
総合評価
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powered by ブクログなるほどうまくできている。 感心させられた。 でも、なにかが足りない。 もう一度読み返したいとも思えない。 つまらなくはないんだけどね。
8投稿日: 2021.01.25
powered by ブクログ短編ミステリーであっても、一つ一つの話が綿密に練られていてどの話にも共通の手法が使われているようで、結末が読めたとしても、それを上回る面白さがあり決して不快ではない後味の悪さが、ある意味心地よさをもたらしている。短編ならではの疾走感もあって、非常に面白かった。
1投稿日: 2021.01.22
powered by ブクログ人間の恐ろしさ,ズルさなどの表現が凄い。結末はおよそハッピーエンドとは言えず,推理小説だがホラーのような感覚にもなる。
20投稿日: 2021.01.13
powered by ブクログ大好きな作家の評判作という事もあり、満を辞して読んだのですが、結論からいうと少し拍子抜け。ハードルが上げすぎのもあるけど、同じ短編なら『儚い羊〜』の方が個人的にはよかった。 本作での個人的なベストは『関守』。短い間で、細かい伏線をきっちり回収する流れがよかった。他は正直少しうーんですかね。。
2投稿日: 2021.01.10
powered by ブクログ短編集 読んでいる最中ずっとまとわりつく嫌な雰囲気 何気ない台詞や行動が、後のバッドエンドへの伏線ではないのかと勘繰って、穏やかなシーンは一切ありませんでした どれも想像の余地を残したまま終わるラスト ライターの話は ちゃんちゃん♪って感じでしたが 人には人それぞれの満願があるのですね
1投稿日: 2021.01.10
powered by ブクログ小説の短編集は面白くないというイメージしかなかったけど、これはどの話も偏りがなくとても面白かった。 読書に慣れてない人たちにもぜひ奨めたい。
1投稿日: 2021.01.10
powered by ブクログ怖いですねえ。 犯罪を犯すということは、多分恐ろしいことなんだと思います。 取り返しのつかないことをしてしまい、取り返しがつかなくなるのって本当に恐ろしい。
2投稿日: 2021.01.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
序盤中盤は退屈だが、終盤から一気に面白くなる作品が多かった。 夜警 たった1発の銃弾のために、殺人を犯す動機が興味深い。警察にとって銃弾の紛失は命取りだと初めて知った。従兄弟が警官になるのが夢らしいんで教えとくか。 死人宿 パワハラから逃げた佐和子が幽霊で感動系の話...かと思いきや違った。遺書も佐和子が書いたもんだと思ってたのに。最後は推理ミスで自殺者出るから後味悪い。まあでも、締めのセリフでも有るように、タイトル通り死人が出ないと繁盛しないから仕方ないね。 柘榴 家族愛モノだと思ったら、近親相姦ホラーで身震いした。夕子がとにかく怖い。実の父を寝取って実の母を陥れちゃうなんてサイコすぎる。それくらい嫉妬しちゃうくらいだから、さおりは相当美人なんだろうな。女の嫉妬怖いよ。 2人の女を虜にした成海がどんな男か気になる。特別イケメンじゃないのに、喋りとか雰囲気だけでモテる奴いるよね。成海もそんな感じなのだろうか。 万灯 序盤はカタカナと専門用語がつまらなかった。しかし、村での殺人を決行する中盤以降は面白い。 最後の裁きが今の時期にピッタリ。完璧に思えた殺人をどう崩してくるかドキドキしたけど、感染症のオチに驚いた。 関守 口封じのため静かに殺してく婆さんが怖い。すべての元凶は娘の男運の無さ。暴力ヒモ男とかいう救いようのないクズ男は殺されて当然かも。 コーヒーとか飲み物の描写多かったのは伏線だったのね。俺だったら、カフェイン摂らないから色付きの飲み物出されて昇天しただろうな。 満顔 妙子と私のくっつきそうでくっつかない関係が歯痒い。学生と歳上女のラブストーリーかと思ったのに。掛け軸に血を飛ばすために殺人、逆転の発想をいく動機が新鮮だった。
7投稿日: 2021.01.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
夜警】 短編集とは知らず手にとり読み始めた 交番長と新人の小心者の川藤が殉職する話 川藤の拳銃好きからくるなんとも言えぬ匂わせと、川藤の兄からの弟の「とんでもないことになった」ということから明らかになる…とか大袈裟に書こうと思ったけど本当に中身が小心者の男だからこその起きたような話だった。交番長の誰も死なせたくないのだ、というカッコいい想いもなんだか壮大なストーリーというより警察官のリアルな日常を感じた。 最初から最期までなんだか大人の男の少しくたびれたタバコの匂いがする話だった 死人宿】 途中であの遺書は佐和子が主人公への復讐のために書いて佐和子が主人公を殺すかと思ってた、全然違った〜笑 柘榴】 めちゃくちゃおもしろかった!魅惑的な父のために虐待に見せかけ美しい母から奪い取った長女!!! めちゃくちゃのめり込んだ〜また童話通りに月子が美しくなる前に傷物にしたところもぞくっときた 万灯】 短編集と思えない、ほんとうにすごい!!! 読み応えもあったし付箋回収がとにかくすごかった! ガス供給のために人殺しを行なった主人公のスリルある展開がめちゃくちゃよかった!いやほんと短編におもえない!! 関守】 本当にあった怖い話みたい!!ぉおおおってかんじ笑 おばあちゃんつよすぎ! 人の心は孤絶していて、中の動きは外部から窺い知れない。心の奥底で熟成されたものを作者が各話の最後に明かす。それぞれの結果は必然でいて、そうするしかなかった、という呟きを聞きながら、なんと切実なと思う。人間が孤独であることを思い知らされる
0投稿日: 2021.01.02
powered by ブクログ夜警からインパクト大でした。事件が発生して謎を解くだけがミステリーではないんだと感じました。とにかく衝撃の連続でした。
1投稿日: 2021.01.02
powered by ブクログ1番の好みは夜警。サスペンスやホラーにとどまらない色んなジャンルの要素が入っている気がする。人それぞれに多種多様の人生があること、その上でそれぞれの物語があるということを改めて学んだ。
1投稿日: 2020.12.31
powered by ブクログ連作ではない短編集で、ここまでのクオリティは初対面。 米澤さん初ですが、いや、文章上手いなあ、とゆうのが率直な感想。
1投稿日: 2020.12.31
powered by ブクログ短編集。 人間の奥底にある狂気のようなものを感じた。どれもヒヤリとした後味が残る。短編を感じない程の壮大な伏線があったり、凄く面白かった。
1投稿日: 2020.12.28
powered by ブクログそれぞれの短編に出てくる人物は何かに囚われている。ゆえに過ちを犯してしまう。そんな脆い人らの物語なのに、しっかりとしたストーリーがあって結末を予想通りにはいかせない。そうきたか、と思わせる文章に脱帽。いい意味でたくさん期待を裏切られました。
1投稿日: 2020.12.26
