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Maxwellさんのレビュー
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  • 史上最高の経営者 盛田昭夫 SONY決死の決断 ウォークマン開発秘話

    史上最高の経営者 盛田昭夫 SONY決死の決断 ウォークマン開発秘話

    浜本哲治

    ゴマブックス

    期待外れ

    読後感としては,「開発秘話」というタイトルにこれ以上ないほどの違和感を覚えると同時に, 脱力感に襲われました. 内容は,私の記憶にある限り「ソニー自叙伝」「小説盛田昭夫学校」と矛盾はしません. が,「開発秘話」と題するのなら,上記2冊に比べて圧倒的に内容が薄いです. 私の期待した内容と大幅にズレているせいもあると思いますが,私が感じた印象は,   「盛田さんはこんなことをしましたよ,あんなことを仰いましたよ,どうぞあなたも盛田さんを見習って   頑張って下さい」という調子の文体が延々続いている. というものです. ウォークマンの開発秘話を知りたければ,前述の「ソニー自叙伝」「小説盛田昭夫学校(下)」など 別の書籍がオススメです.

    3
    投稿日: 2014.03.28
  • 小説 盛田昭夫学校(下)

    小説 盛田昭夫学校(下)

    江波戸哲夫

    講談社文庫

    読み終える頃にはすっかり感情移入していました

    ソニーとソニー創業者の盛田さんの物語(後半)です. トリニトロンテレビ,ウォークマンなど「技術のソニー」のイメージを 定着させた製品の開発,発売から,盛田さんが亡くなるまでが含まれて います. 前半部は馴染みのある製品が登場してわくわく感がいっぱいでしたが, 最終章は盛田さんが倒れて以降,ハワイでのリハビリ生活,亡くなる までのことが記述されていて,ちょっとしんみりします. 盛田さんは写真でしか拝見したことがない(声も知らない)ですが, 読み終える頃にはすっかり感情移入してしまっていたみたいです. 事実に基づいているとは言え,「小説」と題しているだけあって, 読みやすいです.

    2
    投稿日: 2014.03.28
  • ピープルウエア 第3版 ヤル気こそプロジェクト成功の鍵

    ピープルウエア 第3版 ヤル気こそプロジェクト成功の鍵

    トム・デマルコ,ティモシー・リスター,松原友夫,山浦恒央,長尾高弘

    日経BP

    笑いました,ものすごく.

    ソフトウェア開発がうまくいかない理由(逆にどういう条件がそろうとうまくいくか)が 実にコミカルかつ皮肉たっぷり?に語られています. 書いてあることは極めてマトモ. ですが,少なくともソフトウェア開発に携わったことのある人は,きっと抱腹絶倒する だろうなと思います. ソフトウェア開発でなくても,納期に追われた経験のあるビジネスパーソンなら共感する ことが多いのではないでしょうか. とても真面目なテーマで,真面目な内容の本なのですが,電車の中で読むのはオススメ しません.きっと笑いをこらえるのに苦労すると思いますから. ごく一部ですが,本文から4個所引用します. これだけではこの本の面白さはとても伝えられないと思いますが,その片鱗だけでも 感じてもらえればと思います. ■ 頭脳労働者が時々ミスを犯すのは極めて自然で,仕事を真面目にやっている証拠である. しかし,仕事の上の誤りを,聖書でいう「罪」と同じように考えている人がいる. この考えを正すのは非常に骨が折れる. ■ この連中にかかると,1週間といっても,実際には80時間,90時間働かせて仕上げた成果 を40時間で割り,1時間当たりの生産性とする. これを生産性と呼ぶのは詐欺に等しいが,...(略)...実際問題として,プロジェクトの 完成が1か月遅れても,この世が終わるわけではない. ■ 遅れの原因,限りなし 回復手段,何もなし ■ 同僚との大事な会議の真っ最中に電話がかかり,その応対に追われるあまりみんなに迷惑 をかけた経験があると思う.そう,誰しもよくあることだ.かといって,電話を無視して 会議をそのまま続けることなど思いもつかない.しかし,会議を中断して出席者に迷惑を かけ,その一方で,ジャンジャン鳴っている電話に出るのは,世の中の常識から見ても, とても公平とは言い難い.電話はかけて迷惑,かかって迷惑ということだ.困ったことに 電話の弊害にはみんな慣れてしまい,誰も気にしなくなってしまった.極端にひどい場合 だけ,何かがおかしいと感じる程度なのである.

