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虐殺器官
虐殺器官
伊藤計劃/早川書房
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総合評価

1123件)
4.2
425
385
162
32
9
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    久々に面白くてたまらない本に出会ったと思って、この作者の本はずっと追っかけるだろうなと思いながら解説を読んだら、もう亡くなっていることがわかって衝撃でした。素晴らしい本をたくさん書いてくれたでしょうに。 自己と意識と肉体の関係性について、いろいろ思いめぐらせるきっかけにもなりました。

    0
    投稿日: 2011.05.28
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    これが処女作ってことにおののく。 凄まじい世界観と筆力。 SFと聞いて想像しがちな「完全なる空想の世界」を描くのではなくて、「こういう未来は、あと10年あれば実現するのではなかろうか」と思わせる絶妙な設定が舞台となっている。 そしてそれが、あり得そうな世界でありながら、ハッとするほど斬新なのだからタチが悪い。 言語という、最もロマンティックな兵器。 ナイーヴな主人公の語り口に引き込まれて、寝る間を惜しんで読み終えてしまった。 私は睡眠人間だけど、この本は寝る間を惜しむ価値があると思う。 見事に伊藤劃画のとりことなって、翌日には「ハーモニー」を買って帰るのだった。

    0
    投稿日: 2011.05.28
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    久々の当たり!と、いってもそんなに小説は読まないけど。読み終わったあとの残余感、ハーモニーへ心が強く惹かれる、次よも。

    0
    投稿日: 2011.05.28
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    3箇月ほど前に読んで、白い『ハーモニー』と並べて載せようと思っていたのですが、遅くなりました。私、こちらのほうが好きかも、と考えながら読みました。最後にかけては「?」と思うところもありましたが、なんというか、とてもまっすぐな、そして新鮮な語り口が好きです。ジョン・ポールでプラハって、まさか前のローマ法王の暗示?…まさか、ね。

    0
    投稿日: 2011.05.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    とある時を境に貧困世界の虐殺が頻発するようになり、アメリカじ軍人の僕は、虐殺首謀者暗殺という職務の中で、影に必ず現れる男を意識し、やがて対峙するようになる。 というような筋立ての近未来SFなのだが、ちょっと凄かった。 感情調整を施されて淡々と暗殺業務をこなす僕の一人称でお話は進むのだが、 奪われてしまった罪の意識と感覚や、選択を強いられる母親の生死、任務として騙さなければならない大切な人、と、元来はナイーブでありながら強いられて強靭である軍人の僕は、ある種必然的に精神状態を尖らせていく。 最後が、虐殺によって利益を得ていたアメリカの罪にも罰を、となったのは少し予測を外したが、中盤頃から、僕はポールの後継者になるのだろうなとは、なんとなく思っていた。 読みきってから思うが、数十万、数百万の虐殺に関わる割に、僕の深い悩みは母の生命維持停止に同意したことであり、好意を持った女性に嘘で接近したことだった。 その罪に対する罰を求める僕は、最後の決断としてアメリカに罰を与えるわけだが、 私は正直、正しくポールの後継者をやると思っていた。 そうするには僕は多分、やらされたという被害者意識があり、強さも足りなかったのだろう。 有能なのは間違いないが、軍人を続けるには明らかにナイーブであることは、たしかに再三描かれていた。 そしてそこがまあ、ハッピーエンドが好きで、頑張るヒーローが好きな私には、少し残念だった。 言葉に乗せる虐殺の呪いと、ヒトに存在するその呪いの受容器官の存在はSF的なガジェットだが、取り上げられるヒト族の悩みは実に現実的だ。 安全な先進国に生きる私は、時折意味もなく貧しい子供に申し訳ない気持ちになるし、やはり時折、痴呆や障害で死んだ方がマシだと今の私が思う状態になったときに、残される人に負担をかけずに生を諦める方法について考えてしまう。 衣食足りて冷静な私は、報復の連鎖の先に幸福は無いと認識してはいるが、舐めさせてしまうとつけあがる下種の存在も知っている。 そういう悩みには、正解のレベルの高低はあっても、皆がハッピーになれる究極は探し難い。 ならば、ヒーロー不在の世界では、進化のための器官であるはずの虐殺器官は、必要数を殺したところで正常に停止してくれることを願おう。

    0
    投稿日: 2011.05.24
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    後に大幅な修正を加えたとはいえ、10日で書き上げた作品とは到底思えず圧倒された。 どんな世界が見えていたんだろう・・もう知ることはできないけれど。 言語フェチっていいなー、なんか。

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    投稿日: 2011.05.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    なんか読み終わってぼーっとしてしまった。 ラストは、こうなって欲しくはなかったかなぁ。 SF慣れしてないからか難しいとこもあったけど、面白かった。 作者がすでに亡くなっているのが惜しい。残念です。

    0
    投稿日: 2011.05.21
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    凄まじい。久々に面白い本だった。 虐殺器官というものが人間に備わっているならばという仮説を前提に話が進んで行くんですが、その無限のループの恐ろしささることながら、自由の定義についても考えさせられる素晴らしい作品でした。

    0
    投稿日: 2011.05.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    世界観的には攻殻機動隊っぽい雰囲気。 ちょっと主人公と合わなくて★は2つ。 最後の最後に主人公が起こした行動・引き起こした結果の大きさは それに至るまでの葛藤や理屈と釣り合ってないように思える。 結果的に「死」というものが、大層な扱いに反して薄っぺらく見えてしまう。 なんというか、軽い。主人公、思慮が薄い。浅い。 「殺人が最も忌まわしい罪であるのは、償うことができないからだ」 償う事ができないって、すごい他人事感だなー。 終わり方なんて、主人公が自分本位な感情で 世界と無理心中してるようにしか見えないなあと思いました。 それ以外にも全体的に、感情の動きの不自然さや 整合性のなさを感じていた。 主人公の終始情緒の欠落した感じと 周囲からの影響を受けまくる感受性のナイーブさ 言葉を素直に受け入れてしまうピュアさは 特殊部隊のリーダーっていうハードな職業の像からかけ離れすぎてるし 散々プロフェッショナルの軍人的なテキストを挟んでおいて ルツィアとの最初のやりとりは感情の動きにプロ意識がなさすぎる。 そこまでナイーブならいっそ仕事に対しての 己の徹しきれない無能さに対する葛藤とかも あってしかるべきじゃないの?って思うけどそれは一切なし。 なんだかそういうところが気になりました。

    0
    投稿日: 2011.05.20
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    9・11以降の時代に向けられた作品。読み終えた後の鳥肌。暫くの間某然としてしまいました。凄い。 核とテロの脅威が世界中に拡がり、内戦と民族紛争が頻発する近未来の話。戦争は、虐殺は何故起こるのか。言語学、心理学、生物学、宗教、歴史、哲学の観点から現代の国際社会が抱える問題を深くえぐったような感覚。 あまりにもグロテスクな内容なので、読み手を選ぶ小説ですが、この読書体験は一度味わう価値があると思いました。

    0
    投稿日: 2011.05.19
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    フォローさせてもらっている方の本棚から作者を知り、帯の「現代の罪と罰」という文句に惹かれ購入した。 一ページ目等の描写の巧さや、全体を通して読み取れるテーマは名作の雰囲気を醸し出している。 しかし、舞台が未来の戦争であることは物語を難解にしすぎており、細かいが数の多い突っ込み所は物語への没入を阻害している。 作家として成長した著者の作品が読めないのが悔やまれる。

    0
    投稿日: 2011.05.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    近未来のお話ですが、妙にリアルで面白い。 また虐殺器官というアイデアも秀逸! 多少、グロな描写はありますが 雰囲気は乾いてます。 あと モンティ・パイソン好きならソレ系のネタがいくつか出てくるので 楽しめますw 作者が若くして亡くなられたのが残念です。

    0
    投稿日: 2011.05.18
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    筋肉少女帯の「詩人オウムの世界」という歌をご存知だろうか?あるいは「空の境界」という小説のマスターオブバベルを。 伊藤計劃の文体から放たれる圧倒的密度の思想に翻弄されながらも、読了後に思い浮かんだのは上の2作品であった。 この本は元々2007年に出版されたSFで、9.11後の近未来が舞台となっている。その世界ではサラエボが核兵器の使用によって消滅しており、様々な地域で内乱・テロが頻発している。アフリカの内戦といいビンラディンの暗殺といい、SFではあるが非常に精度の高い未来予測である。 主人公はアメリカの特殊部隊(暗殺部隊)の一員で内戦の指導者を暗殺していくのだが、そのうちに様々な内戦地に現れては暗殺襲撃直前に姿を消してしまう謎の男がいた…というのがあらましである。 SFはあまり読まないので、この設定自体は陳腐なものかどうかは分からない。ただ、これに続く言葉が凄い。 「サラエボで香悪爆弾が炸裂した日、世界が変わった。ヒロシマの神話は終わりを告げた。どういう意味かというと、世界の軍事関係者が薄々気づいていながら決しておくびにも出さなかったある事実を、おおっぴらにしてもいい、ということ。つまりそれは、核兵器は『使える』ということだ。」 核戦争の可能性という起こりえないと信じたいある種のタブーでも、このような切り込み方をされてしまうと「所詮SFだろう」と流すことができにくい。 少年兵の話に関しても同様だ。内戦に負けて国と戸籍を失った少年達の行く末に対して、 「少年達に自由はない。自分の両親を殺し、好きだった少女を陵辱した男達の列に加わるか、皆と一緒に死ぬしかない」と表現する。 なんとも生々しく、少年達に対する感情移入のシンクロ率は恐ろしいものである。 基本的にこの作者はこうした生々しい表現は他と一線を画する。言葉や文章というペンの力で、読者の心をどこまでも揺さぶってくる鬼才である。 こうした表現と同時に、その言葉に対する哲学も深く感銘するところがある。 「だとしたら、生物が進化すると必然的にことばを持つとか思うのは、人間の思い上がりになるんですね」 歴史というものに関する主人公の解釈も衝撃的なものだ。 「その種の与太話がときおり盛んに議論されるのは、歴史というものが本質的な意味で存在しないことの証左に他ならない」 「歴史とは勝者の歴史、という言い方もあるが、それもまた異なる」 この部分の説明は是非実際にご覧になってほしい。こうした哲学的な言葉を拾うだけでもこの本には十分に価値がある。 こうした人の負の感情や心理を動かす言葉を操れるのは、筆者の病魔との闘いから生まれたものである。 筆者は1974年東京都生まれで、自身のことを「職業:病人」と自称しており、2001年の時点から癌の病魔と戦っていた。 抗がん剤治療が一段落したのが06年5月。会社勤めのかたわらこの作品「虐殺器官」の原型をわずか10日で書き上げ小松左京賞に応募。 審査の紆余曲折もあり落選したが、別の会社の編集長にメールして書籍として刊行されることが決定し、2008年には「ベストSF2007年」の第一位に選ばれる。 リアルな苦しみを体に刻み込まれながら書いた作品なのである。その言葉が力を持たないわけがない。 この本は歴史あるSF小説の中でも金字塔に近いものだそうだ。テロや新自由主義経済、グローバリズムや貧困など現実の問題を「恐ろしく冷徹に」分析されており、軍事謀略という重い部分に繊細さを併せ持つという点で、ミステリ読者にもファン層を広げ、高く評価された。宮部みゆきや伊坂幸太郎などからジャンルの枠を超えて絶賛されており、その後のSF界に重大な影響を与えたとされる。(あとがきより参照) SF長編の1作目にして最高の評価を得た筆者であるが、SF長編の全作品は虐殺器官を合わせてわずか3冊である。彼は既にこの世にいない。2009年3月に34歳の若さで亡くなったのだ。病気の進行の速さに比べ、評価が追いつくのが遅かった。 虐殺器官。その謎の人物は死の言葉を撒き散らし内乱を引き起こしながら渡り歩く。 しかし、死してなお人々に影響を与え続けその短命を悔やまれる彼の作品こそ、SF界の救済機関でありつづけるのだろう。