powered by ブクログ山本周五郎賞受賞と書いてあったので買った一冊。 山本周五郎賞がどんな賞なのかわからないけど… 初めての米澤穂信受氏の小説だった 短編集だが、それぞれの話は読み応えがよく中にはこの話の続きが読みたいなと思った話もあった。 本の題名の「満願」もよかったが、「夜警」や「関守」の話が良かった。 全体的に暗いイメージがあるが、逆にそれがいい雰囲気をだしていて良かった。 読みやすく、わかりやすい小説でした。
10投稿日: 2020.12.17
powered by ブクログ手法は同じなのに どの話も、そうきたか、と思わされてしまう。 ミステリー短編集。 米澤さんの作品はこれがお初。 どれもサラッとしていない、ネチネチと細かく人間の心理が描かれている。 だけど、くどくなく、読みやすい。 『柘榴』、『万灯』、、いやどれも面白い。 ただ個人的に最後に描かれる『満願』、 これは少しのみこむまでに時間がかかった。
1投稿日: 2020.12.13
powered by ブクログ6篇からなる短編集。単純な話だが裏があり、1作品読み終わる毎に、胃がズンと重くなる。ミステリーと言うかホラーに近く、心を捕まれ揺さぶられる感覚。
1投稿日: 2020.11.15
powered by ブクログ例えば、美味しいと評判の店に行き 人気のメニューを食べてみる 美味しいものはたくさん食べてきたから、 ちょっとやそっとでは驚かない 人気のメニューも最初はよくある美味しい味だと思ってた、けど食べ進めていくうちに違和感を感じる 「おかしい、こんなはずじゃなかったのに…想像をすこし越えた味わい。この隠し味はナニ?」 そんな『隠し味』に包まれた6つの短編集 “古典部シリーズ”とは違いダークな一面も
11投稿日: 2020.11.13
powered by ブクログ面白かった。 え、そうゆう展開?と思うことが多かった、3話目からはそれを期待して読み進めていた。 ミステリーの短編は話が読めるのもあって、あまり好きじゃないが、これはいい意味で裏切られてとても面白かった
1投稿日: 2020.11.12
powered by ブクログイヤミスというか、読後感がすっきりしないような気分の悪い作品が多い。 私の好きな古典部シリーズが特殊なだけで、本来はこういうのが米澤さんの作風なんだろうな。 「夜警」☆☆☆ 新人警官が暴漢の逮捕劇のさなかで殉職した。 事件は悲運な事故として処理されたが、ベテラン警官である主人公は事件を思い返す中で違和感を覚える。 多くのフィクションに出てくるような闇を抱えた殺人者はそうそういないとしても、何かやらかしそうな新人、信用できない人間というのは確かにいる。 一番人間臭さを感じた短編。 「死人宿」☆☆ 元恋人との復縁を求めて、自殺者志願者が集まると噂の旅館に来た主人公。 そこの女将である元恋人からある遺書を見せられ、自殺者の特定を頼まれる。 すべてが徒労に終わったような虚しい読後感。 「柘榴」☆☆ 主人王は女を虜にする魅惑的な男と結婚したまではいいが、彼は生活力のない人間だった。 ほとんど女手一つで娘二人を育て、いざ離婚となったが、裁判所が下した判断の親権者は父親側だった。 なぜそんなことになったのか? 頑張った人が報われない話は嫌いだ。 「万灯」☆☆☆ 商社に勤める主人公は、バングラデシュでのエネルギー開発を手掛けることとなった。 しかし現地人との交渉は難航し……。 エネルギー開発とそれにかかわる現地での仕事に関する部分は面白かった。 お仕事小説ではないのでどこまでのリアルさを追求しているのかはわからないが、仕事の進め方や貧困国の住民の意識の違いなどは興味深かった。 しかし、中盤以降の雲行きが怪しくなってくると「しょうもないなあ」という感想しかわかなかった。 「関守」☆ 死亡事故が頻発する峠に関する記事を書くために、主人公は近くのドライブインの店主への取材を試みた。 怪談話によくある「じゃあこの話は誰が広めたんだ?」ってなるやつ。 「満願」☆☆☆☆ あらすじは内容紹介参照のこと。 この短編集はどれも暗い雰囲気が漂っていて、ラスト数ページで一気に謎が解決していく形も共通している。 その似た作品群の中では本作が一番情緒があって面白かった。 情緒や美しさの裏にある狂気や恐ろしさみたいな雰囲気もあって味わい深かった。 ここまで人をよく描けていると、虚しい結末になっても納得できるものがある。
0投稿日: 2020.11.09
powered by ブクログ1.夜警 …衝撃のラスト!? 2.死人宿 …衝撃のラスト! 3.柘榴(ざくろ) …衝撃のラスト… 4.万灯 …衝撃のラスト? 5.関守 …衝撃のラスト。 6.満願 …衝撃のラスト( °Д°)=☞ ≫異議あり!≪
1投稿日: 2020.10.28
powered by ブクログ表現として、辛いな、と思う箇所もあったが、つい続きが気になって読み進めてしまった。 気分が晴れるような、読み終わってスッキリするような本ではないが、印象に残る本だった、
3投稿日: 2020.10.26
powered by ブクログ表題作「満願」を含めた6つの短編集が収録されています。どの話も自身の望みのために罪を負う様子、そして作中での登場人物の行動の意味が終盤で反転することが恐ろしかったです。
8投稿日: 2020.10.26
powered by ブクログどれも引き込まれる 目的(満願成就)のために手段を選ばなさすぎる6人の話。 暗いけど、読み応え◎ 柘榴、最悪 万灯と夜警、読後が悪すぎる 関守、怖〜 満願、切ない
0投稿日: 2020.10.26
powered by ブクログ全体的に暗い話だけど、奥が深い感じ。 人間の奥の部分が緻密に表現されてると思いました。 特に「石榴」は怖さを感じた。
3投稿日: 2020.10.12
powered by ブクログあとがきに書かれているようにどの話も読後は砂を噛んだような気持ちになりました。 特に「柘榴」の最後の一文は心に刺さりました。
13投稿日: 2020.10.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
目次 ・夜警 ・死人宿 ・柘榴 ・万灯 ・関守 ・満願 一読して、米澤穂信の文章って、こんなに湿度が高かったっけ?って思いました。 けれど、例えば表題作。 一見すると耐えるだけの女である妙子が最初はもどかしく感じるのだけど、実に冷静に忍耐強く自分の矜持を守っていることがわかる。 それに気づいた時、彼女の心の中にある虚無、いや矜持しか持たない荒廃が恐ろしかった。 ここに収録されている作品は、どれも心の中に秘めた闇の濃密な甘やかさが怖いのである。 自分の闇を楽しんでいる彼らは非常にエロティックでもあり、猟奇的でもある。 誰にも自分の闇を感じることはあると思うけど、他人の闇は怖いなあ。 「万灯」「関守」は、他の作家の作品にもありそうな感じ。 個人的に怖かったのは「柘榴」でした。 怖い怖いと言ってもホラーではありません。 ちゃんとミステリです。
4投稿日: 2020.09.30
powered by ブクログ事件の喧噪に揺れる裸電球が照らす明と暗 が、レム睡眠、ノンレム睡眠と、眠りの中でもたらす覚醒と昏睡の危うい波長を作りだし、このままではドランカーになってしまうんではないかという不安を利用して陥れる、整然たる吊り橋理論。 もはやこれは恋でしょう。
1投稿日: 2020.09.29
powered by ブクログ何年か前の各ミステリー紙でナンバーワンを総なめにした作品です。 この作家を読むのははじめてですが緻密な文章とその構成力、トリックには舌を巻きました。 いい作家ですね、他の作品も読んでみたい!!!
