
霧越邸殺人事件(上)<完全改訂版>
綾辻行人
角川文庫
期待通り
これぞ綾辻作品というべき、本格ものです。 本格には欠かせない嵐の山荘を舞台にした連続殺人事件。登場人物は限定され、それぞれにクセがある人物ばかり。 多少所々に理屈っぽい言い回しが見受けられますが、それらの中に伏線が張られていたりと、なかなか手抜きの読み方が出来ません! とにもかくにも綾辻作品を語るうえでは欠かせない作品です。是非読んでみてください!
4投稿日: 2015.06.28暗黒館の殺人(二)
綾辻行人
講談社文庫
この巻でようやく
館シリーズ最大の長編です。 この巻でようやく殺人事件が発生します。物語がこみ入り、とても複雑な物語です。正直一度の読書ではこの物語の良さは感じないのではと思えます。 私も二度目の読書でこの物語のスケールの大きさが多少なりとも理解できました。 綾辻ファンならば是非挑戦してみてください!
0投稿日: 2015.06.2864(ロクヨン)(上)
横山秀夫
文春文庫
期待通り
横山作品らしく、重厚感あふれる作品です。娘が行方不明になった主人公家族の葛藤を軸に警察と未解決の誘拐事件の被害者、警察広報とマスコミ、刑事部と警務部、これらの対立劇が物語の中で静かにそしてエキサイティングに進行していきます。 特に警察とマスコミとの関係、刑事部と刑務部との関係は警察組織に詳しくない者をもグイグイと引き込みます。 これぞ警察小説の決定版とも言える作品だと思います。期待して読んでみてください。
1投稿日: 2015.06.21暗黒館の殺人(一)
綾辻行人
講談社文庫
意外に・・・
新書版で読んで以来、久しぶりに読み返してみました。 新書版の時にはひたすら長くて、文章もとにかく読みづらいといったイメージしかなく、正直電子書籍化されたときもなかなか読む気にはなれませんでした。 しかし今回改めて読んでみると意外にも先が読みたくなってしまいました。確かに出だしはかなり重苦しく「うっ」という印象でしたが、そこを過ぎると、先の展開を気にせずにはいられなくなってきました。 館シリーズでは決して正統派ではないかもしれませんが、著者の幅の広さを知るのにはよい作品だと思います。 ただしかなりの長編なので読み切るのにはそれなりのパワーを必要とするかもしれませんが・・・
1投稿日: 2015.06.21刑事 雪平夏見 愛娘にさよならを
秦建日子
河出文庫
ボロボロの雪平
雪平は前作で大けがをし、その後、第一線から退いたことが冒頭で書かれています。 これまでの雪平を知っていると、「えっ、どんな展開にする気?」という疑問が。しかしながら作者はやはり雪平に無理をさせ、これまで以上に雪平をボロボロにしていきます。 そしてタイトルにある愛娘を巡る葛藤を交えながら物語は進んでいきます。 これまでの作品同様に気づけばあっという間に読み終えています。 ただし、ここまでボロボロになると次作以降はハードルが高くなると思うのは自分だけでしょうか?
0投稿日: 2015.04.05猫は忘れない
東直己
ハヤカワ文庫JA
徐々に変化する「俺」
「俺」も50代半ばになり、初期の頃に比べればずいぶんと人間的にも変わってきたように思えます。 特に前作辺りから優しさがにじみ出るように感じています。 また、華に対する思いも自分になりたい自分と華を大切にし、華の思いに答えたい自分の心をうまく表現されており、一気読みしてしまいます。 犯人については途中からやっぱりかと思えますが、それを補って余りある面白さだと思います。 シリーズが完結しないことを願っています・・・
1投稿日: 2015.03.01旧友は春に帰る
東直己
ハヤカワ文庫JA
「俺」という男
本作品は50歳を過ぎた「俺」という男の人間生と生き様がしっかりと描かれています。 「俺」は若い頃に出会った美しい飲み友達の窮地を救う為に夕張まで出向き、あらゆる伝手を使って彼女を助けようとします。 彼女は助けてもらう理由を「俺」に話そうとはしません。それにいらだちを感じながらも行動する「俺」という人間は実際にはなかなかいないと思いますが、そこがこの作品の魅力になっています。 是非堪能してください。
1投稿日: 2015.01.24白ゆき姫殺人事件
湊かなえ
集英社文庫
独特な読後感
他の方も書かれているとおり、ほぼ全編が事件を巡る登場人物による雑誌記者に対する語りかけで構成されているという作品です。 マスコミの格好の餌食となる実際のスキャンダラスな事件もこの作品のような実態なのだろうなと思ってしまいました。 一人の人間を犯人に作り上げていくために余分な贅肉をばっさりとそぎ落としているため一気に読めます。 しかし、この何となく後味の悪い読後感は湊作品に独特のものとなっている気がします。 この後味の悪さも含めて湊作品ファンは是非読んでみてください。
1投稿日: 2015.01.19のすりの巣(百舌シリーズ)
逢坂剛
集英社文庫
期待通りでした
百舌シリーズに一貫しているとおり、警察組織を取り巻く陰謀に倉木と大杉が果敢に挑むストーリーです。 今回はノスリと呼ばれる実行者とそれを陰で操る者を軸にしており、これまでの作品と同様にグイグイと引き込まれていきました。 ただ、これまでの作品と違うのは結末が悲しいものではなかったこと。一瞬「えっ、またか・・・」と思いましたが、作者も倉木をこれまで以上に悲しませるのはやめたようです。 今後も続編に期待です。
2投稿日: 2015.01.11ライト・グッドバイ
東直己
ハヤカワ文庫JA
妙にリアル
現実に何度か耳にしたことがある事件と重なり、これまでのシリーズとは違い妙にリアル感を感じました。 きっと現実の犯人もこんな感じなのではと思わずにはいられません。 また今作は前作とは違い暴力的なシーン等過激な描写もなく、すっかりおじさんになりつつある「俺」の成長?が感じられます。 個人的には本シリーズの中でもとても面白いと思います。
0投稿日: 2014.12.13