    0
    投稿日: 2011.05.17
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    同僚からの借り本。 題名でかなり躊躇。 最初は自分でもおっかなびっくり。 苦手分野の描写が多かったし、とっつきにくい描写が多かったし、 難しい!!って。 でも・・・ はまりました。 どこか淡々としてる語り口がますますシビアな世界へといざなってく感覚がなんともいえず。 機械的に支配、管理されてても、人を想う気持ちは抑えられなかったり、制御不可能だったり。 これが未来の姿・・なのかしら?? もう新作がでないと思うと・・・作者が亡くなったことが本当に悔やまれます

    0
    投稿日: 2011.05.17
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    全体的に理性的な語り口の落ち着いたトーンで展開する話ですが、ARや人工筋肉などのガジェット描写はワクワクした。 トゥモローワールドだよこれは。

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    投稿日: 2011.05.16
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    タイトルから想像するに、描写がエグそうなので読むのに躊躇していたけれどそんなにエグくない。ハイテクノロジーな武器や航空機などはリアリティがあり、読んでいて面白い。暗殺部隊に所属しながらも「殺す」という行為に、その意味の所在に悩む主人公。この話は哲学的な要素も含んでいるから面白い。何故虐殺を誘発しているのか、その動機に納得させられたことに驚いた。そして主人公のエピローグでの行為。その着地点に圧巻。

    0
    投稿日: 2011.05.16
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    3ヶ月ほど前に読んだので内容に齟齬があるかもしれないけれど。 印象としてはとてもおもしろい本だった。発想力に脱帽。 物語のアイデアに文章力が伴うと鬼に金棒だね。 藤原とうふ店のロゴが入った車が走る戦場から物語はスタート。 舞台は近未来の地球。主人公は傭兵の男。 各地で発生する虐殺に足跡を残していく人物と虐殺の関連性を探っていきます。 ああ、中身を覚えていないな。 追跡過程での主人公の悩みっぷりが興味深かったと思うんだけど。 結末もおもしろかった。 手元においておきたい本です。

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    投稿日: 2011.05.15
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    これが著者初の長編とは、、、とその才能のすごさに絶句。 実は装丁と帯が異様に目立っていて、ずっと買いたかったけどタイトルが怖くてためらってました。 が、買ったら没頭。 皆が指摘するように、すごく繊細な文章。音楽的な感じ。 ぐろい表現もあるけれど、口当たりは意外と軽いのはそのせいか。 軍事に関しても現在のことを綿密に調べ上げたうえでの未来像が描けていて、これだけでも単純に勉強になった。 最後のほうは確かに展開が急だし、謎はもっと謎として残してしまってもいいのかなと思ったけど、それでもすごい小説に間違いない。気軽に友人に薦めづらいけど笑

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    投稿日: 2011.05.14
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    虐殺は食糧不足に対する進化上の適応だという見解を念頭に置いている。ルワンダの虐殺について一部の学者が同じ見解を述べていたのを思い出す。 人間のモジュールが環境にどう適応したのか。人間の器官は心も含め、あくまで進化による適応のけかであると考えるネオダーウィニズムが貫かれている。 しかし、適応したモジュールはもちろん最適ではない。さまざまな環境に対する適応の妥協の産物こそが人間であることを思い知らされる。 また小説には各種ハイテクなものがでてくるが、ここででてくるハイテクノロジーは人間の本性を際立たせる脇役にすぎなかった。本当に怖いのは技術でも何でもなく生身の人間。生物。

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    投稿日: 2011.05.13
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    ゼロ年代を代表するSF。 病床で書かれたとは思えない細やかな筆致にうなる。 つくづく早世が悔やまれる作家さんです。

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    投稿日: 2011.05.12
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    2010年3月に文庫の帯買いだったけど、結果2010年に読んだフィクションの中で一番おもしろかった。世界観や諸々の設定が緻密に作りこまれたシミュレーション的な小説が好きなので、そういう点でもかなり好み。 さらに扱っているテーマ「言語」「自由」「歴史」「良心」「身体」とかがそれぞれものすごく好み(笑) かなりの読み応えだし、こういった小説はこれまで読んだことがなかった。帯の宮部さんのコメントじゃないけど、作家も嫉妬(とそれ以上に称賛)するに値する。著者はもうこの世にいないんですね。知らなかった。 それを知ってこの小説が持つ密度の濃さを改めて感じます。 「虐殺器官」や「ハーモニー」の、訴えかける力や問いかける内容の質感は村上龍作品みたいなんだけど、あそこまでズカズカ踏み込んでくるわけではなく、文章に毒があるわけでもなく、スマートで読みやすい。 (でも私は村上龍作品(特に初期)の泥臭いのに怖いほどシャープな感じもとても好き) とりあえず電車で読む時は乗り過ごし注意です。 一度終電でやっちゃってタクシー帰りするはめになりました(泣)

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    投稿日: 2011.05.12
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     9.11テロのせいで、監視社会となってしまったディストピア物。  主人公はアメリカの暗殺部隊の一員で、人を殺すことを仕事にしている。  ジョン・ポールという大量虐殺を引き起こしているらしい謎の人物を暗殺するために世界中を巡っていく内に、ある秘密へと近づいていくことになるのだが……。  ――と書くと殺伐とした印象を受けるが、違和感を覚えるぐらいナイーブな文体がそれらを帳消しにしている。  SF的世界設定がストーリーと密接にリンクしており、これがデビュー作とは思えない。  SF好きならまず満足する出来映え。  ちなみにこれはSF作品だが、ミステリーの賞も受賞しただけあってラストにはあっと驚かされる。  作者である伊藤計劃さんが34歳という若さで亡くなってしまったことは大変残念だが、彼がSF界に遺した物は大きい。

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    投稿日: 2011.05.12
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    まず、惜しい。伊藤計劃氏が夭逝してしまったことがだ。 しかし、ここまでのSFを書くことができたのは彼が余命幾許もない身だったからだろう。 9.11以降に歩み続けた監視社会がどのようになってしまうかの近未来SF、その物語の紡ぎ方が天才的。少しずつ主要人物たちから明かされる事件の仕組み、世界の仕組み。小出し小出しのSF設定が読者にゆっくりと確実に訴えかけるテーマと共に沁み込んでいく。 タイトルで読むのを避けていた僕ですが、この作品は読んでよかった。残虐な描写は斜め読みしましたが、しっかり読めばリアリティあるもので必要不可欠な残虐性であるようにも思えます。

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    投稿日: 2011.05.12
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    近未来の世界を描いているこの作品の魅力はなんといってもそのリアリティである。矛盾しているようだが、読めばすぐにわかるだろう。それほどまでに圧倒的なのである。伊藤計劃を早くに亡くしたのは日本の小説界においてあまりに損失が大きいのではないだろうか。

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    投稿日: 2011.05.11
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    久しぶりに一気読みしちゃう本に出会いました。気付いたら明け方でした。 グロテスクな表現といわく「ナイーブな」語りに初めはゲーッて感じだったんですが、だんだんその語り口にも慣れてきて、そしてサスペンス的な話の流れに引き込まれました。 浦沢直樹のモンスターみたくモンスターをひたすら追い掛けて捕まえられないで謎がどんどん深まってく的サスペンスになるのかな、と思ったのですが、そのへんの描写がもっとあっても面白かったんじゃないかなと思いましたが、そんなことしてたら文庫一冊にまとまらないか。 とにかく、物凄かった。罪と罰とか、生死、現代社会の抱える問題、伝えたいことが山ほど詰めこまれている、現代の「文学作品」と言えると思う。 対比の仕方がとてもうまい。ウィリアムズと自分(これが秀逸だと思った)とか、アレックスと自分、とかルツィアと自分とか、対比の中で浮き彫りにしていく的な。 今はそのぐらいのことしか書けません。 一度じっくり考察をしてみたいなぁと思いました。

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    投稿日: 2011.05.11
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    久しぶりに読んだハードなSF。ハリウッドで映画化されてもぜんぜんおかしくない傑作。だけど子どもがいっぱい死んじゃうからちょっと映画はきびしいか。CEEP(チャイルドエネミーエンカウントポシビリティ)っていう言葉が強く印象に残りました。 まんがでいうとイダタツヒコさんの「外道の書」と同じにおいを感じました。

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    投稿日: 2011.05.08
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    最高だ。出会えてよかった。 佐藤亜紀氏が大絶賛というのもうなづける。 佐藤亜紀の作品の緻密にくみ上げられた知識とクールさに、 とぼけた笑いやからっとしたいい意味の乾き加減が絶妙。 まるで一葉の紙を真ん中で上手にはがしたかのように、両者のトーンは似通っている。 文章から浮かび上がる香りというのか沸き起こるリズムというのか、 良書に共通するなにか、はそこに確実に存在するように思う。 注意点が1つ。電車で立ち読みしないほうがいい。 目の前で座っている老婦人が、文庫本のタイトルを見てあからさまに顔をしかめた。 あ、あと、もうひとつ。 電車で居眠りをして、本をなくさないほうがもっといい。 遺失物相談所で本のタイトルを聞かれて、 答えるのにものすごく恥ずかしい思いをするはずだから。 作者はデビュー後たった2年で、ガンのために亡くなったとか。 知らなかった。とても悔やまれる。

    0
    投稿日: 2011.05.08
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    日本人が書いたなんて信じられない。十日間で書いたなんて信じられない。著者が亡くなってしまったなんて信じたくない。そんなSF大作でした。私がもっと勉強したら満点評価です。そのくらい、追いつけない作品でした。

    0
    投稿日: 2011.05.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    戦争SFなんで最初なかなかページ進まなかったけど、後半ハマった。もし自分にこの文法が理解できたとして虐殺以外に使用方法はないのか、と考える。でも自分が発した言葉によって相手の心理に影響を与えることはよくあることで、普段から言葉を選ぶのが大切なんだと思った

