【感想】アンデッドガール・マーダーファルス 1

青崎有吾 / 講談社タイガ
(93件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
23
43
14
1
0
  • 怪奇小説風味の本格ミステリ

    十九世紀末のヨーロッパを舞台に、探偵(女)と助手(男)のコンビが怪物がらみの事件に挑む怪奇ミステリ。事件の関係者として吸血鬼や人造人間が登場しますが、探偵・輪堂鴉夜の推理は非常に論理的で、この作品の芯があくまでも本格ミステリなのだと実感させてくれます。
    この1巻には、序章のほかに吸血鬼の事件と人造人間の事件が収録されています。多少血なまぐさいところもあるけれど、人が死ぬミステリに抵抗がなく、本格ミステリが好きな方なら問題なく楽しめるでしょう。
    推理の鮮やかさはもちろんですが、鴉夜と津軽の迷コンビぶりも読みどころです(二人が笑い合うシーンの微妙な空気がたまりません)。まだまだ謎が多い二人ですが、最大の謎は静句さんかも……。
    ほかにも、古典作品の登場人物がちゃっかり(何人も)出てきたり、ミステリなのにバトルシーンがあったりと、いろいろと規格外な作品です。でも、とにかく読んでいて楽しい! それに尽きます。
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    投稿日:2016.02.05

  • とにかく楽しい怪物専門の探偵モノ

    作者の代表作である天才オタク高校生探偵の「裏染シリーズ」も面白いが、こちらはこちらで面白い。舞台は科学文明へと変わろうとしている19世紀末のヨーロッパ。人々を恐怖で支配していたモンスター達は狩る側から狩られる側へと変わろうとしていた。この様な歴史を背景に誰もが知っているモンスターを加害者、被害者、容疑者に迎えて怪物専門の探偵が本格推理で謎を解いていきます。

    探偵役は輪堂鴉夜と助手の真打津軽。そしてその鴉夜に影の様に付き従う使用人の静句。各話の基本構成は事件の発端、推理パート、戦闘パートの3つに分かれており前半の推理パートでは聴き取りから現場検証、そして謎解きとお馴染みの展開。ただし推理は本格的で論理的なのでナルホドと唸ります…と普通の探偵モノならココで終了ですが、何せ関係者がモンスターなのでこの後バトルに突入します。(笑)

    とにかくこの3人組探偵が魅力的で鴉夜と津軽の推理パートでのお寒い掛け合いや戦闘パートでの津軽と静句の立ち回りがホント楽しい!また彼ら日本人探偵が何故ヨーロッパを彷徨っているのか、何故怪物専門の探偵をやっているのかなどの謎の部分も沢山あり早く先が知りたくなります。あと19世紀末のヨーロッパが舞台なので他の推理モノの有名どころが沢山出てきそう〜、今回もお一人登場しておりますが…。

    推理&バトルで登場人物もほぼ超人や怪物ということでどこか雰囲気が西尾維新に似てるかも。コレ絶対アニメ化されるなぁ。
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    投稿日:2016.03.12

  • 怪物専門の探偵たちは斬新

    怪物が絡んだ事件でも、きちんとした推理ものです。
    書籍説明を読んで、ホラーや、オカルトと勘違いされるかもしれませんが、著者の青崎さんは本格的な推理作家さんで、私も大好きな作家さんのお一人です。

    怪物には人間と比べて能力や、力の強さだけでなく、弱点もあって、そこを切り崩したり、証拠としてあげたりするところが、とても面白いと思いました。

    物語の雰囲気はお堅いものではありません。探偵役の鵺夜と鳥籠を持つ男の津軽の微妙に不毛な会話に失笑する事しきりで。
    津軽はトリニティブラッドのアベルのような雰囲気を感じたと書いたら解りやすいでしょうか?
    もちろん、全然違うとお叱りを受けるかも知れませんが。
    怪物と対峙するときの暴れ方と普段のオチャメな言動が落差があって面白いです。

    反対に、鵺夜姐さんの美しさ、強さ、かっこよさに惚れてしまいました(///∇///)

    メイドの静句はとても強いみたいですが、まだ1巻では存分にその力を発揮していない様子。2巻以降に暴れてくれることを期待します。
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    投稿日:2016.10.19

  • 怪物専門、怪奇ミステリ。鴉夜と津軽の、趣味の悪い笑いと掛け合いは癖になる。

    十九世紀末の欧羅巴。世界的に異形の者や怪物が一掃されつつある世界。怪物専門の探偵・輪堂鴉夜と真打津軽に、鴉夜に仕えるメイド姿の馳井静句。鳥籠使いと呼ばれる彼らが、怪物が絡む不可解な事件を解決する。不死に、鬼。吸血鬼、人造人間。ミステリとしても面白いし、惜しげもなく登場するビッグネームにテンションが上がる。ホームズ、ルパン、警察官時代の、灰色の脳細胞。ファントムに切り裂き魔。そして三人が追う人物は…教授。ミステリとしても面白いし、鴉夜と津軽の趣味の悪い笑いと掛け合いが癖になる。似非噺家風の津軽の口調も心地よい。久しぶりに頁を捲る手が止まらなかった。続きを読む

    投稿日:2017.03.14

ブクログレビュー

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  • mihiro

    mihiro

    青崎さんの作品を読んでみたくて♪
    ラノベっぽいのはあまり読んだ事なかったけど、どなたかの感想見て気になってた作品。
    いやいや、これ面白いわ〜!
    アニメ化も漫画化もされてるみたいだけど、小説もほんとにアニメを見てる様な感覚で楽しめた!

