
よみがえる百舌(百舌シリーズ)
逢坂剛
集英社文庫
シリーズ最高の出来だと思います!
今作で美希を取り巻く重要な人物がまたまた死亡します。またその事実以外にも作者はどこまで倉木美希に試練を与えるのかと思わずにはいられない展開、そして美希と大杉との微妙な感情を軸に、これまでにないサスペンスを楽しめます。 百舌が誰なのかという謎についてもひねったものにしてあり、シリーズの中では最も楽しめました。 それにしてもドラマで美希役を演じた真木よう子が作品の美希とイメージがぴったりとマッチングすると感じるのは自分だけでしょうか・・・
0投稿日: 2014.12.13駆けてきた少女
東直己
ハヤカワ文庫JA
うーん・・・
これまでになくグロい描写が多く、それ故逆に「俺」の個性が埋没しているような印象でした。 またラストもいきなりの展開で正直違和感を感じてしまいました。 このシリーズは楽しんで読んでいたので今後に期待します。
1投稿日: 2014.12.06探偵は吹雪の果てに
東直己
ハヤカワ文庫JA
ちょっとだけ
地方(田舎)独特の風習的なものが意欲的に描かれていると思います。 ただ、前作との流れは薄く、春子と生まれてきた子供の描写はごくわずか。それも「えっ?」っていう感じでした。 また、ちょっとだけしつこいと感じたのは方言と、その方言を繰り返す人々の描写。言葉になじみがない上に、地方に住む人のいやらしさだけが強調されているようで、何となくイヤな気持ちになってしまったのは自分だけでしょうか? それでもやはり最後まで一気に読ませるストーリーとドキドキ感は最高です。 次作も期待して読みたいと思います。
0投稿日: 2014.11.29探偵、暁に走る
東直己
ハヤカワ文庫JA
「俺」の原点
「俺」がふとしたきっかけで知り合った「友人」の死の真相を調べるために奔走するというストーリーです。いわゆる暴力的なシーンもほとんどなく、純粋に「俺」の人間性が伝わる物語となっています。 知り合って間もない「友人」のためにここまでするかというリアリティも「俺」であれば全く違和感なく入り込むことが出来るというのが、そもそも「俺」という人間の原点だと思います。ススキノ探偵シリーズの中でもおすすめです!
1投稿日: 2014.11.22百舌の叫ぶ夜(百舌シリーズ)
逢坂剛
集英社文庫
裏切らない出来です
皆さんご存じの通り、ドラマの原作本です。 当然ですが、内容の大筋はドラマと同様です。しかし、間違いなくドラマよりも楽しめます。 特に倉木、大杉、美希のそれぞれの人間性が丁寧に描かれており、それぞれがそれぞれに対する感情の変化も読み所の一つだと思います。 また、ドラマを見た方は、3人ののキャラクターが違和感なくイメージできるのではないでしょうか。 とにもかくにも決して裏切らない出来だと思います。
0投稿日: 2014.11.07第三の時効
横山秀夫
集英社文庫
最高の人間物語
F県警の強行班を舞台とした連作短編です。 個性的な3人の班長とその上司である捜査1課長を軸にし、事件解決までの濃密な人間ドラマが描かれています。 3人の班長はそれぞれに優秀すぎるほど優秀であるが、それ故普段は自己があまりにも強すぎ、手を焼く課長。しかし最終的には犯罪を憎む刑事としての本能が自己を押さえこむシーンに、プロとしての男を感じます。 自分はこの作品に出てくる3人の上司に仕えたいと思うかどうかは正直自信はありません。それでも3人の班長は魅力的なプロであることを読者は感じずにはいられないはずです。そしてそれこそが作者の力量だと思います。 横山作品の中でも珠玉の一本だと思います。まずは読んでみてください!
0投稿日: 2014.10.13ルーキー - 刑事の挑戦・一之瀬拓真
堂場瞬一
中公文庫
面白いです
教育係藤島のもと、刑事として配属された初日に発生した事件を追う新人刑事の物語です。 現在の若者にありがちな、どこか冷めている一ノ瀬が一つの事件から次第に成長していく様が恋人とのエピソードを交えながら丁寧に描いています。 また、ミステリーという面で見ても被害者はなぜ殺されなければならなかったのかという大きな幹を中心に据えて一気に読ませます。 今後が楽しみな作品だと思います。
2投稿日: 2014.10.11エチュード 警視庁捜査一課・碓氷弘一4
今野敏
中公文庫
一気に読ませます
家族からの疎外感を感じつつある中年のベテラン刑事が、上からの指示で突然相棒になった警察庁所属の若く美人の心理調査官に対する感情の変化を交えた心理捜査劇。 犯人が選択した心理上のトリックは、第一の事件からラストの逮捕につながるものまで読者にも十分に予想は出来ますが、警察という組織を考えた場合は十分にリアリティがあるのではと思います。 また、今野作品共通にいえることですが、文体がとても読みやすく一気にラストまで読んでしまいます。 紗英の犯人断定につながるエチュードというタイトルがうまく使われていると思います。今野ファンは十分に楽しめるはずです。
2投稿日: 2014.10.11新装版 不祥事
池井戸潤
講談社文庫
ドラマ通り
同じ原作本でもドラマとはやや趣が異なっていた「銀行総務特命」とは違い、ほぼドラマ通りの内容です。また、短編ではありますが、御曹司伊丹に関するストーリーは連作の構成となっており、ある意味中編ともいえるのではないでしょうか。 銀行総務特命同様にエンディングはスカッとしうよりは余韻を楽しむという感じです。 いずれのストーリーも読みやすく一気に読めますので、読書にかける時間があまりない方にもおすすめです。
0投稿日: 2014.10.04新装版 銀行総務特命
池井戸潤
講談社文庫
イメージを膨らませる結末
読み始めてすぐに、ドラマと登場人物が違うことに気づきますが、もちろん原作本なのでストーリーはドラマとほぼ同様です。 他の方もレビューしていますが、各話のエンディングはドラマほど明確ではなく、読書の想像にお任せするような構成です。その分余韻を残しており、自分はしっかりと楽しめました。 やはり本作は登場人物、特に唐木の俗人的な様子が垣間見れるところがいいと思います。
0投稿日: 2014.10.04