Reader Store
ババヤガの夜
ババヤガの夜
王谷晶/河出書房新社
作品詳細ページへ戻る

総合評価

677件)
3.9
167
294
156
20
4
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    イギリスのダガー賞を 日本人で初受賞した作品とのことで 興味が湧き、読み始めました。 タイトルのババヤガとは?調べてみると 鬼婆のことなのですね。 文章も読みやすく、終始バイオレンス‥! 暴力が唯一の趣味である依子には全く感情移入はできなかったけれど ここまで強い女性の出てくる小説は読んだことがない。 新しい世界を見た気がしてとても興奮しました。

    6
    投稿日: 2025.09.13
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ダガー賞を日本人が初めて取ったで話題の本作。 ダガー賞:英国推理作家協会選出のイギリスの文学賞の中のインターナショナルダガー賞のことだそうで。これまでも横山秀夫とか伊坂幸太郎とか東野圭吾とかがノミネートされてたらしい。 てことでミステリというよりエンタメ小説の感が強い。女性の作者さんということで女性同士の絶妙な関係性がよき。

    1
    投稿日: 2025.09.13
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    日本人初ダガー賞翻訳部門受賞作。 暴力的な主人公がヤクザに見出されて親分の娘の警護をするメイン話と、逃避行している老いた男女のサブの話が交互の章で語られています。 バイオレンス小説と解説されていましたが、そこまで暴力的ではなかったです。 むしろグロさで言えば中山七里の猟奇物の方がひどいし、女性バイオレンスものなら桐野夏生も負けてないと思います。 ただ、思った以上に文章がきれいで読みやすいし、サブの話がメインの話をミスリードさせる展開はうまくて一気読みです。 外国語だとミスリードさせる名前の読みとかはどうなっているのかな?と思いました。 タイトルが鬼婆ではなくババヤガなのがおしゃれで主人公の出自も表していていいですね。

    1
    投稿日: 2025.09.13
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    完全に叙述トリックにやられたー!完全にあの2人は尚子の母と愛人だと思っていたぜ。すがすがしく騙されてもはや気持ちがいい。 「私たち、地獄に落ちるのね」「ばーか、ここがもう地獄だよ!」「綺麗だな、地獄って」という依子と尚子のやりとり、40年ぶりに笑顔で出会う依子と宇多川、宇多川に尚子の矢がぶっ刺さるシーンが特に好き。 映画化も漫画化もされそうな作品。

    45
    投稿日: 2025.09.12
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

     ひとは、ひょんなことがきっかけで日常生活の軌道が大きく変わり、思ってもみなかった人生を過ごすことがあります。 このお話は、そんな二人の女性の数奇な人生を描いた作品だと言えると思います。  このお話の主人公女性の一人は、新道依子(しんどう よりこ)さん、22歳です。 彼女は北海道出身で、祖父と祖母に育てられました。父母のことは知りません。  祖父は依子さんの身体を徹底的に鍛え、喧嘩(暴力)の仕方を厳しく仕込みました。祖母は夜な夜ないろいろな話を聞かせました。  この本のタイトルの「ババヤガ」とは「鬼婆」のことで、祖母に聞かされた話によるものです。  祖母の話によると、鬼婆は森の奥で鶏の足が生えている家に住んでいて、家には人間の骨が飾ってあります。鬼婆は人をつかまえて食べ、何でも知っていて、何でもお見通しで、魔法が使えて凄く強いのです。でもそんな鬼婆も、心のきれいな優しい娘が丁寧にお願いすると、宝物をくれたり仕事を助けてくれるというのです。依子さんは、このババヤガ(鬼婆)の話が好きでした。  依子さんは祖父母の死後、18歳で東京に出てきてアルバイトを掛け持ちしながら生活してきました。 ある夜、依子さんはバイト終わりに立ち寄った歌舞伎町で、揉め事に巻き込まれている所を喧嘩の腕を買われ、暴力団 内樹會の会長である内樹源造(ないき げんぞう)の邸宅に連れて来られます。内樹は、一人娘のボディガードを探しており、依子さんは無理やり雇われることになります。  このお話のもう一人の主人公女性は、その内樹源造の一人娘である尚子(読み方はあえて伏せますね)さんです。 尚子さんは、18歳の短大生です。お人形さんのような色白の美しい女の子です。暴力団の組長の娘に生まれ、邸宅にひっそりと暮らしています。母はとある事情により今は家にいません。こうした成り行きで、依子さんと尚子さんは出会うことになりました。  依子さんの仕事は、尚子お嬢様の運転手兼ボディガードで、「屋敷に住み込んで、毎日傷一つ付けずに学校に送り出し、傷一つ付けずに家に帰す」ことでした。 尚子さんの一日は単調ながら忙しいものでした。小鳥が食べるほどの量の朝食を摂り、短大に行き授業を受けて、終わればほぼ毎日何らかの習い事に行きます。英会話に料理に、、、でもその中でも尚子さんは和弓(弓道)が好きでした。尚子さんが様々な習い事をしているのは、結婚してから良妻となるためでした。尚子さんには婚約者がいて、それは父と懇意にしている暴力団 豊島興業組長の宇多川剛でした。  尚子さんはお嬢様の冷たい口調で依子さんにきつく当たり、二人の当初の関係は良いとは言えないものでしたが、お互いの境遇を知っていくにつれ、二人は少しずつほのかに分かりあうようになっていきます。二人の間柄が変化していくための、とある事件もあったのですが、本書でお楽しみください。  そしてさらに、そんな二人の人生を決定的に大きく変える重大な事件が起こります。それは。。。  バイオレンスな描写が取りざたされることが多いこの作品ですが、数奇な人生や人のアイデンティティについて描かれた作品と捉えて読んでいただくこともできるかと思います。  ストーリー展開や章構成の仕方、そして、なによりもある仕掛けが、あなたをアッと驚かせてくれることでしょう♡

    271
    投稿日: 2025.09.12
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ヤクザの世界に引きずりこまれる依子。 お嬢様のボディガード。 設定が少し古臭く感じた。 無慈悲で絶対的な暴力の世界は怖い。

    2
    投稿日: 2025.09.12
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    描写はエグいけど続きが気になって一気に読めた。 書き方の妙と構成の技に感心。 バイオレンスだけじゃないのが良い。 ダガー賞受賞だけど、ミステリーではない気がする。

    1
    投稿日: 2025.09.11
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    あっという間に読めました!バイオレンス・アクションと帯に書かれてる通り、暴力シーンは映像化したらちょっと見ていられないくらいエグいのですが、依子のような強い女性はカッコいいとさえ思ってしまいました。 組長の娘尚子と依子が親友のようにだんだんと心を縮めていくところはとてもあたたかい気持ちになります。

    18
    投稿日: 2025.09.11
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ダガー賞受賞おめでとうございます、結構よい! ムチャクチャ叙述のこと、好きだよ〜。 終わり方もカッコいいね!

    1
    投稿日: 2025.09.11
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    本から血の匂いがするほど、暴力的な描写が生々しい。女性に対する加害を描いている小説で、主人公が喧嘩最強の女性というのが新しい。主人公とヤクザの娘の、絶妙な距離感の関係が面白い。 ダガー賞の翻訳部門受賞作とのことだが、日本語じゃないと無理じゃないか?と思う表現があり、どう訳されたのか気になる。 喧嘩にルールは不要と武道を拒む主人公の名前が新道なのが面白い。

    8
    投稿日: 2025.09.11
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    英国推理作家協会賞(ダガー賞)翻訳部門受賞作。 スピード感あり、読みやすかった。 これほどまで…暴力がと思いはするが、それだけではないものを依子に感じた。 けっして嫌な気はしないのが不思議ですらある。 ヤクザに対してもえげつないほどの暴力を浴びせる新道依子が、組長の娘・内樹尚子の護衛兼運転手を押し付けられる。 大学と習い事で自由な時間が無いと思われる尚子が結婚するまで、護衛するのか…に思われたのだが、後半の展開が凄かった。 〈偽物だが偽物じゃない依子と尚子。 愛ではない。愛していないから憎みもしない。 憎んでいないから、一緒にいられる。 今日も、明日も、来年も、おそらく死ぬまで。〉

