maxsekiさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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万能鑑定士Qの事件簿 IX
松岡圭祐 / 角川文庫
世界的な名画モナ・リザを巡る物語
14
ルーヴル美術館を訪れた莉子がモナ・リザを観て違和感を抱くシーンが5巻にあります。本作ではそれが伏線となり物語が展開します。モナ・リザの日本公開を迎えるにあたり、ルーヴル美術館は日本人の臨時学芸員を雇う…ことに。その最終候補者として見事に莉子が選ばれ、研修を通してその鑑定眼に磨きをかけていきます。ところが、ある事件をきっかけにこれまで築き上げてきた鑑定士としての自信はすべて崩壊。普段あまり感情を表に出さない莉子ですが、この時ばかりは自暴自棄になり、卑劣な犯人に対し声を荒げるなど珍しい姿を見せます。またそれがとても印象的です。一方で、最近やや影の薄かった小笠原との距離感が一気に近づくなど、本作はシリーズファンとしては見逃せない場面が多くなっています(6巻の雨森華蓮も登場!)。ミステリー色は薄いですがシリーズの集大成的な内容に、読了後は満足感でいっぱいでした。 続きを読む
投稿日:2014.04.23
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万能鑑定士Qの事件簿 V
松岡圭祐 / 角川文庫
フランスでも輝く莉子の鑑定眼!
7
シリーズ5作目の舞台はフランス。思いかけず事件に遭遇してしまう莉子ですが、確かな鑑定眼をもって日本と遜色のない活躍を見せてくれます。高校時代の担任教師と同行することになるのですが、劣等生だった頃のイメ…ージしか持っていない先生は、まるで別人のように聡明な莉子をみてビックリ仰天。やがて莉子の成長を認めざるを得なくなるのですが、その際のやり取りはまるで高校時代に戻ったかのようでとても微笑ましかったです(莉子としては不本意だったと思いますがw)。楽しいやり取りだけで終わらず最後には感動のシーンもあるなど、読者としては大歓迎の先生の登場でした。フランスでの経験を通じてまたひとつ成長した莉子。今後の活躍がますます楽しみとなる作品でした。 続きを読む
投稿日:2013.10.17
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向日葵の咲かない夏
道尾秀介 / 新潮文庫
驚愕展開が連続する怪作!
6
主人公は小学生だし、「カラスの親指」は面白かったし、とやや油断して読み始めたところ・・・まさかの衝撃展開に背筋がゾーッ! 死んだS君がまさかあのような姿で目の前に現れるとは! 思わず『これ角川ホラー文…庫だったっけ』と確認してしまったほど怖かったです。その不条理な状況にも慣れてくる(?)中盤以降は探偵ものとして楽しめるのですが、登場人物がこれまた曲者ばかりで一筋縄にはいきません。さらに後半になると前半のテイストが戻ってきて、もぅ不気味で不気味で仕方ないのですが、先の展開が気になってページをめくる手が止まりません。いつの間にかこの作品の虜になっていたようです。普段から、狂気をあつかった作品は大好きなのですが、本作はその中でも特に印象に残る、まさに怪作という印象です。 続きを読む
投稿日:2013.12.17
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万能鑑定士Qの事件簿 VI
松岡圭祐 / 角川文庫
ライバル登場!の巻
6
本作では、莉子に勝るとも劣らない、容姿端麗かつ頭脳明晰な女詐欺師・雨森華蓮が登場。恐ろしく頭が切れ、決して尻尾をつかませない。警察がこれまで煮え湯を飲ませ続けられた相手です。この雨森華蓮と莉子の対峙が…最大見どころ。さすがの莉子も相手の策略に翻弄され悔しい思いもしますが、そのまま終わらないのはさすが莉子!といったところ。莉子らしい実に後味のよい形で事件を締めくくってくれます。今回、相方?の雑誌記者・小笠原の出番は少なめですが、しっかりと笑いをとってくれます。今後もこの調子でがんばってほしいと思いますw 続きを読む
投稿日:2013.10.27
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探偵の探偵
松岡圭祐 / 講談社文庫
美少女が裏社会に立ち向かう大人のエンタメ作品
5
万能鑑定士シリーズとは一線を画するバイオレンスシーン満載のハードな作品です。文武両道かつ容姿端麗なヒロインには松岡作品らしさを感じますが、その美少女が殴られたり殺されかけたり、まさに表紙カバーのように…ボロボロな姿になっていきます。それでも強い意志をもって前へ前へ進んでいく主人公の姿が本作最大の魅力と感じました。暴力シーンが苦手な人には勧めづらいところもあるのですが、大人向けエンタメ作品として高いクオリティを誇っています。テレビ向きではない印象の本作ですが、どうドラマ化されるのか、放映が楽しみです。(追記:ドラマは1〜3巻が描かれています) 続きを読む
投稿日:2015.07.03
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六花の勇者
山形石雄 / ダッシュエックス文庫DIGITAL
ファンタジー × ミステリー
4
剣と魔法の世界のファンタジーです。復活した魔神を倒すべく各地から選ばれた6人の勇者。しかし、集合場所にはなぜか7人の勇者が集っていた・・・というストーリー。偽の勇者のレッテルを貼られた主人公が、他6人…に追われながらも真相に迫っていくのですが、戦闘シーンが緊張感たっぷりで非常に読み応えがありました。バトルものとしても楽しめます。また、最大の特徴として、ミステリー色が濃いことが挙げられます。真犯人ならぬ偽勇者をあぶり出したり、密室の謎を解き明かす過程はミステリーそのもの。言い方を変えれば、特殊設定での雪山の山荘モノとも言えます。ファンタジーとミステリーの融合型として完成度が高いだけでなく、何よりエンターテインメントしても非常に面白い、お気に入りの作品です。 続きを読む
投稿日:2015.04.05