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海と毒薬(新潮文庫)
海と毒薬(新潮文庫)
遠藤周作/新潮社
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総合評価

577件)
3.9
148
217
141
13
5
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    日本人とはいかなる人間か 戦争末期に実際にあった米軍捕虜の生体解剖事件を小説化した作品。 登場人物である勝呂と戸田、2人の心情は理解できるようで難しい。私はどちらかといえば勝呂の方に共感できた。 『留学』『沈黙』も気になる。

    0
    投稿日: 2015.06.28
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    最終的に「あなたはどう思いますか?」と問題を突きつけられて、読んだ後も考えさせられる作品でした。さすが遠藤周作・・・。

    0
    投稿日: 2015.06.07
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    少々ネタバレです。 私にとって二冊目の遠藤周作。 第二次世界大戦中の九州大医学部で起きた、米兵捕虜を生きたまま解剖する、というおぞましい事件を題材にした小説。 作者が、神なき日本人の罪の意識や、民族性を描き出そうとした問題作。 上記の解剖シーンと比較される目的で、他二件の臨床シーンが出てくる。ひとつの焦点は、敬虔なキリスト教信者(教授の外国人妻)が「神が怖くないのか」と正しくあろうとする姿とその行動に嫌悪・嫉妬する看護師の心の動き、もうひとつの焦点は、故意ではなく手術の失敗によりある患者を死に至らしめてしまったその際の医師群の動揺と行動。 結局日本人の罪の意識がどうだったかというと、これは個人毎の人生の経緯、価値観、感受性によって異なるようで、日本人だからこう、とは言えないように思った。何か特定の宗教を熱心に信心していたからといって、必ずしや道徳に反かずにきれいに生きられるとは限らない。戦争中なら尚更だ。(むしろ宗教がきっかけとなり始まった戦争の多いこと…。) このテーマを、戦争中という正常でない時代の出来事に落とし込んだのは、少し残酷な気がする。 しかし、生体解剖中の傍観者たちの描写には、日本人特有の同調圧力のようなものがうまく表れているように思った。 そしてその手術が終わった後、そっと手術室に戻った二人の医師を描いた場面が秀逸。胸を締め付けられた。 すごく良い小説だった。やはり名作と名高いものには理由がある。生涯に渡り手元において何度も読み返したい。

    2
    投稿日: 2015.06.02
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    最初、何かが始まりそうな気配だったけれど、そのあとずっと人物の過去の話で引っ張られていた感。 なかでも戸田の少年時代の章はこわかった。 でもこういう誰にも話していないきわどい体験や感情ってきっと誰もあるんだ。 米兵の人体実験なんていうおぞましいテーマだが、昔は人の考えも今ほど成熟していなかった時代、今よりも怖いことはたくさんあったと思う。 良心の呵責や罪悪感を感じない自分というものへの疑問。 これも時代のせいなのか。 今から50年以上も前の小説。 今たくさんの問題があるけれど昔に比べたら幸せなんだと思わされる。

    0
    投稿日: 2015.05.27
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    人間の良心とは何か?を問う物語。 太平洋戦争中に、捕虜となった米兵が臨床実験の被験者として使用された事件(九州大学生体解剖事件)を題材とした小説。 元々著しく良心というものが欠如している人間も確かにいるとは思うけれど、本来多くの人は良心というものを持っているはずで、それによって自分の行動に制限をかけたりする。 私自身、自分の醜い思いや考えにぞっとする瞬間はあるけれど、ぞっとするということは良心や理性が働いているから。 だけど時代によっては普段とは逆のことが良しとされる場合もある。洗脳のようにそれが刷り込まれる場合もある。 戦争だってそうで、おそらくその時代は一人でも多くの人を殺すことが良しとされていて、そういう最中では倫理観にも狂いが生じるのかもしれない。 この小説はまさにそういう時代、日本人の医師たちが、捕虜のアメリカ人兵士を人体実験に使うまでが描かれていて、何も感じない者もいれば最後まで良心の呵責に悩まされる者もいる。 それぞれの立場、野心、性格、正義感、いろんな要素が絡み合う。 その心理が動く様が生々しくて、人間の恐ろしさを深く感じた。 実際あった事件が題材になっているから、当時批判もあったそうで、著者が当初は続編にも意欲的だったけれど結局はっきりとした続編は書かれなかったらしい。“続編らしき小説”はあるみたいだけど。 こういう人間の恐ろしかったり醜い部分を抉り出す小説の逃げない姿勢がとても好き。怖いけれど真理だと思う。 個人的には、罪の意識って便利なものというか、「罪の意識があったからやらなかった」なら分かるけれど、実際やってしまった後に口にする「罪の意識」ってずるいと思う。 殺人などの重犯罪だって、罪の意識があるかないかで裁判の結果が変わったりする。やったことの中身はどっちでも同じなのに。 そういう意味でも、人間の良心って何だろう、と考える。 周りの人間や状況に合わせて変える良心なんて、最初から良心とは呼べないのかもしれない。

    5
    投稿日: 2015.05.12
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    戦時中の病院の様子、生活の様子がみてとれて興味深かった。何度も読み直したい。 正常と異常の境、それはわかりやすい形で手にとれるものではなく、知らぬ間に近所に潜んでいるものなのかもしれない。

    2
    投稿日: 2015.03.30
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    遠藤周作 の 海と毒薬 読了。 戦争末期の恐るべき出来事――九州の大学付属病院における米軍捕虜の生体解剖事件を小説化、著者の念頭から絶えて離れることのない問い「日本人とはいかなる人間か」を追究する。解剖に参加した者は単なる異常者だったのか? どんな倫理的真空がこのような残虐行為に駆りたてたのか? 神なき日本人の“罪の意識"の不在の無気味さを描き、今なお背筋を凍らせる問題作。【アマゾンから引用】 この本で 九州大学生体解剖事件があったことを知った。この前読んだ三島由紀夫の#青の時代 みたいな、実際にあった事件を小説化してる。すっっごいドンヨリしてドロドロして 罪の意識の違い、2人の医学生の葛藤が陰気に描かれてる。個人的にこういうの好きです。youtubeに海と毒薬の映画化の予告編あって観たけど、雰囲気出てて凄い良かった。この解剖事件について気になる人、是非読んでください観てください。読んでてピンっときた1行があった。 "やがて罰せられる日が来ても、彼らの恐怖は世間や社会の罰に対してだけだ。自分の良心に対してではないのだ。"

    0
    投稿日: 2015.03.27
  • 戦争と命と

    10代の頃一度読み、正直よくわからず、ただずしっときた記憶は残っていました。今回Readerで見つけて読み返してみましたが…。 ひとりの力では抗うことができない「戦争」という大きな力の中に身を置いているうちに、何かが狂っていっている感じが、すごく重く感じました。 命の重みを感じても、誰にもどうすることもできない。主人公は医者として、言ってみれば命を操ってしまうタブーを犯したことで、すべてを鎖してしまう。 いっそ感覚をマヒさせて、狂ってしまえば楽と思ってしまいそうなところが、戦争の怖さなのかなと思います。 そんな単純な話ではなく、もっと感じなくてはいけないことはあるのだとは思いますが、心に重く響く、私は今はそれだけで十分かなと思いました。 もっと年齢を重ねたときに、また読んでみようと思っています。

