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総合評価

391件)
3.9
122
113
100
20
5
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    誰にでも都合いい自分を演じられる。 私はそれを特技だと思っていました。 でも、だからこそ自分に自信が持てない人生でした。 どこかで、私はここには居てはいけない人なのではないか。 私は今邪魔なのではないか常に人の顔を察して揉め事から逃げ、空気のように生きたいと思う私にとって、とても共感でき、とても身近な話に感じました。 死んだらどうなるのだろ?そんな興味だけが私をいつも支配してる中で、空っぽの人間で、世界に媚び生きる事の簡単さと窮屈さを共感し合えたような不思議な感覚になるお話でした。

    9
    投稿日: 2025.11.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    女性は男性に性的に使われる生き物。母親は家庭の奴隷。共感してしまう自分もいて少し嫌な気持ちになった。 私の母は、自己犠牲の塊のような人だ。私の母は、いつも家族のために献身的に動いて大変そうにしている。私はそんな母を見て、同じようにはなりたくないなと感じる。しかし、恋人と過ごしていると、母をトレースしたような行動を取る自分に気づき、その度に嫌な気持ちになる。この小説では、そんなことを思い出した。 私も死に対して羨望を抱くことが度々あるが、自分にとって未知な物事や、本来であれば体験することがないであろう物事に対して、希望的な見方をして、それを手に入れたいと思うのは、人間に備わっている本能なのかもしれないと感じた。それと同時に、誰しもがそれぞれの地獄を抱えて生きているのだから、その中でも、自分が納得できるような人生を送れるように、他者と比べず、自分らしさを追求していくことが幸せな生き方なのかなと感じた。 また、この小説の主人公である空子に対して、愛を感じることができていたら、もっと違う人生があったのかもしれないと感じた。愛を感じることができていたら、人との関わりの中で、幸福を感じられる機会もあったんじゃないのかなと感じた。

    0
    投稿日: 2025.11.12
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    ここまで極端でないにしろ、今の世の中ってだんだんこうなってきてるんじゃないかな、と思う節があった。価値観のアップデート、ね。

    5
    投稿日: 2025.11.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    感動や可哀想は娯楽で、光や夢は麻酔。そう感じる登場人物たちが生きる世界と、今私が生きているこの世界の違いがピョコルンの有無しか思いつかない。 最後、ピョコルンになっても意識が残り続けるのを知り、あまりにも残酷すぎると感じたが、私は意識がなかったらピョコルンを利用していいと潜在的に考えていたのだろうか。自分の社会に対する在り方を考えさせられた。

    4
    投稿日: 2025.11.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    最初から最後まですごかった。 長いけれど面白くて読みやすいし最後までだれることなく読み終えた。 やはり人間はトレースするものでこの本を読み終えた後、この本の主人公の物の見方で世界を見ようなする自分がいた。 面白いと思ったのが上はどちらかというと搾取される側で下は搾取する?というか今まで自分が言われてきた不条理な言葉を思ってしまう立場になる、反転みたいなものが面白かった。 新しい世界や価値観を取り入れようとせず、既存の価値観や自分の正しいという物差しで判断し生きていたら白藤さんみたいになってしまうのかなと感じた。いつの間にか逆に差別だよねって言われてしまうような。 リセットと生成ってやはり必要だなと実感した。 この話をディストピア、別の世界の話と捉えている人が多いが、そうでもない気がする。 この世界のピョコルンは私たちの世界でいう生成AIに言い換えることができるかもしれないと感じた。 自分の理想の性欲処理。生成AIに性欲をぶつけるのが当たり前になり、人間にその感情をぶつけるのは汚いという価値観の世界になるかもしれない。特に生成AIが浸透してから産まれてきた世代からは。もしかしたら世界99下に似た世界になるかもしれない。

    2
    投稿日: 2025.11.09
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    あああ。グロい。下巻も引き続きグロくエグいワールド、上巻以上にディストピア。小説は思考実験だ。下巻入手に時間がかかり、上巻を読んでから2カ月空いてしまったが、問題ない。すぐにこの世界に戻れた。それくらい強烈に私の記憶に刻まれていた世界99。下巻も一気読みで読了。 上巻で30代まで到達していた主人公空子は、下巻では49歳になっている。可愛らしい愛玩動物として上巻で登場していたピョコルンが、実は死んだ人間をリサイクルしたものだということが世界に暴露された上巻ラスト。その日を境に世界の価値観はひっくり返った。その後の世界が、下巻。 ピョコルンは性欲のはけ口になりかつ家事や出産や育児をする動物として高額で購入され養われるものとなった。空子は思う、これってかつて女が担っていた役割ではないかと。 恐ろしいのは、かつて自分が恋人や夫に向けられていた苛立ちを自分もピョコルンに向けるようになったことだ。養うのにお金がかかるんだから家事くらい完璧にやってほしい、見た目は美しい方が良いなど。女はかつては家畜だった、このピョコルンのように。そして、常に被害者側だった女は、はじめて加害者側に立った。 ピョコルンを人間として扱おうと、時代に流されない白藤さんのような人もいる。ピョコルンをこき使わない代わりに、自分も働きながら家事や育児をする。そして白藤さんとそれに付き合う空子は疲弊していく。昨今の共働き夫婦を皮肉るような描写だ。 物語は閉塞感が高まっていくが、さりとて読者も、もっとピョコルンを使いなよ、と思う道はない。なぜならそれは、身近なあの人を家畜と認定するようなものだ。この構造があるところが、この小説の怖いところ。登場人物にも読者にも逃げ場がない。共感したり肩入れしたりする余地が残されていない。 さらに気持ちが悪いのが、女として社会に求められていた役割から開放された新世代の女の子たちが、ピョコルンに憧れること。いつも人に愛されていて、可愛らしくて、守られるか弱き存在で、いいなぁピョコルンは。ピョコルンを真似てダイエットをして目に墨を入れて黒目がちになる。非常にグロい描写だ。 大半の人は「クリーンな人」になり、最近の世代は怒りや妬み嫉みを知らない。その感情を人から向けられることに慣れていない。慣れてないから、人から向けられると獣や低い電子音のように呻く。滑稽でグロい描写だ。 そして女の子たちは男から性的な目を向けられることにも無垢だ。警戒心がなく危なっかしい。怖い思いをしても、自分の勘違いだと自分に言い聞かせる。これは今の世界でもあるな。 とにかく、性欲や性加害や出産育児の家事労働が絶えずずっと物語を通じて人間につきまとう。これに加え、ウエガイコク、シタガイコクという概念も提示され、人種の序列と差別からも逃れられないことが突きつけられる。こんな異次元のフィクションの世界観ですら、人間はそれらから逃れられないことがわかり読者としては絶望する。 最後この物語はどう畳まれるかと言うと、そうかそれしかないか。本当にディストピア。人にお勧めするのは憚られる作品だが、全人類に読んでほしい。

    22
    投稿日: 2025.11.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    出会えてよかった 現代版『人間失格』だと思う 人格って何だろう性格って何だろう自己って何だろうと問われる作品。そして幸せって何だろう。 人間が人間であるからこさ生まれる残酷さと対極的に、正しさや美しさを信じ続けた白藤さん。キサちゃんに出会えて彼女の心の雨は止んだんだとおもう。キサちゃんと出会った日、キサちゃんとの思い出がずっと、シロちゃん、白藤さんを人間でいさせたんだと思う。 幼い時の記憶に支えられる人間の美しさを白藤さんは体現してる。人間の醜さと美しさを全て客観で観てきた、空子は理想郷へ旅立つ。何が正解で何が幸せなんだろう。 シロちゃんとキサちゃんが最後に学校で会話したところが美しくて儚くて心を揺さぶられました。 読んだ後に、やるせない気持ちになる作品。 全ての人格を保有してる個体って「PSYCHO-PASS」を想起させた。 この本に出会えて良かったって本当に思います。

    2
    投稿日: 2025.11.09
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    「世界99 上」「世界99 下」(村田沙耶香)を読んだ記録。 (「上」を読み終わってから「下」を読み始めるまでに間に他の本を二冊読み終わるだけの時間が挟まっている) こんなに居心地の悪い小説ってないんじゃないかって思うわ。 私が(常に搾取する側の)男という性に属しているということも居心地の悪さを増幅しているのだろうな。 今この世界にある目を背けたくなる現実を余すところなく描き、この先の世界に待っているであろう背筋の凍る未来社会を暗示する怪作であり、名著である。 (が、やっぱり居心地が悪い) 村田沙耶香作品を読むのは四冊目なのだが、《ああ、相変わらずなんの禁忌もなくぶっ飛んでるなあ》と思うのであった。 印象深い一文。 『私は、世界に媚びるためならなんでもやる人間だから。』(本文より) あーゾワゾワする。

    12
    投稿日: 2025.11.08
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    作者はどういう視点でどこからの視点で世界を見てるんだろう。って、すごいなぁ。って思った。 すごい分かるなぁ。って思ったのは、いつも相手に合わせて相手の望むような自分でいることは楽だけど、違う世界の人がたまたま居合わせた時にどっちの自分でいればいいのか迷う。 みたいな感覚を子どもの頃からずっと持ってた。いろんなそういうのリセットしたくて大学は自分の知り合いが誰もいないところへ、、、って進学したけど、結局場所変わっただけでやってることは学校の私、バイト先の私、サークルにいる時の私、彼氏の前の私。ができてた。 AIが発達して、嫌なこと汚いこと、ネガティブなものをそれらに押しつけて、キレイなものだけの人間ができていって、そうなると人間はみんなおんなじようになっていってもまだ、その中でも友情婚だなんだってあるってことは相性や、他との違いがあるってことなのかな。 幸せなのかな。と思うけど、幸せがなにかとかんがえることもなくなるのかな。そういう世界なら。 なんだかそんな未来がありそうでもあり、でも人間そこまで汚いもの不都合なもの捨てれるかなぁ。とも思う。イジメや戦争は無くなるかもしれないけど、人間て賢くて馬鹿だから、無駄なもの、キレイじゃないもの、黒い感情、どれもこれも捨てきれないような気もする。 とにかく作者の頭ん中がすごいなぁって思った本だった。

    2
    投稿日: 2025.11.08
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    誰一人として共感できない登場人物たちが、奇妙で滑稽でおぞましい世界で、性をまっとうする物語でした。 前半は八方美人の主人公の物語でしたが、後半からはいったいどこに向かっているのかとわからないまま読み進めていました。

    20
    投稿日: 2025.11.07
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    家族によるケアを「使われる」と表現する、登場する男性は異性を性的に搾取する対象としか見ていない、人間皆平等になんかなれない、完全な被害者なんて存在しない(搾取される立場を経験しても搾取する側に回らないとは限らない)。愛って夢ってなんだっけ…なディストピア世界99。 ただ文章があっけらかんと乾いた印象なので、そんな絶望的状況をむしろ楽しめて読めた。たまたま読書時の自分が「世界なんて滅べ!◯ね!」という最低な精神状態だったため?セラピー効果すらあって、貴重な読書体験だった。(おすすめはできませんけど) 作者さんはこの作品を、世界に「ピョコルン」を放りこんだらどんな作用を齎すかという実験小説だと語られていた。そんなきっかけでこんなモンスターみたいな作品完成させてしまうなんて、才能としか言いようがないわ…。好悪を超越した問題作だった。これからの作品も楽しみです。(楽しみっていうか、興味!)

