
総合評価
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powered by ブクログ罪の意識と良心への罰は必ずしも同一的ではない。 戸田の言葉に「他人の眼や社会の罪だけにしか恐れを感ぜず、それが除かれれば恐れも消える自分が不気味になってきたからだ」とあるように、作中何回も日本人の罪への意識のあり方について問われる。 良心への呵責を求める戸田からも考えさせられるように、神もたぬ日本人の罪の意識はどこにあるのか考えさせられる。 異常な事件だって実は自分が暮らすような日常的な世界にそのヒントは隠されているのかもしれない。 社会への罰しか知らない私たちはどこに罪を感じているのか。 他社に寄りかかる罪の意識の不気味さを直視されられた作品である。
0投稿日: 2010.07.26
powered by ブクログ重かった が、ぐいぐいと引き込まれ、一気に読んでしまった(少し後悔) ヒルださんの、 「神さまがこわくないのですか。あなたは神さまの罰を信じないのですか。」 という言葉 当時の日本にも、今の日本にも、全知全能の神さまなんていない だから、罪を犯した自分を裁くもの=社会、なのだなあ なんだか戸田になってしまいそうだ
0投稿日: 2010.07.14
powered by ブクログ太平洋戦争の最中、日本のある病院でアメリカ人捕虜に対する人体実験が行なわれていた。 実在の話をもとにした創作とのこと。 登場人物たちの心理描写、息苦しいまでの閉塞感、良心の麻痺。 短い尺ながら、とても内容の濃い作品だと思います
0投稿日: 2010.05.28
powered by ブクログ読み終えた後、少し気持ち悪くなった。 こんな小説は初めて。今の僕では評価はできません。 全ての登場人物の全ての気持ち、とまではいかないが、自分にもある暗いところをえぐられるので、それも含め怖い作品。 自分に対して生の実感がない、最後まで当事者になれない戸田の話が一番怖いし、油断はできない。
0投稿日: 2010.05.26
powered by ブクログ2010年5月25日読了。 ”普通”から異常な状況への運び方が巧み。主人公がヒューマニストだからこそ、機械的な戸田や私利私欲で動く周りがより強調されていた。 日本人の持つ恥の文化の悪い部分を突きつけられた。絶対的な物差したる神がいないからこそ日本人は世間体に罰や罪を見出すんだろう。
0投稿日: 2010.05.25
powered by ブクログ医学の知られざる裏世界。 その医者の雰囲気は何となくブラック・ジャックにに似ています。 暗い過去を持ち、それが今のメランコリックな雰囲気を作り出しているのです。 でもとても腕がよくて、愛想がなくても街の人からの評判は上々! そんななか主人公は偶然訪れた九州でその医者の過去を知るのです。 人の命を救うこと・医学の発展のための実験 このふたつ、真の目的は同じくして相反している。 すごく無情感。 日本の医学のバックグラウンドにも、ひどい医学実験があったから。.。。。
0投稿日: 2010.05.19
powered by ブクログもっと向こうのほうからこちらに語りかけてくる本だと思っていた。拍子抜けしつつも、淡々とした感じが薄ら寒かった。
0投稿日: 2010.05.11
powered by ブクログ今の私には、難しい。 もっとこの時代背景を調べたら、読み取れるものがあるはず・・ 私には思想とか対してないが、 某国のようにどの国も、自分たちの歴史を反省する施設が増えればいいのにと思う。 この本のことにおいては特に。 というかこの本にでてくる女の人が可哀想。可哀想って言葉嫌いだけど。 話の中に出てくる看護士の女性に、もっと自分を大事にしろよって思った記憶がある。 揺れる時もあるけれど、自分の人生ぐらい自分が守りたい。
0投稿日: 2010.04.12
powered by ブクログ戦時中に実際にあった九州の大学病院で起きた捕虜人体実験事件を題材にした小説です。 「死」とは何か。「罪」とは「罰」とは。 人体実験に立ち会って苦しむひとりの助手。 その一方で、求めても求めても良心の呵責や後悔を感じることのできないもうひとりの助手。 そのふたりを通して普段考えない、あるいは考えることを避けている問題をたくさん考えさせられました。 戦時中。誰がいつ死んでもおかしくない。 いちいち患者の死を悲しんでいたらつとまらない。 いずれ死ぬと分かっている患者なのだから、あるいは戦争している憎むべきアメリカ人捕虜なのだから、今後の医学の発展のために殺してもかまわない。 人を殺すことはだめだからだめなのだ。 私は普段はそう考えている。 でも、今の医学があるのは人体実験で得られた結果によるところもある。アメリカ人捕虜を使って行われた実験は、特に戦時中など大量にけが人が出た時により多くの命を生かすための医療技術に不可欠だったのだ。 昔から宗教儀礼としていけにえを神にささげたり、人肉を食べる文化にであった時、私たちは何と言ってそれを否定できるのだろう。牛や豚を食べているのに人を食べてはいけないのはなぜなのかと問われたら、何と答えればいいのだろう。 死ぬほど苦しんでいる人の命を延ばすことは正しいのか。拷問にかけられる運命にある人を生かしていくことは正しいのか。脳死をどうとらえればいいのだろうか。 「死」「罪」「罰」。 避けがちだけれど、永遠に付き合っていかなければいけないテーマだと思う。 これらを直視させてくれたこの本は、すごく価値があったと思う。 解説にも書かれているけど、本当はこの人体実験にたずさわった数人のその後を作品として読んでみたかったです。(続編は書かれないまま、10年ほど前に遠藤周作は亡くなられてます)
2投稿日: 2010.04.09