    1
    投稿日: 2015.02.25
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    戦争末期におきた一つの事件を題材にした中編。物語は、複数の人物の一人称による語りと三人称による記述とで構成される。視点の変化によって事件の「風景」が際立つ。 ある年代よりも下の世代のものにとっては、軽い随筆に長けた「狐狸庵先生」だったり、インスタント珈琲のテレビコマーシャルの中の「違いのわかる男」だったりと、洒脱な印象に親しみがある著者の、純文学作家としての作品である。「狐狸庵先生」が、著者が自らのために創造したキャラクターだとすれば、本書は、純文学者としての著者自身の思いを強く投影している。扱われている題材はセンセーショナルであるが、作家性の高い創作性こそに本書の価値はある。 著者は、中盤では親鸞聖人の和讃を引用する。「五十六億七千万 弥勒菩薩はとしを経ん まことの信心うる人は このたび燈をひらくべし」 三木清はその著書「親鸞」の中でこう書いている。「自己を時代において自覚するということは、自己の罪を時代の責任に転嫁することによって自己の罪を弁解することではない。時代はまさに末法である。このことはまた時代の悪に対する弁解ではない。時代を末法として把握することは、歴史的現象を教法の根拠から理解することであり、そしてこのことは時代の悪を超越的な根拠から理解することであり、そしてこのことは時代の悪をいよいよ深く自覚することである。かくてまた自己を時代において自覚することは、自己の罪を末法の教説から、したがってまたその超越的根拠から理解することであり、かくして自己の罪をいよいよ深く自覚することである。いかにしても罪の離れ難いことを考えれば考えるほど、その罪が決してかりそめのものでなく、何か超越的な根拠を有することを思わずにはいられない。この超越的根拠を示すものが末法の思想である。」 時代の中で摩耗する心を暗い闇の物語として作者はどのように描いたのか。その闇の奇妙なリアリティこそが本書のもっとも特質すべき点だろう。

    0
    投稿日: 2015.02.12
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    たぶん4回目。読んだ後は重いテーマにやられてしまうのだが、数年経つと手が伸びて、引き込まれて、あっという間に読み終わる。まさに毒薬。

    0
    投稿日: 2014.12.17
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    古さを感じないリアリティと圧倒的な暗さ。 読んでて鉛を飲み込んだような気分になる。 日本人とは何か、がテーマらしいが、 「人間とは何か?」に置き換えていいと思う。 普遍的な問題提起をしている一冊。

    0
    投稿日: 2014.11.04
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    高校の課題図書で無理して読んだ本。こういうジャンルは苦手ですが、まだ若かった私には内容がかなり強烈で印象に残っています。深く暗い海の底でどんより漂うようなそんな雰囲気の本です。あまりに重い内容で、イヤイヤ読み進めた思い出があります。

    0
    投稿日: 2014.10.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    遠藤周作の本は、今までに、「わたしが・棄てた・女」、「沈黙」と「女の一生<第一部・キクの場合>」の3冊を読みました。この中では「沈黙」が好きでしたが、海と毒薬の方が良かったです。 感動する内容ではなく、他の本と共通するのは、救いがないというところでしょうか。よく知られているとおり、遠藤周作はキリスト教と縁が深い人で、「沈黙」はその神の存在に疑問を投げかける内容でした。海と毒薬には、あまり神は出てきません。 テーマは、若い医師たちの葛藤です。自分の仕事に信念を見いだせないという部分や、情熱を失って、感情が麻痺し、冷めてしまった自分に対し、「これでいいのだろうか」と悩む部分は、大いに共感しました。夏目漱石の「こころ」を思い出しました。 文章全体を通してとても読みやすく、舞台が九州の小説にありがちな、方言がきつくて読み進められないことがなかったので、楽しめました。文章のうまさには脱帽です。それにしても、彼の本には、幸せそうな人は滅多に出てきませんね。"

    0
    投稿日: 2014.09.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    暗く、気味が悪く、読み進めるのが苦しかった。 人は一度罪を犯すと心は麻痺して死んでいくのだろうか。 それにしても50年以上前の作品なのに、戦争の最中であることを省くと年代を感じないからすごい。

    0
    投稿日: 2014.09.15
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    生体実験の場面はもっとグロいかと思ったが、登場人物の心理描写を中心に描かれていた。衝撃的な題材を扱っているが、読んでいてそれほど衝撃は受けない。 勝呂が話の主軸になるのかと思ったら、上田看護師や戸田の回想が入り込んだりして何となく焦点がバラけた感じがする。特に戸田の回想は読んでいて嫌な気分になる。直ぐ前に読んだある作品のある人物を思い起こした。非常に身勝手で自分以外の人間は物体のようにしか考えていない。ただ、こういう気持ちは誰にでも存在する。恐ろしいことに。

    0
    投稿日: 2014.09.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    この本を読むきっかけになったのは、8月ということで戦争の特集が夕方のニュースでやっているのを偶然見たからです。 戦時中九州大学医学部で学んでいたおじいさんがアメリカ人捕虜を生きたまま解剖したという痛ましい事件に関わっており、そのことに関してインタビューを受けているものでした。 地元福岡の身近な存在の大学でそんなことが!と結構な衝撃でした。 おじいさんは、「戦争の狂気が恐ろしい」と言っていました。 で、ふと立ち寄った本屋さんでこの本と出会い、読んでみたのです。 読み始めは平凡な戦後の日常から始まるのですが、 ちょこちょこ不気味な表現が出てきて、これからなんかありそうな雰囲気満々でした。 戦後は平凡に暮らしている町のおじちゃん達が戦時中は兵隊として働いて人殺しをしていた。 お医者さんがアメリカ人捕虜を生体解剖していた。 そういうのがテレビで見たおじいさんの言う「戦争の狂気」なんだろうなあ。 とても人道的にはよろしくないけど、言いようによれば、生体解剖によって知り得たことが今後の医療の進歩になる。 敵国のアメリカ人だしいいじゃないかと。 そんなふうによろしくないことを正当化してしまう。 そして、日本が負けたからこの事件が裁かれたんだろうけど、日本が勝っていたらきっと罰せられる事にはならなかったでしょう。 もしかしたら公になってないだけでアメリカ側も日本に対して似たり寄ったりの事をしていたかもしれない。 何が罪なのかってそのご時世、世論によって決まっちゃうから恐ろしい。 なんだか色々考えさせてくれる本でした。 エンターテイメントばかり求めるのでなく、たまにはこういう本読んで見るもんだと思いました。

    0
    投稿日: 2014.08.29
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    【本の内容】 腕は確かだが、無愛想で一風変わった中年の町医者、勝呂。 彼には、大学病院の研究生時代、外国人捕虜の生体解剖実験に関わった、忌まわしい過去があった。 病院内での権力闘争と戦争を口実に、生きたままの人間を解剖したのだ。 この前代未聞の事件を起こした人々の苦悩を淡淡と綴った本書は、あらためて人間の罪責意識を深く、鮮烈に問いかける衝撃の名作である。 解説のほか、本書の内容がすぐにわかる「あらすじ」つき。 [ 目次 ] [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]

    1
    投稿日: 2014.08.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    太平洋戦争終戦間近に、福岡の大学病院で行われた米軍捕虜の生体解剖事件をテーマに書かれた小説。 終戦後、関東郊外で開業医を営むことになる医学生。生体解剖には積極的でなく、病院の派閥争いにも興味がない。 上司である医師の、病院での権力奪還を助けるためにも、生体解剖に積極的に関わった医学生。 満州で夫に捨てられて、日本の病院に戻り、やけばちで生体解剖に臨んだ看護婦。 3人の視点で描かれる。 プロローグが浮いていたり、構成に違和感がある。 海とは病院の屋上から眺められる海。登場人物の心象描写にしばしば用いられる。 毒薬とは何なのか。