3投稿日: 2020.09.27
powered by ブクログそれぞれが独立した短編であるが、どの短編も完成度が高く、驚いた。短編集でここまでのレベルの作品に巡りあうことは、そうそうないことだと思う。
1投稿日: 2020.09.25
powered by ブクログ数年前にNHKのドラマを観て 薄暗いイメージがある作品だったことは理解して手に取った。 短編といえば、 繋がりを感じさせられるものが好きだったが この作品は一切繋がりはない。 ただ、どの作品も完成度が高く引き込まれた。 ドラマでも好きな俳優陣が演じていて 豪華だった印象があるので本書を読んだ上で もう一度観てみたさがある。 物事が起きてしまった動機の さらにもう一つ奥にある真の動機にヒヤリとするものがあった。 とくに印象的なのは「柘榴」のお話。 一瞬理解できない(脳が理解するのを拒んだのかも…)真実が見えてきたときの感覚は形容し難い。 ミステリー小説の面白さここにあり。 と感じられた一冊。
1投稿日: 2020.09.22
powered by ブクログ「心にざわめきを。そしてきらめきを。」 解説の最後にあるこの言葉が合ってるかな。 短編6話。 全話に言える事やけど、暗いし、スッキリしないし、後味も悪い。 人間の負の感情が溢れ出し、最期に!って感じ。 そんな後味悪いとか言いながら、面白いので、一気読み^^;
24投稿日: 2020.09.20
powered by ブクログ2020/9/19読了。読み終わってから、この作品ならテレビドラマ仕立てになっていないかと調べたら案の定2019/7のBS4K、プレミアムで『夜警』『万灯』『満願』の三作が連続ドラマ仕立てで放映さるている。柚木裕子の作風に雰囲気(空気感)は似ているかな?
0投稿日: 2020.09.20
powered by ブクログ1つ1つの短編が、1冊の本にストーリーを膨らませそうな読み応えがあった。でも、全体を通して確かにくらい。ちょっと明るい話を読みたくなった。
2投稿日: 2020.09.13
powered by ブクログ全編を通して暗い。 果てしなく暗いトンネルを歩いている感じ。 他の方のプレビューを見て 評価高かったので手にとってみたものの わたしは苦手だったかな。 読み終わったあと ちょうどドラマになり それも見たけど それも暗かった 笑。
15投稿日: 2020.09.12
powered by ブクログ読後、「明日は我が身」その一言が本書には似合うのではないかと、ふと思いました。 何とも奇妙な話ばかりで6話からなる短編集なのですが、特に私は「柘榴」、「万灯」が好きです。 米澤穂信と言えば「氷菓」を読んで以来2度目ですが、本当に同一人物が描いたのかと思える程良い意味で違っていました。 また難しい聞きなれない単語も多々出てくるので時折辞書を引いては勉強になりました✨
3投稿日: 2020.09.08
powered by ブクログ2020年9月7日読了。 ・ 6つの話からなる短編集。 ・ 『夜警』 緑1交番の交番長である柳岡巡査部長の元にやってきた新人の川藤巡査。 この男は警察に向いていない人間だと柳岡はすぐに感じ取った。 ある人質事件の最中、刃物を持った犯人から人質を守る為に川藤は発砲し犯人を射殺。しかしその際、川藤も犯人に切りつけられ殉職してしまう。 勇敢な殉職と賞されたが、その死には裏が…。 『死人宿』 交際相手の佐和子が私の前から姿を消して二年が経ち、居所が分かったと聞いて向かった先で、彼女は仲居として働いていた。 そこは死にたい人が集まる『死人宿』だった。 宿の露天風呂で誰かが置き忘れていった遺書のようなものが発見され、なんとかそれを書いた人物の自殺を止めたいと言う佐和子。 過去に困っていた彼女を助けなかった事を後悔していた私は、宿泊客の中から自殺志願者を探す手伝いをする事に。 『柘榴』 幼い頃から容姿端麗なさおりは、大学で出会った佐原成海という美男子ではないが、なんともいえない魅力を持つ男と付き合い、父親の反対を押し切り結婚する。 二人の娘を授かったが、その頃には夫は家にほとんど帰らず、月に数度顔を見せるかどうかの状態。 仕事もしているのか分からず、たまに帰って来れば小遣いをせびる始末。 だが、帰ってきた時は良き夫、良き父親を演じる。そのせいで決断が遅れていたが、将来の事を考え、さおりは離婚を決意する。 二人の娘『夕子』と『月子』の親権争いで当然自分が親権をものにすると思い込んでいたさおりだったが、審判の結果は佐原成海に親権が渡る。 その理由は娘たちの意思だという…一体なぜ。 『万灯』 東南アジアで資源開発の巨大プロジェクトに着手している井桁商事に勤める伊丹。 インドネシアでの開発が軌道に乗り、次はバングラデシュの現地調査に乗り出した。 開発の要となるであろうボイシャク村に協力を要請するが、マタドールと呼ばれる村の代表者の一人、『アラム・アベッド』に頑なに反対されてしまう。 半ば諦めかけていた所、他のマタドール達に呼ばれ一つの提案をされる。 「アラム・アベッドを殺せ。それを果たせばボイシャク村は喜んで土地を提供する」 ・ 伊丹はそれを受け入れ、村の協力のもと、アラムの殺害を決行。 うまく事は運び、これで計画は順調に進むはずだったのだが。 『関守』 あるライターの男が、都市伝説を題材に記事を書いて欲しいと依頼される。 都市伝説に興味の無い男は、書くネタが浮かばず、オカルト専門の先輩に助けを求めた。 すると、すぐにある一つのネタを教えてくれた。 『伊豆半島南部に桂谷峠という峠がある。かつては天城峠と並んで使われていたが、今はめっきり交通量が減っている。 そこで奇妙な事故が多発。いずれも峠道の同じ場所で、車が崖の下に転落してドライバー達が死亡する事故だった』 なんだか少し弱い情報だなと思っていると、先輩は気になる一言を口にする。 「やっぱりそれはやめた方がいいかもしれない。そいつはホンモノかもしれない。気をつけてかからんと危ないぞ」 ・ その忠告も聞く耳もたず、これを記事にすると現地に取材に向かった男。 長い長い峠道を走り続け、現場の近くにやっているのか心配になるほどの古ぼけたドライブインを見つける。 一人で切り盛りする老婆はどうやら多発する事故について詳しいらしく、訥々と語り始めた…。 『満願』 弁護士の藤井は、若かりし学生時代に下宿が火事に遭い、住む所がなくなり困っていた時に、先輩の紹介で新しい下宿先となったのが 鵜川家であった。 鵜川家には妙子さんという女性と、その主人・重治の夫婦二人だけが暮らしており、空き部屋を下宿として募っていた。 妙子さんはとても良くしてくださったが、重治の方は露骨に藤井の事を邪険に扱うのだった。 ・ 年月が経ち、無事弁護士になった藤井は、鵜川妙子が殺人の容疑で逮捕されたという報せを耳にし、警察署へ駆けつける。そして妙子の弁護をする事に。 殺害されたのは矢場英司という貸金業の男で、鵜川重治は妙子に隠れて金を借りていた。 病に倒れた重治の代わりに借金の返済を迫られた妙子が返済を逃れる為に矢場を殺害したと検察は主張。 しかし、弁護側の藤井は、矢場が借金を盾にして妙子に関係を迫ったからであり、自分を守るための衝動的な犯行だと正当防衛を主張した。 結果、第一審の判決は懲役八年の実刑判決。 まだ戦う余地はあると第二審の準備に取り掛かった矢先、鵜川重治の訃報が届く。 それを知った妙子は、一切の控訴を取り下げる。 「もういいんです、もういいんです」 ・ そこからの長い刑務所生活。 今、出所してこようとしている鵜川妙子は、なぜあの時控訴を取り下げたのか。 ・ ・ 米澤穂信氏の短編集は2冊目。 個人的には『儚い羊達の祝宴』の方が好みだったけど、今作もバラエティに富んだ内容の濃い短編集でとても面白かった。 ・ 著者の作品は長編の作品もたくさんあるが、なぜだかあまり惹かれない…。 何様目線なのかという感じだが、短編作品に関しては素晴らしいストーリーテラーだと思う。 特に『柘榴』の官能的な雰囲気なんかはやっぱり江戸川乱歩臭が感じられてとても好きだった。 ・ 装丁も単行本よりも、文庫本の方が良い。 色合いが美しい。