    1
    投稿日: 2014.03.28
  • 「世界金融危機」のカラクリ データで読み解く本当の大問題

    「世界金融危機」のカラクリ データで読み解く本当の大問題

    吉本佳生

    PHPビジネス選書

    この本の本質は,副題の「データで読み解く」という部分

    「世界金融危機のカラクリ」というちょっと人目を引くタイトルがついていますが, この本の本質は,副題の「データで読み解く」という部分だと思います. 貿易収支,所得収支など経済データの読み解き方を分かりやすく解説しています. 経済ニュースに関しては「専門家」によって分析結果が異なる場合があるので 漫然と聞いているといったい何が正しいのかよく分からないことがあります. そういう問題に対して,「どういう根拠で,自分はどう考えるか」の思考の ベースを学べると思います.

    0
    投稿日: 2014.03.26
  • PlayStation 4ができるまで -日本発売までの367日間 新世代ゲーム機の新たなる戦場

    PlayStation 4ができるまで -日本発売までの367日間 新世代ゲーム機の新たなる戦場

    西田宗千佳

    MAGon

    「やんちゃさ」は薄れたけれど,やっぱりソニーのDNAを感じさせる

    PlayStation(初代)の発売から20年近く,ちょっと時代の流れを感じました. PlayStation3までがハードウェアの性能の高さで他のゲーム機と差別化し, またゲーム機以上の存在にしようとしていた(ソニーゲームエンターテイメント ではなくソニーコンピュータエンタテイメントという社名もその思想の表れらしい) のに対し,PlayStation4は素直にゲーム機であることを追及しています. ユーザがゲームを楽しめること,(起動までの待ち時間が長いなどの)ストレスを 感じないこと,ゲーム開発者にとって開発がしやすいこと.またソニーは PlayStationPlusのような「継続的なサービス」をより大きな収益源に育てていく つもりのようです. 製品やサービス,ビジネスの両面で,ソニーという会社から連想される 「やんちゃさ」が薄れ,成熟してきた印象を受けました. それでもソニーという会社のやんちゃなDNAを引き継いでいる側面も感じられます. その一例がGPGPUです.開発の難易度が高い代わりに巧く使えばPS4の性能を 大きく高めることができます.この「巧く使ってゲーム機の性能を限界まで引き出す」 ような職人芸を開発者に要求するあたり,旧PlayStationシリーズに通じるものを 感じます. 一方,PS4のライバルとされるXBoxOneは安定して動作することに重点が置かれて いるそうで,これはこれで仕事のツール(Windows, Officeなど)を提供している会社 が採る作戦としてはもっともだと思います. PS4とXBoxOneのハードウェア構成は似ていても,設計思想や目指す方向性には 会社の特徴が色濃く表れる.こういった「製品の背景」に関する記述もあって興味深く 読めました.

    6
    投稿日: 2014.03.26
  • 週刊ダイヤモンド「ソニー特集」バリュー版 2冊パック(週刊ダイヤモンド特集BOOKS(Vol.7))

    週刊ダイヤモンド「ソニー特集」バリュー版 2冊パック(週刊ダイヤモンド特集BOOKS(Vol.7))

    後藤直義,藤田章夫

    ダイヤモンド社

    個人的には「ソニーのB面」の方が好き

    個人的には「ソニーのB面」の方が好き. ソニーが持つ放送用,業務用機器に関する技術,徹底したサポート体制など,ソニーという言葉から連想される「他とは違う際立った素晴らしさ」を感じられる1冊. もう一方の「ヤメソニーに訊け!」は何か浅い. どこかで聞いたような話を寄せ集めた感が強く,読んでてあまり満足しなかった. ただ感じ方は人それぞれだと思います.ソニーのB面が星5つ,ヤメソニーに訊け!が星2つで平均すると星3~4.

    9
    投稿日: 2013.11.21
  • 国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源(上)

    国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源(上)

