【感想】スティーブ・ジョブズ I

ウォルター・アイザックソン, 井口耕二 / 講談社
(474件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
132
185
89
9
0
  • ジョブズの魔法、アイザックソンの魔法

    「これは君の本だ。僕は読みもしないよ」

    著者・アイザックソンに伝記執筆を依頼したジョブズはこう言った。
    膵臓癌で人生の終わりが見えてきたからこその、伝記執筆依頼だったのだが、
    病気のことを隠していたため、こう言われた著者は驚いたという。

    そしてジョブズは、本書を読むことなく、亡くなった。

    読者の多くは、ジョブズに会ったことのない人だ。
    そして、そうした人々は、これからも彼に会うことはできない。
    当たり前のことなのだが、改めて考えてみると伝記というのは重要だ。

    客観的なできごとなら、誰でも書けるだろう。
    しかし、読み進めていくと、やはり、ジョブズがアイザックソンに依頼した理由を”感じる”ことができる。

    第11章 現実歪曲フィールド 自分のルールでプレイする

    という章。これなどまさに、アイザックソンだから書けた、と思う。
    現実歪曲フィールドとはジョブズが使う「ふしぎなちから」である。
    が、実際にはそんなものは存在していない。
    にも関わらず、ジョブズに関わった人々はこんなふうに言う。

    「彼の周囲では現実が柔軟性を持つんだ。誰が相手でも、どんなことでも、彼は納得させてしまう。
    本人がいなくなるとその効果も消えるんだけど、でも、そんなわけで現実的なスケジュールなんて夢なのさ」

    そう、そんな魔法のような空間が、”彼のいる間だけ”発生する。
    ジョブズはもういない。そもそも私は会ったこともない。
    が、本書を読んでいると、自分がジョブズに関わって精神的に振り回されまくった一人のように思えてくる(身近にいたら間違いなくストレスがたまるタイプだ)。
    そして、それでもジョブズのとんでもない思いつきにわくわくしながら”一緒に”何かをやってきたような、きらめくような錯覚を覚える。

    本書自体、心躍る「現実歪曲フィールド」ではないだろうか。
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    投稿日:2014.10.26

  • 偶像化したジョブズではない、本当のジョブズを圧倒的な筆致で伝える稀有な書だ

    この本は、偶像ではない、真実のジョブズを知りたい人に、強くおすすめする。

    「ビジネス書」の分野でのジョブズの扱われ方はステレオタイプで、一種の神話化されている。
    ・従来のビジネスモデルを変える商品を作ったすごいぜ、とか
    ・一度、挫折して、みごとにカムバックしたすごいぜ、とか
    ・すばらしいプレゼンテクニックの達人すごいぜ、とか

    この本で描かれている人間ジョブズは、まず偶像をたたき壊す。
    ジョブズは若いころ、公衆電話ハッキング「犯罪」をしたこともあるし、麻薬にも手を出していたのも有名だ。
    付き合っていたガールフレンドが妊娠したら、子供ごと捨てた。女性の敵でもある。(何年もたってから認知したけど)
    アップル社内では暴君でならしていたし、決して「理想」の上司とはいえない。

    そんな人間的にはいただけないジョブズだけれど、強く、人をひきつける何かがある。
    人を深く、共感させるなにかがある。
    この本を読み進めていくと、それが見えてくる。

    何か、ものづくりでも、他の分野でも、やりたい「アイデア」を持っているあなたに。
    でも、前に動くことを躊躇しているあなたに、ぜにお勧めする。

    読後感も圧倒的です。
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    投稿日:2013.11.02

  • ポイントはモノづくりです

    同年代で、同じ業界にいる人間として、その卓越したアイデアと実行力にただただ驚かされるのはまあ普通の話のレベルとしても、ポイントは日本人にはおなじみのモノづくりへの憧れと、その楽しさと、作ったものを人に使ってもらううれしさが彼にはとことん身についていると思います。この本を通読してしばしば思うのは、このSteveなる人間はまるで日本人じゃないかということです。単純ですが、やはり我々はモノづくりの民族だとおもます。ゆえにSteveにもある種特別な思い入れを感じるのではないでしょうか?つまり、Sonyがいない日本って考えられますか?続きを読む

    投稿日:2013.11.06

  • 成功=幸福ではなく

    読めば読むほどこの人の凄さがわかるが、羨ましいとは何故か思わない。
    こんな人になりたいなぁとは絶対思わない。
    この人の絶対的な不幸を垣間見れる一冊。