    91
    投稿日: 2025.09.10
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    英国推理作家協会賞(ダガー賞)受賞作。バイオレンスとシスターフッド…なのか?読みやすくて展開も早くてぐいぐい読んでしまった。夜は明けたのかな。

    3
    投稿日: 2025.09.10
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    自分にはハマらなかった。 ・世間の評価が高い注目作品でハードルを上げすぎていた点 ・ヤクザ物(暴力的な描写)がそこまで好きではない点、 ・ミステリーが好きだがミステリー要素を感じられなかった点 が理由だと思う。

    1
    投稿日: 2025.09.09
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    これが「シスターバイオレンス」の世界なのか! ババヤガ(鬼婆)という聞きなれない言葉や、強烈な色彩で迫力ある装画にまず目が止まった。 「おまえには天稟(てんぴん)がある」 祖父に鍛えられたカラダを持つ新道依子は、突然拉致されヤクザの組長の娘、尚子のボディガードに雇われるが…。 暴力ものは苦手だが、リズミカルな文章と息もつかせぬストーリー展開にぐいぐい惹き込まれて読んだ。 依子と尚子の関係の変化が上手く描かれていた。 仕掛けが見抜けなくてちょっと悔しい。 女をものとしてしか見ない男たちの中で、柳の存在が光っていたと思う。

    33
    投稿日: 2025.09.09
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    一気に読めます。ちょっとしたプロットの仕掛けと甘さを排した文章はよかった一方で、いずれの登場人物の描き方もステレオタイプで感情移入できず。シスターフッドものとしても目新しさはなく、ハードな題材の割に読後に残るものが少なく感じました。単に期待値が高すぎたのかも。

    2
    投稿日: 2025.09.09
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    新道依子のような圧倒的な強さと正しい優しさを兼ね備えた強かな女性はとても魅力的で、序盤から楽しかった。ただ美しいシスターフッドではなく、暴力が大いに絡んで次々と展開していくシスターバイオレンスアクションは最高だった。権威ある文学賞から想像していた話とはだいぶ違ったが、とても好みの作品を読めて嬉しい。 帯を外した表紙にも惹かれる。

    13
    投稿日: 2025.09.09
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    男勝りの女主人公がやくざに絡まれた結果、組長の娘のボディーガードになる話。叙述トリック?みたいな要素もあって後半驚く箇所がある。 ストーリーは十分に面白そうな印象だし、実際そこそこ面白かった。女主人公の魅力がなぁ~もう少し掘り下げられるとな~愛着も沸いてもっと面白くなったと思うんだけど。 なんか粗雑な女だな、って感じで終わってしまった。 以下ネタバレ 組長の奥さんは組の若い男と逃げた。組長は執着して長年奥さん達を追っているが見つからず。娘に異常な執着&愛。 ストーリーの合間に逃げた奥さんたちっぽい話が挟まってていつか捕まるのだろうか?と思わせるが、実は将来の女主人公と組長の娘の話。 組長を殺して二人で身分を隠して長年暮らしていたって話。 最後は組長の娘の婚約者だった男が二人を見つけて襲撃するが撃退して終わり、って感じだったかな。 結局組長奥さんと若い男がどうなったかは最後まで分からず。まぁ重要なところではないが。

    2
    投稿日: 2025.09.09
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    タガー賞受賞で知った作品でぜひ読みたいと思っていた。内容を一言で言うとしたらヤクザもの。最近の傾向と比べると昭和のヤグザものの匂いがぷんぷんする作品だったが、穏やかに進んでいかないストーリーの展開が自分好みだった。

    16
    投稿日: 2025.09.09
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    展開が早く一気に読み終わってしまった。 暴力の描写が苦手なので避けていた作品だが、手に取ってよかった(暴力シーンは薄目で読み飛ばしたが)

    2
    投稿日: 2025.09.08
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    面白くて一気読み! 極道で、お嬢さんと護衛という組み合わせの時点でもう最高。全て読み終わって、p70を読み返すとヤバいです。 歯を食いしばるような展開、「えっ!?」と声が出てしまうようなトリック……割と短い小説なのに、こんなに脳汁ドバドバ出るなんて!欲を言えばもっと依子と尚子が心を通わせていくところを見たかったけど、このテンポ感がまた良いのかも。王谷さんの「完璧じゃない、あたしたち」も絶対読む。

    3
    投稿日: 2025.09.08
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    テスカトリポカ以来の暴力本になりました。 バイオレンスアクションを読むのはあまり好きではないですが、暴力だけを魅せたかったわけではなかったので、最後まで楽しむことが出来ました。  読み始めは、暴力団の話しが続くので、今どきそんな古臭いヤクザなかなかないなぁと思っていたら、かなり時間軸のカラクリがあり、数十年前の話しからはじまっていたようです。 なんといっても新道依子と内樹尚子の人物像です。大概、暴力団は男性社会で男性目線になりがちですが、女性2人の目線となると今まで感じたことのない、性差別、男尊女卑の意味が血の匂い、ヌルヌルとした脂汗、身体通して伝わってきます。 タイトルはスラブ民族のバーバヤーガからきているようで、新道依子の人物像もそうですが、お婆ちゃんの話しで出てくる鬼婆もそのタイトルの意味だったのかなぁと思いました。 映画化にしてしまうとR指定になると思いますが、ぜひ観てみたいですね。

    14
    投稿日: 2025.09.08
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    今夜はこの本を読もう♪と 寝室に持ち込み、数ページ読んだら なにこれ?! 面白すぎて、止まらない! ダメだ、明日仕事なのに・・・と思いつつ 夜中まで、一気読み! めっぽうけんかに強い新道頼子は ひょんなことから、暴力団組長の一人娘の 運転手兼ボディーガードを任されるが・・・ 痛い、怖い、寒気がする、グロテスク・・・ なんだかもう、いろんな感情が湧き出てきてヤバすぎる・・・ なのに、読み終わった後には 思いっきり拍手をしたくなるような映画を見た感じで 大きな感嘆のため息がもれました

    8
    投稿日: 2025.09.08
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

     面白かった。  下品な表現が多々あった。日常の中で垣間見る暴力や偏見が全くフィルターを通さずに出ていた。「大なり小なり人間には暴力性が備わっている」という普遍な事実が書かれていた。  しかし、人間性とは暴力だけではない。そうでなければ主人公があんなに暴力を楽しみながら、優しくいられるはずがない。護衛対象のことで悩むはずもない。この主人公の2面性はこの作品における肝だ。  なぜなら、この作品は暴力そのものの表出ではなく、暴力性を孕む人間性の表出だからだ。暴力だけならサイコキラーを書けばいい。ただし、多くの読者から理解を得られない。優しすぎる人間を書くと理解は得られるものの、まるで絵空事のようで現実の人とはほど遠い。この作品の主人公はそのどちらでもない。あくまで読者からの共感を得られるようなギリギリのところを突いている。まあ、大分好戦的すぎるきらいがあるけど。  とにかく、まだまだ私たちは暴力を切り離せないし、優しさだけで生きていけないだろう。『ババヤガの夜』はハイレベルに人間性の現在地を書き出し、それを我々に再認識させる作品だ。オススメです。

    2
    投稿日: 2025.09.08
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    帯でも触れられているが「ババヤガ」というタイトルにある言葉と、犬とボールペンが彼のことを想起させる。 ミステリと言われてはいるが、バイオレンスアクションの色味が強い。文学的であることは間違いない。 短くサクッと読める短さとは裏腹に、読後の満足感が強く、もう少し世界観に浸っていたいと感じなくもないが、そこまでの暴力的な描写とは打って変わって素敵な終わり方で良いなと。 ミステリ的な側面で言うと、名前を使った叙述トリックにはまんまと騙されてしまったな。読み進めていくうちに頭に浮かぶことが悉く外れる、想像の外を見せてくれる作品はやはり楽しい。 ダガー賞を受賞したということだけど、このトリックを英訳した文章でどう表現したのか気になるところ。 依子も尚子もキャラクターとして好きなデザイン。柳もなかなかに好み。そういう意味ではもう少しやり取りが見たかったのかもしれない。 一気に読んでしまった。面白かった。

    1
    投稿日: 2025.09.08
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このページ量でこの満足感、すごい。 ヤクザ世界がメインだけど、昔のヤクザというかチンピラな感じがしてシリアス感は欠けていたかも。そんな世界で生きているお嬢様と心を交わし、一緒に生き抜く姿がよかった。 ただ後半のどんでん返し(?)をもっと濃くして欲しかった。

