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パレード
パレード
吉田修一/幻冬舎
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総合評価

750件)
3.7
117
302
225
45
12
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    ************************************************ 都内の2LDKに住む四人の若者と、そこに加わったサトル。 本音を偽り、優しくも怠惰な共同生活を送る彼らの日常に、 サトルが加わることで小さな波紋が広がり、歪みが生じる。 平穏な日常、抱える秘密、そして不可解な事件が絡み合う。 ************************************************ ユーモア溢れる軽快で愉快な会話のテンポやトーンが 一見読みやすく若者達の青春群青劇を思わせる切り口。 シェアハウスに住む四人は、理想的な暮らしに見えた。 干渉し合わない、踏み込まない、適度な距離感を保つ。 それが上手くやる暗黙のルール。 しかし心地良かったはずの生活の実体が明らかになる。 深く関わりすぎないからこそ、それぞれの印象も様々。 そこで、他人の目や理解なんて、勝手なものだと痛感。 ううう〜んこれは難しい。難しいぞ。 自分自身、人間関係は狭く深く派なので、 広く浅く関わる人には必要以上に関与したくない。 でもそれは結局自己防衛の為で、傷付きたくないとか、 面倒に巻き込まれたくないとか、振り回されたくないとか。 だからもしかしたら私もこの部屋の一員になり得るかも。 上手に見て見ぬふりをして、なんとなく大人のふりして。 明らかな「悪」から目を逸らして、心地良さを優先して。 読み進めるにつれ、どんどん不穏さが増していき、 衝撃のラストにまた全部最初から読み直したくなる。 そしてその不気味さと奇怪さは最初の印象とは違い、 つまりは結局どういう話だったんだ?と疑問が湧く。 きっと誰しも分かり合いたいと思っているはずなのに、 現実はこんなものか、と軽く絶望した私なのでした。 -----------✂︎-----------✂︎-----------✂︎-------- 読み終えてから、映画化されていないか調べて、 「あれ?これ映画で観たことあったわ」と気付く。笑 映画から入ったからもちろん申し分ないナイス配役。 藤原竜也林遣都はもちろん、香里奈もなかなか良い! これもう一度観たいなあ藤原竜也の狂気が見たい。笑 -----------✂︎-----------✂︎-----------✂︎--------

    10
    投稿日: 2025.11.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    朝井リョウさんが、YouTubeのとある番組で紹介されており、手に取りました。 5人の若者のそれぞれの心のうちが赤裸々に描かれていて、文章が自分の胸にじわじわと染み渡るように広がってくる。それぞれの若者達の思いが、自分もいつかどこかで思っていたような感情で、懐かしいような、そんな思いもした。 5人の関係が、気を許してるようで全く許してないような、なんだか、“ごっこ”みたいな感じ。それが最後にあんな展開になって、ちょっとびっくり。それでも皆、一緒にいるんだ…。 人の気持ちって、本当にわからない。

    6
    投稿日: 2025.11.02
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    表面的には穏やかで居心地のいいシェアハウス。でも読み進めるほど、誰もが何かを隠していて、空気が少しずつ歪んでいく感じがゾクッとした。特に直輝の視点に切り替わった瞬間、一気に世界が反転して鳥肌。人の“普通”の裏にある狂気をここまで静かに描けるのに驚愕した。

    15
    投稿日: 2025.11.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    1番まともそうな直樹が通り魔なのだろうなというオチは正直予想できたが、それをみんなが受けいれて何事も無かったかのように「上辺」の付き合いを徹底して過ごしているのだというオチは想定外だった。結局人間は見せたい部分だけを見せて、見たい部分だけを見る生き物なんだ。そして、見せたい部分だけ見せててもやっぱり人間は人間のことをよく見ていて、醜い部分もちゃんとバレるんだ。でも人間って死ぬまでそんなもんなのかな、自分の気持ちは自分だけが知ってたらいいや、と。たしかに「こわい」物語でした。

    4
    投稿日: 2025.10.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ミステリーホラー?そんなジャンルはあるかは知らないけど、。共同生活をする5人の若者の話。それぞれの視点から物語は描かれる。彼らの生活には小説的な事件は起きないが、なぜだがスルスルと読み進めることができた。各章に散りばめられた違和感が、先を読み進めたいと思わせてくれる仕掛けになっていた。

    2
    投稿日: 2025.10.15
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    この読後感よ……感情を咀嚼するまでに時間かかってしまった。みんなそれぞれがその場所にいられるような自分を演じてるから、居るけど居ない。居ないから居られる。会話劇がとにかくリアルで、うわ〜こんな共同生活良いなとか思って笑わせられるんだけど、絆っぽい関係が首の皮一枚で繋がってる危うさが見えてきて薄ら寒くもなる感じ。心の暗さのグラデーションが綺麗。本当に狂ってるのは誰なのか?下世話な事には興味あって、少しでも自分の領域が犯されそうになると見て見ぬふりしてしまうよなー…。個人的に平山夢明「他人事」と同じホラージャンルに区分したいと思う。

    1
    投稿日: 2025.10.09
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    なんの共通点をもたない5人が2LDKで共同生活をするほのぼのストーリーだと思いながら、1章の良介視点から読んだ。しかし、違っていた。非常に怖い小説だった。 吉田修一さんが書く人物は不思議と魅力的な人物ばかりで、私は結構好き ぜひ、読んだ後解説まで読んで欲しい作品。 なんだこの感覚、、、、

    0
    投稿日: 2025.10.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ダラダラとした若者たちのつまらん日常パートが続いていつ盛り上がるんだ何か伏線あるのかと思ったら最後までほぼダラダラとした日常で終わった 嘘だろ びっくりするほどつまらない

    0
    投稿日: 2025.10.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    マンションに住むそれぞれの視点から描かれる みんな何かしら問題、悩みを抱えてるけど 最終的に1番頼りにされてまともそうな兄貴分の直樹が通り魔という。 それもみんなそれを受け入れて生活してるあたりが最後怖かった

    0
    投稿日: 2025.09.19
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    シチュエーションがあまりにも非現実的。 その間に入る、リアルなテレビ番組や生活感が微妙に混ざってなんとも言えない世界観。 正直、私は好きです。 最初は吉田さんの代表作、【横道世之介】タッチかと思いましたが全然違う【怒り】に近い世界でした。

    51
    投稿日: 2025.09.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    このままだらっと何ともない生活が淡々と続いていくのかなあなんて呑気な気分で読み進めていたら、最終章で突き放された。 書いてある言葉の意味は分かるけれど、全然意味が分からなくて、戸惑いながら読み進めた。 人の多面性って侮れないですよね...と再認識させられた。 みんな平凡だしみんなやばいやつ(なんとなく、吉田修一の根底には一貫してこれがある気がする)。 以下備忘 すごくタイムリーな(8日前に神戸で起きた、エレベーターで乗り合わせた男性に若い女性が刺殺された事件を連想するような)結末で、今読んでてラッキーだった。 病院の待合室で、まさにその事件がニュース番組で取り上げられているのを横目に見ながら読んでいたから、恐ろしいほど現実味のある稀有な読書体験だった。

    1
    投稿日: 2025.08.28
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    え・・・・・・・。そんな・・・・。 そんな終わらせ方しないでくれ・・・・。 時々出てくるワードが平成レトロなので、その時代の話だと思われるのに、現代的な対人関係を顕著に表していて、今この作品を読んで良かったと思えた。全てに「詳細を・・・」とお願いしたくなるような作品だった。

    1
    投稿日: 2025.08.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    第5章でびっくり。通り魔のこと完全に忘れてた。 直樹がいきなり女性殴り始めて、どういうことや!と思ったら、そういうことか。 最後の章読むまでは、直樹はあんまり特徴なくて何書かれるんかなぁと思ったらびっくりしたよ。 琴ちゃんはやっぱり子供堕したのかなぁ。俳優の母の存在に勝てなかったのかなぁ。 亮介は結局浮気してたしなぁ。 みんな好きになりきれないけど、嫌いにもなりきれなかった。、

    1
    投稿日: 2025.08.10
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    一度しか読んでないが、後半になるほど、わからなくなり、話に付き合うのが面倒になり、得るものが無かった。

    1
    投稿日: 2025.08.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    個人的に山本周五郎賞にハズレなしということで読んでみた。 年齢も性別もバラバラの4人+1人でするなし崩し的なシェアハウスを各自の視点から描いた物語。 全員切羽詰まって一緒に暮らしてるわけではなくて「何となく」居心地がいいから住んでいるというのがひとつポイントなのか、と思う。 とても面白いと思ったのはみんなが善意や悪意を適度に上手く隠しながら「上辺だけの付き合い」を続けていることでうまくいっているという考え方。 ラストの直輝のシーンにも繋がるが見て見ぬふりをしながら自分の居心地の良い場所を確保するために過ごしているのが印象的。