2投稿日: 2020.09.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「儚い羊たちの祝宴」に続き2作目の米澤作品です。 巧いなぁ。 これが率直な感想かな。 全6篇からなる短編集ですが、1話1話がしっかりとミステリー作品としても作り込まれています。 「夜警」「死人宿」「柘榴」「万灯」「関守」「満願」 どの作品も読みながらどことなくむず痒いというか、気持ち悪い感じを持ったまま読み進めることになりますが、その気持ち悪さの謎はそれぞれの物語が幕を下ろす直前に語られる。 あぁ、そうだったんだ。 きっと同じような感覚を楽しんだ読者も多いのだと思う。 個人的には表題作である「満願」よりも「柘榴」の方がより印象に残りました。 さて、次はどの米澤作品を読もうかな。 説明 内容紹介 死にたい人たちのあいだで、随分評判らしいのよ。 磨かれた文体と冴えわたる技巧。この短篇集は、もはや完璧としか言いようがない――。驚異のミステリー3冠を制覇した名作。 「もういいんです」人を殺めた女は控訴を取り下げ、静かに刑に服したが……。鮮やかな幕切れに真の動機が浮上する表題作をはじめ、恋人との復縁を望む主人公が訪れる「死人宿」、美しき中学生姉妹による官能と戦慄の「柘榴」、ビジネスマンが最悪の状況に直面する息詰まる傑作「万灯」他、「夜警」「関守」の全六篇を収録。史上初めての三冠を達成したミステリー短篇集の金字塔。山本周五郎賞受賞。 内容(「BOOK」データベースより) 「もういいんです」人を殺めた女は控訴を取り下げ、静かに刑に服したが…。鮮やかな幕切れに真の動機が浮上する表題作をはじめ、恋人との復縁を望む主人公が訪れる「死人宿」、美しき中学生姉妹による官能と戦慄の「柘榴」、ビジネスマンが最悪の状況に直面する息詰まる傑作「万灯」他、全六篇を収録。史上初めての三冠を達成したミステリー短篇集の金字塔。山本周五郎賞受賞。 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) 米澤/穂信 1978(昭和53)年岐阜県生れ。2001(平成13)年、『氷菓』で角川学園小説大賞奨励賞(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞しデビュー。’11年、『折れた竜骨』で日本推理作家協会賞を受賞。’14年『満願』で山本周五郎賞を受賞。同作は、「このミステリーがすごい!」「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」の国内部門ランキングにて1位に輝き、史上初の三冠を達成する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
21投稿日: 2020.09.07
powered by ブクログ当たりしかない短編集。 ドラマもめちゃくちゃ良かったし。 読後のゾクゾク感は、関守、柘榴 物語としては、万灯 雰囲気は満願 かな? 死人宿、夜警も勿論良かった。
0投稿日: 2020.08.31
powered by ブクログ以前読んだ「ボトルネック」にいい印象がなく、この作者の本を少し避けていたが、本作では短編でどの話も読みやすい。万灯が特に引き込まれた。
2投稿日: 2020.08.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
全く独立したストーリーの六編の短編集。 誰が殺したか?を推理するのではなく、事件の陰に潜むちょっとした違和感から人間の野心を詰めていく感じの、どれもハイクオリティな作品だった。 そしてどれも少し後味が悪い。でもこの程度のイヤミスなら許容範囲。 こういう、へんな小細工無しの直球勝負の作品が賞獲ったのは嬉しいじゃないか。 ただ(私が悪いんだけど)、別々の話のはずが順番に読んでいくと最後に繫がるんだと何故か勘違いしていて、最後まで独立した話のままだったので肩透かしをくらった気持ちで終わってしまった(私が悪いんだけど)。 ・「夜警」…交番勤めの主人公が、ある事件で新人の部下を殉職させてしまう話。何故彼は拳銃を発砲したのかという、事件を隠れ蓑にして見えなくなっていた動機を暴く筋は、面白く読めた。殉職した若者、クソだった。 ・「死人宿」…栃木の秘境の温泉の、自殺志願者がよく逗留する温泉宿。その露天風呂の脱衣所で遺書の落とし物が発見される。3人の泊まり客のうち、自殺志願者は誰か。 舞台となった八溝温泉は行ったことがあって、梁から車で1時間も走ったら越県するわ、と突っ込まずにはいられなかった。 結末は結構好み。 ・「柘榴」…美貌に恵まれた主人公が駄目男と結婚し、二人の娘のために離婚を決意するも、ほとんど家に帰らない配偶者が親権を主張し、裁判で争うことになる。娘たちの思いは…? この話が読んでて1番えげつなかった。実の娘までも虜にしてしまうなんて、なんなのこの魔性のオトコ。 ・「万灯」…バングラデシュでガス発掘を計画したい日本の商社の社員が、仕事の進展のために現地の村の長とライバル会社の社員を殺す話。 物語の最後が最初に書かれてて、殺人がバレて逮捕されそうなのかと思ったら、コレラ感染経路のせいで殺人がバレそうってことに慄いてるんだった。人を殺したことに対しては最後まで全然悪びれてないところが凄い。 ・「関守」…最もサスペンスじみてた。年に一回くらい事故死の起こる山中のカーブ道について、主人公が都市伝説を扱う雑誌記事のために取材する。現場から程近いドライブインの経営者の話を聞くが…。 オバアサン実は妖怪だったりするのかな…と訝りながら読んだ。 ・「満願」…借金取りを殺害した女の本当の理由に辿り着く話。彼女には前科と引き替えにしても守りたかったものがあった。善良な人にも邪心があるって結末は、なんか共感してしまった。 全般的に、既婚者は夫がクソ野郎でやるせない。 今の社会を反映してるのであっても。 結婚はロシアンルーレットですね…
2投稿日: 2020.08.11
powered by ブクログ人の底の見えない怖さというか、自分の気持ちを割り切った時に見せる姿はもしかしたら日常にも溢れているのかもしれない。 その人のこれまでの人生が見えない分、怖いと感じてしまう。
0投稿日: 2020.08.10
powered by ブクログいわゆるあっと驚く結末かどうかという点ではちょっと驚く程度である。しかし、この本の本筋は人間心理のわずかな弱さ、危うさが容易に殺しを押し進めるという情緒溢れる犯行であり、私はこれに妙な親近感を感じた。
1投稿日: 2020.08.09