powered by ブクログ購入済み いつ何をどう考えてこの文庫を買ったのか覚えてもいないくらい放置していた本です。 最初読み出したら、ああ、ちょっと読んだんだわ、と思い出したので再度最初から読み直しました。 どうして日本の作品はこう粘着質なのだろうとお改めておおもう。翻訳ものを好んで読むのは、同じ重く救いのないテーマでもここまで粘着質で息ができなくなる感じはうけない。だから読めるのかも。 湿度がだんだん水に変わり、窒息死されられるような息苦しさと、泥の中に放り込まれたような苦しさ。 テーマが戦中の捕虜の扱い。それも医者たちの良心を問うものだから重いのはしょうがない。 勝呂と戸田の性格の違いがもうすこし息苦しさを緩和させてくれてもよさそうなものを。 これは戦中という特殊な状況と、院内の医者の権力があいまって生まれた事態だとは思うけれど、どんな状況であれそのときの判断が一生を左右するのだという警告本なんだと思う。 「私」が今後どうしかも気になります。
0投稿日: 2010.04.04
powered by ブクログ九大事件のルポ本から知りました。 遠藤周作というヒトの本を初めて読んでるけど、引き込まれて読んでます。 読み終わりました。 なんという 中途半端な、終わり方で驚きました。 九大事件の本を読んでいてこの本を知った、けど、なかなかおもしろかった。
0投稿日: 2010.03.31
powered by ブクログ薄暗い、息苦しい話だった。 登場人物たちが自分とは違う他人だとはっきり知ることができる。 こういうのを小説というんだよなあ。
0投稿日: 2010.03.13
powered by ブクログ医者かて聖人やないぜ、出世もしたい。今日ウにもなりたいんや。新しい方法を実験するのに猿や犬ばかり使っておられんよ。そういう世界をお前、もう少しはっきり眺めてみいや。 本当のことを言えば、お国が勝とうが負けようが関心もなかったのです。 死ぬことをきまっても、殺す権利は誰もありませんよ。神様が怖くないのですか。あなたは神様のバツを信じないのですか。
0投稿日: 2010.03.13
powered by ブクログ授業で『海と毒薬』の映画を見て、 帰りに勢いよく買って勢いよく読み終わったw 映画を観終わったあとはおなかの中がぐるぐるして、 本を読み終わった今頭のなかがぐるぐるしてるよ~~~ いやでも、名作って何世代にも渡って訴えかけるものを持ってるんだなあと 思わせてくれる作品やった 映画も本も良かった…というか、読んでみてわかったけど 映画は原作にめっっちゃ忠実! ただ原作には戸田の幼少期のエピソードがあって、ふんふんという感じ なんというか 良心とは何ぞや! 分からん! そういうこっちゃ! ←
0投稿日: 2010.03.09
powered by ブクログ戦時中の人体実験。 戦争が招く人間の異常と正常。 ただ… 現代医学の発展に繋がっている。
0投稿日: 2010.03.02
powered by ブクログ生体解剖なんて重いテーマに輪をかけて、それに関わった登場人物の暗いこと暗いこと。 生体解剖してる最中よりも彼等の人生が語られてる最中の方が暗くて息苦しいものがあった。 息苦しい上に治療・解剖の描写がやたらと細かくて更に陰鬱とした気持ちになった。
0投稿日: 2010.02.21
powered by ブクログ戦争中にある病院で行われた、アメリカ兵捕虜を使った生体実験。それに関わった医師の話である。「罪が恐ろしいのではなく、罪を犯しても妙に冷静にいる不気味な心が恐ろしい」という医師の思いを通して、日本人の心に神が不在であることを述べている。巧みな展開には舌を巻かされる。
0投稿日: 2010.02.05
powered by ブクログとても短くたんたんとしている。 でも、何度も読まないと心情を読み取る事ができなかったり また気づく事があったり。 なぜかまた読んでみたいと思わせる。 人の心理をほんの少しの文章で描ききり 情景を映し出す。
0投稿日: 2010.02.02
powered by ブクログ戦時中行われたアメリカ人捕虜人体実験の話。 とにかくグロくて吐きそうになった。。。 宗教とゆう確固たるものを持ってないゆえに他人に流されてしまう、真実がわからないのだと、、、、、 なんか国家の品格も同じことを言ってた気がするし、戸田の少年時代の部分は前読んだ本と似てた気がする。いろんな作家に影響を与えたのかなぁ?
0投稿日: 2010.02.02
powered by ブクログすごい本です。。ちなみに絶版になってる「ファーストレディー」という本も好きです。ただ、遠藤周作のエッセイは、おじいさんの長いお説教を聴いてる感じがして、ちょっとだけ苦手。。
0投稿日: 2010.01.23
powered by ブクログ長崎に行ったときに買ってきた。ずっと読みたかったので…… 勝呂の、暗鬱とした雰囲気に流されて行く様が好き。
0投稿日: 2010.01.10
powered by ブクログ題材が重いけれど、淡々としているという印象を受けた。 まるで海の中をこだましているような詩が印象的だった。
0投稿日: 2010.01.06
powered by ブクログぐろいんだもの!!!!痛いよ!!!!!!って感じのやつ。 でもなんか知らんけど慣れてしまったのか、3回ぐらい読んでる気がするw
0投稿日: 2010.01.06
powered by ブクログ11月。会社からの要望で、あるレポートを書かねばならなくなった。お題は「人間性、社会性について」。これは正直面倒だった。論理的な答えだけではなく、個人的な意見も評価の対象になっているようだったからだ。けれども、やはり「人間性、社会性」の評価を保つために、提出する。 そんな折、なんとなく「遠藤周作」という単語が耳に残って、そういえば未読であることを認識する。手に取ったのは、もっとも有名な(だと思っている)作品、「海と毒薬」。 すごく面白いと感じた。個人的に、ノンフィクションに近いほうが好きな傾向がある。この本は、先が知りたくてしょうがない感覚に陥った。構成だとか、「海」という象徴の使い方が、世間的には評価されているようだが、内容自体もリアルで刺激的。 そして、さっきの話に戻るのだが、「人間性、社会性」について。ある国があって、そこで幸せを追求して生きていくためには、国の法律や決まりに従わなくてはならないのは必然なわけで。そういう決まりを守れて、社会人だといえるのだとしたら、この本でいう医者たちは、社会性を守っていることになるんじゃないかなあと、思ったりする。たとえ、やっていることが、今の価値観では非道なことだったとしても。 そして、さらに感想なんだけども、「社会性は社会人にとって必要だ」という考えが一般的だとしたら、「その社会性を守るために、罪を隠すようなことを、してはいけないよ」ってことも、同時に教えて欲しい。世間とのかかわりを気にして、いろいろと隠している社会人たちを見て、勝手にそう思った。