    3
    投稿日: 2025.07.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    パレード 「悪人」、「横道世之介」と心に残る吉田修一氏の作品。「横道世之介」と同じような若者の日常を描きながら、「パレード」はとても不気味な小説でした。 狭い2LDKのマンションで共同生活を送る5人の若者。のんきで憎めない大学生、イケメン俳優の彼女、痛烈に飲むイラストレータ、映画俳優会社勤務の男、男娼の若者。 彼ら5人の背景を織り込みながら、5人が各章で主人公となり物語を少しずつ推し進めていきます。 結構ハードに生きている彼ら、彼女らが淡々と当たり前のように語られていることがとても不思議な感覚です。 解説の川上弘美さんが”恐い”小説と書いていて、何故恐いかがうまく書けないと言っています。 竹蔵も考えてみました。この小説が恐いのは、5人の絆が無いこと。”愛情”の反語は”憎しみ”ではなくて”無関心”という言葉を聞いたことがありますが、この小説こそ”無関心”が主題なのではないでしょうか? 竹蔵

    3
    投稿日: 2025.07.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    良介と琴ちゃんの関係がいい。 けど本当は直樹になりたい。と思ってた。最後の数ページまでは。 4人の関係性がいい。チャットルームみたいというのは言い得て妙。けど他の3人が次のステップに進もうとしてるのを感じて、、ってとこなのかな。 日常の人間関係の描写が緻密。

    1
    投稿日: 2025.05.31
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    このレビューはネタバレを含みます。

    5人の男女がシェアハウスで暮らしていくなかで、本当の自分をどのくらい共有すべきか、目に見える部分だけが人間のすべてなのか、どこが自分の居場所なのかなどいろんなことと向き合っていくのが印象的でした。 終始仄暗く、独特の雰囲気だったように感じます。 人のことをわかった気になるのはやめようと思えるきっかけになれる作品でした。

    2
    投稿日: 2025.05.23
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    あまり気をつかわなくても良い関係で、それなりに気の合う友人達と住むという環境。 この小説のようにシェアハウスではないけど、学生生活はこんな感じだったなぁ。 依存はし過ぎないけど支え合って生きている。 一見普通の青春時代に見えるけど、他人と本当に分かり合えることなんてないのかもしれない。というか、そういうものなんだと思った。 寂しい考えだけど、そういうものなんだと。

    9
    投稿日: 2025.04.13
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    悪くない。 レビューで怖い怖いとあるから、どんなに怖いのかと、ホラーを読む気分で読み進める。 読み終わった今、怖いというか不思議というか、まぁ、奇妙というのが一番近いか。読んでて面白いし、ラストもそんなに嫌いじゃない。 吉田修一作品はなかなか面白味があって良い。

    1
    投稿日: 2025.04.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    4.2/5.0 ちょっと変わった関係性で不思議な空気感が漂う、男女5人の同居生活。なんか楽しそうで、それぞれのキャラクターも魅力的で、ちょっと憧れたりもした。と思ったら最後、急に恐ろしい展開になって、そのまま終わった。結局、人間の本心なんて、自分でもよく分からないものなのかもしれない。

    0
    投稿日: 2025.03.02
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    人間にはみんなどこかに嗜虐性みたいな、人には見せられない(見せてはいけない)自分を持っている。 でもそんな自分を隠してシェアハウスを過ごすのに適応した自分、も紛れなく本当の自分。 だから別にその見せてはいけない自分の姿も、"本性"っていうわけではない。使い分けの話。 少なくともこのシェアハウスの住人はみんなそれを理解して、他人に見せられている姿が自分が見るべき姿であると思っていた。 だからこそ成り立つ男女の、⚪︎⚪︎⚪︎との、シェアハウスだった。

    0
    投稿日: 2025.03.02
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    「お前が知っているサトルしか、 お前は知らないんだよ」 直輝の言葉にはっとする 誰もがそうしてそれぞれの一部分 しか知らない そうしてみんな生きている きっと家族であっても そう思っているはず 知るはずのない何かを でも‥ 何気ない日常を描いているのだけど なんだか怖い 怖い

    74
    投稿日: 2025.01.18
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    今時のルームシェアは人の素性を 頓着せず、それぞれが今を生きている のだと呑気に構えてたらいつしか 歪な関係が見え隠れし、澱みが埃の様に 降り積もっていく。 琴ちゃんが綺麗好きで恋人依存なのも 無頓着な良介も酒好きで正体を失くす未来も 見たく無いものは其処にすら無い生活感だ。 直樹が一番現実に足を付けて生きて皆に 慕われているが、サトルは見えない違和感を そのルームシェアに感じ取りサトルの 存在が後々その歪な鏡に亀裂を生じさせ 無かった事が直樹以外の人間には 見えていたのである。 それは、残酷で恐ろしい。

    1
    投稿日: 2024.12.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    直哉にだけ畏怖の念を抱くだけではなく、直哉の犯行を知っておきながらシェアハウス仲間として適度な距離感を保ち何もなかったように察するルームメイト全員がおかしいと思った。 会話が多く読みやすかった

    2
    投稿日: 2024.11.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    完全なエンタメ小説として面白い。ゆるやかにつながっている穏やかな連作のようで、インパクトも残る。読み返してもどこかに伏線があったのか(ないのか)よくわからなかったが、意外に結末も受け入れられたのは不思議だった。

    2
    投稿日: 2024.10.20
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    かなり前に読んでいたけど、内容を忘れていたので再読。 ルームシェアはしたことがないので、程よい距離感の関係が新鮮でなんだか羨ましい。 ふとした会話がリアルで、マンションの一室を盗み見してるよう。 ビデオが出てきたり時代の変化は感じたけど、それがまたなんだかよかった。

    7
    投稿日: 2024.09.09
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    都内のマンションで共同生活を送る男女4人の若者。 そこに男娼のサトルが加わり、4人が抱える歪みが露になっていく。 彼らの他人との距離感の描き方は、よくいるタイプではないけど、実際にいるだろうなと感じさせるリアルさが良かった。 とはいえ、最後の真相は想定外…!

    0
    投稿日: 2024.09.01
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    ⚫︎昔、これの邦画を観て、わりと面白い印象だったけど、小説で読んだらもっと面白かったな ⚫︎あ〜そういや、一見すると安牌なこいつが犯人だったなって思い出したよ… ⚫︎とにかく中弛みしがちな若者の共同生活を、色々とエピソードを交えて、視点を変えつつ描写していくのが非常にうまい、これに尽きる ⚫︎特に良介の、親父、公務員の息子、確保しましたってフレーズは邦画で観たときから凄く良かったし、こんなフレーズを思いつける筆者は素晴らしい感性の持ち主だ ⚫︎最後に至るまでは特段不穏感はないんだけど、最後に一気に来る…

    8
    投稿日: 2024.09.01
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    ラストの衝撃度MAX! 全く予想していなかった、あーそうか言われてみればチラチラ出してきてたその事件、サトルの章でも描かれてなかったのかー、みたいな。 途中まで、西加奈子「漁港の〜」並にニヤニヤしながら読んでいて、あれ吉田修一ってこんな文体だったっけ?と油断させられました。 まんまとやられた。 突き落とされた。 本音でぶつからない、中身のない、ぬるま湯な関係。 しかし、本音で語らないのに、相手のことが実は見えていて。 けど、自分のことは見えてなくて。 そんな、青春群像劇。 それにしても、ラストはあまりに突然な印象。 実は巧妙な伏線があったのか? もう一回読んでみた方が良いのかも。

    2
    投稿日: 2024.06.17
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    なにこの人たち。気っ持ち悪い。2LDKの部屋に男女5人でルームシェアしている若者たちの群像劇。大きな喧嘩もなく、彼らはとても楽しそうに暮らしている。しかしそこに漂うとてつもない虚無感。仲良しでも空っぽの関係。お世辞にも「有意義に過ごしていますね」とは言い難い若者たちのダラダラした生活に耐え切れず、読むにつれてとめどなく落ちていく自分のテンション。吉田作品にしては粗削りというか若干スベってる気がしたが、それでも才能の片鱗がビシバシ伝わる。パレードが終わった後、各自どうなるんだろう。不安が胸に広がる。