    1
    投稿日: 2025.09.07
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    20250907050 圧倒的な疾走感と暴力。ヒトは決められたようには生きられないのか、決められたままに生きるのか。

    1
    投稿日: 2025.09.07
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    後半駆け足気味だったのがちょっと残念。もう少し読みたかった 特に依子の戦闘シーンはもっとあってもよかった

    1
    投稿日: 2025.09.07
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    時代の潮流なのか。 最近手に取る話題作品がジャンルと問わずジェンダーに絡むテーマを帯びている。 本作はエンタメ性の高さが、暴力描写の肉体的弾力によって実装される。依子と尚子の形容し難い関係紡いでいく、宿命的な環境とどう対立して乗り越えていくのか。 その方法はやはり暴力を選択する、否が応でも。しかし、そこには自身の本能に従い自ら選び取っている潔さが香る。外部から押し付けられる期待よりも自分の内から湧き出る衝動に従う二人は、とてもかっこいい。 ミーハーな私は受賞作に弱い。本作の内包するテーマの多様性(ジェンダ、親ガチャ、移民第二世代)は現代社会が抱えるを映し出している。今の世相が本作を評価するというのは首肯。扱うテーマに比べて純文学のように肩ひじ張らないのが魅力的である。今の時代を代表する作品として、読み継がれていってほしい。

    3
    投稿日: 2025.09.07
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    構成も話も面白く、短いのに読み応えがあった 謎の夫婦の話が挟まれて、尚子の母と思わせるようなミスリードはまんまとハマったな 暴力描写はすごく細かく描かれるのでうっとなるところはあったけど、最後の二人の関係性は綺麗で良かった 過去が気になる登場人物たくさんいるのでどっかで書いて欲しい

    1
    投稿日: 2025.09.06
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    日本人作家初として、英国推理作家協会主催のダガー賞を受賞したとして話題になった作品です。著者は王谷晶さん。 新道依子は腕っぷしが強く、暴力に快楽を感じる衝動を持つ若い女。絡まれたことをきっかけに、新宿でヤグザたちと大乱闘を演じ、捉えられて関東有数の暴力団「内樹會」の組長の屋敷に連れて来られる。そして、ヤクザの若頭柳組長の色眼鏡にかない、会長の一人娘・内樹尚子の護衛を強制的に任される。 尚子は外面は“お嬢様”だが家の中では抑圧され、父や周囲の男たちからの支配や性的な暴力の影響を抱えていた。依子と尚子は初めは噛み合わないが、やがて少しづつ仲良くなっていく。 しかし、事件が起こり、2人は暴力の渦に巻き込まれていく… 文庫本としては薄いのもあり、一気に読んでしまいます。話として圧倒的な展開力があり、読んでしまいます。面白いです。ただあまりにも暴力的なシーンや残酷な登場人物が多く、ノワール好きな私でも少し疲れることも。 主人公の依子と尚子の2人の闘争と逃走には心を打たれます。「ばーか、ここがもう地獄だよ!」 覚悟を決めて読め!

    3
    投稿日: 2025.09.06
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    すっごい好きです。 アクション映画も好きな私としてはどストライク。 2つの物語が繋がった時は、驚きと同時に2人が老いるまで一緒に生きることができたことを嬉しく感じた。 40年間をもう少し覗きたい気持ちもあるけど、それは2人にしかわからない世界だからこそ、この物語は200ページ程に収まっているんだと思った。 新道と尚子は愛し合ってないが、確かにそこに愛はあった。 尚子の名前の読み方を最後の最後で明かすのはちょっとずるいですよ、王谷先生。笑 ずっとなおこって呼んでたのは私だけじゃないはず。

    1
    投稿日: 2025.09.06
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    文庫として200ページないため、あっという間に読了しました。話の展開のスピード感が良い部分でもありますが、もう少し逃避行が描かれても面白そうだとも感じました。 「そうゆう人間は、たぶん、闘って死ぬしかない。」

    16
    投稿日: 2025.09.06
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    帯にあれこれネタバレになりそうな事書かないでいてくれてありがとう!と出版社に感謝しました。すごいかっこいい映画、帯にもありましたがキルビル、ジョン・ウィックを見た後のような、でもそれ以外の感情も(書きませんが)、いろんな感情が渦巻いて胸がいっぱいです。号泣です。 映画化は無理でしょうねー。映画でも見たいけど。

    6
    投稿日: 2025.09.06
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    依子や尚子、柳のキャラクターが良かったです。途中の展開にもビックリしました。 短い小説だったので、もっと長く読んでいたいと思わされました。

    6
    投稿日: 2025.09.06
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    日本人初のダガー賞受賞 このポップに惹かれて購入。表紙だけ見るとアクション物と判断して手に取ることはなかったと思う。書店員さんのポップってやっぱり偉大。 暴力や痛い描写が苦手なので読むのに少しエネルギーがいりましたが、半分を過ぎたあたりから続きが気になり、一気に読み終えてしまいました。予想もしなかった仕掛けもあって、前情報なしで読む本の面白さを改めて感じました。 読みやすい文章で登場人物のイメージがしやすく、ストーリーもとても面白かったです。

    4
    投稿日: 2025.09.06
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    圧倒的なバイオレンス。暴力やグロさも気にならずにスイスイ読める。暴力と血に飢えた女性が主人公で、突然ヤクザの組長の娘のボデーガードを任されることになる。中盤以降の展開につながる伏線もちゃんと残されているし展開もテンポよい。言葉で表すことのできない絆のようなものでつながれた二人。最後は少し切なかったな。ダガー賞受賞作ということでさすがに面白かった。

    2
    投稿日: 2025.09.06
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ヤクザ関連のバイオレンス描写が中心で、特に前半は暴力的な描写が多い。その分テンポ良く進んでは行くが、主人公の環境が落ち着いたところで若干まったり、そしてまた物語が動き出すと、大きな仕掛けに時が止まった。え?何が?と思いながら読んでいくと、前半で不自然に感じていた点も理解出来てくる……若干不自然か?この類の話にこんな仕掛けをぶっ込んでくるのは凄いな。でも、時の流れと物語の締め方に物悲しくなる。

    22
    投稿日: 2025.09.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    残虐すぎる暴力描写に、途中何度も本を閉じたくなったが、それだけで終わる作品が世界で高い評価を受けるはずがないと信じて読み進めた。半分を超えたくらいから、ストーリー展開の速さと、登場人物たちの生き様から目が離せなくなって一気読み。すごく力のある作品だった。あまりに過激な残虐描写で☆は四つにしましたが、読み始めたならぜひがんばって最後まで読んでほしい、裏切られませんから。むしろ、途中でやめると不快感と恐怖感は増幅します。

    10
    投稿日: 2025.09.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    「この業界はな、こと信用においては聖母マリアさまより泥棒乞食でも男の方が上なんだよ」 暴力を趣味とする女、新道依子が暴力団・内樹會会長の一人娘、尚子の運転手兼護衛を任されることで物語は颯爽と動き始める。 舞台がヤクザの世界ということもあり、男尊女卑の気配が強い作品。「女だから」という呪いに、美しい尚子だけではなく男顔負けの腕っ節を持つ新道までもが晒される。血生臭さにばかり目がいくが、そういう現代社会への問題提起にもなっている作品だと思う。 暴力の描写は苛烈で爽快。つい痛みを想像してしまった。さらっと読める上に読後の満足度も高い。おもしろかった。

    11
    投稿日: 2025.09.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ダガー賞受賞作とあり、気になって読んでみました。バイオレンスアクション。戦いのシーンが血生臭すぎて、苦手な感じであまりハマらず。ヤクザの娘とボディガードにスカウトされた依子のお話。友情でも愛情でもないが、深く繋がりあった二人。血に塗れた世界から逃れ、強く生きる事はできるのか?

    25
    投稿日: 2025.09.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    良質なノワール。ちょっと馳星周っぽい。 意外な展開。 心理描写が少なく、ところどころで唐突感が拭えない。 意図的なミスリードによりちょっと詰まり、せっかくのスピード感が殺される。 ダガー賞翻訳部門の受賞作という売り文句につられて読んだが、翻訳が気になる表現がちょいちょいある。ちゃんと空気感やニュアンスが伝わるのだろうか?