    「怪物専門の探偵」、不死の輪堂鴉夜、その従者の馳井静句、そして半人半鬼の真打津軽。
    この個性的な3人組による謎解き物。

    キャラ設定から面白い♪
    出てくる怪物も吸血鬼に人造人間に、、といかにもアニメっぽくて楽しい♪
    舞台はヨーロッパで、西洋っぽさと、ちょっとダークな感じがとても良かった。

    ライトで読みやすいけれど、鴉夜の鋭い洞察力で謎を解く様は、本格ミステリーのように ほほ〜っとなって心地よい♪

    シリーズ物で、今回はドラキュラとフランケンシュタインだったけど、これからも有名どころがいっぱい出てくるのだとか!
    面白かったのでシリーズ追いかけるぞ〜♪

    そしてこれ読み終わって、アマプラでアニメも見ました〜!
    だいぶ端折られてはいるものの、アニメもめっちゃ面白かった〜◎





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    投稿日:2024.02.16

  • よっぴー

    よっぴー

    新年1冊目の小説。
    アニメの予告を見て、気になり原作本を読破。
    吸血鬼、人造人間、生首探偵、鬼殺し等、ホラーのジャンルのキャラクター達が集まり、そこにミステリーも加わった作品。
    色々キャラクター達が集まって、ホラーのアベンジャーズみたいな感じがして面白かったです。
    トリック等は、ややこしくなくて、分かりやすく出来ていて、深く考えずに読めれて、世界観が想像出来たのが良かったです。

    続編も読みたくなりました。
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    投稿日:2024.01.03

  • ないん

    ないん

    その世界では怪物が普通に認知されているだけではなく、架空の人物、シャーロック・ホームズや吸血鬼カーミラ、ドラキュラ、他の名だたる有名探偵や泥棒が存在している。
    生首の不死の美少女は推理し鬼の半妖は戦う。カオスでファルスな物語。
    鴉夜と津軽の会話が楽しい。
    そして謎解きもシンプルでわかりやすい。次作も読みたい。
    続きを読む

    投稿日:2023.12.23

  • 硝子

    硝子

    アニメを先に見たのでビジュアルのイメージがしっかりしていたので読みやすかった。ファンタジー乍説得力のある推理物で、怪物の特性を上手く調理していた。

    投稿日:2023.12.20

  • yukimisake

    yukimisake

    ちょくちょく名前の出ている書店員の友人Y氏から、私が好きそうなキャラがしこたま出てくるので読め、とずっとお勧めされていたのですがうっかり忘れていました。
    成程、これは好みです。
    有名な西洋の文学作品から今回は『ドラキュラ』と『フランケンシュタイン』が登場。
    こういったオマージュ的な作品は個人的に当たり外れが多いのでビクビクしながら手を出したのですが非常に楽しめました。
    特に『ドラキュラ』は大好きで、あんなにクールで魅力的な怪物を産み出したブラム氏には感謝の念が絶えませんが、本作のドラキュラであるジャン・ドゥール・ゴダールも素敵でした。
    この世界では人間との共存に四苦八苦しているのですが母と妹を亡くしこれ以上家族を失いたくないと語る彼。
    吸血鬼って悲哀が似合いますね。

    そんな彼の屋敷でまたもや悲しい事件が。ここへ解決にやって来るのが鳥籠を持った半人半鬼の青年、真打津軽。通称「鬼殺し」。
    某パック酒を連想してしまいましたが、この津軽が曲者で最高のキャラです。普段やる気のない飄々とした男性が蓋を開ければ鬼強いとか、少年心が擽られる鉄板設定ではないですか!!良いぞ、もっとやれ。

    殺人事件と言いますか殺鬼事件の謎を解いて行くのですが、このトリックや殺害方法が異形のものならではの方法なので何が飛び出すかワクワクします。
    (前から気になっていたのですが、吸血鬼の弱点に十字架、木の杭、聖水などある中で何故ニンニクもランクインしているのでしょう。美味しいけれど一つだけダサい…)

    フランケンシュタインに関しても同様にちゃんと特有の悲哀が描かれていて、青崎さんのこれらの作品へのリスペクトが感じられます。
    これは素晴らしいオマージュ。

    1番読んでいて楽しいのは津軽と共に行動している2人の女性との会話劇です。
    どことなく西尾維新さんみも感じるような軽妙な言葉遊びややり取りが最高です。
    特にメイドの馳井静句の正しいツンデレ具合がドM心を擽ります。私も静句さんに冷たく罵られたい。

    さて私の隠れた性癖は置いておいて、幼少の頃から心躍らせてくれた架空の人物達が大人になってまた私を喜ばせてくれました。
    Y氏には感謝、感謝です。

    これはシリーズものらしいのですが、Y氏によると私への真のご褒美はドラキュラではなく後程出てくるとある人物だという事。
    誰だろう?今回に登場していないと言う事はあの人では無いし…と考えた末に1人思い付いたのですが、万が一彼が出るとしたらそれはもう居ても立ってもいられないので早く読ませて!と図書館でヒャッホーイと検索したら根こそぎ貸し出し中でした…。

    最近ハマった虫シリーズも無かったし、私も鬼殺しになりそうでした。
    そして理由が分かりました。アニメ化していたんですね。そりゃあ借りられるわ…。
    でも悔しいから絶対に本で読みます。
    続きを読む

    投稿日:2023.12.04

  • 杏

    ダークファンタジー大好きなので楽しめました。
    キャラや世界観は漫画っぽい設定もりもりだけど、謎解きはちゃんと論理的。古典文学を読み込んでたらもっとオマージュ楽しめるのかなぁ。
    中学生の時に出会ってたらどハマりしてオタク厨二病が悪化してたと思う。危なかった〜。続きを読む

    投稿日:2023.12.01

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