    ダロン・アセモグル,ジェイムズ・A・ロビンソン,鬼澤忍

    単行本

    この本のテーマは,「経済的に豊かな国と貧しい国があるのはどうしてか?」

    この本のテーマは,「経済的に豊かな国と貧しい国があるのはどうしてか?を考察すること」と言えます. 「Why Naitions Fail」というタイトルだけを見ると,反映していた国の力が衰えていく...つまり軍事的に弱体化するとか権力者の権力基盤が弱くなると言った意味にも 取れそうですが,そういう内容ではありません. 先進国に代表される経済的に繁栄している国と,経済的に貧しいいわゆる発展途上国があるのはなぜか, その差はどうして生まれたか,ということを様々な事例を挙げて分析しています. 一言で言ってしまうと,その差は「制度の違い」であるというのが本書の主張です. 絶対権力を持った少数の人間が大多数の人間を奴隷のように支配する制度を持つ国は貧しく, 逆に権力が分散され経済活動など様々な自由が保障される制度を持つ国は豊かである,と. 堅苦しそうなタイトルと,実際堅苦しいテーマではありますが,全米ベストセラーというだけあって, 内容は興味深く,文章も読みやすいです. 少し値は張りますが,それに見合う価値があると思います. そして読み終えてこう思いました. 様々な問題はあるにせよ,日本という経済的な繁栄をもたらす制度を持つ国に生まれることができて良かった,と.

    6
    投稿日: 2013.11.06
  • テレビの「敗戦」とテレビの「復活」

    テレビの「敗戦」とテレビの「復活」

    西田宗千佳

    impress QuickBooks

    コンパクト.ちょっと物足りない

    内容は少なめです.30分程度で読み切ってしまいました. 「テレビの敗戦」とは,(主に)日本のメーカーがテレビ事業で大赤字に陥った理由を説明しています. これは過去(といってもここ数年の話ですが)の事実をわかりやすく整理していて非常に明快です. 一方,「テレビの復活」の方はかなり物足りない印象でした. 実際,まだ復活もしていないし復活の兆しも見えているとは言えない現状なので「はっきり言えばわからない」と いうことなのでしょうが,そこはいろいろな仮定を置いた上でも構わないからいくつかシナリオを書いてほしかったと 思います. ただ,見えていないということは,今は思いもつかない素晴らしい製品が世に出てくる可能性もあるわけで, 今はちょっとそれに期待したいです.

    2
    投稿日: 2013.11.02
  • ソニー創業者 盛田昭夫が英語で世界に伝えたこと

    ソニー創業者 盛田昭夫が英語で世界に伝えたこと

    盛田昭夫ライブラリー

    中経出版

    1日1つ,最強の英語学習教材

    この本の大部分は,以下の3ページ1セットで構成されています.  ・1ページ目に比較的短めの英文スピーチ(多くても3パラグラフ),  ・2ページ目に重要な英単語(Words & Phrases)数個,  ・3ページ目に日本語訳    ※2ページ目はない場合もあります. 内容の良さもさることながら,使い方によっては最高の英語教材になると思います. たとえば電車で通勤・通学している方は,毎朝1つ,この英文スピーチを読む(暗記するくらいのつもりで). 61個のスピーチがあるので,週5日,1日1個のペースで進めると3カ月かかる計算になります. (ちなみに今日が11月2日なので,たとえば大学受験生が今日からこれを始めれば,国立大学の2次試験にも間に合います) 1日あたりの負荷は低めで,3カ月という比較的短期間で達成可能な目標. 教材として秀逸ではないでしょうか. 私は今そういう使い方をしています(まだ最後まで到達していません). これはと思うフレーズは多くありますが,ここに1つだけ紹介しようと思います. Nothing can be done with good leader alone.  - 素晴らしいリーダーであっても,1人では何も達成できません. ただ,電子書籍版は紙の書籍と違って音声CDがついていません. その点を考慮して,星4つとしました.

    0
    投稿日: 2013.11.02
  • 小説 盛田昭夫学校(上)

    小説 盛田昭夫学校(上)

    江波戸哲夫

    講談社文庫

    ソニーの物語.読んで元気をもらえました.

    ソニーと,ソニー創業者の盛田さんの物語です. 「ソニー自叙伝」と重複する内容もありますが,こちらの方が相当に面白い. ソニー自叙伝がともすれば技術的なちょっと難しい内容になりがちなのに比べて, こちらは盛田さんとその周囲にいる人たちのエピソードが中心となっていて読みやすいです. 本書冒頭で盛田さんの葬儀の様子が描かれた後は,ソニーの創業からソニーが成長していく過程が 時系列で描かれています. 社名「ソニー」誕生の話,可能性を「カノウシェイ」と発音する盛田さん,開発中の製品をみて 小躍りする井深さん,外国人に自分の名前を「イビューカ」と発音されることにご不満の井深さん... ちょっと「プロジェクトX」的な感動あり,盛田さんをはじめ周りの人たちの人となりが伝わってくる エピソードありで,読んで元気をもらえました.

    3
    投稿日: 2013.10.03