powered by ブクログ解説(文庫版)にもあるように、ざらりとした読後感。決して爽快な終劇ではないが、それがかえって心に残る。 夜警 だれにでも経験のあるような後ろめたい感情。多くの人はそれを経験しつつも事件まで到ることは無いが、それが起こったのが夜警。普段の自分を思い起こし、心がざわつく。 死人宿 他に比べて伏線がわかりやすい気がする。2人とも時を経て変わってはいたが、二人の距離は広がっている。 柘榴 読める大筋と、読めない動機。死人宿もそうだが、この後さらに巻き起こる出来事への想像が膨らむ。 万灯 わかりやすい(展開もそうだが構造としても)ストーリーかもしれない。それだけに他の短編にあるようなざわつく読後感はない。 関守 トリック(?)は1番わかりやすい。 満願 タイトル作品。心安らぐ二人の関係と、その間に落ちる影とその動機。他の短編と同じくざらつく終わり方だが、それでいてすっきりとした気分になる。
1投稿日: 2020.08.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
しばらく読書から遠のいていたので活字アレルギーを起こさないか心配でしたが、みるみる内容に引き込まれあっという間に読み終わってしまいました。復帰後第1冊目にこれを選んでよかった。 夜中に「関守」を読んだら怖くてしばらく目が冴え冴えとしてしまいました。
1投稿日: 2020.07.30
powered by ブクログ短編集。どれも面白かった。ほんのりミステリー。 話を読み進めていくと、なんかこれヤバそうだなとドキドキしてくる感じがたまらないです。
1投稿日: 2020.07.23
powered by ブクログ初 米澤穂積。 新聞か何かの書評で知って興味持つ。 訥々とした感じがあり、推理小説だかサスペンスというよりも人の心が描かれているようだった。
1投稿日: 2020.07.11
powered by ブクログ読みやすかった。短編集。 少しルポタージュというか状況説明が苦痛なくするすると頭に入ってくる語り口で、下手にべたべたしていない明瞭な文体がよかった。 ミステリーというか何気ない話が多いような、最初の話とか、柘榴とかはちょっとグロくて苦手だった。海外のエネルギー開発の話はわりと好きというかうまくできた話だなあと思った。 ミステリーと手品は似てるなあと思う。見えてるようで目立たない、でもテーブルにあるものだけでロジックを組み立ててしまう。語り口とあざやかな手口が面白い本だった。ミステリーから道徳は学べない、事件が起こることを止めたいと思う気持ちが邪魔をして昔は読めたのに最近はおどろおどろしい話への耐性が弱くなったなあと思う。それでもこれは手口に興味がいくので読みやすかった。短編というのもあってサクサク読めたのがありがたかった。忙しいときに。
1投稿日: 2020.07.09
powered by ブクログ物語がヒタヒタと終息へ向かう様は、蟻地獄に落ちてしまったアリを思わせる。 自分の不注意から、もしくはその奥に隠れているものに魅せられて、すり鉢状の巣に足をとられ、落ちてしまった。 ジっと息を殺していても、身体は少しずつ落ちて、 もがいて這い上がろうとすれば猶更、砂の壁は脆く崩れ、どちらにしても確実に死に近づいていく。 そんな真綿で首を絞められるような、だんだん追い詰められて息苦しくなる感じ。 以前『儚い羊たちの祝宴』を読んだときは、とてもいいなと思ったのだが、今回はそれほどピタリとハマる感じがなかった。決してこの本が面白くないわけではなく、恐らく相性の問題なのだろう。 どの話も、登場人物が自らソレに足を踏み入れていくのが面白かった。巻き込まれるのではなく、自ら進んで罠にはまっていくのが。
0投稿日: 2020.07.03
powered by ブクログ単なる一読者に過ぎない私が言うのはなんだかエラそうで申し訳ないんですが、お見事です。 見事にしてやられた。 本書はミステリーの短編集で、6編収録されているのだが、どれもまったく毛色が違うことにびっくり。 それぞれ著者が違うのではと思うくらい。 警官に向かない部下の殉職に不審な点を感じる「夜警」、失踪した元恋人を追ってたどり着いたのは「死人宿」、美しい母と不思議な魅力を持つ父にその2人の娘たちの妖しい物語「柘榴」、バングラデシュの資源開発のために訪れた小さな村から始まる破滅への道「万灯」、ライターとして都市伝説の取材に訪れたドライブインで老婆から話を聞く「関守」、司法試験の勉強中に下宿していた畳屋の妻の弁護人を務める「満願」、以上6編。 なんかもう、どれもゾクゾクした。 怖いのに目が離せなくて。 これぞミステリーですわ。 久々に味わいました。 本書が原作のドラマをNHKでやると知って、読んでみようかと買ったのでした。 なので米澤穂信さんの作品を読むのはこれが初。 ドラマはもうだいぶ前に放映されたけど、本を読んでから見ようと録画してある。 これでいつでも見られるぞ。
1投稿日: 2020.06.10
powered by ブクログ本作と関係ないが、コロナ禍で通勤頻度が激減して、車内読書ルーティンが壊れてしばらく遠ざかっていた。そして積読のこの本からまた読みはじめた。 六編の短編集です。他人の評価はそれほどでもないようだが、どれもとても夢中に読むことが出来ました。特に柘榴は怖かった。今後も米澤さんの作品を読んでみたい。
13投稿日: 2020.05.30
powered by ブクログ短編集。これってミステリーなのかな? どれもある意味で恐ろしい。 『万灯』がいちばん追い詰められたかな。。 どんでん返しとかじゃなくて、とにかく暗い感じで、表側じゃなくて後ろ側の話というか、、、 私がもし20代だったら途中で読むのやめたんじゃないかな 読み応えは、あったと思う。
2投稿日: 2020.05.22
powered by ブクログ2018年のお盆の時期にNHKで放送されたこの本原作のドラマを見て、原作も読みたいと思ったので。 氷菓以外の米澤さんの作品は初めてだ。 満願という言葉の響きと表紙の無数の灯篭の写真が合わさって、この短篇集の雰囲気を物語っていると思う。 どの話も、人間の二面性とか人って怖いみたいなのを感じた。
0投稿日: 2020.05.09
powered by ブクログ「夜警」に関しては、どう表現したらよいかわからない感情。 イライラ?モヤモヤ?よくわからないが面白かった。 どの短編も面白かった。
8投稿日: 2020.05.05
powered by ブクログ●夜警 川藤の不器用さゆえに誰も疑問に思わなかった事件の真実が、後から判明し驚かされる。 ●死人宿 自分も一緒に誰が自殺するのか推測してしまう。結局、佐和子ではないか?と思ったが、、、 ●柘榴 自分の欲しいものを手に入れるために、そこまでやるかと思わされる。美しい愛の形などではない、異常なまでの愛である。 ●万灯 仕事一筋の人間でも、最後にどこか拠り所があればここまでしなかったのではないか。 ●関守 何となくこのお婆さんがという展開は読めていた。被害者の共通点も明かされてなるほどと思った。 人間の直感、特に危険だと感じたらそれを避けるのがベストだと思ってしまう。 ●満願 どこまでも謙虚で良くできた人間でありながら、家宝を奪われることだけは許せなかったという話。しかし、もう少し深い動機が欲しかったなと思う。
6投稿日: 2020.05.03
powered by ブクログ柘榴。 美しくて狂気的な現代の神話か? 小説なのに目の前の景色が美しいピンクがかった夕焼けになります。 そういった描写は全く無いのに官能的です、素晴らしい、、、滝涙
1投稿日: 2020.05.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
絶対何かある人たちしか出てこない短編集でした。 なるほど、そうなるのか!と楽しめました!! 個人的には、「万灯」が好きでした。完全犯罪かと思いきや、あともう一歩のところでまさかの感染症によって、追い込まれるとは… 面白かったです!