    0
    投稿日: 2014.08.17
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    太平洋戦争の捕虜が人体実験されたという内容の小説である。 恐ろしく、おぞましい戦争の裏でこのようなことがやっていたとは、驚きと、信じられなさが真っ先に出てきた。 人体実験のときに、医師、看護師の心の中には、生きている人を生きたまま殺してしまうという残酷さが浮かんでいたのではないかと思う。こんなことをして良いのだろうか、誰のためにやるのか、人体実験させられた捕虜はどういう気持ちなのか、これが今後のことに役に立つのだろうかという気持ち、というような罪の意識があったのだろう。なぜ、人体実験をする必要があるのか、考えさせられるものであった。 また、実際の話を元にしたフィクション作品であるが、戦争の終戦の裏で起こったことについて、勉強になったと思う作品であった。

    0
    投稿日: 2014.08.15
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    ノンフィクションではなく、これはあくまで小説。解説の佐伯彰一氏の言うとおり続きを書いてほしかった。僅かにもどかしさが残る。

    0
    投稿日: 2014.08.06
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    生体実験の話。 米軍捕虜の肺を切除したら どのぐらいまで生きてられるのか。 って。 淡々としていたんだけど、 とんでもなかった。 それぞれの歪みの描写が とても分かり易かった。

    1
    投稿日: 2014.07.30
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    夏休みの課題図書。夏文庫の特装カバーが好きなんだ。 日本人とはどんな民族かみたいな主題はあまり好きではなく。日本とか民族とかふわっとして大きい大きいものに統一感なんてありえるのかなぁなんて思っていて。これは0年代の教育とか911を経てインターネット時代を生きる若者ならうっすら持っている感覚なんじゃないかなぁと思ってるんだけど。政治色帯びてくるからもうやめよう。 罪の意識と恥の文化なんて言葉もあるけど。改めてどっちが良いとかではないなぁと。でも書かれた当時は逼迫した問題だったんだろうな。

    0
    投稿日: 2014.07.29
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    ノンフィクションかと思って購入してみたが、実際は、事実をベースにしたフィクション。巻末の解説を読むまで、フィクションとは気付かなかったが・・・ 実際のところ、本当の関係者はどんな心境だったのだろうか?と推測してしまう。 同じ作者で、人間の深層心理を描いた作品が多数あるので読んでみたい。

    0
    投稿日: 2014.07.24
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    なんとも読後にもやもやとする作品だ.生体実験を手伝うこととなった研究生の勝呂と戸田,看護師のノブ.「日本人の罪の意識の不在の不気味さ」がテーマだという.生体実験という非人道的なことに手を下す人々の罪の意識は希薄で,むしろ自分の成り行きを合理的に捉えようとさえする.勝呂医師は,それを実行こそできなかったが,自分の態度を明確に伝えることからは逃げてしまった.日本人の影の一面が露にされている.

    0
    投稿日: 2014.06.08
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    小川洋子さんの紹介文を読んで、初のご対面。いや、国語の授業とかでお会いしたことがあるかもしれませんが… 前半の緊張感がすごすぎて、後半は結構流し読みしてしまいました。 やっぱり私にはハードル高い…かも? 2014/5/8読了

    0
    投稿日: 2014.05.24
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    日常に潜む非日常。様々な人々の視点・立場から見るひとつの事件。戦時の話だが、現代にも通ずる人間の核心のところ。 章によって話し手や主役が変わるが、違和感なく読み進められた。話も(解説には)単調、とあったけど全然!熱中して読めた。

    0
    投稿日: 2014.05.21
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    罪の意識とか人の生死とか。 目をふさがずに「意味」を問わねばならない、問うても答えの出ない時代でした。

    0
    投稿日: 2014.05.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    戦時中に九州帝国大学の付属病院で起こった、アメリカ人捕虜の生体解剖実験をモチーフにした本。 この本には二人の主人公が登場する。ともに医師になり間もない勝呂と戸田だ。 ともに、のちにアメリカ人捕虜の生体解剖にアシスタントとして立ち会うこととなる。 解剖前の、医者を信頼しきった善良な捕虜の顔を、自分は一生忘れることはできない、と勝呂は心の中で叫ぶ。 一方幼少から人の眼や社会の罰は恐れるものの、良心の呵責を感じたことのない戸田は、今回の事件でもとうとう良心の呵責を感じることができなかった。 作中を通じて、勝呂は自らの良心に悩み、また戸田は自らの良心の欠如を嘆く。 「良心」とはなにか、考えさせられる作品。

    0
    投稿日: 2014.04.21
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    第二部にあたる「悲しみの歌」をまだ手に入れてないが ぜひとも読みたいと思わせる内容だった 日本人とはいかなる人間かを追及した本って 文庫カバーの裏に解説が載っていたが 残念なことに自分には、それについて書かれているかどうかわからなかった しかし、違った側面から戦争を知りたいという人には オススメしたいなとオモッタ とても閉塞感漂う文章が、結構痛々しいし 正直、救いのない話だけど 罪とか罰とかって、時代によって違うんだなと ちょっと薄っぺらい感想で申し訳ないけど そんな風にオモッタ 星は3つ

    0
    投稿日: 2014.04.18
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    遠い昔に読んで、ショックを受けたけれども内容も忘れてしまったため、大学時代から何冊も買い直し、電子書籍版まで購入してしまった1冊。一部実際にあった医療過誤と人体実験を描いた傑作。 終戦直後に書かれたとは思えない、章ごとに視点が転換し、核心へと向かっていくストーリー展開に加え、背景の人間模様が見事。様々なレビューで、本作の最も大きな出来事である米軍捕虜を用いた人体実験について述べられているが、どうしようもない押しつぶされそうな表現、現場に出なければならない背景と葛藤の部分こそ、本来賞賛されるところではないか。時々出てくる宗教観も全体の雰囲気を締めている。

    0
    投稿日: 2014.04.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    人間の内面をほりつくす作品。医学界の衝撃事件に携わる人々が、どのような過程を経て、目の前の出来事に向き合っていくか。戸田は世間や社会の目が怖いことはあるが、良心の呵責を感じたことはない、という。少年時代に裕福な医者の家庭で育った戸田にとって、大人を嘲ることすら自然に行う。そんな戸田も、「生きた捕虜を解剖すること」には「戦争で死ぬのと一緒や」と言ってのけた。しかし手術後、彼は自問自答を繰り返す。良心の呵責を感じてよいはずなのに、感じられない。そんな自分を「冷酷」とは思わず、「不思議」と表現する。 全体を通して、素直ではない、人間の本能をあぶりだしていく。現代社会ではあまり創造し難い状況だが、だからこそ共感できる部分、できない部分を自分なりに噛み砕いて解釈すべきだと思う。  この戦争の時代は、運命を受け入れよう、諦めようという傾向が強く感じられる。世の中の不条理さ、理不尽なことに対して抗えないこともある、そう感じる一冊であった。  はじめに現在のことを述べ、後半に登場人物の過去を語るやり方は、読み手の興味をそそられる。小説の構成の高いレベルを感じた。

    0
    投稿日: 2014.03.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    戦争末期に九州の大学付属病院で実際に行われた、米軍捕虜の生体解剖実験を小説化した事件小説。佐伯彰一が書いた解説にあるように、日常の傍らに非日常が存在しているのだということをよく表している作品だった。作品の導入から始まり、事件のあらましがあっただけで、中途半端に終わっている気がした。その点が残念。