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    投稿日: 2011.05.08
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    夭逝したSF作家・伊藤計劃のデビュー作。 徹底的な情報管理がなされテロの発生率がゼロになった代わりに、後進国における内戦や大量虐殺が激増した近未来。米軍大尉にして暗殺専門の特殊部隊所属のクラヴィス・シェパードは、謎の男ジョン・ポールの追跡任務を請ける。虐殺が起こる地域に必ず姿を現すこの男は、現地で一体何を行っているのか? 読み応えのあるハードSF。緻密な設定と根底に流れる価値観のおかげで、映画にできそうなくらい絵が浮かぶ小説だった。 無自覚に現状を享受することの無責任さ。 選択とは自由を狭めて何かを選び取ること。 見たい世界を見続けるために、都合の悪いものは徹底的に排除する社会。 なんだか、SFなのに現代社会に通ずるというのが。ここまで強いメッセージ性を持った本は久々に読んだかも。

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    投稿日: 2011.05.07
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    この作品は9・11以降のアメリカを中心とした社会を、近未来的なガジェットを様々なところに配置することで、SFという名前を冠している。しかしその一方で、これまでのSFが取り組んできた社会的な作品、というよりも、これは非常に個人の内面的なところにその重点の多くがあるようであった。 一人称の語り部は、米軍軍人であるクラヴィス・シェパードである。 彼はテロとの戦いのため、世界中でその任務を行っているがその点で、本作でイメージされる世界とは非常に現代的ではある。そしてその、世界で頻発する虐殺を伴う紛争とは常にジョン・ポールという人物と関係しているようであり、彼を追跡するにつれてクラヴィスは「虐殺の文法」というものを知ることとなる。これが本作のおおよそである。 しかし戦争物といっても、彼はとても、その回想において、文学的である。 常に倫理や正義の問題について悩まされるし、そして稀に兵士でありながらあまりにもペダンティック過ぎることすらある。 しかしこの事実は同時に、現代に対する警句ともなりえており、彼が悩む葛藤と対比されるかのように、世界の秩序という大義で国家は兵を送り、繊細な主人公でさえもまた、仕事と云う名の下で人を殺し続けている。 またジョン・ポールもとても個人的な発想の下で虐殺に関わる。 彼の扱う「言語」とは、個々人の発想に影響を与える。我々の思考はある程度言語によって左右される。そういった意味で、これもまたある種個人的という問題に関わろう。 以上の議論を踏まえるとこの作品は、SF的でありながら、実に時代について大上段に構え過ぎず個人的であることから現代的でもあり、そして罪と云う観点からは文学的ですらある。 だからこそ本作はかつての冷戦時代とも異なる、ゼロ年代のSFの内でも、代表的なものとして語られるのだと思う。 しかし衒学趣味が若干鼻につく部分もあり、また説明に紙幅を要しすぎるせいでストーリー自体の分量が少ないのは、ちょっと嫌な感じもしないことも。

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    投稿日: 2011.05.04
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    結末にさしかかった頃、ビンラディンの暗殺が報じられ、ますます虚構がリアリティを浸食してしまった感が強まった。作者がパイソニアンであることに気付き、親近感が増してしまった。後半でパイソン・ネタが炸裂する。スペイン宗教裁判、シリー・ウォーク、ホーリー・グレイルの黒騎士……。 追記:そうか。虐殺を引き起こす文法というアイディアはモンティー・パイソンの有名スケッチ「殺人ギャグ(The Funniest Joke in the World)」から思いついたのかな?

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    投稿日: 2011.05.03
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    ■関西出張の往路に千歳空港の書店で帯のコメントを読んで購入。結局、大阪からの帰路に読み始めたんだけど会社に着くまでに読了しちゃったぐらい引き込まれた作品。舞台は近未来アメリカの軍隊...特殊工作部隊...の暗殺チーム。設定もそうなんだけど、読みはじめてからすぐに思わず作者を確認しなおしてしまったぐらい内容も書き方も海外のSF作品のような緻密さと精巧さで構成されている。 ■ タイトルだけ見るとオドロオドロシイ作品なんじゃないかと思うかもだけど、決してそんなことはなく。とはいえ単純なアクション作品でもなく、人間の内面とか集団の進化とか近未来でありながら現代をも鋭く風刺していて、じっくりと考えながら読まされることになる。解説を読むと『小松左京賞落選』作らしい(笑)んだけどこれはかなり秀逸...というか強烈な作品。そういえば梅田の紀伊国屋ではコレが書架の一部が真っ黒になるぐらどどーんと平積みになっていてちょっと異様だった。 ■作者は昨年病気で亡くなっているんですね。実に残念。

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    投稿日: 2011.05.03
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    ○戦争を遂行するにあたって、状況が悪くなるにつれてなし崩し的に次々に兵隊や武器を投入していくこと、いわゆる「戦力の逐次的投入」というのは、最もやってはならないこととされている。それはすなわち、初期に見積もった戦力が目標を達成するに甘すぎたということであり、最初に投入したものが無駄だったということだからだ。 ○音楽は心を強姦する。 ○「仕事だから。19世紀の夜明けからこのかた、仕事だから仕方がないという言葉が虫も殺さぬ凡庸な人間たちから、どれだけの残虐さを引き出すことに成功したか、君は知っているのかね。仕事だから、ナチはユダヤ人をガス室に送れた。仕事だから、東ドイツの国境警備隊は西への脱走者を射殺することが出来た。仕事だから、仕事だから。兵士や親衛隊である必要はない。全ての仕事は、人間の良心を麻痺させるために存在するんだよ。資本主義を生み出したのは、仕事に打ち込み貯蓄を良しとするプロテスタンティズムだ。つまり、仕事とは宗教なのだよ。進行の度合いにおいて、そこに明確な違いはない。そのことにみんなは薄々気づいているようだがね。誰もそれを直視したくはない。」

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    投稿日: 2011.05.01
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    久々にすごいものを読んでしまった。 友人がまとめて11冊も貸してくれた本のひとつで、 しかも自分が知らないうちに紙袋に忍ばせてくれたものだった。 S君ありがとう。2時間半で一気に読みました。 構成や文章、虚実ないまぜの情報量もさることながら、 インパクトの強い書名も含めて用語の用い方が巧み。 やたらと多い引用を衒学的と捉える向きもあるだろうが、 僕にとっては効果的・効率的な表現のためのサンプリングであり、 結構好きなところだ。 いくつかの不満もないわけではないが (『虐殺の文法』に関する記述の浅さ、 主人公の夢についての描写の多さ等)、 そのあたりは作者の意図的なものであろうし、 また僕の個人的な好悪でもあり、本作の評価を 下げるものではないと思う。 (小松左京はそうではなかったみたいだけど。) 現代社会の諸問題(と言われているもの)に多く触れているため、 社会批評的な方向に評価軸が寄ってしまいそうだが、 その諸問題を表現のツールとして用いているのか、 そう見せかけて更にひとつ深い構造的な推論を示しているのか、 さらにそう見せかけたエンターテイメントなのか、 それらのいずれでもあるのか、 混沌としているところがすばらしい。 嫌いな人は嫌いだろうけど。 久々にモンティ・パイソン見たくなったなー。  

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    投稿日: 2011.04.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    この作家を失ったことは本当に惜しい。世界的なベストセラー作家になれたと思う。最後の親友を殺すシーンは衝撃だった。

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    投稿日: 2011.04.26
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    感想はブログでどうぞ http://takotakora.at.webry.info/201104/article_8.html

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    投稿日: 2011.04.26
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    機関でも期間でもない、虐殺「器官」。 どういうことなのかと読み進めるとなるほど納得。 言語を勉強しているものとしては大変興味をひかれる設定でした。 また、現在の戦争を思いながら読みました。 しかし、主人公の気持ちがいまいちしっくりこず、このような精神状態で軍人の仕事はやっていけるのか心配になりました。 わざとこの性格にしたみたいですが、心に引っかかるところがありました。 主人公のラスト行動はいいなと感じました。

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    投稿日: 2011.04.25
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    ブラックホーク・ダウンを観るより生々しく感じる描写。世界観もよくできてるなぁ、と驚かされる。言語を学ぶ人間としては虐殺と言語の関連性は面白かったけれども、広く浅く的なイメージ。紛争の予兆も色々なものがあるけれど、言語も確かに切り離せないなぁ。刺激が欲しくなった時にまた読みそう。

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    投稿日: 2011.04.22
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    圧巻。SFだから、と思って敬遠している人は読んだ方がいい。リアリティあふれる近未来小説。著者の早逝が惜しまれる。

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    投稿日: 2011.04.21
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    帯に「現代における罪と罰-」とあるが、『罪と罰』は未読だが多分そうなんだろう。 SFといえばSFなんだろうけど、SFとしては読まなかった。社会派戦争ものとして読んだ。 著者が生きていれば、ソーシャル・ネットワークが爆発的に普及した現在を見て、どんな作品を作ったと思うと、残念でならない。 ■この本を知ったきっかけ  本屋で見て。 ■読もうと思ったわけ  とにかく装丁にやられた。そしてこのタイトル。帯も含めて装丁がカッコよすぎる。

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    投稿日: 2011.04.20
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    ひさびさのSFもの まあまあ面白かったけど戦争ものは苦手 ただ、作者のセンスはすごいと思う。 でも、やっぱりSFは苦手

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    投稿日: 2011.04.18
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    読みにくい厚みと内容の話の筈なのにあっさり読めてしまいました…。単なるSFではなく、現状社会とマッチしたリアリティあるストーリー故だと思います。あまりに現実的な、非現実のお話です。

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    投稿日: 2011.04.15
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    読みにくいのに読み進められるのは、設定の目新しさとストーリーテリングの上手さゆえ? 未来を扱った点では、「新世界より」と通じるものがあるが、こちらの方がより現実的。こんな世界がそのうちやってくるのかも。いや、もうそうなりつつあるのかも。

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    投稿日: 2011.04.14
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    小説の世界観を超えて、著者の世界を見る眼を通して世界を見るという読書体験。SF的想像力とそのリアリズムの位相(watanabe052)

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    投稿日: 2011.04.13
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    名前はよく耳にしていたものの、未読だった伊藤計劃の作品初挑戦。読み始める前に、著者がすでに他界していることを知って衝撃を受けたのだが、作品を読んで更に衝撃を受け、圧倒された。戦場を現実体験しているはずのない人が描く戦場のリアル、人類がまだ到達していない技術を現代に近い舞台で違和感なく展開させるSF的技量。自分の知っている作家から例を挙げるとすれば、そこにはスティーブン・キングと村上龍と神林長平が合体したような想像力とスケール感と緻密さがあり、更にソフト面(虐殺器官という発想と良心や虐殺を進化やミームの視点で語る論理展開)の興味深さとハード面(SFとしての架空の科学技術に関する細かい描写や戦場・戦闘の情景)のリアルさ、そのどちらもがまさに“圧倒的”。 冒頭からショッキングな情景だし、読後感は重い。文字で読んでいてもグロテスクな描写にはダメージを受けるし(実際受けたダメージの分、評価の★一つ減らしました…)、万が一にも映像化されるようなことがあっても自分は絶対見ないだろうと断言できる。けど、その作品世界を紡ぎ出す伊藤計劃の世界には完全に魅入られた。こんなにも圧倒的な作品に出会ってしまった以上は、図書館に返して終わり、ではなく、自分の蔵書として手元に置きたいと思わずにいられない。度々読み返すには体力を消耗しすぎる作品ではあるが…。