    3
    投稿日: 2024.05.02
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    最後の章まで読むと、え?ってなる。 他人の事は理解できても自分の事はよくわからなかったりする。 自分ってこんな人間です。ってほんとは違ったり…

    3
    投稿日: 2024.04.20
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    オチは全く知らずに読み始める。 シェアハウスの人間関係ってこんな感じかー自分の寮時代とは違うけどこういう生活もアリだなー思いながら最終章に入る。 結局、他人の知ってる部分は一部だし、自分のことも自分で分からないのかもしれない。

    5
    投稿日: 2024.04.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    巧みに仕掛けられた伏線が、ラストシーンで見事回収されるわけでもなければ、やられた!と声を上げたくなるようなどんでん返しが待ち受けているわけでもありません。 それでいながら、〝衝撃のラスト〟というのは、このような結末を指すのだろうな……と思わされてしまうのですから、恐ろしい作品です。 都内にあるマンションで、一見平和そうな暮らしを送っている五人の主要人物たちの視点が切り替わる形式で、物語は進行していきます。 しかし、解説にもあるように「こわい」結末が待ち受けているのです。 この「こわい」という気持ちは、実際に経験した〝こわさ〟、そして起こり得るかもしれない〝こわさ〟に対して抱く気持ちではないでしょうか。 「この階段は急だから慎重に降りなければ転げ落ちてしまうかもしれない」、「事故や事件に巻き込まれてしまうかもしれない」といった、日常生活を送る上での不安であったり、「暗闇に恐ろしい幽霊が潜んでいるかもしれない」という心理的な問題であってもそうです。 ひとはその、〝こわさ〟を想像したときに「かもしれない」と思うことで気を引き締め行動を見直し、逆に「かもしれないのだ」と思い直すことで不安を拭い、安堵しているように思います。 では、この作品はどうしてこんなにもこわく、恐ろしいのでしょうか? そう考えたとき、結末そのものというよりも、すべて「起こり得るかもしれない」という事実が恐ろしくなってきます。 ※以下、軽度のネタバレを含みます。 この作品において「起こり得るかもしれない」ことは、多くあります。 殺人事件や交通事故によって家族や友人を失うこと、または自分がそのようにして命を落とすこと。 殺人や薬物といった犯罪に手を染めてしまうこと、そして罪を知ってなお、看過すること。 マンションに暮らす五人、それぞれの境遇。 自身にも降りかかりかねない問題たちは、その恐ろしさを際立たせるのに十分な役割を果たしています。 とはいえ所詮はフィクションの物語なのだ、と切り離すことも難しく、後味悪く、それでいて小気味の良い結末なのですから、そういった意味でも恐ろしい作品でした。 本書「パレード」もさることながら、吉田修一氏の作品は〝現実味〟がよりクリアで色濃い特徴があります。 どんな些細な日常のワンシーンであっても、まるで本当にあったこと__たとえば、自分がそのように暮らしていた記憶があるように錯覚してしまったり、その場の匂いや温度までが、ページに添えられた手のひらから指先へと伝わり、一種のトランス状態へと導かれてしまうのです。 フィクションでありながら、この現実味を味わうことのできる巧みな表現力には、畏れすら覚えます。 余談ではありますが、登場人物の一人である小窪サトルが劇場にて「ハンニバル」を観た感想として 〝……映画は評判通りグロテスクで面白く、最後にレクター博士が男の頭を割って脳みそをスプーンで掬(すく)って食べるシーンなど、思わず「ウオッ」と声を上げてしまいそうになった。(P.217L3〜)〟 と述べています。 自分も幼い頃に観ました、ハンニバル。 脳みそを食べるシーンが衝撃すぎて未だに忘れることができず、もはやハンニバルは脳みそを食べる映画だと思い込んでいる節があるので気分が悪くなりました。 そう、このようにして実際の記憶の隙にまで忍び込んできて、どれが現実の自分が持つ記憶で、どれが架空の記憶なのかわからなくなってくる。 それがとても恐ろしく、そして楽しい。 物語の世界に浸る時間の素晴らしさを教えてくれる作品でもあります。

    2
    投稿日: 2024.04.15
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    読み返したいと思った初の小説。 「パレード」というタイトルから漂う、楽しいだけではない、どこか暗く、不気味で、ヤケクソな感じが良い。

    4
    投稿日: 2024.04.11
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    今時な若者の群像劇かと思いきや、最終章こわっ。 え?なにこんな話だったっけ? 時系列・・・。 いや、このつかず離れず感こわいね。

    2
    投稿日: 2024.04.05
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    描かれたのは、現代版の酒池肉林だ。 シェアハウスという薄くもなく濃くもないうわべだけのつながりの中でふわっと無責任という優しさに包まれて生きていく5人の物語。読者は否応なしに6人目の同居者として、ここに参加させられる。 居心地の良さと悪さを短いスパンで交互に感じる空間だったな。 だがこれも一つの癒しの形なのだろうか?何を持って「癒し」とするのか、「癒し」を定義することの難しさがここにある。 シェアハウスでの私の姿(役割)を押し通し続けることで成立する集団としての黙過。 黙過とは、バランスのために必要な機能なのだろう。共創造される黙過はどこか優しい。見て見ぬふりをすることで襲われる自身への責任追求が分散されるからだろうか?無責任さを対価に他者と溶け合い融合することの心地よさ… 黙過は、善意からでも悪意からでも起こり得る。 ただ、この優しさはやはり毒だと思う。例えどんなに苦しく、生きるのに必要だったとしても。温かく優しい毒は、精神の骨の髄まで溶かしきる。その先にあるのは考えることを放棄したブヨブヨの肉塊だ。どうあがいても好きにはなれない。 これは現代版の酒池肉林だ。

    2
    投稿日: 2024.04.01
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    1回目読んだ時は怖さは感じずに逆に他人に深く踏み込まない優しさを感じたが、2回目は少しだけ怖さを感じた。自分の領域を侵されない限り犯罪者にも他人に寛容的な現代の若者を描いた作品。登場人物が皆キャラが良かった。良介は世之助に似ていて好きな人物だった。

    3
    投稿日: 2024.03.23
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    おもしろすぎて2日で完読。しかしこわーい!涙 まさに『悪人』を執筆した吉田修一の本という印象。ありふれる日常の中の、見えにくい人間の本質を暴いているようで面白かった

    3
    投稿日: 2024.03.13
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    最後、怖っ! えっ?そういう話だった? 相手に合わせて自分を演じるのは、彼らにとって無理のない、割と自然なことなんだろうな。 いやー。知ってるけど知らないフリでいいの?ってレベルだと思うんだけど。表面的で平穏な毎日を続けることが大事なんだろうね。

    3
    投稿日: 2024.03.11
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    第15回山本周五郎賞受賞作。 ということで、期待値を上げ過ぎた感あり。 解説の川上弘美さんが、怖い小説だと解く。 4回読んだとのことで、その都度怖さが変わるとのこと。 都内の2LDKのマンションを男女4人でシェアする若者達。そこに一人の男娼の男子が加わり、波紋が広がる。 各章、それぞれの視線で日常が描かれる。 彼らは、それぞれ問題があるし、将来設計などとは無縁。だけど、同じ空間の中で優しく振る舞い、一定の距離を保てる同居人。 この中で一番大人の生活をしていたと思われる男の影の行為を知りながら、日常を続け切る他の同居人。現在の自分の領域を守るためか、奇異に映るこの行為が特別でないかもしれないことが怖いのかもしれない。

    83
    投稿日: 2024.03.01
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    なるほど。川上弘美さんの解説を読んで、もう一回読み返すか?とも思ったが、またにしよう。共同生活をしている登場人物みな愛すべき人たちだが、何かしらそれなりに重いものを抱えている。確かにもう一回最初から読めば、ああなるほど、と思えるに違いない。が、今の読後感も複雑ではあるが悪くない。人物描写が素晴らしいです。

    4
    投稿日: 2024.02.23
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    感想 本当の自分。どこにいるのかわからない。仮面を何重にも被っている。でもそんなの普通のこと。だけどどこかで解放してやらないといけない。

    1
    投稿日: 2024.02.18
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    最後の章で何もかもが怖くなった。 タイトルとか、同居人達の全てが気味悪くなった。 この小説のテーマは、本当の自分なのかな?

