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さよなら、シリアルキラー
さよなら、シリアルキラー
バリー・ライガ、満園真木/東京創元社
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総合評価

62件)
3.7
10
21
18
1
1
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    ジャズが父親から逃れる日はくるのか。 そして父親を捕らえることは出来るのか。 でもこれって確執のある親子の物語だと思う。 父親が最悪の殺人鬼であり、ジャズがその教え子であるという違いはあるけれど。 ジャズには幸せになって欲しい…

    0
    投稿日: 2025.05.04
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    現在服役中の連続殺人鬼の父にその英才教育を受けて育ったジャズ。町で殺人事件が起こり、それはジャズの予想通り連続殺人となる。幼い頃より教え込まれた、様々な猟奇的な殺人のための知識で犯人をつきとめる。自分も父のようになるのかと恐怖する日々、血友病だが明るい親友や恋人との日常のサイドストーリーも抜群に良かった。事件はドロドロしているけど、YA向けとあって軽いタッチで楽しめるミステリだった。

    0
    投稿日: 2025.04.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「償いの雪が降る」の後ろの広告で見て。 主人公ジャズはシリアルキラーの息子であるだけではなく、 継承者として育てられていた。 町で女性の死体が発見され、連続殺人の始まりだと判ったジャズは、 犯人探しを始める。 手始めに親友ハウイーと死体安置所に忍び込んで。 そのハウイーが血友病と読んで、 何気なくページをめくったところで、はたと気がついた。 はたしてハウイーは最後まで無事なのだろうかと。 もし親友を失ってしまったら、 ジャズはシリアルキラーとして暴走してしまうのではないかと。 比較的最近読んだ、高校生探偵の3部作が悲惨な結末になってしまったことが 脳裏によみがえった。 結論から言えば、ハウイーも恋人のコニーも無事だった、一応。 良かった。 人を見抜き人を操るジャズが、刑務所で父親に面会し、 互いに騙し探り合う場面が面白かった。 そして面会で父親に頼まれたこと、庭のバードバスを動かすことが、 父親の脱走の合図で良かった。 てっきり、バードバスの下に母親の遺体が埋まってるのかと思った。 いろいろと勝手に妄想して迷走したが、 途中で「コニーは安全だ」とジャズが思っていることが、 コニーが黒人女性であり、父親の「被害者たち」に該当しなかったからということも気がついたし、 父親の模倣犯が現れた理由も想像がついたので、 予想が外れてばかりだったわけではない。 小さな町で次々と人が殺されるが、 ハウイーはどこまでも親友だし、コニーはジャズを支える素晴らしい恋人だし、 青春物としては良かったと思う。 シリアルキラーが逮捕はされたが、 父親は刑務所を脱走し、ジャズは殺人犯を捕まえる人間になることを誓う。 次の作品が楽しみだ。

    0
    投稿日: 2025.02.13
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    レクターが父ちゃん設定の主人公が巻き込まれるミステリーぞ。 (⁠⌐⁠■⁠-⁠■⁠)まずまず楽しめる。父ちゃんの巻末脱獄のクダリをちゃんと書けよ

    0
    投稿日: 2025.01.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ・あらすじ 全米最悪のシリアルキラーを父親に持ち、その父親から殺人の英才教育をうけた少年が主人公のサスペンス、ミステリー。 ・感想 特異な環境で育った主人公だから仕方無いけど、思春期の少年特有の青臭さと万能感が読んでて少し恥ずかしくなってしまったw 俺ツエー感ある主人公であんまり好きになれなかったけど話的には面白かった。 育ってきた環境とうけてきた教育が悲惨。 父親から呪いを刷り込まれてるからそれを修正し拒否しようと必死な主人公の心の葛藤がメインなのかな。

    0
    投稿日: 2024.03.03
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    タイトル買いした本書。本屋さんって、こういう出会いがあるから大好きです。 私は中身が少年なので、とても面白く読みました。読みました というより、まるで映画を観ているようでした。ものすごく読みやすい。 親友がとびきり楽しいやつで、一緒に悪さをしたり軽口をたたいたり、かわいい恋人がいて、癒されたり不安になったり。冒険あり、アクションあり、これはもう青春映画です。犯人が分かっても(年の功かな?)それ以上に楽しみました。 突然狂気に支配されてしまうかもしれないという恐怖と、殺人犯から学んだことを武器にして戦う優越感。不安と自己肯定の狭間を行き来するジャズは、少年特有の危うさがあって目が離せません。

    0
    投稿日: 2023.05.26
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    アメリカの田舎町で起きた連続殺人事件を独自の立場で追う17才のジャズ。獄中の父親は全米を震撼とさせたシリアルキラー。 殺人の手ほどきを受けながら育ったジャズは父の血が流れている自分を常に恐れている。悩みを抱えながらも事件解明に突っ走る彼に寄り添う友人と恋人。3人の会話が生き生きしていてホッとする。父親を逮捕した保安官の視線も温かくて、見守れながら成長する彼らを応援したくなる。

    4
    投稿日: 2023.05.14
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    自分が何者なのかどうなってしまうのか自分でわからないのが思春期。しかも連続殺人鬼の息子なら尚更。 父から殺人の知識と技術を教えられたジャズ。町で起こる殺人事件。自分が殺人鬼にならないために犯人を捕らえようとする。 自分の中に父と同じ殺人者の心があるのではと怯えるジャズ。これは怖い。自分の感情や思考が父からの洗脳によるものではないかという恐怖。親の呪縛からの脱却というYAの王道テーマをシリアルキラー絡みのミステリ仕立てにする快挙。 親友と恋人がジャズを信じる姿にもしびれる。

    1
    投稿日: 2022.12.28
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    シリアルキラーの息子ジャズ。殺人鬼になるよう教育された。自分自身の生い立ちを乗超えるため,指切り殺人犯を捕まえようと奮闘する。父の犯罪の模倣犯は誰か?闇落ちしそうな自分を支えてくれる存在は大切。

    11
    投稿日: 2022.12.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    誰が犯人? 気になるすぎて読み進めてしまった。 連続殺人犯の息子のジャズが、主人公。 連続殺人犯の父を持つジャズの内面が丁寧に描かれていて、いちいち共感してしまった。 父のようにはなりなくない、自分は母を殺してしまったかもしれない、、、いろいろな内面をかかえている。 コニーと、ハウイーが、最高! この2人がいる限り、ジャズが闇落ちすることはないはず! 続きもあるようなので、そちらも楽しみ!

