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家守綺譚(新潮文庫)
家守綺譚(新潮文庫)
梨木香歩/新潮社
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総合評価

679件)
4.3
313
202
87
6
3
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    KiKi はね、昔から1つの憧れの立場(職業ではない)、生き方、立ち位置というものがありました。  それは明治時代の書生さん。  未だ何者でもない、何を成しているわけでもない、ある意味頭でっかちで一文の得にもならないようなことをああだこうだと考えている、この物語の中の「精神労働者見習い」みたいなポジショニングの人間。  お金はないけれど時間だけはたっぷりとあって、若さとわけのわからない自信と焦燥感を持て余しているようなそんな人間。  でもね、そんな言ってみれば中途半端なポジションに何故自分が憧れているのか、どうしてもうまく説明できない・・・・・そんな風に感じていました。  そしてこの本を読んだときに感じた最初の想いは「ああ、ここにその答えがあった。」というものでした。 日がな一日、憂いなくいられる。  それは理想の生活ではないかと。  だが結局、その優雅が私の性分に合わんのです。  私は与えられる理想より、刻苦して自力で掴む理想を求めているのだ。  こういう生活は、私の精神を養わない。 さっきは少し、自分に酔い、勢いを付けなければ誘惑に負けそうだった。  だがそれは大変失礼な態度でもあったと帰ってから分かった。  言葉足らずですまなかったと思っています。  私には、まだここに来るわけにはいかない事情が、他にもあるのです。   現代的な合理的な価値観からすれば「何者でもない」とか「何も成していない」というのは、ある意味でとても怠惰な生き様・・・・・とも言えるかもしれない。  けれど・・・・・・。  自分が「精神を養う」という意識を薄れさせて世俗的な目的意識のみに突き動かされて生きているのが、それこそどうにも性分に合わない・・・・・・のだと。  そして書生という立場にその真っ只中にいる人というある種身勝手なイメージを重ねているから、憧れているんだと思った次第です。 (全文はブログにて)

    0
    投稿日: 2010.07.13
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    さるすべりの木に、懸想される。 掛け軸の岸辺に、鬼籍の友人が船を着ける。 飼い犬は主人よりも近所の顔で、あちらこちらでこの世ならぬ ものたちの仲裁をしている。 そんな日常を垣間みたければ、ぜひに。 彼は誰時に読めばなおのこと。

    0
    投稿日: 2010.07.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    梨木さんの著書の中で、ダントツに好き。 なんだかいいなぁ。読むのが楽しかった。 また、そのうち読んじゃうかも。

    0
    投稿日: 2010.06.25
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    梨木香歩さんの作品として今までと違う印象を持った本。 単に設定が違うなって思っただけで、テーマ(メッセージ?)的なものは梨木さんらしかった。 日本の四季の移り変わりと共に話が進む。 自然の描写が素晴らしい。 そこで登場する怪異(的なもの)と主人公のやりとりも面白い。 寛容さと驕らないココロ。いいな。 ますます植物育てたくなってきた。 (ひょんなことから育てることになったヒマワリを大事にしよう) サルスベリェ・・・

    0
    投稿日: 2010.06.19
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    「サルスベリのやつが、おまえに懸想をしている」 なんて…!なんてすてきで美しいことばなの!けそう!けそうけそうけそう! この御本はうつくしいことばの川。

    0
    投稿日: 2010.06.12
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    ゆったりとした時の流れを感じる静かで上品な本。 四季の移り変わりを感じながら、共に生きる姿がすてき。 ゴローとてもかわいい。 なんだかせわしないな~疲れたな~という時に読むと心が洗われる。

    0
    投稿日: 2010.06.03
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    綿貫氏が近所に住んでいたなら私も南瓜の煮つけなぞ持っていき、 家にあがりこみたい。 梨木さんの物語は植物がとても身近に感じられるけれど、これは中でも極めつき。読んでいるだけで自然の多いところへ出かけたように癒される気がする。 波津彬子さんの「雨柳堂夢咄」のように不思議が近くて当たり前で心地良いのです。

    0
    投稿日: 2010.05.28
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    友人にハードカバーを貸している間、どーしても読みたくなって。文庫本も入手。綿貫の随筆もあり、後悔は全くしていません。 yomyomに掲載されているのも、いずれはまとめてほしいなあと。

    0
    投稿日: 2010.05.19
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    村田エフェンディーから飛びましたが、この雰囲気がとてもいい。 あとがきによれば、梨木さん個人の経験からの考え方らしく ぜひエッセイも読んでみたいと思いました。

    0
    投稿日: 2010.05.18
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    生まれてくるのが百年遅かった。 吉田伸子の解説と完被りで書きづらいが、《何度でもさすってやる。何度でも称えてやる》《こういう生活は私の精神を養わない》に泣けた。

    0
    投稿日: 2010.05.15
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    日本独自の四季折々の草木との触れ合い。そこから派生して出会う様々な心温まる異界のものたち。この著者を好きな理由は、日本古来から当り前として存在していた美しさを、押しつけがましさなどなしに気付かせてくれるからだ。

    0
    投稿日: 2010.05.09
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    不思議な空気が漂う本でした。 連作短編形式で、読みやすい。 死んだ友人の父親の家の住み込み管理を頼まれた、売れない三文文士の不思議日常物語(身もフタもない)。 きっと、主人公の彼はあの家に住む限り、一生嫁が来ないんだろうなあと思いました。 庭木と友人の亡霊で、彼の人生は完結するような。

    0
    投稿日: 2010.05.04
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    ホリック好きな人にはどうぞ。 そう欠くとすごくだめな感じ。 幽玄な感じが本の随所に漂っています。 読んでいてふと切なくて胸がしびれる時がありました。 静かな時間に、ひっそりと大切に読んでほしいお話です。 三浦しをんの「月魚」が似てるといえなくもない。 なんでだろ。