    7
    投稿日: 2025.09.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    血!拳!バイオレンス!活字を読むそばから映像が頭に浮かぶ。映画を一本見終わったような読後感。「女にとっては別に、ヤクザの世界に限った話では無い普遍的なもの」という解説にぞくっとした。確かにそうだよね。そうでない世界がきますように

    5
    投稿日: 2025.09.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    こんなにもバイオレンス・アクションな小説を読むのは久しぶり。 読み始めたらあっという間に読了。 面白い!と明るく言う話ではないけれど高速で読み終わる。 そのくらい瞬間的な出来事だけどずしりと残る。 ネタバレはしたくないけれど、 この愛ではないと言う2人の関係を、それでは何と呼ぶのだろうと今もまだ考えている。

    5
    投稿日: 2025.09.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    イギリスで賞を取ったと聞いて、読んでみた。 面白く、読み進むスピードは早く、自分の好みの話ではあったけど、B級映画のシナリオみたいにも感じて、よくこれが海外で賞を取れたな! というのが正直な感想。

    2
    投稿日: 2025.09.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    面白かったー。面白くてページを読む手が止まらず(本当にそんなことがあるのかと…!)、 2時間くらいで読んでしまった。 予定調和の無さがもはや爽快! 一番強いのが女性。とある、男性の痛めつけ方が容赦ないとか。。etc 予定調和な話だと、強いのは男性で、ピンチには強い男性に守ってもらう、そして…❣️だと思うけど、そうはならないんだよね。。最初から主人公の女性が最強。恋にはならないし、それを求めてない。 私は、女性として同性の女性が、魔法とかファンタジーでなく現実社会の設定で、身体的に超強くて男性を圧倒するこの物語を読んで、肯定感が上がった気がする。それは男性が自分と同性の超強い男性の話を読む感覚と同じなのかなと思う。自分と同じ性が強い話って肯定感高まるね。 男性はどう受け取るのかな。

    5
    投稿日: 2025.09.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    読書に苦手意識しかないアラサーOLですが、別の70代の男性2人からこの本が気になっていると。"おじい界隈"では人気なのか!?と気になり購入。通勤時間に休憩中に帰宅後も一気読みしてほぼ一日で読破。分からない漢字や語句があろうと、描写がグロくて怖かろうとそんなのどうでも良いくらいサクサク読めました。展開が早くて面白い!私の読書週間のスタートの一冊です。習慣になりますように。

    7
    投稿日: 2025.09.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    プロローグ 闇、そして闇 何処までも、闇が広がり、かつ無音の世界、、、 1000億年の眠りから目覚めた古のババヤガは、 寝心地が悪かったのか、怒りにより、 杖のようなもので地面を打った! その振動により地響きが沸き起こり、音が生まれた その音によって生まれた大鳥が怒りによって その大きな翼を広げて大空に舞い上がる 上昇が熱を発生し、やがて大鳥は炎に包まれた あまりの熱さにより、一粒の涙がこぼれ落ちた やがて、大鳥は鳳となって、天まで舞い上がり 太陽となった 鳳が落とした一粒の涙は、地上に落ちるやいなや 大量の水を生み、やがて海となった 更に数億年後、人が生まれ そのDNAには、怒りと生が植え付けられたいた! 本章 『ババヤガの夜』★5 こっとんさん一押し! おびさん、珍しく旬な1冊! この方は、ある意味、箍(タガ)が外れているのではないか!? でなきゃ、ダガー(箍)賞は獲れない!? 暴力、性、差別用語、禁止用語連発である! 昭和感香るハードボイルド作品を久しぶりに この令和に体現した! この時代錯誤感、勇気溢れた作品と云いたい! エピローグ 人には、暴力と生が残り、やがて暴力と性に 移り変わった 何故、人は、暴力と性がつきまとうのか!? いまだに、暴力は戦争という名の暴力に、そして性は性犯罪として世にはびこっている 暴力や性犯罪に興じる男女たち そう言った人間の持っている負の性(さが)を 絶妙に切り取ったと言えるのが、この本作だ! 若干200頁のこの少作に人間が持っている 負の全てが詰まっていると言ったら過言なのか!? 是非、手に取って確かめて欲しい この悲しき性を!!!                      完 ※因みにババヤガとは、スラブ民話に登場する魔女 だそうです

    68
    投稿日: 2025.09.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    星3.5 タガー賞を受賞し話題になっていたので手に取る。事前に仕入れた情報で読者登場人物共に暴力に身を浸しそれを楽しむ小説かと思いきや、意外にもお嬢様(ヤクザの娘だけど)が登場しほっこりな展開も。新道は暴力に身を委ねたい衝動はありつつも尚子(ヤクザのお嬢様)と出会って以降はそういうこともなく、ついぞや長年追い回された宇多川の命さえ奪わずに終幕。新道の暴力シーンを期待していただけに少々残念だったが全体として楽しめた。 ・雑感 タガー賞をなんかよく分からないけどすごい賞と捉えていたのだが、それを上回るほどの面白さは無かった。物語のキーとなる柳の掘り下げは無いし新道の暴力シーンも無かった。ただそれが読みやすさになっている面はあると思う。血なまぐさい内容の割にかなりサクサク読めた。

    2
    投稿日: 2025.09.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    暴力の描写がこれでもかと言うくらい緻密。 行間に細かい血飛沫を感じて身動ぎしてしまう。 圧倒的にスピード感がある本だと思う。 先の展開に気づいた時にはもう読了寸前、 最後までそのスピードを保ったまま、楽しめた。 深町さんの解説にもあるがありがちな男尊女卑をここまで私たちの現実から離れた場所で、高解像度で描き、その違和感がないこと、それが途方もなく素晴らしいと感じた。

    4
    投稿日: 2025.09.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

     魔女は運命を羽織り、天命を捩じ伏せる。  そんな作品。タイトルになっているババヤガはロシア民話に登場する魔女だ。依子の祖母が語る鬼婆とも特徴が一致する。ババヤガと鬼婆は、ただ悪いだけの魔女ではない。主人公側で良い役でも登場する。これは名前や役柄がその人物の本質ではないということだ。本作で依子たちは名前を変え、関係を変え、生き方も変えながら天命から逃れようと足掻く。しかし、その役を羽織る行為で依子たちは本質を損なうことはなかった。依子の暴力の本能はなくなることはなく、尚子は役を羽織る行為自体が己だと、何度も役を羽織った。重要なのは、出発地点と結果だ。役を羽織り、型にハマった行為だったとしても実際に何を、何故実行したのかが重要なのだ。  本作は、登場人物たちの名前の読み方を意図的に伏せられていると感じる。前節でも述べたが、本作は役を羽織り、己の本質を隠しながら生きる人物が登場する。名前の読みを伏せているのは、登場人物たちの本質を暴露させないためではないだろうか。新道依子は暴力こそが本質であり、序盤で名前が明かされる。柳は海外の血が入っており、己の本質とかけ離れた行為を行なっていたと吐露し、名前が明かされた。内樹尚子は役を羽織ったまま宇多川へ反抗し、名前が明かされた。以上から名前の読み方を明かした人物は本質を明かし、明かされない人物は決して相容れない関係となることを示しているのではないだろうか。

    5
    投稿日: 2025.09.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    日本人作家初のダガー賞受賞作という帯に惹かれ購入。強烈な戦闘力を持つ主人公がヤクザの娘のボディーガードになるというありがちな設定ながら、怒涛の展開で一気読み。190ページという決して長くないボリュームを感じさせない濃厚なストーリー。叙述ミステリー要素もあるが、決して嫌味ではなく、物語の重要なスパイスになっている。読みながら深町秋生を彷彿とさせられたが、後書きがそのご本人なのきは笑った。

    24
    投稿日: 2025.09.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    テンポがよく、一気に読むことが出来ました。言葉のチョイスが心地よく、内容はスリリング。唸りながら読みました。読み終わって、カー,くぅ〜ともんどりうって、しばらくしてちょっぴりセンチになり、文字通り心を揺さぶらえた作品です。ご馳走様でした。