0投稿日: 2009.12.30
powered by ブクログ以前から読みたかったのだけれど、「近代文学苦手症候群」のためになかなか読めなかった作品。 読み終わった直後は「……は?」って思うほど余韻がふっとなくなっちゃうのだけど、あとからじわじわくる作品。
0投稿日: 2009.12.08
powered by ブクログ読んだ後、深く考えさせられた作品です。 美しく見える裏に、戦場よりも残酷な一面があるというか・・・。 衝撃でした。
0投稿日: 2009.12.06
powered by ブクログ戦争末期に起こった、米軍捕虜の生体解剖事件を元にした作品。 肺を患った男から物語りは始まり、その男のかかった医者の過去へと物語は進んでいく。 この物語には、「日本人的日本人」が描かれている。 二人の若き医局員、勝呂と戸田はまるで正反対に見える性格でありながらも、二人は共に良くも悪くもムラ社会に生きる「日本人的日本人」なのである。 勝呂は良心の葛藤を抱きながらも、集団の中において上の力に逆らうことができず(若い医局員という立場も手伝って)、流されるままに米兵の解剖に参加してしまう。 そして戸田は自身の過去を振り返り、「良心の呵責とは…子供の時からぼくにとっては、他人の眼、社会の罰に対する恐怖だけだったのである。」と語っており、本当に自分の良心が麻痺しているのかを確かめるために実験に参加する。 この二人に共通しているのは、個人としての責任感、罪の意識の希薄さである。 ムラ社会に属しその世界からはみ出すことを恐れるあまりに、他者の眼を気にしすぎたり、周囲に流されたりする。 そのように自分の行動を集団任せにすることで、本来個々人が持つはずの責任感や罪の意識を、自分の属する集団に転嫁してしまうのではないだろうか。 遠藤周作がこの作品を通し描いたのは、そのような日本社会のあり方に対する疑問ではないだろうか。 個人的にムラ社会はそんなに悪いものではないと思っている。 どのような社会であれメリット・デメリット、それぞれ同じようにあるわけだから。
0投稿日: 2009.11.18
powered by ブクログ罪の意識とか良心とかって何基準なのか? 他人の目が気にならなければ、なんでもできてしまうのか? とりあえず読んだ人としゃべりたくなります。
0投稿日: 2009.11.07
powered by ブクログ色々なことを考えるきっかけをくれました。 勝呂と戸田が屋上にいる場面が印象的です。手元に置いておきたい・・・!
0投稿日: 2009.10.25
powered by ブクログ罰を与えるのはキリストではなく世間、 だから世間に対する罪≒恥さえなければ、日本人は平気で罪を犯すの? 罪が何かなんてことは俺にはわからんし、こうして切り取られた日本人の姿を一般化してしまうのはあまりにもステレオタイプだと思うが、 少なくとも人間というものが、これほどまでに下衆でないことを祈るよ。 人間は人の間でしか生きられないんだから、、、
0投稿日: 2009.10.18
powered by ブクログ罪の意識と良心のありかたについて考える。暑くて湿度の高い夏と人体実験が息苦しく迫ってくる。何度か手放しても、いつかまた買ってしまう本棚の定番本。
0投稿日: 2009.10.04
powered by ブクログずっと昔、学生時代に、どうしてもこれは読まねばならぬだろう、と、思ったのだ。タイトルがいい。当然、明るい気持ちにはなれなけれど、玄海灘って、割り合い昏い感じのするときが多いのですよね。事実を基にした小説。それだけに色々と考えさせられる。
0投稿日: 2009.09.30
powered by ブクログ080609(m 081101) 081209(a 090209) 090919(s 090920)
0投稿日: 2009.09.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
遠藤氏の小説は、他には『沈黙』しか読んでませんが、 投げるだけ投げて、 あとは自分で考えろ、 みたいな作品が多いのかしら。 とにかくえげつないなぁ。 生体実験の行で『悪魔の飽食』思い出しちゃった。 なんでこれが強盗殺人などに比べてもえげつなく感じるのかは 考えてみると謎でもありますね
0投稿日: 2009.09.19
powered by ブクログ医療に携わる人もそうでない人にも、一度は読んでほしいなぁと思う作品です。 とにかく、考えさせられる内容です。 映画版がビデオで出てます。 この人の作品は、日本人と宗教の関係や、生と死についてのものが多いですが、それがけっして胡散臭い形にならないのがすごいなぁと思います。 持ってないけど、この人の「沈黙」という作品を読んで、アンチキリスト教の私でも、キリスト教について少し考えてしまいました。
0投稿日: 2009.09.11
powered by ブクログどきどきしたー 人体実験をすること。 捕虜だったらいいのかとか、罪の意識が無ければいいのかとか。 怖いけど、昔はいっぱいあったのかな。
0投稿日: 2009.07.30
powered by ブクログ罪の意識の在り方。 太平洋戦争末期、九州の医大で行われた捕虜兵士を対象とした生体実験に纏わる小説。 予備校時代に読んだのを、ふと思い出して読んでみた。 が、当時の印象よりよっぽど生々しかった。 当時は全く理解できなかった上田にも戸田にも 共感できることがあるのが薄ら寒く思った。 遠藤周作は(といってもこれ以外は沈黙しか読んでないけど) 今も社会の中で有効な日本人のメンタリティを、淡々と描写するのが上手いのかな。 まぁ、お昼ごはんを食べながら読むものではなかったでございます。 読書期間:2009/6/24 ※捕虜の瞳の色が「鳶色」だったことで、ダメージ20倍。
