い女性やでー!!!!!って叫びたい。

    4
    投稿日: 2025.11.27
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    村田沙耶香の構築する世界は、今の時間と地続きな並行世界のようであり、なぜか妙に納得したり共感する部分がある。 狂っているようでもあり、救われる部分もある。 「クレイジー」と評されるが、そろそろ「創造主」とか言われる日が来るんじゃないだろうかと思ったり思わなかったり。 面白いけど、結構時間をかけてじっくりと読んだ。

    9
    投稿日: 2025.11.27
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    定期的に欲してしまう長編の村田ワールドは、とても消化し切れず連続して摂取できないような感覚。読み終えるとしばらくはいいかなと思うが、また少ししたらきっと飢餓状態になる。いつもその繰り返し。 上巻での世界が分裂している描写は、現代社会の日常の中にも当てはまり、それぞれの世界の人の詳細な説明書みたいで妙な納得感があった。誰しもコミュニティによる自分があると思う。とはいえ、最後の衝撃はかなりのものだった。そして、その衝撃からさらに数年後の世界が下巻で描かれる。秘密を知ってからの世界は、ちょっとした日常も見え方が今までと変わってしまうのは当然だろう。もしも、この世界にいたらどんな人間でいられただろうか? 通して読んでみると、読む人の性別によって感じ方も大きく変わるのだろうなと思う。男性の立場からすると、この世界の構造は肉体的なことより欲望的なことによって価値観が変わると思える。自身の中で当てはまるものもあるし、現実では言葉にしにくい部分で当てはまるものもある。でも、この物語の男性には嫌悪感を抱いてしまうし、ピョコルンに対して可哀想と思うのは偽善だろうか? どこか客観的に読んでいた感覚は、それこそ「リセット」後の世界についても、最後まで世界99から読んでいたような感覚なのだろうか?そして、下巻の後半までは空子に感覚が近いのかなと思いながら読んでいた。一番多く空子の世界の描写があったからというものももちろんある。そう思っていたのだが、3章の最後で実は空子の母に感覚が一番近いのではないかと気付いた。匠でもなく、空子の母。だと、思う。とにかく空子ではなかったんだと気付いた。果たしてあの選択は、現実の自身に当てはめてみるとどう捉えて良いのだろう?

    20
    投稿日: 2025.11.27
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    あたらしい世界での、汚い感情がない世界でも、無意識に感情は生まれてくるのかも。 何事でも、このような世界になったのには理由があって、その昔のことを知らない新しい世代が出てきてというのが繰り返される。 終わりが決まっているのが希望になる。怖い。

    3
    投稿日: 2025.11.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    長すぎて、読んでる間にどんな話か忘れていってしまった。 人が汚い感情を持たなくなったり、ピョコルンが家事するようになった(上巻からそうだったかも)。白藤さんと暮らすようになって、白藤さんと奏さんの娘である波とピョコルンの4人で暮らしはじめた。 空子がピョコルンに生まれ変わる手術をすることになった。

    2
    投稿日: 2025.11.26
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    女性にとって読むのがかなり辛い本では。逆に男性が読んだ感想を知りたい。 途方もなくぶっ飛んだ話なのに、人間同士のやり取りが生々しくリアリティ溢れている。 読んでいる期間、実生活に侵食してきて困った。

    3
    投稿日: 2025.11.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    世界99 下  2025.11.24 「それにしても、差別されるっていいですよね。一種類の差別をされてるだけで、まるで自分が他の種類の差別を全くしてないような気持ちになれませんか?そんなわけないのに。差別者じゃない人間なんていないのに、あたかもそうであるような気分になれるのが、差別される唯一のメリットですよねー。」 「でも、かわいそうなことは素晴らしいですよね。僕、たぶん、将来。それって娯楽になると思うんですよね」 そんな見方があるのかーと何度も驚かされる、どんな生き方をしたらそんな視点を持つのだろう…と何度も疑問に思うくらい斬新。 誰かをかわいそうと思うことが娯楽になるという言葉は、私も知らぬ間にそうなっているのだろうなと感じた。誰でも差別はしているのにそれに気づけず、棚に上げてしまう。 ピョコルンを通した現代社会の投影が嫌というくらいにされている。生きることに虚しくなるような感じ。 ピョコルンは"白くてかわいい、個性のある"存在で性欲をはじめとする人間の欲のゴミ捨て場 =現代でいうキャバクラ、パパ活などの欲の解消 ="倫理の賞味期限"の問題でいつかは当たり前かもしれない 例えば… トー横や歌舞伎町の子供の問題がここ最近話題であるが、時代の変化で世界が変わったとしても結局のところ起きることややっていることは変わらないのだなとこの本で感じた。 上下の長編だったけれど、ピョコルンのいる世界観にどっぷりと浸かれていろんなことを考えるすばらしい機会だったー!

    4
    投稿日: 2025.11.24
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    人間の汚い部分を、よくもここまで表現したなぁ、という感想。 目を背けたいが、その汚い部分を、自分も含め、皆、何かしら持っているのは認めざるを得ないだろう。 差別、優越感、周りへの呼応… 卑しい、こんな人間になりたくない、と思いながら、一方で、自分の内に潜んでいる、それに似通ったものと対峙しながら読み進めることになる。 図星だからこそ、気分が悪い。 しかし、自分の内なる汚さに無自覚になるのは、一番危険なことだと思うから、この作品の、いやぁ~な気持ちになる箇所は特に丁寧に読み込む必要があるのかもしれない。 “自分の力で、世界を素晴らしいものにしてやる” なんて思っている権力ある人たちは、自分の汚い部分を少し見つめたほうがいいかもしれないですよ? と思ったりもするが、まずは自分から…

    3
    投稿日: 2025.11.24