    2
    投稿日: 2024.02.17
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    ・主な登場人物5人の中で良介が1番普通に見えるけど、化ける要素があると感じた ・物語の終盤で、琴が荷物をまとめていたり、酒豪がハワイに住む、良介が地元に帰るような匂わせがあったが、そうなるとシェアハウスは直輝とサトルだけになって、サトルの性格的に直輝だけだとシェアハウス寄り付かなさそうなので、直輝がひとりになる病み展開を想像した

    1
    投稿日: 2023.10.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    この人らの距離感は絶妙で、直輝に何も言わないし何もしないのは不自然、だとは思わなかった。 現状維持の為の打算と怠惰のどっちもある。 もちろん直接言われたら何かするだろうが、そうでなければ無関心を使い分ける人の怖さもある。いじめを見て見ぬ振りするのと似た様なもん。 学歴が短い子が後に学生に戻るのは良い選択肢で、学校は他力で社会に上がれるエスカレーターみたいなもんだから、それを教えてくれる良介はいい奴。 一人暮らししかした事ない人はこの小説意味不明なんじゃなかろうかと思ったが、それは上から目線過ぎた。

    1
    投稿日: 2023.10.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    何気ない温い日常。それぞれが"この場"に適した自分を演じ、演じきれない潜在的な自分との狭間で揺れているのが上手く描かれていると思う。 凡庸な人間も、多少の狂気や悪意は孕んでいる。 でも、直輝の狂気だけは行き過ぎた。 そして、レイプシーンに上書きされたアニメのピンクパンサーの踊りのように、直輝の狂気の一面を、共同生活する他のメンバーたちが塗り潰している。 共同生活のための暗黙の了解。 シリアスな話は持ち込まない、持ち込めばこの居心地のいい共同生活が終わるから。 だから、直輝にもシリアスな話を持ち込ませない。 共同生活を続けるために。

    1
    投稿日: 2023.09.26
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    適度な距離感を保って、良好な関係を築いてると思ったんだけど、気持ち悪さを感じてしまう。 相手に合わせて本当の自分を偽ってる感じとか、本当は全部知ってるのに知らないフリをしてる感じとか、人間関係のあるあるなんだけど、なんか気持ち悪いんだよかあ。良好な関係を築いていながらも、実はなんの得にもなってない感じ。上手く言えないけどなんだか気持ち悪かった。 最後の驚きの展開にゾッとした。いいのかそれでと思ってしまった。

    2
    投稿日: 2023.08.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    個人的に固有名詞や時代を感じさせるもの(ビデオテープやその時流行していたテレビ番組など)が出てくる小説が好きでは無いので1章目はかなりキツかった。ラストのために頑張って読んだ感がある。1章目は読み飛ばしても正直問題ないと思う。 最後は良いイヤミス好きとしては良い終わり方でした。 でも映画化するほどの作品ではないと思う...。

    2
    投稿日: 2023.08.07
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    どうしたって好きになってしまうこの5人が(わたしは琴ちゃん推し)ふかふかの布団に、枕に、毛布になってくれるから ぜんぜん怖くないよ。ぜんぜん大丈夫だよ。

    1
    投稿日: 2023.06.29
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    隣で笑う友達を、横で肩組むチームメイトを、一緒に語り合う同僚たちを、自分はどれほど知っているだろうか。 現代の人と人とのつながりをありありと描いている名作。

    1
    投稿日: 2023.06.27
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    本当の自分ってどんななのか 本当に他人のことを知ってるのか 深く考えていくと分からなくなる 知ってるのに知らないふり 知らないような顔して全部知ってる 人間関係、社会って難しいし怖い

    2
    投稿日: 2023.05.25
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    描写が面白い。あっという間に読んでしまう。 ただの日常を描いてるのに、みんな嘘の自分を演じているようでこわいなと思った。

    2
    投稿日: 2023.05.06
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    5人がマンションの一室で共同生活している話。一緒に暮らしてはいるものの、結局は他人であり深く干渉し合わないところが現実味があった。あー、あなたが女性を襲ってた犯人なのねってなったけど、なんでかもわからないし、なんで同居人たちは気がついたのだろうとも思った。謎が多い。そこがこの本のよさなのだろうか??

    2
    投稿日: 2023.05.02
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    ただのほのぼの作品かと思いきや、最後の最後で驚かされた!ものすごく恐ろしいようで、だけどどこか暖かくて、どう解釈するべきか迷い考えさせられる作品だった。 「この部屋での、この共同生活は、そういったものを持ち込まないからこそ、成立しているんじゃないか、とも思う。話したいことではなく、話してもいいことだけを話しているから、こうやってうまく暮らせているのだと。」 ーー良介 「飽こうが飽くまいがこの世に悪意は存在するし、目をつぶって過ごそうなんて、そんなの楽観的すぎるよ、と笑う人がいるかもしれない。ただ、そう言って笑おうとする、その悪意にも、私はもう飽きている。」 ーー琴ちゃん 「ここでうまく暮らしていくには、ここに一番ぴったりと適応できそうな自分を、自分で演じていくしかない。そしておそらく、ここではシリアスな演技は求められない。」 ーー未来 「ふぬけの大学生。恋愛依存気味の女。自称イラストレーターのおこげ。健康おたくのジョギング野郎。どう考えても、あそこで知り合っていなければ、絶対に口もききたくないタイプの奴らばかりだ。それなのに、どうもあの連中の中に入ってしまうと、自分でも不思議なくらい、一緒にいて楽しくて仕方ない。」 ーーサトル 「俺のことになど、誰も構っていないようだった。その時だ。こいつら、本当に知っているのだと肌で感じた。本当に知っていたのだと、肌で感じた。」 ーー直輝 これらの5人の独白が、本書で一番重要な部分なのではないかと思う。 直輝をきっかけにして徐々に集まった彼らの最優先事項は、この部屋の平穏を維持すること。そのためなら、無理ない程度に自分を演じるし、知らないふりだってする。適度な心地良い距離感を保つことで、彼らはそこでの生活を楽しむことができるのだ。 他人と深く関わりすぎない関係は、とても楽だ。その究極の形が彼らなのだと思う。 極悪な犯罪者を放っておくことは本当に怖いし、私がもし被害者側だったら本当にあり得ないと怒りに震えるであろうことなのに、なぜか彼らの関係性に魅力を感じてしまった。そう思わせる作者の筆致に脱帽した。

    1
    投稿日: 2023.04.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    面白い 都内でルームシェアをする5人の男女の物語 それぞれの登場人物によって語られる日常と、それぞれがどんな経緯でこのマンションに住むことになったのか少しずつ明らかになっていく 起承転結は最終章以外ほとんどないが、登場人物一人ひとりの人間味や魅力にひきこまれていく 読書に没入できた 最後の最後に、直樹が連続暴行事件の犯人とわかり衝撃をうけるが、それでも彼らの日常が何もなかったかのように続いていくのがまたこわい 初めて読む作者の作品だけど、この人の文章すき 文章にでてくる映画や音楽のチョイスがいい

    1
    投稿日: 2023.04.23
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    シェアハウスの中で付き合いやすい面を出しながら過ごす、本音でぶつかり会うわけでもなく、SNSのコミュニティのように。 日常性の中に一歩間違うと危うさもあって・・・もう少しづつ突っ込むともっとドラマが生まれるのだろうけど。この小説自体も登場人物のように突っ込んではいかない。現代的な感覚なのだろうか 3.5ぐらいの評価

    2
    投稿日: 2023.03.01
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    読みやすい。描写、表現が好き。でも、ところどころ引っかかるとこがあり、あれは何だったの?あの続きは?っていうモヤモヤが残る。一方で、最後の方の、"握ったまま傘のボタンを、親指で何度も押していた"というような、何かあとに引くような描写もじわりときた。

    4
    投稿日: 2023.02.09
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    これはなかなかの破壊力ある一冊。 「え?思ったよりありふれてますけど、なんてことなかったんですけど、予想通りなんですけど!」と言う感想と「これはゾッとする」という感想で2分される物語だと思うのですが私は後者のほう。 2LDKに暮らす5人の日常を章ごとにひとり1人の視点から語られるストーリー。 ふわっとして特に特徴もない大学生の横恋慕に始まり、お次は恋人からの連絡をひたすら待ち続けるためだけに無職である女。 ちょっとダメな男女たちの奇妙なシェアライフをこちら側から垣間見る退屈なスタート。 と見せかけてからの…通り魔事件の発生。 「普通」であることは難しい。5人それぞれが「普通」ではない壊れた部分をひた隠しながら、表面上は面白おかしく暮らしている。 自分に都合の良い部分しか見せずに、都合の良い部分だけしか見ようとはしない。そして都合の悪いことは見えないことにする。 物語として〝極端〟ではあるけれど、それは私たちが暮らす日常においても何ら特別なことでもなければ、不思議なことでもない。ダメ人間であるほどに人間くさいことは否めない。 どんでん返しミステリーではないけれど、ひとり1人の描写が丁寧であった分だけ、やはり終章はゾッとせずにはいられない。 今年の2冊目