    2
    投稿日: 2025.09.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

     主人公の新道依子は女性だが体が大きくとにかく腕っぷしが強い。自分から喧嘩は売らないが、売られたら倍にして返す。街を歩いてて尻を触られれば腕捻り上げて投げ飛ばすし、(無理やり働かされることになった)ヤクザの屋敷で嫌がらせをされれば喉首掴んで持ち上げて失禁させる。もう、これが痛快。だって、完全に、喧嘩売ってる方が悪いんだもの。  依子は思う。 【ヤクザの世界は、誰かが誰かの力に怯えてひれ伏すことで成り立っている。連中らは面子だとか俠気だとか大層なことを言うが、それは上っ面だ。相手を怯えさせるための暴力があの屋敷の中に霧のように漂っている。昔郷里で感じた、純粋な力と力のぶつかりあいはあそこにはない。力が、せせこましい処世と交渉の道具に成り下がっている。】 ※この辺から個人的思い入れの強いレビューになるのでウザ注意  依子の持つ「力」と、ヤクザの世界にある「暴力」の違いがここに表れている。暴力の構造は、ヤクザの世界に限らずこの世のどこにでもある。男女でも、親子でも、雇用する側とされる側の関係でも、金を払う側と貰う側の関係でも、官と民でも、本来は対等であるべきなのに「親だから」とか「客だから」等の理由で「こちらのほうが強い」と縦の関係で捉えてしまうと、そこに暴力(もちろん、言葉や態度などの暴力を含む)が生まれる。男女の話になると私は女だからつい「虐げられてきた側」みたいな気になってしまうが、どんな関係でも暴力は起こり得るし、誰だって暴力を振るう側になり得る。状況によっては、「被害者だから強い」という暴力もある。  依子は、仮にヤクザの暴力によって殺される最期しかないとしても、それまでの間自分の力を振るって生きていくこともできる。そうすれば最低限自分のことは守れるが、それは、この世界において構造的に搾取される人を見捨てる生き方になってしまう。依子はある人を思った時、それを良しとしなかった。先の見通しなんてないが、「こここそが地獄」と言い切った。この先の展開もとにかくかっこいい。  タイトルのババヤガは、スラブ圏の民話に出てくる魔女の名前だそうだ。依子の祖母が昔語って聞かせた物語に出てくる鬼婆のことだ。依子は小さい頃から、鬼婆に助けられる「心のきれいな娘」ではなく「鬼婆」の方になりたかった。鬼婆は善でも悪でもない。いや、状況や見方によって善にも悪にもなり得る。善悪や勝ち負けの絶対的な基準などないのだ。終章の依子の言葉には、「なりたかった鬼婆になるためには、一人ではだめだったのだ」という気付きも込められているようで、……さて、私はこれからどうしよう?と、揺さぶられる読書だった。

    32
    投稿日: 2025.09.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    とにかくぶっ飛んでいて終始血なまぐささがある。 力で制する世界だからこそ、女というのがいかに立場が弱く、明らかに段が異なるというか、土俵が違う、いやそもそも土俵に立たせてすら貰えない。 腕っぷしが無ければ男であってもほぼ通用しないと言っても過言では無い容赦ない世界だからこそ、そこに女が身体ひとつで飛び込んでなぎ倒していくのを見るとスッキリするものがある。 女性二人を描いているけども、性愛ものではないし、運命共同体、という感じがする。 女性要素(結婚・出産・子供系)が無いのが、いい。(このあたりの超マイナスに振り切ったバイオレンスシーンはあります) (感想を)書きながら、確かに少年漫画を読んでいる感覚に圧倒的に近い!と思った。ジャンプではない気がするけど。 第一優先に「バトル・サバイブ」がきていて、それらを主軸に物語が進んでいくところがいい。それを女性がやってもいいんだというところがいい。 映像的なアクションシーンがとにかく派手でわくわくする。 ミステリ要素もしっかりしている。時間軸・人物視点で展開されていて真相に近づいた時に衝撃だった。見せ方が面白い。騙されました。 最後までバイオレンスで鋭さが衰えなかったところ好きでした。終わり方は意見分かれそうだけど私は好き。 クセが強めだと言われていたからドキドキしながら読んだけど、凄く読みやすくて、アクションシーンとミステリのバランスが良くて停滞せずに一気読みできる。

    2
    投稿日: 2025.09.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    2025年に日本人作家で初めてとなる英国のダガー賞を受賞したことで話題となった作品。 関東最大規模の暴力団『興津組』の直参組織『内樹會』に連れて来られた赤毛長髪のがっしりした女、新道依子。部屋住みの若い衆をバッタバッタと素手で倒し、若頭補佐の柳がある仕事を頼むためにスカウトしてきたのだった。 バイオレンスアクションということだが、暴れる依子の動きのキレがよく、血と暴力にまみれたストーリーなのにどこか妙なユーモラスを感じる。特に尚子が登場して以降の、依子と尚子のまったく相容れない性格同士の会話が、緊張感を緩和してくれる。 作品の中で、名前の読みにちょっとした仕組みがあるのだが、英語版を読んでみたところ、そこは特に捻らず何の注釈もなくアルファベット表記されているだけだった。まぁ、逆に言えばピエールとピーターとピエトロは語源が一緒で新約聖書のペトロに由来するんだよ、なんてことがいちいち書かれていたらテンポもなにもあったものじゃないか、とも思う。つくづく、ルビというのは日本語の表現の幅を広げているなぁと感じ入った次第。 また、ババヤガというのは、スラヴ系民話などで登場する魔女のことで、依子の祖母が語った物語に登場するように、鳥の足の付いた動く家に住んでいるらしい。『グイン・サーガ』の外伝1巻『七人の魔道師』にもババヤガという魔女が登場するが、まったく関係はない。 そんなわけで。バイオレンスアクションが苦手という人にも、騙されたと思って読んで欲しい作品である。バイオレンスなのになぜミステリー系の賞を取ったのだろう、というのは読めばわかる。そういうものなのである。

    2
    投稿日: 2025.09.02
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    いやはや、強烈。一気読み ネタバレなしで読んでほしい。面白かったのだがグロすぎて星一つ減らした。 ストーリー展開が素晴らしくグイグイ引き込まれるが、うわぁ〜ひえ〜な描写もあり、読むのが辛い… バーバヤーガ、というスラブ民話に登場する魔女、妖婆が話の伏線 混血というのも、そっち系なのか? 祖父母に育てられ力の限り強く鍛錬され続けた依子、急遽ボディガードをするお嬢様尚子さん、なおこかとおもったら… 拾ってこられた先は関東有数規模の暴力団内樹曾、お嬢様のフィアンセ宇多川…コイツがとてつもなく気持ち悪い(泣 バイオレンスアクション、とのこと、心に余裕がある時に読んでほしい。怖すぎる…

    5
    投稿日: 2025.09.02
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    ババヤガの夜、読むのが止まらずすぐ読み終わってしまった。ストーリーの勢いがすごい、おもしろすぎた。 暴力とかヤクザって聞いてたけど、個人的には、"最高の女性バディもの"としたい(読んでない人にこう表現したらネタバレぽいからみんなヤクザとか暴力とかを前面に出してくれてただけかな?)。 ヤクザ、暴力、男尊女卑卑が激しいヤクザの世界とこの世一般、性暴力、人種差別(賢いのに良い仕事に就けなかったのは"チョン"だと言われちまうからと話していた柳)、関係性へのバイアス… 120ページくらいまでもおもしろいおもしろいって言って読んだけど、「たぶんもっと何か来る…たのしみたのしみどうなるの…?!」と思った自分、読書に慣れてきましたね!? VI (140ページ)からの話の狂い方、最高だった。「え、登場人物急にわからなくなったんだけど、これ全部誰?」ってその章をざっと読み直させられ、そこからの脅威の逃亡劇、2人がなんの名前もしっくりこないけど(だからこそ、でもあるかも)運命を共にする関係性をやり遂げていくさま、圧巻だった。 P160の新道が柳を倒し、柳が「・・・・・・一緒に来るか。女房と妹ってことにすりゃ、なんとかごまかして連れていける」と言った後の、 「新道は一瞬だけ考えて、それから頭を横に振った。 『誰かの何かとして生きるのは、無理だ』」 のシーンがすごく好き。名台詞。「誰かの何かとして生きるのは、無理だ」。かっこいいから何回でも書いちゃう。誰に所有されることもなく自分のことを襲う人は自分で倒し自分の生活を自分の手で築く新道(&のちの尚子)を思わせる。かっこいい、ほんとうにかっこいい。それまで、"虐げられ、男の性欲の溜まった時には捌け口にされる女たち"として描かれていたから、ここからの覚悟した新道と尚子が一層かっこよかった。 あとこのシーンで、柳がナイフ?の鞘を抜かなかったこと。すごく印象的だった。新道をなぜ殺そうとしなかったのか。彼なりの愛というか新道と尚子への連帯みたいなものを感じた。 「この家に住んでると、ただ足音に敏感になるだけ」の意味がわかった時の気持ち悪さ。じじいの容姿がありありと浮かんでたせいで(王谷さんの手腕)、余計に。 ミステリーというかこんな暴力が出てくるものを読んだことなかったけど、文字で読んでるのに、目で見たのかなってくらい暴力がそのまま伝わって来てすごかった。はらはらしすぎて気づいたら手を胸の前に持ってきてた…映画化されても見れないと思う。 なんで新道の祖父がこんなにこの人を強く鍛え上げたのか。なんで新道は親を見たことがないのか。そのあたりはわからないままだった。 新道と尚子が今後どう暮らせるのかもわからない終わりだったけど、2人が鬼婆のように山の上でのんびり暮らせるように願う。 ほんとうにおもしろかった。 他の人の感想見て思ったけど、この話はミステリーなのかな?謎を解いていくみたいなことはなくて、私が思ってるミステリーではなかったな。ミステリーってジャンルは私が知るより幅が広いんだな、おもしろい。