    13
    投稿日: 2025.11.06
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    こんな危ない本を二千円そこらで売るな。現実と内容の線引きができない人は価値観に引きずりこまれると思う。すごく面白くて、真実で、救いがない。誰も幸せになんかなれない。

    4
    投稿日: 2025.11.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    リセット前ただの愛玩動物だったピョコルンが消費される女性の代わりになっていくにつれて主人公は世界4のような消費する側の感情になっていき、上で描かれてきたような人間ロボット感が無くなっていく。 呼応をすればいいってわからない人って本当にいるよね、ちゃんと損してて不思議に思う。 個人個人の関わりも上外国や国内からみた日本という国の立場も繋がっているな。 些細な生活にある自分の加害性たくさんあるだろうけどまだ気づけてないし気づかないようにしている私はクリーンな人な気がする。 リセット以前だったら消極的な世界3、主に世界4かなー? 「ピョコルン」「ラロロリン人」「クリーンタウン」「クリーンな人」「恵まれた人」「リセット」気持ち悪さのネーミングセンスが研ぎ澄まされてる。

    4
    投稿日: 2025.11.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ちょっとお高いバーの甘いカクテルを「おいしいおいしい」とぐびぐび飲んで気づいたらベロベロになってる、みたいな小説。 甘い毒がたくさん入っていて、気づいた頃にはだいぶ侵食されてる。 読んでると、「あっ...」とか「えっ...」とか「やば」「まじか」となる情報が回転寿司の如くジャンジャン流れてきて「え まって」と思うのに、消化しきれてないのに、どんどん読み進めてしまう(矛盾) とりあえず情報量多すぎて、何からツッコんだら良いのやら。 著者の未来予想図とメッセージが複雑に絡み合って、なんだかとんでもない世界ができていた。すごかった。 すごすぎて、正直読み終わった時の感想は「やば」しか出てこなかった。 でもすごかったので、ちょっと落ち着いてから絞り出してみた。  上巻は、おかしな世界にザワザワしながら読んでいたら、最後に天と地をひっくり返されるような結末で、途中まで考えていたことが全部頭から消されてしまう感覚になった。 下巻はすっかり空っぽになった頭で淡々と読み進めているうちに段々おかしな世界にに慣れてきて、思考停止で読んでいた。 読み終わってしばらく「ぽかーん」という感じだった。 印象に残ったのは「娯楽」について。 差別は娯楽 「かわいそう」は娯楽 人の死は娯楽 ここまでは何となく分かる。 でも最後のクライマックスでは 「自分の死も娯楽になりうる」 と言っているように感じた。 1万人もの有志の中には「特別な体験をしたい」だったり「儀式に選ばれた相応しい人間である」ことを誇りに思ってたりしそうな女性が出てきて、「やば」と思った。 そして大量の人の死をコンテンツとして消費させようと企てる人も恐ろしかった。やっすいコスプレでさ...命軽すぎる。 あと気になってたのに、答えを教えてくれない部分がたくさんあって気になる。 空子はピョコルンになって出産や育児を経験してると思うけど、その辺は全く描かれてないので気になる。想像するだけでぞっとするけど。 白藤さんが一番会いたかった人って誰? 馬鹿だから分からない...ラロロリンキャリアの人は馬鹿の言い訳に厳しい。耳が痛かった。 ネットの解説探しに行こ。 これはR18だと思う。 思春期に読んじゃダメ!

    4
    投稿日: 2025.11.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    オーディブルにて。 同じ⭐︎3だけど、上巻程の更なる衝撃はないかな? 空子の人間ロボット味は薄れた印象。 多種多様な婚姻関係が生まれ、ピョコルンが生まれた経緯が逆転してピョコルンの人権が謳われる世界。 最終的な結末も想像を大きく超えるものではなかった。痛覚の有無が分かるかどうかでも今までの受け止め方は変わると思う。 ただ節々に文章表現の気持ち悪さ(褒めてます笑)があり、いやーな雰囲気は最後まで変わらず。 メンタルが安定しているときに読む本(笑)

    3
    投稿日: 2025.11.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    自分のこれまでの生活と重なる部分があって地獄のような気分だった。でも面白かった。 世界に呼応して巧みにうまくやりすごし、そういうものだからと悲壮感は持たない主人公がコンビニ人間の時と同様特徴的。器用だなと羨ましく思う。 ピョコルンになるために精算して終わらせる様子が羨ましかったけど、最後意識があることがわかる描写でゾッとする。そりゃあるんだろうけど、その状態で今後ずっと過ごしていかなきゃいけないのか…。

    2
    投稿日: 2025.11.01
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    面白かった。村田沙耶香は好きでほとんどの作品を読んでると思うが、その中でも一、二を争うくらいだし、これまで読んだ小説の中でもトップクラスに好きな作品かもしれない。異常な世界観と、人間のリアルをあえて誇張して描く人間描写とが合わさっていて、2巻本でボリュームのある長編であることもあり、これまでの村田沙耶香の中でも特にとても村田沙耶香らしい作品だったように思う。

    1
    投稿日: 2025.11.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    クリーンタウン、クリーンな人、きれいなこころ、汚いこころ。 きれいな心でいること、きれいでいなければならないことの残酷さ。この世の理不尽に怒ることは汚いとされる。 違う世界の話ではないと思う。今の日本でも怒ることは忌避される。私は古い世代だから常に怒っている、シロちゃんのように。若い世代はこの世の辛さを達観したつもりで冷笑する。そのあいだ、弱いものの存在は絶えず無視される。 私たちの苦行や苦悩を押し付けられる存在ピョコルンは私たちの世界に違う形で存在している。それは本作では前時代性の女性差別、代理母、人種差別という形で。 空子はいつでも逃げようとする、目を背けている、自分の心を見つめることからも、世界99に生きることからも、自分の自分の人生からも。 空子の気持ちは少しわかる。自分ではどうすることもできない現実に打ちのめされていくから。 そんな空子もピョコルンになる覚悟からは最後まで逃げなかった、空子が初めて抱いた強い希望。ぼんやりとした気持ちに、手術のすさまじさ。 終章でピョコルンに少なからず自我があることには絶望を覚えた。

    4
    投稿日: 2025.10.31
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    上巻読み終えて続きが気になった時に下巻が手元にないのは嫌なので上下揃えたけど、そんな心配は無用だった。が、上巻の方がグイグイ引き込まれる感じがあった。 読みながら、女性を「産む機械」だと言った政治家がいたなーと思い出した。調べたら2007年の事だった。20年弱前の世の中の空気感だと、この物語自体受け入れられていただろうか…と思うと世の中だいぶ変わってきてるのかも。

    3
    投稿日: 2025.10.31
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    環境に合わせたキャラでいくつもの世界を渡り歩いていき、それを外側で客観的に見ているのが本来の自分ではないか、と考える主人公に共感。本当の自分なんて幻に近い存在なのかもしれないので、それに囚われる必要もないと思えてくる。現実世界に「ピョコルン」はいないけれど、ネガティブな感情や過度な欲望はどこかに預けておいて「クリーンな人」になることができれば、肩の力を抜いて、皆で仲良く、今よりもだいぶ楽に生きられるような気がしてきた。

    2
    投稿日: 2025.10.31
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    やはり恐ろしかった。いまの現実世界と重なる感情がちょくちょく出てきて、著者の表現に悍ましさすら感じた。可哀想という感情を気持ちいいと表現したり、人間の残酷な部分をストレートに書いていて怖かった。 今の社会において女性はこんなふうに感じているのだろうか?だとしたら相当苦しい世界なのだろう、と考えざるを得ない。人間の自分より弱い人の上に立つ加害性、みたいな部分が読んでいてしんどくなる。

    2
    投稿日: 2025.10.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    個人的には上のほうが面白かった。 きっと主人公がいきいきしていたからかな、下での主人公は感情を失い、よりロボットらしく、というかぴょこるんらしくなっていた

    4
    投稿日: 2025.10.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    オーディブルで最後まで。 ラストのたたみかけるようなグロテスクな儀式には、身の毛がよだちました。 主人公は女性性の塊のような生物に生まれ変わり、囚われ続けるのでしょうか。

    3
    投稿日: 2025.10.29
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    私にとっての最高の癒し小説だった。 結構、色々な部分に踏み込んで描かれていてそれは良かった。 とはいえまだ足りない。 もっともっと読みたかった。 女性側ばかり描かれているから、男性側のことが気になる。 そしてピョコルンになりたがる人たちの心理が分からない。 あんなに勝手に使われるのに。

    3
    投稿日: 2025.10.28
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    消費される側だった側にそれよりも下の存在が生まれた場合、自分が受けた仕打ちを同じように繰り返してしまうというのが業が深い。多分もっと若い頃に読んだら軽くトラウマになる。 ただ生きていくためには適応しなければならない。それを媚びだというのなら、そうかもしれないし。 あと、意図的に男性の無意識の加害性について触れてあると思うんですけど、これは男性の方が読んだらどう思うんだろな。 みんなが少し隠している本音を炙り出す感じの本だなと思いました。

    2
    投稿日: 2025.10.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    上巻を読んでいる途中、もうお腹いっぱいだから下巻は読まなくてもいいかなと思ったけど、上巻の終わり方が続きを読ませたくなるような締め方で、下巻も読んだ。 なんとなくみんな思ってるかもしれないけど、触れてはいけないテーマについて描かれている。 すごく暗い気持ちになる場面も多かった。でも、ハッとさせられて、思わず読み返してしまう文章がいくつもあった。 そういう意味で、村田沙耶香さんがどういう人なのか気になる。 デストピアが描かれているようで怖さと不気味さを感じた。 みんなが憧れるピョコルンになったキサちゃんと、社会の流れに抗っているシロちゃんが描かれているラストシーン、どちらが幸せなのだろう?