    0
    投稿日: 2014.02.23
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    戦中に行われた日本人医師と軍部による米兵捕虜への人体実験の話をモチーフとした小説。さすが名作と言われる所以あり、読ませ、そして考えさせられた。Kindleにて購入のため、著者のあとがきがついてなかったがググってみたところ、本著のテーマは『神なき日本人の罪の意識の不在』との事だった。 「善悪とはこういうものだ。人生とはこういうものだ」 神の名のもとに生きるなら人生は少しだけ楽になるのかもしれないが、私をはじめとした日本人の大凡はその道を選ばなかった。そしてそれは、全てにおいて「確信」がない我々を形作っている。  日本人にとって人生は自分で定義しなくてはならないもので、生き方が多様化している昨今ではその事による 「悩み」はさらに強まるのかもしれない。

    0
    投稿日: 2014.02.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    高校生の時、何気に借りたビデオを観ました。そっちのほうはなぜか白黒だったのと、映像の気持ち悪さしか覚えてません。 でもなんだか気になったので続けて原作を読みました。 25年ぐらい前に読んだ感想もはっきり思い出せないけれど、戦争というのは尋常じゃない感覚に陥ってしまうもんなんだなぁと思ったことは覚えています。

    0
    投稿日: 2013.11.30
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    この作品は以前、私が高校生だった頃 何か読書感想文を書かねばならない、という時に 短そうだからという安易な理由で元は購入したものである。 その時の記憶では、 なんとなく遠藤周作って暗い雰囲気の本を書くんだなー くらいの認識しかもちあわせていなかった。 今こうして読んでみると、 確かに全体として短調のトーンで描かれている。 だが単に暗いイメージを持たせるような書き方ではなく、 何というか、一つ一つのフレーズが心の奥底に鐘のように響き渡る 印象を得た。 読者としてはその鐘の響きを更に自分の中で反芻しながら読んでいった結果、気づいたら終わっていた、という感覚であった。

    1
    投稿日: 2013.11.25
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    戦時中の日本人の残虐な有様に嘆き、「死ぬことがきまっても、殺す権利はだれにもありませんよ。神さまがこわくないのですか。あなたは神さまの罰をしんじないのですか」と声を荒げたヒルダ。人の痛みや死に対して全く恐怖を覚えず、自身の内に「良心の呵責」の存在を見出すことができず、そんな自分に恐怖を覚える戸田。実験台にした米軍捕虜の肝を宴の場で披露する将校たち。米軍生体解剖に恐怖し、何もできなかった勝呂。実在のこの事件に関与した日本人の精神はどうなっていたのであろうか。神への畏怖の不在か、戦争という全人類の狂気の沙汰に扇動させられたか。はたまた、日本人はもともとそのような民族であったのか。 当時の日本人にも神はいたであろう。だがそれは西洋のキリスト教のように、インターナショナルで普遍的なものではなく、あくまで全体主義的な狂信のもとに形成された天皇崇拝というものであり、自国の発展のためであれば、他国の排除、殺戮をも厭わなかった。米兵を生体解剖しようが、自分たちの「神」からは罰など下ってこないし、そもそもそのような考えが脳裡をかすめることすらなかったのかもしれない。倫理観の欠如と捉えてしまう。 さらに戦争という当時の状況も大きく寄与しているのであろう。「どうせ生きていても空襲で死ぬ」という諦念が病院に蔓延しており、黒い海と連なって不気味な雰囲気をかもし出している。そのような状況下で、人々は平常時のような判断ができなくなっていったのではないか。「おばはん」が死んでからの勝呂や上田は、もはや戦争に勝とうが負けようがどうでもいい、とまで思い出す始末だ。空襲を受けている市街地から隔離された病院だけに、一層その思いは強まるのであろう。海は、病院で交錯する、人々の不気味な感情を象徴しているように感じられた。

    0
    投稿日: 2013.11.16
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    私の進路に、最も影響したかもしれない本。 とにかく考えさせられる。日本人とは何なのか。こんなに薄い本なのに、訴えてくる内容は重くて、難しい。

    3
    投稿日: 2013.11.11
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    沈黙 戦争 死 贖罪 考えさせられることは多く、 読んでいてこんなに重い気持ちになった作品は後にも先にもきっとこれだけ。

    0
    投稿日: 2013.11.04
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    人体実験なんてもってのほか、という思いで読み始めるのだけれど、登場人物のそれぞれに共感というか、なんとなく分かるな、という気持ちを抱いてしまう。 これをしてはいけません、あれはだめです、と小さい頃に教わったことはたくさんあるけど、本当に自分がその場に立った時、確固たる根拠もないそんな教えに従うほど人間って単純に出来ていないと思う。従わないことで罪悪感を覚えるのは確かだけど。

    0
    投稿日: 2013.11.04
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    罪と罰、それに対してどう向き合うかは、本当に人それぞれ 各々の考えを頭ごなしに批判することは簡単だけど、結局は表面的な議論しか出来ないと思う この本の事例になっている生命倫理を挙げたって一言では片付けられないし、一般的に目を背けているふしがあることは否定出来ないはず とどのつまりは、何を「罪」と感じ、どんな「罰」が与えられると考えるのか それを一般化することは出来ないんだろうな まぁとりあえず、上記のことを考えるには聖書は不可欠

    0
    投稿日: 2013.11.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    太平洋戦争中、捕虜の米兵を臨床実験の被験者にするという実際に発生した事件(九州大学生体解剖事件)を題材とした小説。神なき日本人の罪意識がテーマ。第5回新潮社文学賞、第12回毎日出版文化賞受賞作。 リーダビリティーが高く、引き込まれた。 凝った創り。すべてが終わったところから始まって、事件の始まる前に遡り、関係者それぞれの状況がそれぞれの立場からの一人称で語られ、事件の最中、事件直後の描写へと続く。 事実に基づいているだけあって、空気感が圧倒的。 物資がなく命が他愛なく消費される殺伐とした戦時中の時代の空気は重苦しく、肺結核で死んでいく患者達の描写はカミュのペストを彷彿とさせる。 あらすじを知って、731部隊やナチスの人体実験を思い浮かべ、凄惨な描写を覚悟して読み進めていたので、病院の臨床実験のくだりの描写の薄さは拍子抜けだったが、だからといってテーマの重さは変わらない。 タイトルの「毒薬」が「原罪」を意味しているのは明白だが、「海」は何だろう。 自分が読後思ったのは、過去から未来へと連綿と続いていく人の営みだ。 寄せては返す波のように、時代の振り子は揺れている。

    3
    投稿日: 2013.10.14
  • 日本の罪の欠如

    私が遠藤周作を読むキッカケとなった作品です。昔の作品ですが、今でもこの小説が持つ力は健在です。 小説では戦争捕虜を殺しても何も感じないにもかかわらず、医院の上層部の親戚を手術で死なせた場合は、「人を殺した」という罪が芽生えるという話があります。このように書籍説明にもありますが、日本人の罪の意識の不在を扱っており、これは現代でも、顕著ではないのでしょうか。例えば、小説の話ほどの深刻さではないですが、不祥事の責任を逃れたり、または自分に非があるのに何とも思わなかったという記憶があるのではないのでしょうか? 戦時中の事件を題材に、罪について深く考えさせられた小説でした。

    0
    投稿日: 2013.10.11
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    「海」と「毒薬」は何の比喩か。物語の内容とはあんまり関係ないけど、大学のときの教授が「倫理は内面から出てくるものだからある程度ゆるぎないけど、道徳は外圧だから状況に応じてかわるものなんだよー」って言ってたのを思い出した

    5
    投稿日: 2013.09.26
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    「……もっとも俺だけじゃないがなあ。シナに行った連中は大てい一人や二人は殺ってるよ。俺んとこの近くの洋服屋――知っているだろう、――あそこも南京で大分、あばれたらしいぜ。奴は憲兵だったからな」 2013/09/17-09/22

