ホウトーさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか
大森藤ノ, ヤスダスズヒト / GA文庫
作品名とのギャップがすごい・・・
14
・オンラインRPGのような世界観における、少年の成長を描いた王道ファンタジー。その時点で、作品名と温度差がある。明確な目標がある者の成長率や行動の変化は、時に感動的なくらい劇的であるという話。熱い展開…は王道にではあるが、そこで感動出来るようにと、心情や背景はしっかり書かれていると感じる。そのことも相まって、非常にテンポよく読み進めていける。
・じっくり読んで、2時間~3時間くらいの読書時間でした。
・ファンタジーの世界で、ストレートで実直な感動を味わいたい人にとっては、作品名で避けてしまうのはもったいない作品です。
※ちょうど、そのような気分でもあったため、私は大変感動できたため、評価は☆5といたします。 続きを読む投稿日:2014.06.21
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掟上今日子の備忘録(単行本版)
西尾維新, VOFAN / 講談社
掟上今日子という人物の「謎」
11
ただひたすら事件を呼び込み、かつ容疑者として疑われる青年が巻き込まれる事件を、その日の記憶の全てを睡眠と共に忘れてしまう忘却探偵がその一日で事件を解決していく話。また、そのような特殊な状況に置かれてい…る掟上今日子という人物そのものもひとつの大きな「謎」として描かれています。
だいたい、2時間くらいの読書時間でした。
第一話では「あるものが、ないことを証明するには?」がひとつのテーマ。10章までのタイミングで、どのように「解決」するのかがわかればすごいです。
第二話では「1億円より価値のある百万円」がテーマ。7章までのタイミングで百万円の額面以外の価値が想像できれば、すごいです。
第三話では「推理小説家の原稿の隠し場所」を8章までにわかればすごいです。また、隠館はひとつミスを犯すのですが、それについても8章までの間に、分かる人はわかると思います。
第四話・第五話は続く話です。主人公たちが追いかけていく謎ももちろん大事な部分ではありますが、「掟上今日子」という人物の謎さ加減も際立ちます。
西尾維新の特徴的な描写については、今までのシリーズに比べれば鳴りを潜めています。しかし、その分万人受けする描写になっているかと思います。解決編に入るまでに、読者として推理するには、伏線や描写がやさしくはないですが、ミステリー好きにはお勧めです。もちろん、西尾維新好きにもお勧めです。 続きを読む投稿日:2014.10.16
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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか7
大森藤ノ, ヤスダスズヒト / GA文庫
今までとは毛色の違う、劇場版的な物語
7
・オンラインRPGのような世界観における、少年の成長を描いた王道ファンタジー。あとがきにもあるように劇場版的なお話。本編の作者は、実際に「ダンジョン」があるとしたら、こうだろう、ああだろう・・・、とい…うイメージで執筆しているという記述があり、今回の娼婦や娼館という存在は避けては通れないとのことで本巻は描かれているとのこと。ダンジョンが存在する都市の仄暗い一面も描かれている部分もあり、今までとは多少毛色の違った物語でした。相変わらずなのは、主人公のスタンスくらい。本巻では、「ダンジョン」には潜りませんが、新たに描かれている都市の一区画は、主人公にとってはダンジョン(迷宮)そのもの。今回主人公の立場も若干の変化が見られており、思考のダンジョンにもハマっているような感じです。
・じっくり読んで、4時間くらいの読書時間でした。
・ファンタジーの世界で、ストレートで実直な感動を味わいたい人にとっては、作品名で避けてしまうのはもったいない作品です。今作は、異世界ファンタジーではあまり描かれない「娼婦」や「娼館」というものがテーマのひとつとして描かれています。真っ直ぐな主人公は当然のように葛藤します。テーマとしては仄暗い感じですが、主人公の振る舞いは今までどおりです。今回主人公の特異性の根源である「憧憬一途」というスキルがある副次的な活躍をします。明らかに今後の伏線です。どんな活躍をするのか想像しながら読むとより楽しめるかもしれません。 続きを読む投稿日:2015.04.29
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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア4
大森藤ノ, はいむらきよたか, ヤスダスズヒト / GA文庫
外伝 第一部完
5
「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」ヒロインのアイズ・ヴァレンシュタインが主役。RPG的な「強さ」では、スタートからトップクラスの主役。さらなる高みを目指し、「経験値」以外の方法でさ…らに強くなっていく姿が描かれた物語。
4巻は「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」本編3巻から本編4巻の時系列と平行して動いていた裏話的な物語。外伝1巻から発生していた謎の事件の概要がなんとなく見えてくる回です。あとがきにあるが、この巻で外伝の第一部完といったところ。また、本編主人公が与える影響の大きさは、本編で描写されていたよりも、 はるかに大きいこともわかります。
約3時間くらいで読み終わりました。
本編とはまた違った「成長する姿に感動」を味わうことが出来る話となっています。ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかの世界観がより広がる位置づけにあるシリーズです。本編を楽しめる方ならば、読んで損はない作品です。また、本編のどの時系列とリンクしているかを想像しながら読み進めていくとより楽しめます。本巻では本編4巻の短編ともさりげなく繋がっている部分があります。それを探してみるのも面白いかと思います。 続きを読む投稿日:2015.05.31
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美少年探偵団 きみだけに光かがやく暗黒星
西尾維新 / 講談社タイガ
「夢」の諦めに向けた青春ミステリー
5
キャラの濃い「美少年探偵」達にひょんなことから、依頼をすることになった、「ある秘密を持った少女」が夢を諦める物語。
夢を諦めると記載したが、決して暗い話ではなく、むしろ常に明るい空気で物語は展開され…ていき、読み終わると何となく爽快感がある。ミステリーとは書いてあるが、謎を解くための材料が散りばめられているわけではないため、さすがに予測しきれない謎である。伏線は散りばめられているので、引っ掛かりを持ちながら物語が進んでいく感覚がある。
ちょっと変わった「青春」を楽しみたい方や、「夢」というものの考え方に興味がある方は読んでみてもいいように思います。西尾維新独特のキャラは出てくるが、独特な言葉遊びはある程度控えられているため、そこを期待しすぎるべきではないかと思います。
わざと、伏線であることが分かるように記載されている部分が前半部分に多いため、気にしながら読むほうがより楽しめる作品です。 続きを読む投稿日:2015.11.17
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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか3
大森藤ノ, ヤスダスズヒト / GA文庫
分岐点と決断
5
・オンラインRPGのような世界観における、少年の成長を描いた王道ファンタジー。追い求める目標に追い付くために、冒険者として命をかけて冒険するか、冒険者として冒険せず命を大切にするのか、という選択肢を、…主人公は周りの人物との関わりの中で与えられる。ファンタジーではあるが、実際にこのような世界があったら、断然命を大切にするはずであり、その分岐に対する迷いといった心情も描かれている。大げさに考えず、「安定」を求めるか、安定を捨てて「冒険」を求めるのか、という視点で読むと、モチベーションの大切さが実感できる。1巻・2巻同様、主人公は純真であり、その純真さが王道ながら大いに感動できる。
・じっくり読んで、2時間くらいの読書時間でした。
・ファンタジーの世界で、ストレートで実直な感動を味わいたい人にとっては、作品名で避けてしまうのはもったいない作品です。ただし、周りで助けてくれる人々含めてほとんどが女性(雌?)であり、ラブコメ要素もあるのでそういったあざとさが嫌いな人には受け付けにくいかもしれません。
1~3巻で一区切りのようで、感動もひとしおでした。 続きを読む投稿日:2014.06.28