    1
    投稿日: 2025.10.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    リセットから数年。世界が統合し、離婚して仕事も辞めて、白藤さんと奏の娘の波ちゃんと空子で暮らしている。空子はアプリで通話する友達連中がいる。 世界は「恵まれた人」(ラロロリン人)「クリーンな人」(普通の人?)「かわいそうな人」に分けられる。クリーンな人は、汚い言動を嫌う。しつけとか怒りも。それを出すのはかわいそうな人。 ラロロリン人は生きてる間は恵まれて、死んだらピョコルンとしてリサイクルされ、性欲処理子産みマシーンや家事ロボットとなる。 波ちゃんが1500万円もするピョコルンに惚れて飼う。ピョールという。学校で友達はいないが、アミちゃんの娘の琴花と仲良くなり、一緒にピョコルンを愛でる。40歳。 49歳。オジサンに暗がりで襲われていた琴花を連れ帰る空子など。空子は小早川さんの繋がりで改造ピョコルンになって、記憶ワクチン化することにして終わりに準備を始める。そんな中、ピョールが妊娠。波と琴花で妊娠んさせたそうで相手不明。白藤兄が波ちゃん目的で家に奪おうとしていたり。 ピョール妊娠はjc琴花がプラトニック恋活で研究室の人間と行為無しパパ活を行い、ピョール自身の精子と卵子で妊娠させ、雨という子を産む。 空子は記憶ワクチン化されピョコルンになる儀式の日、見守り人という記憶ワクチンを投与されて均一化された先行人間に白藤兄の匠くんを指名する。白藤の願いを叶える。そして空子は麻酔下で大量の同じ人と一緒に足を切断され、手を切断され、殺されてピョコルンにされた。 89歳。白藤さんの子供の波ちゃんとアミちゃんの子供の琴花のピョールに産ませた子供の雨。雨は男性と友情婚してシュンをピョコルンで作る。その世界は記憶ワクチンでみんなが幸せに暮らしているが、白藤さんはワクチンを打っておらず、知らない表情をするから嫌だとひ孫のシュンが言う。 ーーー ピョコルンがAI表してるように読める。低賃金労働者が母ルン。AIは人を助けるためだったはずが、AIを助けるために低賃金労働者が働く… ルンバを買ったが部屋を綺麗にするのは人間で、みたいな。 真夜中の競技場で、チョコボを数頭放し飼いしてる大学生男女に中年女性が話しかけて、チョコボに向かって微笑を浮かべながら、全員で拍手する絵が浮かぶ。 女は男に家事ロボット兼性欲処理機として虐げられ、男性は養ってやってるという根底の考えを持ち悪い気もして無い。そういう世界観。

    1
    投稿日: 2025.10.25
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    上を、とても胸熱くハイペースで読み、今年読んだ中でイチバンの本ではないかと、期待して読んだ。 だが、下にあったのは、ピョコルン、ピョコルン、ピョコルン…。 上にあった共感はなくなってしまいました。

    1
    投稿日: 2025.10.24
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    「世界って媚び続ける祭りだよ。貴方もね」 という恐ろしいけど、全否定もできない衝撃をぶつけてきた全巻に続く後半。 ピョコルン、ラルロリンDNAをはじめ色々とSF的な要素が強くなっていった。 結局救いはあるのかないのかわからなかったが、「あっ、そういえばこの世界って昔からこういう感じだったし、これからもそうなのだろう」とふと思った。(空子呼応風) また、断続的だったのは、そもそも連載でやってたもので、読者と呼応させるためだったのかもしれないなと思った。

    8
    投稿日: 2025.10.22
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    人は他人との違いを意識しすぎていて、なぜか相手と同じように呼応して生きようとする。 だけどそれぞれが底知れない欲望も持ち合わせていて、理想的な世界を作ろうとする。 何が人間にとって正解かはわからないけど、今後の世界もこうなるかも知れない。 今で言うところのAIの存在もピョコルンみたいなものかもしれない。 こんなに非現実的な内容なのに、今生きている現実世界の未来がとても怖くなりました。 終始天才的な作品、読めて良かった。

    3
    投稿日: 2025.10.21
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    全てが生々しい作品だった。 「女性」である空子が、「男性」から受けた「女性」の役割、差別、蔑視を、物語が進むにつれて、 「女性」である空子が、自分より弱い存在である「ピョコルン」に押し付けていく姿が、生々しくてとても良かった。 他にも、少し後の現代にありそうな世界が表されていたけれど、この部分が一番生々しかった。 女性よりも弱い存在が世の中に現れたら、それを迫害してしまうのではないか?人は何かを見下して押し付けていかないと生きていけないのではないか?と思った。

    2
    投稿日: 2025.10.20
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    読書中に眉間に皺を寄せるのは初めてだった。 これは日を置けないなと思って、上巻が読み終わる前に下巻を買いに行って一気読みした。 本当に世界観の作り込みがすごい。 空子が生きる世界での常識ってどこにあるんだろうと迷子になりつつ夢中になった。 読む前にレビューを見て怖くて上巻だけ古本で買ったけど、下巻は定価で買った。 それくらいこの作品にはしっかり対価を払いたいと思った。

    0
    投稿日: 2025.10.19
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    正直、読むのが辛かった。 しかも途中で、自分の常識がズレているのか、小説な中の世界観なのか分からなくなって、汚らしい世界が当たり前かのような錯覚に陥りそうになりつつ、ウエガイコク、性の賞味期限、愛玩動物のピョコルン…理解可能な世界と理解不可能な世界が行き交う世界が舞台になっている。 いろんな世界観の中にいる私。 確かに僕にも心当たりもあるが、それがこの物語と同じものなのだろうか。 読了後になってもわからないままだ。

    0
    投稿日: 2025.10.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ピョコルンが完全に人間の性愛を引き受け、家事や子育てを担うようになった世界。とにかく、ピョコルンがどういう容姿なのかが気になる。白くて、毛が生えてて、手足が細くて、発情を誘引する生き物...。謎すぎて読了後検索してみたら、著者直筆のアルパカのようなイラストが出てきた...。確かにかわいいけれど...。 物語は空子がピョコルンになる「儀式」で終わるけれど、凄惨な場面な割に静かで淡々とした印象で幕を閉じる。何だか長かった割に誰にも共感できず、何を読まされたのだろうという気持ち。

    3
    投稿日: 2025.10.19
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    村田沙耶香『世界99』上下巻 上巻でかなり圧倒されて、下巻は主人公がどうおわるのか、ゆっくりと見届けた感じ。人間の嫌なところがリアルに表現されているのに、非現実世界がベースになっているから、かなり脳が揺さぶられる感じ。全編通して静かに悍ましくて、自分はどの世界かもわからないまま読了 村田沙耶香さんの集大成とも思える、圧倒的な世界観と表現だった。 ピョコルンすごく嫌

    2
    投稿日: 2025.10.18
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    我々の世界も遠くない未来このような結末になってしまうのではないかと空想してしまうほど、その考え方や世界観に引き込まれていきました。寓話的でもあり、警鐘とも捉えられる作品だと感じました。

    0
    投稿日: 2025.10.16
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    胸糞悪い、でも止められない。まだ名のない感情や事象を言葉に変え、著者の一つの到達点になるであろう怪作 ワクワク8 展開9 読後8 再読7 構成10 学び7 文表現10 人物8 深み8 余韻10 合計:85/100

    0
    投稿日: 2025.10.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    まず衝撃だったのが、 ピョコルンが人間のヒエラルキーに取り込まれた世界で、自分の中の「明人」や「巧」のような人間性が炙り出されてしまったことだ。 上巻であんなにも毛嫌いしていた人たちなのに、 まさか自分にもその要素があったとは…… 戸惑いを隠せなかった。 ピョコルンが人間の性愛を引き受けることで、 ほとんどの人間がネガティブな感情を持たなくなり、“クリーンな人”が多数を占める世界になる。 一見、平和で穏やかな理想郷のように見えるけれど、実に表層的で無自覚な差別はしっかり存在している。 後天的“クリーンな人”は「かわいそうな人」の部分を隠しているだけだし、 先天的“クリーンな人”は思考停止の存在にみえる。 この狂った世界は、さらに加速していくんじゃないだろうか。。 さらに、人間がピョコルンとしてリサイクルされることで、「死」に対する選択権が生まれる。 しかも“人に愛され、役に立つもの”として生まれ変わるため、それはポジティブな行為として受け入れられる。 まさに“死がなくなる”世界。 人の不安の多くは、将来へのものではないだろうか。この選択権によってその不安が消え、 晴れやかな余生を送ることができる。 私たちの世界でも、いつか安楽死が “前向きな選択”として語られる時代がくるのかもしれない……。 ――と思っていたら、まさかの感動グロエンタメが壮大に展開! 流石にやりすぎ!でもそのおかげで正気に戻れた! 安心・安全・楽ちんでポジティブ。 不安のない理想の世界を作ったはずなのに、 できあがったのはとんだディストピア! 倫理観を根こそぎ崩壊させられた読後感だった。

    11
    投稿日: 2025.10.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    突拍子もないSF設定なのにも関わらず、要所要所で共感してしまう。私たちの生きる世界にはピョコルンもラロロリン人もいないけど、現実と地続きなのを感じます。 上巻、下巻の途中まではすごく気持ち悪くて(特に空子の周囲にいる男性が信じられないほど気持ち悪い)最後まで読み進められるか不安だったのですが、上巻下巻ともにラストが本当に鮮やかで「なんとか読み進めてよかった」と感じました。貴重な体験でした。 オーディブルで一聴したのみなので飲み込めていない部分も多く、もう一度小説にて読み返したいと思います。

    3
    投稿日: 2025.10.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    所属するコミュニティに合わせて性格を変え、世界に媚びて生きていく空子。 彼女の生きる世界では、女性は家事、出産、育児、性欲処理を引き受ける代わりに男性に養ってもらうか、自分自身を養っていくことでしか生きていけない。 そこに、女性の役割の多くを担ってくれるピョコルンという存在が介入してくる。 空子も大金を払って美しいピョコルンを購入するが、たいして家事もできず、意思疎通もままならないピョコルンに対して、自分が養ってるのに何だかなぁ、と不満を感じる(ここは専業主婦の妻をもつ男性目線で面白い) 自分に性格がないことを冷静に自覚している空子だが、その更に上を行く音という女性に出会う。 選ばれし民(ユダヤ人的存在?)である音は、人間をピョコルンに改造する儀式を主催し、空子はピョコルンにリサイクルされていく… あり得ない世界観がセンセーショナルに描写されているが、我々が生きる世界と本質的に同じであり、うんうん、そうだよね、と共感できる点が非常に面白い。

