【感想】家康、江戸を建てる

門井慶喜 / 祥伝社
(135件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
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66
25
6
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  • 施政者が目的を示したなら、現場が応える!応えたい!

     小田原攻めの秀吉-家康の連れションで「関東を(家康に)やる」というシーンより始まります。ちょうどNHK大河「真田丸」(2016年6月)でも同様のシーンがあり、個人的にはタイムリーな読書でした。
     合戦ではなく、内政による江戸幕府の出来ざまを描きます。造成(河川治水)、鋳造(貨幣)、水道、土木建築、そしてランドマーク(天守閣)と都市行政とはこういう事だと納得の一冊。最初と最後に施政者(家康)の視点が示されるのも秀逸。なるほど、後は現場が動くだけ!・・・そうありたい・・・。続きを読む

    投稿日:2016.07.08

  • 究極のピンチをチャンスに変えた男たち

    秀吉の無理難題を家臣の反対にあってもはねのけ、”関東にはのぞみがある”と江戸の建設にたちあがった家康。利根川東遷 小判鋳造 上水道整備
     江戸城石垣 天守閣漆喰 それぞれのテーマにそって取り組んだ男たちの物語。 便利になった現代の我々には到底理解できない難事業 難工事に取り組んだ人々。大成功を収めた人。最後は残念な結果に終わってしまった人。悲喜こもごもがえがかれていて、史実としての物語を読む楽しとともに
    人間物語としてよむのも面白みがあるとおもいます。
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    投稿日:2016.08.03

  • 歴史好きじゃなくても

    秀吉に突然国替えを命じられ、関東の荒れ地に移ることになった家康。
    ただ単に城を作るのではなく、天下を取ることを見据えた城下町造りが始まった。

    湿地帯を人が住める場所にするために、川の流れを変える。
    経済の発展のために、小判を鋳造する。
    飲み水を引く。
    伊豆から石垣のための巨石を運んでくる。
    戦のない時代を象徴する天守を建てる。

    それぞれにプロフェッショナルな職人が関わり、260年以上も続く江戸時代の基礎を造っていく。

    歴史好きじゃなくても楽しめる1冊。
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    投稿日:2017.02.13

  • 400年前、都市設計の醍醐味がそこにあった。

    NHK大河ドラマ「真田丸」の視聴者であれば、時代背景が丁度重なり興味深さも手伝ってあっという間に読み終えると思います。 江戸を建てる=都市造りのお話しです。

    開府以来、400年後の今も政治・経済の中心であり芸能文化発信地にもなっている東京が巨大都市へと発展出来たのは、家康による都市設計の功によるところがあったのは間違い無さそうです。

    度重なる洪水と広大な湿地を抱え、見向きもされない田舎だった土地は、人の手により整備され変貌していきます。
    人の営みや都市の発展に必要なもの、 難題に立ち向かう役人や腕利きの職人達が世代を股がって模索、奮闘する姿が見所です。
    ・洪水を回避し、湿地を磐石な土地へ。
    ・膨れる需要に比例した飲料の確保。
    ・流通貨幣の改革。
    ・城造り。
    オムニバス形式ながらも、そこへ共通して殿様の俯瞰した目線と、現場の職人の目線があり、都市造成という大掛かりな難題に大勢の人々が関わっている空気感が伝わってきました。

    各々の現場で先導するは、勘の良い役人と腕利きの職人。上官との駆け引きも中々のもの。 純粋に職に全うした彼等が生き生きと描写されているので、遥か昔の江戸が身近に感じられました。

    想像から図面へ、そして大勢の手により形成過程へ。完成された圧倒されるぐらい巨大な造形物を目にした時の感動とその過程が造形の醍醐味なのだろう、と 1年前更地だった場所にそびえ立つ大型マンションを見上げて、当時の家康や役人と職人たちに想いを馳せました。
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    投稿日:2016.09.10