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    投稿日: 2011.04.12
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    ただのSFとは思わないでいただきたい。 こんな未来が来る可能性は十分にあると思う。 主人公の心理描写も繊細に描かれていて、非常に考えさせられる作品。 読むには精神的体力が要るのであしからず。

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    投稿日: 2011.04.12
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    難しい本だったけど、いいタイミングで物語が展開するから、グイグイ引き込まれる感じ。 近未来のSF小説だけど、哲学あり、自己啓発あり。

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    投稿日: 2011.04.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    社会情勢も、軍事機関も、最先端技術についても無知なので、軍事物の小説としても、近未来のSFとしても本書を楽しむ事が出来ませんでした。 細かい所も読み込んで気づくようなことがあれば、楽しかったのかもしれませんが。 近未来を舞台としたアクションとしてはとても迫力があっておもしろかったです。 苦手であるナイーブな主人公がひたすら淡々と語っているのが苦痛でしかたなかったです。 ジョン・ポールの手段と目的の謎はぐいぐいと引っ張ってくれるのですが、結局、その思想に納得も感情移入も出来なかったので、結末も何の感情も持てないままでした。 後半からラストにかけては登場人物達があれよあれよという間にいなくなってしまい、あっけない印象です。 設定も展開もおもしろいとは思うのですが、単に自分には合わなかったのだと思います。

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    投稿日: 2011.04.11
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    虐殺器官読了 一人称でソフトが問題になっているのに、内面だけに留まらず少ない言葉で最大限の世界を描いている。 一人称で自身の状況を説明し、さらに外側の世界情勢etcまで述べる難しさは自分で書いて分かってるんだけど、一人称の柔らかさを以て世界の硬くて脆い感じを書ききってる。 何がすごいって内面とか死とか自己とかそういったものが中心なのに物語が物語として存在していて完結しているのがすごい。 しばらく一人称視点で書いて、私が乗り越えられなかった自己と世界と更に外側にある世界をがっつり書けてるのがすごい。 これがプロなのかというか。

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    投稿日: 2011.04.11
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    このタイトルを手に取るには勇気がいる。 この表紙を携行して読むには勇気がいる。 でも、そういうんじゃないんだって、この本を擁護したい気持ちに強く強く駆られる。 でも、色んな惹句や説明は読む人に予測を与えたり、身構えたりさせる。 それ無しで、カバーから得る情報だけで、ただこの本の衝撃に打たれるのがいいのではないか、そんな風に思う。 伊藤計劃の力量に絶句する。後半から急速に引き込まれるという読書体験は久しぶりだった。 近未来SFの真価はこういうところにあったのだ、と思い出す。SFは苦手だとここ数年思っていたけれど、人の内面に内向きに内向きに潜っていくSFというジャンルは、大きく自分を揺さぶるものだったと思い出す。 その実感が、解説や本人の言で裏付けられて、安堵するような心地。 個人的には翻訳文学の棚に入れたいような作品だった。 しかし、なんでもうちょっと前に読まなかったかな。 【追記】 この作品についた引用の多様さに驚いている。 受けとる人によってキーセンテンスにこれだけのばらつきが出る作品は少ないと思う、

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    投稿日: 2011.04.10
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    最初の方を読んでいたら、「虐殺機関」の方が正しいんじゃないかと思っていたら、少しずつ「虐殺器官」に移行していきました。殺伐をそのまま描いた感じで今後似たようなことが起こってもおかしくないようなリアルなSFでしたが、後味は悪くない作品でした。

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    投稿日: 2011.04.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    そう遠くなく、サラエボが核攻撃で消滅した世界。 技術が発達し、民間兵や年端のいかない少年兵を撃ち殺しても責務や葛藤に悩まされずに任務を全う出来る精神コントロールが受けられる時代。 アメリカ軍の軍人クラヴィスは、世界の治安維持の為、秘密裏に要人の暗殺を実行する特殊分隊に所属しているが、母親の死により自分の行いに疑問を抱くようになる。 そんな折、後進国での内紛と大量殺戮が多発し、その原因となっているのがたった一人のアメリカ人であることが判明する。 ナノテクノロジーを駆使した角膜サイズのウェアラブルコンピューターや光学迷彩、人工筋肉を利用した兵器など、近未来アニメや映画に登場してきた装備が数多く登場し、現実的な描写をもってリアルな潜入、追跡捜査が展開されていく。 悲惨な戦場に在りながらも、冷静な哲学的思考やアメリカ人ならではのジョークなどが挿入され、全体的にドライな印象。 近未来戦争アクションものを想定して読み始めてしまうと難儀するかもしれない。派手な活劇はほぼ無く、淡々とクラヴィスのフィルターを通した景色とその心情が叙情的に描かれていくのと、PMF、SWDなど、オリジナルの組織名やアイテム名が英単語の略語で表記され続け、結局何の略だったのか忘れ、読み飛ばしてしまうようになってくる。 不思議な違和感を感じる点もある。 実在のニュースや映画の描写、小説からの引用台詞が頻繁に登場するのだが、そのどれもが現代の30代がよく見聞きするものばかりで、近未来世界の30代であろう最先端の技術を身にまとった軍人たちに不釣合いなように思える。 9.11以降のアメリカのその未来という感じがどうしてもイメージ出来なかった。 物語の核心は、奇抜ながらも現実に起こり得る恐ろしいアイデアであったが、その後の主人公の顛末には個人的に納得が出来なかった。 物分かりが良いか、終始思想が変わらないのか、感情移入は難しい。 「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」や「クラインの壷」のように成り得た内容なだけに、作者の早逝が惜しまれる。 伊藤計劃 その他の著書 ・METAL GEAR SOLID GUNS OF THE PATRIOTS ・ハーモニー ・The Indifference Engine(虚構機関 年刊日本SF傑作選2007年度収録)

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    投稿日: 2011.04.05
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    たまには話題の本を(といっても大分乗り遅れているが)。 軍事サスペンスもののSF。 途中まではありきたりな近未来軍事ものかと思わせる。 しかし、中盤で明かされる「虐殺器官」の正体。 ルツィア、ジョン・ポール、ウイリアムズ、シェパードの4人の「虐殺器官」に対して取る最後の立場の違いが与えるずっしりとした読後感はなかなかのもの。 「虐殺器官」のアイデアが本作の肝とはいえ、周りを固める道具仕立ての丁寧な設定作りや、幅広い文献にあたっていると思われるちょっとしたウンチク群が世界観や登場人物にしっかり説得力を持たせており、アイデア頼りになっていないところが、本作の評価できるところだろうか。 SFとしてどうかはよく分からないが、少なくとも軍事サスペンスとしてはバッチリ読める良作であることは間違いないと思う。

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    投稿日: 2011.04.05
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    人間の持つそれを、器官と呼ぶ発想が斬新で面白かったです。 近未来の世界が舞台のフィクションだというのに、近い将来本当にこの物語で描写されている研究が世に発表され、実用化されるのではないかと畏怖してしまいました。 いつか本当にこんなことがあるのではないか?と錯覚させるくらいリアリティがある設定が多々出ていて、別の意味で怖かったです。 いい意味で、この作品は期待を裏切らないまでにSF小説でした。 派手なドンパチは一切ありません。 淡々と語られるお話でした。 お涙頂戴のヒューマンドラマでも、派手なドンパチを繰り広げるハードボイルドでもなく、科学の発展したこの世界で、いつかありうるのではないかと錯覚するような物語です。 *** 2014.04.10 再読

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    投稿日: 2011.04.05
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    茶水の丸善で一目ぼれして購入。 しょっぱなからグロい。 SF要素アイデアは思いつかないけど尊敬までいかないレベル。 グロすぎて前半ちょびっとしか読んでません。 とりあえず本棚に放置なう。

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    投稿日: 2011.04.01
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    『虐殺器官』は、果物で言うならうらなりの、未成熟な小説だ。繰り返し、もつれ、戸惑い。率直過ぎるフレーズ、尻すぼみのラスト。消化されるまでもうすこしの食べ物みたいに、ずっと煮え切らない現実が残り続ける。虚構まであといっぽの物語。 あるいは、死を目前にした自意識との葛藤。それは小説を書く自己との葛藤でもあり、だから『虐殺器官』は私小説だと言うこともできる。伊藤計劃がつくりあげた「わたし」の物語だ。 ただ、完全な虚構世界にできないところが伊藤の未熟さであり、また、この小説の未熟さなのだとおもう。つまり伊藤は完全に、自意識を小説から離脱させることができなかった。彼は自己の葛藤を小説に投影せざるを得なかった。それは職業的小説家はしないことだ。 いうなれば、小説の骨格が、小説の肉と分離してしまっている。 きっと彼は、骨に肉をなじませている余裕がなかったのだろう。それはアイデアとしてとにかくアウトプットされ、わずかばかり滑らかな表面を与えられただけで、皮膚の下は混とんとしたままどうにか形をなしていた。 にもかかわらず、私は感情として、彼の小説を好きだと思う。小説としては未熟かもしれないが、彼がアイデアを練り勉強し小説という形にしようとしたものを、私は嫌いにはなれない。まったく冷静な判断ではないけれど(まあ、判断はいつも価値判断であるのだし)。 つまり、彼はこの小説を書きなおすことがもうできない。彼は死んでしまった。そして私は少なからず、その事実からさかのぼって彼の小説を読んだ。私の視線は最初から歪んでいる。 未完成であることの完成度。彼は死によって永遠にその完成を放棄せざるをえない。そして私たちは、私たち自身で、彼を補足しなくてはならない。彼のあり得た可能性を私たちは想像し、その想像の中で彼は少なからず価値を与えられ、いま評価されている。

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    投稿日: 2011.04.01
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    単純に面白い。 突拍子もない設定も緻密に描かれて、読み進めていくうちに、違和感がなくなっていった。 何よりも、人間の中の虐殺器官という着目に驚き。

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    投稿日: 2011.03.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