    0
    投稿日: 2010.04.15
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    大切な友人に勧められて読んだ一冊。 時間や現在地を忘れさせる、ツルリとした手触りが気持ちよい。 我が家にも、猿すべりの木を。

    0
    投稿日: 2010.04.11
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    端正でありながら、どこかユーモアのある文体で、あたたかな情景が目に浮かぶよう。いつのまにか自分も摩訶不思議の日常に住まっているような感覚を覚える。日だまりのような、ゆったりとした時の流れが感じられて心地よい。 「村田エフェンディ滞土記」も併せて読むべし。

    0
    投稿日: 2010.04.07
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    今より「ほんの百年すこし前」のお話。 懐かしい日常の風景と、様々な植物や生き物の息遣いが聞こえてきそうな描写。 約200ページと文量は少ないにも関わらず、なんて色鮮やかで伸びやかなお話だろうと思いました。 綿貫のたまにクスリと笑ってしまったり、ほうと息を吐いてしまうような言葉の選び方にグッとくる。個人的にすきなのは「ダァリヤ」の最後の一文と、「葡萄」の一連。 所々に文章内で登場する村田が主人公の作品「村田エフェンディ滞土録」も合わせて読んでほしい。 今まで読んできた本の中で一番すきな本です。

    0
    投稿日: 2010.04.07
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    文士の綿貫氏と、その元へ通い来る行方不明の学友・高堂。 それを取り巻く人々、よろず彼方のもの…。 少し昔の、わたしたち日本人が持っていた、そして今や忘却の危機にある感覚をふるわせてくれる逸品。 美しい文体が物語の時代と暖かみそのものの雰囲気。

    0
    投稿日: 2010.03.24
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    登場人物に味がある。 空気感もとても好き。 草木の名前を知っていたらもっと素敵に読めるんだろうなあ。 河童やら和尚さんやらいろいろです。 死んだ親友をそのまま受け入れる彼もとても素敵。

    0
    投稿日: 2010.03.15
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    「ほんの百年」前のお話で、植物の題名がついた不思議譚がたくさん。 植物の名が題になった掌編28の連作。 死んだ友人の実家で家守をしているとその友人は掛け軸から出てくるしサルスベリには懸想され龍も生まれる。 そんな不思議をそのまま受け入れてしまう男の穏やかな日々。 けっこう似たタイプなのでシンパシイを感じたりします。 図書館で借りてきた本だけど文庫が出たら買おうかな。 ということで、数年後に文庫が出たので購入しました。 すでに読んでいて、記憶もまだ新しいので次に読むのは数年後でしょう。

    0
    投稿日: 2010.03.15
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    ふわ~っとした雰囲気ですごい静かなイメージの小説。 ずれてるかもしれませんが夏目漱石「夢十夜」と共通な何かがあるような感じでした

    1
    投稿日: 2010.03.03
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     亡くなった友人の生家の留守を預かることになった主人公に訪れる奇譚の数々。  100年ぐらい前という設定が、効いている。  たくさんの不思議が違和感なく人間と共存している。不思議なのだけど、当たり前という感覚が、懐かしくて嬉しい。  イメージは波津彬子の「雨柳堂夢咄 」に近いだろうか。  日本に生まれてよかったなぁとしみじみ思う秀作である。

    0
    投稿日: 2010.02.24
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    四季の移ろいを、犬と植物、狐狸などと共に味わう一冊。 「理解はできないが受け容れる」。 竜田姫と佐保姫の描写がお気に入り。

    0
    投稿日: 2010.02.19
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    自然や動物、精霊やあの世の人たちまで、生きとし生ける者へのやさしさが、温かく胸に沁みる物語だった。 登場する犬のゴローやサルスベリの存在がなんと愛らしいことか。 巻末の書評にもあったけれど、化け物だろうが何であろうが手を差し伸べる綿貫の「何度でもさすってやる。何度でも称えてやる。」という言葉にホロリときてしまった。わたしの癒しの一冊となりました

    0
    投稿日: 2010.01.31
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    文庫で出た時、作者のことを全然知らずに表紙に惹かれて買った。 あっという間に引き込まれた。シリーズ化しないかなあ…

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    投稿日: 2010.01.26
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    梨木果歩さんの作品の中で一番好き、かも。 こんなひょうひょうとした生活あこがれるなぁ。 ゴローさんがかわいい。

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    投稿日: 2010.01.22
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    売れない小説家の綿貫征四郎(“私”)は亡くなった親友の家に住まう。家を守りながら草木生い茂る庭と暮らす“私”は、掛け軸から出てくる死んだはずの親友や彼の連れてきた犬“ゴロー”と共に日常に重なる世界を垣間見ていく。 急いで読んでしまったのが少しもったいなく思います。もっと大切に、ゆっくり読めばよかった。一篇一遍の題はすべて植物から取られたようですが、昔ながらの草花がなんだかとても懐かしい。

    0
    投稿日: 2010.01.21
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    梨木さんの描き出す世界はいつもとても素敵です。 時の流れ、人と人の距離、自然と人の交わり方・・・その全てが今とは違ってゆるりと穏やかだった頃にはもしかしたら本当にこんな感じだったのかなぁと夢想する。 何も大きな事件が起きないところがいい。 うまくいえないけれど、しんしんと心に染み入るような感慨深い気持ちになる。 こういうのを「をかし」とか「あはれ」というのかな。 私たちが忘れてしまいがちな気持ちです。 村田君がさりげなく登場するので、積読中の『村田フェンディ滞土録』も読みたくなりました。

    0
    投稿日: 2010.01.19
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    「あちらがわの世界との境が曖昧な家に住む、いろいろありつつも穏やかな暮らし」 結界師のイエロウ先生に勧められて読んでみた本。 なかなか面白かったです。 あまり「あちらがわ」に煩わされず、それで良しとしている感じ、受け入れている感じが良いです。

    0
    投稿日: 2010.01.17
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    おもしろかった。 感動とか、泣く、とかそういったものより、こんな生活がしたい!というような感じ。 まあ無理ですが。私は物欲の鬼なので。