0投稿日: 2009.06.24
powered by ブクログ戦争末期、米軍捕虜の生体解剖に関わった人々がいました。 その過去を描きながら、はたして彼らは狂気に捉われていたのか、彼らの罪と罰とは何かについてが書かれています。
0投稿日: 2009.06.19
powered by ブクログいいけどなんだか後半の粗さが目立つかしら もし自分が、この生体実験に少しでも関わっていたとしたら。 そう考えると結構怖くなってくるです。
0投稿日: 2009.06.14
powered by ブクログ09/6/2 戦争末期に行われた人体実験を基に書いた作品 人体実験のことだけなく、戦事中の命の価値観というものを 登場人物たちの中絶や結核を通しても表している。 遠藤周作の神に対する問いもでてくる 「悲しい歌」を読後に読む。 直接手を下したわけでは無いけれど、 実際にいたのに止める事の出来なかった勝呂は 戦争に巻き込まれながら何も出来ずに翻弄されていった 大多数の聴衆のシンボルとして表されていたんだと思う。
0投稿日: 2009.06.03
powered by ブクログこの本は比較的短いので一日で一気に読むことができた。一気に読めた時というのは本来かなりすがすがしい気持ちになれるものである…はずなのだが、この物語は「戦時中・閉鎖病棟」と言う背景の暗さのせいか、はたまた最後まで人間の善悪、倫理観を問う問題提起をしているストーリーの性質のせいか、読後感はなぜだかあまり釈然としないものだった。 私見だが、この作品では、人を必ず殺してしまうと言う恐怖の人体実験をもってして、その場に居合わせる人間個人個人の倫理観の「審判」をしているようだ。 戸田(主人公「勝呂(すぐろ)」の同僚の医学部生)の勝呂に対する発言に「断るんやったら十分時間があったやないか。ここまで来た以上は、もうお前は俺たちと同じ運命の半分を通り過ぎたんや」と言う発言は、その場に居合わせる勝呂だけでなく、読者である我々をもゾッとさせる。 勝呂はこの恐怖の人体実験に出ると言いながら(と言うより、結局「出ない」と言う主張ができないままに)、手術室に来てしまい、そこから怖気づいてしまうわけだが、結局、長年が経過した後にも、彼は自分の無罪を主張することはできない。 果たして読者のあなた方が勝呂の立場であったとしたならば、すぐにでも、NOと言うことができたであろうか…そういう疑問符をこの本は我々に投げかけている。勝呂のように優柔不断な態度を取ってしまうと、後の人生にずっと尾を引くことになってしまうのだ。 恐ろしいテーマを扱っていると言えそうだが、私達はこのような疑問に今一度向かい合う必要があるようだ。
0投稿日: 2009.06.01
powered by ブクログうはーめちゃくちゃおもしろかったです! やはり名作と呼ばれる作品は読んでみるべきですねー。 戦争末期の恐るべき出来事−−九州の大学付属病院における米軍捕虜の生体解剖実験をモチーフに描かれた作品です。事実に基づいたフィクションのようです。 筆者の念頭から絶えて離れることのない「日本人とはいかなる人間か」ということを追及しています。 それまで、「なんだか難しそうだな」と思い、敬遠していましたが、読みやすかったです。 生々しい描写が苦手なので、手術シーンは冷や汗モノでしたが、メインの生体解剖についてはあまり生々しく描かれていなかったので、よかったです。 具体的な描写が生々しくなかったとしても、心的には十分リアルなものだったので、捕虜の解剖シーンはドキドキしました。 戦時中の残虐行為には私も興味がありました。 その興味というのが、うまく言葉に表せなかったのだけど(生々しいものは苦手なので)、作者の永遠の問いに含まれる、「被告たちは単なる例外的な異常者だったのか?」ということだった気がします。 今客観的に見ると、想像もしたくない恐ろしいことですが、同じ状況におかれたら、人は同じことが出来てしまう気がします。 著者の経歴を見ると、どうやらカトリック教徒のよう。 だから日本人に「罪の意識」がないことを追求していらっしゃるんですね。 興味深い一冊でした。 名作です。
0投稿日: 2009.05.22
powered by ブクログ戦時中、実際に起こった米軍捕虜の人体実験。この事件に関わった2人の見習い医師と看護婦の目を通して、戦争における異常な人間心理を描いた小説。事件は実在だが、登場人物は架空らしい。 人が当たり前のように死んでいく戦争という状況の中で、医療はどんな意味を持つのか。医学に詳しい著者は、その答えを見つけようと小説にしたものの、結論が出せなかったのかもしれない。または、出さなかったのだろうか。 蛇足なような「私」が登場する導入部分があり、終わり方が唐突なため、一読すると未完の作品のような印象を持つのも、そのせいだろう。 武力で人を殺すことと、医療行為で人を殺すこと。どちらも戦争のための殺人なのに、後者だけが裁かれる矛盾を感じる事件だ。
0投稿日: 2009.05.17
powered by ブクログ心理、情景、どれをとっても生々しい。読んでいるうち、徐々に徐々に活字が身に迫ってくるような、そんな感覚を覚えました。 時代によって動かされる善悪や人間性について、非常に考えさせられる一冊。
0投稿日: 2009.05.12
powered by ブクログアメリカ兵捕虜を使った人体実験を、人の心を通して、過去から現在、またはさまざまな場所から、描写していている。 でも人体実験のことが核ではなく、人体実験に関わった人たちの心を鮮明に描いて、そして「罪ってなんなのだろう」と考えさせられました。
0投稿日: 2009.04.24
powered by ブクログこれはなかなか…すごかったです。最近読んだ本の中でも久々にちょっと頭の中がダークになりました。日本人って怖いなー。無宗教ゆえの怖さなのか、それとも戦争が人々の心を半ば麻痺させていたせいなのか、この事件の直接の原因というか引き金が何なのかははっきりとはまだ理解できていないけれど。 九州、F市の大学病院ね…うん、まぁ、なるほどって感じだな。 勝呂医師がこの事件のあとどのような経緯を経て、町医者になってあんな生活をするようになったのか、なんて続編があったら面白い気がしたけれど、永遠に出ることはないからなぁ。