     いつだったか書店で特集を組んでいて、気になっていたんだけど、中崎町の古本屋で偶然にも見つけたので、ブラッドベリの「たんぽぽのお酒」とともに買った  古本屋に行くと、時々こういう出会いがあるのが良いよなあ  以下があらすじ ___________________________      本書は「9.11」から十何年か経った近未来を舞台にしたSFである  本書の世界では、かの「9.11」により無差別テロを極度に恐れた社会により容認された緩やかな監視社会である  テロリズムは個人が何をしているか特定できれば予防できる  つまり、「全ての社会的行動(物を買ったり、電車や飛行機に乗ったり、お金を下ろしたり、宅配ピザを受け取ったりなど)を取るたび個人認証を行えば、追跡可能性が格段に高まるので捕まりたくない人は犯罪を起こさない」ということだ  そういった大衆によって容認された監視社会を背景として物語は進行していく (ジョージ・オーウェルの「1984」的世界は訪れなかった!)  主人公は、暗殺を任務とする軍の部隊に所属しているが、その中で幾度か取り逃がした「ジョン・ポール」という名の標的がいる  始めはなぜ彼が標的になるのかわからなかったが、物語が進むうちに世界各地で起こっている虐殺の原因であることがわかる  なぜ彼は虐殺を引き起こすのか、そしてその方法は? ____________________________  また、本書の世界では、SFだけに近未来的な多くの設定が存在する    飛行機などの外装に使用され、クッション材、補助動力など柔軟な機能を持つ「人工筋肉」  身体を健康体に自動で近づけてくれる「ナノマシン」  痛覚を認識しながらも痛いと感じない「痛覚マスキング」  戦闘用に、感情を調整する「戦闘適応感情調整」    などなど  詳しくはwikipediaを参考にしていただきたいが、本書のテーマに深く関わってくるのが以上の4つだ  そのテーマとは「わたしという主体とは何か」と「誰かの犠牲の上に成り立つ自由」であると僕は考えた  長くなりそうなので、二回に分けて書こうと思う  まずは、「わたしという主体とは何か」について    主人公は、戦争という極めて現実的な状況に立たされながらも、「戦闘適応感情調整」や「痛覚マスキング」のせいで、真に迫った現実性を得られないでいる  そのことに違和感を感じながらも、彼は未成熟な「わたし」の安定を図るため、無意識的に「それでいい」と思っている  それというのも彼が始めて意識して人を殺した(正確には延命措置を止めた)のが自分の母親だからであり、彼にとって「人を殺す」という選択は、自我の安定を脅かすものなのである  「暗殺」という業務は、表面上は上司が判断した人間を「殺す」のが自分というだけであり、「仕事」である (作中にもあるが、人間は「仕事だから」という理由で殺人や拷問、虐殺をしてきた歴史がある。囚人実験の「es」やナチスの将校たちの行動など例は枚挙にいとまが無い)  しかし、最後に殺すかどうか選択するのは自分であり、暗殺という職業を選んだのも自分であるということに、彼は目をつぶっており、そうすることで「わたし」という存在を守っているのである (フィレオフィッシュの産地を知り搾取の構造を打破するために動こうとする一般人がどれだけいるだろうか)  「我々は知りたいものしか知らないし、見たいものしか見ない」    京極夏彦の「魍魎の函」であったように、人は見えていたとしても「見た」と認識するとは限らないのである  これは、個人の意識にも当てはめることが出来る  コンプレックスの原因は、知っていても認めることが出来ないのだ (というよりも気づこうとしない限り、認識することが出来ない)  本書では、主人公のコンプレックスを「罪」という言葉で表現しているが、これは「人が人を殺す時に生じる葛藤や生理的反応」、「自分や周囲の属する自分の世界を守るため人を不幸(=死)にしている現実を認められない自我の弱さ」を示している    こういった「罪」を誰か(作中ではルツィア)に罰してもらう(自分の認識を否定してもらう)か、赦してもらう(自分の認識を承認してもらう)ことで主人公は救われたいという考えを抱くのである  ここで問われているのは「選択の結果としてのわたし」である    だが、本書では、主人公は同時に自分が感じている唯一の現実感のある戦場の感覚が本物かどうか、について確信が持てないでもいる  「戦闘適応感情調整」と「痛覚マスキング」によって、通常の現実であれば体験できるような感覚を、戦場では認識することが出来ない  そして、この二つの操作は、使いようによっては人間の認識をある程度操作できるという可能性を示唆する  彼は、自分が「自分の殺意を持って標的を殺しているか」について確信を持って信じることが出来ないのだ  気づきたくない選択の結果としての「わたし」  その選択すら自分の実存から出たものか確信できない、という認識  この二つの葛藤が主人公の中で自分と似た罪を持っているルツィアに出会うことで表面化する  本来なら、これは彼にとって成熟するためのチャンスなのだが、罪が大勢の他者(人間である!)の死によるため、一人では背負いきれず、この葛藤の答えをルツィアに求めてしまう  任務の結果として、ルツィアは死に、彼は答えを得られないまま自分の罪の代償に世界(米国)を差し出してしまう  アイデンティティを確立していない未成熟な男が、大勢の他人を殺すことで理不尽な世界に加担していることに気づき、赦しを請うが、それが得られなかったことで、自分の世界に絶望する  残った僅かな義憤心が選んだ選択は、自分の世界を守っていた「兵器」を自分の世界(=米国)に使用することだった  世界の矛盾を解消するために世界を壊す  彼は、自分の組み込まれている世界を壊すことで、矛盾した世界(≒自分)を再構築しようとしたのだ  主人公は自らの選択によって確信できる「わたし」を欲したのだ  本書は、主人公個人の物語として見ればそういうことだと思う  一転、「誰かの犠牲の上に成り立つ自由」というもっと大きな目線で呼んだ場合どうなるかを考えてみる  本書では、  「9.11」以後、社会はテロ対策の為に何をするにも個人認証を必要にした(=プライベートが存在しなくした)が、統計的には個人認証の影響でテロが減少した結果は見出せなかった  しかも、本書の敵役である「ジョン・ポール」による虐殺が始まってから、米国におけるテロがなくなった  面白いのが、本書中では、統計的事実が公表されているにも関わらず誰もその事実に目を向けず、誰しもが「個人認証はテロ対策に役立つ」と信じきっていることだ  前回の記事では「我々は知りたいものしか知らないし、見たいものしか見ない」ということが、個人(主人公)の意識に適用されていると述べたが、実は本書では、この事実を世界に対しても適用している 「我々は知りたいものしか知らないし、見たいものしか見ない」  自分たちに都合の悪い情報に大衆は気づかないのだ(というよりも調べようともしない)  本書ではそれを補強するために、作中に出てくる人工筋肉が、実はビクトリア湖で(淡水で生きられるように遺伝子変換された)養殖されたクジラ・イルカの筋肉であるというエピソードを持ち出す (これはフィレオフィッシュの原産地についてのドキュメンタリー映画「ダーウィンの悪夢」が元ネタ)  大衆が気づこうが気づくまいが、現実は米国以外で起きている虐殺の回数が増えるにつれて米国内のテロは少なくなっているのだ  それというのも「9.11」のような自爆テロは、「捕まらずに逃げる」とかそういった考えの持ち主が起こすものではなく、もうテロか死ぬかくらいしか選択肢がない切羽詰った人々が起こすものなので、個人認証をどれだけ厳しくしたところで、通常の犯罪は減らせてもテロには効果が無いんだ  既存の社会の仕組みを変えないで、社会の仕組みそのものの歪みによって生まれた副産物(=テロ)を、小手先の変化で改善しようとしても、そもそも問いの立て方、アプローチの仕方が間違っているからうまくいくはずがない  そこで、その社会があるだけでテロを引き起こしてしまうなら、テロを起こすような余裕など無くしてしまえばよい  つまり、身内で殺しあっていれば、他人を妬み憎んで、殺しに行くことなど考える暇がない    その考え方がジョン・ポールのやり方を肯定する  虐殺の首謀者「ジョン・ポール」は、作中におけるサラエボの核爆発により妻子を失っており、一見、「狂人が世界に不幸を撒き散らしている」という解釈も出来そうだが、本書ではそんな妥協はしていない  ジョン・ポールはいたって正気であり、愛すべき世界(=米国)を守るために自分の出来ることをやっているに過ぎないのだ  「愛」によって米国以外を不幸に貶めるジョン・ポールと「罪」によって米国を不幸に貶める主人公  彼らは表裏一体であり、そこには敵も味方もいない  本書で間違っているのは「米国というシステム」なのだ  役者が悪いのではない、舞台が悪いのだ  ここで話を変えてみる  作中では選択できるものとして「自由」(米国を象徴する)というキーワードが多く出てくる  僕のようなサラリーマンは「自由に時間を使える自由」と引き換えに「給料を貰い消費する自由」を得る  作中の米国民は、「プライベートの自由」を差し出して、「安心して外を歩けるという自由」を得ている  「虐殺されている国を助ける自由」を犠牲にして「自国の安定を謳歌する自由」を満喫している  主人公は「命令に反して目の前の市民を助ける自由」を放棄して「命令を遂行し虐殺を終わらせる自由」を選択する  我々の持つ「自由」は常に制限されており、無制限な自由など存在しない  時間は有限であり何かをしている時は他のことは出来ない  個人の注意資源には限界があるのだ  そして、自由の選択の結果として、作中の悲劇が行われる  「自由からの逃走」は論外だが、自由の行使の仕方について我々はもっと学ぶ必要があるのではないだろうか  「少なくとも余りにも大勢の犠牲の上に成り立つ自由は考え直されるべきだ」と本書を通じて、著者は世界に伝えたかったのかもしれない (しかし、間違ってはいけないのは、本書は間違っているやり方を否定しているのであって世界のあり方そのものは否定していないという点だ。作中でも主人公は「全体として人類は利他的により他者を思いやるような世界を作り上げていっている」という内容を述べている)  世界やシステムという観点から見ると、本書は  「間違いだとわかっていても動いてしまったシステムを止めることは容易ではなく、その間違いを修正するためには大きな代償が必要であるということ」を示していると僕は思う  これって政治でよくありそうなテーマだなー  「一度決まった法律や条令を修正するには大きなコストがかかる」みたいな…影響する対象が大きすぎる場合の判断の仕方  これを学ぶためには組織論とか行動経済学とか社会心理学とか多くの知識が必要なんだろうな  勉強不足が身に沁みるぜ

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    投稿日: 2011.03.27
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    3月24日読了。ゼロ年代最高のSFとも言われる著者の長編第1作。サラエボが核で消滅・現実世界にメタ情報が貼り付けられセキュリティと情報管理が高度に発達した近未来に生きるアメリカ兵シェパードは、世界に虐殺を撒き散らす男、ジョン・ポールを追う・・・。帯にもあるが伊坂幸太郎、小島秀夫、宮部みゆきらが激賞、著者がガンで早世など話題性あるだけにどんなもんかと興味を持って読んでみたが、冒頭から想像以上。数ある先達SFたちに敬意を表しそれらを参照しつつも、猿真似に陥らず濃密で硬質でスピーディだが繊細で純粋な、非常に個性的な世界を作り出している・・・。いつ襲われるか分からない、誰が真の敵か分からない厳しい世界で、先端技術に完全防護され訓練された兵士が、トラウマに対しながらほこりと泥、銃を持った少年少女に満ちた世界を行軍する・・・。これを読んだ小説家・クリエイターたちはさぞ驚愕し、影響を受けたろうと思う。若干文章にはうまくない部分もあるが、全然マイナス点にならないすごい小説だ。

