
『天職』の主たれ【電子SS特典付き】
中文字,しあびす
GAノベル
天職という言葉の意味を考えさせられる
この世界の人類は非常に弱くて絶滅寸前まで追い込まれている設定。 特に痛いのは普通の人が使う武器では魔物を傷つける事すら出来ないし、鎧や盾も魔物の攻撃を全く防げないという設定のせいで軍勢を編成して軍勢の持つ数的優位も戦術も全く役に立たないので軍で魔物討伐をして勢力圏を拡大させるのが難しいというハードな設定はだいぶ厳しく感じる。 神から授かる「天職」の中で戦闘に向いた職種になれた人しか魔物と戦えない・天職に適応出来ない人の存在もあって人類にとってはなかなか便利と言えない天職。 天職に身を委ねて戦うと魔物を倒せる(絶対じゃないが)のだからそれが常識になるのは当然だろう。 主人公は最高級の天職「剣聖」を授かるが不適職者と見做されて貴族の嫡男から親に疎まれ殺意を向けられるという不遇でありながら、天職をねじ伏せて自分の剣術に都合良く使うという荒業を成し遂げてみせる。 世間の常識とは違う天職との向き合い方をして明らかな結果を出していく主人公の生き方は色々な人を変えて行くのだが、その先は次巻(出るんだろうか?)に期待しよう。
0投稿日: 2025.10.12
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ,市丸きすけ
アルファポリス
まあまあ面白い作品
話としては本当によくある内容。 現代世界から集団で異世界に召喚される→召喚された日本人達は全員何らかのチートもしくは非常に高性能なスキルを授かるという本当にテンプレ・お約束な展開から始まるが、実はその召喚を行なった異世界の王国が召喚者を活用するのではなく召喚者から保有スキルを奪っては皆殺しにしていたというクソ外道国家だったという展開(類似性のある話はいくつかあるだろう、書籍化されていないものも含めれば)。 主人公がその企みを察して機転とスキルで危機を脱して逃亡、冷遇されたお姫様と日本からの同朋の女の子を連れての逃避行、となるが奪い返した殺されてしまった同朋たちのスキルのお陰で主人公自身が戦闘力も含めて超チートなせいで実にお気楽にお金を稼いで順調に隣国まで逃げおおせる。 この手のネットショップ能力者ものを見てて毎回不思議に思うのだが、異世界の住人達は他所の世界から持ち込まれた異常に高品質な品物を見てその出所に違和感を感じないんだろうか? ご都合主義な展開は面白くはあるんだが、剣と魔法の世界だからなぁ・・・
0投稿日: 2025.10.12
新九郎、奔る!(21)
ゆうきまさみ
ビッグスピリッツ
いよいよ始まる戦国時代
巷でよく言われる戦国時代の始まりを象徴する事件とされる北条早雲による堀越御所襲撃と足利茶々丸殺害、前巻から少しずつ動いていた話がついに具体的に動き出した。 明応の政変で失脚した足利義材も幽閉先から脱走し、後年足利義稙として復活するべく動き出す。 伊勢宗瑞と共に東海に覇を唱える後の今川氏親もいよいよ龍王丸から元服の時が近づくが、覚醒し出している兆しを明らかにする。
0投稿日: 2025.10.11
太平洋戦争
大木毅
PHP新書
面白い本ではあったけど
個人的に大木さんはかなり分析とかしっかりやってる人だと思っているのだけど、この本は他の著述と比べてだいぶ表層的な書き方に感じた。 最後まで読んでみれば分かるのだが、この本は雑誌の投稿をまとめた拾遺本なのだという。 なるほどそうであればこの軽さは納得できる。 読了後に思ったが、大木毅さんは日本海軍の悪癖で二兎を追うような作戦をやる傾向があると指摘している。 確かにミッドウェー・ソロモン・マリアナ・フィリピンとどの戦いでも日本海軍は「作戦目的はシンプルに」という基本のキを軽んじていたと言われても言い返せないだろう失敗を演じているし、最期の水上戦闘だったはずの大和特攻でも戦理もクソもないようなヤケクソ感満載の作戦とすら呼べない命令を出して大戦艦と護衛艦艇、多くの将兵の命をドブに捨てている。 こんな組織じゃ負けて当たり前だとしか言いようがないし、個人的に対米戦争敗北のほぼ全責任は海軍にあると思っているのでもっと抉って欲しかった気もする。
0投稿日: 2025.08.31
男女比1:5の世界でも普通に生きられると思った? ~激重感情な彼女たちが無自覚男子に翻弄されたら~ 1
三藤孝太郎,桃季憂,jimmy
角川コミックス・エース
なかなか面白い