    11
    投稿日: 2023.01.18
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    う〜ん。。 どうも、シェアハウスの5人組の群像劇!!で片付いてしまったなあ。。 特に意外性は無く、淡々とそうだろうな…で終わりました。 ただ、皆どこかに隠してる事があって、それを出さずに上辺で過ごす、詮索はしない、そう言った怖さは感じられました。

    2
    投稿日: 2022.12.30
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    「は?」と思うような登場人物ばかりで、そこを際立たせたい意図を感じるが、どうにもタルい。あれあれ終わっちゃうよと思って迎えたラストも、なんというか想像の範疇で、どうにも私には楽しめなかった。 なんもない若者って気楽だな。

    1
    投稿日: 2022.12.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    人が怖い系の本が好きで、帯の文句に惹かれて読み始めた。でも、読んでいても一向に怖い展開にならず、むしろ横道世之介のようなほのぼの感を感じていて、まあこれはこれでいいかと思っていたら、最後の最後で事件が。じゃあ実はあの時もほのぼのじゃなかった…??とすぐに読み返したくなる一冊。何度も読んで、恐怖を確かめたい。

    1
    投稿日: 2022.12.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    杉本良介 21歳・H大学経済学部3年 現在、下北沢のメキシコ料理店でバイト中。 大垣内琴美 23歳・無職 現在、若手人気俳優「丸山友彦」と熱愛中。短大を卒業して医薬品メーカーのOLをしていた。 良介と同居中。 相馬未来 24歳・イラストレーター兼雑貨屋店長 良介と同居中。 小窪サトル 18歳・自称「夜のお仕事」に勤務 酔っていた未来に無理やりに連れてこられた。 伊原直輝 28歳・インディペンデントの映画配給会社勤務 良介と同居中。 小さな映画配給会社で働いている。 非常に良識的な人間で夜のジョギングが日課。 桃子 良介が七万円で買った中古のマーチ。走り出して10kmの地点になると必ずエンジンが止まる。 ルフランのマスター 喫茶店のマスター。良介に桃子を売りつけた。 佐久間 良介が大学で唯一できた親友。 梅崎 良介のサークルの元先輩。直輝の高校の後輩。 真也 良介の中学の同級生。高校受験のため勉強を教えていた。バイクの単独事故で死んだ。 悦子 良介の中学の頃からの同級生で高校では同じバスケット部に所属。 松園貴和子 梅崎の彼女。北海道出身。弟と住んでいる。 綾子 良介がバイトしているメキシコ料理店のホール係。二十九歳。ロックバンド「リミット」でボーカルをやっている。 慎二 未来が働いている輸入雑貨の社長。 美咲 大手化粧品会社の秘書。 みんなが同居しているマンションに元々直輝と直輝と住んでいた。 マリネママ 新宿二丁目の飲み屋のママ。 剣也 マリネママの店で働いていた。酔って店から飛び出したところをタクシーに撥ねられて死んだ。 ラウラ 男子高野球部の寮母になるのが夢。 誠 サトルの同僚。 シルヴィア サトルの常連。

    1
    投稿日: 2022.12.15
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    帯にある通り読後軽く鳥肌がたった。映画の「セブン」を思い出したが、一見ちょっと羨ましそうなシェアハウスに見えるが、読み終わると、人間の醜い心の片鱗が集まってうごめきなぶり合っている、気持ち悪い空間にしか思えない。

    0
    投稿日: 2022.12.04
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    読み出したときは、ルームシェアをしているイマドキの若者の日常を描いた作品かと思っていて「悪人」を書いた作者とは同一人物とは思えないなぁ、と呑気に考えていたのですけど やっぱり吉田修一さんは“普通”の人間の切なさや恐ろしさを描くのが素晴らしく上手なのだと、読み終えて感じました。 年齢も、職業もバラバラな5人が同居していく上で必要な「適度な距離感」も、こう描かれると恐ろしくなります。 何故って、それは全てエゴに基づいていることが第5章で分かるから。 しかもそれ(エゴに基づく適度な距離感)は、状況の差こそあれど現実社会でも起きていておかしくないことだから。 全員魅力的な人物なのですが、彼らの他の環境での「顔」が知りたいような、知りたくないような、そんな複雑な気持ちになる作品です。 読み終えて、私はどうなんだっけ、と省みてみました。

    4
    投稿日: 2022.10.17
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    1.著者;吉田氏は小説家。型にはまる事が苦手なタイプで「僕は庶民です。庶民感覚をなくさないでいる、というよりも庶民です」と言う。日々の楽しみは、小説を書き終えた後のドライブ。さらに「相手が動物であれば、正直に自分の心の内をぶつける事が出来る心地よさが穏やかな一時を作り出す」と、2匹の猫と暮らす愛猫家。本書(パレード)で山本周五郎賞、パーク・ライフで芥川賞・・等、多数受賞。純文学と大衆小説の文学賞を受賞した事で話題となる。台湾好きで、台湾でも人気作家。 2.本書;マンションで共同生活を送る若者達の日々を描く。一見普通の男女4人の日常生活に隠されたそれぞれの秘密が題材。5章構成。各章は異なる人物の視点で語られる。第1章;杉本(21歳大学生)先輩の彼女に恋して悩む。第2章;大垣内(23歳無職女性)若手人気俳優と恋愛中。第3章;相馬(24歳雑貨店女性店長)売れない絵を描き続ける。第4章;小窪(18歳男娼)無駄な若さを切り売り中。第5章;伊原(28歳男性会社員)健康オタク。奇妙な若者達の虚々実々な生活が描かれ、不気味な結末を迎える。 3.個別感想(心に残った記述を3点に絞り込み、感想と共に記述); (1)『第2章;大垣内の語り』より、「(丸山;元恋人)社長の息子ってだけで、ただそんだけで、本当にあそこまで偉いのかよって。・・フロア長、“次の社長なんだから偉いに決まっているだろ!”」「俺さ、やっぱり思うんだ。社長の息子にペコペコするのって、当り前の事じゃないんじゃないかなぁって。世の中で当り前だって思われる事って、実は結構当り前じゃないんじゃにかなぁって」 ●感想⇒「社長の息子にペコペコする」行為は、同族会社にしばしば見られると聞きます。この記述の前文に、「まだ19歳でBMWに乗ってる。大学の休みに、社長と2人で自社(ホームセンター)の見回りに来た時、店長やフロア長が、いい歳なのにその息子にペコペコ頭を下げるんだ」とあります。企業人なので、お客様には失礼無き対応が必要です。しかし、社長の息子への過度なペコペコ行為は、傍(特に若い人)からは滑稽に映るかも知れません。上司に敬意を払うのは常識と言え、“過ぎたるは猶及ばるが如し→人のふり見て我がふり直せ”が必要ですね。とは言っても、本書のような会社は嫌ですね。本田宗一郎氏は、実力本位で後継者を決めたと言います。新入社員に向けての言葉、「会社で長がついたら(人間として)偉いという事ではない」と。世界のホンダと言われる所以でしょう。 (2)『第3章;相馬の語り』より、「世間では一般に、この匿名であるという事で、人間は本性を曝け出すようになると信じられている。・・もしも私が匿名で何かを出来るとしたら、私は決して本当の自分など曝け出さず、逆に誇張に誇張を重ねた偽者の自分を演出するだろうと思う。今の世の中、“ありのままで生きる”という風潮が、なんだか美徳の様になっているが、ありのままの人間なんて、私には“怠惰でだらしのない生き物”のイメージしか湧いてこない」 ●感想⇒「ありのままの人間なんて、私には“怠惰でだらしのない生き物”のイメージ」と言っています。“ありのまま”と“怠惰でだらしない”は少し違うと思います。私は、“”ありのまま=自然で着飾らない、怠惰でだらしない=するべきことをせず節度がない”と考え、ありのままで生きる事に憧れます。しかし、誰もが社会の中では、自分を曝け出さずに節度を持って生活していると思います。そうでなければ、社会の秩序を保てないでしょう。所で、現代は親しい人だけでなく、家族間でさえ本音で向き合えない家庭が少なからずあると聞きます。ストレスが貯まり気詰まりな世の中です。人間は自然体でいられ、安らぎを求めるものです。自分なりの居所を模索したいですね。先人の言葉、木曾義仲の『直情径行(自分の思ったままに行動)』、論語の『剛毅朴訥(意志が強く飾り気無し)』、好きな言葉です。 (3)『第3章;相馬の語り』より、「(良介の言葉を想定)“自分さえしっかりしていれば、どんな状況でも立派に生きていける”って言う奴もいるけどさ、俺はそうは思わないね。どんなに自分がしっかり立ちたいと思っても、足元がぬかるんだ泥だったら、絶対に倒れちゃうに決まってるもん。あいつにはさ、なんていうか、そんな泥の中から引き上げてくれるような人間が必要なんだと思うよ」 ●感想⇒“人間は自分さえしっかりしていれば立派に生きていける”は正しいと思います。しかし、人間は社会の一員なので、どんなに頑張っても自分だけの力で生きていく事は出来ないのも事実です。会社生活を例にとっても、同僚・上司・・等々の支援がなければ、上手く行きません。私は“俺だから出来たのだ”と自画自賛する人を好きになれません。何事も、“会う人みな師匠(吉川英治)”の心で他人に学び、感謝の気持ちを大切にする人を尊敬します。信頼のおける人とはこのような人だと思います。私もこれまで沢山の人に助けられきたので、少しでも恩返しができれば、と考えています。 4.まとめ;最初、“パレード”という題名を読んだ時、よくある青春ものかと思いました。読んでみて、人間は外では誰もが仮面をかぶって生きているのだなあというのが率直な感想です。最終章を読むと、怖いミステリー小説とも言えます。次に、世代ギャップを感じました。私にも若き良き時代がありました。年を重ね、今では良くも悪しきも大人です。先の3つの感想も少し道徳的かも知れません。本書で語られる若者の豊かな感性に気付かされる事があり、貴重です。人間はそう簡単に変われるものでは無いので、私なりの考えを吐露したつもりです。たまにはこうした小説を読むのも良いものです。(以上)