0投稿日: 2009.04.14
powered by ブクログ決して気持ちいい話ではありませんが (戦時中に外国人捕虜で人体実験etc.) 朝の読書御用達でした
0投稿日: 2009.04.11
powered by ブクログこのぐらいになると分類は現代なんかな、迷うん。 遠藤周作、初めて読んだ。 有名やけん当然名前は知っとったんやけど、機会がないでスルーしとった。 やけどずっときになっとったんは、奥さんの書いた『夫の宿題』読んだ事があったけん。 あれ読んでからもっとった印象と、作品読んでみた印象はまったく違た。 前知識まったくなしで読んでから福岡ん話てわかって、びっくり。 アメリカ人捕虜の生体解剖の事件をモデルに書かれた話。 解剖シーンは最低限でから、生々しかところも最低限。 それよかオレが惹かれたんは関わった人たちの事情と内面。 神を信じん日本人やけん、解剖が出来たんかていうたら、オレはそれは違うっちゃなかやろか、と思う。 現に勝呂は一線越えても良心の呵責に苛まれとる。 国が違ても、人それぞれなんやなかやろか。 ただ、勝呂んごと絶望のふち、あきらめのふちに立ったとき、何か信ずるもんがあれば違うんやろな、とは思た。 けど、それが神である必要はのうて、何か、自分が信ずるもの、ゆるがんものであれば良かとよ。 空でも、星でも、お母さんでも、息子でも。 それを信じとけば、常に自分の良心はまっすぐ立っておられるんやないやろか。 いろいろ考える話やった。 次、何年か後にまた読んだら、別の感想を持つごとなっとるやろか。
0投稿日: 2009.03.19
powered by ブクログ日本人の他国とは相反する独特の意識のあり方が鮮明に描かれている作品。人間を「押し流す」ものは、運命という自然力。そこから自由にしてくれるものが「神」ならば、日本人は神なしに何を見いだすのか。
0投稿日: 2009.03.03
powered by ブクログ「宗教なき日本人」がテーマ。 日本人は確固たる「神」を持たない→罪の意識がない→(戦時中の生体解剖のように)残虐な行いも、それが罰せられない(ここでいう罰、とは社会的なもの)のであれば、行うことが出来る というふうな論理。 それがもっとも象徴的に現れているのが、ある日本人看護婦と、ドイツ人女性がいがみ合うシーン。 「あなたは、神さまがこわくないのですか。神の罰をおそれないのですか。」 ----- 「神」をもたない多くの日本人は、はたしてそれほど悲惨なのだろうか? 「神」がいなければ、「罪の意識」は生まれないのだろうか? 僕はそうは思いません。 多くの日本人が仮に「神」を持たないとしても、それに代わるものを自ら作り出せると思います。 その「神」の代替物こそが、自らの信念・信条、価値観、あるいはprincipleだと思うのです。 そういったものをしっかりと磨き、確立してきた人間ならば、「神」が不在でも、あるいは、戦時中という倫理的に空疎な時代のなかにおいても、正しい判断ができる― こう、思います。 そして、その信条や軸は、つねに批判にさらされる契機を内包しているものです。一方で宗教は、どうしてもその教義が絶対視されがちなので、「神」を持たないことは、この小説に描かれているような倫理的空白をもたらす危険がある一方で、独善に陥りにくいという強みもあるのではないのでしょうか。 ・・・というのが僕の出した結論です。 この本は、ある意味で、作家・遠藤周作の出発点となる小説だとおもいます。 他の遠藤さんの本も読んでみようかな。
0投稿日: 2009.02.08
powered by ブクログ読んでいて辛くなる。けど読まずにはいられない。 人間の心理を深く深く掘り下げている作品。 倫理的に考えさせられるものが多いです。
0投稿日: 2009.01.31
powered by ブクログ戦争末期、実際に行われたというアメリカ人捕虜の生体解剖。執刀した医師と看護婦達の内面的な葛藤を軸に物語りは進む。 生体解剖に助手として参加した勝呂と戸田。人間としての弱さゆえの行動、良心の模索、罪の意識など。 勝呂医師はその後の小説”悲しみの歌にも登場。遠藤周作のこのテーマにかける思いの深さがわかる。 若い頃に読んだ作品だったが、今回数十年ぶりに再読。ここまで深く重い作品だったとは・・。
0投稿日: 2009.01.24
powered by ブクログ深い。 最後にあの歌で終わるのはありがちだと思ったけど、「できなかった、できなかった」の一言でやっぱりすごいと思った。 人間の弱さ、罪について考えさせられる
0投稿日: 2009.01.20
powered by ブクログ友人からクリスマスプレゼントとしてもらった本。 また、中学の時に修論の題材にも挙がっていた本でもある。ま、自分は「羊をめぐる冒険」を選んだが。 さて、コメントに。率直に言って非常に自分の好きな部類の小説だ。人間の精神状態を深く、そして陰鬱に描写している。 主要な登場人物それぞれの暗く醜い部分をこれほどかと言うぐらい、書き綴っている。 特に、戸田への描写が好きだ。共通点が多いせいか、注意深く読んだ。 時々、なんで自分の心はとても冷たいのか、なんて思うのよ。 果たして自分にも「罰」が来る時は、あるのかね。 (以下、他人の講評の引用) 私たち日本人が、気にしているのは、世間体ですか それとも良心からうまれる罪悪感ですか 私たちが罪をおそれ、そしてそれを行わない理由はどちらにあるんですか
0投稿日: 2009.01.09
powered by ブクログ偶然にも僕の愛とか道徳、倫理観はこういった遠藤周作作品から学び、大学のキリスト教系で固められたものが結構ある。不思議
0投稿日: 2009.01.07
powered by ブクログ意外と読みやすく、はまりやすい 読後感がズッシリと来る。 私はこの事件について何も知らなかったけれど そういう人こそ読むべきなんだろうな いつかまた読み返すと思う