    0
    投稿日: 2013.09.14
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    良心の呵責を感じなかった心、状況とは?異常とは見なされず普通に描写されている人物像に神、罪、そして罰とはを考えさせられる。

    0
    投稿日: 2013.09.06
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    戦争末期、九州の病院で行われた米軍捕虜の生体解剖という忌まわしい事件を基に描かれた作品。七三一部隊のような内容かと思って読んだ。でもそこはさすがにカトリック教徒作家さん。人間の原罪について深く考えさせられた。 今まで、戦時下の異常な風潮・教育の下で善悪も捻じ曲げざるを得ない世の中だったから仕方ない、誰もが皆被害者だと思っていたのだが、果たして本当にそうだったのだろうか。「それ」を選ぶのは「自分の意思」だとしたら・・。 しかし本書は当事者を裁いているわけでは決してない。 自分はどう選ぶのか、生きるのか。そう、まさに原罪。

    0
    投稿日: 2013.09.03
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    確か実際にあった事件が題材になっていたと記憶する。 これが本当にあったと思うと,非人道的であり,嫌悪感を抱く。直接的な原因ではなくても,戦争によって人間の道徳心が崩壊されたのであれば,あまりにも酷い話である。

    2
    投稿日: 2013.08.27
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    読んだ後、問いかけられる小説。 印象的だったのは、戸田の感覚。 私としては、ちょっと信じられないけれど、あ、こういう感覚で生きてる訳ね。と、重なる医者もちらほら。 日本人の罪悪感って、社会や世間の目だけではないけど、そこに重きを置いてる人がけっこういるのは確か。 欲や保身から、長いものに巻かれる人が多い気がする。 確かに、外国人の方が純粋だと感じることはよくあるのだけど、過激だと思う一方、日本人て静かで、自分の意見を言わない割に陰湿。等々。 私なりに色々と考えることがあった。 現代よりも当時の方が日本人特有の倫理観は濃かっただろうから、ましてや戦争中であるし、よけいに対比され易かっただろうか。 戦争って、日本人、欧米人の倫理観って、人間って。 という問いがどんどん出てくる。 これぞ小説。

    4
    投稿日: 2013.08.14
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    日本人とは何かについて、米軍捕虜の生態解剖調査事件を背景にして書かれた作品。 作品の中で出てくる人物の考え方は、自分が普段善悪の判断をする際にするものと似ている部分があり、恐ろしく思った。 そういった、日本人のベースにある考え方を、日本人でありながらにして鋭く指摘し描写していることはすごい。

    0
    投稿日: 2013.08.10
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    サスペンス的であり、狂った状況下での人間の心理・懊悩を描いた考えさせられる本でもあり、更には事実を基にした小説でもあり…。 人間とはかくも正気と狂気の境があいまいなものなのか。 非日常と地続きの日常。罪と罰。 改めて驚くのは、この本がもう50年も前に描かれ今も全然古びていない事。 読み継がれている本は”強い”。

    0
    投稿日: 2013.08.01
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    1日で読了。前に読んだことあると思われる。読み易い。 社会的制裁でしか罰を感じ得ず、良心の呵責が起きない自らに落胆した戸田。自らの不況をかこちながら、その復讐の世界に没頭する看護婦。打ち寄せる波に浮遊する破片のように、半ば自暴自棄に環境に流される勝呂。神や仏を信じ、教義の尺度に善悪の判断を委ねる教授の妻や患者たち。 日本人は誰なのだろう。自分は誰のようになるのが良いのか。 人体実験の対象となる捕虜の細かな所作や生い立ちや仕草に思いを馳せ、自分に置き換えて、痛みを考えることができるのか。そうしないといけないのか、そうするべきか、そうできるかを問いかけられているような気がした。

    0
    投稿日: 2013.07.24
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    「沈黙」を読んで、遠藤周作の他の本を読んでみたくなって読んでみました。でも、沈黙ほどの引き込まれるような感じはなかったです。 内容は終戦直前の日本でアメリカ人捕虜を生体実験して殺した大学病院の医師などの話。告発するような感じではなく、日本人とは?という問いが投げかけられているようです。 当時の社会背景やそこに生きた人たちの追い込まれ、自虐的、あきらめた空気や状況下、なにに価値を求めていきていたか。痛切なものがありました。

    0
    投稿日: 2013.06.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    戦時中の病院で起きてしまった捕虜を使った人体実験。 重苦しい内容に輪をかけて、戦争に疲れ果て、考えることを放棄してしまった人々や、海の描写が物語をより息苦しいものに変えていく。 読後感のやりきれなさは半端無いです。 意識しないと呼吸が難しい。 喉の奥、もしくは胸のてっぺんあたりに何か黒い塊のようなものが詰まってしまったような感覚。 日本人だけじゃない。 きっと多くの人間が、同じ環境下で同じことをやるのでしょう。 それとは別で、物語が勝呂の過去へと遡った後、現在へ戻らないまま終わってしまったのには少々面くらいました。

    0
    投稿日: 2013.05.17
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    戸田は他人によって自分が不利になるのを恐れ、勝呂は他人の目が自分を突き刺すのを恐れる。 勝呂は事件後も生きているが、戸田はどうなのだろう。他人からの現実的な断罪により、滅んでいる気がする。 でもそれは、戸田に嫌悪感を催す自分の希望なのだろうか。

    0
    投稿日: 2013.05.12
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    命の価値を測るのは人間であり、神ではない。しかし、人間は神と思われるものの価値で動いている人間もいる。その神の概念を作ったものは人間である。結局のところは人間を追及しなければならない。

    0
    投稿日: 2013.04.20
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    「(ほら、今、俺が血圧計をのぞいたんや。首を動かした。これが人間を殺している俺の姿や。この姿が一つ、一つフィルムの中にはっきりと撮られていく。これが殺人の姿なんかな。だが、後になってその映画を見せられたとき、別に大した感動が起こるやろか)」 いわゆる世間で「大それた」と見做されていることを僕はおこしたことはないのでアレだが、確かにその瞬間というのは意外にも冷静に迎えるのではないか、という気がする。 その当人に与える「大それた」ことの影響は、イメージとは裏腹に、その瞬間的に与えるインパクトとして現れてくるというよりも、本書の主題にあるように、当人の脳内にじわじわとこびりつくようにして現れてくることのほうが多いのだろうと思う。 そういう意味で、本書は「罪と罰」をテーマにしているが、この「罪と罰」というシステムこそ、「大それた」ことを産み出しているマッチポンプ的な役割を果たしているわけで、なんというか何が言いたいのかよくわかんなくなってきたのだけど、多分そういうことなのだ(適当)。

    0
    投稿日: 2013.03.27
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    あらすじを書くまでもない名作ですが、ざくっと書くと戦後すぐの話、F医大で行われたという米兵を解剖実験した医師の気持ちを追うというお話です。 この本を読んで強く感じたのは、いわゆる「罪と罰」。人間の悩む姿をなぞることによって、自分も一緒に苦悩してしまいます。 物語に登場する陰のある医師の勝呂は、おそらく戦後の標準的な人間として描かれています。優秀が故に持ちえたかすかな正義感と道徳観、しかし教授(権威)には逆らえないため、その感情から行動に移すことが出来ない、さらには命じるままに自分の考えとは違うことに手を貸す、そして最後は陰を背負ってひっそりと暮らす。松本清張の『ゼロの焦点』、ヴィクトール・ユーゴーの『ああ無情』、三浦綾子の『氷点』などをはじめとして、いっときに犯した罪を後世まで背負って生きる、というのはなぜ人の心を揺さぶるのでしょうか?(というか僕の心です) 話はずれましたが、この贖罪の気持ち、いわゆる自分以外に解を求めるあたりが遠藤周作の宗教観を反映していてとても好きなのです。 とりわけ好きなシーンは、病院の屋上から勝呂医師が暗い海を眺む、という場面です。僕の個人的感想では、タイトルの『海と毒薬』の「海」とは「運命」を、海にという運命に翻弄されている人生を振り返っているのかなぁと思います。では「毒薬」はなんでしょうか?いまだに謎のままです。