  • ラストの謎解きは驚くほど感動的。

    江戸を作るプロジェクトX、なもなき男たちののドラマ。時代と人が飛び飛びの
    連作小説。ただ最後の一編が重要な巻く引きのドラマになる。泣ける。

    投稿日:2018.03.22

  • 家康が邪魔

    小説としては少々退屈。

    江戸建設の話はもっと史実に基づいて追っかけた方が面白い。資料を見ながら見ていくと当時の労苦が目に浮かぶ。
    真っ当な学者が書いた本の方が文章は下手でも読みごたえがある。

    内容的には別に家康出してこなくても十分面白いものがかけると思う。家康が出てくることで間延びして、あくまでも私見に基づいた小説なので嘘くささが増すのが惜しい。もっと深みのある作品ならこれもありだろうけど、そういうものでもないので「家康要らない」と強く感じる。
    日本史科卒業とは思えない事実誤認もいくつか出てくるので、小説上の演出か、著者の誤解か、単に俗説の誤解を採用したのか判断に迷うのもテンポよく読み進めなくなる理由の一つ。
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    投稿日:2021.10.17

ブクログレビュー

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  • nakaizawa

    nakaizawa

    「家康、江戸を建てる」門井慶喜著、祥伝社、2016.02.20
    402p¥1,944C0093(2023.12.28読了)(2023.12.15借入)(2016.07.10/12刷)
    NHK大河ドラマ「どうする家康」関連で読む最後の本として、この本を選びました。
    江戸の町、江戸幕府の制度を作った人々の話です。
    「流れを変える」は、利根川の河口を東京湾から鹿島灘の方へ変えてゆく話。
    「金貨を延べる」は、小判および一分金を全国で流通できるものにする話。
    「飲み水を引く」は、江戸の飲み水を井の頭公園から都心まで引いてくる話。
    「石垣を積む」は、江戸城の石垣を伊豆から運び積み上げる話。
    「天守を起こす」は、江戸城に天守閣を造ることに秀忠は反対したが、家康は天守閣を造らせた。明暦の大火で江戸城も全焼し、秀忠の息子である保科正之の主張により天守閣は再建されなかった話。

    【目次】
    第一話 流れを変える
    第二話 金貨を延べる
    第三話 飲み水を引く
    第四話 石垣を積む
    第五話 天守を起こす

    ☆関連図書(既読)
    「どうする家康(一)」古沢良太作・木俣冬著、NHK出版、2022.12.10
    「どうする家康(二)」古沢良太作・木俣冬著、NHK出版、2023.03.20
    「どうする家康(三)」古沢良太作・木俣冬著、NHK出版、2023.07.25
    「どうする家康(四)」古沢良太作・木俣冬著、NHK出版、2023.11.20
    「徳川家康の決断」本多隆成著、中公新書、2022.10.25
    「家康(一)自立篇」安部龍太郎著、幻冬舎、2016.12.20
    「家康(二)不惑篇」安部龍太郎著、幻冬舎、2018.10.25
    「天下 家康伝(上)」火坂雅志著、日本経済新聞出版社、2015.04.24
    「天下 家康伝(下)」火坂雅志著、日本経済新聞出版社、2015.04.24
    「梟の城」司馬遼太郎著、新潮文庫、1965.03.30
    「覇王の家 前編」司馬遼太郎著、新潮社、1973.10.25
    「覇王の家 後編」司馬遼太郎著、新潮社、1973.10.25
    「司馬遼太郎『覇王の家』」安部龍太郎著、NHK出版、2023.08.01
    「徳川家康」松本清張著、角川文庫、1964.01.20
    「浅井長政の決断」笹沢左保著、角川文庫、1990.10.10
    「鞆ノ津茶会記」井伏鱒二著、福武文庫、1989.01.19
    「銀河鉄道の父」門井慶喜著、講談社、2017.09.12
    (「BOOK」データベースより)amazon
    「北条家の旧領関東二百四十万石を差し上げよう」天正十八年、落ちゆく小田原城を眺めながら、関白・豊臣秀吉は徳川家康に囁いた。その真意は、水びたしの低湿地ばかりが広がる土地と、豊饒な現在の所領、駿河、遠江、三河、甲斐、信濃との交換であった。愚弄するかのような要求に家臣団が激怒する中、なぜか家康はその国替え要求を受け入れた…。ピンチをチャンスに変えた究極の天下人の、面目躍如の挑戦を描く快作誕生!
    続きを読む