    0
    投稿日: 2022.09.30
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    全米を震撼させた連続殺人犯の息子が主人公。 彼はジャズという名前の田舎町の高校に通う高校生。血友病を患う親友とガールフレンドと楽しく暮らす普通の高校生だが、父親が四年前連続殺人の罪で逮捕されたことが、普通と少し違う点だ。 しかも父親は二十年間で百人以上を殺したという。さすがアメリカ様、桁が違うとしか言いようがない。 そしてその父親は自分の息子に殺人方法の教育を施し、実際に殺しを手伝わせたと思わせる節もある。この辺りはジャズが子供で記憶が曖昧、というふうにぼかしてはあるが、ジャズ自身は自分も「やったこと」があると信じている。 物語はその田舎町の公園で一人の女性の死体が発見されたことから始まる。警察が調べている場所をジャズはそっと覗き、死体を確認し、そして保安官のG・ウィリアムに捜査に加わらせてくれと頼む。 G・ウィリアムはジャズの父親、ビリー・デントを逮捕した本人で、ジャズのことをいつも気にかけてくれている心優しい男だ。 あれは連続殺人犯のデントを模倣した殺人だ、また殺人が行われる可能性が高い、俺なら犯人の気持ちがわかる、なぜなら連続殺人犯のビリー・デントは俺の父親だからだ、と、ジャズは主張。もちろんG・ウィリアムはだめだ、とシャットアウト。ジャズは親友のハウイーを誘って独自で操作することにする。 という形で物語は進んでいく。まるで凄惨な連続殺人とそれを追う少年探偵の知恵くらべの物語、のような印象を持つ。ゴリゴリのホラーかミステリーかハードボイルドか。 が、実はそんなことはなくて、もちろん殺人のシーンなどはちょっと心の弱い人は読まない方がいい描写だったりはするが、どちらかというと、ジャズとハウイー、ガールフレンドのコニーの三人の友情物語でありジャズの成長物語という側面が強い。 ジャンルで言えばジュブナイル、ヤングアダルト、あたりだろうか。 捜査にのめり込むジャズを心配しながらも一緒に戦うハウイーとコニーのキャラクターがとてもよい。アメリカ小説の主人公のガールフレンド役の少女というのは、なぜこうもたくましく、優しく、強いのか。微笑みながら主人公を見守るだけの日本のヒロインみたいなのは未だかつて見たことがない気がする。 ジャズたちがどうやって殺人犯を見つけ、追い詰めていくか。殺人犯とジャズの父との間に関係はあるのかといったミステリーの一面も楽しめ、一方で父親の「教育」に飲み込まれまいとするジャズの苦悩やそんなジャズを支えるハウイーとコニーとのやりとりなど、青春小説としても楽しめる作品である。 「俺は殺人犯の息子なんだ!」というジャズの斜に構えた口調は、厨二か?と思うようなウザさはあるものの、まだ高校生だし若い頃ってそういう特殊性をひたすら自分の中で強調したい年頃だし、などと思いながら読むのが良いのかも。実際、百人殺した殺人犯の息子、などという特殊性は相当特殊だし本当ならもっとひねたり病んだりしてもいいくらいだと思う。 行方不明の母親、いつの間にかいなくなった愛犬などのエピソードを読むと、よくまあそれでこんなに「普通」を保てているなと感心するレベルである。 その彼の「普通」「良心」を保とうと努力してきたのがG・ウィリアム、ハウイー、コニーといった周囲の人間たち。特にG・ウィリアムの親父力には感服する。 読みやすい(殺人のシーンは割としっかりリアルに書かれているので、ホラー・スプラッタ的描写が無理な人はスキップおすすめ)文章で、少年たちがイキイキと動くのでテンポよく読める。 ヤングアダルトなので、少々強引な展開などもあるが、気軽に読みたいミステリーをお探しの方にはおすすめできる、かもしれない。 とはいえ、ミステリーを読みたければ他を読めばいいし、青春小説を読みたければそれこそ他を読めばいい。日本のラノベは優秀だと思う。シリアルキラーの心理に興味がある人は、読み進めた方がいい。この1冊目では真のシリアルキラーには焦点が当たっていないので。 この続きが気にはなるが、続けて読もうとは思えてないので、私個人としては⭐︎はそんなに高くはない。なんとなく、ジャンル的に中途半端だったかなという印象。 【追記】日本語タイトルはちょっとイマイチかなと思う。「さよなら」という決別を彷彿とさせる言葉ではなく、ジャズからは「追い詰める」という強い意志を感じる。 とはいえこれ、日本語タイトルは難しいわな。とも思う。

    0
    投稿日: 2022.07.18
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    図書館で。 シリアルキラーの息子が主人公というなかなか面白い設定の作品。自分がそうやって仕込まれて育てられたから、連続殺人犯の思考をトレース出来ると(思っている)主人公。ちょっとうっとおしい感じだけれどもまぁそれが青少年の特権のようなところはあるのかな。たぶん。 とはいえ、唯一の理解者の保安官(だったかな)に、被害者の特徴をそんな一方的に伝えたらそりゃ疑われるよねぇ。頭の良いような悪いような。まぁそのあたりの突っ走りも若さゆえなのかな。 物語は意外な展開で最後の引きがすごい。と言う訳で続巻も読まなくては、という感じ。

    0
    投稿日: 2022.03.02
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    「さよなら、シリアルキラー」http://tsogen.co.jp/np/isbn/9784488208035 読んだ。ラノベだ(と知らずに読んだ)し設定や展開がトンデモだしまるでマンガなんだけど意外におもしろかった。内容は推理物でも成長物語でもなく、マイノリティが世間と折り合いをつける話。主要3人物全員マイノリティかつ特殊なのよ(おわり

    0
    投稿日: 2020.04.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    三部作の1冊目。 気になりつつ、青春的なものはなー、と思って手を伸ばしてなかった本。 読んでみて、なるほど、と青春的な要素に納得したというか。 しかし連続殺人鬼の子供に生まれるって。 しかも英才教育を受けたらしいって。 虐待されても尚、幼い子供にとって、親は神に近いからね。 そこから抜け出すのに、どれだけの強さが必要か、到底測り知れないものがあり。 乗り越えるには言語化して把握する必要がある過去を、まだ柔らかで不安定な17歳が、どれほど耐えていけるのか。 とりあえず2冊目以降に期待だね。

    0
    投稿日: 2019.12.13
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    東京創元推理文庫・その5 コメントは「東京創元推理文庫・その1」でご覧下さい。 2019/05/10 更新

    0
    投稿日: 2019.05.02
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    以前続編が平積みになってるのを見かけて惹かれたのだが、一巻目が見当たらなかったので買うのを断念したシリーズ。 書店は最新刊だけ並べるのでなく、既刊もそろえていてほしい……(何十冊とでてるなら別だが、当時はまだ二冊目だったし) 今回は漫画家が帯と表紙を描くフェアに便乗して購入。リボーンの天野明さんのジャズ、ワルっぽくてかっこいいですね。ニヒルな表情がイイ感じ。 三桁の犠牲者を出した全米ナンバー1のスーパーシリアルキラーを父にもつ主人公ジャスパー。 彼が住む田舎町ロボズノットで殺人事件が起こり…… という話。 ミステリーと青春要素でいうなら、後者の比重の方が大きい印象。ジャスパーは生い立ちこそ特異だが、「親に刷り込まれた自分像からの脱却」という普遍的な自立のテーマは、現代を生きる全てのティーンエイジャーに通底しているのではないか。 口が達者で冗談好きな血友病の親友・ハウイーに、善良で活発な黒人ガールフレンド・͡コニ―など、人間関係は恵まれている。 恋に友情に将来に悩むジャスの姿は、青春の王道ともいえる。 三人で集まり作戦会議を開いたり隠れ家でいちゃついたりと、ヤングアダルト小説ではある意味お約束といえるエピソードが盛り込まれている。 ジャズを見守り導く保安官や認知症の祖母にゲスな記者など、周囲の大人も個性的。 父親を超える殺人鬼となるため幼少時から英才教育を受けてきたジャスパーは、常に自分の中の父親の部分と戦っている。 自分にできることを理解し、それをしないでいるために常に誘惑を律し続ける彼の葛藤が身に迫ってくる。 父親であるビリー・デントの不気味な存在感や人を操る巧みさも必見。 ブラフと嘘をまじえた父子の駆け引きには緊迫感がある。 ジャズの良心を代表するハウイーとコニ―は、ともすると暗く重くなりがちなストーリーに日常的な明るさを添えてくれる。 ジャズをシリアルキラーの息子やその父親のコピーではなく、ジャスパー・デント個人として愛し尊重する二人の存在には救われる。 真犯人っぽい人物は序盤で何人か登場するが、その真相は見抜けなかった。 今後ジャズが父の呪縛を断ち切って未来を掴み取れるのか、コニ―との関係はどうなるのか楽しみ。