    0
    投稿日: 2025.10.14
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    まず、上下巻読んで本当に何度も吐きそうになった。 苦しいとかそう言うのではなく本当に胃液が出そうな気持ち悪さ。 すごい評価高くて何でこんな評価高いんだ、ぜひ読んだ人の感想が読んでみたいと思って読破しました。 コンビニ人間を読んで全然主人公に感情移入できなくて「んー」って思っていろんな人の感想見て「私もこの主人公と同じです!」とか「すごく感情移入しました!」とかの感想を見て無意識に自分の価値観が正だと思っていて。 今回の作品もいろんな人の感想を読めておもしろい。 私と同じように気持ち悪いと思った人もいれば、怖いと思った人、自分も空子(主人公)みたいだと感じた人、本当に様々な人がいるんだと思った。 気持ち悪いし、私はやっぱり人にはお勧めできない本だと思っちゃうけど素晴らしい読書体験をさせてくれたなと思う一冊でした。

    11
    投稿日: 2025.10.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    世界を粒子に喩える描写が登場する。知らず知らずのうちに影響を受け、同化していくような世界観。「世界は粒子だと思う。いつのまにか吸い込んで、身体の一部になっている。」 上巻の「液体」と下巻の「粒子」は、物語終盤に登場する「記憶ワクチン」へとつながっていく。多数の人生の記憶サンプルをワクチンとして個人が摂取することで、均一な記憶が調合され、クリーンな行動や感情しか存在せず、「かわいそうな人」がいない世界を生きる。 「かわいそうなことは、素晴らしいですよね。僕、たぶん、将来、それって娯楽になると思うんです。」このセリフには、ゾクッとする様なリアリティがあった。 最終章では、記憶ワクチンの原料となる手術を受け、死後にピョコルンとなった空子が登場する。記憶は失っているが、その存在の描かれ方は空子そのままで、かつて空子が気持ち悪がっていたピョコルンが、彼女自身の延長線上にある生き物だったのかなと感じた。ピョコルンは、まさに世界99の象徴のようでもあり、世界99だけが喪失した空子のようでもあった。

    0
    投稿日: 2025.10.14
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    登場人物の誰一人として共感出来ないのに、どうなっちゃうのか気になって、最後まできた。 潔癖へのアンチテーゼ。

    7
    投稿日: 2025.10.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    (上下まとめての感想) とても濃密な内容だった... 村田沙耶香のこれまでの小説で問題提起されたテーマを詰め合わせたみたいな集大成だった。 上で印象的なのは、主人公が世界ごとに人格を形成しているところ。 本作では極端に描かれているけど、属しているコミュニティごとに振る舞いが変わるというのは誰しもあるのではないかと思う。自分ってどこからどこまでなんだろう。コミュニティで正しさのようなものが漂っていて、それに抗わないように、不穏分子にならないように、そんな風に形を変えて適合しているものなのかな。結構斬新な切り込み方で面白かった。 世界を切り替える話で終わるのかなあと思いきや、下ではピョコルンの話がメインだった。 家事と出産育児を強いられる人間家電である"母"という存在に代わる、ペット家電"ピョコルン" 女性は、結婚して下位の存在になることで夫に養ってもらい、家事や出産育児をして家電として夫にこき使われることを選ぶか、結婚せず自分で働いて自分を養っていくかを選ばないといけない。 そんな中で、登場するのが家事や出産育児を受け持つさらに下位の存在であるピョコルン。 かつては人間家電としてこき使われた女性が、かつてこき使っていた夫のようにピョコルンをこき使うっていう構図が、皮肉が効いていて良かった。 女性の社会進出が顕著になってきたこともあるし、もしかしたらピョコルンというのはいつか現実になるのかもしれないな、とも。 波ちゃんの世代と、主人公の世代で考え方が大きく違う点も興味深かった。 今の当たり前も、倫理も、いつか大きく塗り替えられるのだろうなと思った。正しさって何なんだろうな。倫理って所詮は自己満足で、正当化するための言い訳にしかならないんじゃないか。

    8
    投稿日: 2025.10.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    Audible!! 最初は「ピョコルンに改造されたり、ピョコルンで性欲処理したり、ピョコルンを使って子どもを産ませたり…何を言ってるんだこの世界は」と思ったけれど、聴き進めるうちにその異常さがだんだん“普通”に感じられてくる。 ――そんな自分が一番怖かった (・_・; もしかしたら、自分がちょっと「世界99」に近い体質なのかもしれない。 自分の意見をあまり持たず、周囲に合わせてしまうタイプだから。 だから、人によっては「気持ち悪い」「生理的に無理」って感想になるだろうなとも思う。 もしかして著者は読者が“どの世界の住人”なのかを試しているのかもしれない。笑

    29
    投稿日: 2025.10.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    上巻までは、主人公の空子を筆頭に、みんなが自分の世界に呼応することでなんとか表面上は毎日をうまく過ごしている(それをできない人は世界では悪目立ちしながら生きている)様子に対して、今自分たちが普段から感じていることを少し大袈裟に書いてくれている気がして続きが気になってすらすら読むことができた 下巻になると世界の変化と媚びるムードがより極端になることで、今の自分たちからはさすがにかけ離れた空想の世界に感じられた分、少し噛み砕きが必要で読むのに時間がかかった 読むのが特に楽しかったのは 空子がいろんなコミュニティに属して、 各コミュニティの人を冷めた目で見ながら気持ちよく呼応してあげている上巻までのパートだったけれど、 下巻まで読むことで みんなが同じ価値観で呼応しあうことを 望む世界に対して 自分が嫌悪感があることを知れたので 2冊通して満足感は高かったなと思う

    4
    投稿日: 2025.10.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    確かに、読む前には戻れない本。一日で一気に読んでしまって頭がボーっとしている。 印象的なフレーズや文が随所にあった。惹きつけられるけど、メモしてまで自分に取り込むのはまだ怖いので、読み進める方を選んだ。 ぶっ飛んだ設定なのに、現実の自分の生活、振る舞い、考え方を振り返ってしまう。 ピョコルンの担わされる役割が嫌だったのに、自らピョコルンになろうなんて。人間って不思議。 「かわいい」や「かわいそう」なものへのリアクションを今までと同じようにできるか心配になる。

    3
    投稿日: 2025.10.12
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    最後の数十ページで、いろいろな問いをぶつけられ、読後も整理がつかない状態になった。尊厳死や、代理母出産、ジェンダーに関する考え方や、グルーミングをする大人など、今の世の中でも既に問いや問題となっている事柄が、全く違う形で突きつけられ、考えさせらるから、本当に不思議な作品だ。下巻を読んだら、ちょっと刺激が強すぎるので、映像化は難しいかな…と思ってしまいました。すごい作品でした。

    6
    投稿日: 2025.10.12
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    49歳 40歳 49歳 50歳 89歳 下巻も428ページ。一気に読んだ。 上巻では女の子の頭の中におののいた。賞味期限までをいかに有効に過ごすか。 見た目は一緒だけどDNAに違いがあることから生じる差別に現代の問題を感じた。 ラロロリン人と名がついていた。 下巻では、上巻の感想ではペット、、と曖昧に描いた、性の欲望処理の相手であり、 妊娠出産炊事洗濯掃除を任せる「ピョコルン」が中心になる。 なんだよこの生き物。 ちょっと前までは「専業主婦」がそれにあたったのではないか? 今の女性も働くのが当たり前の時代にあって、その役割を代行するものが必要、 と著者はメッセージしているのか? その存在のおかげで、女性は妊娠出産育児から解放され、自由になる。 結婚の意味も変わる。性欲も変わる。痴漢も減る。だが、減るがゼロにはならない。 無知、無防備な世代の、賞味期限内の若い女の子が餌食になる、、、 ラロロリン人が死後再生産されピョコルンになる、っていうくだりはちょっと グロテスクではあった。 長編の落としどころ、というか、結末も好きではない。 こういう形にしなくてもよかったような気はする。 まあしかし、ではどうしたらいい、という答えは持ち合わせていないが。 この架空のDNAと生き物が存在する世界。 時代もいつだかわからない。自動車が自動運転でないのは確か。では今か? 全体を通してみれば、社会からいろんなものを押し付けられてきた女性たちの、 叫びが込められている、と受け止める。 賞味期限、妊娠出産育児、介護。全部やらされ、くたびれ果てている。 こんな状態では少子化になるのが当たり前なのだ。 だからと言って、どこかの党のように専業主婦に戻れなどとは到底言えない。 でも女性もサラリーマンになればいいというものではない。 そもそもサラリーマンだらけになったから日本は活力を失ったのだ。 どうすれば楽しく働き楽しく生活し、国が栄えるのか。 皆が生活費のためにきゅうきゅうとなっている世の中を変えなくては。

    4
    投稿日: 2025.10.12
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    415 audible 気持ち悪い性描写えぐい 読書会の課題 「ユートピアの世界って何かな?」 みんなと本の感想をシェアしたく手続きを聞く

    8
    投稿日: 2025.10.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    世界③、私は「正義の世界」という感じだと思った。 奏はラロロリンキャリアじゃないのに「恵まれた人」でそれなりの振る舞いを求められていた。 白藤さんはいつまでも世界に適応できずに、容姿も悪くなっていって、もうどうしようもなく可哀想な人だった。 2人の娘の波ちゃんも中学生でピョコルンを妊娠させて、友情婚。波ちゃんは性的対象とされることに憧れてて(外見を)ピョコルンに近づけようとするけど、それゆえの無知さ、性的搾取を受けたことがないからこその無防備なところ、ピョコルンを妊娠させても出産について何も調べていないところ、詰めの甘さ、「馬鹿さ」にイライラした。 白藤さんの、器用に?柔軟に?生きられないところにもイライラした。 「世界は媚びを売る祭り」、その通り。 いつまでも狭い世界に閉じこもって人を見下してる白藤さんがいちばん馬鹿なのでは? 音ちゃんの提案した「儀式」もまあまあグロかった。 空子が、雨が生まれるころにはピョールに対して「飽き始めていた」っていうのもすごく良かった。 出産シーンで「わかった、大体わかった、すごいですね」って書ける村田沙耶香のすごさ。 結末よりも端々のすごさに興味が湧いた、すごかった。

    2
    投稿日: 2025.10.11
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    見てはいけないもの 見たくないもの 見えないふりをしているものたちが デフォルメされて目の前に晒されていました 今自分が生きている世界と そう離れていない 合わせ鏡のように存在している 精神世界のような気がして 心の根っこがゾワリと撫でられているような 気持ちの悪さもありました でも 封印されてた感情が解放される感覚もあって 読むのはやめられない 中毒性がありました この中毒性を求めて 村田さんの他の小説も読んでみたいです