    0
    投稿日: 2013.03.26
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    星での評価が難しい。 限られたこの頁の中によくさらりと収めたものだ。 戸田を侵食する無感動への疑問は他人事と割り切れない。

    0
    投稿日: 2013.03.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    戦後、アメリカ人捕虜を人体実験に使うという、残虐な実話をもとにした小説。高校生の時に読んで全然ぴんと来なかったのだけど、大人になってから読むと全く違う作品。何と言うか、飲みこまれてしまいそうな、鼓動を打っているようなそんな強さがある。 人間になれたか、なれなかったか。その境界線を引く一瞬がこの小説の中にはあった。たくさんの命を救うという大義のためなら、一つの命など全く持って惜しくない。戦争によって毎日増える犠牲者の中で、だんだんと道徳心をなくしていき、そうやって人は人じゃなくなっていく。もともと心を持たなかった者、心を失った者、心を失うことが出来なかった者。この人体実験を通して、医者たちがあるいは看護婦たちが自分たちと向き合い、そして命とは、人間とは何かを浮き彫りにする。 手術の描写があまりにも生々しくて読むのがきつかった。けれど後半、人体実験が終わった後、医者としてありながらあまりにも非情な人たちの描写はもっともっときつかった。 人間としての心を手放すことが出来なかった男はあまりにも恐ろしい悪事に関わってしまった後、美しいものを心に浮かべることが出来なくなってしまった。やっぱり何かを、失ってしまった。

    2
    投稿日: 2013.03.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    “やがて罰せられる日が来ても、彼等の恐怖は世間や社会の罰にたいしてだけだ。自分の良心にたいしてではないのだ” 作品の舞台は、戦中・戦後。 戦争で非道に触れ、加担した人達がほんの身近に、何食わぬ顔でいた時代。 時代は違えど、 「空気を読む」事で、個人の責任、判断を曖昧に加担してしまうのは、今も変わらない。 日本人の世間体は不変なり。 いじめの論理。

    0
    投稿日: 2013.03.18
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    人間は確固たる良心、良識、罪の意識を持つことができるのか、それとも状況によって変わってしまうものなのか。淡々とした文章に強いメッセージが発せられている。

    0
    投稿日: 2013.02.28
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    単に生体解剖の話なのかと思っていたが、戦争で日本人がどのように狂ったかというような話だった。 ころころ切り替わるいろいろな場面が、最終的に生体解剖の場面につなっがて行くのがおもしろい。

    0
    投稿日: 2013.02.15
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    人間を生かすための人体実験のあり方に葛藤する医学生勝呂。引用にも載せたが、勝呂の友人戸田の台詞が読後、心の中ですごくもやもやしている。医学の進歩とはこういうものなのかもしれないけれども。 感想が書きにくい。

    3
    投稿日: 2013.02.12
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    戦時下という異常な状況に押し流される組織、倫理、知性。道徳を俯瞰で眺め、容易く踏み越える罪。流されてそこにいることの罪。そこにいて、なにもしないことの罪。そして罰をのみ恐れ、罪を認識しつつも空虚としか捉えられない自身への違和感。いや、怖い話ですな。

    0
    投稿日: 2013.02.08
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    導入部分と過去の事件へのつながり部分がよくわからなかった。 なぜ生体解剖に向かったのかは、丁寧に描かれていた。

    0
    投稿日: 2013.01.27
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    太平洋戦争の最中、米国人捕虜を人体実験の対象とした九州の大学付属病院。勝呂の"今"から小説は始まるが、勝呂と同じく人体実験の現場に立ち会った戸田や看護婦はその過去が語られる。医学部の教授間での権力闘争や戦時という時代背景も加わり、また西洋人ヒルダに象徴される西洋の論理(p113"神"による制御)など、その視点は複雑。 思うに、キーとなるとは戸田であり、戸田の「良心の呵責とは(略)、子供の時からぼくにとっては、他人の眼、社会の罰に対する恐怖だけだったのである(p137)」という、社会や組織によって規定され、個人が知らず知らず縛られているような倫理観だ。日本人は、その社会なり組織なりが認めた事実であれば受け入れてしまうということなのか?つまり、自分にとっての絶対的な価値じゃなくて外部の価値に頼って生きているということか?そしてそれはつまり、自分で思考せず感じもしていない、ということなのか?これらは日本人、というよりも人間全体に疑問を投げかけることもできるはずだと個人的には考えるが、西洋は唯一神の考えであり、思想もそれに規定されるから、日本人特有の問題だということなのだろうか?

    0
    投稿日: 2013.01.27
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    実際起こった生体実験の話。 そこに関わった人々のそれぞれのバックグラウンドをじわりじわりと書いてある。 兎に角、心理描写が秀逸。勝呂と戸田の「神はいるのか」という会話は印象的だった。というのも作者自身が洗礼を受けた身だからだ。 人間とはいかなる存在か、と言う問いを突きつけられた気がした。

    0
    投稿日: 2013.01.14
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    私が読むには少し早かったかな? 遠藤周作は戦争とか宗教的なところを、かなり生々しく書いてるから。 外国人捕虜の話は衝撃的だったぞ。 子供の私としては、中途半端な話の区切りだったと思うけど、 大人になれば、あの余韻は魅力のひとつになるのだろうか。

    0
    投稿日: 2013.01.13
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    ユーモアがあってどこか優しい遠藤周作しか知らなかったので、衝撃を受けました。 読んでいて何度か気持ち悪くなりながら、 なんとか最後まで読み進めました。 それだけの価値はあったと思います。 それでも二度と読みたいとは思いませんが…… テーマも表現も構成も凄みがある傑作ですが、 日本人、日本人と煩い解説は蛇足だと思いますね。 もっと普遍的な問題として読まれるべき本ですよ。

    0
    投稿日: 2013.01.08
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    戦時下の日本における米国人捕虜を使った人体実験というショッキングな題材を通して、人間というものを描いた作品。

    0
    投稿日: 2013.01.03
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    元旦に読むには重過ぎたかもですが、このページの薄さを感じさせない厚みのある内容。最初から最後まで海独特のほの暗い鬱々とした雰囲気が付き纏います。 戦時中の医療現場が生々しく描かれてるのでダメな人はダメかも。 生体解剖に手を出さなかった、というより出せなかった勝呂。 みんな倫理に反することだって知ってるのに、実験のための生体解剖に手を出す。方向性は違えど理由があるからなんですよね。 一人確固たる理由がないのに流れに逆らえなかった勝呂だけど、抗おうと思えば抗えたはず。できなかったのは彼が医者だったからじゃないかな。 戦争物の作品では罪なき人間の命が失われていくけど、今回の捕虜は完全に物扱いですよね。 でも時代のせいにはできないと思いました。 親父や浅井や上田や戸田、そして勝呂。彼らの罪に差はないと思います。

    2
    投稿日: 2013.01.01
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    読んでみたかった本だったのですが、 とにかく恐くて深く考えることもできず読み飛ばしてしまいました。 登場人物がこのようなあやまちを犯してしまったのは、仕方がなかったのでしょうか。時代や境遇や精神状態が原因だったのでしょうか。誰しもこのような状況に置かれたら、避けることはできない運命だったのでしょうか。 私にはわからないです…