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    投稿日: 2010.01.07
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    【あらすじ】 庭・池・電燈付二階屋。汽車駅・銭湯近接。四季折々、草・花・鳥・獣・仔竜・小鬼・河童・人魚・竹精・桜鬼・聖母・亡友等々々出没数多…本書は、百年まえ、天地自然の「気」たちと、文明の進歩とやらに今ひとつ棹さしかねてる新米精神労働者の「私」=綿貫征四郎と、庭つき池つき電燈つき二階屋との、のびやかな交歓の記録である。―綿貫征四郎の随筆「烏〓苺記(やぶがらしのき)」を巻末に収録。 【感想】 秀逸。

    0
    投稿日: 2010.01.06
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    売れない文筆家として過ごす綿貫征四郎は、ある日学生時代に亡くなった親友高堂の実家の家守をすることに。 しかしそこで当たり前のように掛け軸から現れたのは親友の高堂だった、そしてさらにその家には主人公に惚れるサルスベリが、河童が、小鬼がと様々に不思議なものが次々と現れる。 だが、どこか世俗に馴染めない主人公はそれをこともなげに受け入れて、物の怪達との交流を楽しんでいくのだった。 掌編が30近くからなる作品でどれも不思議な話だけど、すっと胸に入り込んできて読んでいてとても心地がよい。 どこかに置いてきてしまったかもしれない不思議なものをあるがまま自然なものとして素直に受け入れる感覚、この作品を読むとそういったことを想い起こさせる、そしてそれが心の中をなぜかくすぐり、たっぷり時間をかけて読んだ作品となった。

    0
    投稿日: 2010.01.01
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    八百万(やおよろず)の神、森羅万象の魂を受け入れる、気取らない日本古来の優しさと慎ましさ。それを思い出させてくれる、なんとも柔らかい物語の数々。

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    投稿日: 2009.12.23
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    不思議な世界が広がる一冊 四季の変化を感じながら・・・ 主人公が守る友人の家で起こる 様々な現象 植物や動物がでてきて ほんわかする一冊でした

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    投稿日: 2009.12.22
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    季節感が好き。 ちょっとした不思議と、あっさり受け入れる主人公が好き。 ダァリヤの君とミニヨンを暗誦するシーン、すごく好き。 …いいなぁこんな生活……

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    投稿日: 2009.12.20
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    昔少しだけ目を通して興味が湧かなかったものを、この度友人に借りて再び読んでみたら大変面白かったです。年とともに趣向って変わっていくんだなあと実感しました。不思議な出来事をごく当たり前の事として生活していく人達と、戸惑いながらも受け入れ馴染んでいく主人公。

    0
    投稿日: 2009.12.19
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    2009/3/19 やばい。マジタイプ。。。 2009/6/9 2回目の再読。やっぱりすきすぎる。

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    投稿日: 2009.12.08
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    梨木作品では珍しい男性主人公の作品。 河童や人魚が存在したり、植物のサルスベリが主人公に惚れたり、死んだ友人が掛け軸からひょっこり出てきたり、帰ったりする。 そういったものたちへの視点がニュートラルに描かれており、非常に優しいのがこの著者の最大の特徴なのかもしれない。 旅先などに持っていって、夜、一人静かに読みたい本。

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    投稿日: 2009.12.02
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    詩的。俗人の自分にはムリと思った。最初は。 読みながら時代背景はとか、地理は、などと余計なことばかり考える。 浮世離れした主人公だと思っていたが、読み終えてみて綿貫が実に地に足が着いた人間に思えてきた。読み返してみると偶発的な出来事には流されるが、自分が選択しなければならないときには至って消極的且つ現実的だ。 「私は与えられる理想より、刻苦して自力で掴む理想を求めているのだ。こういう生活は、」 「私の精神を養わない」

    0
    投稿日: 2009.12.01
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    不思議な空気感のある話。 一篇一篇が短いのに、つと引き込まれる。 傍から見れば不思議なことを、騒がずありのままに受け入れる主人公。 この世界は、もしかしたら、とても単純で、不思議なものなのかもしれない。

    0
    投稿日: 2009.11.20
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    時は1900年ごろの古き日本を舞台とし、庭つき池つき電燈つきの2階屋と、その家の管理をする主人公、それらをとりまく草花、獣、鳥、犬、神様、妖怪、精霊、そして行方不明の友達等々が織り成す、日々の生活を綴ったものです。 と書いても、なんじゃそりゃという感じかと思われますが、夢枕獏の「陰陽師」が妖怪退治をせずに、かつ男前でもなく、頼りがいも無く、金も無く、ちょっと洒落を効かせながら、のんびりと妖怪や自然と一緒に暮らしている世界を描いている感じです。 あまり自分は小説を読み返すことは少ないのですが、この本は薄くて読みやすくもあり、何回か読み返しています。 いや~好きですね。 設定といい、文章の流れといい、言葉の使い方といい、話の内容といい、自分もこのように文で表すことができたら素晴らしいだろうなと思います。 この中で一番印象に残っている言葉は「カワウソ暮らし」ですかね。 カワウソにだまされると、その魚籠が一杯になるまで、日がな一日お供で、疎水をぼぉーとながめさせられるというものです。 なかなか悪くありません、暇さえあれば・・・。 まあ、こんな話が随所にちりばめられており、著者の筆力とそれがとりなす世界観に魅了されます。 また、「村田エフェンディ滞土録」の村田も出てきたりもしますので、エフェンディを先に読んだ方もリンクを楽しめると思います。 もちろん「家守奇譚」を先に読んで、自分にあったら「エフェンディ」もどうぞ。 それにしても、400円で、この内容、この装丁!! 値段からしても、非の打ち所無しです!!。