    39
    投稿日: 2025.10.10
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    村田さんにはこの世界がどういう風に見えているんだろう。 様々な世界を行き来しながら俯瞰して観ている世界99の私達を、さらに背後から俯瞰して観ているような、寒気のする物語だと思った。

    2
    投稿日: 2025.10.10
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    やっと終わってくれた!と言う感想がまず第一!苦笑 なんともリアルでグロテスクで、自身の夢にさえも影響が…笑 それほどまでに、創作なのにリアルなディストピアの世界 気持ち悪い、でもありそう、いや、これからなって行きそうな世界のようで空恐ろしいです。

    10
    投稿日: 2025.10.10
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    Audibleで聴読。 うーん。現代の日本とは価値観が違う異世界に来たようで、終始気持ちの悪さがぬぐえなかった。ピョコルンという愛玩動物に性欲処理や家事をさせる価値観。女性的なようで、ロボットのようで、ペットのような扱いに共感することは出来なかった。ただ、今は違和感を感じていても、そういう技術が当たり前の世界になれば、違和感も感じなくなるのだろうかと感じた。

    1
    投稿日: 2025.10.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    下巻はかなりグロテスク… 出産を中心に、これにまつわる白藤さんの展開、そしてラストの展開はおそろしかった。「それぞれ全部突き詰めるとどうなるのか」おそろしい。端々に痛烈な風刺。

    1
    投稿日: 2025.10.08
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    気持ち悪い、怖いと思いながら読んでいたけれど、全く理解できないわけでもないのが余計に怖い、、、 相手をトレースする、相手の期待する役割を演じる、そして自分自身も誰かに期待し、依存し、差別する。 読んでいる時も読了後も何とも言えない居心地の悪さのある作品。 ワクワク読み進めるわけではないけれど、読む価値は十二分にあった。

    5
    投稿日: 2025.10.06
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    楽しい読書ではなかった。よく、こんな物語を紡げるものだ。その創造力!様々な比喩、暗喩でオブラートに包んでいるけど、おぞましい人間の歴史、ディストピア。深読みしても…致し方ない。「自分の中でうまいこと理屈さえつけば便利で楽で気持ちがよくて生きやすいのが一番」「私たちはみんな空っぽの人間ロボット。経験と記憶によって行動と感情が生成される」ラストは、なんだかよくわからなかった。

    9
    投稿日: 2025.10.06
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    今のところ、2025年ベスト!ディストピアという人がいるけど、ピョコルンという存在を除き言語化が異なるだけでほとんどが現代社会の映し鏡のように思った。登場人物のキャラクターも実在レベルでリアルすぎる。全800ページ超だけど、全く止まらずに完走できた

    9
    投稿日: 2025.10.05
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    ○ピョコルンを受け入れてるのが気持ち悪い。 ○それ以上にこの本の評価が高いのも気持ち悪い。 ○コンビニ人間の主人公を濃縮したのが、世界99の主人公に感じた。 ○いや、ほんとに気持ちが悪い。感想はこの一言につきる。

    2
    投稿日: 2025.10.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    面白いとか面白くないとかを超えて不思議な気分になった。下巻の方がSF色は強い。けど上巻から長い時間をかけて現実との重なりと乖離を読んで感じてきたからなんだかすごくリアルな話を読んだような完全なフィクションを読んだような、そんな感覚になった。 最初は前に読んだコンビニ人間に主人公が似ていて、もしかして作者もこういうタイプの人間で色々な社会の声を一枚上の視点から見ている人なんだろうか?なんて思ったけど、読んでいるとむしろ社会の内側で見えない壁にすごく憎しみを持っている、それこそ白藤さんみたいな人なのかなとも思えてきて…。 この世界の人たちはピョコルンがいてよかったねと思っていたらむしろピョコルンが一番上に君臨しているとも思えて恐ろしくなってきたり、どこに感情を置いて読んだら良いのかわからなくなる。 世界99の住人に、自分だったらなりたくないなーと思った。

    3
    投稿日: 2025.10.04
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    すっごい作品だった。衝撃。 たくさん突っ込みどころや、考えさせられる事が起きたけど、量が多すぎてパンク。 メモして読めばよかった、、 上はわりと理解できて、共感できるところもあったけど、下はSFに寄った感じ。 主人公について。誰しもコミュニティごとにキャラを変えるという行為はしていると思うけど、極端にするとこんな感じの景色を見ているんだ、と思った。 白藤さんは最後まで一貫していて、清々しい。決してかっこいいとは思えないけど、最後まで記憶を持ち続けたのは良い終わり方だった。 「倫理の賞味期限」 「事実を自分を正当化するために歪曲される」 といった言葉が印象に残ってる。 本当はもっとたくさんあったけど、、

    10
    投稿日: 2025.10.04
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     とんでもない世界を見せられている。  久しぶりに、これは衝撃的だなという感想を持った。  倫理観が狂っているが現代日本を描いているのにゾッとする世界。  前半では前時代的な倫理観が渦巻き、その倫理観が共通言語となる集団に性格を寄せて生きる如月空子の無数の世界が描かれる。  男尊女卑、外国人差別、上下格差。  それらがエグいほどに描写された末に、衝撃の結末で世界が収束し上巻が終わる。  後半は上巻の倫理観が全て忘れられたかのようにキレイな世界を目指す人々が描かれる。  差別のない世界を目指しているのに、差別がなくならないがゆえに、人類は精神の同一化を目指す。  世界の最終形を目指すのは、エヴァンゲリヲンの人類補完計画、伊藤計劃のハーモニーを思い出すが、この作品では幼少期から老年までの如月空子という主人公の一人称を通して描かれている分、その過程がリアルに怖い。  労働も、性欲も、出産も「ピョコルン」という架空の道具に押し付けられるテクノロジーの進化の反面、人間のリサイクルが倫理的にも許されるという社会構造。  久しぶりにとんでもない作品を読んだ。

    7
    投稿日: 2025.10.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    上巻の終わり方からして、下巻はラロロリン人殺戮の巻になるかと思っていたら全然そんなことはなく、引き続き気持ち悪い価値観だけど落ち着いてきた世界が描かれる 上下巻通して主人公の空子は、わたしは他人に合わせて生きているから自分自身は空っぽなの、とよく言ってた でも、「色即是空 空即是色」を考えれば、空(すっからかん)=色(ぎゅうぎゅう)だから、他人に合わせることで自分の色んな面を出せていた空子は、自分らしく充実して生きていたと言うこともできる 変化する世界の中でも固定化された"正しさ"を貫いている白藤さんは、自分らしく生きているように見えるかもしれないけど、生き苦しそう 本当の自分なんてひとつじゃなくて360度の球体くらい色んな面があるものだと思うから、それを体現している丸っこそうなピョコルン(人間リサイクル生命体)に、空子は最後なったのかもしれない 参考図書:平野啓一郎著『私とは何か――「個人」から「分人」へ』 Judging from how the first volume ended, I had expected the second volume to revolve around a massacre against the Larororin people, but that never happened. Instead, it continues to depict a world with disturbing values, though one that has settled into a calmer rhythm. Throughout both volumes, the protagonist Sorako often said, "I live by adapting to others, so inside, I am empty." However, if we think of the phrase "Form is emptiness, emptiness is form," emptiness (a complete void) equals form (a fullness bursting with life). By adapting to others and revealing different sides of herself, Sorako was, in her own way, living fully and authentically. Shirafuji-san, who stubbornly clings to a fixed notion of "rightness" even in a changing world, may appear to be living true to herself, but surely such a life is fraught with hardship. True selfhood is not a singular entity; rather, like a sphere with 360 degrees, it has many facets. Perhaps that is why, in the end, Sorako became Pyokorun—the soft, rounded human-recycle life form embodying this multiplicity.

    124
    投稿日: 2025.10.03
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    【鹿大図書館の所蔵情報】 https://catalog.lib.kagoshima-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BD10898138

    1
    投稿日: 2025.10.03
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    オーディブルにて。 上巻が衝撃的な終わり方だったので下巻に期待していたが、ここからが気になるのに〜!というところで終わってしまった。 ピョコルンに生まれ変わってから、ピョコルン目線での世界が知りたかった。 上巻以上の盛り上がりもなく、世界もそれほど意外な変化は遂げておらず、下巻は期待はずれ。

    4
    投稿日: 2025.10.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    なんだかちっとも理解できない。 ただ、誰でも意識していないところで誰もが差別をしていることは伝わった。 男が女を、夫が妻を。父が母を。母が子を。差別されても心が傷まないように、新たに差別できるモノを探したり作ったり。 そして誰かがいつも誰かの家畜となり大勢の犠牲になってこの世は成り立っている。 真理なのかな。信じたくないけど。

    1
    投稿日: 2025.10.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ★★☆☆☆星2 なんとか最後まで読み切った、途中で辞めたかった。上巻のような気持ち悪さは減ったのか、慣れてしまったのか。なんとなく、これわかるっていうフレーズが増えた。空子がクリーンな人になって大人になり、汚い感情が減った。昔の感覚、世界、意識は数十年も経てばひっくり返りうるということ。呼応、トレースし、流されるのが正解か。音ちゃんが何をどういう意味で言ってるのか、何を目指しているのか全然わからなかった。儀式が決まってからが長い。とにかくもうお腹いっぱいでピョコルンは遠慮します。

    1
    投稿日: 2025.10.02
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    下巻は期待した程ではなかった 「生きているのは面倒だが、死にたくはない人」が、社会が受け入れがたいことを受け入れたあと「ただ生きているのがめんどくさい人」になってしまうと、グロテスクなことが起こっていても平板に感じてしまう 自分がこの小説を理解しきれていないのかもしれないが

    1
    投稿日: 2025.10.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    読解力不足と、さらっと読んだこともあり、最後にそれぞれの人が選択した行動の背景の理解、想像、共感ができず何とも言えない読後感。 ピョコルンが、人間にとって便利で都合の良い存在と捉えられることで、誰しもが搾取する側になり考え方が変わってしまう。一方で、人として捉えようとすると足りない部分を補うために別の搾取される人が誕生する。無償の愛が注げるなら搾取とは感じないのかもしれないが… きれいになったように見えても多くの人間の内側にはそういった汚いものが存在していてるんだなと感じるとともに、それか無くなった世界が幸せにも思えなかった。 ピョコルンや、ラロロリン人に対しての人の認識、扱いが、情報、情況によって劇的に変わることに気持ち悪さを感じながらも、自分自身にも当てはまることが多い。 情報、情況を把握しながら、一般的な常識に流されすぎずに、自分自身のスタンスを客観視しながら生活していこうと思った。