    75
    投稿日: 2022.10.09
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    何となく消化不良で終わってしまった。 伏線みたいなものがなかったように思えるんですけど、もしかしたらあったのかも笑 唐突にオチ!って感じだったのでびっくりしました。 ただキャラクターは結構好きで、特に良介はお気に入りです笑

    0
    投稿日: 2022.09.15
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    よく考えると映画を先に見てしまっていることに気付く。 ネタバレ状態で読んでいると、驚きも何もなくラストまでくるのだから、考え物だ。 ただ、気持ち悪いような、何とも言い難い後味は変わらない。

    1
    投稿日: 2022.09.12
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     初読時は最終章の展開にモヤモヤしたまま消化不良で終わったが、今回の再読で朧げながらその怖さが少しわかった気がする。同居人たちが真相を本当に知っているのかも定かではないが、そう考えた方がしっくり来る所が不気味。魅力的に感じる登場人物も、語り手が変わると印象が変わる様が非常にリアル。人物描写もさることながら、風景描写も説明感が感じられない点が著者の魅力。  タイトルはパレードで楽しげに行進する人々にも日常の顔があるという意味なのか。自分たちに都合の良いものしか見ないようにして、ギリギリの綱渡り状態で成り立たせている関係性を必死に維持しようとする5人を異様に感じるが、私も彼らを笑えない気がすることにまたゾッとする。

    2
    投稿日: 2022.09.05
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    後味が悪いというか、読者に解釈を委ね、こじつけさせ、連想させ、答えを誤魔化す事で、より不思議な印象を与える珍しい本。構成が強引で好き勝手で荒いなという感想と、何だか新しい、よく分からないから真相を知りたい、という感覚。珍しく、パラパラとページを戻して読み直した。 ネタバレしようにも、答えが分からないから、それっぽい感想を述べるしかない。シェアハウスで暮らす若者それぞれの目線でストーリーが語られ、それぞれにこだわりを持ち、それぞれに問題を抱え、関わり合う。好きな相手を攻略するための脚本、こだわりのビデオ、俳優の彼氏、占い、侵入癖、映画配給会社。関わり合いながらも、これら虚業との対比において、シェアハウス内に相対的自我を保つ。 男娼が騙る身の上話、配給される映画、恋人が演じるドラマ、先輩の彼女を口説く脚本、イラストで描く肉体。それぞれがマルチバースを創作し、別の居場所を想像する感覚を持つ。今でいうアバターによる仮想オフィスにも近いと言えるかもしれない。シェアハウスの自分と、外の自分。VRのゴーグルを外す時、初めて登場人物のリアルが現れ、ネタバレを体験するのだろうか。だから最終章でネタバレという事ではなく、ただ最終章は、マルチバースにおける世界観の差が極端だったという事。

    0
    投稿日: 2022.08.01
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    オチは読めましたが世界観と登場人物はすごく好きでした。 結末が何も起こらずに終わるので パキッとしたミステリが好きな人には不向きかも。 映画も見てみようと思いました。

    0
    投稿日: 2022.07.13
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    都内のマンションに暮らす5人の視点から順に描かれる物語。珍しいのは、順に描かれつつ物語が時系列で進むところ。 最後の章で思いもよらぬ展開に・・・。慌てて読み返したけど、読み返しても何も気づけず。 狐につままれた気分だが、続編があれば読みたい。

    0
    投稿日: 2022.06.27
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    何で?それに尽きる。 家族構成というか何かその結末に向かわせた理由を少しでも匂わせてほしかった。 それとも理由など無いのか? みんな本当に知っていたのか?隣の占い師がもっと深い所を突いていて気づいていたのか? 読んだ後にモヤモヤが残る。

    1
    投稿日: 2022.06.26
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    ルームシェアしてる5人それぞれの視点から語られる普通の日常。なんてことはないのだがその日常の小さな出来事に惹き込まれていく。平凡でなんだか憎めない良い奴の良介、チャーミングだが男に振り回される琴ちゃん、酒好きでアーティスティックな未来、18歳なのにどこか世界を俯瞰的に捉えてるようなよく分からない少年サトル、1番冷静で頼れる直輝。1人1人が魅力的に描かれていて、読んでいくうちに皆なんとなく好きになる。そんな穏やかな話と思いきや、まさかこんの展開になろうとは。衝撃作でもあった。

    0
    投稿日: 2022.06.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    4人の若者が共同生活を送るマンションの一室。 それぞれの視点からの四つの章と、転がり込んできたサトルの章。 各章から各々の人物像や他の住人をどう見ているか がよく伝わり、どんな共同生活か映像を見るように浮かんだ この生活が気に入っているとか快適だとか 無くなると困るとか、そういうことは 具体的に書いてはないけれど 最後に、え?って、そうなってそうするの? ってラストは、快適だから失いたく無いから? 仲良さそうで実は関心がないから? それは読み手の受け取り次第?

    3
    投稿日: 2022.06.22
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    各章が5人の各登場人物の視点で進んでいく。そんな構成の物語を初めて読んだ。 人の感情をここまでもかと分かりやすく綴られているこの小説は、やはり吉田修一の本だと何度も思った。 キャラクター毎に他の登場人物に対する印象も違うので、読み進めていくうちに各キャラクターの新しい一面を見る事となる。 自分の知っているその人の一面なんて、たった一部に過ぎないんだな、と思わされる。 その人の全部なんて知っている人はいないよ。 って台詞が頭に残る。 解説では2回目に読むとこわい!と書いてあったので時間を空けてまた読んでみようか。 直輝の行為が明らかになったからなのか、その事を知りながら皆が接しているからなのか、とても気になるな。

    0
    投稿日: 2022.06.12
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    ベタな文章でシュールな世界を描いた作品。見知らぬ男女5人が一つのマンションに住む事も普通なら考えられないし、結末も超現実的、淡々と営まれる日常に潜む緊張が読後に沁みて来た。

    1
    投稿日: 2022.06.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    一人一人の人物描写が深くて良いし、ルームメイトとの絶妙な距離感をいろんな表現を通じて感じ取れるところが面白い。 快適な生活のためにある意味意図的に作られた"距離"が、取り返しのつかない直樹の日々に繋がってしまったのかなと思うとやるせない。 これだけでは終わらず、予想外の展開。 ぜひまた読み返したい!