    0
    投稿日: 2009.11.01
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    たぶん三回め。で、今回は読んだ後にもう一度すぐ読み直したという…。いいですね。(#^.^#) このお話、大好きです。友・高堂亡き後、彼の家の家守として住む駆け出しの小説家の私、征四郎。どこか一本、常人とは思考回路が違う浮世離れしたところが実に好ましい。庭のサルスベリを撫でてやっていたら「懸想」される、高堂は「雨にまぎれて」掛け軸からやってくる。河童に狸に天女にカワウソ、異界のものたちを恐れるでもなく飄々と受け入れる彼や、やたらすっきりとしたアドバイスをくれる隣のおかみさん、山の和尚など、可笑しくて、穏やかでとてもいいです。迷いこんできた犬ゴローが妙に訳知りで、河童とサギとの争いを仲裁して有名になったり、征四郎と一緒に野山を歩き何者かを連れてきたり。私が好きなのは、信心深い狸の話。成仏できない魂魄を身に集めてしまい、七転八倒の苦しみの最中、征四郎にさすってもらい持ち直す。南無妙法蓮華経と唱えてください、と頼み、尼・農夫・落ち武者と姿を変える様もいとおしかったけど、回復してから松茸を籠にいっぱいにしてお礼をするところが実にいいんですよ。征四郎がまた、回復したばかりのよろよろとした足取りで律儀に松茸を集めてきたのか、と思いをめぐらすところが泣けます。少々皮肉屋の高堂がいいアクセントになっていて、また、「村田エフェンディ滞土録」の村田がよく出てくるところが嬉しい。梨木さんは、はじめから「村田・・」の構想を練ってらして、そのプレステージのつもりもあったんでしょうかしらね。そうそう、今回初めて文庫を読んだのですが、解説が吉田伸子さんで嬉しかった!!! しかも、私の好きな狸の恩返しのくだりに焦点をあてておられて二重に嬉しい。これから何度でも読みたい大事なお話です。

    0
    投稿日: 2009.10.26
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    主人公、綿貫征四郎が亡き親友の高堂の家の守をしながら暮らす、彼の日常についての小説。 といっても、彼の日常には小さな非日常がたくさん登場する。 まず死んだはずの高堂が、あの世とこの世を行き来する。 その他にもあの世とこの世の境目に存在するものが出てくる。 でも、ちょっと前(100年前という設定)の日本では、それこそが日常だったのかも、と思わせる作品。 何度も繰り返し読みたくなる本のひとつ。

    0
    投稿日: 2009.10.21
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    主人公、綿貫征四郎は、亡くなった学生時代の友、高堂の屋敷に住むことになった。庭つき池つき電燈つき二階屋の植物やさまざまな生き物と綿貫の交流がほのぼのと描かれていて、とても心温まる作品。 どことなく、大正~昭和、妖怪などの匂いのする不思議な世界観が大好きです。 綿貫と高堂の淡くて強い結びつきも、心をくすぐられます。

    0
    投稿日: 2009.10.18
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    ひとつひとつ不思議な雰囲気がものすごく惹かれるお話。 切り取った世界、もっと、もっととほしくなる こんな世界に触れたくなる

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    投稿日: 2009.10.16
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    今回読んだのは梨木香歩の『家守綺譚』 「綺譚」とは、世にも珍しい面白おかしい話のことで、僕はこの単語に弱い。 昔からファンタジーが好きで、変わったお話に出会うとわくわくするからだ。 『家守綺譚』では、綿貫征四郎というもの書きが記した文章という体裁をとっていて、彼が家守になってから次々と起こる不思議なエピソードが日記風に紹介されている。 全体で150ページ程の本だが、28のエピソードに分かれていて、それぞれはとても短い短編だ。 舞台はおそらく明治時代の京都と滋賀の境あたり。 まだ、物の怪や精霊が身近にあった時代で、作中には幽霊や河童や狸や狐がぽんぽん出てくる。 昔風の文章なので漢字が読めなかったりする部分が多々あったが、そこは字面と流れで問題なく読み進められた。 ひとつひとつの話は季節感溢れるもので、かなり引き込まれた。 いつまでも読んでいたい、作品が終わらないで欲しいと思ったのは久しぶりだった。 寝る前に少しずつ読んで、毎日わくわくしながら眠った。 この本を読んで、なぜか山田章博を思い出した。 彼は、僕が学生の頃出会った漫画家で、大正ロマンというかアールヌーボーというか、墨絵のような風雅な感じと繊細な画風が好きで、今も数冊作品を持っている。 『人魚變生』や『カフェ・ド・マキニカリス』など、おそらく遠い昔に絶版になっていてたぶんもう手に入らない本なので大事にしている。 明治時代や大正時代に生きてきたわけでもないのに、それらにノスタルジックな思いを抱くのは何故だろう。 もう文明から離れては生活できまいが、古き良き時代に心落ち着けるのは物語ならではの楽しみ方ではないだろうか。 いい本を手にとれて良かった。

    0
    投稿日: 2009.10.08
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    売れない小説家・綿貫征四郎が友人の実家の家守に。 時代は明治?表記は現代かなづかいですが、どことなしに古風で静かでふっと誘い込まれます。 庭は草木が生い茂るままで、短い各章のタイトルはそうした身近な花の名前がほとんどで、親しみやすい。 湖でボートを漕いでいて亡くなったはずの友人・高堂だが、雨の日に掛け軸の中からボートを漕ぐ音がして、ふと登場します。 「どうした、高堂」と対する征四郎に「雨に紛れて漕いできたのだ」と答える高堂。 河童のお皿や抜け殻、狸や狐も登場。 居着いた犬のゴローもなにやら異界に通じている模様… 2004年の作品。 作者は1959年生まれ、英国留学で児童文学者に師事とのこと。