    2
    投稿日: 2025.10.02
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    村田沙耶香さんの作品なのに後味が悪くなかった! この世界になったら、若い女性というだけで性的な目で見られることがなくて、毎月の生理がなくて、男性の怒鳴り声におびえることがなくて、子どもを産める年齢のうちに生まなければって思って不妊治療をしなくても済んで、出産のリスクも負わなくて済んで、赤ちゃんの面倒を一緒に見てくれたり家事をしてくれる存在がいて、子どもがみんなと話が合わないと悩むこともなくて、夫とスキーマが違ってしまって話が噛み合わないということもなくて、気心の知れた友人と家族になって心穏やかに過ごせる、最高じゃん! ピョコルン、かわいくて、色々なことを引き受けてくれて、指示が通るけれど自己主張したりこちらに何か言ってくることもなくて、完璧な生き物じゃん! って思うくらいに、現実世界に疲れている。 この小説には私が今まで生きてきてしんどいな嫌だなと思ったことが全部描かれていて、それが全部取り除かれて物語は終わる。 それは村田さんが私と同じ年生まれの同性だからというのが大きいと思う。 男性や、ひと回り以上歳の違う人や、私でも10年後20年後に読んだら、大分違う感想を抱くのだろうな。 読む人によって受け取り方が違うの読書の楽しいところだけれど、この小説の世界はそういうことが全部ない世界なのだなと思う。 娯楽としての、かわいそう、だけが残っているかも知れないから、かわいそう、を楽しむような小説が流行しているのかも。 空子と白藤さんはどちらが幸せな人生だったのか、比べるのはおかしいということは分かっていてもどうしても考えてしまって、それでも答えは出せない。 下巻になって、上巻で感じたピョコルンへの生理的な嫌悪感がなくなっているように感じた。 それが、自分が周囲の影響を受けやすかったり記憶を捏造したり改竄したりするのが得意である証拠であるようで。 私はきっと簡単に安直にクリーンな人になってしまうのだろうな。 汚い感情を抱かないように気を付けている人が増えているような気はするので、いつか技術が追いついたらこの世界になってもおかしくないと思う。

    14
    投稿日: 2025.10.01
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    空子が帰ってきたのは、 「クリーン・タウン」という名の町だった。 その名はやけに清潔で、 まるで無菌室のように響く。 けれど清潔さは時に、 人の心を窒息させる檻でもある。 そこで彼女は、かつての友と再会する。 白藤遥、そしてその娘の波。 二人の存在はあたかも 曇りガラス越しの光のように、 柔らかいのに不穏さを孕んでいる。 ピョコルン。 一見すればただの愛らしい生き物。 けれどその小さな体の中には、 人間社会を上書きする暗号が潜んでいた。 それは――ウィルスのようであり、 あるいは夢に忍び込む影のようでもあった。 空子は気づく。 自分がこれまで「安全」と「楽ちん」で 覆い隠してきたものの正体に。 人格を切り替えることは、 便利な道具でも防波堤でもなく、 自分自身をすり減らすリセットボタンだった。 彼女は問う。 「私は誰なのか」 「人間であるとは何か」 答えは最後まで見つからない。 けれども答えのなさは、 まるで夜の海に投げ込まれた小石の波紋のように、 静かに、しかし永遠に広がり続ける。 読後、胸の奥には冷たい風が吹く。 それは不安であり、同時に奇妙な安らぎでもあった。 世界はもう、昨日と同じ顔をしてはいない。 あるいは、私自身も。

    35
    投稿日: 2025.09.30
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    すごくドライに残酷にありえるかもしれない世界が淡々と描かれていく。感情的な表現ではないのに、読んでいていて心がぐらぐらと揺さぶられる。トラウマになりそうなくらい、とっても優れた作品だった。

    2
    投稿日: 2025.09.29
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    Audibleで完聴 主人公の心情描写に圧巻 ただ、本書の近未来は私にとっては辛い。 最後のシーンは、とても映像化などできないであろう。 この本を読むと、性行為に関心は無くなると感じた

    1
    投稿日: 2025.09.29
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    上巻の読了からちょっと間が空いていたので、登場人物の名前を思い出すのに時間がかかってしまった。 下巻も相変わらず村田沙耶香さんワールド全開! 「恵まれている人」「クリーンな人」「かわいそうな人」 「ピョコルン」「ラロロリンキャリア」 全てが現代社会を揶揄しているようで、人間にとって便利になると その分、大切な何かを捨てる事になるのかな…とか色々考えさせられた。 結末は全然予想していたものと違っていたけど、 こんな世界に生きる事になったら、自分はどんな選択をして生きていくんだろう。

    11
    投稿日: 2025.09.29
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    子宮の使い道への干渉 相手が求めている自分に呼応する。そのためにどこかの誰かをトレースする。それを空っぽなやつだなと最後列から傍観する世界99の私。 根底にある湿った視線。上巻では男性が女性に向けるもの。それが女性という、性欲処理、家事をやらされる人間家電がピョコルンの役割に変わることによって女性も持ち始める湿った視線。地獄を描いている話だな

    8
    投稿日: 2025.09.28
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    ラロロリン人と人間の立場が変わって、さらにピョコルンに対する認識が変わってから、どんどん美しくもグロい世界に変わっていく。 最後、この結末は何を言いたいのか全くわからない。

    1
    投稿日: 2025.09.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    家事、性処理、育児、介護、人類の繁栄、あらゆる人類が行う行為を、ピョコルンで代用する世界。人類が求める幸福の先に何が待っているのかをものすごいスケールでの思考実験を物語に昇華させていて、恐ろしく引き込まれた。現実でも、AIが人間の仕事を取って代わったり、シンギュラリティが起こりうる世界が待っていたりなど、今の人類が求める幸福の先が果たして我々が求める幸福なのかを考えさせられる。 ウエガイコク、シタガイコクという言葉が多く出てくるが、それらの動向に靄がかかっており、それがこの世界をおぞましい(と今の自分は感じる)方向に進んでいる。互いを制御し合う存在がないと歯止めが効かないことを表してるかのよう。それが国家であったり、地域であったり、一つの小さなコミュニティだったり、自分の中だったり。世界も、世界レベルで革命が起こったり、世界の争いや問題がなくなるユートピアに変わったりした時に想像もしない世界に向かうかもしれず、いろんな国家間の問題を抱えながら世界は平行を保っているといえるのか…いや、想像もしない方向が今は自分がよからぬものという価値でも、その時になればその価値すら変わっており、正しい、正しくないが一意に定まらない難しさも抱えている。それを表現しているのがまさにララロリンキャリアだろう。差別の対象であったものが、社会の流れで価値観が変わると高貴な存在になったように、我々が持っている価値観とは普遍的なものではなく、何かのトリガーがあるとひっくり返る脆いものだよと指摘している。 読み終わった時は、そこまで衝撃的でないので4かなーと思ったものの、こういうふうに、ここまで長々と書くくらい考えさせられる小説だったので、星5ですね。 村田沙耶香さんの作品は、コンビニ人間に続き2作品目だけど、いずれも見えている視点が高次元すぎて面白い。 とにかく人に紹介したいが、400ページ2冊はさすがにハードル高い… ぎゅぎゅっと400ページ一冊に納めれたらいいのになーと思いつつも、きっと村田さんの中では膨らんだ世界でどのピースもかけることができずにこの大作になったんだろうなーと。時間をあけて再読したら、その時の世界に合わせて感じるところが変わるんだろうなと思った。

    6
    投稿日: 2025.09.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    デストピアのお話です。 が、人間の内面には必ずあるであろう(少なくとも自分には思い当たるふしがビシビシある)感情というか思想というか、言い表すにはモヤモヤしているモノが現れてしまった感じ。 不快でありながら読むことを止められないお話でした。 誰かをトレースしながら、その場でしっかり適応した人間として振る舞い生きる空子。 明確な何かがなくても、発生する差別や格差に搾取。 そしてある日それがコロッと裏返る。 空子は自分の中にも確実にいる。

    6
    投稿日: 2025.09.27
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    すごい世界でした。 読んでると、それが当たり前のような気がするような。危ない危ない。 なんか、ゲームの世界をみているような。 小さい世界を、巨大な私が上から眺めているような。不思議な世界。 クリーンな人になりたいわ。 だけど、鼻の穴を白くしたり、目に墨汁のようなもんは入れたくは無いな。 ピョコルンってなんなん。 見てみたい。とりあえず、やっぱり自分のキャラって1つではないよね。 それだけ同じ感覚。

    3
    投稿日: 2025.09.27
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    家畜人ヤプーを思い出したが、ヤプーほど感情移入というか入り込めなかった。私の性別が男だったらからか、それ以外の理由はあるかはまだわからない。上巻は面白かったが、下巻、さらに終盤に向かうほど気持ちが離れてしまった。オーディブルだったので完走できたが、活字を読んでいたら途中離脱していたかも。

    1
    投稿日: 2025.09.26
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    オーディブルにて。 ピョコルンの中身がリサイクルされた人間だったとわかったところで、上巻は終わったのだった。それが世界のリセットで、49歳の主人公は、世界3の白藤さんと同居していて、白藤さんの、友情婚による娘がピョコルンを飼いたがって、そして友達とピョコルンを妊娠させて、世界99の友達、おとちゃんの家にいるピョコルンは、主人公の元夫で、ピョコルンの動画を見て自慰をするようにもなってしまった主人公は、ピョコルンになる手術を受けることに決める。性愛も妊娠出産も、家事労働も、ケア労働も全部おしつけられたピョコルン。しかしそれで完全に女性が解放されたわけではない、矛盾をはらむ社会。なにをもっても悪なのは、性愛。正しさ、潔癖さを追求すると、社会はこうなるのか。ピョコルンの出産シーンで、痛みに耐えて産もうと懸命に声を上げているピョコルンに、主人公が「もう飽きた」と思うところが、身も蓋もなくてヤバかった。 おそろしい。この現代社会で、みんな言わないだけで思っていそうなことが、全部描かれていた。

    3
    投稿日: 2025.09.26
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    生きることは呪いなのか なんと悲観的に悪意を持っての世の中を眺めれるものなのか その才能に驚く 他にも, 早見和真作品の例えば,「8月の母」 湊かなえ作品など 読んでいて嫌な気持ちになる話は多いが この小説は それらを振り切っている あえて比類があるとすれば笙野頼子作品のそれ 恨み,怨念,ルサンチマン ああいやだ いやになる と思いながらページをくる

    4
    投稿日: 2025.09.25
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    世界情勢、政治状況を見るにつけ、自分が最近「クリーンな人」的な考えになってたなと思って、びっくりした。思考停止になってしまいそう、、