0投稿日: 2008.12.18
powered by ブクログとても面白い小説だった。アメリカ人捕虜を日本人が九州の大学病院で解剖、つまり殺人を犯した事実に基づいて作られた小説。ここで登場する病院の屋上から見えるときによって表情を変える海は勝呂の、つまり神というものを持たない日本人のことだが、その倫理的な判断基準を明確には持たず、それでいてそのために生じた良心の呵責に苦しんでしまうやるせなさを持つ彼自身の精神の部分の比喩なのだと思った。罪と罰、良心、神などについて考えさせられる小説。
0投稿日: 2008.10.24
powered by ブクログ罪を以って人を縛る神がいない日本人の倫理観を問う作品。 主張を描かない事によって浮かび上がらせる手法にはただ舌を巻くほかない。
0投稿日: 2008.10.20
powered by ブクログ私たち日本人が、気にしているのは、世間体ですか それとも良心からうまれる罪悪感ですか 私たちが罪をおそれ、そしてそれを行わない理由はどちらにあるんですか
0投稿日: 2008.10.07
powered by ブクログ一読して大した感想も持たなかったが、解説を読んで自分の浅はかさを知った。まさに「日本人とはいかなる人間か」である。また後で改めて読んでみよう。
0投稿日: 2008.10.07
powered by ブクログ読書しはじめた頃に出会った一冊。 米軍捕虜の生体解剖事件を題材にした問題作。 といってどこかとぼけたようなユーモアを感じさせる。
0投稿日: 2008.09.15
powered by ブクログ医師の極限による葛藤。 戦時中という異常な背景の中時代の波に、権力に、圧力に呑み込まれていく。 コレは治療か?実験か?解剖か?人間は人間を裁けるのか? 蒸し暑い温度を感じさせる文章がジワッと染みてきます。
0投稿日: 2008.09.10
powered by ブクログ060808 戦時中に起こった 生体解剖事件をもとにかかれたお話。 登場人物は実在する人ではないけど きっとこういう気持ちだったのかな?と。 すべてがめちゃくちゃだった戦時中。 でも戦時中だったから、っていう一言で 済まされる事件ではないと思う。 人が誰しも持っているであろう心の闇。 あのキャンパスのどこかで 何十年も前にこんなことが起こっていたなんて あまり考えたくない。
0投稿日: 2008.08.28
powered by ブクログ大学のゼミでグループ発表した作品です。 戦争末期のことについて調べていくうちに、 人間の恐ろしさを感じました。 羊の雲の過ぎるとき 蒸気の雲が飛ぶ毎に 空よ。 お前の散らすのは、 白い、 しいろい、綿の列
0投稿日: 2008.08.19
powered by ブクログ「本当にみんなが死んでいく世の中だった。 病院で息を引き取らぬものは、夜ごとの空襲で死んでいく。」 太平洋戦争中の九州のある病院で行われた、アメリカ人捕虜を使っての生体解剖。 病院という、人の命をつなぎとめるのが目的の場所で「殺し」が行われた。 事件後のゆくえは、違う形で遠藤周作から続けられた。「留学」と「沈黙」 罪と罰の問題。 日本人にとって罰とは何を意味するのか? 倫理とはなにか? 私たちは世間や社会に対する罪の意識しか持てないのか?・・・不気味な心:無感動 単行本で200ページなので、軽くは読めませんが、いい本だと思います。
0投稿日: 2008.08.16
powered by ブクログ夏まっさかりの今(8月)、この作品を読むとむわっとした暑さの中で悶える病人、白衣を着て人の生死に携わる人間が暗闇の中で行う行為に、生暖かく気持ち悪い不快な空気と、逆にすっとする様な冷たい気分にさせられる。
0投稿日: 2008.08.07
powered by ブクログ戦時中の医者にまつわる話。 どこにでもあるような医者なのだが、舞台はあくまでも戦時中。 雰囲気は穏やかではなく、なにか緊迫した感じをうける。 そして、その緊迫は雰囲気だけにとどまらずある出来事をうむ。 その出来事こそがまた、しょうがなく、追い詰められた、圧迫感、といったものを感じさせる。 その描写はこちらもまた切羽詰るように感じる。 こういった出来事を小説にしようとも現代では難しい話。 名作といわれる小説ならではの出来事を感じることができる。
0投稿日: 2008.07.28
powered by ブクログ遠藤周作の本て初めて読んだ……。 実話が元にされてたんですねー怖いなぁ……。 08'7'22
0投稿日: 2008.07.25
powered by ブクログ浅井助手が好きです。こういうとことん利己的な人、現実にいたら絶対に関わりたくないけれど。 中学の頃、模試で出た場面が印象的でした。「東京の子どもは全部知ってるんだぜ」という場面。 人間の心理をえぐり出すのが上手すぎる。上手すぎて痛いです。 これ読んだ後はその日一日何もできなくなります。 事実の衝撃に、というよりも、人間の心の黒さに重くなります。
0投稿日: 2008.07.11
powered by ブクログ太平洋戦争中、米軍捕虜を生体解剖実験するという話。 実際に起きた事件。 タイトルの意味はわかりません。 色んな解釈があるようですが。 罪と罰、みたいなものでしょうか。 ドストエフスキーのそれは読んだことないのですが。 毎日毎日殺人事件ばかりで生命の尊さなんてマヒしてしまいます。 良心や倫理観って誰かに教わるものでしたっけ。 神はなぜ人間に「 」を与えたのでしょうか。 (当てはまるものが多すぎです)
0投稿日: 2008.07.04