    3
    投稿日: 2025.09.01
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    主人公依子は暴力、ケンカ大好き、ある日をきっかけに尚子の護衛を頼まれる。生々しさ、グロさはあるけど、何故か最後らへんになってどうなっていくか気になり、一気に読み進めてしまいました。 好き嫌いはあると思うけど、痛快求めるのであればおすすめです。

    8
    投稿日: 2025.09.01
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ずっと気になっていてやっと読めました。 シスターフッドものは初めて読んだのですが、 最初はお互いに嫌煙するなかでも、一緒にいるうちにお互いを必要とし 支え合う姿に感動しました。 映画化してほしいくらい面白かったです。

    3
    投稿日: 2025.09.01
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    暴力を扱った内容というダガー賞の報道で、個人的には好きになれないだろうと思いつつ図書館で借り出したが、一晩一気読み。これぞ著者の手腕としか言いようがない。 後半、一気に話の筋がひっくり”返る面白さはもちろんだが、”暴力の周辺”で生きるまったく性格の異なる女性の、説明のつかない共感と、人情という古い言葉では括れないまっすぐな視点が、ある意味爽快だった。

    4
    投稿日: 2025.09.01
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    キョーレツ!途方も無くバイオレント!R+18指定! 英国の『ダガー賞(翻訳部門)』を獲った作品ですが、ぶっ飛んでます。映画化不可能です。でも、ぐぐ〜っと惹きつけられる不思議な作品です。 予想できない見事なツイストもあって、満足度は「はなまる」。 映画『孤狼の血 LEVEL2』(柚月裕子原作)で鈴木亮平が演じたヤクザの上林には、相当ビビりましたが、本作品に出てくる内樹と宇多川の狂気もハンパなく、読んでいて恐ろしくなりました。 ただ、ヤクザの世界のお話のため、目を覆いたくなるような描写(漆塗りの箱の中身とか)が多く、「もー、ムリ」って投げ出しちゃう読者も少なからずいるとは思います。

    7
    投稿日: 2025.08.31
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    冒頭から暴力場面なのが辛い。主人公の趣味が喧嘩だから仕方ないけど辛い。(過去にも、暴力表現が苦手で、途中で投げ出した小説がある。)主人公は喧嘩の腕を買われて、ヤクザのお嬢様のボディガードをする羽目になる。ヤクザの世界の理不尽さとかすぐに出てくる暴力とか、色々問題あるけど、でも面白かった。

    7
    投稿日: 2025.08.31
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    シンプルに面白い。 どんどん読み進められる。 描写が目に浮かぶ。 そして、驚きの構成。 読んでいてひたすらに楽しい。

    7
    投稿日: 2025.08.31
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    1日で一気に読了。 女性が主人公でありつつ、猛烈な暴力のエネルギーを発している様子、あまり読んだことのない感覚でおもしろい。そして、終わり方が素晴らしい。 叙述トリック的などんでん返しもなかなか驚かされた。「え? まさか? あ、そうなの??」という感じで、混乱させられる感じが良い。 柳ももうちょっと後の方まで活躍してくれたらよかったかなあという気もしたが、そこはしょうがないかなあ。 ラストの、鬼婆=ババヤガになるために生まれてきたんだ、という結びは、愛でも友情でもなく、普通の関係を超えた、この二人だからこその結びつき、という感じでよかった。 ラストまでババっと場面転換する感じで、いきなり終わったような感じもあって、もう少しその日々を描写して欲しかった気もしたが、逆にそうではなく一気に終わるからこそ、スピード感がありながら余韻の残るエンディングだったのかもしれないなあ。

    3
    投稿日: 2025.08.31
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    ババヤガの夜(王谷晶 (著))読了。 以下ネタバレ含みます。 お嬢さん、十八かそこらで、なんでそんなに悲しく笑う――。 暴力を唯一の趣味とする新道依子は、腕を買われ暴力団会長の一人娘を護衛することに。 拳の咆哮轟くシスターハードボイルド! 最近書店に行くと話題作ばかり気になります。 これも少し前から気になっていました。 帯にも「日本人作家初!ダガー賞受賞作」とか書いてありまして。 内容はハードボイルドであってミステリーでもある。 主人公の新道依子は体がでかくて暴力ではだれにも負けない。 やくざが相手でも敵とみなしたら叩きのめす。 そんな依子が腕を買われてやくざにスカウトされて暴力団会長の一人娘の尚子をボディーガードするはめになります。 一見お嬢様風の尚子も訳ありで、話はとんでもない方向に飛んでいきます。 ページ数も少ないのですが、あっという間に読めてしまいました。 脳みそををガツンとやられた感じです。 こんなヒリヒリする小説があったらまた読んでみたいと思います。

    3
    投稿日: 2025.08.31
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    途中、体調が万全でなかったのもあって、描写に気持ち悪くなってしまいました。リアルに想像してしまった。 王谷さんの本は2冊ぐらい読んでいて、少しワイルドな感じが好きでしたが、今回はものすごくハードでページをめくる手が止まらず、一息に読めました。 あれ?と思わせてからの種明かしはなるほど、という感じでめちゃくちゃびっくりというわけではなかったけれど、終わり方が苦くて、少しぼーっと考えてしまう余韻が残りました。刺激的だけれど、人間模様は苦い。本屋さんでふと出会ったものに、思いの外ガツンと殴られました。

    4
    投稿日: 2025.08.31
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    バトルシーン含めて、描写がイメージしやすくて、入り込めました。かといって説明が長々しくなく読んでいて疲れず、あっというまに読み終えました。内容的にも痛快で面白かったです。 小さい子供には勧めれないかな。

    3
    投稿日: 2025.08.31
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    ダガー賞受賞という事で読みましたが、暴力表現が凄い。ヤクザ社会は改めて怖いと思いました。 しかし短い。ミステリーと帯に書かれていましたが、ミステリー要素あった? ?が頭に浮かび、少し楽しめませんでした。もう少し人物も掘り下げても良かったかも。

    3
    投稿日: 2025.08.31
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ダガー賞受賞という触れこみで読んだので、期待が高すぎましたが、面白かったです。 時系列がミステリーチックでしたね。

    2
    投稿日: 2025.08.31
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    面白かった!日本人初ダガー賞(英国推理作家協会(CWA)が優れたミステリ・犯罪小説に贈る文学賞)受賞作品。読みはじめは大藪春彦のような暴力、ノワール小説かと思わせて間違いなくミステリー小説の傑作です!女性の弱さ、不条理さについても考えさせられます。翻訳に関する賞も受賞されています!なるほど!