    0
    投稿日: 2019.04.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    連続殺人鬼の息子として、「あっち側」に行きそうになる自分を必死で抑える主人公ジャズ。人を騙す技とか普通に使っちゃってるから、半分足突っ込んでるんでは?とは思うけど…。 友人であるハウイーもコニーも、ジャズのこと本気で心配してくれて本気で力になろうとしてくれる。そこが救い。 殺人の方法はグロいけど、翻訳文だからかドロドロ感あんまり感じられなかった。ハウイー達もいるし。 ハウイーのおかげで鬱々としない。ハウイーの功績が大きい…。 主人公グループが17歳という若さだからか読みやすいなと思ったら、そもそもYAだった。

    1
    投稿日: 2019.01.31
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    『青春ミステリー』なんて言う生易しいもんじゃないなぁ。連続殺人犯の息子として生きるジャズ。それも、シリアルキラーとして洗脳されて。僕は殺さない……葛藤と苦悩のジャズを支える恋人と、親友。殺人鬼にならないように何度も何度も自分に問いかけるジャズ。父親ビリーとの対面の時は、ジャズがビリーに飲まれてしまう!てハラハラした。最後のタトゥーでジャズがグッと大人になったような気がした。三部作の序章。次が楽しみです。負けるな!ジャズ!

    3
    投稿日: 2019.01.20
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    面白かった。シリアルキラーの父に英才教育を施された主人公が、本当の自分とは?恐れおののきながら苦悩する様や、それを支えるガールフレンド、血友病の親友の揺るがない優しさに胸を打たれました。解説を読んで本書がYA小説であることを目にし、さもありなん。主人公と同じ年代の人達は、大いに楽しめるのでは?オッサンも目いっぱい楽しめた一気読み作品でした。

    2
    投稿日: 2018.12.25
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    「さよならシリアルキラー」読了。クリミナルマインドや羊たちの沈黙が好きな人にはミステリーや凄みとしては物足りないかもしれないが、その分に青春小説が加わったと思えば、良作である。デクスター 〜警察官は殺人鬼の青春期みたいな感じ。問題は読後に3部作だと知ったことだ。小遣いが〜!

    0
    投稿日: 2018.11.20
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    面白かった!YAだからとたかをくくっていたら、なかなかに凄惨な場面もあり…。 "普通"であろうとするためにもがくジャズの姿が印象に残って、それがこの物語の核なんだと思った。彼女であるコニーの優しさと、友達であるハウイーの明るさにジャズは支えられているんだなとホッとした。

    1
    投稿日: 2018.09.12
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    カテゴリは〝ヤングアダルト小説〟という私自身は食指が動かない分野に属しているが、散々使い古された題材「サイコキラーもの」に挑んだ本作は、停滞したミステリ界に幾ばくかの新風を吹き込んで話題となったようだ。 主人公ジャズ・デントは17歳の高校生で、実の父親ビリーは123人を殺害した「21世紀最悪の連続殺人犯」という設定。少年は己に流れる汚れた血を憎みつつ恐れている。いつか狂気に陥り、大量殺人者である父親と同じ轍を踏むのではないか。行方不明となった母親は父親が殺したと信じ、包丁を見る度に自分自身もそれに加担していたのではないかという悪夢に襲われる。実質124人を殺し終身刑となった男と、その息子の関係性は屈折しており、ジャズが時に応じて父親の教えに従う部分もある。本作は良くも悪くも、この枠組みの中で展開する。 死体に様々なポーズをとらせたことから、ビリーは初期に〝アーティスト〟と称されていた。その殺人現場を模した自称「ものまね師」の殺戮が、ジャズの生まれ育った田舎町で再現されていく。父親を逮捕した後に懇意となった保安官を通じて捜査状況を掴んだジャズは、友人と恋人の助けを借りつつ、「ものまね師」の正体を探るために奔走する。本作の肝は、父親の陰惨な凶行を辿らなければ、殺人者に近づけないということであり、主人公の葛藤と抑制、その克服の描き方に力を入れている。 読者層を踏まえて文章や構成は平明でストレート。 ジャズを支える友人と恋人、保安官の存在は、軸となる凄惨な事件を浄化する役目を担っている。ただ、光と闇の狭間で揺れ動く少年の孤独と焦燥を、敢えて重くせずに、ティーンエイジの苦悩と同様のレベルで描いているのは、〝青春小説〟でもある本作の限界点を示し、やや物足りない。さらにいえば、百人以上を殺したビリーの凄まじい闇に触れる心理的な掘り下げがないという欠落も大きい。また、殺人者の息子を捜査に介入させることなど現実にはあり得ないし、第2部へと向けた終盤での警察の無能ぶりなどに、物語としての甘さが際立つのだが、著者はあくまでもジャズの成長を描くことに主眼を置いているため、大方の読者には許容範囲であろう。 本作は三部作の第1弾。終盤で次作に繋がる展開があり、完結していない。

    1
    投稿日: 2018.08.08
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    3部作のうち、これが一番おもしろかったです。主人公の複雑なキャラ設定がいいし、まわりの友人たちがいい味を出している。文章のテンポもよかったし。文庫で1200円という値段さえ気にしなければ、とても楽しく読めました。ただ、2作目、3作目は、なんともお約束な展開で、一応楽しく読んだのですが、本作ほどではありませんでした。(2015年12月26日読了)

    1
    投稿日: 2018.05.12
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    田舎町の農場跡地で身元不明の若い女性の死体が見つかる。全裸で指が三本切り落とされ、うち一本が現場に残されていた。 高校三年生の『ジャスパー』は、保安官に連続殺人だと訴えるも相手にしてもらえない。 ジャズには殺人犯の心理が、手に取るように分かるのだ。なぜならジャズの父親は、百人以上を殺して逮捕された人物で、幼いころから殺人に関するあらゆることを教え込まれていたからだった。 このミステリーの探偵役は高校生だ。血友病友人と黒人の彼女を持つ、普通の白人の男の子。ただ、二十世紀最悪の殺人犯に育てられてという点を除けばだが。 そんな主人公が殺人犯の視点に立ち犯人を捕まえるわけだが、YA小説らしくもう一つのテーマは主人公の葛藤である。彼は目の前の人物を簡単に殺せると思うし、人を操る術にも長けている。そして、父親のようになるのではないかと怯え葛藤している。 酷い環境で育てられた主人公だが、彼は友人と恋人の助けを借りて(最悪の)父親を乗り越えるのである。これは自分を見失いがちな青少年に送る、メッセージでもあるのだ。

    0
    投稿日: 2018.04.16
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    英才教育ならぬ殺人の英才教育を受けて育ったジャズ.連続殺人犯の息子という特殊な立場から,新たに起こった殺人事件が連続殺人事件だと確信する.犯人の思考を先回りすることで犯人を捕まえようと親友や恋人と共に調べるところ,ハラハラドキドキする.殺人方法がかなりショックなもので,気持ち悪くなったりもするが.血友病のハウイーやコニーの存在が何か青春ものの明るさを届けて,読後感は案外スッキリしている.