    2
    投稿日: 2009.10.06
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    梨木さんの小説はまだ数冊しか読んだことがないけれど、 これはかなり好き。 主人公は駆け出しの物書き。まずこの時点で相当気に入る。 彼は亡くなった親友の実家の家守をすることになり、そこで様々なことが起こっていくわけだけれども、 その主人公、綿貫征四郎がよい。 あとがきでも書かれているが、征四郎の人格が素晴らしくグッとくる。 亡くなった親友がボートを漕いで、掛け軸から出てくるときのリアクション。 サルスベリに惚れられたと聞かされたときのリアクション。 狸に化かされたときのリアクション。 素敵。 心地よく物語は流れてゆき、どっぷりとその世界に浸かれることでしょう。

    0
    投稿日: 2009.10.05
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    そっと抱きしめたくなる本。果てしなく美しくて密やかな日常は、いつだってすぐ隣にある。(そうかこいつは葡萄を食べたのだ、と思った。)

    0
    投稿日: 2009.10.02
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    ひたすら、空気感が素敵な本です。「やおい文学」ではなく、ただ美しい物語。青年二人の友情物語としても捉えられるので、ここに加えてみたまでです。

    0
    投稿日: 2009.09.19
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    癒しを求めて違う世界にトリップできる小説を、久しぶりに。草花の精霊っぽいものや動物、死んだ親友との交歓が穏やかに淡々と描かれていて、いい本だった。 2025年再読。読んだことと、不思議で静謐な読み心地だったことは覚えていたが、内容だいぶ忘れていた。感想は同上。

    0
    投稿日: 2009.08.06
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    ○2009/08/01  綺譚と言う文字を見るとどうやら手に取らずにはいられない性分なようで(笑)本屋で、平積みされていたわけでもないのに手にとって、珍しくご購入。楽しかったー。 雰囲気だけでも相当楽しめるんだけど、なんて言うか登場する人(…だけではないのだけども)たちがみんな現実に片足突っ込んだみたいなところに居て、その感覚がまた楽しい。面白い。大成功だったなこれは。 超短編がいくつも入ってるって形式だけども、短編集というよりはほんとに連なってるので長編と言ってしまったほうがいいかも。外出用にちょこちょこ読みやすいや、なんて思ったのだけは間違いだった。これは雰囲気に浸りながら一気に読み終わるべし。二度目三度目なら好きな話を繰り返しても楽しいんだろうけど。 こういう雰囲気の話ってほんとにハマるかダメかの二択で、ハマるのは少ないんだけど…良かった。 サルスベリが馬鹿みたいに可愛かった。

    0
    投稿日: 2009.08.02
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    もうどうしようってくらい大好きです。 私が求めていたある種の小説の、一つの完成形という感じ。 個人的には同系統の小説でこれを超えるものには出会えないんじゃないかと思う。 少し古い時代の日本、少し不思議な出来事が起る毎日、 それをただただ受け入れ過ごしていく主人公…。 主人公がホントいい味出してる。 「盛り上がり」なんて言葉とほぼ無縁の作品だけど、 この淡々とした雰囲気がめちゃくちゃいい。 何度読み返しても飽きないなあ。

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    投稿日: 2009.07.22
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    表紙の雀が笑っているように見えて、惹かれて思わず手にとってしまった本です。一話は数ページの短い短編なのですが、話は日記のように繋がって一つの話になります。特に好きな話は「ホトトギス」。主人公の優しさが良く出ていて、ほんわかした気持ちになりました。

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    投稿日: 2009.07.19
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    舞台は百年前の日本。 主人公の綿貫 征四郎は売れない物書き。 ひょんなことから、亡き友人・高堂の家の守をする事になる。 百年前という設定なので、 言葉や言い回しは、古風で少し難しいかなとも思ったのですが、 読み進むうちに、引き込まれてしまいました。 この本に限らず、梨木 香歩さんの作品は「大人の童話」のような印象を受けます。 亡友は床の間の掛け軸の中からボートを漕いで現れるし、 草・花・鳥・獣・竜・小鬼・河童・人魚・竹精・桜鬼・聖母等々、出没数多… 四季折々の日本の風景、その表現がとても綺麗でした。 庭に咲くサルスベリが、健気で微笑ましいです。

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    投稿日: 2009.07.13
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    淡々と進む生活、堂々と起こる不思議な出来事。 心の汚れを洗い流すような、きれいな世界に浸れます 雨の日に読みたい本!

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    投稿日: 2009.07.10
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    友人の家を守ることになった作家が主人公のお話。 短編ごとに区切られてるので読みやすかった! でもなんだか不思議なお話。 古典調、、というか… この感じ、すごく好きでした。 優雅な環境は精神を養わないって言葉、印象的だった。 また読みなおそっかなー

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    投稿日: 2009.07.10
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    淡々と流れるように進む物語。 怪異があっても、逝ってしまった友人が掛け軸から船に乗って現れても、泰然としていて、自然に受け止めていその空気に酷くほっとします。 サルスベリ、ゴロー、河童、狸等々との交わりも悠然と当然のごとく描かれていて、逝ってしまった親友や隣人のおばさんや後輩の編集者や長虫屋、ダァリヤの君との遣り取り・・・。 どれもとても素敵でした。 日々の移ろいは穏やかで美しく、食べ物も季節感に溢れていて、描かれる風景には、どこか懐かしさを覚えます。 特にどの時代の物語かは明確になっていないけれど、日本人にとっての原風景に触れているような気持ちになります。 どの章もひっそりと余韻を残し、最後の章は家守綺譚というタイトルに収斂して終わります。 空白の後の最後の"主人公"の随筆は、文庫の書き下ろしのようです。 この文章で主人公の選択の裏づけというか、葡萄に関する選択の意味をより深く飲み込める気がします。

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    投稿日: 2009.07.09
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    孤独というものの感覚が現代とは違う気がする。孤独が崇高なのは、時代の変化から目を背けた友人も、時代の変化からはともかく逃げはしなかった主人公も、自分の生きる芯のようなものがあるからか、自然や土地への信頼を感じる。 かっぱや人魚というふしぎなものたちをありのままに受け入れる感覚がすばらしい。 私もたぬきにばかされたい。