1投稿日: 2020.04.24
powered by ブクログ#読了 2020.4.13 「インシテミル」「ボトルネック」以来、10年ぶりの米澤さん作品。"このミス1位"を含めた史上初のミステリーランキング3冠に輝き、どこの書店でも一時期派手なPOPと共に平積みされていたので手にした次第。6話の短編集。 ちょうどいい後味の悪さとスッキリ感。「世にも奇妙な物語」や「意味こわ」が好きな人にはピッタリ。短編ながらもどの作品もしっかり緩急があり、はじめのうちの焦らされるようなテクテク感から、あれ?という違和感があっという間に膨れ上がり、真相まで一気に走り抜ける。だけど、その真相は「人間いろいろな心理があるよね…」っていう。 ミステリーのベタっと感とスッキリ感がしっかり詰まった、ミステリー好きなら誰もが読みやすい作品。どの話もすごいよくできてる。 登場人物に感情移入して考えさせられるとかは一切なく、登場人物の葛藤と構成とトリックと真相に辿り着く気持ちよさが楽しめる。米澤さん自身もそれを目指してたそうで、短編集は売れないというジンクスを吹き飛ばすキャラに依存しないエンターテインメント作品。 ◆内容(BOOK データベースより) 「もういいんです」人を殺めた女は控訴を取り下げ、静かに刑に服したが…。鮮やかな幕切れに真の動機が浮上する表題作をはじめ、恋人との復縁を望む主人公が訪れる「死人宿」、美しき中学生姉妹による官能と戦慄の「柘榴」、ビジネスマンが最悪の状況に直面する息詰まる傑作「万灯」他、全六篇を収録。史上初めての三冠を達成したミステリー短篇集の金字塔。山本周五郎賞受賞。
2投稿日: 2020.04.13
powered by ブクログ「このミス」で1位を取った作品で、NHKで6編のうちの3編がドラマ化されただけに おもしろいは完全に見込んで読んだ本ですが、ドラマ化されてない3編の方が 自分にとってはかなりおもしろかったですね。 6編とも読んでいく中に伏線があり、最後にそれが回収され、結末が分かった時の ゾクッとする感覚、これぞミステリーという至極の作品ばかりです。 残り3編もぜひドラマ化希望。「柘榴」はちょっと難しいかもしれないですが・・・・・・。
2投稿日: 2020.04.12
powered by ブクログ6つの短編のうち「柘榴」を読んで。年頃になった娘が父親を忌避するのは間違いが起きないように本能的に刷り込まれているからだとどこぞの有識者が言っていたのを思い出しました。家庭を顧みず、ほとんど家に戻らなかった父親ならばこの限りではないのかと思いました。
1投稿日: 2020.04.05
powered by ブクログちょうど良い後味の悪さだった。「夜警」で本格的で面白いぞこれはって思って「死人宿」で上がって落とされて「柘榴」で女の怖さを知り「万灯」でそういう裁かれ方か!と驚かされ「関守」で昔噺的な不気味さをおぼえ「満願」で執念を感じた。当時、三冠を達成したからやけにプッシュされてて、それがなんとなく嫌で読んでなかったんだよな。三冠、納得だよ!面白いってちゃんと感じられる時に読めて良かった。
2投稿日: 2020.04.04
powered by ブクログ「病んだ人」は登場しない。 皆、心に闇を飼っているだけ。 闇は光の下では蠢きを捉えにくい。でもずっと眼の前に「ソレ」はある。 突如そこに閃光を放ち、おぞましい「闇蟲」を照らしだす。 目が眩んだ私達は、夢か現実か分からぬまま、吐気を携えて日常に戻る。
8投稿日: 2020.03.28
powered by ブクログ個人的にはあまり、引きつけられるものがなかった。淡々とした世界観は米澤さん作品ではお馴染みなのですが、そんな中でも気がつけば引きつけられてた、というものも多かったんですが。
0投稿日: 2020.03.21
powered by ブクログミステリーの短編集。 最初の警察の話がすごく面白くて、あーこれが目玉かと思って、次を期待しないで読むとそれも面白くて、いやいや流石にって次を読むとそれも面白い。 そんな感じですぐに読了。 この人は短編の方が勢いがあっていい。
1投稿日: 2020.03.09
powered by ブクログこんなに静かな感じの話を書く人だったっけ? と思いました。 静かで、次第に背筋がゾーッとなるような。 「関守」が一番ゾッとした。 おもしろかったです。
3投稿日: 2020.03.05
powered by ブクログ短編集で、軽くさらっと読めて、楽しめました。全般的に、なにかの謎があり、解けたと思ったら、実は、その裏にさらなる真相が隠れていました・・・というオチ。よくできているなあと思いました。 まあ、逆に言うと、さくさく楽しめただけで、この本を読んでなにか考えさせられたとかそういうことはありません。単純にエンターテインメントとして楽しめました。【2020年1月25日読了】
2投稿日: 2020.02.24
powered by ブクログやー、よい裏切りです。派手なトリックも、名探偵も出てこないけど、実に読み応えのある短編集でした。短編ミステリに良作なしとよく言いますが、これは本当に読んでいてちょうどよいです。 個人的には関守が好き。どんどんゾクゾクしてくる感じがたまりません。満願の静かに進みながらも、読んでゆくにつれて息をするのも忘れるほどのめりこんでしまうのも気持ち良いです。 文句なくおもしろうございました。
0投稿日: 2020.02.11
powered by ブクログミステリを読んだという満足感がすごい。 一つ一つの話は短いがその分密度がみっしりと感じられたように思う。 どれも痛快な話ではないけど、読み進める手が止まらなかった。 米澤穂信は初めてだったが他の作品も読みたい。
1投稿日: 2020.02.06
powered by ブクログ2020/01/25読了 #このミス作品4冊目 短編オムニバスだったが 1つ1つのストーリーが濃厚でした。 どれも意外な結末に唸る。
14投稿日: 2020.01.25
powered by ブクログ久々に切れ味抜群の短編ミステリを読んだ。 この作家さんはこんなのも書けるのか、すごすぎる。 読んだ後味は悪いというか怖いというか、 それでも面白すぎて一気読みだった。 これぞ短編ミステリの面白さ。 短編だからこそできることが凝縮されていた、、 古典部の続きも読もうかな、、
1投稿日: 2020.01.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
200122 久しぶりの米澤穂信。 短編集。けっこう短編集はつまらないものが多かったりするけど、全部が面白い。あと、最後で今までのが繋がるとかかと思ったら普通に独立してるのね 良くも悪くも、氷菓シリーズや小市民シリーズでは抑えられていた鬱々とした、じめじめとした嫌な感じが出ていた。後味の悪さ? 個人的には、夜警、柘榴、関守がなんか嫌だったけど印象的。この嫌な感じさは、楢山節考に似ているかも ただ短い中でこれだけのものを書くのは普通にすごい あと、柘榴を谷崎的と言ってる人がいたけどそうかな?官能的とかではなくないかな? 人の暗い部分、嫌な部分が出ていて、時にはそれで罰が下されたりする。
1投稿日: 2020.01.23