    2
    投稿日: 2025.09.24
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    一言でいうと気持ちの良くないお話でした。  だから悪いではなく、たくさんの考えさせられる要素が込められているのか、あまり考えずにいろんなテーマが投げ込まれているのか、どちらかわかないけれど、今の我々が生きている世界、その延長線にある世界。発展的にも見えるが破壊的、人間が支配するのか支配されるのか、人間が人間たるに何が大事なのか、世界はどこ向かっているのか? 考え出したらキリがないテーマです。 上下本それなりに長いので辛抱がいるのは確かですが良くも悪くも話題になるのが納得です。 似たテーマで「侍女の物語」権威主義社会を描いたものとして「1984」などをおもいだした。

    5
    投稿日: 2025.09.24
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     空子には、生きる上で大切にしている価値観、美意識のようなものが徹頭徹尾感じられない。空子になにかしら、生きるガソリンとなるような感情(嬉しい楽しい、悔しい切ないとか)があって欲しい、等とおせっかいな気持ちを込めながら読み進めるが、そんなものはない、と最後まで嘲笑われて終わった。なんなら、そんなおせっかい、空子には1番嫌がられて軽蔑されそう。  では空子(たち)は何を原動力にして生きていたのか?と考えると、安全、とか、効率、あたりなのかな。生命を脅かされることや、不快な状況、面倒くさいことから逃げたり、あらかじめ排除したりすること。そこにだけはエネルギーが投下されている感じ。欲求階層説に従えば、本能的で原始的なレベルに終始留まっている感じ。その本能を叶えるために発達したのか、空子の観察眼や人間心理へのセンサーは非常に高度に発達している。でもそれは、楽しさや自己表現に活かされることはなく、ひたすら危険回避・面倒なことからの自己防衛に向けられる。  高度に発達しているように見える社会の中で、人間の心理がこれほどまでに原始的な欲求しか満たせなくなっている現実。むしろ、社会が進歩すればするほど、人間の内面は原始化するのか…?人間関係や性愛など、"面倒くさくて投げ出したくなるもの"とセットでしか享受出来ない"至福"があって、前者を排除してしまったときに、世界から同時に"至福"が消滅してしまったのかもしれない。  現実に戻った私は、半分世界99に軸足を残したまま、"面倒くささ極まれり"な育児と格闘しつつも、合間に訪れる一瞬の"至福"を受け取り、世界99が手放したのはこの両方なのか?と想像する。  もう一点、私は空子にかなり共感出来たし共通点も恐ろしいくらい見出したのだけど、他の人はどうなのだろう?と興味深々。個人的に、私は所謂ニュータウン育ちで、そのことが自身の人格形成に大きく影響していると前々から思っていて、空子との共通点の源泉なのかも?とか想像した。私にとってのこの"ニュータウン問題"、今後深掘りしてみたいテーマになった。

    13
    投稿日: 2025.09.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    上巻の感想を書いた段階で割と枯れてしまった。かいつまんで残しておく。 奏さんという存在の描写。どこまでが彼女の意思で、どこからが世界にそうさせられているのか。彼女の存在は、とても正しいようでいて常に異物感を感じさせていた。社会的に成功を収めている存在。しかしそれは社会に「成功を収めている存在」という役割を演じさせられている空虚な存在としても映ってしまう。その空虚さすら、人によっては疎ましいだろう。現実世界でいうと誰だろうなと空を彷徨い、早めに思考を止めておいた。 「光は麻酔」という表現も印象的だった。どんな場面で出てきた言葉かは忘れてしまったが、そうだなとシンプルに納得してしまった。 「呼応とトレース」が行われる前提として、心を閉ざした相手には必ずしも適用されないということが下巻に入ってようやく書かれていたのもよかった。上巻で圧倒的な世界観をもって読者を支配して、下巻では「とはいえ」の話を持ち出してきてくれていたように思える。そしてより深く、このディストピアに堕ちることができた。 記憶の捏造や改竄。個人でも、集団でも起こる。特にショッキングな出来事は記憶がすり替わったり抜け落ちたりしやすい。物語中であれだけセンセーショナルな印象を印象を植え付けられた「お台場」という場所のイメージや記憶の挿げ替えは見事なものだった。 「感動は娯楽」と言い切る強さが好きだった。そうだよな。これは感動ポルノとして消費される現実世界の延長線上の話。現代もちゃんとディストピアな面があるね。 映像情報のない「文学作品」だからこそ、世界のトレンドに沿って鼻の穴を白くしたり白目を墨汁で染めたりする「至って真面目で害のない人々」の狂気が色濃く伝わった。 この本で気軽に読書会とかやったら友達減りそうだけど、読み込んだ人同士でバチバチに話し合う会をやってみたい。

    3
    投稿日: 2025.09.23
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    読み終わってしまった・・・ とんでもない小説だった。 男性不在の小説という印象。 男性らしき下等生物はチラチラ登場するが、僕が知っている男性は全くこの小説には出てこない。 登場人物だけでなく、読み手も男性を想定されていない、そんな気分にさせられる。 ・・・と思っていたのだが、そういう下等生物としての性を生きているのに、それに気づいていないだけなのか?とも考えさせられ、かなりブルーになる。 男の人は、精神状態がとてもよい時に読むことをお勧めします。 なんか、もっといろいろ感想書きたいんだけど、圧倒的過ぎて書けないや。 そのうち追記するかもしれません。 村上春樹さんよりノーベル賞に近い気がする。 村田さん、時代に超あってるし、鋭過ぎる。

    74
    投稿日: 2025.09.23
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     誰もが平等に、そして幸せな一生を送るのは 人の持つ「負の感情」を無くしてしまうこと。そして、性処理の捌け口、体に大きな負担になる出産の代理をしてもらう都合の良い生物を作り上げ、それでも負の感情は消し去ることができないからか、時々記憶の調合をしてもらい、みんなが同じ方向を向いて生きていく未来。  これが、科学の進歩と共に追い求めてきた豊かで幸せな究極の世界  上下巻を読んで、なんとも、笑えない小説だと思った。笑えないとは、だだの絵空事と思えなかったから。  現実社会では、ネット環境の進歩により、急速に便利な世の中になった。それと同時に、SNSの普及によって、なんでも自由に自分の意見を社会に発信できるようになった。急速な進歩は、やがて、匿名性という陰に隠れて、感情のままに、自分の中の正義を振りかざし、時には相手を批判するようになっていった。中には、面白いからと単純な気持ちや、みんなもやってるからと、相手をとことんまで攻撃し、追い詰める。  そんな人たちも実は現実社会はで、不満があったりしながらも、その中でうまくやっていくため、その場面場面で仮面をつけ替えて日々過ごしている、普通の人々なのだ。人格者であり続けるため、一方で、そのストレスの吐口がSNS 、それはまるで小説の中のピョコルンと同じように思えた。  だから、やがて現実世界でも、そんな社会を建て直そうとするため、人の感情をコントロールする、こんな技術が出てきてもおかしくないような気がした。  願わくば、そんな未来が来ませんように。とこの本を読んで強く思った。 空子の描写で若干、目を背けたくなる場面もあったけど、上巻の内容から、下巻を読み始めた時、若干、身構えてしまったが、上巻ほど衝撃的な内容の描写は少なく私は良かった。だけど、どういう結末になるんだろうと最後まで、予想できなかった。

    3
    投稿日: 2025.09.22
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    上よりマイルドな内容だと思ったが、自分がこの世界に慣れてしまったからそう感じるのかもしれない。 男女平等、AI、将来を彷彿させる内容。 幸せってなんなんだろう。

    9
    投稿日: 2025.09.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    上巻ほど、おどろおどろしさはなかったけど、良かった。 結局、この作品は何を描いていたのか、自分なりに考察してみる。他の方の考察を本当は読みたいけど、我慢して、後の楽しみに。 空子を始め、大多数の人々が、周りの人や環境に呼応して自分の発言や立ち振る舞いを決める。周りの人だけでなく、社会で一般的に持たれているイメージや役割にも大いに影響を受ける。人の性格は、その個人それぞれに元々存在するものでもなく、その時代の社会、環境によって作られる。その性格を正当化するためならば、過去の記憶さえも都合よく解釈されてしまう。 唯一、白藤さんだけが、社会に呼応せず、自分の信念を貫こうと頑張り、疲弊し、孤独を感じている。その様に見えるが、その白藤さんでさえも、おそらく兄への嫌悪感から兄を否定するように、正しくあろうとしていて、社会には呼応していないが、過去の環境に呼応し、作られた人格である。 (改めて考察しようとすると、この物語において白藤さんを通して、何を映し出していたのか、この部分が気になる。) 人々が社会や環境に呼応するのであれば、社会にとって好ましい人間になれるよう、記憶をワクチンを通して人に植え付け、無理矢理でも呼応させる。 そうすれば社会は穏やかになりそうだけれど、本当にそれで良いの?それってなんか気持ち悪くない? ピョコルンも人の嫌がるもの(家事や出産、性欲処理)を代行する存在でありがたいけど、結局それってどこか気持ち悪いし、誰かに皺寄せがいっている。 人は、同調共感できるものを大切にし、異質なものや特質したものを排除しようとする。人は、それと同時に排除されない様に周囲に呼応する。 それを究極まで突き詰めたらどうなるか、そんな環境に追い込まられたら自分の信念は変わるのか。信念とはそもそも何なのか、それを考えさせる物語なのか? うーんよくわからん!他の人の考察読むのが楽しみだ。

    4
    投稿日: 2025.09.21
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    すごい世界だった。 最後まで淡々と生きる主人公が圧巻で、どうしたらこんなに言葉を選び、自分を何通りにもコピーして、人間関係を操ることができるのかと感心した。 下巻では登場人物に女性が多く、平和で穏やかなような、でもどこか独特な世界観が描かれている。洗脳というものは、いろいろな事柄に対して起こり得るのだと感じた。ピョコルンが存在する世界も、普通に成り立つ気がする。 女性は子どもを産み、家族に尽くし、家事に追われる――そんな役割を担ってきた。けれど、ピョコルンが現れても、人間の仕事や雑務、人間関係の複雑さは変わらない。その滑稽さが逆に面白かった。 もしピョコルンのような存在が、感情を持たず、性欲処理もしてくれて、出産まで担ってくれるなら――身体的負担が大きい出産を代わりにやってくれるなら、多くの人にとって画期的だろう。賛否両論はあるだろうけれど、現実的にもメリットは多そうだ。 ジェンダーレスや友人婚など、自由な生き方が認められる社会も理想だが、それが当たり前になった世界は、クリーンで、本音が言いにくい側面もある。けれど、それもまた「クリーン」な世界の一部であり、受け入れられるのかもしれない。 全体として、独特の世界観と、主人公や登場人物たちの生き方が印象的で、読後にしばらく考えさせられる作品だった。 下巻では、ラロロリン人の背景や立場、生まれてきた意味がより明確に描かれていて、上巻よりも腑に落ちやすかった。