とは言え主人公(ヒロイン枠?)を取り巻く女性陣が今の所揃ってヤバいキャラばかり(特にOL、あれじゃ完全にストーカーだ)とはおそロシア。 後の2人(で収まるのか微妙だが男女比1:5だから出てこないと思われ)も何かしらヤバいキャラなのかと不安になって来る。 1人目が独占欲と嫉妬心の塊、2人目が歳上への憧れを拗らせたエロガキ、3人目はこちらの世界でも程度の差こそあれいるだろうホストに入れ上げる女なんだが、どちらかと言うとキャバ嬢に付き纏う客に近い感じのヤバさと、揃って怖さと危うさが同居する人物たちで思ったよりも面白い話になりそうな予感がする。
0投稿日: 2025.08.10
日本史の偉人の虚像を暴く
本郷和人
宝島社新書
なかなか面白く読めた
それぞれ日本史上で英雄とされる人物たちを取り上げてその人物の実像に迫ってみる、という趣旨だが、歴史学者と在野の歴史研究家、歴史作家は同じ資料を前にしてもそれに向き合う姿勢が少しずつ違うので出す結論に差が出る。 学者は資料に書いてある事を字句の通りに読み解き結論を出すものだが、研究家はその行間にあるものを読み取ろうとするし、作家は更に面白くするために想像を膨らませる。 織田信長はその素材としては最も取り上げやすい人物だろう、日本史上のみならず世界的に見ても偉大な天才という意見があるかと思えば結果的に非凡な事をしたがよくよくみれば常識的な選択の積み重ねだという意見もある。 全体を通して感じたのは視点を変えてみる、資料をちゃんと読み解く事の重要性だろうか。 歴史を学ぶ人には通り一辺倒な解釈をしないで複数の資料を検証する姿勢が大事という歴史研究の基本を説いている訳だ。
0投稿日: 2025.08.04
じゃない孔明転生記。軍師の師だといわれましても3【電子書籍限定書き下ろしSS付き】
二水うなむ,武田ほたる
TOブックス
面白いのだけれど
三国志演義や横山三国志から入った身としては劉備や周瑜が使い捨てされてる展開に嘆息を禁じ得ない。 主人公の胡昭が北方を目指すという大規模なイベントが起きてるというのに曹魏が中原を統一して天下を手にしそうな変動の速さが「なんか勿体無いなぁ」と感じられて仕方がない。
0投稿日: 2025.07.18
魯鈍の人 ~信長の弟、信秀の十男と言われて~ 2
牛一,ニシカワエイト
モーニングスターブックス
一応面白いと言える
だが、歴史ものとしては結構深刻なレベルで読み方を間違えてルビ振ってるのが物凄く気になる。 小侍従局を【しょうじじゅうきょく】とふりがなしてるわ陶隆房(一般的に陶晴賢という「五等分の花嫁」のせいでやたらと知名度が上がった毛利元就に負けた戦国武将)の事を【とうたかふさ】とか•••それぞれ歴史ものに知識がある人なら【こじじゅうのつぼね】【すえたかふさ】と読む筈だが。 作者が知ったかで作品書いてるのか編集でルビ振る担当がビックリするレベルで無知なのか、まあまあ面白いだけにこういう細かい所もちゃんと気をつけて作品を送り出して欲しいと切に願う。
0投稿日: 2025.07.18
新九郎、奔る!(20)
ゆうきまさみ
ビッグスピリッツ
遂にクーデター発生!
足利義材への不満を募らせていた室町後期の曲者•細川政元が起こしたのが本巻でフォーカスされた明応の政変。 これによって足利義澄への将軍交代となるのだが、クーデターで追放された足利義材は復権を諦める事なく自身に心を寄せる(反細川というだけかも)大名達と共に戦い続け、その結果として足利義稙として返り咲くのだが2人の将軍/元将軍が争った結果室町幕府は致命的に衰退していく事になる。 新九郎はこの状況を最大限に利用して伊豆で所領を拡大するべく暗躍を始める訳だが、いよいよよく知られた北条早雲の国盗り物語が始まって行く。関東に大乱を齎した長尾景春との出会いは新九郎にどう影響するのかが興味深い。
0投稿日: 2025.07.13
機動戦士ガンダムF91 エターナルウインド(1)
おおのじゅんじ,富野由悠季
角川コミックス・エース
映画を漫画に
この巻は映画で言うと最初の20分くらいの出来事(だったかな?)を描いているようだ。 映像作品だとサクサク流れて行くシーンをコミカライズならではの細かい説明で描く事で肉付けされているのが良い。 前作のプリクエルでクロスボーン軍に鹵獲されてしまったF91試作1号機と2号機はどうなってしまったのか説明されると期待している(多分ビギナ・ゼラの製造参考になったっぽいが)。 個人的には1号機と2号機が相打ちで失われちゃった不遇なネオガンダムの3号機に良き出番を与えて欲しいと願う次第ですが••••
0投稿日: 2025.06.26