powered by ブクログ端正な文章が最後まで乱れずに続く。テーマは、現実の出来事だったり、現実にあからさまにより過ぎない、時にファンタジックであり、伝承的であり、ノンフィクション風であり。そこに潜む謎を、独特の心理描写で読ませる。 平凡な日常を切り取った中に潜む謎がトリッキーな展開を見せることもある。様々な「面白い」が詰まった短編集。 夜警 警察学校を出たばかりの川藤が部下になった。夫が暴れているという妻の通報で駆けつけると、逆上した夫が刃物を持って襲ってきた。川藤がその場で射殺。即死かと思ったが、犯人の最後の刃で斬られて殉職した。 以前、部下を締めすぎて自殺された経験で、川藤を御し切れなかった。 臆病者と小心者という書き分けが興味深い。 死人宿 行方不明になっていた部下が見つかった。山奥の淋しい宿で働いていたが、なくなった叔父から受け継いだのだという。 そこは人気もない寂れた場所だったが、火山ガスだまりで綺麗に死ねるというので「死人宿」と呼ばれていた。事実過去に何人もの自殺者が出ていた。 露天風呂の脱衣かごに遺書が落ちていた。泊り客の誰が落としたのだろう。それは誰なのだろう。 柘榴 離婚する両親に親権をめぐって、父と住みたい二人の女の子が絞った智恵。最後に姉妹の心理が解ける。子どもの仕掛けは誰にもわからない。 万灯 海外でガス開発に携わっていたが、部族の利権争いに巻き込まれてしまう。サラリーマン同士の競合もある。勝つために手段は選ばなかった。帰国して彼は大きなミスを犯したことを知る。犯罪に負けたのではないところが面白い。意外な罠に落ちる。 関守 編集長がルポの種をくれた、チョット曰く有り気だったが引き受けた。伊豆山中の峠のカーブで続けて起きている事故死。 峠近くの関守風の店で、老女に話を聴くことにした。山道を延々と登り人恋しくなったあたりに格好の古い店がある。 入り口に小さな地蔵菩薩が祭られているのもいかにもと言う感じだった。老女は事故のドライバーがみんなその店で休んでいったという、記憶は鮮明だった、事故は同じように峠のカーブでガードレールを突き破って崖から落ちている。 思いがけない結末。短いが読み応えがある。 満願 弁護士を目指して辛い勉学に励んでいたとき、畳屋の二階に下宿させてくれたのは、人付き合い悪い、職人としても腕のない借金まみれの男だった。だが辛い受験時代が耐えられてのは、家主の妻の思いやりだった。 弁護士になってその家を出、事務所を持って独立した。 世話になった家主の妻が殺人罪で捕まったことを知る。恩返しのために弁護を買って出た。 だが、出来の悪い厄介者の夫が死んだと聞いた途端、控訴は取りやめになった。 刑期が開けて出所した妻は病死した夫の保険金で借金を払い、何とか暮らしが立てるようだった。 しかし、遭って様々な疑問をぶつけてみたい。自分なりの解釈であっているのか。 伏線もいい、解決編もすっきり納得できる。あぁそうだったのか。面白かった。 第27回 山本周五郎賞(新潮社)受賞・第151回 直木三十五賞(文藝春秋)候補・ミステリが読みたい! 2015年版 国内編』(早川書房)1位・週刊文春ミステリーベスト10 2014 国内部門』(文藝春秋)1位・このミステリーがすごい! 2015年版 国内編』(宝島社)1位・第12回 本屋大賞(NPO法人 本屋大賞実行委員会)ノミネート 面白くて止まらず、一気に読み通してしまった。
1投稿日: 2020.01.21
powered by ブクログ最高のミステリ短編集。 読みやすくお世辞抜きに全編面白い! ミステリ初心者にも勧めたい大好きな作品。
1投稿日: 2020.01.09
powered by ブクログ全六篇のミステリ短篇集。 全部一定以上に面白くて、外れがない印象。 ぞっとして硬質で色香が漂う作品もあって…。 去年か一昨年にこの小説のドラマスペシャルがNHKで放送されていて観たのだけど、それで映像化されていた「万灯」「夜警」「満願」は読みながらも映像が頭によぎった。 愛のために躊躇なく人を陥れる少女や、自分の立場のために殺人を重ねるサラリーマン、犯した過ちを隠すためにとある計画を立てる警察官…平然とした顔の裏側が描かれている作品が多くて、それが暴かれているパターンもあれば半分謎のままのものもあったり、どんでん返しまではいかない巧みな仕掛けが読んでいてとても楽しかった。 全体的に、弱い男と強い女が描かれていたように思う。いざという時腹を括る速度が早いのは、実際にも女なのかもしれない。
2投稿日: 2020.01.05
powered by ブクログ初めての作家さん。 短編集はあまり読まないが、これは、後味は悪いが早く読み進むことができた。 満願とはなんだろうか。 と読む前は思っていたが、きれい事ではない願いを達成するのはある意味圧巻。 満願とは、そういう意味なのかと理解した。 本当の人の思い願いというものは、こういうものかもしれないと思い知らされた。
1投稿日: 2019.12.27
powered by ブクログ短編集ってあまりハマれないことが多いのですが、これはほんとに面白かった。個人的に、米澤穂信ってすごいなと思いました。
1投稿日: 2019.12.26
powered by ブクログ推理小説短編集。表題作を含め6篇を収録。 全部、打たれた布石が最終的にきちんと回収されて、すっきりしたオチがあって、短いのによくできてるなぁって思った。中でも「関守」が一番ぞくっとした。読んでいたのがちょうど真夜中だったから怖さが倍増されたかも。特に最後の一文が、もう! とんでもないことを既に何度もしでかしていて、また新たにしでかそうとしているのに、語るテンションがずっと低いままで、その一定さがすっごく不気味。もうあとには戻れない人間が完全に開き直ってしまったときの手のつけられなさに圧倒された。 図書館で1ヶ月くらい前に予約してずっと待ってる「Iの悲劇」がそろそろ回ってきそう。早く読みたいなぁ!
1投稿日: 2019.12.21
powered by ブクログ短編集。初めて読んだ。 それぞれの短編が意外に楽しめた。面白かったです。 こういう短編集もアリだね。
0投稿日: 2019.12.07
powered by ブクログ評価が高く、みなさん口を揃えて称賛していたけれど、私は後味が悪いものが好きではないらしい。 それでもミステリーとして、夜警、万灯、関守はすごく楽しめた。 著者の長編が好きだな。
3投稿日: 2019.12.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「万灯」一介のサラリーマンが犯す殺人なので、殺害方法やそこに至るまでの思考が稚拙で短絡的。ビジネスチャンスを広げる執念に取り憑かれた男が堕ちていく描写が空恐ろしい。
1投稿日: 2019.12.01
powered by ブクログ6編からなる短編集。そのうち3編はドラマ化された。 人の心の中の悪の部分がじわりと染み出してくる。 ミステリで言うとホワイダニットに当たるのかな。 「夜警」「万灯」「満願」がラストでああ…となった。 「関守」も途中からおや?となって終わり方にぞわぞわした。「柘榴」が一番歪んでいる。「死人宿」はちょっと弱かった。
1投稿日: 2019.11.28
powered by ブクログ奥様おすすめ本。 ネットで少し読んだ中身に惹かれて買った短編集。 6編からなる。 これが、「このミス」「ミステリが読みたい」「週刊文春ミステリーベスト10」の 3冠なのかと思う(揶揄してるわけではなく)。 そうは言いながらも、この中で一番好きなのは「万灯」。 仕事に対する気持ち、言語も文化も違う人たちと対峙する覚悟、 主人公が人を評するときの表現、もろもろヒリヒリする。 p383 (主人公が下宿のおかみさんに連れられて調布のだるま市に行き、願の叶っただるまが供養所に投げ込まれているのを見て) あれらの達磨にもそれぞれ何か願が掛けられていたはずだ。そしてそれらは満願叶い、達磨はそれを見届けた。無数の願とその成就を目の当たりにして、私は不思議な感慨にとらわれていた。自分の学業が大成するか、司法試験に合格できるのか。自分の大事はただそれあるのみだった。確かに難関ではあるが、しかしどうしても無理と言うことはあるまい、という気が初めてした。これほど多くの願いが叶ってういるのだ。私にも道がないはずはない。思えば没論理な開き直りだが、陰々滅滅と手元だけを見つめる日々にふっと薫風が吹き込んで、悪い夢が払われたような心持がした。 新潮社装丁室
1投稿日: 2019.11.24
powered by ブクログ山本周五郎賞受賞の短編集。 法学生時代に下宿していた先の女将が、殺人罪で起訴される。弁護士として出来る限りの手腕を振るおうとするが、ある日突然控訴を取り下げると言われ…。表題作の「満願」を含む6作品を収録。 短編集なのに、一作一作が長編さながらの読み応え。70頁ほどの中に、ファンを唸らせるミステリーの面白さが詰め込まれていて、次どうなるの!?と頁を繰る手が止まりません。 個人的には、「夜警」、「万灯」、「関守」が非常にワクワク出来て良かった。