    投稿日:2024.01.04

  • pocori

    pocori

    【第一話 流れを変える】
    伊奈忠次 から4代。利根川の東遷事業。

    【第二話 金貨(きん)を延べる】
    後藤庄三郎光次。
    貨幣戦争については偶然最近「ホンモノのおカネの作り方」を読んでいたので興味深かった。もっと勉強したい。
    貨幣制度の日本統一は徳川家康、と漠然と理解していたつもりだったが、フィクションとはいえとても現実味があって、関ヶ原の戦いの臨場感というか、こう繋がってくるのかぁと感無量でした。
    後藤家が関ヶ原の戦いの際に真田家みたいに兄弟で東西分かれていたのは史実かな?気になる。

    【第三話 飲み水を引く】
    井の頭公園から玉川上水の川を作って都心まで引っ張る事業。大久保藤五郎と内田六次郎という人物。
    井の頭公園の近くに“牟礼”という地名に聞き覚えがあったので胸熱でした。
    『枕草子』の「井は、ほりかねの井」などを挙げて"ほりかねの井”なる枕詞がでてきます。
    玉川上水が身近であることや目白山、椿山荘、水道橋などの地名の由来や現在の様子を比べて面白いです。

    【第四話 石垣を積む】
    大久保長安がとっても嫌なやつで驚いた!!
    東京国立近代美術館の「眺めの良い部屋」でみたあの石垣を思い浮かべながら読みました。

    【第五話 天守を起こす】
    凡庸と言われる秀忠の描きようと、天守から常に普請中という江戸の街を眺める家康の目線が良かった
    天守建築の事業でありながら、江戸の街全体の漆喰の壁にまつわる話。これぞまちづくり。


    家康の元でそれぞれ奮闘した人物たちと事業についての独立した話かと思いきや、前話までの内容や人物像を読者に浸透していることを前提とした話運びで、みな江戸を建てるために必要なことだけれでもそれぞれ別事業でありそうなのに、やはり家康を中心に背景が繋がっていることが伝わってくる。
    続きを読む

    投稿日:2023.12.26

  • ruka

    ruka

    天下を取った家康が江戸を作っていく話。秀忠とか秀頼とか大河で見てたような人物像、ストーリーが絡んでいて面白かった。何も無かった江戸の地を日本の中心地として基礎を作った家康、すごいの一言。

    投稿日:2023.12.19

  • yone97

    yone97

    利根川の流れを変える苦労、貨幣で天下を制する、伊豆から運んだ安山岩で作る石垣、白漆喰の江戸城等皇居東御苑のツアーの背景がよく分かる本であった。江戸の街を建設するのはこんなに大変だったのかと改めて感動した。続きを読む

    投稿日:2023.11.11

  • たにひろ

    たにひろ

    時代小説だけど台詞回しがマンガっぽいから読みやすい! そしてそれ以上にドラマが熱い!
    「金を延べる」が面白かったな〜……男たちのプライドのぶつかりあい。まさにプロジェクトX in江戸!
    表の実力者である豊臣秀吉と、知略を尽くしてひっくり返そうとする徳川家康。この心理戦が面白い!
    続きを読む

    投稿日:2023.03.18

  • タマセツ

    タマセツ

    家康の先見の明は何処から生まれたのか、未開拓の地を大都市への変貌を夢見た家康。5つの大きな先手工事をできる人材に即座に抜擢、「天下普請」(幕府の負担を軽減、地方の勢力を減退)の役割を同時期に指導したのはやはり凄い。 江戸幕府崩壊の要因は少なくともこの「天下普請」「参勤交代」が無くなったことで起きたのは間違いない。続きを読む

    投稿日:2023.03.15

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