    0
    投稿日: 2018.03.10
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    高校生のジャスパー(ジャズ)は祖母と二人暮らし。友人も血友病患者のハウィーと、恋人のコニーだけ。彼の住む街 ロボス・ノッドの人たちはジャズには近づかない。なぜなら、ジャスの父親のビリーは100人以上を殺したシリアルキラーで、ジャズは幼いながらもその手伝いをさせられていた、シリアルキラーの息子だからだ。 そんなジャズの暮らしに大きな異変が起きる。ロボス・ノッドで女性の他殺死体が発見された。 ジャズは生まれた時から父に仕込まれたシリアルキラーとしての感覚から、これは連続殺人事件の始まりだと直感する… 設定が秀逸である上に、ストーリー展開もうまく、読み始めるとどんどん読ませる。 しかも主人公のジャズは、単なるシリアルキラーの息子というだけでなく、彼自身も自分はシリアルキラーとしての思考プロセス、行動原理を父親から受け継いでおり、時にそのように行動してしまう(秩序型のシリアルキラーは外交的で人付き合いもよく、周囲からは善人として慕われていたというケースが多い。これは当人が人の心理を読み、行動できる才能に恵まれているからだと言われている)自分自身の身についた素質に苦悩しつつも、時にはそれを使って親友や恋人さえも欺いてしまう不安定さを持つキャラクターとして描かれているため、読者の共感を得やすいからだろう。 この作者はいわゆるヤングアダルト小説でヒットを出した作家で、これもYA系として扱われているらしいが、通常のミステリーとして充分面白い。

    0
    投稿日: 2017.11.06
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    連続殺人鬼を父親に持つジャズの住む街で起きる凄惨な殺人事件。 父親は既に逮捕済みだけれど、幼少期の本人の自覚すらない頃から人を殺すノウハウを叩き込まれていたジャズはその知識を使って犯人の行動をトレースし、その目的と次の被害者を予測する。 自然と『殺人鬼の思考』が出来てしまうジャズの過去と彼を縛る呪いはどこまでもずっしりと重い。 意外な人物が犯人とかではなかったし事件そのものよりはジャズの苦悩がメインで、青春物という前評判も納得。 恋人と親友を縁に必死に足掻くジャズが早く解放されて欲しいと思いながら読み進めたのに、最後に飛び込んで来るニュースが衝撃的。 これは三部作全部読まねば。

    1
    投稿日: 2017.10.18
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    今世紀最悪と言われたシリアルキラーの息子。彼は小さい頃から、父親に殺人者としての「教育」をうけていた…。 そんなとき、同じ小さな町で再び殺人事件が起こる。 望まずに犯人としての思考が見えてしまい、それと戦いながら犯人を捜す、というのが斬新だった。 3部作なんだなー。続きが気になってしまう。 久しぶりに翻訳ものを読んだ。この翻訳特有の「原文の言い回しを日本語に訳しました」感がつっかかる。

    2
    投稿日: 2016.12.25
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    ハウイーとジャズの熱い友情は良かった コニーの存在はいるのか? ジャズにこんなステキな恋人がいるのは中途半端なキャラ設定な感じがする ハウイーにも彼女できる日はくるのかな なんか、病気のある彼女ができそう  これが、YA小説ってことに戸惑う 向うの10代は、こんなん読むんか 自分が10代の頃だったら、ぜったい無理だったと思う シリーズ③まであるが、読まないな

    0
    投稿日: 2016.12.20
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    シリアルキラーの父親の犯行を真似た殺人事件が置き、息子とその友達が犯人探しする。青春小説ではあるものの、猟奇殺人なので気分悪くなる。

    0
    投稿日: 2016.12.11
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    シリアルキラーを父に持ち、さらに幼い頃から殺人の手ほどきを受けてきたという少年が探偵役という設定が斬新だった。 だからこそ、殺人犯が次に何をしようとしているのか予測できる。

    2
    投稿日: 2016.11.03
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    すごくよかった… 先の読めないストーリーに加えて、殺人鬼に育てられた主人公が殺人鬼としての思考と1人の人間としての感情の間で葛藤しているシーンが他とはまた違った視点も味わえるのが楽しい! 実在する殺人鬼の名前や行動が描写としてあったりするので、知ってる人はおっ、と思うかもしれない。

    0
    投稿日: 2016.09.05
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    小さな田舎町で起こった殺人事件。これが連続殺人だと見破ったのは、主人公である高校生でした。このミステリーがちょっと特異なのは、彼の父親がかつて全米を震え上がらせた連続殺人鬼であることです。主人公は父親であるシリアルキラーによって、幼いころから殺人に関する英才教育を受けていました。彼は、自分にも父親と同じ血が流れていること。さらには、いつか自分も父親のように、殺人に快楽を求めるような人間になってしまうのではないかという恐れを常に抱いています。 やがて今回の事件は、百数十人を毒牙にかけた父親の犯行を真似て行われていることがわかってきます。町の人たちの好奇の目にさらされ、父親のせいで被害者の遺族になってしまった人たちの感情にさいなまれ、マスコミの遠慮会釈ない追及を逃れながら、主人公は事件の謎を解き明かそうとします。 サイコサスペンスというと、残酷で陰惨なイメージがありますが、この物語はむしろ、21世紀最悪と呼ばれたモンスターの息子として生きる主人公の、苦悩と葛藤に主題が置かれています。 高校生が捜査に加わるという設定がリアルさに欠けるとはいえ、えぇ~、この続きはどうなるの?という絶妙な終わり方をしますので、つい続編に手が伸びてしまいます。ちなみに、このシリーズは3作あるようです。 べそかきアルルカンの詩的日常 http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/ べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ” http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2

    0
    投稿日: 2016.08.08
  • シリアルキラーのDNA

    シリアルキラー物に目がない私。ずっと気になっていた本が読めて満足です。 まず、設定がとても良いです。 シリアルキラーの息子という加害者家族を主人公にした作品はとても珍しい。 シリアルキラーを育てる要因は、親からの虐待であったり、幼少期の環境が劣悪(母親が妊娠中からジャンキーだったりアル中)だったりするものですが、本作のジャズはそういうことではなく、シリアルキラーである父親から物の善し悪しも分からぬ頃から殺人の英才教育を受けて育つのです。 ジャズは、忌まわしい己の血について、それこそ365日考えない日はなく、善き人間であろうと、父親と同じ道は歩まぬようとします。 それなのに、彼の周りで発生する連続殺人。 それはかつて父が犯した犯罪を模倣した「ものまね師」の手によるもの…。果たしてジャズは犯人を追い詰める事ができるのか!? 私の中でジャズをまだ生々しく感じることが出来ないでいるので、三部作すべて読み終えた後にどんな風に感じるか今から楽しみです。 勿体ないのでゆっくり読もうと思います。 設定の面白さに読みやすさを加味して★4で!

