paozoさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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64(ロクヨン)(上)
横山秀夫 / 文春文庫
期待通り
1
横山作品らしく、重厚感あふれる作品です。娘が行方不明になった主人公家族の葛藤を軸に警察と未解決の誘拐事件の被害者、警察広報とマスコミ、刑事部と警務部、これらの対立劇が物語の中で静かにそしてエキサイティ…ングに進行していきます。
特に警察とマスコミとの関係、刑事部と刑務部との関係は警察組織に詳しくない者をもグイグイと引き込みます。
これぞ警察小説の決定版とも言える作品だと思います。期待して読んでみてください。 続きを読む投稿日:2015.06.21
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猫は忘れない
東直己 / ハヤカワ文庫JA
徐々に変化する「俺」
1
「俺」も50代半ばになり、初期の頃に比べればずいぶんと人間的にも変わってきたように思えます。
特に前作辺りから優しさがにじみ出るように感じています。
また、華に対する思いも自分になりたい自分と華を大切…にし、華の思いに答えたい自分の心をうまく表現されており、一気読みしてしまいます。
犯人については途中からやっぱりかと思えますが、それを補って余りある面白さだと思います。
シリーズが完結しないことを願っています・・・ 続きを読む投稿日:2015.03.01
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旧友は春に帰る
東直己 / ハヤカワ文庫JA
「俺」という男
1
本作品は50歳を過ぎた「俺」という男の人間生と生き様がしっかりと描かれています。
「俺」は若い頃に出会った美しい飲み友達の窮地を救う為に夕張まで出向き、あらゆる伝手を使って彼女を助けようとします。
彼…女は助けてもらう理由を「俺」に話そうとはしません。それにいらだちを感じながらも行動する「俺」という人間は実際にはなかなかいないと思いますが、そこがこの作品の魅力になっています。
是非堪能してください。 続きを読む投稿日:2015.01.24
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びっくり館の殺人
綾辻行人 / 講談社文庫
ちょっと異色な館
1
びっくり館はこれまでの館シリーズの中でも異色なものです。それもそのはず、作者も巻末に語っているとおり、少年少女を対象とした作品なのです。
よって前作の暗黒館とは違い、回りくどい表現もなく、それでいて綾…辻作品らしく先が気になり、ページをめくるのもついつい早くなり、あっという間に読み終わります。
常連の登場人物も一瞬しか出てきませんが、語り手の主人公が魅力的で、これはこれでとてもよい作品だと思います。
ぜひ読んでみてください。
続きを読む投稿日:2015.07.05
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白ゆき姫殺人事件
湊かなえ / 集英社文庫
独特な読後感
1
他の方も書かれているとおり、ほぼ全編が事件を巡る登場人物による雑誌記者に対する語りかけで構成されているという作品です。
マスコミの格好の餌食となる実際のスキャンダラスな事件もこの作品のような実態なのだ…ろうなと思ってしまいました。
一人の人間を犯人に作り上げていくために余分な贅肉をばっさりとそぎ落としているため一気に読めます。
しかし、この何となく後味の悪い読後感は湊作品に独特のものとなっている気がします。
この後味の悪さも含めて湊作品ファンは是非読んでみてください。 続きを読む投稿日:2015.01.19
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駆けてきた少女
東直己 / ハヤカワ文庫JA
うーん・・・
1
これまでになくグロい描写が多く、それ故逆に「俺」の個性が埋没しているような印象でした。
またラストもいきなりの展開で正直違和感を感じてしまいました。
このシリーズは楽しんで読んでいたので今後に期待しま…す。 続きを読む投稿日:2014.12.06