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    投稿日: 2009.07.07
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    とにかく、綺麗。 登場するのはファンタジックなものたちなのに、日常的な情景に自然と溶け込んでいて、思わず顔が綻ぶ。 

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    投稿日: 2009.07.05
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    梨木の本は、裏庭読んだら怖かったから それからずっと小さい頃から読むのやめてたけど 久々に手に取ってみて読んでみてやっぱ面白かった。 家、植物、動物、そして八百万の不思議な生き物達が チラチラと日常生活にまとわりつく、そんな 暖かい日差しのようなストーリーが良いです。 湖でぽつねんと姿を消した親友の家に住む 貧乏作家が主人公。 ごくごく短い話をつなぎあわせてるので 軽い感じで読めちゃうよ

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    投稿日: 2009.07.04
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    すべてがスペシャルなようであり またすべてが当たり前のようでもある。 インパクトではなくて 文章で読者をひきつけるのは流石。 雨の日に静かな場所で一日かけてじっくり読みたくなるような本。

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    投稿日: 2009.07.03
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    こじんまりした、だがそれがいい純和風ファンタジー。舞台はほぼ庭だけなのに全く退屈させられない。和む。

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    投稿日: 2009.06.30
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    友人から誕生日祝いに。 人では無い物を平然と受け止めていた頃の日本。 平易でいて、細やかな記述はやはり魅力的。 個人的には『村田エフェンディ滞土録』より若干こちらが好み。

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    投稿日: 2009.05.28
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    1話1話は短くて、あっさり読み終えてしまいそうでしたが。 文章の持つ雰囲気がすごく心地よくて、読み終えてしまうのがもったいなくて、ゆっくり、じっくり、何日もかけて味わいながら読みました。 全体に漂う“和”の空気が心地よさの一因かもしれません。

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    投稿日: 2009.05.20
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    ―――        ――ええ、そう、そういう土地柄なのですね。    ――おまえは人の世を放擲したのだ。    ――おまえは人の世の行く末を信じられるのか。    鬼の子や鳶を見て安んずる心性は、未だ私の精神がその領域で遊んでいる証拠であろう。    鬼の子や鳶を見て不安になったとき、漸く私の精神も時代の進歩と齟齬を起こさないでいられるようになるのかもしれぬ。

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    投稿日: 2009.05.01
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    梨木香歩さんの小説、さわやかで人物がいきいきしていて大好きです。 このほか「西の魔女が死んだ」「からくりからくさ」「裏庭」などなど、などなど 一通り所持しておりますが全部おススメです!

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    投稿日: 2009.04.11
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    作品に流れる独特の雰囲気が好きです。河童、小鬼、龍、人魚、狸など登場する不思議な作品でした。サルスベリの擬人化も良いし、高堂との掛け合いも楽しかったです。

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    投稿日: 2009.04.10
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    それはほんの少しだけ…100年だけ昔の物語。 日本人はこういう「ヒトではないもの」との交流を描く作品がきっとDNAレベルで好きなんだなーと感じました。陰陽師とか夏目とか百鬼夜行抄とか、あるいは京極堂とか?障子にちらちらゆれる炎の向こう側や、部屋の隅に溜まった闇などに温もりを感じ取れる民族なのでは。恋する百日紅が文句なしに愛しい。ゴローも高堂もハナさんも。みんな凄くやわらかい。やわらかくて、あたたかすぎずに手触りを返してくる。すべてが当たり前のように動いていく。もう一ページ目から、ああ間違ってなかったと、解説風に言うならそう感じ取れる素敵なものがたりたち。ああ、いい本だなぁ。

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    投稿日: 2009.04.09
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    まったり妖怪小説。 まったりし過ぎて読むのに時間がかかった。 植物と食べ物の描写うまいよね。この人。

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    投稿日: 2009.03.30
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    仲の良い友達に薦められた一冊。絵のない絵本の日本版のようで、しかしただそれだけではなく「ぷぷっ」と笑ってしまうようなコミカルさや、時々人間の心理を突くような話が出てくることもある。 日本らしいものが大好きな私にとって、ここに出てくる日本らしいあらゆる設定・描写は読んでいてとてもこころがほっとするものであったし、あらゆる生き物を、人間より上にも下にも扱うことなく同じ土台に違和感なく並べているような感覚がするところなども、なんだかこころあたたまる気持ちがした。

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    投稿日: 2009.03.04
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    とにかく不思議な小説です。 死んだ筈の友人は床の間の掛け軸から現れる。 花に惚れられ、狸に化かされ、河童も訪れる。 けれど、主人公はそんなに驚きません。 あっさり受け入れてしまいます。 そして、このスタンスは主人公に特異なものではなく、 いたって普通のことなのです。 文庫の帯にはこう書かれています。 「それは ついこのあいだ、百年すこし前の物語。」 百年前というと、明治時代ですが、その頃は未だ こういう生活が普通だったのでしょうか。

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    投稿日: 2009.02.24
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    大好きな京都の それもずいぶんと静かな時間が過ぎている頃の京都を わたしも歩いているような気分にしてくれた一冊

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    投稿日: 2009.02.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    死んだ友人が掛け軸から出てきたり、河童がいたり小鬼がいたり人魚がいたり。 普通でないことが普通の中で、怠惰な日常だからこそよく見える、美しい日常や四季の移ろいがある。 久々に、自分好みの良い本に出合えました。 堪らない気持ちになり、そう厚くない本を時間をかけて丁寧に読みました。 どうして自分はこんなにも、夢と現の間が好きなのか。 そのうち続編(発表済みらしいですね)も本になりそうですが、非常に楽しみです。