    5
    投稿日: 2016.07.15
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    こういうジャンルでは初めて接するYAテイスト。面白かったです。主人公が少年なので、陰惨な事件がこれでもか、と続いても、軽いタッチで読めてしまいます。ビリーとの監獄での対面シーンは「羊たちの沈黙」を思い出しました。展開は濃かったのに、ラストは割とあっけなかったです。続編も、もちろん読みます!

    0
    投稿日: 2016.07.07
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    どこかちょっとウィンズロウの「ストリートキッズ」を思わせる筆致で、楽しく読み進めていって、最後でのけぞる。これって続くのか!解説を読んだら三部作だそうな。それならそうと知って読みたかったなあ。途中折々にはさまれる思わせぶりなほのめかしも、全部スッキリするものだと思っていたので、肩すかし感が半端ではなかった。いや、面白かったんですけどね

    0
    投稿日: 2016.07.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    アメリカの田舎町ロボズ・ノッドで起きた変死事件。 町でちょっとした有名人の高校生ジャズは、それが連続殺人だと気付く。 何故ジャズがそれに気づくのか? 何故ならジャズは殺人鬼の息子で、父から殺人鬼の英才教育を受けていたから。 保安官はジャズの言い分を信じてくれないので、ジャズは独自に捜査を進めていくのだが…。 殺人鬼の息子として生まれた17才のジャズの友情、恋、葛藤が中心の青春小説。 なので殺人事件は凄惨なんだけど、どこか軽い印象を受けます。 アメリカのTVドラマにありそうな感じです。 3部作で完全に続きますよーという終わり方をしています。

    0
    投稿日: 2016.06.04
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    海外ミステリーを読んだのはほぼ初めて(シャーロックホームズくらい)なので緊張しましたが案外入り込めました。 私には犯人が意外でびっくりしました。 そして主人公のジャズに心情も物語の主軸になっていて胸を締め付けられました。 父が連続殺人犯で幼少期から教え込まれたためにその呪縛から逃げられない。 父とは違うと思いながらもその思考に落ちそうになる。 町の人たちからも遠ざけられ普通の生活が送れない。 毎日が必死だなぁ、と思いました。 そんな彼に正気を保たせてくれる親友のハウイーと恋人のコニー。 どちらもいい子ですね。 ハウイーはあやうく死にそうだったのに絶交どころか責めもしない。 コニーは喧嘩してでも傍にいる宣言。 なんだかんだ言いつつジャズもいい子だからなんだろうなぁ。 3部作らしいので次があれば読みたいです。

    0
    投稿日: 2016.06.01
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    面白かった。 猟奇大量殺人だけど、王道の青春小説。 自分は何者で、何を為し、何になれるのか。 アメリカでも日本でも青春の描き方に大きな違いはないらしい(…と言えるほどこの手の本は読まないけど)。 ユーモア溢れるちょっとヘタレな親友と、真っ直ぐでしっかり者の恋人が主人公を支える様子は、眩しくて暖かい。 でも、文庫で1200円って高い…。

    1
    投稿日: 2016.04.25
  • ギリギリの「青春ミステリ」

    殺人鬼の息子を主人公にした青春ミステリ3部作の1作目。「21世紀最悪のシリアルキラー」を父に持つジャズ(高3)が、地元で起きた殺人事件の犯人を捕まえるべく奔走します。 事件自体にも猟奇的な部分があるものの、個人的にはジャズの父・ビリーの言葉のほうがずっと怖かったです。ジャズの脳内で頻繁に再生される(昔聞かされた台詞がフラッシュバックする)のですが、まさに殺人鬼!という言葉の数々に背筋が寒くなりました。 そんな本作をギリギリで「青春」ミステリにしてくれているのが、ジャズの親友・ハウイーと恋人・コニーの存在です。この二人がいなかったら、ジャズもこの物語ももっと違ったものになってしまっていたでしょう。重い展開のときも、二人の明るさと強さに救われます。 それにしても感心するのは、これが米国ではヤングアダルト(YA)小説として出版されていることです。高校生はともかく、中学生が読むにはなかなか刺激的な内容だと思うのですが、これも文化の違いでしょうか……?

    6
    投稿日: 2016.03.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    お父さんの呪縛から逃れようと苦悩する主人公が新鮮だった。友達や恋人の存在が心の拠り所になっていて、それが凄く真摯に伝わってきた。続きが楽しみ!頑張れ٩(ˊᗜˋ*)وジャズ!!

    0
    投稿日: 2016.03.05
  • 同じようなシーンが繰り返されて、やや飽きる

    つまらなくは無かったですが、もう少し頑張って欲しかったなと。 シリアルキラーに育てられた主人公というアイデアは、まあ良いのですが、人物の描き方に不満が残りました。 登場人物の性格や関係を説明する同じようなエピソードが何度も出てきます。例えば主人公の恋人は、僕は君を傷つけるかもと、うじうじする主人公に、私は「気にしていない、あなたを信じている」と慰めるという描写が何度も出てきます。また主人公の祖母に関しても、主人公にぼけて暴言を吐くシーン、それに傷つき殺意を覚える主人公、というシーンが繰り返されます。 その一方で犯人がわかるシーンは、かなりあっさりしています。 それなりに面白く読めましたが、途中で飽きたのも、また事実です。

    0
    投稿日: 2016.02.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    あらすじ見てぱっと思い浮かんだのはドラマのデクスター。デクスターではシリアルキラーなのは主人公で父親がそれをいい方向へもっていこうと教育する立場だったのに対して、これは父親がシリアルキラーで息子は幼い頃にその英才教育を受けたという設定。 三部作だし最初に風呂敷を広げすぎると登場人物が多くなってしまって読み手の視線がぶれがちになるけど、人物も絞られているし、読者が題材を目にした時に当然興味惹かれる方向にうまく話を収束させてる。ストーリー構成もうまくて、早く続編読みたくてたまらなくさせる。

    0
    投稿日: 2016.01.20
  • 個人的には原題のほうが合っていると思います。

    原題「I Hunt Killers」 僕は、殺人鬼を狩る者になる――。 後で知ったのですが、三部作の始まりの物語です。当然、この一冊で物語は完結していますので、話題となっているので最初の一冊、という形でも問題なく購入できると思います。 と、言いますか、最後まで読んだら、きっと、第二部、第三部も読みたくなると思います。 この物語の主人公は「今世紀最悪の殺人鬼の息子」です。 有名人の父親にて「効率的な殺人方法」について英才教育を受けていたようで、そのことで、主人公は世間から疎まれ、また、己を卑下して生活しています。そんな主人公の町で起きた殺人事件に、主人公は「これは連続殺人となる」と直感し、それを阻もうとします。しかし、普通の高校生活を送ってほしいと願う周囲の願いもあり、うまくいかないのですが…という話です。 私が、色々紹介分を書いても、やはりこの作品の最良の紹介は「I Hunt Killers」に尽きると思います。 いかに、主人公が「殺人鬼を狩る者」になるのか、一読いただければと思います。