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    投稿日: 2011.03.24
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    難しい、けど深い。深いなんて言う言葉では足りないくらい深い。 「頭の中に地獄はある」 目をつぶっても耳をふさいでも地獄からは逃れられない。 どんなにもがいたとしても、その事実は変わらない。 なのに、人はその地獄がどんなものかも、どうしてそこか地獄なのかも目を反らし、考えないようにする。 今自分が立っている世界が、無数の屍の上に立っていようとも。 最後のアレックスとの会話に泣きそうになりました。

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    投稿日: 2011.03.23
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    戦争という商売。 戦争で殺すということ。 正当化。 罪と罰。 近未来で、ちょっとSFも入っている? 苦手なサイバーパンク的分野だけど、 好きな話だった。 ものすごく面白いけど、読み流せる感じじゃなくて、 時間がかかってしまった。 だけど、ここ最近で一番面白かった本。

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    投稿日: 2011.03.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「良心は進化の過程で備わるものなのか?またはDNAにコーディングされたものであるのか?」等といった非常に深い哲学思想をベースに物語は進みます。 衝撃的なラストであり、読書後しばし呆然としました。 他のレビューで見ましたが、エピローグに書かれた主人公の動機が全て嘘っぱち・建前(プラカード)であると見なすのは面白い解釈だと思いました。「愛する人を守りたい」という利他的信念を持ったジョン・ポールに対し、夢に出てくる「死後の世界」に安心感を覚え、利己的に自ら混沌を生み出してゆく主人公の壊れっぷりといったら無いです。 正直言って文句のつけどころがありません。ただただ、筆者の夭折が惜しまれます。

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    投稿日: 2011.03.22
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    自分が撃ち、人が倒れる。それが戦場であり、躊躇すれば死ぬ。しかし、そこでぼくが生きるために殺した敵の命は、自分自身の責任として背負いこむことができるものなのだろうか。そのときの自分は、何かを背負いこめるほど充分に「濃い」のだろうか。  罪から逃れたいのではない。ぼくが恐れているのは逆で、自分にその罪を背負う資格がないという可能性だ。その罪が虚構であるという最悪の真実だ。 (P.266)

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    投稿日: 2011.03.22
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    9割読んだ時には怖い話だとは思わなかったけど、残り1割でこの話は怖い話だと思った。 国の為なんて大義名分で人は個人で戦争をするし、家族を守る為に戦争をする。人間はそういうモジュールを生まれた時から持っているから。 あとやっぱり一人の人間が力を持つのってよくないって事よね。デスノとかと一緒で、それがいい事なのか悪いことなのかを考える前に虐殺を誰かが起こせる状況を作ってしまうことが良くない。

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    投稿日: 2011.03.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    『虐殺器官』(ぎゃくさつきかん)という書名。 “伊藤計劃”(いとうけいかく)PROJECT ITOHという作者名。 全面漆黒の表紙にあふれだす文字、文字。 読む前から、負のイコン(聖像)が読者をつかむ1冊だ。 2007年のSFベストに選ばれた本作は 意外にも読みやすい。 舞台は近未来。主人公は“ぼく”。 いきなりの戦場シーンから幕が開く。 冒頭で衝撃的なビジュアルを提示し 読者をとらえる映画的な手法。 “ぼく”はアメリカの暗殺部隊の一員。 海外のキーパーソンを暗殺する虐殺器官。 911から始まった近未来。 そこでは、サラエボが核爆弾で消滅し アメリカは“デリバリーピザの日常”を守るために テロとの戦いに明け暮れていた。 生態器官を活用した武器群 精神医学による兵士の精神コントロール これらによって戦いは彩られていた。 ジョン・ポールというアメリカ人が 行くところ行くところに内戦が起こり “ぼく”を中心とした部隊は 暗殺のために世界を飛び回る。 “ぼく”は母の安楽死を認めた心の痛みがあり また、死が日常の中で日々戦う痛みがあった。 そこから否が応でも 「生と死」というテーマが浮かび上がってくる。 このSFが読みやすいのは、SFのためのSFではなく (優れたSFはみなそうだが) 現代を問うたSFだからだ。 著者の伊藤氏は34歳で亡くなった。 著書はわずか数冊。 しかし、この本を読んだだけで 彼の密度はぼくを圧倒した。 印象的なフレイズを。 ぼくにはことばが、人と人のあいだに漂う関係性の網ではなく、 人を規定し、人を拘束する実体として見えていた。 ぼくらは三十だ。ぜんぜん大人になれていない。 少なくともこのアメリカで消費サイクルに組み込まれているあいだは。 ピザ屋がピザを作るように、 戦争もまたある立場からは、単なる業務にすぎないのだ。 人間は、見たいだけしか見えないようにできているんだ。 羽をばたつかせながら、それはぼくの開かれた中指に停まった。 フェロモンを滴らせていた中指に。 CNNのクリップ・チャンネルの世界。 ドミノ・ピザの普遍性。 映画ストリーミングサービスの冒頭十五分。 ある深さまでしか辿られることのない物歴。 ぼくらの倫理的ステージは、 まだそのあたりでうろうろしている。 人々は屍の上に立っていることに気づいていない。 いま、ここにある地獄。 ぼくは自分という地獄に閉じこめられた。 ●解説で言及している図書など ブルース・スターリング『ネットの中の島々』 ブルース・スターリング『ホーリー・ファイアー』 ウィリアム・ギブソン『ニューロマンサー』 グレッグ・イーガン『万物理論』 テッド・チャン『あなたの人生の物語』 小島秀夫監督『スナッチャー』『メタルギア』 黒沢清監督『CURE』

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    投稿日: 2011.03.20
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    タイトル、表紙とは異なり内容はいたって王道だと思う。 文体は少々癖があるが、決して読み難いわけではない。 読後の感想としては、SF小説として教科書的な1冊だと思う。 夢野久作『ドグラ・マグラ』のような作品とは、大きく異なる。 そして、桜庭一樹のような暴力さもない。 (一部グロテスクな表現はあれど) タイトルと表紙に惑わされず、SFに興味があれば是非読んで頂きたい。 この本のすごさは、何と言っても世界観。 本当に緻密で、読んでいるとこの世界に引き込まれる。 この世界のどこかにあるのではないか、という気になるくらいの世界観。 そこで語られる物語は、非常にリアルとなる。 作者がお亡くなりになっていることを含め、既に完成された作品だと思う。

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    投稿日: 2011.03.18
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    じっくり読まないと理解が難しい。サラサラと読める感じではない。 死やテロをSF の世界で哲学的に語っている。最後もなんとなくだが、納得できた。

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    投稿日: 2011.03.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    自分は一人称小説に弱いと思う今日この頃。 死ぬとか殺すとか、えんえんそこらへんをぐるぐる思考する小説。 小説というよりは哲学書? 面白く読みました。 ラストもよかった。主人公が感じていた母親の視線とはいったいなんだったんでしょう。

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    投稿日: 2011.03.12
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    タイトルの印象と中身は違うので、タイトルで損してそうな気もする。 近未来SFで、こういう発想なのかと感動する作品。 日頃SFを読まない人にもお勧めできるので、是非読んでほしい。

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    投稿日: 2011.03.11
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    タイトルからホラー小説かと思い込んでいたものの、読み進めると全く違ってた。 妙にリアルな近代社会。妙にリアルな管理されることの悩み。管理されることにより責任から逃れられることの怖さ。 痛覚マスキングをしたもの同士の戦闘の不気味さ(まさにバイオハザード)。 「虐殺器官」というものの発想もおもしろかったです。 最後が後味悪いか。

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    投稿日: 2011.03.08
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    SF小説は初めてだったが退屈することなく読み進めることができ面白くてよかった。哲学に興味をもっていたのでタイミング的にもよかった。著者の知識の豊富さと読んでいるうちに小説の世界に引き込まれていく感じに驚いた。グロテスクな描写に注意

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    投稿日: 2011.03.05
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    虐殺器官… 買おうかまず悩んだ。大ヒットしてるけどこのタイトルにはさすがにちょっと臆してしまう。 虐殺、暗殺、内戦…。 9.11以降の世界を描いた軍事物SF。 死体や殺しの描写が生々しいので受け付けない人もいるかと思う。恐いというより気持ち悪いんじゃないだろうか。しかし、個人的にはこの手のものに抵抗はない。むしろリアルで生々しく描かれた内戦の実状や軍側の詳細なディテールがより現実味を色濃くし、実際に身近な国で起こっているかのようなリアルな感覚に戸惑う。 現に今、エジプトやリビアなんかが真っただ中だし、それに重なってしまう。 さらに、人間の本質、生と死、罪と罰、自由とは…といった人間学とでも言おうか、そういったことが哲学的に全編を通して軸となって語られる。 虐殺の言語にはいささか驚いた。 あとがきに書いてあったが、最初にこれを10日間で書いたってのには驚愕した。 とにかく衝撃な作品だ!!

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    投稿日: 2011.03.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    む…難しい…!!! そして、カタカナが多い!!!! なんだろう。 すごい話だった。 こんな世界になったら嫌だな。。。 でも、なりかねない。 コンピュータの進化ハンパねぇ。 情報監視社会ハンパねぇ。 こんな世界になったら嫌だな。。。 たぶん日本はならなさそう。 そんなんにウルサイ国だから。 でも、アメリカにやれって言われたらやりそう。 結局やるんかぃ。 すっごくグロイ表現が多かったのに、不快感がなかったのがすごく不思議だった。 なんかそれがその世界では当たり前ってゆーのをすっと受け入れられたからかな。 作者の力か、私のグロテスク免疫がアップしてるだけか。 哲学がすごくてついていけなかった。 難しかったよ。 理解できるところもあったけど、少なかった。 でも、きっと読む人が読んだらすごい本なんだと思う。 映像化希望! アニメでも実写でも良いね。 悲しい話だけどね。。。 最後は残念だった。。。。

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    投稿日: 2011.03.01
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    面白かった! 繊細な筆致でグロテスクなものも主人公の思想も丁寧に描かれている。その文体の繊細さと主人公の内面描写がすばらしい。生きるとは何か、死ぬとは何か、戦争・虐殺の是非、哲学的なものが非常に難解にならずに読みやすく語られる。 読み終わったときに後味は悪いけれど読んでよかったと思わせる小説だった。

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    投稿日: 2011.02.28
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    政情不安と内戦の続く時期に読む偶然。ムバラクやカダフィは、ひとりの近代的個人として何を考えて過ごしていたのだろう。