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    投稿日: 2009.02.16
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    この本を読み始めたとき、不思議な気持ちになった。 作者は、たしか、私と大して年齢の変わらない人のはず。 なのに、このすがすがしいまでに古風な文体はなんだろう。 登場人物はおろか、作家本人までもが、 背筋をすっと伸ばして生きている、ゆかしい感じがした。 きっかけはタイトル。 私は“綺譚”という言葉が好きだ。 スペクタクルでも、ホラーでもない。 不思議だけれど 血の通ったおとぎ話のようなお話を連想するからだ。 時代は明治くらい。 はっきり明記されていないがこの物語の地続きで、 夏目漱石や森鴎外が書いているのではというにおいがする。 主人公の綿貫征四郎は、大卒の駆け出しの文筆家。 今は亡き学生時代の親友・高堂の家を借りて住み暮らしている。 その家は、いや、その家のある一帯は、不思議な場所で、 現実と怪異が、とても自然に入り交じっている。 なにしろ、亡くなったはずの親友・高堂が 霧に紛れて、掛け軸の絵の水辺から、 船をこいで訪ねてきたりするのだ。 主人公の征四郎は 庭や散歩でぶらりと足を運ぶ川岸や寺院で狸や狐にたぶらかされ、 庭に植わさった見事なサルスベリには懸想される。 偶然がかさなり、飼うことになった犬のゴローも 河童に思い慕われる・・・。 そんな事が実に淡々と綴られていく。 現実を舞台にした夢の矛盾点を、突く気にならないように、 むしろ、そのまま鵜呑みにして、夢の中でたゆとうていたい…。 そんな不思議の境地に運んでいってくれる本だ。 屋々を取り囲む自然の花々の描写も味わいがある。 一度、植物図鑑でも脇に置きながら、 じっくりと読み返してみたいという気にさせてくれる。 きっと、何度も読み返す本になる。 文庫のあとがきが、これまた、好きな吉田伸子女史だった。 彼女のあとがきを読んで、早速 梨木香歩の「春になったら苺を摘みに」を読みはじめた。 これも、私の好きな本の“にほゐ”がする。

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    投稿日: 2009.02.16
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    手に取った瞬間ほっとした。なぜなら一日前まで分厚くて重たい「ホワイトアウト」を読んでいたのだから。そのページ数と重量を比較してみた。「ホワイトアウト」628頁、343g「家守綺譚」189頁、122g。まあ、3分の1くらいである。 薄い本は好きである。外出先で持ち歩きながら読書するスタイルのものにとっては、軽い本は、ありがたいことで、心まで軽くなる。 さてこの本、「庭」を舞台に、不思議な話が静かに展開していく。河童や、小鬼や、死んだはずの親友があらわれる。 永いこと「庭」のない家に住んでいる自分には、「庭」は憧れ。ああ、小鬼がくるような「庭」がほしいなあと、ちいさなベランダに目をやった。

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    投稿日: 2009.02.08
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    たくさんの日常の小話があって、どれが一番好きだろう…と読み返す。と、ああどれも好きだ。と納得する。 これをすでに3回はしました。 たぶんこれからもちょくちょく読み返していく本。 大好き。

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    投稿日: 2009.02.04
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     ――どうした高堂。  私は思わず声をかけた。  ――逝ってしまったのではなかったのか。  ――なに,雨に紛れて漕いできたのだ。  高堂は,こともなげに云う。  ――会いに来てくれたんだな。  ――そうだ,会いに来たのだ。しかし今日はあまり時間がない。  高堂はボートの上から話し続ける。  ――サルスベリのやつが,おまえに懸想をしている。  ――……ふむ。  先の怪異はその故か。私は腕組みをして目を閉じ,考え込んだ。実は思い当たるところがある。サルスベリの名誉のためにあまり口にしたくはないが。  ――木に惚れられたのは初めてだ。  ――木に,は余計だろう。惚れられたのは初めてだ,だけで十分だろう。  高堂は生前とかわらぬ口調でからかった。 (本文p.13-14)

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    投稿日: 2009.01.29
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    幽霊みたいな親友と過ごす、綿貫という小説家の不思議な私生活。 なんだか少し、京極堂シリーズのメインキャラと似ているような感じがしました。 穏やかに時が動いていく感じが、とても好きです。 そんな中でも主人公は不思議な体験をしていく。 でもそれが特別、おかしい、変なこと、という雰囲気はあまりなく、むしろ妖怪たちに会い、驚く綿貫が少々変わっているのでは? と、感じさせるような面白い物語です。 基本、名前を覚えない、と言いますか覚えられない私なのですが。 気に入った本の中でも、タイトルも作者も覚えていた、とても大好きな本です。

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    投稿日: 2009.01.26
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    小説中に漂う和風で幻想的な雰囲気がものすごく魅力的。 この文章力は芸術作品といってもいいと思う。 旧家の管理人をすることになった主人公。 家の庭の植物や掛け軸の中から出てくる友人、更に河童も小鬼まで出てくる。 どこか懐かしさを感じさせる静かであたたかな日々を描いた、綺麗な作品。 一話が短い掌短編集なので、普段読書慣れしてない方にもオススメの一冊。

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    投稿日: 2009.01.26
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    もちろん、「西の魔女〜」や、「からくりからくさ」もいいけど、 昭和初期を思わせる、この作品がとても好き。 昔ながらの、庭が欲しくなる。(R)

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    投稿日: 2009.01.25
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    やり過ぎ感がなく、かといって簡素でもない言葉で紡がれた不思議な物語。 でも、日常の延長線上にある。 狸とか百日紅とか愛らしいんです。

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    投稿日: 2009.01.19
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    すごく面白かったです〜 一話一話が短く、主人公・綿貫の日記のような感じ。 トルコの船が沈没した事件のすぐ後の時代だそうだから、1890年頃? 花の精やら子鬼やら河童がでてきて、浮世離れした話なんだけど文章がフワフワしていないというか。 そこにいることが当たり前のような対応を綿貫がしている。 河童や精霊の仲裁する賢い犬・ゴロー。 死んだはずの友人・高堂。 お隣の甲斐甲斐しいおばさん。 ダァリヤの君。 主人公に懸想する花の精。 登場する人物も愛らしくって、怪異に対してごくごく当たり前のように対応して面白い。 語彙が貧困なので上手く紹介できませんが。 文章も読みやすくって面白かったので、著者のほかの本も読みたいなぁと思いました。

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    投稿日: 2009.01.15
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    「私」と庭つき、池付き、電燈付きの二階屋とのちょっと不思議な話。 沢山の不思議をあっさり受け入れる征四郎は大物ですよね…!