    4
    投稿日: 2015.12.28
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    幼少期からシリアルキラーの父に殺人鬼としての心構えやテクニックを叩き込まれた高校三年生の少年が、町で発生した殺人事件をいち早く連続殺人と見抜き、父から受け継いだ知恵を使って犯人を捕らえようとする青春ミステリ。 父が逮捕された後に洗脳が解けた彼は、自分も父のようになるのではないかと恐れつつも、やろうと思えば殺せるという全能感に酔ったりする葛藤や高揚が高校生っぽい。ミステリというより青春小説として読んだ。 事件はひとまず決着するが、三部作だそうで次の展開が楽しみ。

    0
    投稿日: 2015.12.10
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    アメリカの作家バリー・ライガ、2012年発表の小説。YA向けミステリー。アメリカのTVドラマに良くあるようなB級青春ストーリーと「羊たちの沈黙」をミックスしたような物語。軽い感じのタイトルや文体に反し極めて陰鬱で酸鼻な内容。それなりに面白いけれど・・・。 100人以上を殺したシリアルキラーを父に持つ高校生ジャズが主人公。父の犯罪を模した殺人が街で起こり、ジャズは親友とガールフレンドと共に犯人を追うが・・・。 あまりリアリティの感じられない内容。主人公の鬱々とした心情吐露の場面が多くかなりうんざりします。三部作とのことだけれど、一冊だけでもう充分という感じです。

    0
    投稿日: 2015.11.15
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    この作品の読みどころは3つ。 ①史上最悪の連続殺人犯の父に「殺人犯」としての英才教育を受けた17歳の高校生ジャズが主人公 ②街で起こった殺人事件の犯人追及 ③ジャズとハウイーの友情 この3つだろう。 もしかしてぼくは殺人犯の血を潜伏させているだけかも…と言う自分の土台を疑いながら生きているジャズにとって、正常な世界へ繋ぎとめてくれる唯一無二の存在である親友のハウイーとの友情が物凄くいい!!YA小説と言うジャンルだからこそかもしれん。イケメン、女性にモてる系のジャズに対し、手足が長くヒョロ長ノッポなハウイーの、アンバランスなビジュアルに対して、互いが持っている「弱点(ジャズは殺人犯の息子、ハウイーは血友病患者)」になり得る部分を無条件で許容し、それが当たり前、みたいな感覚なのが凄くいい。自分のせいだと言う罪悪感で犯人に襲われたハウイーの病室に入ることが出来ずにいるジャズをするっと招き入れるハウイーの剽軽さがなぁ…いいなぁ男の子同士って、って心底思う。その後、ジャズがハウイーに触って生きているのを実感したいと思いながらもそっと手に触れるくらいしかできない辺りとか…ジャズはシーツの下で強調されるハウイーの薄くて細くて長い身体に打ちのめされている、こんな友人を危険な目に遭わせてしまった、と後悔してもし足りない、だからこそ肉体を感じたい、と思っている…と言う、この性的意味合いが一切ないのにも関わらず「触れたい」と思う感覚!!そこに同性愛的な要素は一切ない、本当に親友を大事に思っている、と言うそのままの描写がしてあるだけ。純粋な友情から生まれるスキンシップを描く事の難しさを考えたよね。ここから精神的ホモな深読みがしたい、と言う欲求があったのだが、今は全くなくなってしまった。そちらに移行しないからこそ「かけがえのない存在」なんだ、と思うようになった。恋愛が人間の関係性に於いて一番尊いなんて幻想だ。全ての人間関係が尊い。 連続殺人犯の父親がシングルファーザーの振りをしてジャズを育てていた時からの友達で、その後の、父親が殺人者として逮捕された前後の間もずっと変わらずジャズの友達で居続けているハウイーへの信頼度が半端ないジャズ、GFのコニーもいい子だが…と言う下りがタマラン!!恐らく、ハウイーのちょっと抜けてるような、ひょうきんな性格が合って、ジャズの繊細な立場を慮って、と言うよりはそこまで意味が解ってなかったのかもしれないが、その解ってなさが「ジャズはジャズ、父親とは別物」ってふつーに思ってただけなんだろうな、それがジャズには何より有難かったのだ…GFのコニーとジャズはとてもいい感じだし、コニーもいい子だから、ジャズも無論大好きだろうけど、それでもコニーには言わない事があっても、ハウイーには言う…女の子よりも親友の方に絶対的な信頼を寄せていると言うジャズ。至極当然、そこに在る事実、と言う書き方がいいんだよなー。イケメンなので優男としての魅力も女子相手に発揮できるが、ジャズの元々の利発さが賢明な判断をしているんだよね。コニーも好きだけど、ハウイーとは比べ物にならない訳だ。そこを「殊更」友情を前面に、って書き方じゃなくてあくまでもそれが事実なので、と言う感じで、私が海外小説が好きな所以。読者の感情移入を導入しようと言う「抒情的」な感覚と言うのかな、そこが国内文学と違うなぁ、っていつも感じる。「情」を描く時に「お涙頂戴」的な方向へ流れがちなのは根本の所に国民性があるからじゃないかなぁ、日本人気質に由来していると思うんだよね。 自分は「殺し方を知っている」と自覚しながら、自分も殺人を犯してしまうかもしれないと知りながら、町で起きた殺人事件に対して、連続殺人犯を知っているからこそ犯人を捕まえてやる、それが自分の存在意義だ、と思い至る所が…彼の悩み方がドライなんだよね。GFのコニーも、親友で血友病患者のハウイーもジャズを信じている。街には彼を殺人者の息子として疑惑の目で見る人間もいるし、女性陣はハンサムな彼に概ね好意的、しかも彼は殺人犯として父が捕まった家に住み続けている。彼には、やっぱり殺人犯の息子だ、もしくは殺人犯の息子なのにまともだ、と言う二択の存在価値しかない。そんな世界の中、父から施された殺人者としての知識がどう転ぶのか、彼自身も決めかねている中、女性が被害者の殺人事件をただ一人「連続殺人である」と見抜いている…「血」ゆえに。殺人者の息子だから「見抜ける」わけで、彼の起こす行動は「殺人事件に近付いている」事で誤解を招くかもしれないのに、彼は「犯人を特定する」決意を固める。それが出来れば英才教育を施されていようとも自分は殺人を行い道を選ばない、と自分に証明したいからだ。この辺りの「どちら側も解る」図式、喰種のカネキくんとだぶるんだよね。 のっぽのハウイーが凄いいい味出してるんだよなー。誤解を招くぞ、まずい事はまずい、厄介ごとをしょい込まなくてもいいのにー、とか言いつつもジャズを信じて行動を共にする。のほほーんとしてて、ジャズと取引する時に「刺青を入れるさせてくれ」と毎回お願いする変なとこもある(笑)血友病患者なので、血が「止まりにくい」体質であるにも関わらず、タトゥー入れるのが一番うれしい事な訳、ハウイーにとっては。それはどうかと思うけど、ハウイーにとっての自分の体質への挑戦なんだよね、きっと。 史上最悪の連続殺人犯の息子であるジャズは客観的に自分がどう見られているか、自分がどんな人間であるか、とっくの昔に熟考しており、17歳にして老成した所がある。彼にとって彼の人生は「引き算」の連続。連続殺人犯になる可能性から引き算をして今の自分を保っている。ネガティブポジティブと言うか。彼の目の前に立つ人間を意図も簡単に殺せる技術を持ちながら、それを一切使わず、連続殺人犯として英才教育を受けた背景を持ちながら自虐的に自暴自棄にはならず、細い綱の上を渡りながら毅然としている。何故コニーと付き合うのか、コニーを好きになったのか、その大元にあるものは恐怖で、引き算して行った残り物なのか、そうじゃないのかの葛藤も大いにあった筈だ。彼女が「好き」と言う感情が選択肢の結果だけじゃない、と確信できた時のジャズの喜びはいかほどのものだっただろう。類を見ない成長過程、賢い彼の血筋は間違いなく殺人犯の父から受け継いでいる。それを行使したくて堪らない葛藤とずーっと闘っている訳だよ、若さゆえの自尊心も無論ある、が、ジャズは正義感ではなく父親が「モノ」として見せてきた人の「死」が「死」であると認識した瞬間に父とは違う人間になった。もし、本屋で手に取ったとする、面白いのかなぁ、と悩んだとする、その際に「最後のページ」を読む事がある。最期の一文で間違いなく速攻レジに持って行っただろう。 音声化してくれんかなー、一応YA文学なんだよね。気負わずにやって欲しいわー。ジャズは17歳、実年齢のたっつんでは開きがあるだろうが、史上最悪の連続殺人犯を父に持つと言う背景の複雑さをたっつんで聴いてみたいんだよー!!脳内ではもう固定化されてるけど(笑)