    0
    投稿日: 2022.05.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    都会のマンションに同居する、男女4人のありふれた日常を描いた物語。 いや、正確に言うと、途中までは、ありふれた日常の物語だったんですけど。 げっ! げげっ! 怖っ!都会怖っ! むっちゃ怖ー! というのが、この本を読んだ感想でした。 あと、飲み会のあと、夜道を一人で歩いて帰るのはやめよ。って思いました。

    0
    投稿日: 2022.02.16
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    特に何ともない生活の流れをルームシェアしている各人からの視点で見ていくお話。 ただ、二人目からのお話から違和感を覚え始める。 つまり、AさんからみたB・C・DさんとBさんからみたA・C・Dさんと人それぞれの感じが違っているからだ。 それは現実でもそうなのだが、それがなにか引っかかってくる。でも話の流れに殺人事件も起こらず、静かなる怖さだけが広がってくる。 そして最後の章でそうだったのかとなる。 結局、あまり他人には関心のないことが人間なのか、とも感じるようでもあり、読後に後を引く作品でした。 内容 都内の2LDKマンションに暮らは男女四人の若者達。「上辺だけの付き合い?私にはそれくらいが丁度いい」。それぞれが不安や焦燥感を抱えながらも、“本当の自分”を装うことで優しく怠惰に続く共同生活。そこに男娼をするサトルが加わり、徐々に小さな波紋が広がり始め…。発売直後から各紙誌の絶賛を浴びた、第15回山本周五郎賞受賞作。

    2
    投稿日: 2022.02.16
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    正直読み終わっても作品を通して作者が何を伝えたいのか分からなかった。他の人のレビューを読んだりしてなんとなくそういうことか、と理解した。誰もが人に言えない闇を抱えているし、それを上手く隠して生きている。最終章ではあっと驚く展開が2回用意されている。自分が間違ったことをやろうとした時、それを本気で止めてくれる友達というのは、きっととても大切だ。

    2
    投稿日: 2022.01.27
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    ひとつ屋根の下に5人が同居するという設定で、そんな同居生活をナチュラルに、そして一人ひとりの心情を深く、起伏をつけすぎず丁寧に描かれている作品。 映画化もされているのでご存知の方も多いかと。 一番印象に残っているのはその5人の同居している空間がチャット似てるという下り。ネット上ではなくとも誰もが本当の自分を見せずに、架空の自分を演じている。その空間にフィットするために。顔を見せるかどうかはそんなに問題ではないというもの。 なんとなくわかる気がする。それって本作みたいな異質な空間でなくとも、人間みんな社会でやってること。仕事で。遊びで。ひょっとしたら恋愛で。でも悪いことでは決してない。 そういった意味では、結構現実では体験できないような設定の小説だけど、実は同じような体験は誰もが身近でしているため、手放しでフィクションとは呼びづらい。 最後に結構なサプライズがあってそこに驚く人も多いかと思うけど、個人的にはそのサプライズはあってもなくても良かったかなと。ちょっとしたスパイス程度。 すっきりと終わる作品ではないために、読み終わったあともずっと考えさせられる引きこみ上手な一冊。

    1
    投稿日: 2022.01.06
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    2LDKのマンション。 そこに良介、琴美、未来、直輝の男女4人が共同生活をしている。 そこにもう一人サトルが加わり、5人。 物語は5つの章からなり、5人それぞれの目線から語られる。 良介は、四階のベランダから眼下の通りを見下ろし、事故の起きない車の動きを不思議だと言う。 1日に何千台と車が走っているのに、全然ぶつからない。赤信号になると一定の間隔を空けて、ちゃんと止まる。 未来は、ここで暮らしている私は「この部屋用の私」だと考える。 そしてここにいる彼等も「この部屋用の自分」を創り出していると考える。 こうやって私達は、その場その場に合わせた自分を創り、空気を読み、ぶつからないように生きている。 本当の自分って何なのだろうか。 最後の直輝の章では背筋が寒くなる。 読み終えてすぐ、もう一度読み返したくなるのはなぜだろうか。

    26
    投稿日: 2021.11.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    色んな視点を見せながら、進んでいくレザボア・ドッグスのような構成で、読んでいて一人一人の見え方が変わっていくのが面白かった。 最後の皆気付いてたと言うのが自分の中で完全に掴めなかったけど、皆それぞれこのルームシェアの形を自分たちが動くまでは壊したく無い気持ちから出てくる卑しさ優しさみたいなものなのかなと思った。

    0
    投稿日: 2021.10.30
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    何コレ?感が残る。 表面的な繋がりと、もっと深い繋がりと… 何が彼にそれをさせるのか? 理解不能でした…

    0
    投稿日: 2021.10.28
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    前情報全くなしで読んでいたため終盤の急展開に驚き 序盤から事件の話は出てきていたので何かしら5人の内誰かが絡んでいるのではと思っていたがドストレートに直輝が犯人とは思わなかった ほぼ伏線なしで唐突に犯行に及ぶのは驚く またそれを全員が気づいていること、指摘しないこと、そして指摘しないのが直輝を大切に思ってではなく今の生活を続けるためであることが恐ろしい 直輝を兄貴的なポジションに据えて気持ち良くし今の生活を続けさせようとしているようにも見受けられる そう考えると直輝以上の他の4人が恐ろしい存在に思えてくる 四人がどのタイミング、どんな経緯で直輝の犯行に気づいたのか気になった 特に未来がサトル犯人説を提唱したときに既に気づいていたのかどうかが知りたい

    1
    投稿日: 2021.10.12
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    映画を観る前に読んで、そのあと映画観たら本を先に読まなきゃよかったーって後悔した作品(笑) 夢中で読んだ気がする。

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    投稿日: 2021.10.10
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    杉本良介 21 大学生 10km走るととまる愛車桃子 柴崎先輩の彼女と浮気 大垣内琴美 23 無職 人気俳優丸山友彦と熱愛中 相馬未来 24 イラストレーター おかまと深酒 小窪サトル 18 夜のお仕事 ぜんぶ作り話 伊原直輝 28 映画配給会社 健康オタク 元カノの美咲とズルズル サトルがやってきてから2ヶ月 女性が顔を殴られる最初の事件が起きてから2ヶ月 ランニングにでかける直輝が行った サトルに目撃された みんなも知ってると思う、といわれ帰った それを肌で感じた すきなことば 敷居の低い天国には、入場の際に提出する申請書の性別欄に「男」と「女」だけでなく、「人」と書かれた欄がある。 私はふと、「これから嘘をつきますよ」という嘘もあるんだ、と気がついた

    0
    投稿日: 2021.09.29
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    ラストは衝撃だったけど、もう一度読もうか…と思いながら読まずに終わってしまった。 日常だと思ってたら日常の中に実は色々潜んでる そんな話だった