    15
    投稿日: 2025.09.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    上読んだ時と間が空いてしまったから登場人物が結構忘れていた。 想像ができないことがたくさん起こった。 こういう作品は映画化とかアニメ化とかして色んな人に見てもらいたい。 「かわいそうな人って、僕、ずっと好きで、やっぱり、そういう人を見て泣くと、心が浄化されるじゃないですか。だから実際にはかわいそうな人がいなくなってからも、娯楽としての「かわいそう』は残ってくれるといいなって思います。かわいそうな人を見て泣くと、心が綺麗になるし」 若い医者が綺麗な涙を流しながらそう言うので、なんだか力が抜けて笑った。 「たしかに、それはいいっすね」 私はなぜか、昔アルバイトしていたときの「おっさん」の喋りかたで返事をした。そういえば、かわいそうな誰かはいつも自分や皆の娯楽だった。だから、白藤さんも、きっと誰かの娯楽なのだ ろう。 ↑ 私も誰かの娯楽かもしれないと思った。

    4
    投稿日: 2025.09.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    人間に性格はどのように形成されるのか? 女性を妊娠・出産から解放したら男女平等は訪れるのか? AIは人間に置き換わるのか? 世界から争いごとをなくすには? 最初はめちゃくちゃだと思っていた主人公に、いつのまにかものすごく共感している自分がいた。

    2
    投稿日: 2025.09.21
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    ついに読み終わってしまったが、なんて言っていいのやら。上では気持ち悪さが満載でびっくりしてしまったが、下ではその気持ち悪さが自分の中でも常識っぽくなってしまうのが恐ろしや。 何が正義なのか、何が常識なのか、それすらわからなくなってる世界99。正義や常識は意外に世の中が作り上げているものなのかもしれないなぁ。例えば戦争の時代、お国のために命を捧げること、お国のために敵の命を奪うことが正義であったように。 で、ふと思い出す、朝ドラ「あんぱん」で何度も語られる逆転しない正義。それって本当に尊いものなのだろうな、、っと。 世界99の中での世界観は全てこの主人公によって語られているが、他の人々、可哀想な人や恵まれた人に分類する人たちの気持ちはどんなものだったのだろう。最後までこの主人公から愛情が語られることがない。こんな世の中に生まれたのなら誰もがこうなるのか?いやいや、それはきっと違うはず。 評価は難しいがものすごく印象に残ったということで星4っということにしよう。

    26
    投稿日: 2025.09.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    空子の一生。他人にキャラを合わせて呼応してきた。ピョコルンの出現・進化とともに世の中の普通・常識が変わっていく。特に主人公もそうだが「女性」の扱われ方が変わる。 10年前まで当たり前にされていたことが平気でひっくり変わる。 ラロロリン人が差別の対象であった時代からラロロリン人が「恵まれた人」で裕福な存在になる。 性処理対象であり、家庭で使われる存在であった「女性」の立場がピョコルンがそれを担う立場に変わっていく。 この本は人間の恐ろしさ・エゴ・醜い部分が至る所で描かれる。 特に2つ。 1つ目は、時代の変化で人々の常識が変わっても誰かが誰かを下に見る構図は変わらないということ。物語の終盤でのセリフ「かわいそうなことは、素晴らしいことですよね。たぶん、それって、将来娯楽になると思うんですよね」がそれを表している。人は下を見て自分を落ち着かせたり、それを見て同情して感動できる自分に自己満足する生き物だ。 2つ目は、人は平気で被害者側から加害者側に変化できてしまうこと。主人公の空子は人生前半周りの人物に「呼応」して対話していた。彼氏の明人からは性処理の対象など浪費される立場でいわば被害者だった。しかし、ピョコルンの秘密が明かされ世界が「リセット」してからは空子はピョコルンに明人が空子に抱いていた気持ちを抱くようになり加害者側に回ってしまう。1つ目の下を見るにも通じる。 話は変わるが、フェスとかライブを見ていて俺は曲の途中に手を上げてリズムに乗るという行為をあまりしない。周りはしているが本当にしたいと思った時以外はしない。あとはモッシュを仕切っている人とかを見てたまに嫌悪感を抱くともある。でもたまにこの感情や行動は自分と違う行為をする人がいるから抱くのだと思う。その行為というよりはそれを別の人がしているから思う。例えば、フェスライブの常識が変わって手を上げないことが普通になれば俺はあえて手を上げてリズムに乗るかもしれない。この話に限らず、どのことにも案外通じると思う。「自分は他の人とは違う・小馬鹿にしている」だけでそれをしている人がいなければ、なんら当たり前の顔で俺はそれをするかもしれない。となると一体どうして、俺は他人の行動に指を差し嘲笑できるのだろうか。インスタに小っ恥ずかしい内容のストーリーを上げる人がいても誰もそれをしなければ俺がしているのかもしれない。 ただ、どんな行為(例えばYouTubeに万引きしてみた!という動画をあげる)にも尊重してしまうと倫理観や俺の中の譲れないものが崩れたりするからそこだけははっきりさせておきたい。

    2
    投稿日: 2025.09.19
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    幸せでいるために普段、人が無意識のうちに奥底に沈め気にしないようにしていることを無理やり掘り起こして引きずり出すような気持ち悪さ、グロテスクさがある。 先が気になって読んでしまうけれど、子どもには与えたくない作品。

    2
    投稿日: 2025.09.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    オーディブルで読了。多くのディストピア小説が、その世界を否定的に描くのに対し、本書では全ての人が記憶を共有するクリーンな世界を肯定的に、憧れさえ持って描かれている。これも時代というものだろうか…。ラストの白藤さんがまだ記憶の共有をしていないと思われる姿で登場し、わずかながらどちらの世界が良いのか問いかけているようにもみえるが、これまでの搾取の連鎖を延々と見せられ、白藤さんのように最後まで自分の世界を是と捉えられる人は少数ではないだろうか。人により読後感は色々だと思うが、私はハッピーエンドだと感じた。上巻はひたすら陰鬱な気分にさせられたが、最後まで聴いて良かった。

    4
    投稿日: 2025.09.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「私は世界99を読破したぞ!!」というステータスを得るために、なんとなく体調が悪い気がしながら勢いで読み切りました。 上巻がどぎつい急展開ばかりだったのに比べて下巻は穏やか〜におかしな世界で生活させられ、私何か読み落としたっけ?と不安になりながらその違和感を飲み込んで…を繰り返し何とかゴール。 私は世界99を読了したんだ!!という達成感。もっとこうなって欲しかったな…という虚無感と、その人の人生だから、と諦める気持ち。 終始村田さんの美しすぎる描写のおかげで分厚いページが苦になることはなかった。むしろ終盤はあとこれだけで本が終わる?もっとこの世界ヒントをください…と縋りつきたくなった。 村田さんの作品もっともっと読んでみたいなと思えたし、少し時間を空けて上巻から読み直したら良くも悪くもまた何か発見できそう。皆さんの解釈や考察もたくさん聞いてみたい。まだまだたくさん気付いてない仕掛けや事実があるはず。 誰にでも勧められる本ではないけど…村田さんの言葉のまま読めたことを幸運に思います。 ーーーーーーーーーーーー ・白藤さん、空子を通して赤青紫とか色んな色で表現されてたから心配していたが、最後までずっと白藤さんのままだったのが救い。どんな年月を過ごしたのかわからないけれど、第四章でも生きててくれてありがとう。 ・あんなに大騒ぎになったのに、ピョコルン(=人間のリサイクル)を許容して活用しまくってる社会に絶句した。どんな過程があったのかわからないけど、許したんだね。許すしかなかったのか…? ・ピョコルンの中が誰か知った上でピョコルン飼うの、悪趣味すぎないか〜!そこらへんはせめて濁しておいた方が…明人が中にいるってわかってるピョコルンってもう明人でしかないじゃん。 ・空子と一緒に暮らすの小早川さんじゃないんだね。小早川さんにとって空子は大多数の中の1人なのね ・音から儀式の話を聞いてあまりにもあっさりと受け入れてしまう空子をどうにか引き留めたかった。 ・奏さんいつの間に儀式に参加することになってたんだ…?奏さんさえも小早川さんにうまいこと言いくるめられたのかなぁ ・匠くん、上巻から下巻までずーーっと纏わりついてきて本当に目障りだった。空子が殺してくれるのかと思ったら、見守り人として生かすの優しすぎない?!と思ったけど、白藤さんや波たちに危害を加えないのであればまぁそれでいい。 ・女の子が生まれたと知った途端に孫に会いたがるジュン、気持ち悪…。この物語に出てくる男性がほぼ全て最悪に気持ち悪い。でもどれも現実で経験したり、聞いたことある話なのがまた辛い。これだけ最悪な生き物として細かく描写することで、これを読んだ女の子は警戒心が強くなって自分を守れるかもしれない。悲しいけど必要な教訓。 ・第四章、ピョコルンになった空子の視点?めちゃめちゃ鮮明に物事を理解してるじゃん、他のピョコルンもこんなに人間のままピョコルンになってるの?だとしたらグロテスクすぎる。そしてピョコルンのリサイクルもあるってことは更に長くあの状態に…?

    4
    投稿日: 2025.09.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    上巻の方が物語の衝撃度は高くて面白かったが、ものすごい世界観で薄気味悪くも興味深い物語だった。 私はピョコルンが科学やテクノロジー、機械、アイドル、ペットなど多くを包括したものだと感じた。 苦痛や嫌なことは全てピョコルンに任せていける。人類の進歩。 そして人間をリサイクルして出来たという上巻の衝撃の展開。 人生が嫌になったらピョコルンになればいいというそれも尊厳死までも含むピョコルン、本作の世界。 悪い言葉が言えなくなって怒り方がわからない子供がカラスのような声を出すシーン。 薄気味悪い世界だけど、私たちの世界も科学が進歩して、ハラスメントなどが世界のルールが厳しくなり言論の自由度が狭まり、どこか他の世界とも言いきれないように感じさせられた。 女の人は嫌なことを押し付けられ、我慢を強いられ、食い潰される人が多い。そして男性の描かれ方は嫌な感じが多かったなー。 世界99はディストピアに感じたけど、我々の生きている世界もディストピアに近いのかも。

    5
    投稿日: 2025.09.16