1投稿日: 2019.11.20
powered by ブクログ価値観や考え方は人それぞれ違う。 自分の物差しを元に考えると想像もできないこと、奇異に映ることも、本人にとってはごく自然なことであったりする。本書では、そんな物差しを越えた想像できない心の動きを元に事件が起きていく。時折受け止めきれず混乱しながらも、新しいものに触れたときのわくわくを感じながら読み進められた。
1投稿日: 2019.10.27
powered by ブクログ全6編の短編集。どれも面白かった。 新人警官の「夜警」、バングラディシュと日本が舞台の「万灯」、姉妹の恐ろしさの「柘榴」が面白かったが、やはり、下宿生とおかみさんの「満願」が心に響く。
1投稿日: 2019.10.12
powered by ブクログぞくぞくっとする短編集。 初めて米澤穂信さんの小説を読んだ。 張られた伏線はしっかり回収している。 個人的には柘榴の話が血は争えないと感じた。 美しくなる前に…
1投稿日: 2019.10.05
powered by ブクログこんなに読み応えのある短編集は初めてでした。 さらっと軽い感じで読もう〜ぐらいの気持ちで手に取ったけど、1つ1つの作り込まれ感が半端ない。 そしていちいちゾッとさせてくれます♡笑 若い警察官の殉職の謎に迫る夜警、仕事のために道を誤っていく商社マンの万灯、娘と父の怪しい関係を描く柘榴、都市伝説の謎を追う関守が特に好きでした。 どの話も怪しくて、毛色は違うけどこわくて。 やっぱり米澤穂信さんは間違いないなー。
2投稿日: 2019.09.22
powered by ブクログお宿やドライブスルーなど、話の舞台に現実味があってより怖さが増した。 ちょっと不器用そうだったり、 優しさを大事にしていたり、親を慕っていたり、 仕事に熱心だったり、ひっそり暮らしていたり、 物静かだったり、主人公たちはあくまで普通の人間なのに読み進めていくうちに様子が違ってくる。 ゆっくりゆっくりと静かな狂気が見えてきて、 本来の目的を守る、完璧な計画を練り 冷酷な冷静さでやり遂げようとするその姿は 穂信作品の醍醐味だけど、作品が違っても最高だった。 短篇集だけど、全ての話が なんとなくつながっているような空気感も大好き。
1投稿日: 2019.09.16
powered by ブクログ短編ながらひとつひとつに読了感がしっかりある、 個人的には「万灯」が好きでした。 気に入って何度か読み返している本の1つです
1投稿日: 2019.09.15
powered by ブクログ濃厚な短編集。後味のわるい作品が多いが、読後の満足感が非常に高い。 特に印象に残ったのは「死人宿」。ラブレターの差出人を推理するミステリは読んだことがあるが…この物語はそれとは似て非なるもので、もっと深刻で悲愴な差出人探しだった。 表題作「満願」も最後の最後でゾッとさせられた。
1投稿日: 2019.09.15
powered by ブクログてっきり長編かと思ってたんだけど、この本は6編からなる短編集だ。 で、オレの感想なんだけど・・・ 米澤穂信、やるな! いやぁ、この本・・・ 面白い! 短編なので読みやすいってのもあるんだろうけど、どれもよく構成を練られているし、ミステリーとしても「謎解き」の部分をひと捻りしてあって「ほぉぉぉ」と唸らされた。 この一冊、もちろん・・・ 一気読みした!ww 「謎解き」と言っても、「殺人事件が起きました。さぁ、犯人は誰でしょう?」っていうような直球のミステリーじゃない。 この本はそんな所に重点を置いてないのだ。 米澤穂信って、これまでは「一定の水準は超えてるけど、慌てて読まなくても良い作家」の一人だったけど、考えを改めたぞ。 これからは「積極的に追いかける作家」だ。
1投稿日: 2019.08.28
powered by ブクログ6つの短編のそれぞれのテイストが全く異なるので得した気分になる。どの作品にも、「実はこうだった」という小さなどんでん返しがあって楽しめた。一番最初の「夜警」のリアリティーの高さには脱帽。
1投稿日: 2019.08.17
powered by ブクログちょっとして謎をしつかり読ませる。伏線は親切に張りすぎの気もするが、分かりやすくて良い。 この作者名は覚えておく。
0投稿日: 2019.08.13
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
夏休み読書 短編集。わりとホラーちっく 米澤さんの長編はわりと読んでいるけど、短編集はあまりなかったかな? 芯が凍る感じ、既視感あるけど誰と同じだったかな、ちょっと思い出せない 柘榴と万灯が怖かった 裁かれている、進んでも進まなくても恐らく破滅、一縷の望みに掛けたい。でもきっとこの人は申し出るはずだ。仕事のために個人がリスクを取るなんてバカげていると私は思う。 しかし、どうだろう、命賭けてるのかな。掛けてる人はいるからな。怖いな
1投稿日: 2019.08.13
powered by ブクログ短編集は物足りなさを感じてしまい敬遠していたが、話題作だったので挑戦した結果、満足出来る一冊だった。 ざらりとした読後感。 まさにその通り。 それぞれが大事なものを守る為に一線を超え罪を犯すという五つの物語。 残り一つの死人宿だけが印象に薄い。 一番引き込まれたのは万灯。 面白い。 大小ある狂気とうすら寒い空気感。 独特の魅力がある作家さんだった。
11投稿日: 2019.08.12
powered by ブクログ「もういいんです」人を殺めた女は控訴を取り下げ、静かに刑に服したが…。鮮やかな幕切れに真の動機が浮上する表題作をはじめ、恋人との復縁を望む主人公が訪れる「死人宿」、美しき中学生姉妹による官能と戦慄の「柘榴」、ビジネスマンが最悪の状況に直面する息詰まる傑作「万灯」他、全六篇を収録。史上初めての三冠を達成したミステリー短篇集の金字塔。山本周五郎賞受賞。(Amazon紹介より) どの物語も最後に「おお!そういうことだったのか!」と思わせる、しっかりしたミステリ短編集でした。特にホラー調の話(死人宿・関守)が独特の雰囲気で面白かったです。
0投稿日: 2019.08.04
powered by ブクログ全体としては、まあこんなもんかというところ。 ミステリーは自分に合わないか。 「万灯」「関守」は楽しめた。
0投稿日: 2019.08.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ボンクラなのにミスを隠すときだけめっちゃ頭フル回転奴~~ この子の気持ちめっちゃわかる~~~~(涙) というわけで「夜警」が一番面白かったです
0投稿日: 2019.08.01
powered by ブクログ店頭で帯を見て、テレビとかで作者さんが紹介されていたのを少し記憶していたのであまり躊躇せず購入した本。 関係性のない話を集めた6編の短編集。 全編を通してなかなかにダークなイメージ。 「夜警」こんなやつが警察官になったら嫌だと思うのと、最初の三木のときにもう少しやりようがあったのではと思わせる。 「死人宿」そんな視点も必要だったかと思わせられた。 「柘榴」何歳だろうと女は怖い。の一言で済ませたら悪いかな。 「万灯」仕事人間にもほどがある。裁かれている、と感じているところでようやく人間としての尊厳が残っていたことを感じさせるのかな? 「関守」都市伝説なんてちゃんと裏がある。婆さんにこにこしながら怖いです。 「満願」これは秀逸。やはり女は怖いね。 う~ん、こんなざっくりしたことしか書けない自分がもどかしい。 すごく重くのしかかってくるような感覚を覚えつつ、読後感はさほど悪くないような気もしているのが不思議。
1投稿日: 2019.07.31
powered by ブクログ米澤穂信さんの作品は、『インシテミル』しか読んだことがなかったので、初めてのミステリー短編集だった。 最初の夜警が重く、とても印象に残った。 短編でありながらも、ミステリーの精度が高く、大満足できる短編集。
1投稿日: 2019.07.09
