【感想】エンデュアランス ──史上最強のリーダー シャクルトンとその仲間はいかにして生還したか

アルフレッド・ランシング / パンローリング
(6件のレビュー)

総合評価:

平均 4.8
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  • シャクルトンを知らずして、リーダーシップ論やらを語るなかれ

    レビュータイトルを見て、偉そうに何を言うかと反感を持った人は、まぁ、まずは読んでみなされ。
    絶対という言葉は避けるけど、ほぼ確実に読後は同感して貰える自信があります。フフフ(勝利を確信している余裕の笑い)・・・。

    無人島長平、アポロ13号、そしてこのエンデュアランス号、「事実は小説より奇なり」というがどれも現実の出来事。そして、どれも偉業だけど人間が成し遂げたこと。我々は幸運に恵まれただけなら奇跡とは呼ばない。人が行える範囲で、ギリギリの努力をして、不可能と思われることを行ったという点に神性を感じるのだろう。

    英語圏では有名な人だし日本ではNHK-BSで番組もあったので、案外、知っている人も多いかも。
    ユーモアを大事にしているところや、ギターをギリギリまで捨てないところは国民性が出ているなぁと思います。日本なら真っ先に不要物とされるだろうに。
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    投稿日:2015.10.29

  • 指導力の帯は、少し違うんじゃないかと思う

    シャクルトンの決断は日常生活でも、南極でも、やっぱり外れてしまう。彼のリーダーシップを学ぶ内容ではない。失敗をいかにして克服するのか?知恵を絞り、要所要所で、シャレにならないシャクルトンの大失敗を、南極の海で必死にリカバリーを試みる乗組員達全員の奮闘記である。これは現代風に言えば、ダメ課長がプロジェクトを頓挫させたのを、毎日必死に修正し続けた海の上のサラリーマンたちの、超絶忍耐苦労話ともいえる。生き残るため、乗組員たちが結束して力を合わせる姿に感動する。写真が残っていて、これがまた臨場感あふれる内容。一気に読めるのでお勧め。続きを読む

    投稿日:2016.02.13

  • 冒険ノンフィクションの金字塔

    「求む男子。至難の旅。僅かな報酬。極寒。暗黒の長い日々。絶えざる危険。生還の保証なし。
    成功の暁には名誉と賞賛を得る。」

    いまも語り継がれる、シャクルトンがロンドンの新聞に出した、有名な求人広告である。
    これに5千人以上もの志願者が殺到したというのも凄いが、その中から稲妻のような早さで直感的に隊員を選んでいくシャクルトンもやはり凄い。

    とにかくシャクルトンは規格外の男で、彼にとって南極は、名誉やお金を得るための場ではなく、彼の怪物のような自我となだめがだい衝動を投げ打つ舞台だった。
    並外れた勇気や大胆さを発揮したい人間にとって、ロンドンでの生活はきっと牢獄だったことだろう。

    ついに出航という時、シャクルトンの気持ちの高ぶりを、著者はこう表現している。

    「長い準備の期間はとうとう終わった・・・頼み込んだり、おべっかをつかったり、小細工をしたり - もう、そんなことはしなくてもいい。失敗と挫折、空しさに満ちた世界には別れを告げた。ものの数時間を経ずして、無数の小さな問題がからみあった複雑極まりない人生は、ただ1つの目的を掲げた単純明快なひとすじの道になる - あとはひたすらにゴールを目指すだけだ」

    氷上での生活は、さまざまな試練を隊員たちに与えたが、それは不便を通り越し、どこか豊かさを感じさせるものに変わり、彼らの心に自立心を育んだ。
    ズボンの継ぎを当てることさえ、家では人任せにしていた男たちが、何時間もかけてそれを成し遂げ、「なんと恩知らずだったのだろう」「最高の一日だ…生きることの喜びを感じる」と日記にしたためる。
    雪と氷しかない、苛酷で寂しい原初的生活の中で男たちは、限られたものの中に満足を見いだし、必要以上のものを望まなくなる。

    陸では無敵のシャクルトンも、最期にボートの旅に不安を感じていた。
    海では、別種の戦いを強いられるためだ。
    海との格闘は、疲れを知らない敵との肉体的な格闘であり、困難を耐え抜く勇気や信念ではどうにもすることができず、人間に望めるのは、ただ打ち負かされないことだけだからだ。

    生き残りをかけたシャクルトンの戦いが最期にどういう結末を迎えるかは、読んでもらうしかない。
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    投稿日:2016.05.21

ブクログレビュー

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  • 753

    753

    冒頭の氷に閉じ込められた船から逃げるところで、すでに地獄、、、。
    それから信じられないような苦難が続くのです!!
    最後には全員無事、ということが分かっているので、なんとか読み進めることができました。
    ちょうど入院中に読み始め、小さな島にたどり着いたところで、手術によばれました。
    この本のおかげで、手術前のドキドキが、確実にまぎれました。
    帰還したあとのメンバーのその後が気になります。
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    投稿日:2021.11.08

  • Chibi

    Chibi

    まさにサバイブ

    この極限状態のリーダーシップから
    何を得られるのだろうか。
    極限状況と距離を置いてしまうのはもったいない。

    投稿日:2021.03.07

  • sumilenge

    sumilenge

    新潮文庫で2001年に発売されている「エンデュランス号漂流」の新しいヴァージョン。
    遭難モノは生存者何名とかに話がいきがちなので読むのがツラくなったりするが、こちらは全員生きて帰還しているので安心して読める。

    以下Wikiより

    摂氏マイナス37度の寒さと乏しい食料の中、南極圏で28人が実に22ヶ月もの間を耐え忍んだ。最終的に、シャクルトン以下6名の乗組員が僅か7メートルの救命艇に乗って、南極海を1,500キロメートル航海した。その数ヶ月後、シャクルトンは残された全ての乗組員を救出しに戻り、一人の命も落とすこと無く全員が生還した。

    リーダシップ、苦境にあった時のスタンス、在り様について知りたく手に取る。
    「とりぱん」の作者もさりげなく作中にこの本を登場させてます。
    「紙葉の家」も出ていたので図書館で借りてみたが、かなりアバンギャルド。
    色んな本を読むんですな。
    続きを読む

    投稿日:2016.10.14

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