    2
    投稿日: 2012.12.28
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    薄暗い、国全体の薄暗い様子が文章全体から伝わってきます。 前情報を一切仕入れず読みました。捕虜の解剖に関わった医師や看護師の話ですね。捕虜を切り刻む描写なんかが、細かくされてたら困るなあ〜と思いながら後半部のページを捲りましたが、その辺はあまり書かれていませんでした。 看護師視点の話が面白かった。子もうめず、夫にも捨てられ、負け越しの人生。気に入らない女の夫と、秘密を共用し優越感に浸りたいが為に捕虜の解剖に関わる。「もし流産しなかったら」「もし子供が生めたら」きっと違う人生だったと、一人きりで思う彼女と、「もしこんな時代じゃなかったら」「もし戦争中じゃなかったら」きっとこんなことしなくてすんだと言い訳をする医師たちと。 こういうときに神様に祈るんかなー。日本人にはよく分からない感覚です。良心はあるはずなんだけど。 読みやすくて面白かった。

    0
    投稿日: 2012.12.22
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    ぐったりする内容。だからか六年位前に読み始めて未だに読破できていない笑 来年中には読む予定。部分部分。

    0
    投稿日: 2012.12.20
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    戦争は肉体的な破壊活動だけでなく、精神的な破壊活動であると思う。 医師や医療関係者の命を尊む心までも破壊させてしまう。 決して、面白いと感じる作品ではないが心に重く響く作品でした。

    0
    投稿日: 2012.12.14
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    こういう道徳観?って、どんどん失なわれていってるのかな? 命に対する思いは時代が変わっても変わらないよね。

    2
    投稿日: 2012.11.11
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    いい加減遠藤周作も読んでおこう…と思って。 想像していたよりもすらすら読めて、でも読み終えてしばらくしてからも、ふとした時に内容が頭をよぎり、その事について何度も考えてしまう。一年後ぐらいにもう一度読み返そうかな。

    2
    投稿日: 2012.10.31
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    人体実験を通し突きつけられる、人間の良心への問い 著名な作品ですが、その有名に違わぬ素晴らしい作品です。 大戦中の人体実験を元に書かれたものですが、その視点は歴史的考証を越え、人間の本質へと問いを投げかけています。 追い込められる登場人物達の心に寄せ、読み応え抜群でした。必見です!

    2
    投稿日: 2012.10.12
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    知りたいと思うことは怖いことです。知りたくないと願うことはもっと怖いことだと思います。 戦争と科学。深くまじりあっている二つの、そのかけらのような部分を書いている作品です。

    2
    投稿日: 2012.10.01
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    大勢を救えるかもしれないが、そのために生身の人間を実験台にして殺しても良いのか?という哲学的問いが主題。 淡々とした描写で思ったよりグロくはなかったが、暗くて気持ちはどんより。 考えさせられるが、答えは出ない。あまりに深く難しい問題。

    0
    投稿日: 2012.09.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    おもしろかった。戸田のくだりが特に。 他の目的のために良心を持ち合わせてない様や、それに流されていく様、じつにおもしろい。平然と一線を踏み越えるやつらは、問題そこ?みたいな動機で進んでく。 結構終わり方が唐突。気づいたら解説に入ってた。

    0
    投稿日: 2012.09.02
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    「みんな死んでいく時代やぜ」 戸田の言葉が強く印象に残る本書は、太平洋戦争中に九州帝国大学にて行われた米国軍捕虜に対する生体解剖実験を題材にする。 また、描かれるのは、「神なき日本人の罪意識」とのこと。 読みやすい文体とは対照的に、内容はとても重く、生体解剖実験そのものよりも、実験に携わった人々に焦点をあて、その内情に鋭く詰め寄っている。 惰性や捨鉢、若しくは好奇、功名心が個々人の罪意識を上回るとき、狂行は引き起こされるのだとすれば、登場人物の罪意識のハードルがなんとも低いことに驚いてしまった。 しかしながら、本書を読んで何よりヒヤリとしたのは、登場人物の心境を充分に理解できてしまう自分が居ることでした。 本書の様なメッセージ性の強い、かつ読者を熟考させる作品って、より多くの人に読んでもらいたい。そして、読者の感想をより多く知りたいって思ってしまいます。

    0
    投稿日: 2012.09.01
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    終戦間近、捕虜を人体実験にした思いを振り返るのだが、以外とソフトな話しだった。 最後のほうでようやく人体実験の話になっていくけど、こんな程度じゃないやろう!と思ってしまう。

    0
    投稿日: 2012.08.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    第二次大戦中、ある病院で行われた、アメリカ人捕虜を使っての非人道的な人体実験。それに携わった二人の医師「戸田」と「勝呂」を軸に、日本人の罪責意識、善悪について描いた小説。短くて読みやすくて、重たかった・・・。罰を恐れ罪を恐れない日本人気質が、テーマなのか。 神を信じる人は、人目が無くとも神の目を意識するから罪を意識し、罪悪感を感じる。しかし、信仰がないと罪悪感の有無=人目の有無・バレるか否かが問題になる…という話を何かで読んだのを思い出した。 この作品では、命を救う立場であるはずの人々が、人体実験という殺人を行うのだけれど、「戸田」という人物はそれに罪悪感を抱けない。罰せられなければ・社会からの糾弾がなければ良心の呵責を感じられないという。言い訳や詭弁を駆使して物事の責任を取ろうとしない戸田が私は気持ち悪くて仕方がない。 また、上田という看護婦も、良心の呵責を感じない。自分の結婚と出産がうまく行かなかったことを理由に、他者を下に見て、人の弱みを握ることばかり考える。それは「醜い」としか言いようがない生き方に感じる。 それに比べれば、物語序盤で「変わり者」として扱われる勝呂の、殺人に怯え、命が消えることを畏れ、命を救おうとし、何も出来なかった自分に失望する姿は人間らしくて好感がもてる。が、この人もまた、「同じ境遇に置かれたら、ぼくはやはりアレをやってしまうかもしれない」と言う。 ただただ患者を救いたいと願っていた若い勝呂のように、神様がいなくても、人の目がなくても、正しく・善く生きていきたいものだと思った。

    0
    投稿日: 2012.08.18
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    戦時中、外国人捕虜の生体解剖実験をしたというかなり重たい内容なのに、文章が素晴らしいのでどんどん引きこまれていっきに読めました。 恥ずかしながら、この本を読むまで実際に捕虜に対して生体解剖実験をした事実を知りませんでした。ここまで人間を狂わせた戦争ってなんだったのかなって思うと、せつなくなります。 たくさんの人に 読んでもらいたい一冊です。

    0
    投稿日: 2012.08.04
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    終戦記念日が近づくと、原爆や空襲で多くの日本人が苦しめられたこと、戦地で亡くなった若い人たちのこと、集団自決を強いられた少女たちのことを考えさせられる。 知らず知らずのうちに、「日本人は戦争の被害者だ」と思い込んでいたけれど、そうじゃないんだ、と。 日本人だって戦地で人を殺してきたし、捕虜の米兵を生きたまま解剖したりした。 戦争ってどちらが被害者とか加害者ってことではなんだな、と今更ながら気づいた。

    0
    投稿日: 2012.08.01
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    ごく一般的な家庭に生まれ育った私には、宗教はひどく遠い何かだけれど、遠藤周作さんの本を読むと、人とは良心とは宗教とは信仰とは…と考えさせられる。年齢を重ねていくその時々で読み返すと、おそらく、前回読んだ時とは全く異なるものが見えてくるのではないかと思う。