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    投稿日: 2011.02.27
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    400ページくらいの小説だけど 途中までは もー怖いのなんのって 人が死ぬとか 当たり前に起こる話 まぁ タイトルが 虐殺機関 だからね でもね 350ページ くらいから ようするに クライマックスは 予想もしなかった 形になっていったので 引き込まれましたよ ほんと 世界平和って なんなんでしょうね 国によって 人によって 価値観が違うのに 一概に 世界平和なんて 言えるのでしょうか? 僕にとっての世界平和と あなたにとっての世界平和は違う そんなの定義付けするものじゃないよ ナウシカでね 飛行機が墜落して 蟲の人っていう 深森で暮らしている人が 死んだ人の宝を取ろうとしたんだ それを見て ナウシカは やめなさいって怒ったんだ ナウシカは 死んだ人のものをとるなんて 死んだ人に対して失礼だって意味で 怒ったんだけど 蟲の人は リーダーである ナウシカよりも先に 物をとったことに対して 怒ったと勘違いしたんだよ それを察したナウシカは 「私たちは理解し合わなくてはいけない」 という言葉を発したんだ みたいに 国によって 暮らしている環境によって 価値観なんて まったくと言っていいほど 異なってくるものなのに 世界平和なんて 僕らは言っていいのかな って思いました。 虐殺の王である ジョンポールの 世界平和は すごく正しいものだと思います。 考えさせられる作品です。 ほんと モラルとか 良識とか なんだろうね 結局 自分ごとでしか ないんだろうね それを 美化するなんて 馬鹿げてるよね なんか 言葉にできないけど おかしいことだらけだと思うよ きちんと考えよう きちんと考えたら 世の中の常識と ずれてくるだろうな それでもいい 自分の頭で考えよう 世の中には流されないようにしよう

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    投稿日: 2011.02.27
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    読み終えて再度この本を買ってよかったと思った。作者が小島監督作品「メタルギアソリッド」シリーズを好きなのはしっていたが、本書にもそのメタルギアが少しだけちりばめられており、思わずにやついてしまった。そして何よりこのようなすばらしい作品を書きながらも病の縁に亡くなってしまった作者には非常に、とても残念に思った。彼の作品が今後読めないというのは本当に悔しい

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    投稿日: 2011.02.27
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    ハーモニーを先に読んでいましたが、この作品はハーモニーの前の時代の世界が描かれてます。(つまりハーモニーはこの作品の続編のような感じ) 中学生の頃からもやもやと思ってたことが100段階くらいbrush upされていてかつストーリーも最高に面白い。 文句無しの星5つ。

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    投稿日: 2011.02.26
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    軍事もので近未来もののSF作品 主人公のクラヴィス・シェパードは良心や感情といった戦争、殺しに邪魔なものを軍事カウンセラーにチューニングされたタフな軍人のイメージもありながら文学好きという設定のせいか語り口はナイーブなのでグロテスクな描写もキツ過ぎず読めるという副産物もあり 人口筋肉とか網膜に必要な情報を映し出すシステムとか出てくる小道具が近い未来にありそうで面白い IDで人や物の歴史が管理された社会、 生と死を分かつものは何なのか、 重厚なテーマが複数ありかなり濃いので消化不足の感あり またそのうち再読予定 でもそれはそれだけ傑作であるということ

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    投稿日: 2011.02.24
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    一気に読了。 そんなに遠い先ではない未来が舞台。 面白かった。 もし、映像化したらと考えたが、結構グログロになりそうだったのでやめておきます。

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    投稿日: 2011.02.24
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    グロいのに繊細で哲学的。9.11 後の世界が抱える問題をきゅっと詰め込んでSFを通して語っている、世界観も素晴らしい。 最初は虐殺、暗殺の描写が続くことに慣れず読み進めるのが辛いけど、後半に進むにつれ、綿密な設定に夢中になってしまう。 ラストも、ありがちながら印象的。これはぜひ一読を。

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    投稿日: 2011.02.23
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    SFで、ハードボイルドで、哲学だった。作者はとても頭のイイ人なんだろうな。もう亡くなってるんですね、残念。すごくおもしろかった。

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    投稿日: 2011.02.21
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    その世界観、メッセージ性、とても大好きな1冊です。 国際関係、ミームや言語学など哲学的に訴えるものがとてもたくさん詰め込んである本でした。著者の早すぎる死が本当に惜しまれます。

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    投稿日: 2011.02.20
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    ほとんどSF小説って読まないけど、本屋に行くたび平積みされてて、表題のインパクトに惹かれて読んでみた。 アメリカのスパイ部隊に属するアメリカ人が主人公で、近未来(10年後とか)のテロとか紛争の状況が描かれています。 最新テクノロジーとか好きな人は、面白いと思う。血なまぐさい描写が苦手な人は、避けた方がいいかも。結構沢山人が死にます。 で、私はと言うと、結構面白く読めました。 すべての国民が国家にID管理されている中、感情もコントロールされて、自分としてのアイデンティティに不安を持ったり、それによって新たな紛争が生まれたり、必ずしもファンタジー的な要素だけじゃないところが、結構深い。

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    投稿日: 2011.02.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    情報軍の大尉にして暗殺者である主人公はあるターゲットを追う。そのターゲットは虐殺が起きるところに姿を表すのであった。虐殺器官とは何か。主人公に救いはもたらされるのか。

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    投稿日: 2011.02.20
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    無骨なのに繊細。虐殺の器官。SF。最初は取っつきにくかったけど、読み始めたら一気でした。面白かった。

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    投稿日: 2011.02.20
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    大きなテーマとしての命とか世界の偏りとかというのが見えるのだけれど、その一方で随所に社会学や哲学の命題が散らばっていて、その点で本筋のテーマとは別の、命題コレクション的性格が印象に残ってしまったのがもったいなかった。多くのテーマを詰め込み過ぎた感じがする。その点で、『ハーモニー』の方がシンプルで透明感があり、まさに好対照という感じ。 とはいえ骨組みや論の進め方がとてもしっかりしていて、安心して読める。安易な情緒に流されず、論を論として詰めていくような雰囲気が好きな人にはとてもお勧め。逆に情緒的な小説が好きな人には不向きかも。

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    投稿日: 2011.02.19
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    普通の本として、エンターテイメントとして見ると十分な要件はあったけど00年代SFの一位がこの虐殺器官だと思って見るとそこまでではなかった。 しかし、9.11後の未来であったり言語学、作者の死生観についてだったり軍事物としてだったりは凄く良書だと思う。 ただ、虐殺の文法についてや、ネタバレはしないが最後に主人公がとった行動の動機についてが書かれておらず軽く肩透かしをくらった。何と言うか名作になりそうな感じで展開されるけど全体的にあっけなく回収されるというか、裏切られる事がない。 ただ誰が読んでも駄作とは言わないだろう。 面白かった。

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    投稿日: 2011.02.18
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    きわめてレビューの書きにくい内容。 単なる小説の域は完全に出ている。 ストーリーについては、アメリカの特殊検索群i分遺隊所属のシェパードが ターゲットであるジョン・ポールを追うという大枠があり、 この内容はよく理解できる。 しかし、その裏にある伝えたいこと、 特に命の重さについての描写がとにかく難しい。 表現もさることながら、かなり哲学的な内容だからであろう。 複数回読めば、また違う感想を持つ気がする。 しかし、読むのに疲れる作品。

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    投稿日: 2011.02.17
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    帯で作家が絶賛している作品ほど 疑り深く扱ってしまうのだが、こ れは面白かった! タイトルが秀逸すぎる。殺戮という暴力的な言葉と、器官のイメージさせる柔らかさ、脆弱さ、繊細さ。これ以上にぴったりなタイトルはないと思った。著者の作品をたくさん読みたかったなあと嘆くのは、我が儘だろうか。 かったなあと嘆くのは、我が儘だろうか。

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    投稿日: 2011.02.14
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    なんといってよいのやら、だ。 MGSの増幅版みたいな感じ。 怖い話なんだけど、すごく冷静というか、冷たい。 自分がなんなのか、わからなくなる。