    0
    投稿日: 2021.09.22
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    #読了 2021.9.19 私がちょいちょい小説を読んでるのを知ってる妹が「映画の『パレード』見たんだけど、原作読んだことある?原作の方が1人ずつに深みが出て面白いだろうなと思った。」とのことで気になり、レビュー見たところ高評価のどんでん返し系ということで即購入。 実際にあるドラマの名前とか芸能人の名前が出てきてなんか新鮮だった笑 若者男女5人で共同生活しながら各々の日々が語られる。時系列はひとつで、語り手を変えながら時間が進んでいく。テーマは人との距離感。共同生活の仲間、職場、居場所、友達、親、恋人、恋人未満、元恋人。ハッキリさせようとすれば壊れてしまうものもたくさんある。 結論から言うと、私はなんとなくオチが読めてしまった。。若者男女複数人いて犯人の捕まっていない通り魔事件が起こったらこの中の誰かなんだろうなとは思ってしまうし、語り手の順番の最後が直輝だったし、1番社会的にうまくいってたから「逆に」のパターンかなと早い段階で。犯人だったとして、どう面白く展開していくのか、ってのに期待してたけど、なんとなく盛り上がりに欠けるような印象で終わってしまった。読み手各々で考察して楽しむと言われたらそれまでだけど、個人的には犯行に及んだ心理(闇)を直輝の語り口で聞きたかったなぁ。 私の考察としては、直輝自信は自分に都合のいい選択や行動をしてるにも関わらず「さすが直輝!」みたいに評価されることが多くて窮屈感があり、また元カノ美咲についてもモヤモヤ。美咲と彼氏が自分の家を出た後に、家に着いてソファを蹴ったとき、1度目は向かいのビルに買い物袋を置き忘れたこと、それ以上に大きな2度目の蹴りは、美咲との関係性なのか現在の彼氏に対してなのか、家に2人で入ったことなのか、曖昧な関係性を続ける自分や今のを見て見ぬふりする自分に対してなのか。何かしらがふつふつと直輝の中で小さく爆発してしまったのだろう。弱い者に対して、女に対してそれが向かってしまった。 「犯人は直輝なのか…?」というヨミがありつつだったので、例えば。 他のメンバーの中で親との関係性についての描写も結構あり、今回の作品のポイントのひとつだったと思う。実家を出たあとの人間関係はある程度調整できるけど、親との関係性というのはなかなか難しい。良介の両親いいなと思ったり、未来の親はひどいと思ったり、琴美は恋人の親だからことさら難しくて、サトルは家族については嘘ばっか言ってて、でもこの年齢で薬やって男娼してるってことでこんな親なのかなって想像したり。 なので、実は直輝の親が犯人で、親に気付かれないように証拠隠滅を直輝がしていた、それをメンバーは知ってて見て見ぬふりしてた、なんて流れだったら、また一段と闇の深さがあったかななんて思いました。 ちなみになんで「パレード」ってタイトルなのかな。みんながそれぞれ動きやすいように距離をとってそれぞれの動きをして、それが調和したひとつの形になってる。ってことなのかな。 と、まぁとりあえずオチは置いといて。 「お互い都合のいい距離感を保つことの成れの果て」という怖さは面白かった。お互いが気持ちよく過ごせるように、気持ちよく過ごせる「自分」だけを見せて過ごす。ある意味ではマナーであり、ある意味ではパーソナルスペースの確保。行き着くところは犯罪すら見て見ぬふり。「他の人にも黙ってるなら自分にも相談せず黙っててほしい。心地よくここに住んでる自分にその吐露は迷惑だ。」という、共同生活メンバーの中では1番人に対して辛辣な印象の直輝の心の声が、むしろそう思われていたのは直輝だったのではないか、というのが面白い。 私もどちらかと言えば人と距離を取ってしまうタイプというか。楽しいことだけ共有して、基本的には詮索も邪推もしないというか。例えば、なんか悩んでそうだなーと思っても、言いたければ言うだろうし、言わないという選択をしてるから言わないのだろうし、私なんか以外に相談できる人がいるだろうし、「話聞くよ?」なんてエゴだよなぁと思ってしまう。だから、大事にしたい、親しくしたいと思ってる人には日頃から「私でいいならいつでも話聞くよ!」という印象付けられるように振舞っていたいなぁと思ってる。だから出せる自分の部分はオープンにしてるつもり。 全人類で「今からペアになってください!」って言われたら、あぶれてしまう自信があるほど「うちら仲良しだよね?♡」って確認できてる距離感の友達はいない。ふと考えてみるとさみしいなぁと思ったりもするけど、日々過ごす上ではこれが心地いい人との距離感なのだから仕方がない。お互いに会いたいなと思ったタイミングで声をかけ、会って飲んで、たまってた近況報告をドバーッとして、また各々の生活に戻っていく。付かず離れず定期的に。お互い日々頑張ってるんだろうなって思える。そんな距離感がちょうどいいと私は思ってる。 人との距離って難しいよね。 ◆内容(BOOK データベースより) 都内の2LDKマンションに暮らは男女四人の若者達。「上辺だけの付き合い?私にはそれくらいが丁度いい」。それぞれが不安や焦燥感を抱えながらも、“本当の自分”を装うことで優しく怠惰に続く共同生活。そこに男娼をするサトルが加わり、徐々に小さな波紋が広がり始め…。発売直後から各紙誌の絶賛を浴びた、第15回山本周五郎賞受賞作。

    2
    投稿日: 2021.09.22
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    初めは普通の日常が流れていて、これだけの本?かと思っていたら、最後に衝撃がきて何とも複雑な気持ちになる本でした。書評を見ると、やはり怖いという意見が多かったので、そうかもしれない程度の感想でした。 ところが、この本を読んだ後の日常で、この普段の生活の中に本の中のようなことが潜んでいるのかもしれないと思うとやはり怖い本です。

    0
    投稿日: 2021.09.19
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    怖い…。 とにかく衝撃的なラスト。 寝る前に読むもんじゃない。 でもラストを知った上で、改めて読み返したくなる本である。

    0
    投稿日: 2021.09.19
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    怖い… けどよー考えたら家族でもこんなことあるなって 明らかに問題なことに気づかないふりして、みんな求められている役割を演じている

    1
    投稿日: 2021.08.25
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    一瞬で読み終えた。 それぞれのストーリーは面白かったけど、総括してまとまりがない印象。 短編小説としてかなり楽しめた。

    0
    投稿日: 2021.08.22
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    文章はとても読みやすく、4時間くらいで読めてしまった。サトルが出てきたあたりから4人のルームシェア生活がどうなるのかワクワクしたのに、最後まで同じテンションでさらっと犯行が書かれているのは面白いけど悪く言えば盛り上がりに欠ける。 平凡でそこら辺にありそうな日常にも恐怖が潜んでいるということだろうか。 一緒に暮らしていても無関心ていうのは哀しいけど、居心地がよければ別にありかな。 直輝よりもサトルの方が怖い。未来は苦手。 映画観てみたいとは思う。

    3
    投稿日: 2021.07.31
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    ひたすらこわい話。 とりたてて特徴のない、だけど魅力のある5人の同居生活を描く話かとおもいきや、、 久々に何回も読み直したいと思う本だった。 読み直したら、感想書き直そうかな。

    0
    投稿日: 2021.06.04
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    5人の登場人物それぞれの視点で話が進んでいく展開。5人はどこにでもいそうな、どこかフワフワしていて決して模範とはいえない若い男女なのに、なぜか気になって目で追いたくなるような魅力がある。 ベースには5人のそこそこ平穏に進む共同生活がありますが、所々で不穏なソワソワするような嫌な予感が散りばめられており、続きが気になって一気に読んでしまった。 人間の二面性、上辺だけの人間関係の怖さを感じました。

    2
    投稿日: 2021.05.31
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    世之介を思わせるような愛おしさ全開の良介くんから始まって、どんどん千歳烏山のマンションの一室の住人たちに魅せられてくからこそ、最後の段落の衝撃たるや。 「本当に知っていたのだと肌で感じた。」という直樹の科白にはそれこそ鳥肌ものだったのだけど、琴ちゃんや未来まで知っていると思えず、、、でもたしかに慌てて読み直してみると、p173で未来が犯人について話すシーンでは、琴ちゃんは全然話に加わらないし、サトルも話の途中で立ち去ったりする。そのあとの未来も夜中に嫌な感じで目を覚ましてたり(このときはサトルだと思っているけれど、感覚的に悟ってるのかなと、)。 色々考えてみたけれど、自分なりの結論としては、みんな知っていたのではなく、知らんぷりをしている、というか、知ろうとしないようにしている、ような気がしてる。琴や未来の語るように「嫌なら出ていくしかない。いるなら笑っているしかない。」ような場所で、みんなが独特で一定の距離感を保っているからこそ、直樹の凶行をわざわざ無視しようとしてるのともちょっと違って、気付こうとせず、みんながみんな表向きの自分のままで過ごしているんじゃないかなあと。 この小説では一定以上の距離になって幸せになったひとたちが誰も出てこない。良介くんの貴和子さんへの恋だって、もっと踏み込めば梅崎先輩との友情の破滅を伴うし、琴ちゃんと丸山くんだって中途半端な関係で、赤ちゃんができて幸せに…と思いきや、むしろ遠ざかった気すらする。赤信号で止まる車のように、ある程度以上の距離になってはだめだというように、、5人くらいの「適度な距離感」の関係性こそが良いですよね!!っていうプロパガンダ的な演劇を見せられてるような、そんな怖さをひたひたと感じてくる。 それぞれ他の人たちの視点から見ればユーモアたっぷり、呑気に人生歩んでそうな5人も、己の視点から見てみれば、何かしら陰や闇があってそれぞれの何かを抱えていて、人間の本質だなあと思う。だからこそ人格に立体感が生まれてて、「人らしくて」いいんだけど。社会って不思議だなあ。

    2
    投稿日: 2021.05.18
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    「日常」は作り出せる。それを望む人たちが揃えば、どんな背景があっても楽しく暮らせる。それは幻想を作り続けることと同義で、いつか演じ続けることに限界を感じるかもしれない。一面しか人に見せないのは、楽で賢い生き方だけど、一種の現実逃避なのかも。。。

    0
    投稿日: 2021.05.11
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    <心が粟立つ、怖さを> 『他人に見せている面がある』  それはつまり、 『他人に見せていない面もある』  という裏返しとも、取れる。  長い間社会や集団の中で生活していれば、そんなことは当然、分かってくる。  そこをキチンと加味した上で人と付き合うと、人間関係が上手くいく、なんて言われることもあるし、実際そんな本もたくさんある。     “上手くいく”   それは、どんな状態を指すんやろうか。  解説にもあったけど、一回しか読まなかった人はあんまりいないんちゃうかな。  題名を味わえた時の、この感じ。体験してほしいなあ…

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    投稿日: 2021.05.06