    2
    投稿日: 2025.08.31
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

     日本人作家初のダガー賞作品ということで軽々しく手に取った。ページを開き読み進めていく内に、全身が滾りだした…!!!  過激で鮮烈なバイオレンスの応酬に血湧き肉躍る、今までに無い読書体験だった。  暴力の描写が非常にリアルで、まるで映画を観ているみたいに肉体の躍動が脳裏に浮かび上がり、そして強く刻みつけられる。  新道と尚子の言語化出来ない繋がりが齎す至高のラストまでイッキ読みだった。

    39
    投稿日: 2025.08.30
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    日本人初ダガー賞受賞の話題の本。アクションがテンポ良くグイグイ引き込まれてあっという間に読了。新道と尚子の絆がとても良かった!アクションが注目されがちですがミステリーでもあります。しっかり騙されました。

    2
    投稿日: 2025.08.30
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    シスターフッドとバイオレンス。登場人物も多くなく、理解しやすい世界。一応、ミステリとして評価を受けているようだが、ミステリっぽくない。 強い女にはあこがれるね。依子は物理的に強いし、尚子は精神的に強い、かな。最後はちょっぴり悲しいけれど、解放されたのだと思う。

    13
    投稿日: 2025.08.30
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ん?と読み間違えたか?と錯覚するタイミングがある。大抵の人はそんな風に誘導されるのではないかな。 依子と尚子がお互い惹かれあった理由が理解できなかった。そんな生活が送れたのかも謎で面白い。次に読むときは気をつけてみよ。 伝法なお姉さん、業腹など普段使わない言葉が出てくる世界観もこの筋の話ならでは。 指切るんでなく、性器カットしちゃうのがシスターバイオレンス的なんだろうか。その後の彼らの生活も気になる。

    3
    投稿日: 2025.08.30
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    2025.8.22読了 書店で日本人初のダガー賞受賞との惹句に惹かれて衝動買い。あっという間に読み終えた。 解説で、平山夢明氏と花村萬月氏の名が挙げられており、確かに度を越す残酷描写について「ダイナー」や「笑う山崎」のそれを想起したが、はるかにソフトだ。むしろ、今なら村田らむ氏や丸山ゴンザレス氏のリアルさの方が近い気がした。丸ごと見せるわけではなく匂わせる感じが。 “がわ”は使い古されているのに展開が新しい。 ヤクザの組長の可憐なお嬢様とそのボディガードの話。 新しいのは、ボディガードがやたら強い女性ということと、後半お嬢とそのボディガードの逃避行となること。そして結末の意外性。 面白かった!

    4
    投稿日: 2025.08.29
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    日本人作家初のダガー賞受賞作という事で読んだ。期待に違わぬ面白さ、展開の速さであっという間に読了。 ボリュームがないので、若干話に厚みが感じられないが、バイオレンスアクションが好きなら手に取るべき作品。

    6
    投稿日: 2025.08.29
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    個人的に好きな「BUTTER 」と競ってダガー賞を獲得した話題作なので期待。 喧嘩の強い新道依子がひょんなことからヤクザの娘の護衛になるという物語。結果的に親玉や娘の婚約者の逆鱗に触れることになってしまい逃亡する羽目になる。 忖度抜きの感想を言えば、ストーリーに凹凸が殆ど無くてひたすらに喧嘩を求める依子と衝突するヤクザ、世間知らずの娘・尚子の構図が崩れないので割と退屈。 尚子の母と駆け落ちした青年が逃亡してるかと思いきや、偽名の依子と尚子だったというネタバラシは少し意表をつかれたが、総じてパンチ力は無さげ。

    4
    投稿日: 2025.08.29
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ダガー賞受賞で著者がテレビで紹介されていた。どんなものかと読んでみたが、暴力のシーンが多く、あまり普段読まない小説だった。日本のピエール*ルメートルといった感じかな。

    45
    投稿日: 2025.08.29
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    話題の本ということで、叔母から借りた1冊。暴力的な描写があまりに激しく、気持ち悪くなるほどだった。ストーリーは最後の数ページが心地よいどんでん返しで、面白かった。でも暴力のお話は好みでは無いから王谷さんの本はしばらくは読まないかも。下品な言葉が苦手な人もやめておいた方が無難な1冊。

    2
    投稿日: 2025.08.28
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    「バイオレンス」「シスターフッド」ーそんなふれ込みとダガー賞受賞のニュースで手にとってみた。実際に読み進めると、そんな枠には収まらない内容だった。まさか二人の〇〇まで描かれるとは思わず、想定外のストーリーに最後の最後まで翻弄された。 特に印象に残ったのが、主人公が生理の気配に気づく場面。たんなるキャラクターではなく、身体のある人物として存在していることが伝わってきた。 いくらでも話を膨らませられる場面も多かった気がしたが、著者の描きたいシーンまで一気に駆け抜けた感じ。 気になった表現には付箋をつけた。あとで翻訳本と読み比べるのが楽しみだ

    2
    投稿日: 2025.08.28
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    久しぶりにオーディブルではなく自分の目で活字を読みました。 読んで良かった。聴くことではたぶん味わえなかった小説の深みに嵌り、吸い込まれ、アップアップして読み終えました。想像力をフル稼働させて、登場人物や背景、展開を一生懸命心に描きながら走り抜きました。 圧倒的なパワーとスリルとサスペンスフルを兼ね備えた、甘さなど微塵もない極道の世界。ロマンやセンチメンタルを打ち砕く強烈で非情なバイオレンスが炸裂し昇華する”彼女たち”の行く末。 この潔い幕切れの見事さはどうしたことか。このラストだけでこうも心を鷲掴みにされるとは。こういう気持ちになりたかった。これこそが待ち望んだ読後感。久しく忘れていた名著の余韻。 手を合わせたいと思いました。この小説を著してくれた著者への感謝と、”彼女たち”への鎮魂を込めて。

    10
    投稿日: 2025.08.27
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    受賞作ということで。(ミーハー) スピード感あり、予想を裏切られる展開で面白かった。暴力シーンが大丈夫であれば、よいエンタメ作品かと。

    7
    投稿日: 2025.08.27
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    冒頭からドカンときました。ハードボイルドもハードボイルド。圧倒的なスピードと緩急、転がり反転する時間の流れ。 凄かった。 いつもなら手にとりづらいジャンルの小説ですが、ダガー賞翻訳小説部門受賞の帯でレジに。ありがとうダガー賞。

    3
    投稿日: 2025.08.27
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    人間離れした戦闘能力を兼ね備え本能で生きる依子と籠の鳥な生活を強いられたお嬢様な尚子のキャラ設定の素晴らしさ。エモ。 バイオレンス指数の高いストーリー展開が目立つ中でのミスリードの巧妙さ。最初から最後まで勢いよく読めるページ数も魅力的。 これはハードコアな"あの子は貴族"じゃないか!?と思ったりする。実写化も全然あり得る傑作。大満足。

    10
    投稿日: 2025.08.27
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    2025年、日本人として初めてダガー賞を受賞。さらに2024年には、ロサンゼルス・タイムズ「この夏読むべきミステリー5冊」や、デイリー・テレグラフ「スリラー・オブ・ザ・イヤー」にも選出されるなど、文庫帯には全5種類の海外評価が並んでいます。 王谷晶さんは今回が初読みでしたが、おそらくこの受賞がなければ手に取らなかったかもしれません。けれど、受賞がなくとも本来もっと広く読まれて良い作品だと思いました。 物語の中心にいるのは、暴力を人生そのものとし、趣味ともしている剛腕女子・依子。彼女はある日、暴力団に半ば拉致され、組長の娘であるお嬢様の運転手兼ボディガードを務めることになります。 確かに暴力描写は多く、読みやすい作品とは言いにくいのですが、その暴力は弱者を虐げるものではなく、抗争のためのもの。DVやいじめとは質の異なる暴力として読みました。 日本の暴力団という組織への反抗、その暴力からの逃亡。その相反する役割を二人の女子に担わせたことで、物語は緊張感と同時に共鳴感を生み出していきます。 そして描かれるのは、恋愛でも友情でもない、守護とも悲哀ともつかない感情。読む側の立ち位置によって解釈の揺れる、人間関係の複雑な機微です。ラストの迎え方を加え、ここに、案外“日本的”な物語性があるように思いました。 国際的な評価を得たこと、本当におめでとうございます。

    122
    投稿日: 2025.08.26
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    同じ年代の子供がごちゃごちゃと寄せ集められたあの空間は年頃しか同じでない異物をゲロのように吐き出そうとする。自分はゲロだ。 カタにハマった世の中ほど騙しやすい。 文面から生々しい暴力を見てとることができた