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    投稿日: 2008.12.23
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    村田出てきた(びっくり)(と思ったらこっちが先なんですね)。村田エフェンディ滞土録とか丹生都比売とか、こういう系統の話のほうが好きです。すべてを在るがままに受け入れる。優しい強さが綿貫にはあるなと思います。同時に彼方へ行くことを選んだ高堂との最後の会話が好き。

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    投稿日: 2008.12.14
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    西の魔女が死んだの梨木香歩の傑作綺譚本。薄いのですぐ読めます。読み始めると一気に幻想郷までもってかれますので注意。この本はもっと評価されるべき。

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    投稿日: 2008.12.12
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    ハードブックに加え小話。 村田フェンディ〜とも微妙にリンク。 舞台は京都、醍醐の山向こう、滋賀は瀬田あたりかなあ〜

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    投稿日: 2008.12.05
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    幽霊や木の精霊や河童など所謂妖怪変化が出てくるものの、おどろおどろしさはなく、むしろほのぼのとした雰囲気。解説にもあったけれど、主人公やお隣のおかみさんなどがそれら不思議なものを当然なものとして受け入れているさまがとてもやさしく、読んでいてなんだか嬉しく楽しい気持ちになってくる。「拒絶」がなく、まさにいっしょに生きているといった感じ。読んでいる自分もまじって遊びたくなるような、そんな作品だった。

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    投稿日: 2008.12.01
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    雑誌の紹介ページで見て興味。 死んだ友人が掛け軸からやってくる、と言う何とも不思議且つ温かみある作品でした。 1つ1つの話も短くて読みやすかったです。

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    投稿日: 2008.11.18
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    どうやら、明治時代頃の話のようである。特に時代も場所も特定されてはいない。 小説家の綿貫征四郎が、亡くなった友人の家守をすることになり、不可思議なものに遭遇するのだが、本人も周りの登場人物たちも淡々と受け入れているのである。 常に植物が織り成されていて心地良い。亡くなった友人が、掛け軸の中の風景からボートに乗って訪ねてきて、庭の百日紅(サルスベリ)がおまえに懸想している…という文章を最初に見た時は、何かの例えかと思ったのが、本当にそうなのである。いや、はっきりとは書いていないので、やはり登場人物の感性なのかもしれないけれど・・・これに答えて征四郎は、ふむ。思いたるところがある。木に惚れられたのは初めてだ。どうしたらいいのだ。どうすればいいのだ。などと悩むのである。 最後の方までこんな調子で、でも、最後に主人公征四郎の、静かだが確かな意思を感じた。とてもキレイな物語。

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    投稿日: 2008.10.19
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    静かな四季の移ろいが、 本のそこかしこに溢れている。 そこに可笑しさもあり、 不可思議さもあり、 優しさもある。 葡萄の実を食べるのに少し躊躇いが出るかも知れない。 (追記)サルスベリの花が好きになったのはこの本のおかげだ。間違いなく。

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    投稿日: 2008.10.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    庭の木が自分に恋してると、掛け軸の舟から友が語り掛ける。 あたかも自然と一体化した物語に、改めて日本人で良かったと思うのですよ。

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    投稿日: 2008.09.21
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    これも、梨木 果歩さんの独特の世界観がよく出ていて、好き。 どことなく、夏目 漱石の夢十夜と似た雰囲気があると思った。

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    投稿日: 2008.09.08
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    情報科教員MTのBlog(『家守綺譚』を読了!!) https://willpwr.blog.jp/archives/51116055.html

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    投稿日: 2008.08.19
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    河童に人魚、桜の季節には桜鬼。 京都、疎水から流れ込む池のある家に住む「家守」な綿貫征四郎のほのぼの日々。 単行本に最後の一編追加。

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    投稿日: 2008.08.12
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    梨木先生の作品も川上さんと同じく大好きです。 そのなかでも好きな作品がこれ。 静かな雰囲気の中でのちょっとした妖怪?たちとのふれあいが素敵な作品でした。

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    投稿日: 2008.07.27
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    こんな家なら住んでみたい。 四季折々のいろんな草花、生きもの、妖怪や亡き友(!)、 みんな仲良く暮らせたら、そりゃ楽しい毎日だろうな。 主人公・綿貫さんの、どうしようもないお人好しっぷりが大好き。

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    投稿日: 2008.07.26
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    こんな世界に棲んでみたい。 今の生活から身を消して、 あらゆる次元につながっていそうな こんな世界に身をおいてみたいなぁ。

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    投稿日: 2008.07.17
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    k_45)サルスベリが人間に懸想したり、河童が出てきたり、そんなお話。大好きです。続けて二度読んだ本は珍しい。なんだかもう一度じっくりと読み返したくなったのですよ。

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    投稿日: 2008.07.13
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    何とも言えない静寂と深遠さを帯びた文章が心地よかったです。 今から少し昔の話、亡友の家の留守を守る主人公。そしてその周りで起こる怪奇譚。 木や花の想いが伝わり、妖精聖獣が姿を見せる。そして主人公の前に現れる亡友。 ガツガツと読むのが勿体なく、しかし早く読みたい欲求は免れ得ず。 しっかりと作品世界に、そして文章に浸りました。

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    投稿日: 2008.06.24
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    サルスベリと普通におしどり夫婦やってる綿貫先生最高じゃないか。 そんな2人をいつも心強い眼差しで見守ってくれるゴロー(犬) そのかっこよさのおかげで万物にもてるゴロー(犬) 「上質な作品」に一番必要なのは もしかして「笑い」なのか 納得。

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    投稿日: 2008.06.15