    0
    投稿日: 2015.10.26
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    今世紀最悪のシリアルキラー、ビリー・デントに殺人鬼として英才教育を受けた息子のジャスパー・デントが町に現れた連続殺人鬼の正体を追う。そんなストーリー タイトルから中々のスプラッタな展開がありそうだが(あるけど)、実際にはミステリィというより殺人鬼の息子としての苦悩や葛藤に重きを置かれている。 ガールフレンドのコニーは黒人で差別の歴史を認識しつつ、それでも自分の生き方を決めるのは自分であるという芯の通った女の子が主人公を支えている。 身体の弱い親友ハウイーもユーモアにとんだ発想で主人公を正気に留めている。 自分の中の潜む殺人鬼としての性に怯えながらも自分と向き合うジャズの成長期である。

    0
    投稿日: 2015.09.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    アメリカの高校生、というのは新鮮で。 また特殊な生い立ちのため、色んないらん知識や葛藤が良いです。 コニーは懐の深いいい女だし、ハウイーとの熱い友情もよいし。頭の回る少年とあっけらかんとした友人、ってのが「バードメン」ぽくて可愛い。 次も読みます。

    0
    投稿日: 2015.08.25
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    こんなに異常なシチュエーションなのに、なんでだろう。「スタンド・バイ・ミー」のような印象を受ける。まさかの三部作。出版社には責任持って翻訳の完遂を望む。ミステリとして純粋に評価すると、意外性はそれほどでもない。今後の展開に期待。7.0

    0
    投稿日: 2015.08.15
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    シリアルキラーの息子であるジャズ、彼の住む街で殺人事件が起こる。彼の父親を真似るように殺人が続く。親友のハウイー、恋人のコニーとともに事件を追う。 どうやら3部作らしい作品の第1作目。人物紹介を兼ねた序章というところ。事件そのものはあまり重視されておらずジャズの内面の葛藤がメインに語られる。暗くなりそうなストーリーにユーモアを添えるのがハウイーのユーモア。血友病であるにも関わらずユーモアを持ち続けるハウイーには心惹かれる。 今後は父親との対決が予想されるが、ユーモアとアドベンチャー感を持って続いて欲しい。

    0
    投稿日: 2015.08.14
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    シリアルキラーなんていう物騒な言葉にドキッとするのですが、それを柔らかく「さよなら」と打ち消している不思議なタイトルです。 恋人や親友と年相応の青春を謳歌している17歳の少年を主人公として、青春小説の色が濃いサスペンスミステリー。しかしユニークなのが、彼が連続殺人犯の父から犯罪のイロハを学んで育ったという特殊な事情です。 自身の中に眠る、父から教え受け継いだ殺人鬼の才能に怯え、正義感や贖罪の為ではなく自己保身の為に犯人を追というのが他とはちょっと違うおもしろいところです。 犯人を捕まえれば、自分が犯人でないことを証明できるという捜査理由がなんとも切ない。 彼は父の所業に苦悩する加害者側家族であり、異常な教育を受けて育った被害者なのですが、いつ何時ころりと加害者側へ堕ちてしまうか分からないという緊張感が常にあります。 そんな危うい彼に優しく、時には厳しく接する恋人と親友との絆が素晴らしい。 事件は衝撃的な展開の連続で幕を閉じますが、これは後の大きな事件へのはじまりに過ぎないようです。 父親へ、そして自分の内なるシリアルキラーへ力強くも悲しみを込めた「さよなら」だったと、最後にはタイトルを振り返ることとなりました。

    3
    投稿日: 2015.07.19
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    史上最悪の殺人鬼の息子として産まれ、殺人鬼の英才教育を受けた少年ジャズの青春ミステリーです。 作中の空気は陰惨なのですがちゃんと爽やかな雰囲気の青春ミステリーの空気もあるのがとても面白いです。 殺人鬼の血が流れる少年ジャズの、他人には恐らく決して理解できないであろう葛藤や、持っている能力を使うことの恍惚感、自慢、怯えがよく現れていて面白かったです。 ジャズの親友と彼女がとても良い子なのが良いですね。彼らがそばにいてくれる限り、ジャズはなんとか大丈夫なのではないかと思えます。 父親であるビリーは肌がピリピリするような危険人物なのですが、それでもどこか魅力的で、ジャズへの父親らしい振る舞いがアンバランスでそこが余計に恐怖感を煽ってきます。 三部作らしいので残りも邦訳されたら良いなあと思いつつ。単品で読んでもなかなか息詰まるように後味が悪くて、それなのにどこか底抜けに爽やかで、とても面白い話でした。

