【感想】ペンギン・ハイウェイ

森見登美彦 / 角川文庫
(932件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
267
309
198
52
13
  • メルヘンとファンタジーの廻間の世界観

     スタンドバイミーをメルヘンチックにしたような話かなと思いきや、謎の球体が出てきたところから、お!これはソラリスの海か?と思っていたら、そこまで深い話ではありませんでした。
     「お姉さん」は、いったい何だったのかという疑問が、科学的であれ、屁理屈的であれ、はたまたメルヘン的であれ、最後まで明かされていないママなので、ファンタジーと呼ぶには、少々条件を満たしていないように思いますが、これが主人公が大人になってから、幼き頃の出来事を思い返しているんだと考えれば、また違うのかもしれません。幼い頃の記憶なんて曖昧ですからね。
     物語は思春期一歩手前の少年少女達の、毎日がワクワクするような好奇心に溢れ、またザワザワするような不安を抱き、ソワソワする期待に満ちた日常を描いています。
     「怒りそうになったら、おっぱいのことを考えるといいよ。そうすると心がたいへん平和になるんだ。」この台詞には、ニヤッとしましたね。そーだねー!と相づち打ちたくなりますな。
     また、自動販売機というのはさみしい仕事である、なんていうフレーズもありました。これ子供的発想だよね。これ一つとっても、森見登美彦氏は、只者ではない気がします。
     話の展開は、次はどうなるかが知りたくてページをめくる手がとまりません。謎は謎のママなのですが、幼き頃、友達と秘密基地を作り、小さな小川を遡るような冒険?をし、甘酸っぱい恋とも言えないような初恋を経験したことのある全ての人には、たまらない物語です。
     何でもこれをアニメ化し、この夏公開されるという話です。文章で書き表されたあの不思議世界を、どのように映像化したのか、楽しみでもあり、心配でもあります。
    続きを読む

    投稿日:2018.07.31

  • 初恋とスタンドバイバミーとおっぱい

    ジャンル分けの難しい作品です。秘密基地と冒険が好きだった人は読んで見てください。懐かしさと甘酸っぱい気持ちが一緒に流れ込んできます。そして、なにより秀逸なのは主人公による「おっぱい」についての考察です。読むなら今、夏。続きを読む

    投稿日:2016.07.14

  • ネタバレに感じたらご免なさい

    「怒りそうになったら、おっぱいのことを考えるといいよ。そうすると心がたいへん平和になるんだ」
    「自分の満足のためにほかの人にがまんしてもらうには、それなりの理由と手続きが必要だ」

    そんな少し大人びたアオヤマくんのペンギンハイウェイがお姉さんに続いてればいいですね続きを読む

    投稿日:2015.12.10

  • ペンギンの謎、そして少年の成長

    素直なんだけど、ちょっぴりおませさん。理屈っぽいんだけど、どこか憎めない。そんな少年が主人公のSFファンタジーです。最初はペンギンが街に現れるという小さな事件が起きるだけですが、日を追うごとに不思議な出来事は増えていき、やがて大きな事件へと発展していきます。一見、関連がなさそうな出来事が、一つの意外な真相へと集約していく構成には感心させられました。これら経験を通して成長していく少年の成長物語にもなっており、最後切なさを覚えるシーンもあるのですが、これでまた少年が成長するのだと思うと温かい気持ちにもなれる。そんな素敵な作品です。続きを読む

    投稿日:2015.09.10

  • ふにゃふにゃしている。

    読み始めてから終わるまで一年以上かかっちゃった。と言っても長編でもなければ難解でもない、社会派でもなければ青春物でもない、科学っぽくないし、SFというのもちょっと…という感じの、評価に困る物語。

    台は都会から少し離れた新興都市、いわゆるニュータウンの、まだ開発の手が伸びていない森の中。登場人物は森の近くの小学校に通うちょっと変わった小学生と、街の人々。ふにゃふにゃしたお姉さんがキーパーソンとなり、超常現象というか、夢物語というか、よくわからない話が進んでいく。そしてもっともらしいまとめ方で物語は終わるが、わからないものはわからないままである。

    大体この作者の森見氏は、ふにゃふにゃした印象が強い。現実と非現実の区別が曖昧で、登場人物も流されやすくて皆ヘラヘラしている。「美女と竹林」などその最たるものだろう。妄想と孟宗、ではなく現実の区別がない。だが、作者にはぜひこのふにゃふにゃ感を維持してもらいたいと願っている。
    続きを読む

    投稿日:2015.07.03

  • 不思議な不思議な物語

    皆さんのレビューを読んで、興味を持ち、読んだ作品です。
    大人になって忘れてしまった感覚を思い出させるような、全くあたらしく触れ合うような、不思議な感覚で読めました。
    森見さんのほかの作品も読んでみたくなりました。続きを読む

    投稿日:2015.05.08

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ブクログレビュー

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  • オカケン

    オカケン

    森見登美彦は初めて。SFなので超科学的な現象は良いとして、人の台詞や行動に現実味が無いというか、いかにもアニメっぽいなと感じた。それは好みから外れているのでう〜んと読み進めたが、終わってみればこれが味だし面白いと思った。
    日本版ストレンジャー・シングスであり、エヴァのようなディストピア感があり、最後はアントマンのようだ。SFと愛は切っても切り離せないものだな。
    続きを読む

    投稿日:2024.04.15

  • まろ

    まろ

    ペンギンの謎を追っている時は面白かったが、最終的にはあまりすっきりしなかった

    森見さんの他の作品よりも初心者にも読みやすそうかと思い手に取ったが、やっぱり随所の表現などが好きになれず自分には合わないと感じた続きを読む

    投稿日:2024.04.14

  • 2063695番目の読書家

    2063695番目の読書家

    ふしぎな話だった。
    切なくなった。
    アオヤマくん賢かった。
    絶対僕より賢い。
    でも時々見せる小学四年生っぷりが良い。
    たいへん面白い作品だった。

    投稿日:2024.04.01

  • とうふ

    とうふ

    映画化されたこともあり、気になって読んでみた。

    突然ペンギンが現れる等、話は全体的に掴みどころがなく、何となく読み終わってしまったという感想。

    ただ、主人公であるアオヤマ少年の小学生らしからぬ、毎日賢くなり続けるという考え方は、はっとさせられた。
    アオヤマ少年ほど若くはないけれど、忙しく、過ごすだけで精一杯な日常の中で、成長を感じられる生き方を心がけたいと、改めて思わせられる本だった。
    続きを読む

    投稿日:2024.03.24

  • ドラきち

    ドラきち

    とてもきれいな情景がたくさん思い浮かんでくる物語でした。映画を観ていないので、どんなふうに表現しているのか観てみたいと思います!

    投稿日:2024.03.17

  • 菌類

    菌類

    SFはあまり得意としていなかったのだけれど、「小賢しい」(笑)アオヤマ少年の語り口が妙に可愛くて、すらすらと読めてしまった。お姉さんと「海」とペンギンたちの謎が一つになった時、絡まった毛玉がもとの一本の糸に戻った時のように爽快感があった。
    お父さんの「問題の解き方 三原則」が非常に印象に残っている。
    「1.問題を分けて小さくする」
    「2.問題を見る角度を変える」
    「3.似ている問題を探す」
    普段何気なくやっていることではあるけれど、こうやって言語化されるとなるほどなと思える。色んなところで使える鉄則だと思われるし、色んなところで意識してみたいなと考えさせられた。
    続きを読む

    投稿日:2024.03.01

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