powered by ブクログ宗教を持たない日本人の善悪の基準はどこにあるのか。戦時中の捕虜に対する人体実験に関わった医師・看護婦達の心の有様をストーリーの本筋に、人間の根底に挑戦をした作品。 「何が、苦しいんや」戸田は苦いものが喉元にこみ上げてくるのを感じながら言った。 「あの捕虜を殺したことか。だが、あの捕虜のおかげで何千人の結核患者の治療法がわかるとすれば、あれは殺したんやないぜ。生かしたんや。人間の良心なんて、考えよう一つで、どうにも変わるもんやわ」 戸田は目をあげて真っ黒な空を眺めた。(中略)本当になにも変わらず、なにも同じだった。 「でも俺たち、いつか罰を受けるやろ」勝呂は急に体を近づけて囁いた。「え、そやないか。罰をうけても当たり前やけんど」 「罰って世間の罰か。世間の罰だけじゃ、なにもかわらんぜ」戸田はまた大きな欠伸を見せながら「俺もおまえもこんな時代のこんな医学部にいたから捕虜を解剖しただけや。俺たちを罰する連中かて同じ立場におかれたら、どうなったかわからんぜ。世間の罰など、まずまず、そんなもんや」(中略) 「そやろか。俺たちはいつまでも同じことやろか」 勝呂は一人、屋上に残って闇の中に白く光っている海を見つめた。何かをそこから探そうとした。。。。。 教授夫人のヒルダという女性。キリスト教の信仰を持つ彼女の存在が、不思議なアクセントになっている。 08/6/29
0投稿日: 2008.06.29
powered by ブクログ人体実験のお話。 遠藤周作は常に「人間とは何か?」みたいな核心に常に迫ろうとするところが好きです。 ただ心理的にはもちろんですが、フィジカルな描写も結構ちゃんとしてるのが シューサク・エンドー。 まぁ簡単に言えばエグい。 でもそれだけ本気だってことだと私は思う。
0投稿日: 2008.06.24
powered by ブクログ子供の頃、 この本を初めて読んだとき、 どうしようもないくらいに 悲しくなって、 気持ちがついていけなくて、 泣いてしまった。 また思い出して、読んでみた。
0投稿日: 2008.06.18
powered by ブクログ死とは、罪とは、そうさせる時代とはなんだろう、などなどすごく考えさせられる。 すごく凹むくせに年に1度くらい読み返さずにはいられない衝動に駆られる。
0投稿日: 2008.06.15
powered by ブクログ人間ってこんな風になっちゃえるものなのか。 自分とはずっと遠いところにあると思っていた話なのに、 あまりにもリアルに響いて怖い。。
0投稿日: 2008.05.28
powered by ブクログ前からタイトルは知っていたので古本屋で見つけて安かったので購入。なにかと話題のこの本ですが、まったく何も知らずに読んでみたところ、なんとなく話題になる理由がわかりました。人間の(この場合日本人の)弱さがはっきりとわかります。その辺で共感を覚えるのがおもしろかったです。まさに勝呂=僕だね。 内容は、戦時中のアメリカ捕虜に対しての生きたままの生体解剖について、実際にあった事件を基にして書いたものだそうです。残虐極まりないこの実験を行った人たちは果たしてただの異常者なのか?罪の意識はないのだろうか?そういったことがテーマとして描かれているので人的描写が非常に良く書かれています。 その根底にあるのは、神なき日本人の「罪の意識」の不在について。つまり簡単に言うと日本人とは何?ということだそうです。解説読まなきゃなんにもわかりません。あぶねーあぶねー 話は暗いですがおもしろいことはおもしろい。さすがに名著です。でも最初に出てきた人とか結局どうなったのかなー?とか考えちゃいます。続編を予定していたそうですがもはや書かれることはないので読み手の想像に任されるのでしょうが、想像力の欠如が著しい僕には少々厳しいです。 タイトルにある海がちょくちょく出てきますが、明確な意味を僕は読み取れてません。有名な本だけあって、なんとなく深さは感じます(笑) とにかくね、僕は本を読むセンスがないね。確実にないよ。
0投稿日: 2008.04.30
powered by ブクログ一般的に遠藤周作は、「キリスト教的な倫理観に根ざした物語」と評される。これは、一方で宗教的な倫理観を持たない日本人論とも解される場合があり、物議をかもす。(戦争犯罪の告発に否定的な立場の人が特に) このような論議は不毛である。 「もの語り」としての遠藤の手腕は確かなものであり、読む者に、この物語を一生忘れさせないだけの圧力を、この書物は持っている。
0投稿日: 2008.04.25
powered by ブクログ「罪の埋没」 読んだ後、暗い暗い海の底に突き落とされたようだった。 人間の弱さ、というか罪の意識について考えさせられた。 深い。深すぎる。
0投稿日: 2008.04.03
powered by ブクログ読んだ当初は「そんなことがあったんだ」以上の言葉が上手く出てこない。本当はそんなことが言いたいのではないのです。また読もう。
0投稿日: 2008.02.23
powered by ブクログこれを読んで戦時中の日本の見方がちょっと変わりました。 でもどの国でも平気で人体実験はしていたんでしょうね。
0投稿日: 2008.01.27
powered by ブクログ続きを書く構想があると、たしか解説で読んで、必死になって探してみた記憶があります。結果、見つかったのは「続編はなくなった」っていう事実なんですが……怒ってない、怒ってないよ。わかるもの、書いてはみたが、突き詰めたいテーマがその話ではかけないってわかるとかさ。夜の病院から見える波のうねりのようすが、胸に焼きついてはなれない。読んだのは高校生の頃ですが、生体解剖と死体との狭間にあるイメージは、私が書いた「黄の廠」に流れ着くものだと思っている。
0投稿日: 2008.01.27
powered by ブクログ戦時下、九州の大学病院で米軍捕虜の生体解剖実験が行われた。この事件を小説化した作品。淡々とした文章だが深く、倫理観、罪の意識について考えさせらた。 もし私がこの現場に立ち会っていたらどうだろうか。
0投稿日: 2008.01.26
powered by ブクログどうでもいいことですが、勝呂さんっていう名字が懐かしい。高校の時に読んだ本です。 人体実験というえぐい当時の様子をリアルに描いてありました。
0投稿日: 2008.01.07
powered by ブクログ捕虜に対して医学の実験をしていく話。 実験のシーンとかは淡々と書かれているんだけど、良心とかの葛藤がメインで書かれてる。 実験に関わる人はみんなそれぞれ、違う感じかたしてて、おもしろかった。 実際その場にいたらどうだろう?