    0
    投稿日: 2015.07.09
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    父親は、過去二十一年に渡って三桁以上の人間を殺した連続殺人鬼として、刑務所で服役中。 そして、その父親から殺人鬼としての英才教育を受けてきた高校生のジャズが、本作の主人公です。 ある日、彼の住む町で殺人事件が発生し、警察の現場検証をこっそり覗き見た彼は、それが連続殺人となることを確信します。 彼の父親を逮捕し、以来、何かと彼を気遣う保安官も、最初は彼のことを信じませんが、事態は徐々に彼の言うとおりに進行して… 自分には殺人鬼の血が流れていて、しかも英才教育まで受けていることで、いつか自分が「そっち側」へ行ってしまうのではないかと常に怯え、その反面、自分の思い通りに人の感情を操るなど、英才教育の成果を利用することもある、一見矛盾したジャズのキャラクターが魅力的だと思いました。 思春期特有の脆さ、危うさ、自己顕示欲、狡猾さ、純粋さの目まぐるしい切り替わりが、とてもうまく表現されています。 そして、ジャズの唯一といっていい親友のハウイーやガールフレンドのコニーとの友情も、とても素敵だなと感じさせられました。 (コニーをガールフレンドに選んだのには、また彼らしい理由があるのですが) クライマックスでは、驚愕の新たな事件が起こり、「これは続くな」と思ったら、案の定、"GAME"、"Blood of My Blood"と続く三部作のようで、続編の翻訳を楽しみに待ちたいところです。 ちなみに本作の原題は、"I HUNT KILLERS"です。邦題も気に入ってるのですが、読み終えてみると、原題の方がしっくりくるように思いました。

    0
    投稿日: 2015.07.06
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    面白くて読みやすい青春ミステリー。俺たちの戦いはこれからだ!というところで終わるので、いつ出るかわからない続刊を待たなくてはならないが、待つ価値のある作品。 史上最悪のシリアルキラーを父に持つ少年ジャズの物語。自分は父親とは違うと思いながらも、最悪な思考が自動的に湧き出てくるのを止められない。その思考は自分の物では無いと言い切れるのか。 育った環境=親からかけられた呪いを解く。多かれ少なかれ誰もが乗り越えなければいけない課題だが、負債も資産の内なのだということを思い出す。私たちは配られたカードで勝負するしかないのだ。 ところで父親であるサイコパスのシリアルキラー、ビリーをダニエル・デイ=ルイスで想像してしまうんだけどどうでしょう。

    1
    投稿日: 2015.06.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    史上最悪のシリアルキラーと呼ばれる父に《英才教育》を受けた主人公、という設定は、どことなくアメコミのダークヒーローっぽい。自分は父とは違うと証明するために、敢えて父から受け継いだその能力を駆使する主人公は、常に「自分の行動は本当に自分の意思に依るものなのか」「実は父に操られているのではないか」という疑念を抱いており、その葛藤ぶりが時に鬱陶しかったりもするのだが「誰も僕を理解できない、僕のような人間は他に居ないのだから」と言われてしまうと「…そりゃそうだわ」と納得せざるを得ないのがこの設定の巧いところ。そんな主人公を支える親友や恋人のキャラもいいが、それ以上に、主人公に対等な視線で向き合ってくれる保安官の存在がいい。佳い青春小説にはやはり「まっとうな」大人のキャラこそが不可欠と思う。青春小説としても、サイコスリラーとしても続きが楽しみなので、是非、三部作全て邦訳して欲しい。

    0
    投稿日: 2015.06.16
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    あ、そうきたか。シリアルキラーの息子が主人公。 彼の心の中の葛藤に共感を覚えます。 ちょっといい読後感はなんなんでしょうね。 たぶん、彼の恋人、友人のおかげのようです。 多くのシリアルキラー物ではシリアルキラーが刑務所に収監されているようですね。

    0
    投稿日: 2015.06.11
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    アメリカ産、青春ミステリ。 主人公で探偵役は、世紀の連続殺人犯の一人息子。 エキセントリックな設定を活かしつつ、そもそも青春ものや冒険ものとして描きっぷりがよい。翻訳もよい。 彼の葛藤と成長も含め、展開は割と素直で衝撃はそこまでないが、それでも楽しめた。 巻末解説いわく、原作は三部作らしいので、続編の国内販売も期待したい。 3+

    0
    投稿日: 2015.06.04
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    ジャズは忠実な親友と可愛い恋人に恵まれた、平凡な高校生だ――ひとつの点をのぞいては。それはジャズ の父が21世紀最悪と言われた連続殺人犯で、ジャズ自身幼い頃から 殺人者としてのエリート教育を受けてきたこと。 彼が住む田舎町で殺人 事件が発生、ジャズはそれが連続殺人だと主張するのだが……。

    0
    投稿日: 2015.05.29
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    いっぷう変わったサスペンス+青春小説。 事件よりも出生の事情がある主人公の心理描写が上手い。サスペンス色は強いが、伏線がちょっとバレバレで、『怪しい人物』もさほど多くなく、実行犯を特定するのは難しくない。割とハリウッド映画っぽいというか、映像的に見栄えがするようなストーリーを作り込んでいるところは楽しめる。 三部作ということで、ちゃんとラストに『引き』がある構成……はいいのだが、次巻は果たして邦訳されるのだろうか。翻訳ものはシリーズの途中でも音沙汰が無くなることがあるからな……。

    0
    投稿日: 2015.05.22
  • 少年は殺人者を狩る者になる。

    124人を殺したシリアルキラーを父に持つ少年・ジャズ。父親の影響で殺人の為の手口や人を操るテクニックは知っていて、その知識から敬愛する保安官の為、地元で起きた事件の捜査に協力しようとするというストーリーです。 悪夢のような英才教育を受けた為に「少しでも踏み外してしまえば父と同じになってしまうのでは…」と葛藤しながらも、親友と恋人の存在が錨となって何とか踏みとどまっている。主人公の揺れ動く心情が克明に描かれていて、成長小説・青春小説でもありました。 殺人鬼の息子というレッテルを物ともせず、そばに居てくれる友人・ハウイーと恋人・コニーの存在が主人公の、そして物語の救いでした。 どうやら三部作らしく、続きが気になるラストです。早く次回作が刊行される事を期待します。

    11
    投稿日: 2015.05.17
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    青春小説のような雰囲気のタイトルと内容のギャップに身もだえしつつ読みました。 何十回も終身刑を終えなければならないほどの罪を重ねたシリアルキラーを父に持つ、というだけでも相当不幸だというのに、その父親に「犯罪者」としての帝王学を学ばされて育った、なんて。 彼の「普通の高校生でありたい、でも犯罪に手を染めたいと思っているのかも」という二つの心の葛藤が行間から滲み出してくるようで読んでいて苦しかった。本当ならかかわらないほうがいいであろう連続殺人事件に惹かれてしまう自分の気持ちを正当化する、彼の不安定な心も辛い。 彼がもし一人だったら、きっと父親と同じ道を歩いていただろう、と思う。彼に、彼の心のブレーキとなる二人の友だちがいたことが救い。彼の「正常」を信じて彼のそばにいてくれている友だちの存在の大きさたるや。これがもし日本だったら、とふと思う。彼の父親の罪は彼には関係がない。だけどきっと周りはそうは見ない。あの父親の子どもだから…きっとそういう目で見てしまう。あるいは父親の罪を彼も背負ってうつむいて不幸な人生を歩くべきだ、とそう思ってしまう。彼が個人としての人権というか生を尊重する国に生まれたことを喜びたくなる。

    1
    投稿日: 2015.05.11