    2
    投稿日: 2025.08.26
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    ババヤガの夜 2025.08.26 ダガー賞受賞のスピーチをニュースで見て興味を持って購入。ダガー賞効果でカートは落ちて再入荷待ち2回を経て購入。 話題がなければ表紙、タイトルともに絶対買わない自信があった。ババヤガって何??? 読み進めると不思議とどんどん依子に気持ちが乗ってくる。尚子さんは正直そんなにキーパーソンにはならないと思ってた。もちろん尚子さんを救うために翻弄するんだろうとは思ったけど、途中からはもう予想外の展開でめくる手が止まらなかった。芳子と正はもうあっぱれです。なんで名前の読み仮名振らないの?って思ったらそういうことだったのね。 最初から最後まで絶対に存在する「暴力」や「ヤクザ」は物語としては苦手な分野だった。どちらも本当に救いがないから。でも作者さんはとても上手にこの世界に私をどっぷりと誘ってくれた。 「善と悪」「自分とは」「何を為すか」そんなもんはこのお話において全く重要じゃなくて、自分が自分であることを認めることでブレない自分になるんだなと。依子は自分然としていたし、あの全てを諦めていたはずの尚子もそう生きていけて本当に良かった。 お互いが無くてはならない存在になったけど、それって文中にあるように本当に相手に愛情がないからなんだろうか?少なくとも私は2人それぞれに愛を感じた。それは情といっても良いんだろうけど、愛であってほしいなあと思った。(恋愛の意味ではなく) 最後きっと尚子は死んだんだろう。寄せては返す波と上空には自由に滑空する青い鳥。その背景の中で次はどこに行って何をする?って何気ない会話をしながら息を引き取るのはきっと幸せだったろうな。 読者の私からするとどうかあの鉛玉は無かったことになって、2人とも北に行って長生きして2人一緒に鬼婆になってほしかったよ。でもそれは短い期間で物語を読んだ私の感想。約40年も2人で過ごせたこと、とても幸せだっただろうなあ。

    3
    投稿日: 2025.08.26
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    英国ダガー賞受賞作品ということで。 文句なく面白く、一気読み。 作品全体にパワーと疾走感が漲る。勢い。 キャラクターも描写も脳内で鮮やかに映像化される 推理小説というより、エンタメ小説の真髄って感じ お気に入りになった

    2
    投稿日: 2025.08.26
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    あっという間に読み終わった。途中、「え、どういうこと??」と混乱して、ページを巻き戻してしまったくらい、予想しなかった展開。見事に作者に楽しく騙された。なるほど、これがダガー賞を獲った所以か⋯ 恥ずかしながら王谷晶はさんを初めて読んだけど、個人的に関心があるマイノリティ差別が根底にあって、他の作品も絶対読みたい!

    7
    投稿日: 2025.08.25
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ダガー賞受賞の帯かめにつき読んでみた。この賞はどういう基準で選ばれるものなのかな?極道の娘とボディーガードの女の逃亡劇。展開がよく分からなくなって面白感が持てなかったな。

    11
    投稿日: 2025.08.25
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    女性が女性として美しく、女性らしく生きる意味を考えてしまう。ヤクザの世界だけでなく、どこにでも女性の生きづらさは存在する。 暴力描写やヤクザの会話などは苦手だが、サクサク読めて短めの小説なので苦にはならなかった。 あの登場人物はどうなったのか?など、色々気になる要素はあるにしても、当然小説の中で全てを語る必要はないし、エンタメ小説として楽しめた。

    4
    投稿日: 2025.08.25
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

     ひょんなことからヤクザの娘の護衛兼送迎係となった喧嘩の強い主人公とその娘の物語。  とにかく喧嘩の描写が躍動感に溢れており、暴力と血の匂いがすぐそこまで漂ってくるようだった。また、途中のどんでん返しも鮮やかで、完全に騙されてしまった。  主人公の生い立ちや残った柳のその後など触れられずに終わった気になるところもあるが、それはそれとして、物語の勢いに任せたまま読み切った読後感は、ハッピーエンドとは言えないまでも、二人の運命というものを感じざるを得ないどこか吹っ切れた清々しさを残すものだった。4.3。

    9
    投稿日: 2025.08.25
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    エンタメバイオレンスシスターフッドミステリー。…タグが多いわっ!とツッコむも構成要素が多いことは確か。でも話の筋はちゃんと通っていて、かつ見事に騙される。ちょっとした違和感も解消され、スッキリしている。 どうしてもチラつく某人気香港映画原作よりも受け入れやすかったのは、舞台が日本だったからかな。柳さんの40年も絡めてあったらもっと熱かったな〜。好きですツヨツヨスーツ男子。 寺田克也さんの装画、とっても雰囲気が合ってて素晴らしい。 なお、アナタはぼーりょくが好きだからこれ面白いと思うと勧めてくれた方、私は決してぼーりょくを好むものではございませんことヨ。

    3
    投稿日: 2025.08.24
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    暴力の描写は凄まじかった‼︎ しかしこの本の魅力はそれだけではありません‼︎ さっくり読めるのにエンターテイメントがてんこ盛りの良作です‼︎

    2
    投稿日: 2025.08.24
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    表紙がかっこよくて購入。ダガー賞を知るきっかけにもなった。 女性にとって胸糞悪いシーンがいくつかあるけどそれを暴力で薙ぎ倒していく依子が格好いい。喧嘩の描写が勢いあって好き!野次馬の1人になった気持ちでドキドキした。 最後にこんな叙述トリックがあるとは知らなくてびっくりした。前情報取り入れずに表紙買いして良かった。 夫婦とかカップルとか兄弟とか、人はその関係に名前がついてないと不安になる、という点に納得。他人の関係なんて気にしなければいいのに、それでもストーリーがあると安心する。マイノリティ側って苦しいなあ。そんな中40年も追いかけまわされ、力を蓄え続けた2人が、最期少しの時間でも解放されて良かったと思う。

    2
    投稿日: 2025.08.24
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ジョン・ウィックのような世界観で、M・ナイト・シャマラン作品のようなどんでん返しも。すぐに映像が頭に浮かんできた。血生臭さもありながらエンタメ的で、読み応えのある作品だった。

    2
    投稿日: 2025.08.24
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    出た頃に読みましたが、ダガー賞を機に再読。 最初に読んだ時は女性主人公のバイオレンス描写に強烈な印象を受けましたが、今回読むとそこまで強い印象ではなく、慣れは怖いと思いました。 むしろ、はじめの頃に対照的な印象だった2人(主人公とその護衛対象のお嬢さん)が、一緒に暮らしている様子にしみじみした印象を受けました。 星は初めて読んだ時の強烈な印象も加味して4つ。

    2
    投稿日: 2025.08.24
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    2時間ほどであっという間に読了。 もしもこの作品が実写化されたら主人公の新道依子役は南キャンのしずちゃんに決定だなと思う。 極道の世界と暴力的な描写が割と新鮮で、今まで王谷さんの作品は読んだことが無かったが、他の作品も読んでみたいと思った。 深町秋生の解説を読み、この作品の、そしてこの作者の伝えたいことが何で、何に怒っているのかがわかった。なるほどなーである。 ところで最後の最後までよくわからなかったタイトル…ババヤガって何? モンモン。

    4
    投稿日: 2025.08.24
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    バイオレンスアクションは今まで映画や漫画も含めて手に取らないジャンルだけど、ダガー賞を受賞したという事で気になりました。 読み始めは血腥さで読むのがしんどいなと思ったが、気がつくと読む手が止まらなかった。 ラストはずっと漂っていた血腥さがなくなり、どこかスカッとした気分でもありました。 男に媚びない2人の女性の生き様を見て 、逃げる事は嫌だけどこういう風な歳の重ね方もいいなーと思ったり。

    0
    投稿日: 2025.08.24
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ブクログのランキング3位になってて気になって。ダガー賞も初めて聞いたし、読んでみようって。 ぐんぐん読めた!あっという間だった。物足りないくらい。柳と依子で生け取りにしに行くんじゃなかったの?もっと2人の掛け合い見たかったな。ババヤガは鬼婆なんだね。尚子もちゃんと鬼婆だった。

    2
    投稿日: 2025.08.23