0投稿日: 2008.01.01
powered by ブクログ遠藤周作 初読みです。 塾の生徒か誰かに聞いて読んでみることにした本 太平洋戦争時日本はアメリカの捕虜に対して、 人体実験をした。 その内容は ?血液の代わりに生理的食塩水を注入し死亡するのでの極限条件を探る ?血管に空気を入れて死亡までの空気量を調べる ?肺を切除し死亡までの限界を探る といったもの。これらは戦後になって明らかになったが、その事実にふたをすることなく遠藤はテーマにした。 このようなことをした日本人はいったいどんあ人間なのか? 医者たちが単に異常なだけだったのか? どんな精神状態で彼らはこのような行為に及んだのか? タイトルにある海による登場人物の心理描写も見のがせないだろう。 罪と罰というテーマを堪能できました。
0投稿日: 2007.12.24
powered by ブクログ神の名の下に行われている殺人の方が、圧倒的に多いと思いますが。作者の主張には同意しかねるが、読み物としてはとても面白い。
0投稿日: 2007.12.21
powered by ブクログ凄いと思う。面白いしずんずん読み進めてしまったし嫌いじゃない。ただ何となくわたしの肌には合わないってだけ。客観的には凄い。
0投稿日: 2007.12.10
powered by ブクログうっすい本で、でも、読むのにたっぷり2時間はかけて、何度も何度も同じ行をなぞった。 米軍捕虜を解剖する医者の目線で、書かれる心理、遠藤秀作はクリスチャンだから、神の不在、を書きたかったのかもしれない。 解剖後の勝呂の心中がしつこく描写されていないのが、逆に後をひいて、想像を掻き立てられる。
0投稿日: 2007.12.10
powered by ブクログ戦争中の日本人の米軍捕虜解剖についての話。もっと生々しくてぐろいと思ってたけど、やっぱり遠藤周作は事実よりも人間の心理状況を描くことでその凄惨さを表現するなと思った。
0投稿日: 2007.12.06
powered by ブクログこの本をはじめて読んだのは中3のときだったと思います。731部隊のことは知っていましたが、それまで九大医学部のことは全く知りませんでした。遠藤作品の中では最高の出来だと思います(個人的には)。すごい薄い本ですが、中身は相当濃いです。すごくいい本です。時々頭に浮かんで、また読みたくなります。遠藤氏の倫理観をもっとも感ぜられる本ではないでしょうか。
0投稿日: 2007.11.07
powered by ブクログなんだろう。読み終わった後の虚無感。 当時、実験の当事者だった彼らが異常だったのか。はたまた、日本を恐怖に陥れた戦争が彼らを狂わせたのか。 答えが出ないまま、出せないまま読み終えてしまった。
0投稿日: 2007.10.19
powered by ブクログ作品に一貫して流れる無力感。この、もう、どうでもいい感じ、無感覚、無感動が不思議と心地良い。何故?戦争でみんな死んでいくのに。米軍捕虜を生体解剖しているのに・・・。こんな悲惨な状況に、どうしようもなくて、私は自分を見失った。丁度、生体解剖に携わった医師と看護婦たちのように。この心地良さは死んでいく感覚?良心の呵責も、全て一切の感情が消えうせる。非力すぎる、私たちは。戦争という悪に!!! この、もうどうでもいい感、すごくよく分かるよ。 良心の呵責よりも、他人の目、体裁を気にする日本人。神からの罰ではなく、社会の目に恐怖を感じるのだ。だからって、社会にバレなければ、何をやってもいいの?食品偽装、年金横領。Shame on You!! ヒルダさんが良心で行っている患者の世話を、「自分一人が聖女づら」をしていると考える日本人看護婦。日本人の心の在り方について戸惑うなあ。 知ってる?死には臭いがあるんだって。 たった一つ死なせまいとした「おばはん」の命が奪われる。希望は消えた。神は死んだ? 戦争に対して、日本の縦社会に対して、運命に対して、みんな無力なんだ。 重い音で胸に響いてくる、遠藤周作の苦悩。神とは?日本人とは?
0投稿日: 2007.10.06
powered by ブクログ九州大学生体解剖事件を、小説化したもの。神なき日本人の罪意識を問う。第5回新潮社文学賞、第12回毎日出版文化賞受賞作。熊井啓監督で映画化。
0投稿日: 2007.09.19
powered by ブクログ肺の持病を持つ男が引越し先で出会った医師、勝呂。 彼は米軍捕虜の人体実験に携わった一人であった。 静かに始まり終わる文体と衝撃的な物語。 久しぶりの遠藤周作本はとても重いものでした。
0投稿日: 2007.09.17
powered by ブクログ中学の頃、何気なく手に取った1冊です。 赤い髪色のマネキン。暗くてどんよりした海の色。ボタンの解れた白いシャツ。何かと色のイメージが残る本でした。 この作品は本当に奥が深く、考え出したら止まりません。人間の良心とは、罪とは、異常とは何なんだ、と。 自分が医師の勝呂と同じ立場にあったらどうするだろうかと考えた時、人間は誰しも心の中に黒い海を持っているのだと感じました。
0投稿日: 2007.09.06
powered by ブクログ九州の医者達が行った米軍捕虜に対する人体実験を軸に人間の倫理や道徳、良心を問う。「殺した」という事実だけが確かなことで、そこにある関係者たちの葛藤や叱責や後悔は極めて曖昧で、何が正しくて何が間違っているのかということは誰もわからない。この本もまた、生と死、それに付随する人間の思いを深く考えさせられました。
0投稿日: 2007.08.15
powered by ブクログ殺した、殺した、殺した、殺した……耳もとでだれかの声がリズムをとりながら繰りかえしている。(俺あ、なにもしない)勝呂はその声を懸命に消そうとする。(俺あ、何もしない)だがこの説得も心の中で跳ね返り、小さな渦をまき、消えていった。(成程、お前はなにもしなかったとさ。おばはんが死ぬ時も、今度もなにもしなかった。だがお前はいつも、そこにいたのじゃ。そこにいてなにもしなかったのじゃ)
0投稿日: 2007.08.02
powered by ブクログ日本人が白人捕虜を使って人体実験をする為にバンバン見境も無く殺していく。 今の時代の日本人は「人を殺しちゃいけません」と言う思想をただ教育させられてるだけであって、その思想を教える人が居なかったらどうなるんだろう・・・とすっごく重く、衝撃を受けた作品です。 戸田の幼年期のところは特にズドンと来た。
0投稿日: 2007.07.31
powered by ブクログ中学生の時、塾の実力テストで文章の一部が使われていて、面白そうだと思って読みました。実際とても面白かったです。実テに使われていたところは、本筋とは殆ど関係のない、回想部分だったので、想像とは全く異なっていたんですけどね
0投稿日: 2007.07.27
powered by ブクログ学校のレポートを書くために読んだのですが、もう、その目的を忘れるくらい夢中で読んでしまいました。面白い‥。終始「私」の視点から語られる物語なのかと思いきや、様々な人物の過去・現在に渡って話が展開し、深みを増す物語でした。人が人を人と思わないことの怖さ、何が正しいのかわからなくなる狂気の時代、ぜひ一度読んで、考えてみてほしい問題小説です。答えは出なくても、考えなくてはいけない問題。
0投稿日: 2007.07.18