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    投稿日: 2011.02.13
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    SFというものが、読書の中心にあった時代からはとうに数十年が経過している。学生時代、海外のSFが中心で、「幼年期の終わり」などに思考の根源のあたりをゆすぶられるような感動を味わった記憶がある。 その後、完璧に社会化される過程で、ぼくは、自分の目の前にある現実の表層を理解するための読書に吸い込まれ、圧倒的な安定感を持つ現実という閉域の中での穴埋めゲームに熱中した。 そのあいだ通信をめぐるテクノロジーの進化が加速し、気づけば「あの頃の未来」の風景が自分の周囲を取り巻いている。しかし、周囲の「現実」は、かつてぼくを取り巻いていたものと同じような安定感を持ち合わせてはいない。 メタルギアソリッドの世界のような、オルタナとしてコンピュータによって再構成された現実のようにさえ思える。 こんな時間の経過と、環境の変化を踏まえて、久々に読んだSFに圧倒された。 ようやく伊藤 計劃の「虐殺器官」を読み終えた。とばして読むにはもったいなくて、ゲームの空間の細部にいたるまで網羅的に触れていくような感覚で読んだからだ。 読んでいる最中、読み終わったあと、のべつまくなしに、細部から立ち上る知的な香気が、外部へのベクトルを生み出し、ぼくを、新しい関心へと連れ去ろうとする。 良い本というのは、読んでいる過程で、新しい知の方向への誘いを多数包含しているものである。伊藤氏の傑作を読みながら、ぼくは、橋爪大三郎の新しいウィットゲンシュタイン論やら、塩川伸明の「民族とネイション」(岩波新書)やら神林長平の一連の言語SFやらをベッドサイドに積み上げていた。 舞台は911以後の世界だ。サラエボで核爆弾が爆発し、一瞬に多くの人命が失われた。それをきっかけとして、「世界は発狂しようと決意し」地球上のいたるところで内乱や紛争が多発するようになる。そしてそのほとんどの場所で「看過すべからざる人道に対する罪」=大虐殺が生じるようになったのだ。 米国は、反テロ戦争のためという大義のもと、さまざまな通信技術や、生体認証技術が高度に発達したセキュリティ社会の中にある。人々は、安全のために自らの自由の一部を自発的に譲り渡すようになっている。 「ある自由を犠牲にして、別の自由を得る。ぼくらは自分のプライベートをある程度売り渡すことで、核攻撃されたり、旅客機でビルに突っこまれたり、地下鉄で化学兵器を撒かれたりすることなく生きていける。」 米国政府の最近の懸念は、世界で内乱が生じた地域に、米国人コンサルタントであるジョー・ポールが存在していることだ。「虐殺が内戦というソフトウェアの基本仕様と化したかのような」世界の中で、そのソースコードを書いた男、虐殺の王。 高木徹が傑作ノンフィクション「ドキュメント戦争広告代理店」でボスニア紛争で大活躍する米国のPR会社のコンサルタントを想起させるような男だ。 彼が関わった国家では、事後にかならず紛争が悪化し、自国民族あるいは、国内の少数民族を巻き込んだ大虐殺が生じるのだ。虐殺の巡礼を行う謎の男ジョン・ポールを追って、米国情報省の暗殺部隊が追跡を行う。 主人公のクラヴィス・シェパードは、近未来技術で知覚も意識も武装した辣腕のブレードランナーだ。 追跡先のプラハで、ポールで対面した、主人公に明かされる虐殺のソフトウェアの鍵としての「虐殺の深層文法」言語という「虐殺器官」。 ポールの活動の背後に隠れるより大きな陰謀を、心に闇を持つ主人公が、その任務をおおはばにオーバーランしながら追いかけていく。そして、その論理の当然の帰結として、驚愕の終末。 人間とは、民族とはということをめぐる先鋭な理論を踏まえた、鋭利な論理が、まっしぐらに結末へ向かって進んでいく。 そういった加速する論理がこの小説の魅力だ。しかし、その直進するロジックだけで、伊藤計劃の傑作の魅力を言い切ることはできない。まさに神は細部に宿るだ。 ストーリーとロジックを多層的に包むように行われる環境についての表現が素晴らしい。そこには映画的というよりは、コンピュータゲーム的な執拗さで、ひとつの世界が書きこまれている。 たとえば、戦闘シーンを描く際の、生体を偽装するテクノロジーのこんな描写。 「 ぼくらは手近な廃墟に隠れると、それらを地面に埋めて隠し、侵入の段取りを確認しあった。体に名のコーティングをスプレーし、敵から奪ったショルダーポーチに隠した端末を操作して、環境追随明細のソフトウェアを起動する。偽装アルゴリズムによって生成されたカモフラージュパターンのグラフィックは、対内の塩分を伝道してデータ転送され、服や装備に吹きつけられたナノコーティング層がそのデータを表示する。  一瞬のうちに、ぼくらは廃墟の弾痕だらけの壁に、完全に溶けこんでいた。 (略) 数分にわたって体を密着させているうちに、元准将の第一種軍装の色を、その色とりどりの勲章を、ぼくの体の明細が追従しはじめた。まるで相手の狂気がぼくの体に乗り移ってくるように思え、背筋を冷たいものが這い登ってきたが、相手の腕を決めつつ喉許に刃を突きつけているこの姿勢ではどうしようもないことだった。」 さらには、近未来の都市の街路を描いた描写。 「人気の多い通りに出ると、視界が唐突に騒がしくなった。存在しない看板で副現実(オルタナ)が溢れかえったのだ。   観光都市であるプラハは、とにかくオルタナが充実している。店という店に、街路という街路に、これでもかというくらいの情報が貼りつけられている。それら溢れかえった文字情報が、百塔の街であるプラハの景観に香港のネオン群か、リドリー・スコットが想像したロサンゼルスのような混沌を付け加えてしまっていた。存在しないネオンによる、現実の風景への膨大な注釈の山。店の種別、営業時間、ミシュランの評価。代替現実は観光客向けの広告が幾重にも折り重なるカスバと化していた。  計画を立てなければならない。  ぼくはタッチボードを探した。オルタナを充実させているプラハの歩道は、そこらじゅうボードだらけだ。キーボードのイラストが書かれた合成樹脂の板が、いたるところで観光客に顔を向けている。ぼくはボードの前に立って、それを三秒間見つめると、コンタクトが絵をインタフェースとして認識した。キーボードを叩くようにイラストに描かれたキーに触れていく、キーを「押した」手ごたえのような贅沢を求めない限り、本物のキーボードは必要ない。赤い線で抽象化されたキーが描かれていた板でじゅうぶんだ。  視線検出で文字を見つめるだけで入力可能なデバイスも一時期もてはやされたが、一文字一文字視線を移動させるより、指でキーを押したほうが断然スピードが速かったために、視線入力はあっという間に廃れてしまった。  プラハの観光情報をカットアウトするフィルタを起動させて、USAにアクセスする。」 一つの論理を徹底して追求するという線のベクトルと、ありそうだが、どこにもない世界の全体を立体的に構築しようとする建築的な意志が複雑に交差するところに、この作品の魅力がある。 しかも、こうやって構築された世界の中で、さまざまなストーリーや、論理が自己生成する可能性が感じられる。だからこそ、作者の夭逝はあまりにも痛切である。しかし、おそらくは自らの寿命を意識した作者だからこそ、荒削りでも、ひとつの世界を構築しえたのかもしれない。 こういった細部に没入していると、ぼくがSFを読まなかった数十年時代にSF的想像力を追いつき、追い越すデッドヒートが行われていたことに気づく。 そして、そういったSF的想像力によって再帰的に構築された日常が、コンピュータゲーム的(世界構築的)想像力という強力な表現形式を得ることで、未曽有の迫真性が生まれ、世界を表現するという意味でのジャンルの力を再び装備しはじめているのかもしれない。少なくとも、読者としてのぼくは、SFというジャンルにふたたびはげしくひきつけられている。

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    投稿日: 2011.02.12
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     9・11のあと、世界はどんどん個人情報管理によるセキュリティーを高めていった。先進国はいわゆる『追跡可能性(トレーサビリティ)の確保』によりテロを根絶したかに見えた。が同時に後進国ではでは民族大虐殺が頻発する。内戦や虐殺の背後には必ず謎の人物ジョン・ポールがいた。物語の主人公米情報軍のクラヴィス大尉は軍の命を受けてジョン・ポールを追う。というのがこの物語である。  この物語で注目すべき点はふたつある、と私は思う。一つは「言語」、もう一つは「ホッブス的混沌」だ。  まずは「言語」。言語とは何か、言語のもつ力について作者は相当突きつめて考察していると見える。それは本書の随所に現れており、読者は伊藤氏の考察の一部をうかがい知ることが出来る。主人公・クラヴィス大尉が謎の人物ジョン・ポールを追う中で愛してしまう女性ルツィア・シュクロウプと出会う場所にチェコのプラハが選ばれたのはけっして偶然ではないだろう。プラハはカフカが生まれた都市であり、その当時、オーストリア=ハンガリー二重帝国内の一都市であった。そして、多数のチェコ人はチェコ語をしゃべっていたが、帝国の支配者であるオーストリア人はドイツ語をしゃべっていた。チェコ人に生まれ、同時にユダヤ人であったカフカはその方が生きていくのに有利だという理由でドイツ語での教育を受けドイツ語でしゃべるしかなかった。事実、カフカはチェコ語ではなくドイツ語で小説を書いている。チェコ語は200以上の語形を持ちうる語もある言語で自由な語順が許されることもあり非常に複雑で習得困難な言語なのだそうだ。第二部にあるクラヴィスとルツィアの言語に関する会話、第三部でのグラヴィスとジョン・ポールの議論が非常に興味深い。ちなみにルツィアはジョン・ポールの昔の恋人であって、プラハでチェコ語の教師をしている。  言葉と心(あるいは意識)が生存適応の過程で人間が獲得した進化の産物であって、しかも心が遺伝子コードに規定されるをすれば言葉は心臓や腸や腎臓のように器官だということか。そうするとそこにあるある一定のパターンを解明することが出来れば「言語の持つ魔力」によって、人々をある行動に誘導しコントロールできることになる。この「言葉は器官にすぎない」と「心は進化の産物である」というふたつの命題はこの小説の核となっている。そして、伊藤氏が現代人文科学のタブーを犯し、人の心は何も書き込まれていない石版(ブランク・スレート)などではなく、生得的なものがあるという命題に立ち向かったことに意味があると思う。そう、この小説は「生まれたばかりの赤ん坊の心は真っ白な石版であって、その後の心や行動はすべて環境によって書き込まれる。従って人はみな平等だ」などという浅薄な”そうあるべきだ”理論に疑問符を投げかけているところがすごいのだ。  さて、もう一つの「ホッブス的混沌」である。ホッブスは著書『リヴァイアサン』(1651)の中で人間は生まれつき自己中心的な快楽主義者であるから、人の行動は自然の状態のままでは愚昧な私利私欲に導かれるとしている。つまり市民国家や法の規則が何も無い状態にあっては、万人の自然権は、自分以外のあらゆる人に対する暴力を正当化し万人がお互いに戦争状態となる。であれば社会が平和に安定するためには、社会契約に中にある作り物――「リヴァイアサン」――を織り込む必要がある。このリヴァイアサンというのは国家、それも暴力と絶対的権威を独占的に与えられる国家だというのだ。正確な表現ではないだろうがだいたいそのようなことを言っているのだ。  伊藤氏は9・11のあとの近未来社会でテロの驚異を根絶するために徹底的な管理社会を出現させ、絶大な力もつ国家を描くことで「正当化された殺人があるかどうか」という命題(この命題はドストエフスキーが『罪と罰』で問うた命題でもあるが)を読者に突きつける。  以上、『虐殺器官』は非常に示唆に富んだSF小説である。伊藤氏はこの小説を病魔と闘いながら書き上げたという。氏が病を得てなお残された時間を小説の執筆にあてたことは世の読書人にとって僥倖であったといえる。しかし、同時にこれほど希有な才能が夭逝してしまったことは大きな損失であった。伊藤氏の死を心から悼む。

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    投稿日: 2011.02.12
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    ひたすら見てる、そんな小説。 すごくことばというか文字にこだわって書いてあると思った。いろんな要素を掛けて掛けてしてあるけれど、根っこにあるのは人間って何やろね、じゃないだろうかと。 舞台はそう遠くない未来。主人公は要人暗殺を主な仕事とするアメリカ軍人シェパード。 主人公は物語が進むに連れて自分の罪の罰と赦しを求める。でも最後には空っぽになる。空っぽになって虐殺を始める。救うために。守るために。 グッドシェパード。この言葉が浮かんだ。なんだっけどういう意味だっけ。善き羊飼い。神様を表す聖書のことば。

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    投稿日: 2011.02.12
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    緻密な設定と、繊細なメッセージ。凄まじく面白い小説にであった。これがたった10日で書かれたものというのが信じられないくらい。 筆者はすでに亡くなっていて、新作が読めないのが悔しい

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    投稿日: 2011.02.12
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    本屋さんで平積みにされていたから買った。ただそれだけ。 どんな作家さんかも内容かも知らなかった。 最初の1ページは斜めに構えて読みました。どんなもんかな〜。 10ページぐらい進んだら、体を起こして身を正しました。これは好みかも。 50ページ、100ページを過ぎた頃には、時間を忘れていました。 最後には呼吸も忘れて、ただ読みふけりました。 本を閉じて、こんな作家さんが日本にも居たのかと感激に浸りました。 最後に、解説と作家紹介を読み、呆然としました。 失った存在は大きすぎて、誰にも埋められない。

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    投稿日: 2011.02.11
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    とても評判の高い一冊ですが、自分にとっては評判以上の出来だと思いました。近未来だが、小物やアイディアに説得力がありよかったです。

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    投稿日: 2011.02.09
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    暗殺部隊の主人公、人工筋肉、ID社会、そして虐殺Code。設定の組合せが抜群に面白い。大胆な世界観だけど、すんなり入っていけた。 アジア旅行中に読んだので、幼い子供との戦闘シーンをより痛々しく感じた。。 死について、殺人について、何度も逡巡する主人公。作者もまだ若いためか、そこに明確な答えやメッセージがあるわけではなさそうに見えるけれど、その迷う姿に共感した。

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    投稿日: 2011.02.08
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    小島秀夫監督によるMGSシリーズを思わせる世界観。仕込まれた小ネタ。足元がクラクラするような読後感。この感覚を味わえる小説って、中々無いように思います。

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    投稿日: 2011.02.08