    投稿日:2013.11.03

  • ジョブズの光も影も詰め込んだ実録

    ジョブズの伝記である本書は子供時代からアップル創設、その後追い出されNeXT、ピクサーを立ち上げるまでの期間の人生を追います。

    本書の特徴はとにかくジョブズという人間の光も影も余すことなく描いている点です。類い希な芸術センスとビジネス嗅覚を持つ反面、他人を徹底的に叩きのめす唯我独尊で人間的な共感の欠片もない人物。しかしそのセンスが具現化した時には宇宙に衝撃を与えるような製品になるのだから、やはり常人には理解できない天才なのでしょう。

    果たしてジョブズが目指した世界は実現したのか、下巻に注目です。
    続きを読む

    投稿日:2014.09.13

  • 前半

    この1冊目にはipodどころかimacさえまだ登場しません。
    それまでの物語が綴られています。
    礼賛するばかりのいわゆる伝記のようなものではなく、
    わりと赤裸々に書かれたエピソード本に近いと思います。
    ゆえに読み物として面白く、気軽に読められる本です。
    続きを読む

    投稿日:2013.11.07

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ブクログレビュー

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  • Masa M

    Masa M

    本書はスティーブ・ジョブズの生き方や経営哲学を学ぶためではない。MacやiPhoneを生み出したスティーブ・ジョブズという人物のいいところも悪いところも全部書いてあって、彼がこの世に確かに存在した事を実感させてくれる。

    スティーブ・ジョブズの伝記だから紙ではなくてiOSアプリにした。僕のiPhoneとiPadにジョブズの魂が宿っているような気になる。
    続きを読む

    投稿日:2023.11.29

  • こけ

    こけ

    自分を特別と思い突き進む姿勢、現実歪曲フィールドを持つカリスマ、スティーブ・ジョブズという人物の魅力と強みがよく理解できる。
    ただ人間としては、未熟なところもあり、人への思いやりも全く感じられない点も多々あり、それも含めてスティーブ・ジョブズなんだなぁと感じた。
    (他の人のコメントにもあったが、一緒に働く自信は無いな。。。)
    続きを読む

    投稿日:2023.11.24

  • takabuku

    takabuku

    SWEとして読んでおかなければと思い購入。ジョブズが最高の天才であることを改めて思わされた。一方で性格は完全に終わっている。絶対に一緒に働きたくない。

    (追記)
    下巻を読んで感想が変わった。ジョブズと働けば人生を変える経験ができると思う。世界最高の製品を最高の天才と作り上げる経験をしたApple社員が強烈に羨ましい。下巻は上巻の3倍面白いので、是非下巻も読んで欲しい。続きを読む

    投稿日:2023.08.11

  • 柴犬ミミ

    柴犬ミミ

    こんな破茶滅茶な人は日本人にはいないだろうな

    と、思っていたら、なにわ恋時雨 の歌がふと心に浮かんだ。いやいや、日本にも沢山いたんだと。

    投稿日:2022.10.27

  • まぎーB

    まぎーB


    軽妙な語り口で読みだすと止まらなくなる。
    長いがスティーブの人生をたどるにはわかりやすい本。

    礼儀正しさとか忖度とかそういったものを気にしすぎると新しいものは生まれない。時には周りを振り回す情熱、信念が素晴らしいものを産む。

    スティーブは魅力的な反面、気難しく冷たく、周りは大変だろうな。


    。。。。。
    スティーブ・ジョブズの特徴
    「現実歪曲フィールド」
    =カリスマ的ものいい、不屈の精神、目的のためならどのような事実でもねじ曲げる熱意。
    他の人を自分のビジョンに引きずり込む

    。。。。。。。

    ジョブズは自己愛性人格障害か?

    。。。。。。。
    たくさんの付き合った女性たち。愛したのは2人だけ。

    ティナ・レドセ

    ローリーン・パウエル 結婚してのちに3人子供
    続きを読む

    投稿日:2022.10.26

  • ももりんか

    ももりんか

    読めば読むほど、スティーブ・ジョブズって変わり者だなぁ、という思いが深くなる本。
    図書館で借りた。

    iPhoneユーザーでMacの購入も検討中だから、いい機会だと思って読んだ。
    いろんなエピソードでお腹いっぱいで、最後まで読みきれず。
    下巻も借りたが読まず…。
    続きを読む

    投稿日:2022.10.12

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