    0
    投稿日: 2012.08.01
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    読んでいる途中から、ちょっと不快感がモヤモヤ。 良心や倫理、罪悪についてちょっと考えさせられた。 一定の「神」を持たないから、「罪と罰」の意識が「こう」なのか?とはまた違うような、と色々視点を変えて考え込んでしまうような話だった。 もっと若い頃に読みたかったような、この歳になって読んで良かったような。 取り敢えず、家の近くに海がなくて良かったなぁと読み終わってから思った。 私は夜の海の近くでこの本を読みたくない。

    0
    投稿日: 2012.07.25
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    これは長崎県の病院で実際に行われた人体実験のお話で、作者はカトリックの目線から日本人についてを描いています。 『海と毒薬』という題名の通り海を情景描写する場面が多いです。 海の音や色と登場人物の心象を絡ませています。 日本人は「神」という存在を持っている者が少ないと思いますが、何かにすがらないために起こる自分自身の弱さをうつしだしているようにも思えました。 読み終わった後は内容が重すぎて自分に負けてしまいそうな感覚に陥りました。

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    投稿日: 2012.07.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    戦時中、米軍捕虜の生体解剖事件を題材にした物語。 残虐極まる行為に参加した医者、看護婦達は被虐趣味の異常者などではなかったように思える。彼らを生体解剖に駆り立て、参加させたのは他でもない虚無感、打ちのめされ、あらゆることに希望も関心さえも持てなくなった空虚さであった。 本編のラストシーン、解剖に立ち会った勝呂は罪の意識を同僚に語り、いつか受けるであろう罰に怯える。彼が怯える罰とは?それは刑罰や非難などではなく、後悔の念、良心の呵責であり、すでに彼は心理的には罰を受けているように思える。むしろ心理的には裁きを、罰を必要としていたのではないか。

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    投稿日: 2012.07.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    若き医師の「アレ」をやること、やったことへの心の葛藤は間違いなく存在し、小さくないものだった。にもかかわらず、齢を重ね、遠く離れた土地でのおそらくは短くない生活を経てなお、「これからもおなじような境遇におかれたら僕はやはり、アレをやってしまうかもしれない」と呟く彼。そこに、フツーの人間の姿、それを変えられない現実を見る。 佐伯彰一氏の解説によれば、「留学」「沈黙」と合わせ3部作と呼べるそうなので、未読の「留学」を読みたい。

    2
    投稿日: 2012.07.09
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    日本人は世間からの呵責、罰には敏感である。しかし、良心の呵責に苛まされるということはないのだろうか、といったことが主題なのだろう。「バレなきゃいい」という精神が蔓延っているのではないか。この深刻極まる課題に近づいた作品であるなあと感じた。

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    投稿日: 2012.07.07
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    戦時中の人体実験について。 読みにくいと思いきや、先が気になるようなで 割とスグ読み終えた。 勝呂医師の過去と現在の心境の変化というものが、個人的に気になりました。 他の作品も読んで見たいと思いました。

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    投稿日: 2012.06.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    戦時中の捕虜の扱いというのは興味を持っていたことだったので読んだ。 人の命に優劣を付けるのは可能なのか。これがこの本を読んでいて絶えずわたしの頭にあったことだ。タダで診ている重病の患者は実験に使い、医学部長の親類は権力闘争に利用し、敵国の捕虜を生きたまま解剖する。医学においてはヒトをも物質と見なす考え方が必須だが、この場合それで許されるのだろうか。とても許されないと思うのが普通だろう。 ここで別の方面から考えてみる。この事件は実際に戦時中の日本であったそうだ。つまり日本人がアメリカ人を生体解剖で殺した。しかしそのアメリカ人はいくら「善良そう」でもその手で何百という爆弾を落として街を焼き、市民を殺したのだろう。両者の罪は、戦争という極限の状況下ではイーブンにも見える。だが戦後、その差ははっきりとしている。解剖をした医師らは重罪に問われた。もっと大きな範囲で言えば、敗れてのち、当時の指導者のほとんどはA級戦犯として捕らえられ、死刑を含む刑を受けた。かたや無差別攻撃をしたアメリカ軍は罪に問われず、原爆投下をしたエノラ・ゲイ号の機長は英雄扱いで、世界はそれを認めた。戦争に負けるとは、どうもこういうことらしい。ただここで考えるのだ。国家間の争いで人の命に優劣がつくのなら、その人の経済状況、経歴…すべては、例えそれが正しくないとしても、関係して命に優劣をつけるのではないかと。 冒頭の3人が死んだという事実は3人とも平等だ。だが、命の重みを量るはかりがあるのなら、その上には一体何がのっているのだろうと、解決の難しい疑問を残す本だった。

    0
    投稿日: 2012.06.17
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    人は心の底からなにもかもがどうでもよくなったときに禁忌のボーダーラインを越えるんだと思った。夜と霧で自己を放棄した人の描写とかぶるところがあった。 解説読んで作者が言いたかったことがやっとわかった。"神"が不在の日本人か…。考えたことのない視点だったので目からうろこでした。途中気持ち悪くなったりしたけど読んでよかった。

    3
    投稿日: 2012.06.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    崇めるべき宗教を持たない日本人の倫理はどこに基づくのか。 それは社会であり集団であり人々の目であった。 しかし疲れきった世の中、倫理を説く理性も余裕もなくなったとしたら。 戦争末期、そういった悲劇がこの事件を引き起こしたのだろう。 宗教というと日本人の多くは胡乱な目を向けるが、世情が常に安定しているとは限らない。 そうなった時、人々の目ではなく絶対的な神や仏の方が、自分を保ち戒める為の抑制になるのだろう。 自分はどうあるのか。そのためになにを信ずるのか。 これは宗教的観念が薄い日本人への普遍的な問いだ。

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    投稿日: 2012.06.15
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    倫理学の課題図書として読んだ作品。戦時中に医者が捕虜を使って人体実験を行ったことを中心にして医者の倫理観、戦時中の人々の異常さを描いている。

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    投稿日: 2012.06.14
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    恥の意識はあっても、罪の意識を感じ得ない日本人(というより、人間)の心理を、「米人捕虜生体実験」という、実際に戦中の日本で起こった出来事をモチーフにして描かれた作品。 物語は、実験に参加した者のうち、命令された立場である、勝呂、戸田、上田の3人の視点から描かれる。特に、戸田の独白は物語の本質をついており、非常に興味深かった。 140pと短く、考えさせられる作品なので、中学生~高校生の課題図書にちょうどいい作品だと思う。

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    投稿日: 2012.06.12
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    戦時中、米軍捕虜を生体解剖した事実を小説にした作品です。いつ誰が、どこで死ぬかわからない、生命そのものが粗末に扱われた時代。この実験に関わった人たち誰の思いが正しいとも言えない、私はそう思います。

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    投稿日: 2012.06.11
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    56点。戦争末期の米軍捕虜の生体解剖事件を小説化し、神なき日本人の罪の意識の不在を描く。解剖に参加した者は異常者でもないならば何がこのような行為に駆りたてたのか。 彼らには決定権限もなかったかもしれないし、今更やめられないという空気に抗えなかったのかもしれない。こういうところって今も全く変わっていない。近代資本主義を生んだのは特殊な宗教的な営みが導く倫理観であるとよく言われるが、神なき日本人だから倫理に欠けこのような行為に及んだわけではないんじゃないの。 罪の定義が神に背くことだとして、絶対神がないから日本人には罪の意識がないというのは認めるとしても、キリスト教を参照し批判するのはいささか出鱈目な感が否めない。 それに神を持つ人間の、神の意に背いていないと主張するものの罪のほうはどうなのさ。 小説に賞味期限はないがこの小説はもうとっくに過ぎていると思う。

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    投稿日: 2012.05.30